【文献】
NIH Public Access Author Mannuscript available in PMC 2011.11.1,Published in final edited form as: JOURNAL OF IMMUNOTHERAPY、2010発行、vol.33、No.9、pp.956−964(インターネットより入手、URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2980947/pdf/nihms−244205.pdf(入手日2020年11月19日))
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
腫瘍反応性T細胞について濃縮された前記細胞集団が、自己腫瘍認識についてスクリーニングをすることなく得られる、請求項1または2に記載の単離され、または精製された細胞集団。
前記方法が、(c)において得られた前記濃縮された細胞集団においてT細胞の数を増加させることを更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離され、または精製された細胞集団。
前記方法が、腫瘍抗原及び/または自己腫瘍T細胞を用いて、(c)において得られた前記濃縮された細胞集団を刺激することを更に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の単離され、または精製された細胞集団。
前記方法が、IL‐12、IL‐7、IL‐15、IL‐2、IL‐21、mir155、及び抗PD‐1 siRNAのいずれか1以上をコードするヌクレオチド配列を、(c)において得られた前記濃縮された集団の細胞に形質導入またはトランスフェクトすることを更に含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の単離され、または精製された細胞集団。
癌の治療または予防のための組成物であって、前記組成物が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の前記腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団、または請求項9に記載の医薬組成物を含む、組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の詳細な説明
プログラム細胞死タンパク質1(programmed cell death protein 1,PD‐1;CD
279)及び/またはT-細胞イムノグロブリン及びムチンドメイン3(T-cell immunoglobulin and mucin domain 3,TIM‐3)バイオマーカも発現するCD8
+細胞を選択す
ることにより、末梢血にある腫瘍反応性T細胞が濃縮されることが分かった。PD‐1及び/またはTIM‐3も発現するCD8
+細胞を選択することにより、これらのマーカを
発現しないCD8
+細胞に比べて、より多数の腫瘍反応性T細胞が有利に濃縮される。
【0009】
この点において、本発明の実施態様は、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を得る方法を提供し、該方法は:(a)末梢血のサンプルから末梢血単核細胞(PBMCs)の混合集団を得ること;(b)混合集団からPD‐1及び/またはTIM‐3も発現するC
D8
+T細胞を特異的に選択すること;及び(c)(b)において選択された細胞を、選択
されていない細胞から分離して、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を得ること、を含む。本発明の方法は、インビトロでの培養の時間を短縮すること、及び自己腫瘍認識についてスクリーニングをする必要なく、腫瘍反応性T細胞のために選択することを好都合に可能にする。
【0010】
本方法は、当分野において知られた任意の適切な方法によって末梢血のサンプルからPBMCsの混合集団を得ることを含み得る。PBMCsの混合集団を得る適切な方法としては、採血及び/または白血球アフェレーシス(leukapheresis)が挙げられ得るが、これらに限定
されない。腫瘍サンプルから得られるPBMCsの混合集団は、腫瘍反応性T細胞等のT細胞
を含み得る。
【0011】
末梢血は、任意の哺乳動物から入手され得る。特に明記しない限り、本明細書で使用する場合、「哺乳動物」という用語は、限定されることなく、ウサギ等のウサギ目;ネコ科(猫)及びイヌ科(犬)等の食肉目;ウシ亜科(乳牛)及びイノシシ科(豚)等の偶蹄目;またはウマ科(ウマ)等の奇蹄目の哺乳動物を含む任意の哺乳動物に言及する。哺乳動物は、非ヒト霊長類、例えば、霊長目、セボイド(Ceboids)目、またはシモイド(Simoids)目(サル)またはアンスロポイド目(ヒト及び類人猿)が好ましい。いくつかの実施態様では、哺乳動物は、マウス及びハムスター等のネズミ目の哺乳動物であり得る。好ましくは、哺乳動物は非ヒト霊長類またはヒトである。特に好ましい哺乳動物はヒトである。
