(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記初期利用者人数集計部は、前記初期利用者人数を前記事業所別に集計しており、この事業所別の初期利用者人数に占める、介護の手間の大きい又は小さい利用者の割合を前記心身状態項目毎に求めた事業所別初期利用者人数集計データを作成する機能を備えた請求項1に記載の地域包括ケア事業システム。
前記初期利用者人数集計部は、前記初期利用者人数を前記事業所別、及び初期利用時のサービス種類別に集計しており、この事業所別初期利用時のサービス種類別の初期利用者人数に占める、介護の手間の大きい又は小さい利用者の割合を前記心身状態項目毎に求めた事業所別初期利用時のサービス種類別初期利用者人数集計データを作成する機能を備えた請求項1に記載の地域包括ケア事業システム。
前記初期利用者人数集計部は、前記初期利用者人数として、前記事業所別に、予め設定した初期利用者チェック期間内に、当該事業所から受けた全サービス種類のいずれかが予め指定したサービス種類である利用者の人数を事業所別利用したことがあるサービス種類別に集計しており、この事業所別利用したことがあるサービス種類別の初期利用者人数に占める、介護の手間の大きい又は小さい利用者の割合を前記心身状態項目毎に求めた事業所別利用したことがあるサービス種類別初期利用者人数集計データを作成する機能を備えた請求項1に記載の地域包括ケア事業システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、この実施の形態に係る地域包括ケア事業システムの基本構成を示す機能ブロック図である。この地域包括ケア事業システムは、コンピュータシステムにより構成されるもので、
図1で示すように、地域包括ケア分析データベース基盤(以下、単にデータベースと呼ぶ)10と、初期利用者集計部11とを備え、これらにより初期利用者人数集計データ12を得るものである。
【0014】
データベース10は、介護レセプトデータ101、及び要介護認定データ102を有する。また後述するように、利用者の疾病データが必要な場合は、医療レセプトデータ103を提供することができる。
【0015】
初期利用者集計部11は、CPUにより構成されるもので、所定のプログラムにより実行される事前処理部111と、初期利用者人数集計部112とを有する。
【0016】
事前処理部111は、
図2で示すように、集計対象事業所選定機能1111により、データベース10が有する介護レセプトデータ101から、予め設定した集計対象の事業所を選定し、初期利用者集計対象事業所データ1115を作成する。
【0017】
この集計対象事業所選定機能1111は、上述のように集計対象とする事業所を選定するが、選定は市内の事業所や、分析対象期間内に稼働中の事業所、等の条件で行う。いずれの条件も、介護レセプトデータ101から事業所番号を抽出することにより事業所を選定する。
【0018】
市内の事業所を選定する場合は、事業所番号に含まれる都道府県コードと郡市区コードを条件に抽出する。また、稼働中の事業所を選定する場合は、分析対象期間内に介護レセプトデータが有ることを条件に抽出する。選定した事業所の事業所番号は、初期利用者集計対象事業所データ1115に保持しておき、初期利用者人数集計の対象事業所の絞り込みに用いる。
【0019】
初期利用年月集計機能1112は、介護レセプトデータ101から集計対象の事業者を利用した利用者と、その利用者が当該事業所から受けたサービスのサービス種類、及びそのサービスを最初に受けた年月である初期利用時とを抽出し、これらを事業所別に集計して、初期利用年月集計データ1116を作成する。
【0020】
また、初期利用時心身状態集計機能1113は、上述のように作成された初期利用年月集計データ1116上の利用者の、初期利用時における心身状態項目の各値を、データベース10が有する要介護認定データ102から抽出し、初期利用年月集計データ1116と突合して、初期利用時心身状態集計データ1117を作成する。
【0021】
すなわち、
図1で示した初期利用者集計部11は、介護レセプトデータ101と要介護認定データ102を元に集計処理を行うが、いずれのデータも初期利用者人数集計に適した形式となっていない。このため、
