特許第6903526号(P6903526)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6903526印刷制御装置、印刷制御方法、および印刷制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903526
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】印刷制御装置、印刷制御方法、および印刷制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20210701BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   G06F3/12 350
   B41J5/30 Z
   G06F3/12 319
   G06F3/12 351
   G06F3/12 343
   G06F3/12 364
【請求項の数】16
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-171628(P2017-171628)
(22)【出願日】2017年9月6日
(65)【公開番号】特開2019-46395(P2019-46395A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121348
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 健児
(74)【代理人】
【識別番号】100114247
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 邦廣
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智洋
(72)【発明者】
【氏名】小野川 善彦
【審査官】 豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−334657(JP,A)
【文献】 特開2004−302136(JP,A)
【文献】 特開2015−185053(JP,A)
【文献】 特開2004−070262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製本のための印刷ジョブにおける入稿データを受け取り、印刷機に与えるべき印刷データを前記入稿データに基づき生成する印刷制御装置であって、
製本に使用される折丁となるべき印刷シートに面付けされる各ページの配置位置および向きと当該印刷シートのシート長を示す面付けテンプレート情報を、面付けされるページ数の異なる2種類以上の印刷シートにつき格納しているテンプレート記憶部と、
前記2種類以上の印刷シートにそれぞれ面付けされるページ数として前記面付けテンプレート情報により示されるページ数に基づき、各種類の印刷シートに面付けされるページ数と当該種類の印刷シートの枚数との積の総和が前記入稿データの総ページ数以上であって当該総和と当該総ページ数との差が前記2種類以上の印刷シートにそれぞれ面付けされるページ数の最小値よりも小さくなるように、各種類の印刷シートの枚数を決定するシート数決定部と、
前記テンプレート記憶部に格納されている面付けテンプレート情報および前記シート数決定部により決定される各種類の印刷シートの枚数に基づき、前記入稿データの全てのページの面付けレイアウトを特定する全体面付け情報を生成する全体面付け情報決定部と、
前記入稿データおよび前記全体面付け情報に基づき前記印刷データを生成する印刷データ生成部とを備える、印刷制御装置。
【請求項2】
前記シート数決定部は、前記面付けテンプレート情報により示される前記ページ数およびユーザの入力操作に基づき各種類の印刷シートの枚数を決定する、請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記テンプレート記憶部は、第1および第2の印刷シートからなる2種類の印刷シートのそれぞれについての面付けテンプレート情報を格納している、請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記全体面付け情報決定部は、前記入稿データにおける最初のページおよび最後のページがそれぞれ面付けされる印刷シートの少なくとも一方が、前記第1および第2の印刷シートのうち面付けされるページ数の多い方であるように、前記全体面付け情報を生成する、請求項3に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記全体面付け情報決定部は、前記入稿データにおける最初のページおよび最後のページがそれぞれ面付けされる印刷シートが、いずれも、前記第1および第2の印刷シートのうち面付けされるページ数の多い方であるように、前記全体面付け情報を生成する、請求項3に記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記シート数決定部は、前記第1の印刷シートに面付けされるページ数と前記第1の印刷シートの枚数との積および前記第2の印刷シートに面付けされるページ数と前記第2の印刷シートの枚数との積の和が前記総ページ数に等しくなるように、前記第1および第2の印刷シートの枚数を決定する、請求項3に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記第1および第2の印刷シートのそれぞれに面付けされるページ数は4の倍数であり、前記第1の印刷シートに面付けされるページ数と前記第2の印刷シートに面付けされるページ数との差は4であり、
前記シート数決定部は、前記総ページ数が4の倍数である場合に、前記第1の印刷シートに面付けされるページ数と前記第1の印刷シートの枚数との積および前記第2の印刷シートに面付けされるページ数との積の和が前記総ページ数に等しくなるように、前記第1および第2の印刷シートの枚数を決定する、請求項3に記載の印刷制御装置。
【請求項8】
前記シート数決定部は、前記和が前記総ページ数に等しいという条件の下で、前記第1および第2の印刷シートのうち面付けされるページ数が多い方の印刷シートの枚数が最大となるように、前記第1および第2の印刷シートの枚数を決定する、請求項7に記載の印刷制御装置。
【請求項9】
前記印刷機は、前記印刷データにしたがって連続的な記録媒体に印刷を行うバリアブル印刷機であり、
前記印刷データ生成部は、前記記録媒体を前記全体面付け情報に基づき前記2種類以上の印刷シートに対応するサイズに裁断するための裁断位置を示す情報が含まれるように前記印刷データを生成する、請求項1から8のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項10】
前記印刷機は、前記2種類以上の印刷シートをそれぞれ保持する2つ以上の給紙ユニットとを備え、前記印刷データにしたがって前記2種類以上の印刷シートに印刷されるように前記2つ以上の給紙ユニットが切り換え可能に構成されたバリアブル印刷機である、請求項1から8のいずれか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項11】
製本のための印刷ジョブにおける入稿データを受け取り、印刷機に与えるべき印刷データを前記入稿データに基づき生成するために印刷制御装置によって実行される印刷制御方法であって、
製本に使用される折丁となるべき印刷シートに面付けされる各ページの配置位置および向きと当該印刷シートのシート長を示す面付けテンプレート情報を、面付けされるページ数の異なる2種類以上の印刷シートにつきテンプレート記憶部に格納するテンプレート格納ステップと、
前記2種類以上の印刷シートにそれぞれ面付けされるページ数として前記面付けテンプレート情報により示されるページ数に基づき、各種類の印刷シートに面付けされるページ数と当該種類の印刷シートの枚数との積の総和が前記入稿データの総ページ数以上であって当該総和と当該総ページ数との差が前記2種類以上の印刷シートにそれぞれ面付けされるページ数の最小値よりも小さくなるように、各種類の印刷シートの枚数を決定するシート数決定ステップと、
前記テンプレート記憶部に格納されている面付けテンプレート情報および前記シート数決定ステップにより決定される各種類の印刷シートの枚数に基づき、前記入稿データの全てのページの面付けレイアウトを特定する全体面付け情報を生成する全体面付け情報決定ステップと、
前記入稿データおよび前記全体面付け情報に基づき前記印刷データを生成する印刷データ生成ステップとを備える、印刷制御方法。
【請求項12】
前記テンプレート格納ステップでは、第1および第2の印刷シートからなる2種類の印刷シートのそれぞれについての面付けテンプレート情報が前記テンプレート記憶部に格納される、請求項11に記載の印刷制御方法。
【請求項13】
前記全体面付け情報決定ステップでは、前記入稿データにおける最初のページおよび最後のページがそれぞれ面付けされる印刷シートが、いずれも、前記第1および第2の印刷シートのうち面付けされるページ数の多い方であるように、前記全体面付け情報が生成される、請求項12に記載の印刷制御方法。
【請求項14】