【0012】
本方法は、PD‐1及び/またはTIM‐3も発現するCD8
+T細胞を混合集団から
特異的に選択することを含み得る。好ましい実施態様では、本方法は、CD3も発現する細胞を選択することを含む。本方法は、任意の適切な方法において細胞を特異的に選択することを含み得る。好ましくは、当該選択は、フローサイトメトリーを用いて実施される。フローサイトメトリーは、当分野において知られた任意の適切な方法を用いて実施され得る。フローサイトメトリーは、任意の適切な抗体及び染料を用い得る。例えば、CD3、CD8、TIM‐3、またはPD‐1の特異的な選択は、それぞれ抗CD3、抗CD8、抗TIM‐3、または抗PD‐1抗体を用いて行われ得る。好ましくは、抗体は、選択された特定のバイオマーカを特異的に認識し、これに結合するように選択される。抗体または複数の抗体は、ビーズ(例えば、磁気ビーズ)または蛍光色素に結合され得る。好ましくは、フローサイトメトリーは、蛍光活性化セルソーティング(FACS)である。
【0013】
本発明の実施態様では、特異的に選択することは、TIM‐3、PD‐1のいずれか1つの発現、またはTIM‐3及びPD‐1の両方の発現に対し陽性であるCD8
+T細胞
を特異的に選択することを含み得る。この点に関し、特異的に選択することは、TIM‐3もしくはPD‐1発現に対し単独陽性であるT細胞を特異的に選択すること、またはTIM‐3及びPD‐1の同時共発現に対し二重陽性であるT細胞を特異的に選択することを含み得る。本発明の実施態様では、本方法は、TIM‐3を発現するCD8
+T細胞を
混合集団から特異的に選択することを含む。本発明の更に別の実施態様では、本方法は、混合集団からPD‐1を発現するCD8
+T細胞を特異的に選択することを含む。本発明
の更に別の実施態様は、(i)TIM‐3
+/PD‐1
+、(ii)TIM‐3
-/PD‐1
+
、または(iii)TIM‐3
+/PD‐1
-であるCD8
+T細胞を混合集団から特異的に選択することを含む。本発明の別の実施態様では、本明細書中に記述された方法のいずれかが、CD3
+も発現する細胞を選択することを更に含み得る。
【0014】
本発明の実施の態様では、特異的に選択することは、本明細書中に記述されたマーカのいずれかを発現するCD8
+細胞の組み合わせを特異的に選択することを含み得る。この
点に関し、本方法は、腫瘍反応性細胞について濃縮された細胞集団であって、本明細書中に記述されたバイオマーカのいずれか2つを発現する細胞の混合物を含むものを作製し得る。本発明の実施態様では、特異的に選択することは、PD‐1
+細胞及びTIM‐3
+細胞の組み合わせを特異的に選択することを含む。本発明の別の実施態様では、本明細書中に記述された方法のいずれかは、CD8
+及び/またはCD3
+も発現する細胞を選択することを更に含み得る。
【0015】
本方法は、選択された細胞を、選択されていない細胞から分離して、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を得ることを含み得る。この点において、選択された細胞は、選択されていない細胞から物理的に分離され得る。選択された細胞は、例えば、ソーティング等の任意の適切な方法によって、選択されていない細胞から分離され得る。選択されていない細胞から選択された細胞を分離することにより、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団が好ましくは作製される。
【0016】
本発明の方法によって得られた細胞集団は、有利に腫瘍反応性T細胞について濃縮される。この点において、本発明の方法によって得られた細胞集団は、TIM‐3及び/またはPD‐1発現によるソーティングによって得られたものではない細胞集団と比べて、より高い割合の腫瘍反応性T細胞を含み得る。
【0017】
本発明の実施態様では、本方法は、自己腫瘍認識についてスクリーニングすることなく、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を得ることを含む。この点において、本発明の方法は、自己腫瘍認識について細胞をスクリーニングする必要なく、腫瘍反応性を
有する細胞について濃縮された細胞集団を有利に提供する。
【0018】
本発明の実施の態様では、本方法は、細胞を特異的に選択する前にT細胞の混合集団を非特異的に刺激することを含まない。この点において、本発明の方法は、T細胞の混合集団を非特異的に刺激(例えば、抗4‐1BB抗体、抗CD3抗体、及び/または抗CD28抗体を用いて)することなく、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を有利に提供する。
【0019】
本発明の実施態様では、本方法は、本発明の方法によって得られた濃縮された細胞集団においてインビトロでT細胞数を増大させることを更に含む。T細胞の数は、少なくとも約3倍(または4、5、6、7、8、もしくは9倍)、より好ましくは少なくとも約10倍(または20、30、40、50、60、70、80、もしくは90倍)、より好ましくは少なくとも約100倍、より好ましくは少なくとも約1,000倍、または最も好ま
