特許第6903586号(P6903586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903586
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】改善されたランドライ防止膜
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/38 20060101AFI20210701BHJP
   A61M 5/14 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   A61M5/38
   A61M5/14 520
【請求項の数】14
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-550531(P2017-550531)
(86)(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公表番号】特表2018-509259(P2018-509259A)
(43)【公表日】2018年4月5日
(86)【国際出願番号】US2016024065
(87)【国際公開番号】WO2016154462
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2019年1月10日
(31)【優先権主張番号】62/138,706
(32)【優先日】2015年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/078,709
(32)【優先日】2016年3月23日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ステイリー
(72)【発明者】
【氏名】ウェストン オー.ウィテカー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ラーセン
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−052891(JP,A)
【文献】 特表2013−505156(JP,A)
【文献】 米国特許第04319996(US,A)
【文献】 特表平11−502771(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0228806(US,A1)
【文献】 米国特許第04173222(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/14
A61M 5/165
A61M 5/38
A61M 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を含む液体供給源と、
前記液体供給源から前記液体を受け入れるように前記液体供給源に接続可能な第1の端部、および、
前記液体を患者に送達する静脈内アクセスユニットに接続可能な第2の端部
を含む、チュービングと、
前記液体供給源から前記チュービングへ流れる前記液体がランドライ防止膜を通過するように位置決めされたランドライ防止膜であって、前記液体が通って流れる複数の孔部を含み、空気が前記孔部を通過することに抵抗するように構成されている親水性の材料から形成されている、ランドライ防止膜と、
前記ランドライ防止膜のバブルポイントを上昇させるように構成されているバブルポイント上昇コンポーネントと
を含み、
前記バブルポイント上昇コンポーネントは、液体冷却ユニットを含み、前記液体冷却ユニットは、前記液体が前記ランドライ防止膜に接触する前に前記液体を冷却し、前記ランドライ防止膜の前記バブルポイントを上昇させ、プライミング及び使用時において、空気が前記ランドライ防止膜を通過することを実質的に防止する静脈内送達システム。
【請求項2】
前記ランドライ防止膜は、膜表面エネルギーを有する膜材料から形成されており、前記バブルポイント上昇コンポーネントは、前記ランドライ防止膜に適用されるコーティングを含み、前記コーティングは、前記膜表面エネルギーよりも高いコーティング表面エネルギーを含むコーティング材料から形成されている請求項1に記載の静脈内送達システム。
【請求項3】
前記ランドライ防止膜は、膜表面エネルギーを有する膜材料から主に形成されており、前記バブルポイント上昇コンポーネントは、前記ランドライ防止膜の形成の前に前記膜材料に加えられる添加剤を含み、前記添加剤は、前記膜表面エネルギーよりも高い添加剤表面エネルギーを含む添加剤材料から形成されている請求項1に記載の静脈内送達システム。
【請求項4】
