(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の分散型電源制御装置、分散型電源制御システム及び分散型電源制御方法を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
先ず、
図1を用いて、本実施の形態に係る分散型電源制御システムの全体構成を説明する。
分散型電源制御システム10は、複数の需要家200の各々に設置された電源管理装置210としてのHEMS(Home Energy Management System)と、各HEMSと接続された分散型電源制御装置40としての制御サーバとを備えている。
【0024】
電源管理装置210は、各需要家200が有する空調機器や、給湯機器等の負荷機器が使用する電力や運転状態等を管理することができる。
電源管理装置210としてのHEMSは、分散型電源の発電量や、負荷機器の電力使用量やガス使用量等のエネルギー使用量等をリアルタイムで把握し、モニター等で可視化して「見える化」し、一元的に管理して積極的に制御することが可能なものである。
【0025】
分散型電源制御装置40は、電力を供給する電力会社20からの電力需要削減の施策としてのデマンドレスポンスであるDRを請け負う複数のアグリゲータ30に設置されている。アグリゲータ30は、分散型電源制御装置40により、HEMSを介して需要家200の分散型電源の運転状態等を管理する。
【0026】
分散型電源は、例えば、蓄電池220、太陽光発電であるPV230、コージェネレーションシステム(Co-Generation System)であるCGS240である。もちろん、分散型電源は、これに限定されるものではなく、比較的小規模な発電装置を消費地近くに分散配置しているようなものであれば、その地域の特性によっては、風力発電や、地熱発電や、バイオマス発電等を含めてもよい。
また、需要家毎に、有している分散型電源の種類は異なっており、一つの分散型電源でも、複数の分散型電源でもよい。
【0027】
蓄電池220は、充電及び放電の双方を行うことが可能な二次電池を利用した設備である。
【0028】
太陽光発電であるPV230は、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光パネルを備えた発電設備である。
【0029】
CGS240は、内燃機関や外燃機関による発電とともに、その排熱を利用可能なシステムが含まれる。例えば、ガスをエネルギー源として発電するとともに、排熱を利用可能な熱電供給システムが含まれる。また、発電及び熱源として燃料電池を用いるもの等も含まれる。
【0030】
これらの分散型電源としての蓄電池220、PV230、CGS240は、上述した電源管理装置210としてのHEMSにより管理される。
【0031】
電力会社20からの電力需要削減の施策としてのDRを請け負うアグリゲータ30は、複数の需要家200の電力需給を契約により管理している。
このアグリゲータ30は、電源管理装置210としてのHEMSにネットワーク回線により接続されている制御サーバとしての分散型電源制御装置40を有している。
【0032】
図2に示すように、分散型電源制御装置40は、運転状態把握手段60と、運転状態予測手段70と、需要家選択手段80と、運転制御決定手段90と、指示手段100とを備えている。
【0033】
運転状態把握手段60は、各需要家200の各分散型電源の現在の運転状態を機器毎に把握するものである。本実施の形態では、各需要家200の電源管理装置210としてのHEMSが分散型電源を機器毎に正確に管理しており、HEMSを介して、ネットワーク回線によりHEMSが有しているデータがアグリゲータ30の制御サーバである分散型電源制御装置40の運転状態把握手段60に送信される。これにより、分散型電源制御装置40は、各需要家200の各分散型電源の運転状態を把握することができるようになっている。なお、これに限定されるものではなく、HEMSの能力次第では、各需要家200の各分散型電源からネットワーク回線を介して直接、種々のデータがアグリゲータ30の制御サーバへ送信されるようにしてもよい。
運転状態把握手段60が受信したデータは、運転状態把握手段60が有する記憶装置としての不揮発性メモリ44Dに過去のデータとして全て記憶される。これらのデータは、運転状態予測手段70により取り出され、運転状態を予測する際に利用される。
【0034】
運転状態予測手段70は、DRの実施予定期間を含む要請に応じて、需要家200毎の分散型電源の運転状態に関する過去の実績データに基づいて、DRを行わないと仮定した場合の需要家200毎のDR実施予定期間における分散型電源の運転状態を予測可能なものである。
【0035】
具体的には、運転状態予測手段70は、運転状態把握手段60が記憶している各需要家200の分散型電源の過去1月の平均の実績データに基づいて、DRを行わないと仮定した場合の各需要家200のDR実施予定期間の前後における分散型電源の運転状態を予測する。なお、予測に使用する過去の実績データは、過去1月に限定されるものではなく、平均的なデータが採取されるものであればよいものであって、例えば2月、3月、6月、12月、24月等の平均を用いてもよい。また、季節要因を抑えるために、前年の同時期(1年前)の1月等の所定期間の平均データを用いてもよい。
【0036】
需要家選択手段80は、運転状態予測手段70で予測したDR実施予定期間における分散型電源の運転状態に基づいて、DRのための調整電力として活用可能な分散型電源を持つ需要家200を選択するものである。
具体的には、需要家選択手段80は、DR実施予定期間において需要家200が有する分散型電源が調整電力を発生させる余地を有していると予測される場合には、当該需要家200を調整電力として活用可能な分散型電源を持つ需要家200として選択する。
一方、需要家200が有している分散型電源が、調整電力を発生させる余地を有していないと予測される場合には、調整電力を発生させる余地がないため、需要家選択手段80は、調整電力として活用可能な分散型電源を持つ需要家200としては選択しない。例えば、需要家200が有している分散型電源が蓄電池220であり、DR実施予定期間において定格放電をしていると予測される場合には、調整電力を発生させる余地を有していないと判断される。また、需要家200が有している分散型電源がPV230であり、DR実施予定期間において定格運転をしていると予測される場合には、調整電力を発生させる余地を有していないと判断される。
【0037】
運転制御決定手段90は、需要家選択手段80が選択した需要家200のDR実施予定期間における分散型電源の運転状態の予測に基づいて、選択された需要家の、調整電力として活用可能な分散型電源の運転制御方法を決定するものである。
【0038】
運転制御決定手段90は、複数種類の分散型電源の単体での運転制御方法、及び、複数種類の分散型電源の任意の組み合わせによる運転制御方法、の中から需要家200にとって最も有利な運転制御方法を決定可能である(
図10参照)。
具体的には、運転制御決定手段90は、分散型電源の種類毎に予め定められた、調整電力として活用する際の単位電力あたりのコストに基づいて、複数種類の分散型電源の単体又は組み合わせによる運転制御方法の中から需要家200にとって最も有利な運転制御方法を決定する。
【0039】
例えば、後述する
図10に示すように、分散型電源として、蓄電池220、CGS240、PV230を有しているような場合には、運転制御決定手段90は、それらの単体(PVを除く)での運転や、組み合わせのタイプに対して、単位時間に使用される電力を発生させるためのコスト(円/kWh)、いわゆる電力コストを比較して、最も低コストとなるタイプの運転制御方法を決定している(
図10参照)。
【0040】
