(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903552
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】工事灯アセンブリ
(51)【国際特許分類】
E01F 9/615 20160101AFI20210701BHJP
E01F 13/02 20060101ALI20210701BHJP
E01F 9/608 20160101ALI20210701BHJP
E01F 9/688 20160101ALI20210701BHJP
【FI】
E01F9/615
E01F13/02 A
E01F9/608
E01F9/688
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-210259(P2017-210259)
(22)【出願日】2017年10月31日
(65)【公開番号】特開2019-82051(P2019-82051A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2020年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】505398941
【氏名又は名称】東日本高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 功
(72)【発明者】
【氏名】松葉 健志
(72)【発明者】
【氏名】森山 慶一
(72)【発明者】
【氏名】和田 久美子
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−160517(JP,A)
【文献】
特開2017−040097(JP,A)
【文献】
特開2004−250982(JP,A)
【文献】
実開昭50−152062(JP,U)
【文献】
実開昭58−013342(JP,U)
【文献】
特開2015−116036(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0216436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/615
E01F 13/02
E01F 9/608
E01F 9/688
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部においてコーン体の頂部の取付孔に装着可能な差込部を含む柱状の差込基部及び前記差込基部の前記一端部の反対側に担持される発光部を有する工事灯と、
前記差込部及び前記発光部の間において電子機器を前記差込基部に着脱自在に固定する取付具と、を有し、
前記取付具は、前記電子機器を保持する保持部と、前記保持部から前記差込基部を囲み且つ前記差込基部を締め付ける締め付け手段と、を有することを特徴とする工事灯アセンブリ。
【請求項2】
前記締め付け手段は、前記保持部に一体的に形成された環状体と、前記環状体に螺合する取付ネジと、前記環状体の内側の前記取付ネジの端部に設けられ前記差込基部に接する緩衝部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の工事灯アセンブリ。
【請求項3】
前記締め付け手段は、前記保持部に一体的に形成され且つ一部が開いたコ字状体と、前記コ字状体に螺合する取付ネジと、前記コ字状体の内側の前記取付ネジの端部に設けられ前記差込基部に接する緩衝部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の工事灯アセンブリ。
【請求項4】
前記締め付け手段は、前記保持部と共に前記差込基部に巻き付けられる結束バンド部を備えることを特徴とする請求項1に記載の工事灯アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カットコーン等に取付けられる工事灯と共に電子機器等の他の機器を同時に取付ける構造に関する。
【背景技術】
【0002】
道路において、工事や事故処理等で車線規制等を行う場合、規制区間であることを一般走行車に明示するための規制区間の一定間隔毎に並べられる標識具が用いられる。標識具として、ラバーコーン、カットコーン等の路上に起立し得る切頭円錐形状を有するコーン体(以下、単に「コーン」とも呼ぶ)が知られている。標識具としてのコーンは、暗くなる夜間、走行車のドライバや歩行者から視認されづらくなる。コーンの視認性を向上させるため、コーン頂部に頂部取付孔を設け、そこにLED(Light Emitting Diode)等を含む発光器具(以下、「工事灯」と呼ぶ)が装着される場合がある(特許文献1、
図10、参照)。また、コーンの状態の監視等を実現する目的で、コーン頂部に頂部取付孔に、例えば無線機器等工事灯以外の他の電子機器を保持させる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−040097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では、以下の問題があった。
1.コーンへの固定には、頂部取付孔を介して行うため、一つのコーンには、工事灯または他の機器のいずれか一つしか固定はできない。