前記ランドライ防止膜は、親水性の材料から形成されており、前記ランドライ防止膜は、前記ランドライ防止膜の湿潤性を増加させる粗面化された表面仕上げを含む請求項1に記載の静脈内送達システム。
【請求項5】
前記液体が前記ランドライ防止膜を通って前記チュービングに向けて流れている間に、前記ランドライ防止膜は、非平面的な形状を含む請求項1に記載の静脈内送達システム。
【請求項6】
前記非平面的な形状は、ドーム状の形状を含む請求項5に記載の静脈内送達システム。
【請求項7】
前記非平面的な形状は、前記ランドライ防止膜の2つの隣接する表面の間に角度を画定する少なくとも1つの折り目を含む請求項5に記載の静脈内送達システム。
【請求項8】
前記非平面的な形状は、概してチューブ状の形状を含む請求項5に記載の静脈内送達システム。
【請求項9】
前記ランドライ防止膜は、前記ランドライ防止膜を前記非平面的な形状に引き伸ばすように構成された製造プロセスの適用によって塑性変形された膜材料を含む請求項5に記載の静脈内送達システム。
【請求項10】
前記液体が前記ランドライ防止膜を通っていずれの特定の方向にも流れていない条件の間に、前記ランドライ防止膜は、第1の構成になっており、前記第1の構成では、前記ランドライ防止膜が第1の表面積を有しており、前記液体が前記ランドライ防止膜を通って前記チュービングに向けて流れている間に、または、流体柱を支持しているときに、前記ランドライ防止膜は、第2の構成になっており、前記第2の構成では、前記ランドライ防止膜が、前記非平面的な形状を含み、前記第1の表面積よりも著しく大きい第2の表面積を有している請求項5に記載の静脈内送達システム。
【請求項11】
前記効果的な孔部サイズは、3マイクロメートル未満である請求項5に記載の静脈内送達システム。
【請求項12】
前記ランドライ防止膜は、90マイクロメートル未満の厚さを含む請求項11に記載の静脈内送達システム。
【請求項13】
前記静脈内送達システムは、
前記液体を受け入れるための前記液体供給源に接続可能なドリップユニットであって、前記液体を前記チュービングに送達するために、前記チュービングの前記第1の端部にさらに接続可能であり、前記ドリップユニットは、前記液体が重力送りを介して前記ドリップチャンバの中へ流れるドリップチャンバを含む、ドリップユニットを
さらに含み、
前記ランドライ防止膜は、前記ドリップチャンバの中に位置決めされており、前記液体が、前記チュービングの前記第1の端部の中へ入る前に、前記ランドライ防止膜を通過するようになっている請求項1に記載の静脈内送達システム。
【請求項14】
液体を含む液体供給源と、
前記液体供給源から前記液体を受け入れるように前記液体供給源に接続可能な第1の端部、および、
前記液体を患者に送達する静脈内アクセスユニットに接続可能な第2の端部
を含む、チュービングと、
前記液体供給源から前記液体を受け入れ、前記液体を前記チュービングの前記第1の端部に送達するドリップチャンバを含むドリップユニットであって、空気が通過することに抵抗するように構成されている親水性の材料から形成され前記チャンバの中に位置決めされているランドライ防止膜をさらに含むドリップユニットと、
前記ランドライ防止膜のバブルポイントを上昇させるように構成されているバブルポイント上昇コンポーネントと
を含む静脈内送達システムであって、
前記ランドライ防止膜は、90マイクロメートル未満の厚さを有しており、前記ランドライ防止膜は、
ドーム状の形状と、
前記ランドライ防止膜の2つの隣接する表面の間に鋭角を画定する少なくとも1つの折り目を含む折り畳まれた形状と、
概してチューブ状の形状と
からなる群から選択される少なくとも1つの非平面的な形状を含み、
前記ランドライ防止膜は、前記液体が通って流れる複数の孔部を含み、前記複数の孔部のそれぞれは、サイズが3マイクロメートル未満になっており、
前記ランドライ防止膜は、膜表面エネルギーを有する膜材料から形成されており、前記バブルポイント上昇コンポーネントは、
前記ランドライ防止膜に適用されるコーティングであって、前記膜表面エネルギーよりも高いコーティング表面エネルギーを含むコーティング材料から形成されているコーティングと、
前記ランドライ防止膜の形成の前に前記膜材料に加えられる添加剤であって、前記膜表面エネルギーよりも高い添加剤表面エネルギーを含む添加剤材料から形成されている添加剤と
からなる群からの選択を含み、