さらに、運転制御決定手段90は、選択された需要家200の、調整電力として活用可能な分散型電源について、DRの実施予定期間を含む要請後からDR実施予定期間が開始されるまでの準備期間中の分散型電源の運転制御方法を更に決定する。この準備期間は、正確には、DRの要請後、運転制御決定手段90による準備期間中の分散型電源の運転制御方法の決定後から、DRの開始時刻までの期間となる。なお、電力会社20からアグリゲータ30へのDRの要請は、通常、DR実施予定期間開始の約1時間前に送信される場合が多いため、かかる場合には、前記準備期間は、DR実施予定期間の開始時刻の約1時間前から、DR実施予定期間の開始時刻までの期間となる。もちろん、この1時間前に限定されるものではなく、DRの要請時間に左右されるものであり、15分前や、2時間前や、6時間前や、12時間前等の時間でもよいものであり、準備期間は、長い程、DRの対応をより有利に準備することが可能となる。例えば、CGS240として蓄電池を使用する場合に、充分な準備期間中に充電制御を行うことで、DR実施予定期間の途中で蓄電池の残容量であるSOC(State Of Charge)が0になってしまうようなことを回避することが可能となる。
【0041】
指示手段100は、運転制御決定手段90により決定された運転制御方法をデマンドレスポンスの実施予定期間において実行するように、選択された需要家の分散型電源を管理する電源管理装置210に対して指示する。
更に、指示手段100は、運転制御決定手段90により決定された準備期間中の分散型電源の運転制御方法を実行するように、電源管理装置210に対して指示する。
【0042】
本実施の形態では、アグリゲータ30と需要家200との間で予め締結されている契約に基づいて、運転制御決定手段90が決定した各需要家200の分散型電源の各運転制御方法を実行してよいか否かの承認をその都度、個別に得ることなく、需要家200に対して実施しているが、特にこれに限定されるものではない。運転制御決定手段90が決定した各需要家200の分散型電源の各運転制御方法を個別にその都度、報告して、当該運転制御方法を実行してよいか否かの承認を個別に確認して、その結果、承認を得た需要家200の分散型電源により得られる電力のみを調整力として利用するようにしてもよい。
【0043】
図3は、アグリゲータ30が有する制御サーバとしての分散型電源制御装置40の構成例を示す図である。分散型電源制御装置40は、制御手段47Aとしてのコンピュータ47を用いて構成される。
【0044】
コンピュータ47は、本実施の形態に係る制御手段47Aの一例であるCPU(Central Processing Unit)44A、ROM(Read Only Memory)44B、RAM(Random Access Memory)44C、不揮発性メモリ44D及び入出力インターフェース(I/O)45を備える。そして、CPU44A、ROM44B、RAM44C、不揮発性メモリ44D、及びI/O45がバス46を介して各々接続されている。不揮発性メモリ44Dとしてはハードディスクの他、例えばフラッシュメモリを利用したSSD(Solid State Drive)が用いられる。
【0045】
I/O45には、例えば入力装置41、表示装置42、及び通信装置43が接続される。
【0046】
入力装置41は、分散型電源制御装置40の操作者であるアグリゲータ30の指示を受け付けてCPU44Aに通知する装置であり、例えばキーボード、マウス、タッチパネル、及びマイク等が用いられる。
【0047】
表示装置42は、CPU44Aの制御によって生成された情報を画像として表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイ、及び有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等が用いられる。
【0048】
通信装置43はネットワーク回線に接続され、各需要家200の電源管理装置210との間で電文やデータ等を送受信する通信プロトコルを備える。すなわち、通信装置43は、需要家200の各分散型電源の運転状態等の電源管理装置210からのデータを受信する受信手段としての機能を有する。
【0049】
また、通信装置43は、分散型電源制御装置40からDR実施予定期間や、その準備期間中の分散型電源の運転状態等を指示するデータ等を電源管理装置210へ送信する送信手段としての機能を有する。
【0050】
さらに、通信装置43はネットワーク回線に接続され、電力会社20の所定の端末との間で電文を送受信する通信プロトコルを備える。すなわち、通信装置43は、電力会社からの電力需要削減としてのDRの要請内容のデータの信号を受信する受信手段としての機能を有する。
また、通信装置43は、電力会社20へ、DRの予定や、でDR実施予定期間における電力需要削減の予測内容の信号等を送信する送信手段としての機能を有する。
【0051】
なお、I/O45に接続される装置は
図3に例示された装置に限定されない。例えば需要家200の電源管理装置210と、分散型電源制御装置40との通信が切断された場合に警報を報知する報知装置を接続してもよい。また、入力装置41及び表示装置42は、必ずしも分散型電源制御装置40に必須の装置ではない。
【0052】
図4では、例えば、一需要家200の例として、運転状態予測手段70により、DR実施予定期間として11時から17時が設定されたときの蓄電池220、CGS240、PV230の運転状態を予測しているものである。
【0053】
分散型電源の各時間に記載されている数値は、各分散型電源の定格運転状態に対する割合をパーセント表示しているものであって、例えば、蓄電池の「放電100」の数値は、放電制御における定格放電100%、すなわち放電制御の定格放電を実施していることを意味し、CGSの「停止」は、CGSの停止状態を意味し、CGSの「運転50」は、CGSの運転状態が定格運転の50%の状態で運転することを意味する。
【0054】
図5では、暫定ベースライン71、実際の使用電力ライン72、調整後ベースライン73、DR開始75とDR終了76との間のDR実施予定期間、電力削減量であるネガワット量74の関係が示されている。
【0055】
図5に示す例では、11時〜17時の間がDR実施予定期間とされ、調整後ベースライン73と実際の使用電力ライン72との差分がネガワット量74に相当し、このネガワット量74が調整電力として活用される。
【0056】
具体的に説明すると、運転状態予測手段70は、上述したように分散型電源の過去1月の実績データに基づいて、DRを行わないと仮定した場合の分散型電源の運転状態の予測に基づいて、当該需要家200の使用電力の推移を予測し、
図5の2点鎖線に示すように暫定ベースライン71を設定する。
【0057】
運転状態予測手段70は、DR開始75前において、暫定ベースライン71と、実際の使用電力ライン72とのずれに着目し、DR開始75後からDR終了76までのDR実施予定期間の調整後ベースライン73を予測する。この調整後ベースライン73と、分散型電源が発生させた電力を含まずに商用電力系統からの電力の使用量の推移である実際の使用電力ライン72との差分が、分散型電源で発生させて調整電力として活用可能なネガワット量74となる。このネガワット量74に対応するインセンティブが電力会社からアグリゲータ30やアグリゲータ30を介して需要家200に与えられることになる。なお、このインセンティブには、具体的には、1年間のネガワット量の合計に比例する現金が付与されるようなものが含まれる。
なお、ネガワット量の単位や、算出方法は特に限定されるものではなく、関係者同士の契約により自由に設定することができる。
【0058】
図6を用いてDR要請からDR終了までの流れを説明する。
先ず、電力会社からアグリゲータ30へDR要請があったときから、運転制御方法が決定されるまでの間の処理(1)〜(4)が行われる。
(1)電力会社20からDR要請をアグリゲータ30が受けると、DR実施予定期間が決定される。例えば、