前記シート数決定ステップでは、前記第1の印刷シートに面付けされるページ数と前記第1の印刷シートの枚数との積および前記第2の印刷シートに面付けされるページ数と前記第2の印刷シートの枚数との積の和が前記総ページ数に等しくなるように、前記第1および第2の印刷シートの枚数が決定される、請求項12に記載の印刷制御方法。
【請求項15】
前記第1および第2の印刷シートのそれぞれに面付けされるページ数は4の倍数であり、前記第1の印刷シートに面付けされるページ数と前記第2の印刷シートに面付けされるページ数との差は4であり、
前記シート数決定ステップでは、前記総ページ数が4の倍数である場合に、前記第1の印刷シートに面付けされるページ数と前記第1の印刷シートの枚数との積および前記第2の印刷シートに面付けされるページ数との積の和が前記総ページ数に等しくなるように、前記第1および第2の印刷シートの枚数が決定される、請求項12に記載の印刷制御方法。
【請求項16】
印刷制御装置としてのコンピュータに請求項11から15のいずれか1項に記載の印刷制御方法を実行させる印刷制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製本に使用される折丁を作成するための印刷を制御する印刷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製本処理では、1枚の用紙に複数のページが印刷され、印刷された用紙を折ることにより、本の中身を構成する単位としての折丁が作成される。このような折丁が複数順に重ねられた後に綴じられ、さらに裁断等が行われて製本物が完成する。
【0003】
折丁の作成において、1つの折丁とすべき用紙(以下「印刷シート」という)に印刷されるページ数を多くすると、その印刷後の用紙(以下これも「印刷シート」という)は、それを折ることにより紙束に加工されるので、1つの折丁の重量が増え、その結果、印刷シートが飛ばされ難くなって後加工(綴じ加工や裁断加工等)の作業性が向上する。また、1枚の印刷シートに含まれるページ数が多くなると、製本物の強度が向上する。このため、例えばロール紙に印刷を行う印刷装置で折丁を作成するための印刷を行う場合には、印刷後にロール紙をカットするときの間隔を大きな値に設定することで1枚の印刷シートのサイズを長くするのが一般的である。
【0004】
本願で開示される印刷制御装置に関連して、特許文献1には、折丁となる印刷シートに対して印刷を行う際に、製本物の各ページに対応する印刷シート中の領域の位置、および、印刷シート中の当該ページの向きを示す面付け情報を生成する面付け情報生成装置が記載されている。この面付け情報生成装置では、印刷シートの折り方を示す折りテンプレート情報が予め準備されており、これにより面付け情報の生成を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−70449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来、1つの印刷ジョブ(1つの製本物)に対して印刷シートのサイズ(以下「シート長」)として1つの値が設定されており、この値を大きくしてシート長を長くすると、すなわち1枚の印刷シートに含まれるページ数を増やすと、印刷シートに空白のページが生じ易くなる。例えば、1枚の印刷シートに12ページが含まれるようにシート長を設定した場合、総ページ数が160ページの製本物を構成する14の折丁とすべき14枚の印刷シートに対し印刷を行うと、14枚目の印刷シートにおいて4ページ分(両面印刷の8ページに相当)の空白ページが生じ、損紙が発生することになる。
【0007】
これに対し、1枚の印刷シートに8ページが含まれるようにシート長を設定すると、総ページ数が160ページの製本物を作製する場合には20枚の印刷シートに対して印刷が行われることになり、空白ページは生じず損紙は発生しない。
【0008】
しかし、損紙の発生を回避すべくシート長を小さい値に設定することで1枚の印刷シートにおけるページ数を減らす場合には、印刷シートにおける各ページの位置および方向等を示す面付けレイアウトを再設計することが必要となる。また、シート長が小さい値に設定されると、印刷後の各印刷シートに折り加工を施すことにより得られる紙束の重量が軽くなり、その結果、飛ばされ易くなって後加工の作業性が低下する。
【0009】
また、1つの印刷ジョブ(1つの製本物)のページ数は一意に決まっておらず、印刷ジョブのページ数に応じて、損紙の発生を回避すべく、面付けレイアウトの選択または再設計をすることが必要となる。
【0010】
そこで本発明は、製本のための印刷において折丁とすべき印刷シートのサイズを短くすることなく損紙の発生を抑制できる印刷制御装置および印刷制御方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の局面は、製本のための印刷ジョブにおける入稿データを受け取り、印刷機に与えるべき印刷データを前記入稿データに基づき生成する印刷制御装置であって、
製本に使用される折丁となるべき印刷シートに面付けされる各ページの配置位置および向きと当該印刷シートのシート長を示す面付けテンプレート情報を、面付けされるページ数の異なる2種類以上の印刷シートにつき格納しているテンプレート記憶部と、
前記2種類以上の印刷シートにそれぞれ面付けされるページ数として前記面付けテンプレート情報により示されるページ数に基づき、各種類の印刷シートに面付けされるページ数と当該種類の印刷シートの枚数との積の総和が前記入稿データの総ページ数以上であって当該総和と当該総ページ数との差が前記2種類以上の印刷シートにそれぞれ面付けされるページ数の最小値よりも小さくなるように、各種類の印刷シートの枚数を決定するシート数決定部と、
前記テンプレート記憶部に格納されている面付けテンプレート情報および前記シート数決定部により決定される各種類の印刷シートの枚数に基づき、前記入稿データの全てのページの面付けレイアウトを特定する全体面付け情報を生成する全体面付け情報決定部と、
前記入稿データおよび前記全体面付け情報に基づき前記印刷データを生成する印刷データ生成部とを備える。
【0012】
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面において、
前記シート数決定部は、前記面付けテンプレート情報により示される前記ページ数およびユーザの入力操作に基づき各種類の印刷シートの枚数を決定する。
【0013】
本発明の第3の局面は、本発明の第1の局面において、
前記テンプレート記憶部は、第1および第2の印刷シートからなる2種類の印刷シートのそれぞれについての面付けテンプレート情報を格納している。
【0014】
本発明の第4の局面は、本発明の第3の局面において、
前記全体面付け情報決定部は、前記入稿データにおける最初のページおよび最後のページがそれぞれ面付けされる印刷シートの少なくとも一方が、前記第1および第2の印刷シートのうち面付けされるページ数の多い方であるように、前記全体面付け情報を生成する。
【0015】
本発明の第5の局面は、本発明の第3の局面において、
前記全体面付け情報決定部は、前記入稿データにおける最初のページおよび最後のページがそれぞれ面付けされる印刷シートが、いずれも、前記第1および第2の印刷シートのうち面付けされるページ数の多い方であるように、前記全体面付け情報を生成する。
【0016】
本発明の第6の局面は、本発明の第3の局面において、
前記シート数決定部は、前記第1の印刷シートに面付けされるページ数と前記第1の印刷シートの枚数との積および前記第2の印刷シートに面付けされるページ数と前記第2の印刷シートの枚数との積の和が前記総ページ数に等しくなるように、前記第1および第2の印刷シートの枚数を決定する。
【0017】
本発明の第7の局面は、本発明の第3の局面において、
前記第1および第2の印刷シートのそれぞれに面付けされるページ数は4の倍数であり、前記第1の印刷シートに面付けされるページ数と前記第2の印刷シートに面付けされるページ数との差は4であり、
前記シート数決定部は、前記総ページ数が4の倍数である場合に、前記第1の印刷シートに面付けされるページ数と前記第1の印刷シートの枚数との積および前記第2の印刷シートに面付けされるページ数との積の和が前記総ページ数に等しくなるように、前記第1および第2の印刷シートの枚数を決定する。
【0018】
本発明の第8の局面は、本発明の第7の局面において、
前記シート数決定部は、前記和が前記総ページ数に等しいという条件の下で、前記第1および第2の印刷シートのうち面付けされるページ数が多い方の印刷シートの枚数が最大となるように、前記第1および第2の印刷シートの枚数を決定する。
【0019】
本発明の第9の局面は、本発明の第1から第8の局面のいずれかにおいて、
前記印刷機は、前記印刷データにしたがって連続的な記録媒体に印刷を行うバリアブル印刷機であり、
前記印刷データ生成部は、前記記録媒体を前記全体面付け情報に基づき前記2種類以上の印刷シートに対応するサイズに裁断するための裁断位置を示す情報が含まれるように前記印刷データを生成する。
【0020】
本発明の第10の局面は、本発明の第1から第8の局面のいずれかにおいて、