前記バブルポイント上昇コンポーネントは、液体冷却ユニットを含み、前記液体冷却ユニットは、前記液体が前記ランドライ防止膜に接触する前に前記液体を冷却し、前記ランドライ防止膜の前記バブルポイントを上昇させ、プライミング及び使用時において、空気が前記ランドライ防止膜を通過することを実質的に防止する静脈内送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、静脈内(「IV」)送達のためのシステムおよび方法に関し、それによって、流体が、患者に直接的に投与され得る。より具体的には、本発明は、静脈内送達システムのチュービングの中への空気の流れを制限するために静脈内送達システムの中に含まれ得るランドライ防止(ARD)膜に関する。本発明による静脈内送達システムは、動脈内、静脈内、血管内、腹腔内、および/または非血管内の流体の投与における使用に関して、流体を患者に送達するために使用されるコンポーネントを説明するために、本明細書で広く使用されている。当然のことながら、当業者は、患者の身体の中の他の場所に流体を投与するために、静脈内送達システムを使用することが可能である。
【背景技術】
【0002】
患者の血流の中へ流体を投与する1つの共通の方法は、静脈内送達システムを通して行われる。多くの共通の実装形態では、静脈内送達システムは、液体バッグなどのような液体供給源と、液体バッグからの流体の流量を決定するために使用されるドリップチャンバと、液体バッグと患者との間の接続を提供するためのチュービングと、患者の中に静脈内に位置決めされ得るカテーテルなどのような静脈内アクセスユニットとを含むことが可能である。また、静脈内送達システムは、Yコネクタを含むことが可能であり、Yコネクタは、静脈内送達システムのピギーバッキング(piggybacking)を可能にし、また、シリンジから静脈内送達システムのチュービングの中への薬の投与を可能にする。
【0003】
患者の血流にアクセスする静脈内送達システムから空気を除去することは、一般的に優れた実践である。この配慮は、動脈内血液にアクセスするときに重要であるが、また、それは、静脈側にアクセスするときの配慮でもある。具体的には、流体の静脈内投与を受け入れている間に、気泡が患者の血流に進入することを許容される場合には、気泡は、空気塞栓を形成し、患者に深刻な損傷を引き起こす可能性がある。
【0004】
通常、成人の大多数においては、右心房および左心房は、互いに完全に分離されており、血液および気泡は、右心房から、右心室へ、次いで、肺へ移動されるようになっており、肺において、気泡は、安全にベントされ得る。次いで、泡のない血液は、左心房に戻され、左心房において、血液は、左心室へ移動され、次いで、身体全体にわたって送られる。
【0005】
しかし、幼児、および、成人人口のうちのごく一部においては、右心房および左心房が、完全に分離されてはいない。結果的に、気泡は、右心房から左心房の中へ直接的に移動することが可能であり、次いで、身体全体にわたって分散され得る。結果として、これらの気泡は、脳卒中、組織損傷、および/または死を引き起こす可能性がある。したがって、気泡が患者の血流に進入することを防止することが重要である。
【0006】
流体の静脈内投与における使用のために静脈内送達システムをプライミングしている間に気泡を除去する重要性にもかかわらず、気泡の完全な除去は、時間のかかるプロセスである可能性がある。また、プロセスは、静脈内送達システムの滅菌端部に不注意に触れることによって、静脈内送達システムの汚染につながる可能性がある。典型的に、静脈内送達システムがプライミングされるときに、流体がドリップチャンバからチュービングを通って移動することを防止するために、クランプが閉じられる。次いで、静脈内送達システムは、IVバッグまたはボトルに取り付けられ得る。取り付けられると、典型的に透明な可撓性のプラスチックで作製されているドリップチャンバは、流体をIVバッグまたはボトルから引き出してドリップチャンバの中へ入れるために、絞られ得る。流体がチューブを通って静脈内送達システムの端部へ流れることを可能にするためにクランプが開けられるときに、ドリップチャンバは、満杯の約1/3から1/2まで充填することを許容され得る。
【0007】
しかし、この初期プロセスは、典型的に、空気をチュービングの中に捕捉し、空気は除去されなければならない。たとえば、静脈内送達システムのチュービングを通る流体の流れは、乱流になる可能性があり、また、流体とチュービングとの間の境界層がせん断されるときに、空気をチューブの中に取り込むことがある。ドリップチャンバから出てくる流量は、ドリップチャンバに進入する流体の流量よりも高くなる可能性がある。これは、空気がドリップチャンバからチュービングの中へ吸い込まれるときに、泡のはしご(bubble ladder)を形成させる可能性がある。
【0008】
追加的に、流体の滴りがドリップチャンバの中の流体のプールの表面にぶつかるときに、気泡が発生され得る。これらの気泡は、ドリップチャンバからIVセットのチュービングの中へ引き込まれ得る。この問題は、ドリップオリフィスがより小さい場合がある小児科用途において悪化される可能性があり、それは、増大された乱流を結果として生じさせる可能性がある。