しくは少なくとも約100,000倍に増加され得る。T細胞の数は、その分野において知られた任意の適切な方法を用いて増加され得る。細胞数を増大させる典型的な方法は、米国特許第8,034,334号及び米国特許出願公開第2012/0244133号において記述され、そのそれぞれは、参照することによって本明細書中に組み込まれる。
【0020】
本発明の実施態様では、本方法は、TWS119、インターロイキン(IL‐21)、IL‐12、IL‐15、IL‐7、形質転換成長因子(TGF)ベータ、及びAKTイン
ヒビター(AKTi)のいずれか1以上の存在下、本発明の方法によって得られた濃縮された細胞集団を培養することを更に含む。特定の理論に拘束されることなく、TWS119、IL‐21、及び/またはIL‐12の存在下において、濃縮された細胞集団を培養することは、濃縮された細胞集団の分化を抑制または遅延させることにより、濃縮された細胞集団の抗腫瘍反応性を有利に強化し得ると考えられる。
【0021】
本発明の実施態様では、本方法は、IL‐12、IL‐7、IL‐15、IL−2、IL−21、mir155、及び抗PD‐1 siRNAのいずれか1以上をコードするヌ
クレオチド配列を用いて、本明細書中に記述された本発明の方法のいずれかによって得られた濃縮された集団の細胞を形質導入すること、またはトランスフェクトすることを更に含む。
【0022】
本発明の実施態様では、本方法は、本発明の方法によって得られた濃縮された細胞集団を、癌抗原及び/または自己腫瘍細胞で刺激することを更に含む。癌抗原及び/または自己腫瘍細胞で濃縮された細胞集団を刺激することは、任意の適切な方法によってなされ得る。例えば、濃縮された細胞集団を刺激することは、癌抗原及び/または自己腫瘍細胞を濃縮された細胞集団に物理的に接触させることによってなされ得る。特定の理論に拘束されることなく、癌抗原及び/または自己腫瘍細胞で濃縮された細胞集団を刺激することにより、濃縮された細胞集団の抗腫瘍反応性が有利に促進され得ると考えられる。
【0023】
本明細書中において使用される「癌抗原」という用語は、抗原が腫瘍または癌に関連付けられるように、腫瘍細胞または癌細胞によってもっぱらまたは大部分が発現され、または過剰発現される任意の分子(例えば、タンパク質、ペプチド、脂質、炭水化物等)のことをいう。癌抗原は、正常、非腫瘍、または非癌性細胞によって追加的に発現され得る。しかしながら、このような場合には、正常、非腫瘍、または非癌性細胞による癌抗原の発現は、腫瘍または癌細胞による発現程に強く(robust)ない。この点において、腫瘍または癌細胞は、抗原を過剰発現し得、または正常、非腫瘍、もしくは非癌性細胞による抗原の発現に比べて、より有意に高いレベルにおいて抗原を発現し得る。また、癌抗原は、発生または成熟(maturation)の異なる状態の細胞によって追加的に発現され得る。例えば、癌抗原は、胚形成期または胎児期の細胞によって追加的に発現され得、該細胞は、成体
宿主(adult host)において通常みられない。あるいは、癌抗原は、幹細胞または前駆細胞によって追加的に発現され得、該細胞は、成体宿主には通常みられない。
【0024】
癌抗原は、本明細書中に記述された癌及び腫瘍を含む、任意の癌または腫瘍のいずれかの細胞によって発現される抗原であり得る。癌抗原は、1種類のみの癌または腫瘍に関連づけられ、またはこれらに特徴的であるように、1種類のみの癌または腫瘍の癌抗原であり得る。代わりに、癌抗原は、2種類以上の癌または腫瘍の癌抗原(例えば、特徴的であり得る)であり得る。例えば、癌抗原は、乳癌及び前立腺癌細胞の両方によって発現され、正常、非腫瘍、または非癌性細胞によって全く発現されなくてもよい。典型的な癌抗原としては、gp100、MART−1、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A5、MAGE−A6、MAGE−A7、MAGE−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、MAGE−A12、NY−ESO−1、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR−2)、HER−2、メソテリン(mesothelin)、及び上皮細胞増殖因子受容体変異III(epidermal growth factor receptor variant III, EGFR III)のいずれか1以上が挙げられ得る。
【0025】
本発明の方法は、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を有利に作製する。T細胞は、腫瘍細胞を特異的に認識し、溶解し、及び/または死滅させるように、腫瘍反応性であり得る。この点において、本発明の実施態様は、明細書中に記述された本発明の方法のいずれかによって得られ、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団であって、単離され、または精製された細胞集団を提供する。実施の態様では、単離され、または精製された細胞集団は、(a)CD8