前記印刷機は、前記2種類以上の印刷シートをそれぞれ保持する2つ以上の給紙ユニットとを備え、前記印刷データにしたがって前記2種類以上の印刷シートに印刷されるように前記2つ以上の給紙ユニットが切り換え可能に構成されたバリアブル印刷機である。なお、本発明の第1から第8の局面のいずれかにおいて、前記印刷機は、前記印刷データにしたがって前記2種類以上の印刷シートを連続的にロール紙に印刷を行うバリアブル印刷機であってもよい。
【0021】
本発明の第11の局面は、製本のための印刷ジョブにおける入稿データを受け取り、印刷機に与えるべき印刷データを前記入稿データに基づき生成するために印刷制御装置によって実行される印刷制御方法であって、
製本に使用される折丁となるべき印刷シートに面付けされる各ページの配置位置および向きと当該印刷シートのシート長を示す面付けテンプレート情報を、面付けされるページ数の異なる2種類以上の印刷シートにつきテンプレート記憶部に格納するテンプレート格納ステップと、
前記2種類以上の印刷シートにそれぞれ面付けされるページ数として前記面付けテンプレート情報により示されるページ数に基づき、各種類の印刷シートに面付けされるページ数と当該種類の印刷シートの枚数との積の総和が前記入稿データの総ページ数以上であって当該総和と当該総ページ数との差が前記2種類以上の印刷シートにそれぞれ面付けされるページ数の最小値よりも小さくなるように、各種類の印刷シートの枚数を決定するシート数決定ステップと、
前記テンプレート記憶部に格納されている面付けテンプレート情報および前記シート数決定ステップにより決定される各種類の印刷シートの枚数に基づき、前記入稿データの全てのページの面付けレイアウトを特定する全体面付け情報を生成する全体面付け情報決定ステップと、
前記入稿データおよび前記全体面付け情報に基づき前記印刷データを生成する印刷データ生成ステップとを備える。
【0022】
本発明の第12の局面は、印刷制御装置としてのコンピュータに本発明の第11の局面に係る印刷制御方法を実行させるプログラムである。

【0023】
本発明の他の局面は、本発明の上記局面ならびに後述の実施形態およびその変形例に関する説明から明らかであるので、その説明を省略する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1の局面によれば、製本に使用される折丁となるべき印刷シートにおける面付けパターン(面付けされる各ページの配置位置および向きと当該印刷シートのシート長)を示す面付けテンプレート情報が、面付けされるページ数の異なる2種類以上の印刷シートにつきテンプレート記憶部に格納されており、このような面付けテンプレート情報により示されるページ数に基づき、各種類の印刷シートに面付けされるページ数と当該種類の印刷シートの枚数との積の総和が入稿データの総ページ数以上であって当該総和と当該総ページ数との差が上記2種類以上の印刷シートにそれぞれ面付けされるページ数の最小値よりも小さくなるように、各種類の印刷シートの枚数が決定される。このようにして決定される各種類の印刷シートの枚数と上記面付けテンプレート情報に基づき全体面付け情報が生成され、この全体面付け情報と入稿データに基づき、印刷機に与えるべき印刷データが生成される。このように、面付けページ数の異なる2種類以上の印刷シートすなわちシート長の異なる2種類以上の印刷シートについての面付けテンプレート情報を使用して全体面付けが決定されるので、印刷シートのシート長を長くしつつ損紙の発生を抑制または低減することができる。
【0025】
本発明の第2の局面によれば、テンプレート記憶部に格納されている面付けテンプレート情報により示されるページ数のみならずユーザの入力操作にも基づいて各種類の印刷シートの枚数が決定されるので、作成すべき製本物等の個別事情に応じてよりユーザの意図に沿うように各種類の印刷シートの使用枚数を決定することができる。
【0026】
本発明の第3の局面によれば、テンプレート記憶部に格納されている第1および第2の印刷シートからなる2種類の印刷シートのそれぞれについての面付けテンプレート情報を用いて全体面付け情報が生成され、この全体面付け情報と入稿データに基づき印刷データが生成されることで、本発明の第1の局面と同様の効果が得られる。
【0027】
本発明の第4の局面によれば、入稿データにおける最初のページおよび最後のページがそれぞれ面付けされる印刷シートの少なくとも一方が、第1および第2の印刷シートのうち面付けされるページ数の多い方であるので、第1および第2の印刷シートのうちシート長が長い方の印刷シートが全体面付けにおける先頭と末尾の少なくも一方に配置される。これにより、作成される製本物の強度が向上する。
【0028】
本発明の第5の局面によれば、入稿データにおける最初のページおよび最後のページがそれぞれ面付けされる印刷シートは、いずれも、第1および第2の印刷シートのうち面付けされるページ数の多い方であるので、第1および第2の印刷シートのうち、短い方の印刷シートが長い方の印刷シートで挟まれるように全体面付けが決定される。これにより、作成される製本物の強度が更に向上する。
【0029】
本発明の第6の局面によれば、第1の印刷シートに面付けされるページ数と第1の印刷シートの枚数との積および第2の印刷シートに面付けされるページ数と第2の印刷シートの枚数との積の和が入稿データの総ページ数に等しくなるように第1および第2の印刷シートの枚数が決定される。これにより、折丁とすべき印刷シートのサイズを短くすることなく損紙の発生を解消することができる。
【0030】
本発明の第7の局面によれば、第1および第2の印刷シートのそれぞれに面付けされるページ数が4の倍数であり、第1の印刷シートに面付けされるページ数と第2の印刷シートに面付けされるページ数との差が4であることから、入稿データの総ページ数が4の倍数である場合に、折丁とすべき印刷シートのサイズを短くすることなく(また印刷シートのサイズを長くしつつ)、損紙の発生を確実に解消することができる。この場合、損紙の発生しない全体面付けを自動的に決定することができるので、全体面付けの設計の手間を省けるという効果も得られる。
【0031】
本発明の第8の局面によれば、損紙の発生を解消しつつ、第1および第2の印刷シートのうち面付けされるページ数が多い方の印刷シートの枚数が最大となるように、第1および第2の印刷シートの枚数が決定される。これにより、本発明の第7の局面と同様の効果を得つつ、後工程処理での作業効率が更に向上し、作成される製本物の強度が更に高まる。
【0032】
本発明の第9の局面によれば、連続的な記録媒体を全体面付け情報に基づき2種類以上の印刷シートに対応するサイズに裁断するための裁断位置を示す情報が印刷データに含まれているので、後工程において、印刷済みの連続的な記録媒体を当該2種類以上の印刷シートに対応するサイズに裁断する処理を正確に行うことができる。
【0033】
本発明の第10の局面によれば、テンプレート記憶部に格納されている面付けテンプレート情報に対応する2種類以上の印刷シートをそれぞれ保持する2つ以上の給紙ユニットとが印刷機に設けられており、当該面付けテンプレート情報を用いて生成された全体面付け情報に基づく印刷データにしたがって当該2種類以上の印刷シートに印刷されるように、当該2つ以上の給紙ユニットが切り換えられる。これにより、カット紙に印刷する印刷機を対象とする場合においても、本発明の第1から第8の局面と同様の効果が得られる。
【0034】
本発明の他の局面の効果については、本発明の上記局面の効果ならびに下記実施形態およびその変形例の効果についての説明から明らかであるので、説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態に係る印刷制御装置としての実行管理コンピュータを備える印刷システムを用いて製本物を作成するための全体システムの構成例を示す図である。
図2】上記印刷システムにおけるインクジェット印刷装置の一構成例を示す模式図である。
図3】上記実施形態に係る印刷制御装置としての実行管理コンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】上記実施形態に係る印刷制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
図5】上記実施形態における面付け情報生成部の第1の構成例(A)および第2の構成例(B)を示すブロック図である。
図6】上記実施形態における面付けテンプレート生成処理を示すフローチャートである。
図7】上記実施形態における入力受付け処理を示すフローチャートである。
図8】上記実施形態におけるジョブ処理を示すフローチャートである。
図9】上記実施形態に係る印刷制御装置により制御される印刷機における印刷処理を示すフローチャートである。
図10】上記印刷処理により得られる印刷物に対する後加工処理を示すフローチャートである。
図11】従来の印刷制御装置を用いて製本物を作成する場合の問題を説明するための図である。
図12】本実施形態の効果を説明するための図である。
図13】上記実施形態に係る印刷制御装置により制御される印刷機の別例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の各実施形態について説明する。
<1.実施形態>
