(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜
図14に、作業者が装着して使用するアシスト器具が示されている。
本発明の実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者から視て前側が「前」であり、後側が「後」であり、右側が「右」であり、左側が「左」である。
【0020】
(アシスト器具の全体構成及び本体部)
図1,2,3に示すように、アシスト器具には、作業者の背中部に取り付けられる本体部1、本体部1の上部から上側に延出され前側に延出された右及び左のアーム部2、本体部1の下部に設けられた右及び左の脚作用部3が備えられており、作業者への装着用の取付ベルト4、右及び左の肩ベルト5が備えられている。
【0021】
本体部1は、右及び左の縦フレーム6、右及び左の縦フレーム6に亘って連結された支持板7等を備えて、枠状となっている。支持板7の後面の上下中間部に制御装置8が取り付けられており、支持板7の後面の下部にバッテリー9が取り付けられている。
【0022】
本体部1の下部に取付ベルト4が設けられ、支持板7の前面の上部及び下部に肩ベルト5が取り付けられている。右及び左の肩ベルト5の上部に亘って、固定ベルト5aが取り付けられている。固定ベルト5aは、中間部分のバックル部材により左右に分離可能で、長さ調節自在である。
【0023】
図1,2,3に示すように、作業者の腕部及び肩部を肩ベルト5に入れ、取付ベルト4を作業者の腰部に巻き付けて固定することにより、作業者の背中部に本体部1を取り付ける。肩ベルト5の固定ベルト5aを連結状態としておくことにより、右及び左の肩ベルト5が、作業者の腕部側に移動して肩部から外れるような状態が防止される。
【0024】
(脚作用部)
図1,2,3に示すように、脚作用部3は、基部10、伝動ケース11、操作アーム12及び脚ベルト13等を備えている。基部10が、支持板7の下部の前部に、左右方向に取付位置を変更自在に支持されており、基部10の外端部に伝動ケース11が前向きに連結されている。
【0025】
伝動ケース11の前部の左右方向の横軸芯P1周りに、操作アーム12が揺動自在に支持されており、幅広のベルト状の脚ベルト13が操作アーム12に取り付けられている。
複数の平ギヤにより構成された伝動機構(図示せず)が伝動ケース11の内部に備えられて、電動モータ(図示せず)が基部10の内部に備えられており、電動モータにより伝動機構を介して操作アーム12が横軸芯P1周りに揺動駆動される。
【0026】
図1及び
図2に示すように、作業者は脚ベルト13を太腿部に巻き付けて、面ファスナ(図示せず)(マジックテープ(登録商標))により、脚ベルト13を太腿部に取り付ける。作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者の腰部の右側に右の脚作用部3(伝動ケース11)が位置し、作業者の腰部の左側に左の脚作用部3(伝動ケース11)が位置する。
【0027】
(アーム部及びワイヤ)
図1,2,3に示すように、右及び左の縦フレーム6の上部が、作業者の右及び左の肩部を越えて斜め上側に延出され斜め前側に延出されて、右及び左のアーム部2となっている。アーム部2の上端部に支持部材16が取り付けられており、プーリー(図示せず)が支持部材16に回転自在に支持されている。
【0028】
支持板7の後面の上部に昇降装置17が取り付けられており、昇降装置17から、右の2本のワイヤ18,19(索状体に相当)、及び左の2本のワイヤ18,19(索状体に相当)が延出されている。
【0029】
支持板7の上部にアウター支持部15が連結され、支持部材16にアウター支持部16aが備えられている。ワイヤ18,19のアウター18b,19bの端部が、アウター支持部15及び支持部材16のアウター支持部16aに接続されて、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが昇降装置17に接続されている。
【0030】
右の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aが、右の支持部材16のプーリーに掛けられて下側に延出されている。右の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aの延出端に取付部21が接続されて、取付部21に右のハンド部20が接続されている。