図5に示すような場合では、DR開始75が11時に設定され、DR終了76が17時に設定される。
【0059】
(2)DRを行わないとした場合のDR実施予定期間における分散型電源の運転状態に関する過去の実績データに基づいて、DR実施予定期間における諸データ(例えば需要家200の受電電力、蓄電池の充放電出力、CGS出力等)の予測を行い、調整電力を活用可能な需要家200を選択する。
(3)上記(2)の諸データの予測に基づき、DR実施予定期間の運転制御方法を決定する。
(4)上記(3)で決定した制御を行うための準備として、DR開始までに必要な制御方法を決定する。
【0060】
次に、制御方法決定からDR開始までのDR準備期間中に(5)の処理が行われる。
(5)上述した(4)の決定に従い、制御方法決定からDR開始までのDR準備期間中の制御が行われる。
【0061】
次に、DR開始からDR終了までのDR実施予定期間中に(6)の処理が行われる。
(6)上述した(3)の決定に従い、DR実施予定期間中の制御が行われる。
【0062】
図7に示すように、本実施の形態では、上述した蓄電池220、CGS240、PV230の3種類の分散型電源の活用タイプを以下に示す(A)〜(F)の6種類のタイプに分類して検討している。具体的には、(A)蓄電池220単体での活用、(B)CGS240単体での活用、(C)蓄電池220及びPV230を組み合わせて活用、(D)CGS240及びPV230を組み合わせて活用、(E)蓄電池220及びCGS240を組み合わせて活用、(F)蓄電池220、CGS240及びPV230を組み合わせて活用の6タイプである。
【0063】
図8を用いて、上述した(A)の蓄電池220を単体で活用する場合の流れを説明する。
この場合の対象となる需要家200は、需要家選択手段80により選択され、DR実施予定期間中に蓄電池220の定格放電以外を行うと予測される需要家200である。
図8の左側にDRを行わないと仮定した場合のDR実施予定期間中の予測が記載され、
図8の中央にDR準備期間中の制御が記載され、
図8の右側にDR実施予定期間中の制御が記載されている。
【0064】
図8の左側のDRを行わないと仮定した場合のDR実施予定期間の予測では、蓄電池220が充電制御と、充放電停止と、放電制御との3つの場合がある。
【0065】
さらに、
図8の左側のDR実施予定期間の予測の充電制御では、DR実施予定期間に充電制御となる矢印A1と、DR実施予定期間中に充放電停止となる矢印A2と、DR準備期間中の充電制御を経て、DR実施予定期間中に放電制御となる矢印A3とがある。
【0066】
矢印A1では、予測の充電電力よりも低い充電電力となるように制御する。具体的には、例えばDRを行わない場合の充電制御で3kWの予測に対して、DR実施予定期間中の充電制御を1kWに制御すれば、差分の2kWが調整電力として得られる。
【0067】
矢印A2では、充電制御を停止した分だけ調整電力が得られる。具体的には、例えば充電制御が3kWの予測に対して、充放電停止となるように制御すれば、充電していた3kWが調整電力として得られる。
【0068】
矢印A3では、予測の充電制御から、DR準備期間中に充電制御を行い、DR実施予定期間中に放電制御を行うことで、DR実施予定期間中に長時間の放電制御が可能となり、途中で放電制御から放電停止となるようなことを防止することが可能となる。
また、
図8の左側のDR実施予定期間の予測の充放電停止では、DR準備期間中の充電制御を経て、DR実施予定期間中に放電制御となる矢印A4がある。
【0069】
矢印A4では、具体的には、例えば充放電停止の状態から、DR準備期間中に3kWの充電制御を行い、DR実施予定期間中に3kWの放電制御となるように制御すれば、放電制御した分の3kWが調整電力として得られる。また、DR準備期間中に充電制御を行うことで、DR実施予定期間中に長時間の放電制御が可能となり、途中で残容量(SOC)が0となって放電制御から放電停止となるようなことを防止することが可能となる。
【0070】
また、
図8の左側のDR実施予定期間の予測の放電制御では、DR準備期間中の充電制御を経て、DR実施予定期間中に放電制御となる矢印A5がある。
【0071】
矢印A5では、具体的には、予測の放電電力よりもDR実施予定期間中に高い放電電力となるように制御する。具体的には、例えば、DRを行わない場合の放電制御1kWの予測に対して、DR実施予定期間中の放電電力を3kWに制御すれば、差分の2kWが調整電力として得られる。
なお、節電要請は、DR実施予定期間の予測の如何に関わらず、アグリゲータ30と需要家200との間の契約等により独立して検討される。
【0072】
次に
図9を用いて上述した(B)のCGS240を単体で活用する場合の流れを説明する。この場合の需要家選択手段80により選択される対象となる需要家200は、DR実施予定期間中にCGS240の定格運転以外を行うと予測される需要家200となる。
図9の左側にDRを行わない場合のDR実施予定期間中の予測が記載され、
図9の中央にDR準備期間中の制御が記載され、
図9の右側にDR実施予定期間中の制御が記載されている。
【0073】
図9の左側のDR実施予定期間中の予測では、CGS240は、CGS240の運転停止と、CGS240の運転との2つの場合がある。
【0074】
さらに、
図9の左側のDR実施予定期間中の予測のCGS240の停止では、DR準備期間中にCGS240の起動が行われ、DR実施予定期間中では、CGS240の運転となる矢印B1がある。
また、
図9の左側のDR実施予定期間中の予測のCGS240の運転では、DR準備期間中にCGS240の運転継続が行われ、DR実施予定期間中ではCGS240の運転が行われる。
【0075】
矢印B1では、CGS240の停止から起動させて運転となるように制御する。具体的には、例えばCGS240の停止から、CGS240の運転により発電電力を3kWに制御すれば、差分の3kWが調整電力として得られる。
【0076】
矢印B2では、CGS240の予測の発電電力よりもDR実施予定期間中の方が高い発電電力が得られるようにする。具体的には、例えば、DRを行わない場合のDR実施予定期間中の予測が1kWの発電電力に対して、DR実施予定期間中に発電電力を3kWとなるように制御すれば、差分の2kWが調整電力として得られる。
【0077】
次に上述した(C)の蓄電池220及びPV230の組み合わせの活用について説明する。この場合の対象となる需要家200は、(A)と同様にDR実施予定期間中に蓄電池220の定格放電以外を行うと予測される需要家200となる。また、この(C)における制御フローの流れは、
図8と同様のものとなる。
【0078】
PV230は、当日の気象条件等の外部要因によって大きく左右されるため、調整電力として制御によりコントロールできるものではなく、PV単体での活用は行っておらず、蓄電池220やCGS240等の制御可能な他の分散型電源と組み合わせて活用している。
【0079】
ここで、PV230はいわゆる固定価格買取制度が終了していることを想定しており、電力の買取価格が下がっているので、PV230の電力を売電するよりも蓄電池220に充電する方が優先され、昼間は蓄電池220にPV230の電力を蓄える方が収益性がよいことになり、コストを考慮すると、そのような制御をすることが考えられる。
【0080】
一方で、(A)のように、PV230が無くて、蓄電池220単体で活用する場合には、蓄電池220は電気料金の比較的安い夜間に充電制御を行い、電気料金の高い昼間に放電制御を行うことが考えられる。
【0081】
すなわち、(A)の蓄電池220単体では昼間に放電制御を行う可能性が高いのに対して、(C)の蓄電池220とPV230との組み合わせでは昼間に蓄電池220は充電制御を行う可能性が高いことになる。
【0082】