図2で示す初期利用年月集計機能1112と初期利用時心身状態集計機能1113により、初期利用者人数集計に適した形式のデータである初期利用時心身状態集計データ1117を作成し、
図3で示すように、後続する初期利用者人数集計部112の入力データとする。
【0022】
このほかに事前処理部111は、選択肢分割閾値決定機能1114により選択肢分割閾値データ1118を作成する。選択肢分割閾値決定機能1114は、心身状態の選択肢を、介護の手間が「大きい」、「小さい」の2値のグループに纏め、介護の手間の大小を判別する閾値を決定し、その閾値を選択肢分割閾値データ1118に登録する。
【0023】
図1で示した初期利用者人数集計部112は、
図3で示すように、
図2の事前処理部111で作成された初期利用者集計対象事業所データ1115、初期利用時心身状態集計データ1117、及び選択肢分割閾値データ1118を用いて、予め指定した初期利用者チェック期間内に、いずれかの事業所を利用した利用者の人数を当該事業所の初期利用者人数として事業所別に集計する。
【0024】
この初期利用者人数とは3種類あり、それぞれ初期利用者集計対象事業所データ1115、初期利用時心身状態集計データ1117を用いて抽出される。すなわち、事業所別初期利用時のサービス種類別初期利用者人数集計機能1121により事業所別、及び初期利用時のサービス種類別に集計される初期利用者人数と、事業所別利用したことがあるサービス種類別初期利用者人数集計機能1122により、事業所別に、予め設定した初期利用者チェック期間内に、当該事業所から受けた全サービス種類のいずれかが予め指定したサービス種類である利用者を集計した事業所別利用したことがあるサービス種類別初期利用者人数と、事業所別初期利用者人数集計機能1123により事業所別に集計された初期利用者人数と、の3種類である。
【0025】
介護の手間の大小別人数集計処理機能1124は、上述した3種類の初期利用者人数にそれぞれの人数に集計された利用者について、それぞれ介護の手間の大小を判断する、すなわち、各利用者の初期利用時における心身状態項目の各値を、選択肢分割閾値データ1118に予め設定された介護の手間の大小を判別する閾値と比較して、介護の手間の大小をそれぞれ判断する。そして、3種類の初期利用者人数に対する介護の手間の大きい又は小さい利用者の割合を、心身状態項目毎にそれぞれ求める。これらの処理の詳細は後述する。
【0026】
また、初期利用者人数集計部112は、複数項目の組合せ集計機能1125により、予め複数の心身状態項目毎に、認定調査項目の選択肢の値に応じた「高」「低」などの段階を設定し、これら複数の心身状態項目の段階の組み合わせによる複数の心身状態像のパターンを設定した心身状態パターンデータを用意しておく。そして、利用者の初期利用時における心身状態項目の各値が前記段階のいずれかを判定し、この利用者の段階の組み合わせを心身状態パターンデータと対比して、利用者の段階の組み合わせが、前記複数のパターンのどれに相当するかを判定する。その結果から、初期利用者人数に対する、各パターンに相当する利用者人数の割合をそれぞれ求める。
【0027】
このように初期利用者人数集計部112で処理されたそれぞれの結果が初期利用者人数集計データ12として出力される。
【0028】
以下、前述した各処理の詳細を説明する。
【0029】
先ず、
図2で示した初期利用年月集計機能1112の詳細を
図4で説明する。
図4において101aは、介護レセプトデータ101を時系列に表わしており、101bは表形式で表している。この介護レセプトデータ101は、事業所別、利用者別、サービス種類別、及び該当するサービス種類のサービス提供年月別にデータが存在する。これらは、表形式の介護レセプトデータ101bの各行と、時系列表示された介護レセプトデータ101aの各行及び黒丸で示される。
【0030】
初期利用年月集計機能1112は、この介護レセプトデータ101から、事業所別、利用者別、サービス種類別に、最もサービス提供年月が古いデータを抽出して、初期利用年月集計データ1116を作成する。初期利用年月集計データ1116は、サービス種類毎に利用者が事業所を最初に利用した年月のデータを持つ。