【0009】
静脈内送達システムから気泡を除去するために、従事者がチュービングを叩いて気泡が静脈内送達システムの端部から出ることを促しながら、IVバッグまたはボトルからの流体は、チュービングを通って流れることを許容され得る。チュービングから気泡を取り除くために、流体が静脈内送達システムから流出することを許容されるとき、流体は、廃棄物入れまたは他の受容器の中へ流入することを許容され得る。この手順の間に、チュービングの端部は、廃棄物入れに接触するか、または、従事者によって触れられる可能性があり、したがって、汚染されることになる。この脱泡プロセスの追加的な欠点は、それが、患者にとって有益であり得る他のタスクを実施するために使用され得た注意および時間を必要とすることである。
【0010】
別の脱泡方法は、静脈内送達システムからの気泡を直接的に除去することである。より具体的には、静脈内送達システムがYコネクタを含む場合には、気泡は、Yコネクタにおいて、シリンジによって除去され得る。この方法は、依然として、追加的な時間および注意を必要とし、また、送達されることになる液体の汚染のリスクを伴う可能性がある。
【0011】
静脈内送達システムから泡を除去する困難性に対処するために、さまざまな先行技術の静脈内送達システムは、流体が静脈内送達システムを通って流れるときに、流体から空気を濾過するための膜を用いてきた。たとえば、多くの場合に、膜は、ドリップチャンバの下部に設置され得、ドリップチャンバから流出する流体が膜を通過しなければならないようになっている。膜は、空気の通過を遮断しながら、流体の通過を可能にするように構成され得る。このように、泡は、患者につながるチュービングの中へ入ることを防止される。同様に、膜は、チュービングをカテーテルに連結するコネクタの中に含まれ、チュービングの中に存在する任意の空気が患者の血管系の中へ入らないように阻止することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの先行技術の静脈内送達システム設計において空気濾過膜を使用することは有益であった。しかし、これらの膜を使用しても、さまざまな欠点が依然として存在する。たとえば、流体バッグが空になることを許容される場合に、静脈内送達システムの中の流体のすべては、静脈内送達システムを通過して患者の中へ入ることになり、静脈内送達システムを空気で満たされた状態にする。これが起こると、静脈内送達システムは、新しい流体バッグが投与され得る前に、静脈内送達システムから空気を除去するために、再プライミングされなければならないことになる。静脈内送達システムを再プライミングしなければならないことを回避するために、臨床医は、ドリップチャンバが空になる前に流体バッグが交換され得ることを確実にするために、流体バッグが空になっているときに居合わせなければならないことになる。
【0013】
また、空気がチュービングの中に進入したことに臨床医が気付かない場合には、臨床医は、新しい流体バッグを接続するときに、静脈内送達システムを再プライミングすることができない可能性がある。その結果、新しい流体バッグが投与された後で、空気が患者の中へ入る可能性がある。さらに、膜が十分に長い流体の柱を支持することにならない場合には、膜の空気濾過能力は、膜の下流のチュービングの中への流体の連続した流れによって圧倒される可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施形態は、概して、ランドライ防止膜の動作を強化するバブルポイント上昇コンポーネントを備える静脈内送達システムに関する。静脈内送達システムは、患者に送達されることになる液体を含む液体供給源と、ランドライ防止膜を含むドリップユニットと、チュービングと、バブルポイント上昇コンポーネントとを有することが可能である。チュービングは、液体供給源に接続可能な第1の端部と、ベントキャップおよび/または静脈内送達ユニットに接続可能な第2の端部とを有することが可能である。
【0015】
ランドライ防止膜は、親水性の材料から形成され得、また、ランドライ防止膜のバブルポイントを増加させる、粗面化された表面を有することが可能である。ランドライ防止膜は、複数の孔部を有することが可能であり、複数の孔部は、空気がランドライ防止膜を通過することに抵抗しながら、液体がランドライ防止膜を通って流れることを可能にする。孔部は、比較的小さくなっていることが可能であり、たとえば、効果的な直径が約3マイクロメートル未満になっていることが可能である。さらに、ランドライ防止膜は、比較的小さい厚さを有することが可能であり、たとえば、約90マイクロメートル未満になっていることが可能である。
【0016】