上述したように、需要家選択手段80は、定格放電を行っている需要家200は対象となる需要家200から外すようにしている。つまり、蓄電池220の充電制御を行っている需要家200の方が調整力資源として活用できる可能性は高いことになり、(C)のように蓄電池220とPV230とを組み合わせている需要家200の方が調整電力を提供できる可能性が高くなって、(A)と比較して対象需要家を集約し易いといった特徴が、(C)のような分散型電源の組み合わせによって生まれることになる。
【0083】
次に上述した(D)のCGS240及びPV230の組み合わせの活用について説明する。この場合の需要家選択手段80により選択される対象となる需要家200は、(B)の場合と同様にDR実施予定期間中にCGS240の定格運転以外を行うと予測される需要家200となる。また、この(D)における制御フローの流れは、
図9と同様のものとなる。
【0084】
この(D)のCGS240及びPV230の組み合わせの場合は、PV230の発電量が気象条件等の変動により予測誤差が発生する可能性が高いので、予測より小さいような場合には、CGS240のように自由に出力を制御できるものと組み合わせることで、CGSの発電によりPV230を補完することができる。これにより、計画した調整電力に到達できなかったというような失敗を回避することができる。
【0085】
次に上述した(E)の蓄電池220及びCGS240の組み合わせの活用について説明する。この場合の需要家選択手段80により選択される対象となる需要家200は、DR実施予定期間中に蓄電池220の定格放電以外を行う、又は、CGS240の定格運転以外を行うと予測される需要家200となる。なお、対象となる需要家200は、DR実施予定期間中に蓄電池220の定格放電以外を行う、且つ、CGS240の定格運転以外を行うと予測される需要家200としてもよい。すなわち、複数の分散型電源の一部を定格運転している需要者を対象需要家から外してもよいし、又は、複数の分散型電源の全部を定格運転している需要者を対象需要家から外すようにしてもよい。
また、この(E)における制御フローの流れは、蓄電池220に関しては
図8、CGS240に関しては
図9と同様のものとなる。
【0086】
蓄電池220単体の場合は、蓄電池220に充電する電力は商用電力系統による充電電力1種類になるが、CGS240を組み合わせることで、充電電力の単価とCGS240の発電の単価とを比較して、コストの低い有利な方を選択することができる。
【0087】
次に上述した(F)の蓄電池220、CGS240及びPV230の組み合わせの活用は、対象需要家及び制御フローは、上述した(E)と同じになる。
この(F)の場合は、上述した(C)(D)(E)における説明の全てを組み合わせて制御することが可能となる。
【0088】
図10に示すように、一需要家200において、
図7で説明した(A)〜(F)の6タイプを「DRを行わないと仮定した場合のDR実施予定期間中の予測」→「DR実施予定期間中の制御」の内容によって更に詳細に分類したものである。
(A)の蓄電池220単体では、
図8で説明したように、A1の充電制御→充電制御、A2の充電制御→充放電停止、A3の充電制御→放電制御、A4の充放電停止→放電制御、A5の放電制御→放電制御の5タイプがある。
(B)のCGS240単体では、
図9で説明したように、B1のCGS停止→CGS運転、B2のCGS運転→CGS運転の2タイプがある。
(C)の蓄電池220及びPV230の組み合わせでは、C1のA1+PV230から、C5のA5+PV230まで5タイプがある。
【0089】
(D)のCGS240及びPV230の組み合わせでは、D1のB1+PV230、D2のB2+PV230の2タイプがある。
(E)の蓄電池220及びCGS240の組み合わせでは、E1のA1+B1から、E10のA5+B2まで10タイプがある。
(F)の蓄電池220、CGS240及びPV230の組み合わせでは、F1のA1+B1+PV230から、F10のA5+B2+PV230まで10タイプがある。
【0090】
運転制御決定手段90は、上述した全てのタイプにおいて、調整電力として活用する際の単位電力あたりのコストを予め組み込まれたプログラムにより算出するものである。
運転制御決定手段90は、運転状態予測手段70で予測したDR実施予定期間における分散型電源の運転状態に基づいて、調整電力として活用する際の単位電力あたりのコストを算出する。
運転制御決定手段90は、現在の運転状態と、予め契約時に登録されている分散型電源の機種や性能等の諸データにより予め組み込まれたプログラムにより適切な電力コストを算出することができるようになっている。
【0091】
電力コストを算出することで、例えば単位時間あたりCGS240で1kW発電している状態から発電量を増加させて3kW発電させ、調整電力として2kW獲得する場合と、CGS240を停止している状態から、起動させて運転状態へ移行させて調整電力として2kW獲得する場合とでは、電力としては同じであっても、後者の方が起動するに際して多くにエネルギーを消費することになり、必要経費が高くなり電力コストは高くなってしまうようなことが判明する。
【0092】
運転制御決定手段90は、複数種類の分散型電源において、A1、・・・、A5、B1、B2のような単体での運転制御方法、及び、複数種類の分散型電源におけるC1、・・・、C5、D1、D2、E1、・・・、E10、F1、・・・、F10のような任意の組み合わせによる運転制御方法、の中からDR実施予定期間中における需要家200にとって最も有利な運転制御方法を決定する。具体的には、運転制御決定手段90は、上述した各タイプの中からDR実施予定期間中に最も電力コストの低いタイプの運転制御方法を決定するものである。
【0093】
運転制御決定手段90は、上述したようにDR実施予定期間中の運転制御方法を電力コストに基づいて決定すると、決定された運転制御方法により、DR要請後からDR実施予定期間が開始されるまでの準備期間中の分散型電源の運転制御方法も決定する。
具体的には、例えば、
図10において、電力コストとしてY4が最も需要家200にとって有利であると運転制御決定手段90が決定した場合は、DR実施予定期間中の運転制御方法はA4タイプに決定される。このA4タイプでは、
図8に示すように、DR準備期間の運転制御方法として蓄電池220単体の充電制御による運転制御方法に決定されるものである。
【0094】
次に、
図11を用いて、DR実施の流れをフローチャートで説明する。
先ず、ステップ110において、電力会社20からアグリゲータ30へDR要請があったか否かが判定される。DR要請が有りと判定された場合、次のステップ111へ進み、DR要請が無いと判定された場合、ステップ110の前に戻る。
【0095】
ステップ111において、運転状態把握手段60により、各需要家200の各分散型電源の運転状態の把握処理が行われる。具体的には、アグリゲータ30の分散型電源制御装置40の運転状態把握手段60が、ネットワーク回線を介して、各需要家200の電源管理装置210としてのHEMSから必要な情報データを入手することで行われる。そして、次のステップ112に進む。
【0096】
ステップ112において、運転状態予測手段70により、各需要家200の各分散型電源の運転状態予測処理が行われる。具体的には、運転状態予測手段70が、運転状態把握手段60からの現在の運転状態のデータや、各需要家200毎の分散型電源の運転状態に関する過去の実績データに基づいて、DRを行わないと仮定した場合の需要家200毎のDR実施予定期間における分散型電源の運転状態を予測するものである。そして、次のステップ113に進む。
【0097】
ステップ113において、需要家選択手段80により、今回のDR要請の対象需要家の設定処理が行われる。需要家選択手段80は、運転状態予測手段70で予測したDR実施予定期間における分散型電源の運転状態に基づいて、DRの調整電力として活用可能な分散型電源を持つ需要家200を選択する。そして、次のステップ114に進む。
【0098】