<1.1 製本物を作成するための全システムの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷制御装置を備える印刷システムを用いて製本物を作成するための全体システムの構成例を示すブロック図である。この構成例では、受付管理コンピュータ5と、実行管理コンピュータ10と、印刷機20と、カッタ装置32および折り装置34等を含む後加工機30とがLAN(Local Area Network)等のネットワーク3によって通信可能に接続されている。なお、図1に示す接続態様は例示である。図1に示す接続態様では、実行管理コンピュータ10がネットワーク3を介して印刷機20に接続され、後述のように印刷制御装置として機能するが、これに代えて、印刷制御装置としてのコンピュータに専用の通信ケーブルを介して印刷機20が接続され、当該コンピュータがネットワーク3を介して受付管理コンピュータ等に通信可能に接続される構成であってもよい。
【0037】
受付管理コンピュータ5は、本全体システムの外部からの印刷の依頼を管理しており、依頼された印刷の内容を表すデータや依頼情報等を保持する。
【0038】
実行管理コンピュータ10は、印刷機20での印刷の実行、および、後加工機30での後加工処理(カッタ装置32での用紙のカットや、折り装置34での折り加工)の実行を管理し、印刷機20での印刷の実行においては印刷制御装置として機能する。この印刷制御装置としての実行管理コンピュータ10と印刷機20とにより印刷システムが構成される。
【0039】
印刷機20は、連続紙としてのロール紙にインクジェット方式で印刷を行う。印刷機20のようにロール紙を使用する印刷機では、搬送方向において様々なシート長の印刷シートを容易に設定することが可能である。図2は、このようなインクジェット印刷装置としての印刷機20の一構成例を示す模式図である。この印刷機20は、ネットワーク3を介して印刷制御装置としての実行管理コンピュータ10に接続されており、基材である印刷用紙(ロール紙)22を供給する用紙送出部21と、印刷用紙22を印刷機構内部へと搬送するための第1の駆動ローラ23と、印刷機構内部で印刷用紙22を搬送するための複数個の支持ローラ24と、印刷用紙22にインクを吐出して印刷を行う印字部25と、印刷用紙22を印刷機構内部から出力するための第2の駆動ローラ28と、印刷後の印刷用紙22を巻き取る用紙巻取部29とを備えている。このように第1の駆動ローラ23と用紙巻取部29とにより印刷用紙22は用紙送出部21から用紙巻取部29に向けて一定の搬送方向で搬送される。印字部25には、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),およびK(ブラック)のインクをそれぞれ吐出するC用インクジェットヘッド25c,M用インクジェットヘッド25m,Y用インクジェットヘッド25y,およびK用インクジェットヘッド25kが含まれている。なお、印刷機構内部には、各インクジェットヘッド25c,25m,25y,および25kに供給するためのインクを溜めておくインクタンク(不図示)も設けられている。
【0040】
印刷制御装置としての実行管理コンピュータ10は、以上のような構成の印刷機20の動作を制御する。実行管理コンピュータ10に印刷出力の指示コマンドが与えられると、実行管理コンピュータ10は、印刷用紙22が用紙送出部21から用紙巻取部29へと搬送されるよう、印刷機20の動作を制御する。そして、印刷用紙22の搬送過程において、まず印字部25内の各インクジェットヘッド25c,25m,25y,および25kからのインクの吐出による印字が行われる。
【0041】
<1.2 印刷制御装置の構成および動作>
図3は、実行管理コンピュータ10のハードウェア構成を示すブロック図である。実行管理コンピュータ10は、そのCPUが実行するプログラムを切り替えることにより、種々の機器(図1に示した例では、印刷機20、カッタ装置32、折り装置34等)の実行を管理する制御装置として機能する。なお、受付管理コンピュータ5ついても、図3に示すハードウェア構成を有するコンピュータを使用することができる。
【0042】
図3に示すように実行管理コンピュータ10は、本体11、補助記憶装置12、光ディスクドライブ13、表示装置14、キーボード15、およびマウス16などを備えている。本体11は、CPU111、メモリ112、第1ディスクインタフェース部113、第2ディスクインタフェース部114、表示制御部115、入力インタフェース部116、ネットワークインタフェース部117、および出力インタフェース部118を含んでいる。CPU111、メモリ112、第1ディスクインタフェース部113、第2ディスクインタフェース部114、表示制御部115、入力インタフェース部116、ネットワークインタフェース部117、および出力インタフェース部118は、システムバスを介して互いに接続されている。第1ディスクインタフェース部113には補助記憶装置12が接続されている。第2ディスクインタフェース部114には光ディスクドライブ13が接続されている。表示制御部115には、表示装置14が接続されている。入力インタフェース部116には、キーボード15およびマウス16が接続されている。ネットワークインタフェース部117にはネットワーク3が接続されている。出力インタフェース部118には、通信ケーブルを介して印刷機20が接続されている。補助記憶装置12は磁気ディスク装置などである。光ディスクドライブ13には、DVD(Digital Versatile Disc)またはCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体としての光ディスク17が挿入される。表示装置14は液晶ディスプレイなどである。表示装置14は、オペレータが所望する情報を表示するために使用される。キーボード15およびマウス16は、実行管理コンピュータ10に対してオペレータが指示を入力するために使用される。
【0043】
補助記憶装置12には、実行管理コンピュータ10が対象とする装置による処理の実行を管理するための制御プログラム18が格納されている。以下では、説明の便宜上、印刷機20による印刷処理の実行を管理するための制御プログラム(以下「印刷制御プログラム」という)18が補助記憶装置に格納されているものとする。CPU111は、補助記憶装置12に格納された印刷制御プログラム18をメモリ112において実行することにより、印刷制御装置の各種機能を実現する。メモリ112は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を含んでいる。メモリ112は、補助記憶装置12に格納された印刷制御プログラム18をCPU111が実行するためのワークエリアとして機能する。なお、印刷制御プログラム18は、例えば上記DVD等の光ディスクに格納されて提供される。すなわち、ユーザは、印刷制御プログラム18の記録媒体としての光ディスク等を購入して光ディスクドライブ13に挿入し、光ディスク17から印刷制御プログラム18を読み出して補助記憶装置12にインストールする。また、これに代えて、ネットワーク3を介して送信される印刷制御プログラム18を受信して、補助記憶装置12にインストールするようにしてもよい。
【0044】
本実施形態に係る印刷制御装置は、上記のような構成の実行管理コンピュータ10においてCPU111が印刷制御プログラム18を実行することによりソフトウェア的に実現される。図4は、この印刷制御装置(実行管理コンピュータと同じ参照符号“10”で示す)の機能的構成を示すブロック図である。図4に示すようにこの印刷制御装置10は、機能的には、入力受付部120とジョブ処理部140とテンプレート記憶部160とを備えている。
【0045】
入力受付部120は、印刷対象(作成すべき製本物に印刷すべき内容)を表す入稿データDdを受付管理コンピュータ5から受け取り、保持している。入稿データDdは、印刷対象を表す複数のページデータを含む。入力受付部120は、入稿データDdからページデータDpgを取り出すとともに、入稿データDdのページ数(以下、後述の印刷シートにおけるページ数と区別するために「総ページ数」という)Npgを求める。これらのページデータDpgおよび総ページ数Npgは、ジョブ処理部140に入力される。
【0046】
テンプレート記憶部160は、1つの印刷シートに面付けすべき各ページの位置および向き等を示す面付けパターンが、製本物の作成に使用される折丁となるべき2種類以上の印刷シートにつき、面付け情報Dflykおよびシート長Sizk(印刷シートの搬送方向における長さ)として保存されている(k=1,2,…)。製本物の作成のための従来の1つの印刷ジョブでは、1種類の印刷シート(同一サイズの印刷シート、すなわち、面付けされるべきページ数が同一の印刷シート)のみが使用されるが、本実施形態における1つの印刷ジョブでは、2種類以上の印刷シートが使用される。例えば、面付けされるべきページ数(以下「面付けページ数」という)が16ページである第1の印刷シートと、面付けページ数が12ページである第2の印刷シートとからなる2種類の印刷シートが使用される。このような2種類以上の印刷シートの面付けパターンを示す面付け情報Dflykおよびシート長Sizk(k=1,2,…)からなるデータ(以下「シート内面付け情報」という)Dtpは、予め、後述の面付けテンプレート生成処理により生成される(図6参照)。
【0047】