【0031】
次に、
図2で示した初期利用時心身状態集計機能1113の詳細を
図5で説明する。
図5では、要介護認定データ102についても、時系列の要介護認定データ102aと表形式の要介護認定データ102bとで表現している。この要介護認定データ102は、利用者、認定有効期間(開始)、認定有効期間(終了)、心身状態項目として要介護度、障害自立度、認知症自立度、麻痺、・・・についてのデータ項目がある。例えば、表形式の要介護認定データ102bの最下行のデータは、利用者:B、認定有効期間(開始):201304、認定有効期間(終了):201403の各データ、及び心身状態項目の各値として要介護度、障害自立度、認知症自立度、麻痺、・・・のそれぞれについてコード番号が記録されている。
【0032】
初期利用時心身状態集計機能1113は、前述の初期利用年月集計機能1112で作成した初期利用年月集計データ1116の各行について、要介護認定データ102と突合する。すなわち、利用者個人記号が一致し、事業所別利用者別サービス種類別初期利用年月が認定有効期間内である要介護認定データ(102bの実線枠)から、心身状態項目(102bの破線枠)を抽出し、初期利用年月集計データ(1116の破線枠)と突合して、初期利用時心身状態集計データ1117を作成する。
【0033】
ここで、要介護認定データ102の認定有効期間の重複について説明する。一人の利用者が要介護認定を受けた後、その認定有効期間が満了する前に変更申請をして、次の要介護認定を受けた場合、前の要介護認定の認定有効期間と次の要介護認定の認定有効期間が重複することになる。このため、前述した事業所別利用者別サービス種類別初期利用年月が認定有効期間内である要介護認定データから心身状態項目を抽出する際に、単一の要介護認定データを特定できなくなる。そのためデータベース10内の要介護認定データ102は重複を除外し、認定有効期間の最新期間のみを有効なデータとしている。
【0034】
次に、
図3で示した初期利用者人数集計部112の処理を説明する。この初期利用者人数集計部112の処理では、前述したように、先ず、3種類の初期利用者人数を求める。
【0035】
この3種類の初期利用者人数の1つ目である事業所別初期利用時のサービス種類別初期利用者人数集計機能1121を
図6で説明する。
図6(a)は、
図5で作成された初期利用時心身状態集計データ1117であり、同図(b)で示す初期利用者集計対象事業所データ1115に従って事業所01,02,03のデータが集計されている。
【0036】
図の例では事業所01の行に、利用者:A、サービス種類:15(通所介護)、事業所別利用者別サービス種類別初期利用年月:201304のデータ、及び身体状態項目の各値がそれぞれ記録されている。以下同様に、事業所02,03の行についても各列に対応するデータが記録されている。
【0037】
図6(c)は、同図(a)の各行に記録された事業所別のデータを時系列に表示して併記しており、予め指定した初期利用者チェック期間内に各利用者A,B,C,Dの初期利用年月が入っているかを判別している。
【0038】
事業所別初期利用時のサービス種類別初期利用者人数集計機能1121は、予め設定した指定集計条件により、
図6(a)(c)で示す初期利用時心身状態集計データ1117から、集計対象となるデータを抽出する。この指定集計条件は次のとおりである。
【0039】
・利用者が同一事業所において最初に利用したサービス種類が予め指定されたサービス種類であること。
【0040】
・その利用年月が初期利用者チェック期間内であること。
【0041】
この指定集計条件に従ってデータの抽出を行うために、まず、集計する初期利用者チェック期間とサービス種類を指定する。例では、初期利用者チェック期間として「2013年度(2013年4月〜2014年3月)」を指定し、サービス種類として「通所介護(15)」を指定している。
【0042】
次に、利用者が同一事業所において最初に利用したサービス種類が指定のサービス種類で、その利用年月が初期利用者チェック期間内であるデータを抽出する。