ステップ114において、運転制御決定手段90により、DR実施予定期間中の運転制御方法の決定処理が行われる。なお、当該処理は後で詳細に説明する(
図12参照)。そして、次のステップ115に進む。
【0099】
ステップ115において、運転制御決定手段90により、ステップ114で決定したDR実施予定期間中の運転制御方法に基づいて、DR準備期間中の運転制御方法の決定処理が行われる。具体的には、例えば、DR実施予定期間中の運転制御方法が、
図10のA4タイプに決定したとすると、DR準備期間中の蓄電池220の運転制御方法は、充電制御となる(
図8参照)。そして、次のステップ116に進む。
【0100】
ステップ116において、ステップ115で決定した準備期間中の運転制御方法による実行処理が行われる。具体的には、指示手段100により、ネットワーク回線を介して、各需要家200の電源管理装置210としてのHEMSに対して決定されたDR準備期間中の運転制御方法が指示され、実行される。なお、DR準備期間中の運転を実行しないと決定した場合には、その旨が指示される。そして、次のステップ117に進む。
ステップ117において、DR開始75の時刻であるか否かが判定される。当該時刻であると判定された場合、次のステップ118へ進み、当該時刻でないと判定された場合、ステップ116に戻る。
【0101】
ステップ118において、ステップ114で決定したDR実施予定期間中の運転制御方法による実行処理が行われる。具体的には、指示手段100により、ネットワーク回線を介して、各需要家200の電源管理装置210としてのHEMSに対して決定された運転制御方法が指示され、実行される。そして、次のステップ119に進む。
ステップ119において、DR終了76の時刻であるか否かが判定される。当該時刻であると判定された場合、当該処理が終了し、当該時刻でないと判定された場合、ステップ118に戻る。
【0102】
次に、
図12を用いて、
図11のステップ114のDR実施予定期間中の運転制御方法等決定処理の流れをフローチャートで説明する。
ステップ210において、運転制御決定手段90により、需要家200毎に選択可能な各タイプ(
図10参照)の電力コストの算出処理が行われる。
具体的には、DRを行わないと仮定した場合のDR実施予定期間中の運転状態の予測があれば、各タイプ(
図10参照)におけるDR実施予定期間中の運転状態により、タイプ毎に供給可能な電力(調整電力としてのタイプ別供給電力)を算出することができる。すなわち、DRを行わない場合の予測値と、タイプとにより供給できる電力(タイプ別供給電力)が算出される。例えば、蓄電池220において、運転状態の予測が充放電停止であって、A4タイプに決定された場合、定格放電が3kWである場合には、当該需要家200の供給できる調整電力としてのタイプ別供給電力は3kWとなる。また、当該運転に用いた機器の諸データから当該電力を供給するために必要となった必要経費を算出する。そして、(必要経費/タイプ別供給電力)の値により、当該タイプ毎の電力コストを算出することができる。
そして、次のステップ211に進む。
【0103】
ステップ211において、運転制御決定手段90により、各需要家200で最も電力コストの低いタイプ(
図10参照)の決定処理が行われる。そして、次のステップ212に進む。
ステップ212において、各需要家200の調整電力の算出処理と、アグリゲータ30が管理する需要家200の合計調整電力の算出処理とが行われる。
【0104】
既に説明しているように各需要家200の調整電力は、DRを行わないと仮定した場合のDR実施予定期間における運転状態の予測と、DR実施予定期間中の運転制御方法であるタイプ(
図10参照)とにより算出されるものである。合計調整電力は、各需要家200の調整電力を合計することにより算出される。そして、次のステップ213に進む。
ステップ213において、合計調整電力に加算した需要家200の抽出処理が行われる。そして、次のステップ214に進む。
【0105】
ステップ214において、指示手段100により、抽出した需要家200に対して、DRの指示処理が行われる。具体的には、指示手段100が、DR準備期間及びDR実施予定期間の運転制御方法の指示が行われる。そして、当該処理が終了する。
【0106】
本実施の形態では、上述したような構成を有することにより、以下に示すような作用及び効果を奏する。
【0107】
本実施の形態によれば、需要家200毎にDR実施予定期間中における分散型電源の運転状態を予測し、予測結果に基づいて、需要家200を選択すると共に、選択された需要家200毎に調整電力として活用可能な分散型電源の運転制御方法を決定するため、DR実施予定期間中に、分散型電源を調整電力として活用できる可能性が高まる。
結果として、全ての需要家200に要請することなく需要家200を選択することで需要家200の利便性を出来る限り損なわないようにすることができ、さらに、電力会社20からのDR要請に的確に対応することができる。
【0108】
本実施の形態によれば、制御サーバとしての分散型電源制御装置40は、運転制御決定手段90により需要家200毎に決定した運転制御方法を、指示手段100により電源管理装置210に対して指示する。このとき、必要に応じて、DR実施予定期間に実行する運転制御方法に備えて、DR準備期間中の分散型電源の運転制御方法を決定し、このDR準備期間中の運転制御方法を電源管理装置に対して指示することで、分散型電源をより有効に活用することが可能となる。
【0109】
本実施の形態によれば、複数種類の分散型電源の単体での運転制御方法や、任意の組み合わせによる運転制御方法の中から需要家200にとって最も有利な運転制御方法を決定する。分散型電源制御装置40が需要家200にとって最も有利な運転制御方法を決定することで、需要家200は自分にとって最も有利な運転制御方法を実行することが可能となる。
運転制御決定手段90は、分散型電源の種類毎に予め定められた、調整電力として活用する際の単位電力あたりのコストに基づいて、複数種類の分散型電源の単体又は組み合わせによる運転制御方法の中から需要家にとって最も有利な運転制御方法を決定している。需要家が複数の分散型電源を有する場合に、需要家自身がそれらの中で最も自己にとって有利な運転制御方法をその都度判断し決定するのは容易ではない。本実施の形態ではアグリゲータの運転制御決定手段90が需要家にとって最も有利な運転制御方法を決定し、決定された運転制御方法を指示手段が電源管理装置210に対して指示することで需要家の判断決定の負担を軽減し、調整電力のコストを最も低くすることができる。
【0110】
本実施の形態によれば、蓄電池220とPV230の組み合わせの場合、蓄電池220単体の場合よりも調整電力の調達可能性を高くすることができる。
また、CGS240とPV230との組み合わせの場合、CGS240によって、調整後ベースライン73に対するPV230の出力不足を補完することができる。
また、蓄電池220とCGS240との組み合わせの場合、商用電力系統からの受電電力と、CGS240による発電電力とを比較し、より安価な電力を蓄電池220に充電することができる。
また、蓄電池220、CGS240、及びPV230の組み合わせの場合、上記3つの組み合わせで説明した全ての効果を得ることができる。
【0111】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、需要家選択手段80は、DR実施予定期間中において活用可能な分散型電源を有する需要家200を先ず選択する。
そして、運転制御決定手段90は、選択した需要家200の各々について、分散型電源の運転制御方法を電力コストが最小となるように決定する。
【0112】
そして、本実施の形態では、各需要家200の調整電力をまとめる際、需要家選択手段80は、需要家200毎に調達される調整電力の合計が、DR要請における必要な調整電力に到達するように需要家200を限定して選択する。
【0113】