【0031】
左の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aが、左の支持部材16のプーリーに掛けられて下側に延出されている。左の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aの延出端に取付部21が接続されて、取付部21に左のハンド部20が接続されている。
【0032】
(昇降装置)
図1及び
図2に示すように、昇降装置17は支持板7に連結されている。伝動機構(図示せず)を内装する上下向きの伝動ケース25、伝動ケース25の上部に横向きに連結された支持ケース26、伝動ケース25の下部に横向きに連結された電動モータ27、支持ケース26の内部で横向きの軸芯周りに回転自在に支持された4個の回転体(図示せず)が、昇降装置17に備えられている。
【0033】
ワイヤ18,19のアウター18b,19bの端部がアウター支持部15に接続され、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが、支持ケース26の内部の4個の回転体の各々に接続されている。
【0034】
制御装置8により電動モータ27が作動する。電動モータ27の動力が伝動ケース25の内部の伝動機構を介して、支持ケース26の内部の回転体に伝達されるのであり、回転体が巻き取り側及び繰り出し側に回転駆動される。
【0035】
(取付部)
図4及び
図5に示すように、取付部21は平板状であり、ワイヤ18,19のインナー18a,19aの延出端が、取付部21に揺動自在に接続されている。取付部21に、2本の頭付きのピン22が横向きに連結されており、ピン22は丸棒状の軸部22aと、軸部22aよりも大径の頭部22bとを備えている。
【0036】
取付部21におけるピン22の間の部分に、開口部21aが開口されており、外れ止め部材28が、取付部21におけるピン22の間の部分に、連結ピン29により連結されている。
【0037】
外れ止め部材28は、板バネを折り曲げて形成されており、取付部21に連結ピン29によって連結される基部28a、基部28aから延出された凸部28bを備えている。外れ止め部材28の凸部28bが、取付部21の開口部21aに入り込んで、ピン22の頭部22b側に突出している。
【0038】
(ハンド部)
図1及び
図2に示すように、アシスト器具において、右及び左のハンド部20が備えられており、右及び左のハンド部20は同じものである。
【0039】
図7,8,9に示すように、板材がチャンネル状に折り曲げられて、横側部31、下側部32及び上側部33が形成されており、上側部33の端部が上側に折り曲げられて、接続部34が形成されている。
【0040】
板材がチャンネル状に折り曲げられて、横向き部35a及び縦向き部35bを備えた保持部35が形成されている。保持部35の縦向き部35bが横側部31、下側部32及び上側部33の両方の端部に連結されており、保持部35の横向き部35aが、下側部32から所定の間隔を空けて離れて位置している。
【0041】
保持部35の横向き部35aの下面に、磁石部30が連結されている。磁石部30の下面が吸着面30aであり、磁石部30の吸着面30aに、2本の凹部30bが十文字状に交差するように形成され、4個の凸部30cが形成されている(磁石部30における荷物への吸着面30aに、凹凸が形成されている状態に相当)。
【0042】
磁石部30の内部に、2個の永久磁石(図示せず)が内装され、磁石部30の横側部31側の部分に、人為的に操作される磁石操作部30dが備えられており、磁石操作部30dにより内部の永久磁石の配置を変更することができる(磁石部30を吸着状態及び解除状態に人為的に操作自在な磁石操作部30dが、ハンド部20に設けられている状態に相当)。
【0043】
磁石部30の磁石操作部30dにより、一方の永久磁石のN極と他方の永久磁石のN極とを対向させ、一方の永久磁石のS極と他方の永久磁石のS極とを対向させると、2個の永久磁石の磁力線が磁石部30の吸着面30aから外部に出る状態となるのであり、磁石部30の吸着面30aに金属を吸着させることができる状態となる(吸着状態)。