ジョブ処理部140は、図4に示すように、面付け情報生成部142と、ラスタライズ処理部144と、印刷実行指示部146とを含む。面付け情報生成部142は、入力受付部120から入稿データDdの総ページ数Npgを受け取るとともに、その入稿データDdに対応する印刷ジョブで使用すべき2種類以上の印刷シートの面付け情報Dflykおよびシート長Sizkを面付けテンプレート情報Dtpkとしてテンプレート記憶部160から読み込み、これら総ページ数Npgおよび当該2種類以上の面付けテンプレート情報Dtpk(面付け情報Dflykおよびシート長Sizk)に基づき、入稿データDdの全ページの面付けレイアウトを示す全体面付け情報Dlyを生成する(この生成処理の詳細は後述)。
【0048】
ラスタライズ処理部144は、面付け情報生成部142から全体面付け情報Dlyを受け取るとともに、入力受付部120からページデータDpgを受け取り、全体面付け情報Dlyに基づきページデータDpgにラスタライズ処理を施すことにより、印刷対象を表すビットマップ形式のデータであるラスタデータ(以下「対象ラスタデータ」という)Drsを生成する。
【0049】
このようにして入力受付部120における入稿データDdに基づき対象ラスタデータDrsが生成されると、印刷実行指示部146は、その対象ラスタデータDrsと、面付け情報生成部142で生成された全体面付け情報Dlyとを受け取り、必要に応じてデータ形式を変更した印刷データDprとして印刷機20に送信する。このとき、印刷機20を制御するための印刷実行制御信号Cex1も印刷実行指示部146から印刷機20に送信される。なお、この印刷実行指示部146と既述のラスタライズ処理部144とは、印刷データ生成部を構成する。
【0050】
印刷機20は、印刷制御装置10からの印刷データDprを受け取り、この印刷データDprに基づく印刷処理を行う。なお図4に示すように、印刷機20は、機能的には、後加工情報印字部212を含む印字部210を備えており、入稿データDdにおけるページデータDpgの印刷に加え、必要に応じて、全体面付け情報Dlyに基づく後加工情報を印刷する。例えば、印刷機20は、印刷後のロール紙をカッタ装置32で裁断する位置(以下「裁断位置」という)を示すマークや裁断位置を特定するための印刷シート長の情報などを後加工情報として印刷する(後述の図12参照)。なお、このような後加工情報を印刷する代わりに、カッタ装置32等の後加工機30で参照されるべき後加工情報を例えば後加工処理の実行制御信号Cex2(の一部)として後加工機30に送信するようにしてもよい。
【0051】
次に、上記のような印刷制御装置10における面付け情報生成部142の構成について説明する。
【0052】
図5(A)は、面付け情報生成部142の第1の構成例を示すブロック図である。この構成例による面付け情報生成部142は、シート数決定部152と全体面付け情報決定部154とを備えている。シート数決定部152には、入力受付部120から入稿データDdの総ページ数Npgが入力されるとともに、テンプレート記憶部160から予め決められた第1および第2の印刷シートのシート長Siz1,Siz2が入力される。シート数決定部152は、使用すべき第1および第2の印刷シートに面付けされるページ数の総合計(第1および第2の印刷シートのそれぞれの面付けページ数と当該印刷シートの枚数との積の総和)Nsumが、入稿データDdの総ページ数Npgに等しくなるように、総ページ数Npgおよびシート長Siz1,Siz2に基づく所定の演算処理により、第1の印刷シートの枚数Np1および第2の印刷シートの枚数Np2を決定する(詳細は後述)。
【0053】
全体面付け情報決定部154には、これら第1および第2の印刷シートの枚数Np1,Np2が入力されるとともに、テンプレート記憶部から第1および第2の印刷シートの面付け情報Dfly1,Dfly2が入力される。全体面付け情報決定部154は、これらの第1および第2の印刷シートの枚数Np1,Np2および面付け情報Dfly1,Dfly2に基づき、入稿データDdの全ページの面付けレイアウトを特定する全体面付け情報Dlyを生成する(詳細は後述(図12参照))。
【0054】
図5(B)は、面付け情報生成部142の第2の構成例を示すブロック図である。この構成例による面付け情報生成部142も、シート数決定部152bと全体面付け情報決定部154とを備えている。しかし、本構成例におけるシート数決定部152bは、上記第1の構成例におけるシート数決定部152と相違し、このシート数決定部152bに入力されるシート長は予め決定されておらず、ユーザによる所定の入力択操作(印刷制御装置としての実行管理コンピュータ10のキーボード15やマウス16等)で、2種類以上の印刷シートを指定することで複数のシート長が選択される。例えば、予め面付けパターンがテンプレート記憶部160に格納されている印刷シートのうち第1から第3の印刷シートがユーザによって指定されることにより、第1から第3の印刷シートのシート長Siz1,Siz2,Siz3が選択される。シート数決定部152bは、ここで指定された第1から第3の印刷シートを使用したときに第1から第3の印刷シートに面付けされるページ数の総合計(第1から第3の印刷シートのそれぞれの面付けページ数と当該印刷シートの枚数との積の総和)Nsumが入稿データDdの総ページ数Npg以上であって総和Nsumと総ページ数Npgとの差ができるだけ小さくなるように、第1の印刷シートの枚数Np1、第2の印刷シートの枚数Np2、および、第3の印刷シートの枚数Np3を決定する。例えば、総和Nsumと総ページ数Npgとの差が、第1から第3の印刷シートの面付けページ数の最小値よりも小さくなるように第1から第3の印刷シートの枚数Np1,Np2,Np3を決定する。なお、シート数決定部152bは、第1から第3の印刷シートの枚数Np1,Np2,Np3の決定も、ユーザによる所定の入力択操作に基づくように構成されていてもよい。
【0055】
全体面付け情報決定部154には、これら第1から第3の印刷シートの枚数Np1,Np2,Np3が入力されるとともに、テンプレート記憶部から第1から第3の印刷シートの面付け情報Dfly1,Dfly2,Dfly3が入力される。全体面付け情報決定部154は、これらの第1から第3の印刷シートの枚数Np1,Np2,Np3および面付け情報Dfly1,Dfly2,Dfly3に基づき、入稿データDdの全ページの面付けレイアウトを特定する全体面付け情報Dlyを生成する(詳細は後述(図12参照))。
【0056】
<1.2.1 面付けテンプレート生成処理>
次に、上記のような印刷制御装置10においてテンプレート記憶部160に格納すべき2種類以上の印刷シートの面付け情報Dflykとシート長Sizkとからなる面付けテンプレート情報Dtpk(k=1,2,…)を作成するための面付けテンプレート生成処理について説明する。本実施形態では、この面付けテンプレート処理のためのプログラムが印刷制御プログラムに含まれており、この面付けテンプレート処理は、入稿データDdに基づく全体面付け情報Dlyが生成される前に実行される。これにより、その入稿データDdに対応する面付けテンプレート情報Dtpkが生成されてテンプレート記憶部160に格納される。しかし、これに代えて、この面付けテンプレート生成処理が受付管理コンピュータ5で実行され、そこで生成される面付けテンプレート情報Dtpkが印刷制御装置10に送られてテンプレート記憶部160に格納される構成であってもよい。
【0057】
図6は、この面付けテンプレート生成処理を示すフローチャートである。新たな入稿データDdに基づく印刷に必要な面付けテンプレート情報Dtpkを1つ作成する際に、受付管理コンピュータ5のCPUは下記のように動作する。
【0058】
まず、印刷シートにおける面付けパターンの追加・編集ウィンドウを表示する(ステップS102)。次に、この追加・編集ウィンドウに対するユーザの操作に基づき既存の面付けパターンを編集するか否かを判定する(ステップS104)。その判定の結果、既存の面付けパターンを編集しない場合には、面付けパターンの追加を行う(ステップS106)。この場合、新たな面付けパターンに対する面付けテンプレート情報Dtpkのためのデータ領域を確保し、当該新たな面付けパターンを「対象面付けパターン」として次のステップS108へ進む。ステップS104での判定の結果、既存の面付けパターンを編集する場合には、当該既存の面付けパターンを対象面付けパターンとして、ステップS108へ進む。ステップS108では、対象面付けパターンのシート長Sizkを指定するユーザの入力操作を受け付ける(ステップS108)。次に、対象面付けパターンの面付けレイアウトを指定するユーザの入力操作を受け付ける(ステップS110)。これにより面付け情報Dflykが生成される。その後、対象面付けパターンの面付け情報Dflykおよびシート長Sizkからなるデータを面付けテンプレート情報Dtpkとして保存する(ステップS112)。
【0059】
本実施形態では、入稿データDdの印刷処理で使用する印刷シートの種類の数に相当する回数だけ、上記のテンプレート生成処理(図6)が実行される。
【0060】
<1.2.2 入力受付処理>
次に、図4に示す印刷制御装置10における入力受付部120を実行管理コンピュータにおいてソフトウェア的に実現するための入力受付処理につき図7を参照して説明する。図7は、この入力受付処理を示すフローチャートである。この入力受付処理では、CPU111は、既述の印刷制御プログラムに含まれる所定プログラムに従い下記のように動作する。