2.工事灯と他の機器を同時にコーンへ固定するには他の機器を頂部取付孔ではなく、コーン側面に固定する必要があり、コーンの設置作業や撤収作業時に、作業者がコーンを掴む場所が限定され、作業性がよくない。
3.弾力性がある素材からなるコーンの設置作業や撤収作業時にコーンの変形や撓むことがあり、コーン側面に固定された他の機器がズレたり、最悪の場合脱落してしまう場合がある。
【0005】
本発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、工事灯に電子機器を固定して工事灯の設置等における作業性を改善できる取付ける構造である工事灯アセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の工事灯アセンブリは、一端部においてコーン体の頂部の取付孔に装着可能な差込部を含む柱状の差込基部及び前記差込基部の前記一端部の反対側に担持される発光部を有する工事灯と、
前記差込部及び前記発光部の間において電子機器を前記差込基部に着脱自在に固定する取付具と、を有し、
前記取付具は、前記電子機器を保持する保持部と、前記保持部から前記差込基部を囲み且つ前記差込基部を締め付ける締め付け手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の装着器具によれば、工事灯と共に電子機器を直接取付けることにより一つのコーンへ同時に固定ができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明による実施例1である工事灯アセンブリとこれが装着されるコーンを示す概略分解斜視図である。
【
図3】実施例1の工事灯アセンブリをコーンに装着した状態を示す斜視図である。
【
図4】実施例1の工事灯アセンブリの取付具とこれが装着される電子機器を示す概略分解斜視図である。
【
図5】実施例1の工事灯アセンブリの電子機器取付具を示す平面図である。
【
図6】実施例1の工事灯アセンブリの組み立てを示す斜視図である。
【
図7】本発明による実施例2の工事灯アセンブリの電子機器取付具を示す平面図である。
【
図8】本発明による実施例3の工事灯アセンブリの電子機器取付具を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明による実施例の工事灯アセンブリについて説明する。なお、実施例において、実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【実施例1】
【0010】
図1は実施例1である工事灯アセンブリAssとこれが装着されるコーン10を示す。コーン10の頂部には上下方向に延びる工事灯用の取付孔11が穿孔されている。取付孔11は基本的には円形とされているが、多角形でもよい。工事灯アセンブリAssは、工事灯20と取付具30(電子機器40用)とを有する。工事灯20と取付具30は、差込部21a及び発光部22の間において電子機器40を差込基部21に着脱自在に固定する。
【0011】
図2は実施例1における工事灯20を示す。工事灯20は、下端部においてコーン10の頂部の取付孔11に装着可能な差込部21aを含む柱状の差込基部21を有する。また、工事灯20は差込基部21の上端部に担持される発光部22を有する。工事灯20(工事灯アセンブリAss)は、その差込部21aを取付孔11に挿通し、差込基部21の下面で取付孔11の開口部に載置されることにより、工事灯20がコーン10に取り付けられる(
図3、参照)。
【0012】
図4は本実施例の工事灯アセンブリの取付具30と電子機器40を示す。
図5は本実施例の工事灯アセンブリの取付具30を示す。電子機器40には、無線機等が挙げられる。
【0013】
図4に示すように、取付具30は電子機器40を保持する保持部31を有する。また、取付具30は保持部31から差込基部21を囲み且つ差込基部21を締め付ける締め付け手段32(アジャスタボルト32aとアジャスタ32b)と、を有する。保持部31と電子機器40とは、例えば一対の凹部開口及び爪等の凸部の組を保持部31と電子機器40の相互に接合する平面にそれぞれ設けそれらを係合する公知結合方法等で、一体化される。
【0014】
締め付け手段32は、取付具30として保持部31に一体的に形成された環状体33と、環状体33に螺合する取付ネジ(アジャスタボルト32a)と、環状体33の内側の取付ネジ(アジャスタボルト32a)の端部に設けられ差込基部21に接する緩衝部(アジャスタ32b)と、を備える。
【0015】
図4、
図5に示すように、取付具30は、長方形の保持外平面を有する保持部31の両端から屈曲部31a、31bがそれぞれ屈曲して、対向部31cにて一体に延設され環状体33となっている。対向部31cは保持部31の保持外平面に略平行であり、屈曲部31a、31bの内壁は平面視で「く」の字型に屈曲して、差込基部21に内壁の2点で差込基部21に接触するように形成されている。
【0016】
アジャスタボルト32aは取付具30を差込基部21に取り付けるための取付ネジであり、一端に手で回転できるようにノブ部32aaを有し、他端は工事灯20の差込基部21の外周面の一部分を押さえることができるアジャスタ32bに結合している。アジャスタボルト32aは取付具30の対向部31cに設けたメネジMSに螺合される。
【0017】