バブルポイント上昇コンポーネントは、高い表面エネルギー添加剤を含むことが可能であり、高い表面エネルギー添加剤は、ランドライ防止膜を製造する間に、ランドライ防止膜のベース材料に加えられ、ランドライ防止膜の表面エネルギーを増加させる。追加的にまたは代替的に、バブルポイント上昇コンポーネントは、ランドライ防止膜の形成の後に、ランドライ防止膜の外部に適用される高い表面エネルギーコーティングを含むことが可能である。追加的にまたは代替的に、バブルポイント上昇コンポーネントは、冷却デバイスであることが可能であり、冷却デバイスは、ランドライ防止膜を通って流れることになる液体に適用され、液体を冷却し、それによって、ランドライ防止膜のバブルポイントを上昇させる。
【0017】
ランドライ防止膜の幾何学形状とバブルポイント上昇コンポーネントの動作との組み合わせは、ランドライ防止膜を通る液体の流れを制限しようとすることが可能である。これを補償するために、および、ランドライ防止膜が十分な流量の液体を提供することを確実にするために、ランドライ防止膜は、液体が通って流れることができるランドライ防止膜の表面積を効果的に増加させる非平面的な形状を有することが可能である。そのような非平面的な形状は、それに限定される必要はないが、チューブ状の形状、ドーム状の形状、および/または、折り畳まれた形状もしくはプリーツ付きの形状を含むことが可能である。折り畳まれた形状は、ランドライ防止膜の2つの隣接する表面の間に少なくとも1つの折り目を含むことが可能であり、折り目は、隣接する表面の間に鋭角を画定している。
【0018】
1つの方法によれば、静脈内送達システムは、最初に、静脈内送達システムのさまざまなコンポーネントを一緒に接続することによって使用され得る。これは、液体供給源、ドリップユニット、およびチュービングを一緒に接続することを伴うことが可能である。次いで、静脈内送達システムは、液体供給源からチュービングを通してベントキャップへ液体を重力送りすることによってプライミングされ得る。静脈内送達システムをプライミングすることに応答して、ベントキャップは、静脈内送達システムから外へ空気をベントすることが可能である。次いで、静脈内アクセスユニットは、チュービングの第2の端部に接続され、液体を患者に送達するために使用され得る。
【0019】
患者への液体の流れは、たとえば、液体供給源の中の液体の枯渇に起因して停止され得る。次いで、液体の柱は、第1の端部に近接して、ドリップユニットの下側部の中に、および、チュービングの中に、ランドライ防止膜の下方に発達することが可能である。バブルポイント上昇コンポーネントは、かなりの量の空気が柱の中へ進入することを許容することなく、ランドライ防止膜が液体柱を支持することを可能にするのに十分なレベルまで、ランドライ防止膜のバブルポイントを上昇させる役割を果たすことが可能である。
【0020】
本発明のこれらのおよび他の特徴および利点は、本発明の特定の実施形態の中へ組み込まれ得、また、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより十分に明らかになることになり、または、以降に述べられているような本発明の実施によって学習され得る。本発明は、本明細書で説明されているすべての有利な特徴およびすべての利点が本発明のあらゆる実施形態の中へ組み込まれることを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の上述のおよび他の特徴および利点が得られる様式が容易に理解されるようにするために、上記に簡潔に説明されている本発明のより詳細な説明が、添付の図面に図示されているその特定の実施形態を参照することによって与えられることになる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態だけを示しており、したがって、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
図1】1つの実施形態による静脈内送達システムの正面図である。
図2】チュービングの一部分のダイアグラムであり、一般的に、チュービングの中の流体柱の維持を図示する図である。
図3】1つの実施形態による、静脈内送達システムを使用する方法を図示するフローチャートダイアグラムである。
図4図1の液体供給源の正面図であり、冷却デバイスの形態のバブルポイント上昇コンポーネントを備えることを示す図である。
図5A】1つの実施形態による、ランドライ防止膜の平面図である。
図5B】1つの実施形態による、ランドライ防止膜の正面図である。
図5C】別の実施形態による、ランドライ防止膜の平面図である。
図5D】別の実施形態による、ランドライ防止膜の正面図である。