【0061】
受付管理コンピュータ5からネットワーク3を介して実行管理コンピュータ10に入稿データDdが送られると、この入稿データDdを受け取って保持する(ステップS202)。次に、その入稿データDdのうち、印刷対象を表すデータ(テキストデータ、画像データ、イラストデータなど)を入稿データにおけるページデータDpgとして収集する(ステップS204)。その後、その入稿データDdの総ページ数Npgを取得し、入力受付処理を終了する(ステップS206)。なお、入稿データDdはページデータDpgとしてジョブ処理部140に与えられ、総ページ数Npgもジョブ処理部140に与えられる(図4参照)。
【0062】
<1.2.3 ジョブ処理>
次に、図4に示す印刷制御装置10におけるジョブ処理部140を実行管理コンピュータにおいてソフトウェア的に実現するためのジョブ処理につき図8を参照して説明する。図8は、このジョブ処理を示すフローチャートである。このジョブ処理では、CPU111は、既述の印刷制御プログラムに含まれる所定プログラムに従い下記のように動作する。
【0063】
上記の入力受付処理が新たな入稿データDdに対して行われると、その入稿データDdの総ページ数Npgを受け取る(ステップS302)。次に、その入稿データDdに対応する2種類以上の印刷シートの面付けパターンを示す面付けテンプレート情報Dtpk(k=1,2,…)をテンプレート記憶部160から読み込む(ステップS304)。その後、当該2種類以上の印刷シートのそれぞれの使用枚数すなわち各面付けパターンの印刷シートの使用枚数を決定する(ステップS306)。このステップS306の内容につき詳しく説明する。なお以下では、シート長がSiz1である第1の印刷シートとシート長がSiz2である第2の印刷シートとからなる2種類の印刷シートが入稿データDdに対応し、これら第1および第2の印刷シートの面付けテンプレート情報Dtp1,Dtp2がテンプレート記憶部160に格納されているものとする。
【0064】
いま、第1の印刷シートおよび第2の印刷シートの面付けの幅方向に2ページ(裏表のページを合わせると4ページ)が配置可能、すなわち用紙幅に対して配置可能なページ数Wpgが4ページであるものとする。また、入稿データDdの総ページ数Npgが160であって、第1の印刷シートの面付けページ数が12であり(図11(B)の面付けレイアウト参照)、第2の印刷シートの面付けページ数が8であるものとする(図11(C)の面付けレイアウト参照)。総ページ数Npgは用紙幅に対して配置可能なページ数Wpgすなわち4の倍数であり、本例の総ページ数Npg=160も4の倍数である。また、第1および第2の印刷シートの面付けページ数(12,8)も4の倍数であり、第1の印刷シートの面付けページ数(12)と第2の印刷シートの面付けページ数(8)との差は4である。このことから、損紙が発生しないように第1の印刷シートの使用枚数n1および第2の印刷シートの使用枚数n2を下記のようにして求めることができる。
【0065】
一般に折丁は重い方が好ましいことから、シート長が長い方の印刷シート(本例では第1の印刷シート)の使用枚数を多くするのが好ましい。この点を考慮すると、
12×14=168、12×13=156
であるので、面付けページ数が12である第1の印刷シートの使用枚数を14とすることが考えられる。しかし、14枚の第1の印刷シートのみを使用すると、12×14=168>Npg=160となり、損紙が発生する。そこで、面付けページ数が8である第2の印刷シートを2枚使用し、面付けページ数が12である第1の印刷シートの枚数を2枚減らすと、
12×12+8×2=160(=Npg)
となり、損紙が発生しない。すなわち、12枚の第1の印刷シートおよび2枚の第2の印刷シートにおける面付けページの合計(160)は入稿データDdの総ページ数に等しくなる。
【0066】
より一般的には、第1および第2の印刷シートの面付けページ数をそれぞれm1,m2とし、Npg,m1,m2がいずれも用紙幅に対して配置可能なページ数Wpg(4)の倍数であってm1−m2=Wpg(4)であることを前提にすると、損紙が発生しない第1および第2の印刷シートの枚数Np1,Np2を下記の手順(P1)〜(P3)により求めることができる。下記の手順(P1)〜(P3)によれば、損紙が発生しないという条件の下で、第1および第2の印刷シートのうちシート長の長い方の印刷シートの枚数が最大となる。
(P1):m1×Nt1≧Npg、かつ、m1×(Nt1−1)<Npgを満たす第1の印刷シートの枚数(仮の枚数)Nt1を求める。
(P2):Δn=(m1×Nt1−Npg)/Wpg(4)を求める。
(P3):Np1=Nt1−Δn、Np2=Δnにより第1および第2の印刷シートの枚数Np1,Np2を求める。
【0067】
上記のようにして第1および第2の印刷シートの使用枚数(各面付けパターンの用紙の使用枚数)Np1,Np2が決定されると、次に、第1および第2の印刷シートの使用枚数Np1,Np2および面付け情報Dfly1,Dfly2に基づき、入稿データDdの全ページの面付けレイアウトすなわち全体面付けを特定する全体面付け情報Dlyを生成する。
【0068】
本実施形態では、上記のように第1および第2の印刷シートにおける面付けパターンが予め決定されていて(第1および第2の印刷シートの面付け情報Dfly1,Dfly2が予め生成されている)、連続紙としてのロール紙に印刷が行われるので(図2参照)、Np1枚の第1の印刷シートとNp2枚の第2の印刷シートの1次元的な配置順を決めれば、全体面付けが決定される。一般に、作成すべき製本物の強度の観点から、シート長の短い印刷シートがシート長の長い印刷シートで挟まれるような配置順となるのが好ましい。そこで本実施形態では、第1および第2の印刷シートのうち、短い方の印刷シート(以下「短シート」という)が長い方の印刷シート(以下「長シート」という)で挟まれるように全体面付けが決定される。このためには、全体面付けを決めるNp1枚の第1の印刷シートとNp2枚の第2の印刷シートの1次元的な配置において、先頭および後尾に長シートが配置されるようにすればよい。ただし状況に応じて、上記1次元的な配置における先頭と後尾のいずれか一方にのみ長シートが配置されるようにしてもよい。例えば上記手順(P1)〜(P2)により決定される長シートの使用枚数(第1および第2の印刷シートのうちシート長の長い方の印刷シートの枚数)が1枚である場合には、上記1次元的な配置における先頭と後尾のいずれか一方に長シートが配置されていればよい。
【0069】
例えば、面付けページ数が16である第1の印刷シートと面付けページ数が12である第2の印刷シートとについての面付けテンプレート情報Dtp1,Dtp2がテンプレート記憶部160から読み込まれ、総ページ数Npgが100である入稿データDdに基づく印刷が行われるものとすると、16×4+12×3=100であることから、ステップS306においてNp1=4、Np2=3が求められ、ステップS308において決定すべき全体面付けを特定する第1および第2の印刷シートの1次元的な配置として、次の配置(L1)〜(L3)の3つの例が考えられる。下記の配置の表記において、“S1(16)”は第1の印刷シートを示し、“S2(14)”は第2の印刷シートを示すものとする。
(L1):S1(16)→S1(16)→S1(16)→S2(12)→S2(12)→S2(12)→S1(16)
(L2):S1(16)→S2(12)→S2(12)→S2(12)→S1(16)→S1(16)→S1(16)
(L3):S1(16)→S2(12)→S1(16)→S2(12)→S1(16)→S2(12)→S1(16)
なお、製本物の作成におけるスループットの観点からは同一種類の印刷シート(シート長が同一の印刷シート)が連続するように配置されるのが好ましい。この観点から上記全体面付け(L1)〜(L3)のうち(L1)と(L2)が(L3)よりも好ましいと言える。また、この場合の全体面付けは上記の配置(L1)〜(L3)に限定されるものではなく、これら以外の配置であっても長シートとしての第1の印刷シートが先頭および末尾に配置されていればよい。
【0070】
上記のような全体面付けを特定する全体面付け情報Dlyが生成されると、その全体面付け情報Dlyに基づき入稿データDdのページデータDpgにラスタライズ処理を施すことにより、印刷対象を表すビットマップ形式のデータがラスタデータ(対象ラスタデータ)Drsとして生成される(ステップS310)。
【0071】
その後、その対象ラスタデータDrsと全体面付け情報Dlyとを、必要に応じてデータ形式を変更した印刷データDprとして印刷機20に送信する。このとき、印刷機20を制御するための印刷実行制御信号Cex1も印刷制御装置10から印刷機20に送信される。これにより、印刷データDprによる印刷が印刷機20に指示される。
【0072】
上記のようなジョブ処理のうち、ステップS302〜S308によりジョブ処理部140内の面付け情報生成部142が実現され、また、ステップS310によりラスタライズ処理部144が、ステップS312により印刷実行指示部146が、それぞれ実現される(図4参照)。さらに、ステップS302〜S306により面付け情報生成部142内のシート数決定部152が実現され、ステップS304、S308により面付け情報生成部142内の全体面付け情報決定部154が実現される(図5(A)参照)。