【0044】
磁石部30の磁石操作部30dにより、一方の永久磁石のN極と他方の永久磁石のS極とを対向させ、一方の永久磁石のS極と他方の永久磁石のN極とを対向させると、2個の永久磁石の間で磁力線が閉じた状態となり、磁力線が磁石部30の吸着面30aから外部に出ない状態となるのであり、磁石部30の吸着面30aに金属を吸着させることができない状態となる(解除状態)。
【0045】
横側部31において下側部32及び上側部33とは反対側の面に、面ファスナ36(マジックテープ(登録商標))が取り付けられている。上側部33の接続部34側の面に、面ファスナ36(マジックテープ(登録商標))が取り付けられている。
【0046】
接続部34に2個の第1開口部38が開口されている。第1開口部38の下側に位置して第1開口部38に接続されるように、第1開口部38よりも大径の第2開口部39が開口されている。第1開口部38及び第2開口部39の間に、開口部34aが開口されている。
【0047】
(持ち手部)
図9及び
図10に示すように、ハンド部20の面ファスナ36に取り付け及び取り外し自在な持ち手部40が備えられている。持ち手部40は、合成樹脂により一体的に形成された外側部41と、金属製の内側部42とを備えており、外側部41の内面に内側部42がビスにより連結されている。
【0048】
内側部42は、金属製の板材を折り曲げて形成されており、上下方向に配置される横側部43、横側部43の上部から横向きに延出される上側部44、上側部44の端部から上側に延出される横側部45を備えている。
【0049】
内側部42において、横側部43における上側部44側の面に、面ファスナ37(マジックテープ(登録商標))が取り付けられている。上側部44の下面に、面ファスナ37(マジックテープ(登録商標))が取り付けられている。
【0050】
右のハンド部20に取り付けられる右の持ち手部40、及び、左のハンド部20に取り付けられる持ち手部40は、左右対称の形状となっている。右の持ち手部40(外側部41)に、上昇操作スイッチ23が取り付けられ、左の持ち手部40(外側部41)に、下降操作スイッチ24が取り付けられている。
【0051】
図1,2,3に示すように、制御装置8に接続された右及び左のハーネス14が、右及び左のアーム部2の内部に入っており、アーム部2の内部を通ってアーム部2の上端部に延出されている。アーム部2の上端部の開口部から、ハーネス14が出て下側に延出されており、右のハーネス14が上昇操作スイッチ23に接続され、左のハーネス14が下降操作スイッチ24に接続されている。
【0052】
(ハンド部の取付部への取り付け及び取り外し)
図7に示すハンド部20(接続部34)の第1開口部38及び第2開口部39と、
図4及び
図5に示す取付部21のピン22の軸部22a及び頭部22bとにおいて、第1開口部38はピン22の軸部22aよりも少し大径であり、ピン22の頭部22bよりも小径である。第2開口部39はピン22の頭部22bよりも大径である。
【0053】
図4及び
図5に示す状態は、ハンド部20が取付部21から取り外された状態である。
図6及び
図9に示すように、第2開口部39をピン22(頭部22b)に対向させた状態で、外れ止め部材28の凸部28bを、手で押して取付部21の開口部21aに入り込ませながら、ピン22(軸部22a及び頭部22b)を第2開口部39に入り込ませる。
【0054】
次に、取付部21を少し上側に移動させて、ピン22の軸部22aを、第2開口部39から第1開口部38に入り込ませる。ピン22の軸部22aを第1開口部38に入り込ませると、外れ止め部材28の凸部28bが、ハンド部20の開口部34aに入り込んでピン22の頭部22b側に突出して、外れ止め部材28の凸部28bが、ハンド部20の開口部34aの下辺部に当たる状態となる。
【0055】
以上の状態が、ハンド部20を取付部21に取り付けた状態である。
ピン22の軸部22aが第1開口部38から第2開口部39に移動しようとしても、ハンド部20の開口部34aの下辺部が、外れ止め部材28の凸部28bに当たることによって、ピン22の軸部22aの第2開口部39への移動が止められて、ハンド部20は取付部21から外れ難いものとなる。
【0056】