図6】1つの実施形態による、ドリップユニットの正面断面図である。
図7】1つの代替的な実施形態による、ドリップユニットの正面断面図である。
図8】別の代替的な実施形態による、ドリップユニットの正面断面図である。
図9】さらなる別の代替的な実施形態による、ドリップユニットの正面断面図である。
図10A】ランドライ防止膜を形状決めする前の、さらなる別の代替的な実施形態による、ドリップユニットの正面断面図である。
図10B】ランドライ防止膜を形状決めした後の、さらなる別の代替的な実施形態による、ドリップユニットの正面断面図である。
図11A】実質的に液体フローがない状態の、さらなる別の代替的な実施形態による、ドリップユニットの正面断面図である。
図11B】プライミングまたは静脈内送達システムの使用から起こる液体フローがある状態の、さらなる別の代替的な実施形態による、ドリップユニットの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の現在の好適な実施形態は、図面を参照することによって理解され得、図面において、同様の参照数字は、同一のエレメントまたは機能的に同様のエレメントを示している。本明細書において図で一般的に説明および図示されている本発明のコンポーネントは、多種多様な異なる構成で配置および設計され得ることが容易に理解されることになる。したがって、図に表されているような、以下のより詳細な説明は、特許請求されているような本発明の範囲を限定するように意図されておらず、単に、本発明の現在の好適な実施形態を表しているに過ぎない。
【0023】
そのうえ、図は、簡単化された図または部分図を示している可能性があり、図の中のエレメントの寸法は、誇張されている可能性があり、または、そうでなければ、明確化のために、比例していない可能性がある。それに加えて、単数形「a」、「an」、および「the」は、別段文脈により明確に示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、たとえば、端末を参照することは、1つまたは複数の端末を参照することを含む。それに加えて、エレメントのリスト(たとえば、エレメントa、b、c)が参照される場合に、そのような参照は、列挙されているエレメントの任意の1つ自身、列挙されているエレメントのすべてよりも少ない任意の組み合わせ、および/または、列挙されているエレメントのすべての組み合わせを含むことを意図している。
【0024】
「実質的に」という用語は、記載されている性質、パラメータ、または値が、厳密に実現される必要はなく、たとえば、公差、測定誤差、測定精度限界、および、当業者に公知の他の要因を含む、偏差または変形が、その性質が提供することを意図していた効果を妨げない量で生じ得ることを意味している。
【0025】
本明細書で使用されているように、「近位」、「上部」、「上に」、または「上向きに」という用語は、デバイスを使用している臨床医に最も近く、患者から最も遠い、デバイスの上の場所を表しており、デバイスがその通常動作時に使用されるときに、デバイスは患者に接続して使用される。逆に、「遠位」、「下部」、「下に」、または「下向きに」という用語は、デバイスを使用している臨床医から最も遠く、患者に最も近い、デバイスの上の場所を表しており、デバイスがその通常動作時に使用されるときに、デバイスは患者に接続して使用される。
【0026】
本明細書で使用されているように、「内に」または「内向きに」という用語は、通常使用の間にデバイスの内側向きになっている、デバイスに対する場所を表している。逆に、本明細書で使用されているように、「外に」または「外向きに」という用語は、通常使用の間にデバイスの外側向きになっている、デバイスに対する場所を表している。
【0027】
図1を参照すると、正面図が、1つの実施形態による静脈内送達システム100を図示している。示されているように、静脈内送達システム100は、複数のコンポーネントを有することが可能であり、それは、液体供給源102、ドリップユニット104、チュービング106、保持ユニット108、ベントキャップ110、および、静脈内アクセスユニット112を含むことが可能である。これらのコンポーネントが図1に図示されている様式は、単に例示的なものであり、当業者は、多種多様な静脈内送達システムが存在することを理解するであろう。したがって、静脈内送達システム100のさまざまなコンポーネントは、省略され、交換され、および/または、図示されているものとは異なるコンポーネントで補完され得る。
【0028】
液体供給源102は、静脈から患者に送達されることになる液体122を含有するコンテナを有することが可能である。液体供給源102は、たとえば、バッグ20を有することが可能であり、バッグ20は、半透明の可撓性のポリマーなどから形成され得る。したがって、バッグ120は、バッグ状の構成を有することが可能である。バッグ120は、液体122を含有するように形状決めされ得る。