+/TIM‐3
+/PD‐1
+T細胞、(b)CD8
+/TIM‐3
-/PD‐1
+T細胞、及び(c)CD8
+/TIM‐3
+/PD‐1
-T細胞、を含み、細胞集団は、腫瘍反応性T細胞について濃縮される。本発明の別の実施態様では、単離され、または精製された細胞集団は、(a)CD8
+/TIM‐3
+/PD‐1
+T細胞、(b)CD8
+/TIM‐3
-/PD‐1
+T細胞、または(c)CD8
+/TIM‐3
+/P
D‐1
-T細胞、を含む。本発明の別の実施態様では、本明細書中に記述された細胞集団
のいずれかは、CD3
+でもあり得る。
【0026】
本発明の実施態様では、単離され、または精製された細胞集団は、本明細書中に記述されたバイオマーカのいずれかを発現する細胞の混合物を含む。例えば、単離され、または精製された細胞集団は、PD‐1
+細胞及びTIM‐3
+細胞の組み合わせを含み得る。本発明の別の実施態様では、本明細書中に記述された細胞集団のいずれかはまた、CD8
+
及び/またはCD3
+であり得る。
【0027】
本明細書中において使用される「単離され(isolated)」という用語は、その天然の環境から取り出されていることを意味する。本明細書中において使用される「精製され(purified)」という用語は、純度を増加させたことを意味し、「純度」は、相対的な用語であり、必ずしも絶対純度と解釈されない。例えば、純度は、少なくとも約50%であり得
、60%、70%もしくは80%より大きく、90%より大きく、あるいは100%であり得
る。
【0028】
本発明の別の実施態様は、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を哺乳動物に投与する方法を提供し、該方法は:(a)末梢血のサンプルからPBMCsの混合集団を得ること;(b)混合集団からPD‐1及び/またはTIM‐3も発現するCD8
+T細胞を特異的に選択すること;(c)(b)において選択された細胞を、選択されていない細胞から分離して、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を得ること;及び(d)腫瘍反応
性T細胞について濃縮された細胞集団を哺乳動物に投与すること、を含む。末梢血のサンプルからPBMCsの混合集団を得ること、混合集団からPD‐1及び/またはTIM‐3も
発現するCD8
+T細胞を特異的に選択すること、並びに選択された細胞を、選択されて
いない細胞から分離して、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を得ることは、本発明の他の態様に関して本明細書中に記述されたようになされ得る。
【0029】
本方法は、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を哺乳動物へ投与することを更に含み得る。腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団は、任意の適切な方法において投与され得る。好ましくは、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団は、例えば、静脈に注射することによって投与される。
【0030】
腫瘍反応性T細胞について濃縮された本発明の細胞集団は、医薬組成物等の組成物中に含まれ得る。この点において、本発明は、本明細書中に記述された細胞集団のいずれか及び医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0031】
本発明の別の実施態様は、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を含む医薬組成物を得る方法を提供し、該方法は:(a)末梢血のサンプルからPBMCsの混合集団を得ること;(b)混合集団からPD‐1及び/またはTIM‐3も発現するCD8
+T細胞を特異的に選択すること;(c)(b)において選択された細胞を、選択されていない細胞から分離して、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を得ること;及び(d)腫瘍反
応性T細胞について濃縮された細胞集団を医薬上許容される担体と組み合わせて、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を含む医薬組成物を得ること、を含む。末梢血のサンプルからPBMCsの混合集団を得ること、混合集団からPD‐1及び/またはTIM‐
3も発現するCD8
+T細胞を特異的に選択すること、並びに選択された細胞を、選択さ