【0073】
<1.3 印刷処理>
次に、印刷機20において、印刷制御装置10から受け取る上記の対象ラスタデータDrsを用いて印刷実行制御信号Cex1に基づく印刷処理を図9を参照しつつ説明する。図9は、この印刷処理を示すフローチャートである。
【0074】
印刷制御装置としての実行管理コンピュータ10における上記ジョブ処理(図8図4参照)により得られる印刷データDprが印刷実行制御信号Cex1とともに印刷機20に送信されると、印刷機20は下記のように動作する。
【0075】
まず、その印刷データDprを印刷実行制御信号Cex1とともに受け取り(ステップS402)、その印刷実行制御信号Cex1に基づき、後加工処理で後加工情報を印刷物から読み取るか否かを判定する(ステップS404)。ここで、後加工処理とは、印刷機20での印刷処理後、製本物の完成までに行われる加工処理であり、例えば、カッタ装置32による裁断処理や、折り装置34による折り加工等である。後加工情報とは、後加工処理での加工のための位置情報等であり、例えば、印刷後のロール紙(連続紙)を全体面付け情報Dlyが示すシート長Sizkにカッタ装置32で裁断する位置(裁断位置)を示す情報や、折り加工処理における折り位置等の折り方を示す情報である。
【0076】
ステップS404での判定の結果、後加工処理で後加工情報を印刷物から読み取る場合には、印刷制御装置としての実行管理コンピュータ10から後加工情報を受け取る(ステップS406)。ただし、ステップS402で受け取った印刷データDprに後加工情報が含まれている場合には、印刷データDprから後加工情報を取り出す。次に、その後加工情報を印字し(ステップS408)、その後、ステップS410へ進む。
【0077】
一方、ステップS404での判定の結果、後加工処理で後加工情報を印刷物から読み取らない場合には、後加工情報を印字することなく、ステップS410へ進む。
【0078】
ステップS410では、印刷データDprにおける画像データ(入稿データDdに相当するビットマップ形式の画像データ)を印字する(ステップS410)。これにより、1つの印刷ジョブに対応する印刷処理が終了する。
【0079】
<1.4 後加工処理>
次に、印刷機20において上記印刷処理の施されたロール紙(以下「印刷済ロール紙」という)に対して、カッタ装置32や折り装置34からなる後加工機30により行われる後加工処理を図10を参照しつつ説明する。ただし、以下では、説明の便宜上、後加工処理は、カッタ装置32による裁断処理と折り装置34による折り加工処理のみからなるものとする(図1参照)。
【0080】
実行管理コンピュータ10は、CPU111が上記印刷制御プログラムに代えて他の所定制御プログラムを実行することにより、後加工機での処理を管理する後加工制御装置として機能する。後加工制御装置としての実行管理コンピュータ10は、印刷機20における上記印刷処理の終了後(この終了時点で、印刷済ロール紙は後加工処理の開始のための所定位置に装着されているものとする)、後加工機30に対して実行制御信号Cex2を送信する。この実行制御信号Cex2が送信されると、後加工機30は下記のように動作する。
【0081】
まず、その実行制御信号Cex2を受け取り(ステップS502)。次に、その実行制御信号Cex2に基づき、後加工処理で後加工情報を印刷物(印刷済ロール紙)から読み取るか否かを判定する(ステップS504)。
【0082】
ステップS504での判定の結果、後加工処理で後加工情報を印刷物から読み取る場合には、例えば図12(A)に示すように、カッタ装置32で印刷済ロール紙を全体面付け情報Dlyが示すシート長Sizkにカットするための裁断位置を示すマークがバーコードBCとして印字されている(図9のステップS408参照)。ステップS506では、後加工機30内の後加工情報読取部302(図4参照)により、印刷物としての印刷済ロール紙からこのような後加工情報を読み取る(ステップS506)。その後、ステップS510へ進む。
【0083】
一方、ステップS504での判定の結果、後加工処理で後加工情報を印刷物から読み取らない場合には、後加工制御装置としての実行管理コンピュータ10からネットワーク3または他の通信ケーブル等を介して後加工情報を受け取る(ステップS508)。その後、ステップS510へ進む。
【0084】
ステップS510では、後加工機30内の加工部304(図4参照)としてのカッタ装置32が印刷済ロール紙を後加工情報にしたがって(例えば図12におけるバーコードBCが示す裁断位置で)カットする。これにより、図8のステップS308で生成された全体面付け情報Dlyが示す2種類以上のシート長Sizk(k=1,2,…)にカットされ、2種類以上の印刷シートが得られる。例えば図12に示す全体面付けの場合には、シート長がSiz1(面付けページ数が16)である第1の印刷シートが4枚得られるとともに、シート長がSiz2(面付けページ数が12)である第2の印刷シートが3枚得られる。
【0085】
次に、ステップS512において、折り装置34が、カッタ装置32による裁断処理により得られる2種類以上の印刷シートのそれぞれに対し、後加工情報にしたがって折り加工処理を施す(ステップS512)。これにより2種類以上の折丁が複数得られる。例えば図12に示す全体面付けの場合には、第1の面付けレイアウト(Dfly1:面付けページ数=16)に基づく4枚の折丁と、第2の面付けレイアウト(Dfly2:面付けページ数=12)に基づく3枚の折丁とが得られる。
【0086】
図10に示した後加工処理はステップS512の実行により終了するが、実際には、その後、丁合機にて複数の折丁が所定の順序にて重ねられ、綴じ機にて複数の折丁が綴じられた後、断裁機にて断裁情報に基づいて三方裁ちが行われ、製本物が完成する。これらの後加工処理は、従来と同様であるので、詳しい説明を省略する。
【0087】
<1.5 効果>
以下、上記のような本実施形態の効果を図11および図12を参照しつつ説明する。
図11は、従来の印刷制御装置を用いて製本物を作成する場合の問題を説明するための図であり、図12は、本実施形態の効果を説明するための図である。
【0088】
従来の印刷制御装置では、1つの印刷ジョブにおけるシート長は固定であり、折丁となるべき全ての印刷シートのサイズ(したがって面付けページ数)は同一である。図11は、入稿データDdの総ページ数Npgが100である製本物を従来の印刷制御装置を用いて作成する場合においてシート長(印刷シートのサイズ)Sizを変えたときの面付けレイアウトと全体面付けを模式的に示している。図11(A)は面付けページ数が16の印刷シートに対応するシート長Siz1のときの面付けレイアウトと全体面付けの概略を示し、図11(B)は面付けページ数が12の印刷シートに対応するシート長Siz2のときの面付けレイアウトと全体面付けの概略を示し、図11(C)は面付けページ数が8の印刷シートに対応するシート長Siz3のときの面付けレイアウトと全体面付けの概略を示し、図11(D)は面付けページ数が4の印刷シートに対応するシート長Siz4のときの面付けレイアウトと全体面付けの概略を示している。
【0089】
図11において、Ljobは1つの印刷ジョブで使用される用紙(ロール紙)の長さ示し、斜め点線のハッチングの付された領域は長さLjobの用紙のうち入稿データDdの総ページ数Npg(=100)に相当する部分を示し、長さLjobの用紙(ロール紙)のうちハッチングの無い領域は、1つの印刷ジョブで使用される用紙のうち印字されない部分すなわち損紙を示している。また図11において、クロスハッチングの付された矩形は、カッタ装置32による裁断位置を示す後加工情報としてのバーコードBCを示している。カッタ装置32において、このバーコードBCで示される位置すなわち図11において太い縦の点線の位置でロール紙が裁断される。図11におけるこのような表現方法は図12においても使用されている。
【0090】
既述のように、後加工処理での作業性や製本物の強度の観点から、1つの折丁の重量を大きくするために印刷シートのシート長を長くするのが好ましい。しかし、図11(A)〜(D)からわかるように、シート長を長くすることによって1つの印刷シートの面付けページ数が多くなると、損紙が増大する。
【0091】
これに対し本実施形態では、1つの印刷ジョブ(における入稿データDd)に対し2種類以上の印刷シートの面付けパターンを示す面付けテンプレート情報Dtpk(k=1,2,…)を使用して全体面付けが決定され(図5図8のS304〜S308)、これにより、印刷シートのシート長を長くしつつ損紙の発生を抑制することができる。例えば図12(A)において面付けレイアウトとして示される2種類の面付けパターン、すなわち、シート長Siz1で面付けページ数が16の第1面付けパターンと、シート長Siz2で面付けページ数が12の第2面付けパターンとを使用するものとすると、総ページ数Npgが100の入稿データDdに対し、第1面付けパターンの第1の印刷シートの使用枚数Np1、および、第2面付けパターンの第2の印刷シートの使用枚数Np2は、Np1=4、Np2=3と決定される(既述の手順(P1)〜(P3)参照)。この場合、図12(A)に示すように損紙が発生せず、第1および第2の印刷シートのシート長もそれぞれSiz1(面付けページ数16に相当)およびSiz2(面付けページ数12に相当)であり、比較的長い。なお図12(B)は、全体面付けのうち第1の印刷シートと第2の印刷シートが混在する部分におけるレイアウトの詳細を示している。