【0029】
ドリップユニット104は、測定されるレートで、バッグ120から液体122を受け入れるように設計され得、たとえば、一連のドリップが、予測可能な一貫したレートで起こるようになっている。ドリップユニット104は、重力送りを介して液体122を受け入れるために、バッグ120の下方に位置決めされ得る。ドリップユニット104は、液体供給源102から液体122を受け入れる受け入れデバイス130と、どのようなレートで液体122がドリップユニット104によって受け入れられるかを決定するドリップ特徴部132と、液体122がその中に収集されるドリップチャンバ134とを有することが可能である。ランドライ防止膜が、ドリップチャンバ134の中に位置決めされ得、チュービング106の中への液体122の流れの停止の後に、かなりの空気がランドライ防止膜136を通ってチュービング106の中へ流入することを許容することなく、かなりの長さの流体柱がチュービング106の中に維持されることを可能にする。
【0030】
チュービング106は、標準的な医療用グレードのチュービングであることが可能である。チュービング106は、シリコーンゴムなどのような可撓性の半透明の材料から形成され得る。チュービング106は、第1の端部140および第2の端部142を有することが可能である。第1の端部140は、ドリップユニット104に連結され得、第2の端部142は、ベントキャップ110に連結され得、液体122がドリップユニット104からチュービング106を通ってベントキャップ110へ流れるようになっている。
【0031】
保持ユニット108が、静脈内送達システム100のさまざまな他のコンポーネントを保持するために使用され得る。示されているように、保持ユニット108は、主本体部150および拡張部152を有することが可能である。一般的に、チュービング106は、第1の端部140に近接して主本体部150に接続され得、また、第2の端部142に近接して拡張部152に接続され得る。保持ユニット108に加えて、または、保持ユニット108の代わりに、さまざまなラック、ブラケット、および/または他のフィーチャが使用され得る。
【0032】
ベントキャップ110は、チュービング106の第2の端部142に連結され得る。ベントキャップ110は、ベントを有することが可能であり、それは、たとえば、空気に対して実質的に浸透性であるが液体122に対して浸透性でない疎水性の膜などである。したがって、ベントキャップ110の中からの空気は、静脈内送達システム100からの液体122の制限された漏出とともに、静脈内送達システム100からベントされ得る。
【0033】
静脈内アクセスユニット112が、液体122を患者の血管系に供給するために使用され得る。静脈内アクセスユニット112は、第1の端部170およびアクセス端部172を有することが可能である。第1の端部170は、ベントキャップ110の代わりに、チュービング106の第2の端部142に接続可能であり得る。したがって、静脈内送達システム100が十分にプライミングされると、静脈内アクセスユニット112は、ベントキャップ110の代わりに、チュービング106の第2の端部142に連結され得る。代替的実施形態では(図示せず)、チュービング106の第2の端部142からベントキャップ110を取り外すことなく、静脈内アクセスユニット112の第1の端部170をチュービング106に接続するために、Yアダプターなどのようなさまざまなコネクタが使用され得る。
【0034】
静脈内送達システム100は、図1に図示されているように、コンポーネント同士(静脈内アクセスユニット112を除く)を一緒に接続することによってプライミングされ得、次いで、液体122がドリップユニット104およびチュービング106を通ってベントキャップ110の中へ重力送りすることを可能にする。所望の場合には、ドリップユニット104は、絞られ、または、そうでなければ加圧され、チュービング106を通る液体122の流れを速めることが可能である。
【0035】
液体122がチュービング106を通って流れるときに、空気が、液体122の中に同伴されるようになる可能性がある。この空気は、チュービング106の第1の端部140から、チュービング106の第2の端部142に向けて、液体122の柱とともに移動することが可能である。この同伴された空気は、チュービング106の第2の端部142に近接する泡の中へ集まることが可能である。ベントキャップ110は、液体122を受け入れ、そのような気泡が静脈内送達システム100からベントキャップ110を通してベントされることを許容するように設計され得る。