図6の例では、同図(a)(c)共に破線で囲んだデータが抽出対象となる。すなわち、事業所:01、利用者:A、指定されたサービス種類:15(通所介護)、事業所別利用者別サービス種類別初期利用年月:201304のデータが、集計対象となるデータとして抽出される。
【0043】
このようにして抽出されたデータに基づき事業所別初期利用時のサービス種類別初期利用者の人数を集計する。すなわち、利用者Aが同一事業所01において指定されたサービス種類15(通所介護)を最初に利用した年月201304のデータが抽出されるので、抽出されたデータの心身状態項目の値から、
図3で示した介護の手間の大小別人数集計処理1124により、介護の手間の大小をそれぞれ判別し、事業所別の人数を集計する。この集計処理の説明は
図9により後述する。
【0044】
次に、3種類の初期利用者人数の2つ目である事業所別利用したことがあるサービス種類別初期利用者人数集計機能1122を
図7で説明する。なお、
図7(a)(b)(c)で示す各データは、
図6(a)(b)(c)で示したデータと同じである。
【0045】
事業所別利用したことがあるサービス種類別初期利用者人数集計機能1122は、
図7(a)(c)で示す初期利用時心身状態集計データ1117から、予め設定した指定集計条件により、集計対象となるデータを抽出する。この指定集計条件は次のとおりである。
【0046】
・利用者が同一事業所において最初にサービスを利用した年月が初期利用者チェック期間内であること。
【0047】
・その利用者が同一事業所において利用した全サービス種類のいずれかが、指定のサービス種類であること。
【0048】
この指定集計条件に従ってデータの抽出を行うために、まず、集計する初期利用者チェック期間とサービス種類を指定する。例では、初期利用者チェック期間として「2013年度(2012年4月〜2014年3月)」を指定し、サービス種類として「通所介護(15)」を指定している。
【0049】
次に、利用者が同一事業所において最初にサービスを利用した年月が初期利用者チェック期間内で、その利用者が同一事業所において利用した全サービス種類の内いずれかが指定のサービス種類であるデータを抽出する。
図7の例では、同図(a)(c)共に破線で囲んだデータが抽出対象となる。すなわち、事業所:01、利用者:A、指定されたサービス種類:15(通所介護)、事業所別利用者別サービス種類別初期利用年月:201304のデータと、事業所:03、利用者:C、指定されたサービスチェック期間に受けた全サービス種類のいずれかが指定されたサービス種類:15(通所介護)であり、事業所別利用者別サービス種類別初期利用年月:201306のデータとが、集計対象となるデータとしてそれぞれ抽出される。
【0050】
このようにして抽出されたデータに基づき事業所別利用したことがあるサービス種類別初期利用者の人数を集計する。すなわち、利用者Aが同一事業所01において指定されたサービス種類15(通所介護)を最初に利用した年月201304のデータと、利用者Cが同一事業所03において指定されたサービス種類15(通所介護)を含むすべてのサービス種類のサービスを最初に利用した年月201306のデータとが抽出される。これら抽出されたデータを対象に、
図3で示した介護の手間の大小別人数集計処理1124により、その心身状態項目の値から、介護の手間の大小をそれぞれ判別し、事業所別の人数を集計する。この集計処理の説明は
図9により後述する。
【0051】
次に、3種類の初期利用者人数の3つ目である事業所別初期利用者人数集計機能1123を
図8で説明する。なお、
図8(a)(b)(c)で示す各データも、
図6(a)(b)(c)で示したと同じである。
【0052】
事業所別初期利用者人数の集計機能1123は、
図8(a)(c)で示す初期利用時心身状態集計データ1117から、予め設定した指定集計条件により集計対象となるデータを抽出する。この指定集計条件は次のとおりである。
【0053】
・利用者が同一事業所において最初にサービスを利用した年月が初期利用者チェック期間内であること。
【0054】