ハンド部20により荷物を保持した場合、荷物の重量がハンド部20に下向きに掛かることにより、ピン22の軸部22aが、第1開口部38に保持されて、第1開口部38から第2開口部39に移動し難くなるのであり、ハンド部20は取付部21から外れ難いものとなる。
【0057】
ピン22の軸部22aが第1開口部38から抜け出そうとしても、ピン22の頭部22bによって、ピン22の軸部22aは、第1開口部38から抜け出すことはできないのであり、ハンド部20は取付部21から外れ難いものとなる。
【0058】
ハンド部20を取付部21から取り外す場合、
図6及び
図9に示す状態において、外れ止め部材28の凸部28bを取付部21の開口部21aに押し込むことにより、外れ止め部材28の凸部28bをハンド部20の開口部34aの下辺部から外した状態とする。
【0059】
この状態において、ピン22の軸部22aを第1開口部38から第2開口部39に移動させ、ピン22の頭部22bを第2開口部39から抜き出すことにより、ハンド部20を取付部21から取り外すことができる。
【0060】
図9では、取付部21をハンド部20の接続部34に対して上側部33とは反対側に位置させた状態で、ハンド部20を取付部21に取り付けた状態となっている。
この場合、取付部21をハンド部20の接続部34に対して上側部33側に位置させた状態で、前述と同じ操作を行うことにより、ハンド部20を取付部21に取り付けることができる。
【0061】
(持ち手部のハンド部への取り付け及び取り外し)
図9及び
図10に示すように、持ち手部40の面ファスナ37を、ハンド部20の面ファスナ36に当て付けて接続することにより、持ち手部40をハンド部20に取り付けることができるのであり、持ち手部40を介して上昇操作スイッチ23(下降操作スイッチ24)がハンド部20に取り付けられる。
【0062】
面ファスナ36,37の接続範囲は比較的広いものであるので、ハンド部20における持ち手部40の取付位置を、面ファスナ36,37の接続範囲において任意に変更することができる。
【0063】
この場合、持ち手部40の上側部44をハンド部20の上側部33に乗せるので、持ち手部40をハンド部20に取り付けた場合、持ち手部40の下端部が、ハンド部20の下側部32よりも少し上側に位置する状態となる。
【0064】
持ち手部40の面ファスナ37をハンド部20の面ファスナ36から離すことにより、持ち手部40がハンド部20から取り外されるのであり、上昇操作スイッチ23(下降操作スイッチ24)がハンド部20から取り外される。
【0065】
前項の(ハンド部)(ハンド部の取付部への取り付け及び取り外し)に記載のように、
図4に示す第1開口部38及び第2開口部39、面ファスナ36等の構成を備えたハンド部20であれば、
図7,8,9に示すハンド部20に代えて、別のハンド部20を取付部21に取り付けることができる(交換することができる)。
【0066】
前述のように、取付部21に各種のハンド部20を取り付けた場合(交換した場合)、持ち手部40の面ファスナ37を、交換されたハンド部20の面ファスナ36に接続することにより、持ち手部40(上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24)を、各種のハンド部20に共用することができる。
【0067】
(制御装置による脚作用部及び昇降装置の作動)
図1,2,9に示すように、上昇操作スイッチ23を押し操作した場合、後述する(アシスト器具の作業形態)に記載のように、上昇操作スイッチ23を押し操作している間、脚作用部3において、電動モータにより操作アーム12が下側に駆動されて、作業者の太腿部が下側に操作される。
【0068】
脚作用部3の操作アーム12が下側に駆動された後において、上昇操作スイッチ23を押し操作した場合、後述する(アシスト器具の作業形態)に記載のように、上昇操作スイッチ23を押し操作している間、昇降装置17において、電動モータ27により回転体が巻き取り側に回転駆動され、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体に巻き取られて、ハンド部20が上昇する。
【0069】