具体的には、需要家選択手段80は、需要家200毎の調整電力として活用する際の単位電力あたりのコストが低い順に加算し、その加算した合計がアグリゲータ30に要請されたDRに必要な調整電力に到達するように需要家200を選択する。
【0114】
なお、ここで、需要家200毎の調整電力は、第1の実施の形態で説明したように当該需要家200の複数の分散型電源の単体又は組み合わせの中で電力コストが最も低い運転制御方法によって得られるものである。
そして、指示手段100は、需要家選択手段80が選択した需要家200の電源管理装置210に対して、運転制御決定手段90により決定された運転制御方法をデマンドレスポンスの実施予定期間において実行するように指示する。
【0115】
図13を用いて、需要家200毎の調整電力を単位電力あたりのコストが低い順に加算する処理について説明する。
図13の左側には、電力コスト順にソートする前の需要家200を区別するための需要家番号と、当該需要家200の最も有利な運転制御方法が得られると予測される電力コストと、当該需要家200の当該運転制御方法によって得ることができると予測される調整電力とが示されている。このソート前の電力コストの大小は何も調整されていない。
【0116】
図13の右側には、左側の表の電力コストを小さい方から順番に並べることができる昇順ソート整列処理のプログラムにより、ソートが行われた後の需要家番号、電力コスト、調整電力が表示されている。
図13の右側のソート後の電力コストの大小は、上から順にZ9<Z7<Z3<Z8<Z5<Z20<Z2<・・・・の大小関係を有するように並んでいる。すなわち、ソート後の順番は、上から順に電力コストが低い順番に並んでおり、調整電力として活用する際の単位電力あたりのコストが低い順番に並んでいることになる。
【0117】
本実施の形態では、ソート後の調整電力を上から順番に1つずつ加算し、加算するごとに、その加算した合計調整電力がDR要請に必要な調整電力に到達したか否かを比較し、合計調整電力が必要な調整電力に到達するまで加算を繰り返しているものである。
【0118】
本実施の形態では、第1の実施の形態の
図12の代わりに
図14が用いられる。
図14を用いて、
図11のステップ114のDR実施予定期間中の運転制御方法等決定処理の流れをフローチャートで説明する。
ステップ310において、運転制御決定手段90により、需要家200毎に選択可能な各タイプの電力コストの算出処理が行われる。そして、次のステップ311に進む。
【0119】
ステップ311において、運転制御決定手段90により、各需要家200で最も電力コストの低いタイプの決定処理が行われる。そして、次のステップ312に進む。
ステップ312において、各需要家200の調整電力の算出処理が行われる。
各需要家200の調整電力は、DRを行わないと仮定した場合のDR実施予定期間における運転状態の予測と、ステップ311で決定したDR実施予定期間中の運転制御方法であるタイプとにより算出される。そして、次にステップ313に進む。
【0120】
ステップ313において、各需要家200の電力コストの低コスト順に昇順ソート整列処理が行われる。具体的には、
図14の左側のソート前から右側のソート後に移行するものであって、ソート後では電力コストの小さい順に上から並んだ状態となる。そして、次のステップ314に進む。
【0121】
ステップ314において、ソート後の需要家200の調整電力を先頭から(
図13では上から)順番に1つずつ合計調整電力に加算する処理が行われる。
そして、次のステップ315に進む。
【0122】
ステップ315において、合計調整電力がDR要請に対応する必要な調整電力である所定値に到達したか否かが判定される。到達したと判定された場合、次のステップ316へ進み、到達していないと判定された場合、ステップ314の前に戻る。
なお、所定値は、DR要請の調整電力と完全に一致させてもよいが、DR要請の調整電力に所定の加算値を加えて余裕を持たせるようにしてもよい。
このステップ314及びステップ315の処理は、具体的には、
図13では、合計調整電力は、最初はP9となり、P9が所定値に到達したか否かが判定され、到達していない場合に次は、P9+P7となり、このP9+P7が所定値に到達したか否かが判定され、到達していない場合に次は、P9+P7+P3となり、このP9+P7+P3が所定値に到達したか否かが判定されるような処理が、合計調整電力が所定値に到達するまで繰り返されるものである。
【0123】
ステップ316において、合計調整電力に加算した需要家200の抽出処理が行われる。合計調整電力が所定値に到達するまでに合計調整電力に加算した調整電力の需要家200が抽出される。そして、次のステップ317に進む。
ステップ317において、抽出した需要家200に指示手段100によりDR指示処理が行われる。具体的には、DR開始75の時刻や、DR終了76の時刻や、DR準備期間やDR実施予定期間の運転制御方法等が報告されるものである。そして、当該処理が終了する。
【0124】
本実施の形態によれば、需要家選択手段80は、需要家200全員ではなく、需要家200毎に調達される調整電力の合計が、DRの実施予定期間を含む要請における必要な調整電力に到達するように需要家200を選択している。
アグリゲータ30が統括する全需要家200を対象にすると、需要家200に対する利便性を大きく損なうことになるのに対して、本実施の形態では、DR要請に必要な調整電力に到達するように需要家200を選択していることで、需要家200の利便性を損なうことなく、DRの実施予定期間を含む要請に対応することができる。
【0125】
具体的に説明すると、需要家選択手段80は、需要家200毎の調整電力を単位電力あたりのコストが低い順に加算し、その加算した合計が必要な調整電力に到達するように需要家200を選択している。
すなわち、需要家選択手段80は、需要家200毎の調整電力を加算した合計がDR要請に必要な調整電力に到達するまでに調整電力を加算した需要家200を選択している。
需要家200の調整電力のうち、単位電力あたりのコストが低い方から調整電力に利用されていることになる。これにより、必要な調整電力のコストを最も低くすることができる。調整電力のコストを最も低くすることは、需要家200にとっても、アグリゲータ30にとっても大きな利益となる。
【0126】
さらに、必要な調整電力に到達するまで各需要家200の調整電力を加算しているが、合計の調整電力が必要な調整電力に到達した後は、その他の需要家200から調整電力の調達は実行していない。
【0127】
本実施の形態では、コストが低い順に加算すると共に、加算した合計がDR要請に必要な調整電力に到達するように需要家200に限定していることで、他の需要家200の利便性を損なうことなく、最低コストの調整電力をDR要請に必要な最小量だけ確実に得ることができる。これにより、電力会社、アグリゲータ30及び需要家200の全てに利益をもたらすことが可能となる。
その他の構成や、作用及び効果は、第1の実施の形態で説明したものと同様であるため、それらの説明を省略する。
【0128】
(第3の実施の形態)
第2の実施の形態の
図13では、各需要家200の電力コストの小さい順に各需要家200の調整電力を昇順ソート整列処理を行って、ソート後の調整電力を電力コストの小さい順に合計調整電力として加算していたのに対して、本実施の形態では、
図15に示すように、各需要家200の調整電力の大きい順に各需要家200の調整電力を降順ソート整列処理を行って、ソート後の調整電力を調整電力の大きい順に合計調整電力として加算しているものである。
すなわち、
図15のソート後の調整電力の大小は、P4>P1>P3>P5>P8>P18>P2>P9>・・・・・のようになるものである。
【0129】