この指定集計条件に従ってデータの抽出を行うために、まず、集計する初期利用者チェック期間を指定する。例では、初期利用者チェック期間として「2013年度(2013年4月〜2014年3月)」を指定している。
【0055】
次に、利用者が同一事業所において最初にサービスを利用した年月が初期利用者チェック期間内であるデータを抽出する。
図8の例では、同図(a)(c)共に破線で囲んだデータが抽出対象となる。すなわち、事業所:01、利用者:A、事業所別利用者別サービス種類別初期利用年月:201304のデータと、事業所:02、利用者:B、事業所別利用者別サービス種類別初期利用年月:201305のデータと、事業所:03、利用者:C、事業所別利用者別サービス種類別初期利用年月:201306のデータとが、集計対象となるデータとしてそれぞれ抽出される。
【0056】
このようにして抽出されたデータに基づき事業所別初期利用者の人数を集計する。すなわち、利用者Aが同一事業所01においてサービスを最初に利用した年月201304のデータと、利用者Bが同一事業所02においてサービスを最初に利用した年月201305のデータと、利用者Cが同一事業所03においてサービスを最初に利用した年月201306のデータとが抽出されるので、これら抽出されたデータを対象に、
図3で示した介護の手間の大小別人数集計処理1124により、その心身状態項目の値から、介護の手間の大小をそれぞれ判別し、事業所別の人数を集計する。この集計処理の説明は
図9により後述する。
【0057】
次に、
図3で示した介護の手間の大小別人数集計処理機能1124の処理を、
図9を用いて説明する。この介護の手間の大小別人数集計処理機能1124は、上述した3種類の初期利用者の人数を、それぞれ心身状態項目別に、かつ介護の手間の大小別に集計するものである。
【0058】
ここで、「介護の手間の大小」とは、心身状態項目(認定調査項目)の選択肢を介護の手間の大小に注目して2分割したものである。この閾値は、例えば「要介護認定調査員テキスト2009改訂版」の調査項目選択肢の選択基準を参考に、介護の手間に基づき心身状態項目個々の閾値を決定し、選択肢分割閾値データ1118に
図9で示すように登録している。
図9の例では、要介護度の閾値はコード番号23(要介護3)であり。これ以上は介護の手間が大きいと設定する。以下、同様に、障害自立度の閾値はコード番号4、認知症自立度の閾値はコード番号3、麻痺の閾値はコード番号2(麻痺あり)であり、これらの閾値以上であれば、介護の手間が大きいと設定する。
【0059】
これらの閾値は、
図9で示すように、介護の手間の大小別人数集計処理機能1124の実行時に参照される。
図9において前述の初期利用時心身状態集計データ1117には、事業所別、利用者別心身状態項目の各値が記録されている、
図9の例では事業所77の利用者は、AA,BB,CCの3名であり、事業所99の利用者は、AA、DD,EE、FFの4名が登録されており、それらの心身状態項目の各値がそれぞれ記録されているものとする。
【0060】
介護の手間の大小別人数集計処理機能1124は、
図6、
図7、
図8で説明した3種類の初期利用者人数として集計した利用者を読出し、その心身状態項目の各値と選択肢分割閾値データ1118に登録された閾値とを比較する。そして、初期利用者心身状態が「大」に該当する利用者は介護の手間大の人数に、初期利用者心身状態が「小」に該当する利用者は介護の手間小の人数に集計する。集計結果は、事業所別に介護の手間の大小別に、初期利用者人数集計データ12に集計する。
【0061】
例えば、3種類の初期利用者人数の一つである事業所別初期利用時のサービス種類別初期利用者人数が、前述した事業所77の利用者は、AA,BB,CCの3名であり、事業所99の利用者は、AA、DD,EE、FFの4名であるとする。
【0062】
これら利用者の心身状態項目の要介護度についてみると、閾値23以上(介護の手間大)の利用者は、事業所77では利用者BBの1名であり、事業所99では利用者DD,EE,FFの3名である。この閾値以上の人数の、対応する事業所の初期利用者人数に対する比率(割合)を求める。事業所77の初期利用者は3名であり、事業所99の初期利用者4名であるので、要介護度については介護の手間大の比率は、事業所77では33%、事業所99では75%となる。