れていない細胞から分離して、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を得ることは、本発明の他の態様に関して本明細書中に記述されたようになされ得る。
【0032】
本方法は、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を医薬上許容される担体と組み合わせて、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を含む医薬組成物を得ることを含み得る。好ましくは、担体は、医薬上許容される担体である。医薬組成物に関し、担体は、細胞の投与のために従来使用されるもののいずれかであり得る。かかる医薬上許容される担体は、当業者に周知であり、公に容易に利用可能である。医薬上許容される担体は、使用条件下で有害な副作用または毒性を全く有さないものであることが好ましい。注射用の細胞のための適切な医薬上許容される担体としては、例えば、生理食塩水(水中における約0.90%w/vのNaCl、水中における約300mOsm/LのNaCl、
または水1リットル当たり約9.0gNaCl)、NORMOSOL R電解質溶液(Abbott、シカ
ゴ,IL)、PLASMA−LYTE A (バクスター、ディアフィールド、IL)、水中における約5%ブドウ糖、または乳酸リンゲル液等の任意の等張性担体が挙げられ得る。実施態様において、医薬上許容される担体には、ヒト血清アルブメン(albumen)が追加さ
れる。
【0033】
本発明の目的のため、投与される用量(dose)、例えば、腫瘍反応性T細胞について濃縮された本発明の細胞集団における細胞の数は、合理的な時間枠にわたって哺乳動物において、例えば治療応答または予防応答などをもたらすのに十分でなければならない。例えば、細胞の数は、投与時点から約2時間またはそれ以上、例えば、12〜24時間またはそれ以上の期間において、癌抗原と結合するため、または癌を検出、治療若しくは予防するために、十分でなければならない。ある実施態様では、時間は、更に長くなり得る。細胞の数は、例えば、特定の細胞の有効性及び哺乳動物(例えば、ヒト)の状態、並びに治療対象の哺乳動物(例えば、ヒト)の体重によって決定されるだろう。
【0034】
腫瘍反応性T細胞について濃縮された本発明の細胞集団から、投与される細胞の数を決定するための多くの分析が、その分野において知られている。本発明の目的のため、分析は、それぞれ異なる数の細胞が与えられる1セットの哺乳動物間で、ある哺乳動物へ所与
の数のかかる細胞が投与された時に、標的細胞が溶解される程度、またはIFN−g 及びIL−2等の1以上のサイトカインが分泌される程度を比較することを含み、該分析が、哺乳動物に投与される開始数を決定するために使用され得る。ある数の細胞の投与時に、標的細胞が溶解される程度、または例えば、IFN−g 及びIL−2等のサイトカインが分泌される程度は、その分野において知られた方法によって分析され得る。例えば、IL−2等のサイトカインの分泌は、細胞調製物(cell preparation)の品質(例えば、表現型及び/または有効性)の指標も提供し得る。
【0035】
腫瘍反応性T細胞について濃縮された本発明の細胞集団からの細胞の数は、特定の細胞集団の投与に伴い得る有害な副作用の存在、類型及び程度によっても決定されるだろう。通常、主治医が、年齢、体重、全体的な健康、食生活、性別、投与ルート、及び治療されている疾患の重症度等の多様な要因を考慮して、それぞれ個々の患者を治療するための細胞の数を決定するだろう。例として、本発明を制限する意図なく、細胞の数は、注入1回当たり(per infusion)約10 x 10
6から約10 x 10
11細胞、注入1回当たり
約10 x 10
9細胞から約10 x 10
11細胞、または注入1回当たり10 x 10
7から約10 x 10
9細胞であり得る。本発明の方法によって得られた細胞集団は、有利には、効果的に癌を治療または予防することを可能にし得る。
【0036】
本発明の方法によって得られた細胞集団は、癌を治療または予防する方法において使用され得ると考えられる。この点において、本発明は、哺乳動物において癌を治療または予防する方法であって、哺乳動物において癌を治療または予防するのに有効な量で、本明細書中に記述された本発明の方法のいずれかによって得られた医薬組成物または細胞集団を哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。本発明の別の実施態様は、哺乳動物において癌を治療または予防する方法であって、哺乳動物において癌を治療または予防するのに有効な量で、本明細書中に記述された本発明の方法のいずれかにより、腫瘍反応性T細胞について濃縮された細胞集団を哺乳動物に投与することを含む方法を提供する。
【0037】
「治療する,」及び「予防する」という用語、並びにその派生語は、本明細書中で使用される場合、100%または完全な治療または予防を必ずしも意味しない。むしろ、当業