本実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、各需要家200の調整電力をまとめる際、需要家選択手段80は、需要家200毎に調達される調整電力の合計が、DR要請における必要な調整電力に到達するように需要家200に限定して選択する。
具体的には、需要家選択手段80は、需要家200毎の調整電力を大きい順に加算し、その加算した合計がアグリゲータ30に要請されたDRに必要な調整電力に到達するように需要家200を選択する。
図16を用いて、需要家200毎の調整電力を大きい順に加算する処理について説明する。
【0130】
図16は、第2の実施の形態で説明した
図14のステップ313だけが、
図16のステップ413に変更されているもので、その他のステップは、第2の実施の形態と同様であるため、各ステップの内容の説明は一部省略する。
ステップ413において、各需要家200の調整電力が大きい順に降順ソート整列処理が行われる。具体的には、
図15の左側のソート前から右側のソート後に移行するものであって、ソート後では調整電力の大きい順に上から並んだ状態となる。そして、次のステップ414に進む。
【0131】
ステップ414において、ソート後の需要家200の調整電力を先頭から(
図15では上から)順番に1つずつ合計調整電力に加算する処理が行われる。
そして、次のステップ415に進む。
【0132】
ステップ415において、合計調整電力がDR要請に対応する必要な調整電力である所定値に到達したか否かが判定される。到達したと判定された場合、次のステップ416へ進み、到達していないと判定された場合、ステップ414の前に戻る。
【0133】
このステップ414及び415の処理は、具体的には、
図15では、合計調整電力は、最初はP4となり、P4が所定値に到達したか否かが判定され、到達していない場合に次は、P4+P1となり、このP4+P1が所定値に到達したか否かが判定され、到達していない場合に次は、P4+P1+P3となり、このP4+P1+P3が所定値に到達したか否かが判定されるような処理が、合計調整電力が所定値に到達するまで繰り返されるものである。
【0134】
本実施の形態によれば、需要家200の調整電力のうち、大きい方から調整電力に利用されていることになり、結果として、大口需要家から選択されることになり、選択される需要家200の数を最も減らすことができる。
人的資源やエネルギー設備も不足している中小企業等の多数の小口需要家よりも、それらを潤沢に有してDRへの対応も十分可能な少数の大企業である大口需要家の方から調整電力を得ることで、多数の需要家200の利便性を損なうことを回避することができる。
【0135】
なお、本実施の形態では、需要家200の調整電力のうち、大きい方から調整電力として利用されていたが、逆に需要家200の調整電力のうち、小さい方から調整電力に利用するようにしてもよい。このようにすると、小口需要家から選択されることになり、選択する需要家200の数を最大限に増やすことができる。各需要家200から利用する調整電力をできるだけ小さいものにして、多くの需要家200から少しずつ調整電力を供給するようなことが可能となる。
その他の構成や、作用及び効果は、第1の実施の形態で説明したものと同様であるため、それらの説明を省略する。
【0136】
(第4の実施の形態)
上述した第2の実施の形態では、各需要家200で最も電力コストが低いタイプを選択しているため、対象となった需要家200において、コストメリットが最大となった。
【0137】
本実施の形態に係る運転制御決定手段90は、対象となる全需要家200の全てのタイプ(運転制御方法)の組み合わせの中で、アグリゲータ30にとって最も有利なタイプ(運転制御方法)を決定可能にしたものである。
これにより、本実施の形態は、需要家200よりも、アグリゲータ30にとってコストメリットが最大となる。
具体的には、運転制御決定手段90が、各需要家200の各タイプにおいて、電力コストと、調整電力と、アグリゲータ30の支払額とを算出し、更に、対象となる全需要家200の全タイプ同士の全ての組み合わせ(当該需要家200が採用されない場合も含む)における調整電力の合計とアグリゲータ30の支払い額の合計とを算出する。
【0138】
そして、運転制御決定手段90が、その全組み合わせにおける調整電力の合計がDR要請に必要な調整電力の値に達成している組み合わせの範囲(グループ)の中から、アグリゲータ30の支払い額の合計が最小となる需要家200及びタイプの組み合わせを決定する。
【0139】
図17を用いて、一例としてアグリゲータ30が需要家A、B、Cから必要な調整電力を調達する際の第2の実施の形態の場合と本実施の形態の場合とを比較して説明する。
【0140】
なお、本実施の形態では、アグリゲータ30が各需要家200へ支払う支払い額は、予め定めた契約に基づいて、電力コスト(円/kW)と調整電力(kW)との積に比例するように設定されている。すなわち、アグリゲータ30の支払い額は、
図17(A)に示す長方形の面積に比例する。また、
図17(D)(E)に示すように、アグリゲータ30の支払い額の合計は、各需要家200の長方形の面積の合計に比例するものとなる。
【0141】
図17(A)に示すように、各需要家200の各タイプの電力コストの数値を長方形の縦辺の長さに対応させ、各需要家200の各タイプの調整電力の数値を長方形の横辺の長さに対応させて表示する。
【0142】
図17(B)に示すように、
図17(A)で説明した長方形の内部の模様の相違により、需要家A、B、Cを区別している。各需要家200の各タイプの長方形の内部の模様が斜線である場合、需要家Aを意味し、横線である場合、需要家Bを意味し、縦線である場合、需要家Cを意味している。
【0143】
図17(C)に示すように、
図17(A)で説明した長方形の内部の数値1、2、3、・・は、当該需要家200の各タイプの中で、電力コストの低い方からの順番を意味している。具体的には、例えば、数値1は当該需要家200の各タイプの中で最も電力コストが低いタイプであり、数値2は、当該需要家200の各タイプの中で2番目に電力コストが低いタイプである。
【0144】
図17(D)に示すように、上述した長方形により第2の実施の形態を示すと、長方形の内部の数値は、全て1となっており、各需要家200において、最も電力コストが低いタイプを低い方から順番に加算している。したがって、第2の実施の形態では、各需要家200にとって、コストメリットが最大となる。
【0145】
それに対して、本実施の形態では、対象となる全需要家200の全タイプ同士の全ての組み合わせにおける調整電力の合計とアグリゲータ30の支払い額の合計とを算出し、調整電力の合計が必要な調整電力の値に達成している組み合わせの中から、アグリゲータ30の支払い額の合計が最小となる需要家200及びタイプの組み合わせを決定している。
【0146】
このため、
図17(E)に示すように、本実施の形態では、必ずしも各需要家200にとって最も電力コストが低いタイプが選択されるとは限らず、需要家Aでは、需要家Aの各タイプの中で2番目に電力コストが低いタイプが選択されている。
図17(D)と(E)とを比較すると、
図17(E)において、需要家Aの電力コストが僅かに増えているが調整電力が増加したことで、必要調整電力を獲得する際、電力コストが高い需要家Cが選択されないことになり、3つの長方形の面積の合計が、
図17(D)よりも小さなものになっている。本実施の形態に係る
図17(E)では、各需要家200にとっては、需要家Aのように、必ずしも電力コストが最小のものが選択されるとは限らないが、3つの長方形の面積、すなわちアグリゲータ30の支払い額の合計が最小になっている。結果として、本実施の形態ではアグリゲータ30にとってコストメリットが最大になる。
【0147】
図18(A)(B)は、
図17で示した需要家A、B、Cにおいて、各タイプ(運転制御方法)がそれぞれ4個、5個、2個ある場合に、全需要家200の全タイプ同士の全ての組み合わせの内容を説明しているものである。なお、数値0は、当該需要家が選択されない場合を意味している。