【0063】
他の心身状態項目についても同様の手法により閾値以上(介護の手間大)の利用者人数を特定し、事業所ごとに初期利用者人数に対する介護の手間大の初期利用者人数の比率(割合)を求める。
【0064】
図9の初期利用者人数集計データ12の例では、初期利用者における介護の手間大の人数の割合は、事業所77では比較的低く、事業所99では比較的高いことがわかる。したがって、事業所のサービスの質を評価する場合、事業所の初期利用者選定に偏りがあっても、上述した処理の結果、この偏りを的確に把握できるので、初期利用者の心身状態分布が類似する事業所をグループ化し、そのグループ毎にサービスの質の評価を行えば、的確かつ公平な評価を行うことができる。
【0065】
なお、上述の説明は3種類の初期利用者人数の一つである事業所別初期利用時のサービス種類別初期利用者人数を例にとって行ったが、他の初期利用者人数である事業所別利用したことがあるサービス種類別初期利用者の人数や、事業所別初期利用者人数についても同じ手法により各事業所における初期利用者の心身状態の分布を把握できるので、事業所間の初期利用者選定の偏りをそれぞれ把握できる。
【0066】
これら3種類の初期利用者人数について、どれを用いて各事業所における初期利用者の心身状態の分布を捉えるかは、各保険者(自治体)が適宜選択してもよく、或いは3種類の初期利用者人数それずれについて初期利用者の心身状態の分布を捉え、その結果を組み合わせて事業所間の初期利用者選定の偏りを把握するようにしてもよい。
【0067】
次に、初期利用者の疾病による、事業所の利用者選定の偏りについて考える。初期利用者が疾病を罹患している場合、その心身状態の改善維持効果には当然影響が出る。このため、初期利用者の疾病の有無及び疾病の種類についても捉え、これらについての事業所の初期利用者選定の偏りを把握しておくことが考えられる。
【0068】
この場合は、
図1で示したデータベース10が有する医療レセプトデータ103を用いる。すなわち、事前処理部111では、
図2で示した初期利用時心身状態集計機能1113が、
図2で示したように初期利用年月集計データ1116を用いて医療レセプトデータ103から初期利用時の疾病データを読出して突合し、初期利用者を病名で分類した初期利用時心身状態集計データ1117と同等の集計を行うことが可能である。
【0069】
ここで疾病分類は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、認知症、糖尿病、大腿部骨折等、ロコモティブシンドローム、その他疾患(呼吸器系疾患、消化器系疾患等)を想定している。
【0070】
このようにすれば、初期利用者の疾病の有無及び疾病の種類について捉え、これらについての事業所の初期利用者選定の偏りを把握することができる。
【0071】
次に、
図3で示した初期利用者人数集計部112における複数項目の組合せ状態像集計機能1125を
図10で説明する。
【0072】
複数項目の組合せ状態像集計機能1125は、
図10で示すように、認定調査項目の選択肢の値に応じて、これらの値を集約した段階(例えば、「高」「中」「低」「有」「無」等)を設定した認定調査項目選択肢の集計単位割り当てデータ1125aを有する。また、これら複数の心身状態項目の上述した段階を組み合わせた心身状態像パターンデータ1125bを有する。
【0073】
複数項目の組合せ状態像集計機能1125は、初期利用時心身状態集計データ1117から、事業所別に集計された初期利用者のデータが得られるので、これら初期利用者の初期利用時における心身状態項目の各値を集計単位割り当てデータ1125aと対比して、いずれの段階か判断する。そして、その判断結果の段階の組み合わせが、心身状態像パターンデータ1125bのどのパターンに該当するかを判断し、初期利用者の心身状態像パターンを決定する。そして、決定された初期利用者の心身状態像パターンごとに、初期利用者人数に対する人数の割合を事業所別にそれぞれ求め、初期利用者人数集計データとして出力する。
【0074】