下降操作スイッチ24を押し操作した場合、下降操作スイッチ24を押し操作している間、昇降装置17において、電動モータ27により回転体が繰り出し側に回転駆動され、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体から繰り出されて、ハンド部20が下降する。
【0070】
上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の押し操作を止めると、昇降装置17において、電動モータ27が停止する。
電動モータ27に電磁ブレーキ(図示せず)が備えられており、電動モータ27の作動時に電磁ブレーキは自動的に解除状態となり、電動モータ27の停止時及び非通電時に電磁ブレーキは自動的に制動状態となる。
【0071】
これにより、電動モータ27が停止した状態において、昇降装置17からワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されることはなく、ハンド部20に荷物の重量が掛かっても、ハンド部20が下降することはない。
【0072】
脚作用部3において、電動モータが停止状態になると、電動モータは自由回転状態となる。これにより、作業者が歩行する場合や、作業者が腰部を下に曲げたり、膝部を曲げて腰部を落としたりする場合、作業者の太腿部に追従するように操作アーム12が揺動するのであり、作業者の動作が妨げられることはない。
【0073】
(アシスト器具の作業形態)
例えばパレットや床に置かれた荷物を高い棚やトラックの荷台に置くような場合、作業者が腰部を下に曲げたり、膝部を曲げて腰部を落としたりして、パレットや床の荷物を手で持ち、次に手を下に延ばした状態で荷物を持ちながら、腰部を上側に延ばしたり、立ち上がったりして、次に手で荷物を持ち上げて、荷物を高い棚やトラックの荷台に置くような状態が想定される。
【0074】
アシスト器具を装着した作業者が前述のような作業を行う状態において、上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の押し操作に基づいて、制御装置8により脚作用部3及び昇降装置17が作動する状態について説明する。
【0075】
図1及び
図2に示すように、作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者が上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の両方を押し操作していないと、昇降装置17の電動モータ27は停止して、脚作用部3の電動モータは停止状態(自由回転状態)となる。
【0076】
作業者が腰部を下に曲げて(膝部を曲げて腰部を落として)、パレットや床の荷物を持つ場合、作業者が下降操作スイッチ24を押し操作すると、昇降装置17において電動モータ27が繰り出し側に作動し、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されて、ハンド部20が下降する。
【0077】
下降操作スイッチ24の押し操作を止めると、電動モータ27が停止して、ハンド部20が停止するので、作業者はハンド部20により荷物を保持する。
図9に示すように、作業者は、右手(左手)において、親指を持ち手部40の外側部41の上部に乗せ、手の平を持ち手部40の外側部41の横部に当て、人差し指や中指の指先をハンド部20の下側部32に下側から当てて、ハンド部20を握るようにして持つのであり、親指で上昇操作スイッチ23(下降操作スイッチ24)を押し操作する。
【0078】
ハンド部20により荷物を保持する場合、磁石部30の吸着面30aを荷物の外面に当て、磁石部30の磁石操作部30dを操作して、磁石部30を解除状態から吸着状態に切り換える。これにより、荷物が磁石部30の吸着面30aに吸着されて、荷物がハンド部20に保持される。
【0079】
作業者は、ハンド部20により荷物を保持した状態で、腰部を上に延ばすことにより(立ち上がることにより)、荷物を持ち上げる。作業者が上昇操作スイッチ23を押し操作すると、脚作用部3において操作アーム12が下側に駆動され、作業者の太腿部が下側に操作されて、腰部を上に延ばすこと(立ち上がること)が補助される。
【0080】
作業者が上昇操作スイッチ23を押し操作した状態で立ち上がった後に、脚作用部3において、操作アーム12が略真下に向く位置に達したことが検出されると、作業者が起立した(立ち上がった)と判断されて、脚作用部3の電動モータは停止状態(自由回転状態)となる。