【0148】
図18(A)に示すように、数値0の場合も含めて、需要家Aの5個と、需要家Bの6個と、需要家Cの3個との全ての組み合わせを検討することになる。
【0149】
図18(B)に示すように、(A)で説明した全ての組み合わせのそれぞれにおいて、各需要家200の調整電力の合計Q1〜Qnと、各需要家200のアグリゲータ30の支払い額の合計T1〜Tnとが算出される。
そして、調整電力の合計Q1〜Qnの中で、DR要請に必要な調整電力に達成している組み合わせを抽出し、その抽出した範囲の中でアグリゲータ30の支払い額の合計が最も小さい組み合わせを選択する。これにより、最終的にアグリゲータ30の支払い額が最小となる各需要家200のタイプ(運転制御方法)の組み合わせを決定することができる。
【0150】
図19を用いて、
図11のステップ114のDR実施予定期間中の運転制御方法等決定処理の流れをフローチャートで説明する。
【0151】
ステップ510において、運転制御決定手段90により、需要家200毎に選択可能な各タイプの電力コストの算出処理が行われる。そして、次のステップ511に進む。
ステップ511において、運転制御決定手段90により、各需要家200において各タイプの調整電力の算出処理が行われる。
【0152】
各需要家200の各タイプの調整電力は、各タイプにおいてDRを行わないと仮定した場合のDR実施予定期間における運転状態の予測と、DR実施予定期間中の運転制御方法であるタイプとにより算出される。そして、次にステップ512に進む。
ステップ512において、運転制御決定手段90により、各需要家200において各タイプのアグリゲータ30の支払い額の算出処理が行われる。
【0153】
アグリゲータ30の支払い額は、本実施の形態では、電力コスト(円/kW)と調整電力(具体的には調整電力容量(kW))との積に比例するように設定されている。なお、支払い額は、特にこれに限定されるものではなく、アグリゲータ30と需要家200との間の契約により自由に設定することが可能である。例えば、契約により予め決められた一定報酬額(円/kW)と、調整電力容量(kW)との積に基づいて算出したり、単位も(kW)ではなく(kWh)を用いて、(kWh)に対する報酬額(円/kWh)と、調整電力容量(kWh)との積に基づいて算出する等の種々の算出方法により算出してもよい。そして、次のステップ513に進む。
【0154】
ステップ513において、運転制御決定手段90により、対象となる全需要家200の全タイプ同士の全ての組み合わせにおいて調整電力の合計及びアグリゲータ30の支払い額の合計の算出処理が行われる。
【0155】
ここで、全需要家200の全タイプ同士の全ての組み合わせとは、具体的には、例えば、
図18(A)に示すように、当該需要家200を選択しない場合も含めた全タイプ同士の組み合わせを意味する。
図18(B)に示すように、全需要家の全タイプの組み合わせ毎に調整電力の合計Q1〜Qnと、アグリゲータ30の支払い額T1〜Tnとを算出するものである。そして、ステップ514に進む。
【0156】
ステップ514において、運転制御決定手段90により、対象となる全需要家200の全タイプ同士の全ての組み合わせにおいて調整電力の合計が所定値に達成する範囲(グループ)の中でアグリゲータ30の支払い額の合計が最小となる需要家及びタイプの組み合わせを決定する処理が行われる。
具体的には、例えば、
図18(B)で説明すると、調整電力の合計Q1〜Qnの中からDR要請に必要な所定値を超えるものを選択し、その選択した範囲(グループ)の中でアグリゲータの支払い額の合計が最小となる需要家及びそのタイプ(運転制御方法)を抽出する。
そして、次のステップ515に進む。
【0157】
ステップ515において、抽出した需要家200に対して指示手段100によりDR指示処理が行われる。具体的には、DR開始75の時刻や、DR終了76の時刻や、DR準備期間やDR実施予定期間の運転制御方法等が報告されるものである。そして、当該処理が終了する。
【0158】
本実施の形態では、対象となる全需要家の全タイプ同士の全ての組み合わせにおいて、調整電力の合計とアグリゲータの支払い額の合計とを算出し、さらに、当該組み合わせにおいてDR要請に必要な調整電力を獲得できる範囲を絞り、その範囲の中でアグリゲータ30の支払い額の合計が最小となる需要家及びタイプ(運転制御方法)を抽出している。
これにより、DR要請に対応することができると共に、全需要家200の全ての運転制御方法の組み合わせの中で、アグリゲータ30にとって最も有利な運転制御方法を決定することができ、アグリゲータ30のコストメリットを最大にすることができる。
【0159】
本実施の形態では、上述したような手順でアグリゲータ30にとって最も有利な運転制御方法を決定しているが、必ずしも上述したものに限定されるものではなく、アグリゲータの支払い額の合計が最小となるような各需要家200のタイプ(運転制御方法)の組み合わせが決定されるようなものであれば他の処理手順等によるものでもよい。
また、上述した処理は、主として運転制御決定手段90が実施しているが、需要家選択手段80が実施してもよく、また、両者が組み合わさって実施してもよく、また、当該処理内容を実行する別の構成手段を設けてもよいものである。
【0160】
なお、上述した第1、第2、第3及び第4の実施の形態は、組み合わせて使用することもできる。
【0161】
上述した第1、第2、第3及び第4の実施の形態のように僅かな構成の相違により、異なる調整電力を集約することが可能となるものである。
アグリゲータ30は、電力会社20からの電力削減量に到達することができてDR要請に応答できた場合は、インセンティブとしての報酬を得ることができるが、電力削減量に到達することができずにDR要請に応答できなかった場合には、ペナルティ料金を電力会社に支払うことになる。このため、対象となる需要家200を適切に選択し、電力削減未達リスクを最小限に抑えるDRの実施計画(DRポートフォリオ選択)をすることが重要となる。上述した第1、第2、第3及び第4の実施の形態のように僅かな相違により、調整電力の集約の仕方を変更することが可能となり、DRの種々の実施計画を立案し、実行することが可能となる。これにより、アグリゲータ30は、DRに対応できる多くの需要家200を収集し、電力会社20からのDRの実施予定期間を含む要請に柔軟に対応することが可能となる。
【0162】
以上、実施の形態を用いて本発明について説明したが、本発明は各実施の形態に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で各実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で処理の順序を変更してもよい。
【0163】
また、各実施の形態では、一例として制御サーバとしての分散型電源制御装置40での各種処理をソフトウエアで実現する形態について説明したが、
図11及び
図12等に示したフローチャートと同等の処理を、ハードウエアで処理させるようにしてもよい。この場合、各処理をソフトウエアで実行する場合に比べて、処理の高速化が図られる。
【0164】
また、上述した実施の形態では、分散型電源制御用のプログラムがROMにインストールされているものであるが、これに限定されるものではない。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供することも可能である。例えば、プログラムを、CD(Compact Disc)−ROM、又はDVD(Digital Versatile Disc)−ROM等の光ディスクに記録された形態で提供してもよい。また、プログラムを、USBメモリ及びフラッシュメモリ等の半導体メモリに記録された形態で提供してもよい。更に、通信回線を介して、通信回線に接続される外部装置からプログラムを取得するようにしてもよい。