【0092】
このようにして本実施形態によれば、製本物の作成のための印刷において、損紙の発生を抑制しつつ印刷シートのシート長を長くすることができる。これより、1つの折丁の重量を大きくすることによって、製本物を作成するための後工程処理における作業性が向上するとともに製本物の強度も高くなる。なお、既述の手順(P1)〜(P3)に基づき損紙の発生しない全体面付けを自動的に決定することができ、全体面付けの設計の手間を省けるという効果も得られる。また、既述の手順(P1)〜(P3)におけるように、入稿データDdに対して用意された2種類以上の印刷シートのうちシート長の長いシートの使用枚数が優先的に多くなるように印刷シートの使用枚数が決定されるのが好ましい。このようにすれば、後工程処理における作業性および製本物の強度が更に向上する。
【0093】
本実施形態によれば、図12(A)に示す全体面付け概略からわかるように、第1および第2の印刷シートのうち、短い方の印刷シート(短シート)が長い方の印刷シート(長シート)で挟まれるように全体面付けが決定される(既述の配置(L1)〜(L3)参照)。これは、製本物の強度を高めるうえで有効であり、より丈夫な製本物の作成を可能とする。
【0094】
<2.変形例>
上記実施形態に係る印刷制御装置10は、連続紙としてのロール紙に印刷を行う印刷機20を対象としているが、サイズ(シート長)の異なる2種類以上のカット紙を切り換えながら印刷することで複数の面付けパターン(面付けレイアウト)に対応する印刷機を対象としてもよい。図13は、このような印刷機20bの概略構成例を示す図である。この印刷機20bは、第1の給紙カセット81と第2の給紙カセット82からなる2つの給紙カセットと、第1および第2の給紙カセット81,82のいずれかから給紙されるカット紙に印刷を行う印刷機構84とを備えており、印刷機構84に給紙されるカセットを第1の給紙カセット81と第2の給紙カセット82との間で切り替えられるように構成されている。このような印刷機20bにおいて、図8のステップS308で決定される全体面付けに基づき第1の給紙カセット81と第2の給紙カセット82とを切り替えることにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。なお、上記実施形態に係る印刷制御装置10が上記のような印刷機20bを対象とする場合、印刷実行指示部146は、第1および第2の給紙カセット81,82を全体面付け情報Dlyに基づき切り換えるための制御情報が含まれるように印刷データDprを生成するのが好ましい。
【0095】
上記実施形態に係る印刷制御装置10は、インクジェット方式の印刷機20を対象としているが、バリアブル印刷が可能な印刷機であれば他の方式の印刷機であってもよい。例えば、用紙等の記録媒体にインクが直接的に付着されるインクジェット方式とは異なり、インクが中間転写部材上に付着された後に中間転写部材から用紙等の記録媒体に付着される転写方式の印刷機であってもよい。
【0096】
上記実施形態に関し、入稿データDdに対して用意された第1および第2の印刷シートの面付けページ数をそれぞれm1,m2とした場合において、総ページ数Npgおよび面付けページ数m1,m2がいずれも4の倍数であってm1−m2=4であるという前提の下で、損紙が発生しない第1および第2の印刷シートの枚数Np1,Np2を決定する手法が説明されたが(既述の手順(P1)〜(P3)参照)、上記実施形態は、この前提を設けない構成であってもよく、また、多少の損紙が許容される構成であってもよい。例えば、入稿データDdに対し用意された2種類以上の印刷シートのそれぞれの面付けページ数に基づき、各種類の印刷シートに面付けされるページ数と当該種類の印刷シートの枚数との積の総和Nsumが入稿データDdの総ページ数Npg以上であって総和Nsumと総ページ数Npgとの差が当該2種類以上の印刷シートの面付けページ数の最小値よりも小さくなるように、各種類の印刷シートの枚数を決定してもよい。例えば、印刷シートの幅方向に3ページが割り当てられ、面付けページ数が3×3×2=18である第1の印刷シートと面付けページ数が3×2×2=12である第2の印刷シートが入稿データDdに対して用意されている場合、総ページ数Npg=100に対し、第1の印刷シート(長シート)の使用枚数を多くすることを優先させ第1の印刷シートの使用枚数をNp1=5とし、第2の印刷シートの使用枚数をNp2=1としてもよい。この場合、
18×5+12×1=102>Npg=100
であるので、2ページ分の損紙が発生するが、上記実施形態と同様、後工程処理における作業性および製本物の強度が向上するという効果が得られる。
【0097】
上記実施形態では、入稿データDdに対応する印刷ジョブにつき、使用すべき(2種類以上の)印刷シートは予め決まっており、用紙幅に対して配置可能なページ数(以下「幅方向ページ数」という)Wpgも予め決まっている。しかし、新たな入稿データDdが入力受付部120で受け付けられると、ジョブ処理部140内の面付け情報生成部142が、その入稿データDdの総ページ数NpgとともにページサイズPszを受け取り、用紙幅に対して配置可能なページ数である幅方向ページ数Wpgを決定し、この幅方向ページ数Wpgに基づき、使用すべき印刷シートの面付けテンプレート情報Dtpkを決めるようにしてもよい。以下、このような構成の印刷制御装置を上記実施形態の変形例として説明する。なお、本変形例の構成のうち上記実施形態の構成要素と同一または対応する部分には同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する。
【0098】
面付け情報生成部142が図5(A)に示すようなシート数決定部152と全体面付け情報決定部154と備えるものとすると、本変形例では、シート数決定部152には、入力受付部120から入稿データDdのページサイズPszおよび総ページ数Npgが入力されるとともに、テンプレート記憶部160から予め決められた第1および第2の印刷シートの面付け情報Dfly1,Dfly2およびシート長Siz1,Siz2が入力される。シート数決定部152は、ページサイズPszと第1および第2の印刷シートの面付け情報Dfly1,Dfly2とより連続紙としての印刷用紙22の用紙幅(搬送方向に直交する方向の幅)に対して配置可能なページ数である幅方向ページ数Wpgを求める。例えば、入稿データDdのページサイズPszがA4縦長ページであり、第1の印刷シートおよび第2の印刷シートの面付けの幅方向に2ページ(裏表のページを合わせると4ページ)が配置可能である場合には、幅方向ページ数Wpgは4ページに決定される。一方、同じ用紙幅であっても、入稿データDdのページサイズPszがA5縦長ページである場合には、幅方向ページ数Wpgは6ページに決定される。次にシート数決定部152は、このようにして決定される幅方向ページ数Wpgに基づき、使用すべき第1および第2の印刷シートに面付けされるページ数の総合計(第1および第2の印刷シートのそれぞれの面付けページ数と当該印刷シートの枚数との積の総和)Nsumが、入稿データDdの総ページ数Npgに等しくなるように、総ページ数Npgおよびシート長Siz1,Siz2に基づく所定の演算処理により、第1の印刷シートの枚数Np1および第2の印刷シートの枚数Np2を決定する(詳細は上記実施形態またはその変形例と同様)。本変形例における上記以外の構成および動作は、上記実施形態と同様である。このような変形例においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0099】
上記実施形態では、1つの印刷ジョブにおける1つの入稿データDdに対する処理につき説明されているが、1つの印刷ジョブに複数の入稿データ(複数のファイル)が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0100】
10 …実行管理コンピュータ(印刷制御装置)
17 …光ディスク(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)
18 …印刷制御プログラム
20,20b…印刷機
22 …印刷用紙(ロール紙)
30 …後加工機
120…入力受付部
140…ジョブ処理部
142…面付け情報生成部
144…ラスタライズ処理部
146…印刷実行指示部
152、152b…シート数決定部
154 …全体面付け情報決定部
160 …テンプレート記憶部
Dd …入稿データ
Dpg …ページデータ(入稿データのページ毎の印刷イメージデータ)
Dtp …シート内面付け情報
Dtpk …面付けテンプレート情報(k=1,2,…)
Dflyk…面付け情報(k=1,2,…)
Dly …全体面付け情報
Sizk …シート長(k=1,2,…)
Dpr …印刷データ
Npg …入稿データの総ページ数
Psz …入稿データのページサイズ
Wpg …用紙幅に対して配置可能なページ数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13