者が、潜在的な利益または治療的効果を有すると認識する治療または予防の様々な度合いがある。この点では、本発明の方法は、哺乳動物において任意の量または任意のレベルの癌の治療または予防をもたらし得る。更に、本発明の方法によってもたらされる治療または予防としては、治療または予防される疾患、例えば、癌の1以上の状態または症状の治療または予防が挙げられる。また、本明細書中の目的のために、「予防」は、疾患、またはその症状若しくは状態の発症を遅延させることを包含し得る。
【0038】
本発明の方法の目的のために、細胞集団が投与される場合において、細胞は、哺乳動物に対して同種または自己の細胞であり得る。好ましくは、細胞は、哺乳動物に対して自家性である。
【0039】
本発明の実施態様には、本明細書中に記述された本発明の方法のいずれかによって得られる濃縮された細胞集団のいずれかを投与する前に、哺乳動物のリンパ球を枯渇させること(lymphodepleting)が更に含まれる。リンパ球枯渇の例としては、骨髄非破壊的リン
パ球枯渇化学療法(nonmyeloablative lymphodepliting chemotherapy)、骨髄破壊的リ
ンパ球枯渇化学療法(myeloablative lymphodepleting chemotherapy)、全身照射(total body irradiation)等が挙げられるが、これらに限定され得ない。
【0040】
本発明の方法に関し、癌は、肉腫(例えば、滑膜肉腫、骨肉種、子宮平滑筋肉腫(leiomyosarcoma uteri)、及び胞巣状横紋筋肉腫)、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)、肝細胞癌、神経膠腫、頭頸部癌、急性リンパ腫(acute lympho
cytic cancer)、急性骨髄性白血病、骨肉種、脳腫瘍、乳癌、肛門癌、肛門管癌、または肛門直腸癌、眼癌、肝内胆管癌、関節癌(cancer of the joints)、頸部癌、胆嚢癌、または胸膜癌、鼻癌、鼻腔癌、または中耳癌(middle ear)、口腔癌、外陰癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄癌(chronic myeloid cancer)、結腸癌(colon cancer)(例えば、結腸上皮性悪性腫瘍(colon carcinoma))、食道癌、子宮頚癌、消化管癌(例えば、
消化管カルチノイド腫瘍)、下咽頭癌、咽頭癌、肝癌、肺癌、悪性中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、卵巣癌、膵癌、腹膜癌(peritoneum cancer)、網癌(omentum cancer)、及び腸間膜癌(mesentery cancer)、咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、腎癌、小腸癌
、軟部組織癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、尿管癌、及び膀胱癌のいずれかを含む任意の癌であり得る。
【0041】
以下の実施例は、本発明を更に説明するが、言うまでもなく、その範囲を多少なりとも限定すると解釈すべきではない。
【実施例】
【0042】
実施例1
本実施例は、PD‐1、TIM‐3、またはLAG‐3発現に従う、メラノーマ患者の末梢血から単離したT細胞の細胞数をインビトロで増加させた後のインビトロでの自己腫瘍認識を示す。
【0043】
4‐1BB上方制御は、TCR刺激の指標である。細胞数を増加させた後、TCR刺激の非存在下において4‐1BB発現が失われるということがみられた。細胞数を増加させ、かつ細胞を自己腫瘍細胞株とともに共培養させた後、4‐1BB発現を先に失い、かつ細胞株によって刺激されたT細胞が、4‐1BBを再度発現するということもみられた。従って、自己腫瘍との共培養の24時間後、自己腫瘍細胞株に対するTCR刺激のマーカとして、4‐1BB発現を測定する。
【0044】
3人のメラノーマ患者(1913、3713、及び3289)のそれぞれの末梢血からアフェレーシス(apheresis)によって得られた細胞を、サイトカインなしで一晩静置し
、着色した。患者1913及び3713からの細胞を、蛍光活性化セルソーティング(FACS)により、抗CD3、抗CD8、抗PD‐1、及びTIM‐3抗体を用いて以下のCD3
+集団にソートした:CD8
+、CD8
+/PD‐1
+、CD8
+/TIM‐3
+、CD8
+
/PD‐1
-、またはCD8
+/TIM‐3
-。患者3289からの細胞を、FACSによ
り、抗CD3、抗CD8、抗PD‐1、TIM‐3、及びLAG‐3抗体を用いて、以下のCD3
+集団にソートした:CD8
+、CD8
+/PD‐1
+、CD8
+/LAG3
+、CD8
+/TIM‐3
+、CD8
+/PD‐1
-、CD8
+/LAG3
-、またはCD8
+/TIM
‐3
-。細胞数をインビトロで14日間、増加させた。14日目に、細胞を洗浄し、対応
する自己腫瘍細胞株(1 x 10
5エフェクター:1 x 10