差込基部21をホールドするアジャスタ32bは、合成ゴム、合成樹脂又は金属で形成されており、工事灯20を保持する帯状のベルト部32bbと、このベルト部32bbの両端を屈曲させ、取付具30の内壁面のガイド部30gに案内される摺動部32bcとを備える。アジャスタ32bの内壁には、差込基部21とのズレを防ぐために、その伸長方向に延びる複数のリブRbが設けられている。
【0018】
図5(b)に示す取付具30の最大内径mdは、
図2に示す工事灯20の差込基部21の外径Dよりも大きい。本実施例は、アジャスタボルト32aを締めるまたは緩めるとアジャスタ32bが取付具30内で可動し、
図5(a)(b)に示すように、取付具30の最小内径dから最大内径mdまで可変する仕組みを有する。
【0019】
なお、工事灯20の筐体は各種の合成樹脂からなり、その本体の内部(差込部21a、差込基部21、発光部22)には、図示しないが、光源の点滅等を制御する回路等が組み込まれたプリント基板、乾電池あるいはソーラーバッテリによって発生した電力を蓄えるための二次電池等が収容される。一例として円筒状の差込部21a内に乾電池等の電池が収容される。また、発光部22の発光面には光源としての例えばLEDが配置されるが、これらの構成も図示せず省略してある。なお、本体の外部構成である発光動作モードを切り換えるスイッチや電源スイッチ等も図示、説明を省略する。
【0020】
工事灯20と電子機器40を同時にコーン10に固定する場合の工事灯アセンブリの組み立てフローを説明する。まず、電子機器40に一体的に具備された取付具30を用意する。工事灯20の差込基部21に、差込部21a側から、電子機器40と一体化された取付具30を嵌める(
図6(a))。ここで、工事灯20の差込基部21の外径D(
図2)に合うように取付具30のアジャスタ32bを差込基部21にアジャスタボルト32aにより締めつける(
図6(b))。これにより工事灯20と電子機器40の固定が完了する(工事灯アセンブリAss)。そして、この状態で工事灯アセンブリAssの差込部21aをコーン10に具備された取付孔11に差し込むことでコーン10への工事灯20と電子機器40の固定が同時に実現する(
図3)。この際、電子機器40は工事灯20の発光部22を遮ることもない。
【0021】
実施例の工事灯アセンブリは、工事灯20の差込基部21とコーン10の取付孔11が嵌合し固定される構造・形状を対象としており、図示する工事灯20の外観は一例を示しているが、これに限定されず、変形も可能である。本実施例の説明では取付具30はアジャスタ32bとアジャスタボルト32aにより差込基部21と固定を例示しているが、無段階に締め付けが可能なベルト方式やマグネット等他の構造によっても固定が可能である。
【実施例2】
【0022】
本実施例は、取付具30(締め付け手段)を環状とはせず「コ」字型にした以外、実施例1と同一である。よって、取付具30のみを説明する。
図7に示すように、取付具30は、長方形の保持外平面を有する保持部31の両端の屈曲部31a、31bの一方31aが屈曲して、さらに屈曲した対向部31cにて一体に延設されコ字状体34となっている。屈曲部31bと対向部31cの間に差込基部21を受け入れる開口を形成している。よって、締め付け手段32(取付具30)は、保持部31に一体的に形成され且つ一部が開いたコ字状体34と、コ字状体34に螺合する取付ネジ(アジャスタボルト32a)と、コ字状体34の内側の取付ネジ(アジャスタボルト32a)の端部に設けられ差込基部21に接する緩衝部(アジャスタ32b)と、を備える。
【実施例3】
【0023】
本実施例は、取付具30(締め付け手段)を環状とはせず結束バンド部を利用した以外、実施例1と同一である。よって、取付具30のみを説明する。
図8に示すように、締め付け手段32(取付具30)は、保持部31と共に差込基部21に巻き付けられる結束バンド部35を備える。結束バンド部35は、その一端が保持部31の両端の屈曲部31a、31bの一方31bに固定され、その他端が他方の屈曲部31aのストラップ孔を通して戻し折り返し部分をバインダBDにて固定される。
【0024】
以上のように、以上の実施例によれば、コーンに取付けられる工事灯20と同時に電子機器40を取付ける構造において以下の効果を得られる。
1.工事灯20に電子機器40を直接取付けることで、一つのコーンへ同時に両者を固定することが可能となる。
2.工事灯20と同時に固定したい電子機器40に具備された取付具30の内径は、特定の工事灯20の外形専用に合わせた固定寸法、もしくは差込基部21の外形寸法が異なる複数種類の工事灯20への取付が可能となる。
3.電子機器40はコーン側面ではなく、工事灯20に直接固定するためコーンの設置や撤収作業時に、作業者がラバ−コーンを掴む場所が限定されず、作業性に影響を与えることがなくなる。
4.コーンが設置や撤収作業時に変形や撓むことがあっても、電子機器40がズレたり、脱落しない。
5.工事灯20の差込基部21に電子機器40を固定することにより、工事灯20の発光部22を遮ることがなく、特に夜間に通行車両や歩行者への視認性を低下させることがない。
【符号の説明】
【0025】
10…コーン、11…取付孔、21…差込基部、21a…差込部、22…発光部、20…工事灯、31…保持部、31a、31b…屈曲部、31c…対向部、40…電子機器、30…取付具、32a…アジャスタボルト、32b…アジャスタ、33…環状体。