ここで、前述の初期利用者の医療レセプトデータを利用した集計では、疾病(病名)による分類はできるが、疾病の進行状態(以降、ステージと呼ぶ)による分類はできない。ステージは時間とともに変化し、それに伴い心身状態も変わる。事業所が初期利用者を選定する際は、利用者の病名のみによらずステージによる選定が行われるため、疾病を病名のみで捉えるのは集計上十分ではなく、ステージによる集計を実施することが考えられる。
【0075】
上述した複数項目の組合せ状態像集計機能1125では、要介護認定調査項目「麻痺」「障害自立度」「認知症自立度」の選択肢の組合せパターンを、初期利用者のステージに伴う心身状態像として捉えることができる。すなわち、ステージと伴に変化する心身状態に注目し、要介護認定調査項目「麻痺」「障害自立度」「認知症自立度」の選択肢の組合せパターンを、初期利用者のステージに伴う心身状態像として、それぞれの人数を集計することができる。
【0076】
ただし各項目選択肢の組合せパターンはおよそ二千通りあり、そのままでは結果から傾向や課題を読み取るのが困難であるため、各項目選択肢を下記の集計単位に割り当て、12種類の心身状態像パターンの人数集計を行うこととする。
【0077】
<集計単位割り当てデータ1125aにおける集計単位>
障害自立度[高]: 自立、J1、J2、A1、A2を自立度「高」とする。
【0078】
障害自立度[低]: B1、B2、C1、C2を自立度「低」とする。
【0079】
認知症自立度[高]: 自立、I、IIa、IIbを自立度「高」とする。
【0080】
認知症自立度[中]: IIIa、IIIb、IVを自立度「中」とする。
【0081】
認知症自立度[低]: Mを自立度「低」とする。
【0083】
麻痺[有]: どこか1つでも麻痺がある場合。
【0084】
<心身状態像12パターン>
心身状態像1 : 障害自立度[高]:認知症自立度[高]:麻痺[無]
心身状態像2 : 障害自立度[高]:認知症自立度[高]:麻痺[有]
心身状態像3 : 障害自立度[高]:認知症自立度[中]:麻痺[無]
心身状態像4 : 障害自立度[高]:認知症自立度[中]:麻痺[有]
心身状態像5 : 障害自立度[高]:認知症自立度[低]:麻痺[無]
心身状態像6 : 障害自立度[高]:認知症自立度[低]:麻痺[有]
心身状態像7 : 障害自立度[低]:認知症自立度[高]:麻痺[無]
心身状態像8 : 障害自立度[低]:認知症自立度[高]:麻痺[有]
心身状態像9 : 障害自立度[低]:認知症自立度[中]:麻痺[無]
心身状態像10 : 障害自立度[低]:認知症自立度[中]:麻痺[有]
心身状態像11 : 障害自立度[低]:認知症自立度[低]:麻痺[無]
心身状態像12 : 障害自立度[低]:認知症自立度[低]:麻痺[有]
例えば、
図10の初期利用時心身状態集計データ1117の集計結果を示す初期利用者人数集計データ12の「心身状態像1」列は、障害自立度[高]:認知症自立度[高]:麻痺[無]の人数を示しており、事業所77の人数は初期利用時心身状態集計データ1117の(1)と(3)が該当するため2人であり、初期利用者人数3人に対する比率(割合)は67%となる。以下同様に、「心身状態像2」〜「心身状態像12」についても該当人数と比率が求められる。
【0085】
このようにすれば、事業所別に初期利用者の心身状態像の分布を捉えることができ、この面からも事業所間の初期利用者選定の偏りを把握できる。
【0086】
以上の初期利用者集計の説明は、サービス種類に注目した集計の説明となっているが、介護レセプトデータ101には、サービス種類を更に細分化したサービス項目までのデータが含まれており、上述した説明の「サービス種類」を「サービス種類×サービス項目」として集計を行うことにより、更に詳細な集計結果を得られる。たとえば「ある期間に訪問介護サービスの処遇改善加算をしている事業所」を集計することが可能である。サービス項目までを集計対象とする場合は、
図4から
図10の符号101b、1116,1117のサービス種類列の右側にサービス項目列を追加する(
図9と
図10におけるサービス種類列は…で表記している)。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。