【0081】
次に作業者が上昇操作スイッチ23を押し操作していると、昇降装置17において、電動モータ27が巻き取り側に作動し、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが巻き取られて、ハンド部20が上昇する。所望の位置までハンド部20が上昇すると、上昇操作スイッチ23の押し操作を止めることにより、電動モータ27が停止してハンド部20が停止する。
【0082】
作業者は、荷物を置くべき高い棚やトラックの荷台等へ歩いて移動する。作業者が高い棚やトラックの荷台等に到着して、作業者が下降操作スイッチ24を押し操作すると、昇降装置17において、電動モータ27が繰り出し側に作動し、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されて、ハンド部20が下降する。
【0083】
作業者は、荷物を高い棚やトラックの荷台等に置き、磁石部30の磁石操作部30dを操作して、磁石部30を吸着状態から解除状態に切り換えて、ハンド部20を荷物から取り外す。荷物を高い棚やトラックの荷台等に置くと、最初の状態に戻るので、次の荷物に対して同様な操作を行う。
【0084】
(発明の実施の第1別形態)
ハンド部20を、以下の説明のように構成してもよい。
図11及び
図12に示すように、磁石部30の吸着面30aの凹部30b及び凸部30cが廃止されて、磁石部30の吸着面30aが平滑面に形成されている。
【0085】
磁石部30の吸着面30aが下側部32の上面に連結されて、磁石部30の磁石操作部30dが、横側部31の反対側に配置されている。これにより、保持部35の横向き部35a及び縦向き部35bが、磁石部30の吸着面30aとなっており、保持部35の横向き部35a及び縦向き部35bに荷物を吸着させることができる。
【0086】
保持部35の横向き部35aの中央に凹部35cが形成され、凹部35cの両側に凸部35dが形成されている(磁石部30における荷物への吸着面30a(35a)に、凹凸が形成されている状態に相当)。
【0087】
この場合、磁石部30の吸着面30aの凹部30b及び凸部30cを残した状態で(
図8参照)、磁石部30の吸着面30aを下側部32の上面に連結してもよい。
【0088】
横側部31に開口部(図示せず)を開口することにより、磁石部30の磁石操作部30dを横側部31の開口部から出しながら、磁石部30の吸着面30aを下側部32の上面に連結するように構成してもよい。
この構造によると、持ち手部40が磁石部30の磁石操作部30dに干渉しないようにする為に、持ち手部40を上下幅の小さいものに構成したり、磁石部30の磁石操作部30dが入る開口部(図示せず)を持ち手部40に開口すればよい。
【0089】
(発明の実施の第2別形態)
ハンド部20を、以下の説明のように構成してもよい。
図13に示すように、磁石部30が電磁石により構成されており、磁石部30が下側部32の上面に連結されて、保持部35の両側の縦向き部35bに接触している。
【0090】
これにより、保持部35の横向き部35a及び縦向き部35bが、磁石部30の吸着面30aとなっており、保持部35の横向き部35a及び縦向き部35bに荷物を吸着させることができる。
図12と同様に、保持部35の横向き部35aの中央に凹部35cが形成され、凹部35cの両側に凸部35dが形成されている。
【0091】
持ち手部40の外側部41において、上昇操作スイッチ23(下降操作スイッチ24)と並ぶように、押しボタン型式の磁石操作部46が備えられており、ハーネス14が磁石操作部46にも接続されている(磁石部30を吸着状態及び解除状態に人為的に操作自在な磁石操作部46が、ハンド部20に設けられている状態に相当)。
【0092】
ハーネス14に電源線(図示せず)が含まれており、持ち手部40にカプラ(図示せず)が備えられ、電源線がカプラに接続されている。ハンド部20において、磁石部30にカプラ(図示せず)が備えられている。これにより、持ち手部40をハンド部20に取り付けると、これに加えて持ち手部40のカプラを磁石部30のカプラに接続する。
【0093】