5標的細胞)とともに共培養し、共培養の24時間後にIFN‐ガンマ放出、及び41BBを発現するCD8
+細胞の
百分率を定量することによって反応性を評価した。結果を
図1A〜1C及び表1〜3に示す。
図1A〜1C及び表1〜3に示すように、PD‐1またはTIM‐3発現に従ってソートされた細胞は、それぞれPD‐1またはTIM‐3発現に対して陰性の細胞と比べて、腫瘍反応性細胞が濃縮された。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
実施例2
本実施例は、メラノーマ患者の末梢血から単離し、PD‐1またはTIM‐3発現に従ってソートしたT細胞のインビトロで細胞数を増加させた後のインビトロでの自己腫瘍認識を示す。
【0049】
実施例1に記述された通り、細胞を、患者1913または患者3289の末梢血から得て、FACSによりPD‐1またはTIM‐3発現に従ってソートした。ソートされた細胞数を、インビトロで14日間増加させた。15日目に、標的腫瘍細胞株(自己及び同種異系)を
51Crで標識し、ソートされた細胞集団(エフェクター細胞)と
図2A〜2Fに示す割合で4時間、共培養した。
51Cr放出をγ-カウントによって3重に決定し、特異
的な溶解の百分率を以下の式を用いて計算した:[(1分当たりの実験的カウント(cpm)
- 自発的cpm)/(最大cpm - 自発的cpm)] × 100。結果を
図2A〜2Fに示す。
図2A〜2Fに示すように、末梢血から得られ、かつPD‐1
+またはTIM‐3
+発現によってソートされた細胞は、自己腫瘍細胞株を溶解することを可能にする。
【0050】
刊行物、特許出願及び特許を含む、本明細書に引用した全ての参考文献は、それぞれの参考文献が参照によって組み込まれることが個々に且つ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されているのと同程度まで、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0051】
本発明を説明する文脈における“a”及び“an”及び「前記(the)」及び「少なくとも1つ(at least one)」という用語及び同様の指示対象の使用(特に、以下のクレームの文脈において)は、異なるように明細書中に示され、または文脈によって明確に否定されなければ、単数形及び複数形の両方をカバーするように解釈されるべきである。異なるように明細書中に示され、または文脈によって明確に否定されなければ、1以上の項目のリストが次に来る「少なくとも1つ(at least one)」という用語の使用(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)は、リストされた項目(AまたはB)から選択された1の項目、または2以上のリストされた項目の任意の組み合わせ(A及びB)を意味するべく解釈される。「含む(comprising)」「有する(having)」「含む(including)」及び「含
有する(containing)」という用語は、異なるように言及されなければ、オープンエンド用語(すなわち、「を含むが、これに限定されない」ということを意味する)として解釈されるべきである。明細書中の数値範囲の記述は、本明細書中に異なるように示されなければ、範囲に入るそれぞれ別々の値に個別に言及する略記方法として役立つことを意図したに過ぎず、それぞれ別々の値が、本明細書中に個別に挙げられたように、本明細書中に組み込まれる。本明細書中において異なるように指摘されなければ、あるいは文脈によって異なるように明確に否定されなければ、明細書中に記述された全ての方法が、任意の適切な順序で行うことができる。異なるようにクレームされていなければ、本明細書中で提供された任意の及び全ての実施例または例示的な言葉(例えば、「等(such as)」)の
使用は、単に本発明の理解をより容易にすることが意図されており、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中におけるいかなる言葉も、特許請求されていない任意の要素を本発明の実施に必須のものとして示していると解釈すべきではない。
【0052】
本発明の好ましい実施の態様は、本明細書中に記述されており、本発明を実施するために本発明者らが知っている最良の形態を含んでいる。これらの好ましい実施の態様の変形例は、先の記述を読んだ当業者にとって明らかになり得る。本発明者らは、当業者が、必要に応じてかかる変形例を採用するものと思っており、本発明者らは、本明細書中に具体的に記述されたものとは異なるように本発明が実施されることを意図している。従って、本発明は、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された要旨の、適用され得る法律によって許容されるすべての修正形態及び均等物を含む。さらに、本明細書中に異なるように示され、あるいは文脈によって異なるように明確に否定されなければ、これらの全ての可能な変形例において上述された要素の任意の組み合わせは、本発明に包含される。