以上の状態において、磁石操作部46が押し操作されると、電力が電源線を介して磁石部30に供給されて、磁石部30が通電状態となり、磁石部30に磁力が発生する(吸着状態)。磁石操作部46がもう一度押し操作されると、電力が磁石部30に供給されなくなって、磁石部30が非通電状態となり、磁石部30の磁力が消失する(解除状態)。
以上のように、磁石操作部46が押し操作される毎に、磁石部30が吸着状態及び解除状態に切り換えられる。
【0094】
(発明の実施の第3別形態)
ハンド部20を、以下の説明のように構成してもよい。
図14に示すように、保持部35の横向き部35aが、横側部31の反対側に延出されて、受け部35eが形成されている。
【0095】
図7,8,9,10と同様な磁石部30において、磁石操作部30dの反対側の面が吸着面30aとなっており、
図8と同様な凹部30b及び凸部30cが、吸着面30aに形成されている。磁石部30の吸着面30aが保持部35の受け部35e側に向くように、磁石部30が保持部35の横向き部35aの上面に連結されている。
【0096】
例えば荷物として金属製のパイプBをハンド部20により保持する場合、ハンド部20(保持部35)の受け部35eにパイプBを載せ、磁石部30を吸着状態に切り換えて、磁石部30の吸着面30aにパイプBを吸着させる。
【0097】
これにより、ハンド部20(保持部35)の受け部35eによりパイプBの重量を支持しながら、ハンド部20(保持部35)の受け部35eからパイプBが外れるのを、磁石部30の吸着により防止することによって、ハンド部20によりパイプBを保持する。この場合、磁石部30として、
図13に示す電磁石による磁石部30を使用してもよい。
【0098】
(発明の実施の第4別形態)
上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24を、取付部21に設けてもよい。
この構造によると、持ち手部40をハンド部20に連結して、ハンド部20及び持ち手部40を、取付部21に取り付けるように構成してもよい(交換するように構成してもよい)。
【0099】
上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24を、ハンド部20に設けてもよい。
この構造によると、持ち手部40をハンド部20に連結して、ハンド部20及び持ち手部40を取付部21に連結してもよい。
【0100】
(発明の実施の第5別形態)
上昇操作スイッチ23を左の持ち手部40(ハンド部20、取付部21)に設け、下降操作スイッチ24を右の持ち手部40(ハンド部20、取付部21)に設けてもよい。
上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の両方を、右又は左の一方の持ち手部40(ハンド部20、取付部21)に設けてもよい。
【0101】
(発明の実施の第6別形態)
アシスト器具において、右及び左のアーム部2を廃止して、1本のアーム部2を備えてもよい。
この構造によると、1本のアーム部2から2本のワイヤ18を延出して、2本のワイヤ18の一方に右の取付部21(ハンド部20)を接続し、2本のワイヤ18の他方に左の取付部21(ハンド部20)を接続する。又は、1本のアーム部2から1本のワイヤ18を延出し、1本のワイヤ18の端部を二股状に分岐させて、分岐部分の一方に右の取付部21(ハンド部20)を接続し、分岐部分の他方に左の取付部21(ハンド部20)を接続する。
【0102】
(発明の実施の第7別形態)
アシスト器具において、脚作用部3を備えないように構成してもよい。本体部1を、作業者の背中部ではなく、作業者の肩部に取り付けるように構成してもよい。
【0103】
昇降装置17、上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24を廃止して、ワイヤ18,19を本体部1やアーム部2に連結し、ハンド部20の位置を固定して、ハンド部20の昇降を行わないように構成してもよい。
この場合、ワイヤ18,19に代えて、合成繊維製の細長いベルト(図示せず)(索状体に相当)や、金属製のチェーン(図示せず)(索状体に相当)を使用してもよい。
【0104】
磁石部30を、吸着状態及び解除状態に切換自在に構成するのではなく、解除状態に切り換えられないように構成し、常に吸着状態としてもよい。