【0036】
たとえば、液体供給源102の中の液体122の枯渇に起因して、液体122が液体122の中へ流入することを停止すると、ランドライ防止膜136は、チュービング106の中への空気の運動を制限するように作用することが可能である。ランドライ防止膜136は、複数の孔部138を有することが可能であり、孔部138のそれぞれは、液体122のメニスカスの形成をランドライ防止膜136の下に引き起こすサイズを有している。それぞれのメニスカスは、毛細管現象を介して、チュービング106の中の液体122の柱の支持に寄与することが可能である。ランドライ防止膜136は、空気が柱に進入することを許容する前に、かなりの長さの液体122の柱の支持を促進するように設計され得る。支持され得る柱が長ければ長いほど、静脈内送達システム100は、異なる動作条件に対してロバストになることになる。
【0037】
ランドライ防止膜136によって支持され得る液体122の柱の長さを強化するために、静脈内送達システム100は、バブルポイント上昇コンポーネントを含むことも可能である。これは、図1に示されていない。しかし、さまざまなバブルポイント上昇コンポーネントが、以下の図に関連して、示されて説明されることになる。一般的に、「バブルポイント上昇コンポーネント」は、ランドライ防止膜のバブルポイントを増加させる静脈内送達システムの任意の特徴であることが可能である。「バブルポイント」は、ガス圧力の下で泡の連続的な流れが湿ったフィルターの下流に最初に見られる圧力である。ランドライ防止膜136のバブルポイントを上昇させることは、かなりの量の空気が柱の中へ進入することなく、ランドライ防止膜136によって支持され得るドリップ特徴部132の柱の長さを増加させることになる。いくつかの関連の原理が、図2に関連して、示されて説明されることになる。
【0038】
図2を参照すると、チューブ壁部210の一部分のダイアグラム200は、一般的に、チューブ壁部210の中の液体220の柱の維持を図示している。図2のチューブ壁部210は、膜の個々の孔部などのような(たとえば、図1のランドライ防止膜の孔部138の1つなど)、液体/ガス界面を画定する任意の構造体を表している。チューブ壁部210(または、孔部138)は、示されているように、半径rを有することが可能である。チューブ壁部210の中に支持されることになる液体220の柱は、同様に示されているように、高さhを有することが可能である。
【0039】
示されているように、メニスカス240が、液体220と空気230との間の境界において、液体220の上流に存在することが可能である。チューブ壁部210は、親水性の材料から形成され得る。したがって、メニスカス240は、メニスカス240がチューブ壁部210に出会う端部において、上向きに湾曲することが可能である。したがって、メニスカス240は、チューブ壁部210に対して接触角度θを形成することが可能である。メニスカス240によってチューブ壁部210に対して及ぼされる表面張力は、液体220に対するメニスカス240の接触角度に平行であり、したがって、γのラベルを付されたベクトルによって示されている。支持され得る液体122の柱の高さhは、式
【0040】
【数1】
【0041】
によって得られ得、ここで、ρは、液体122の密度であり、gは、重力定数である。
【0042】
上記に参照される式から、γを増加させることによって、および/または、θを低減させることによって、hが増加され得ることが理解され得る。これらは、任意選択で、本開示によるさまざまな方式で達成され得る。いくつかの実施形態では、チューブ壁部210の材料の表面エネルギーを増加させることによって、γは増加され得、θは減少され得る。図1の実施形態を再び参照すると、これは、ドリップユニット104の中のランドライ防止膜136の表面エネルギーを増加させることを伴うことが可能である。
【0043】
ランドライ防止膜136の表面エネルギーを増加させることは、たとえば、コーティングまたは添加剤をランドライ防止膜136に適用することによって達成され得る。コーティングまたは添加剤は、ランドライ防止膜136を形成するために使用されるベース材料のものよりも高い表面エネルギーを有する材料を含むことが可能である。添加剤の場合には、高い表面エネルギー添加剤は、ランドライ防止膜136をその最終的な形状に形成する前に、たとえば、ランドライ防止膜136が形成されることになるベース材料と添加剤を混合することによって、ランドライ防止膜136の製造の間に適用され得る。さまざまな公知の混合方法が使用され得、また、任意選択で、化学的な結合の使用を伴うことが可能である。コーティングの場合には、高い表面エネルギーコーティングは、ランドライ防止膜136が形成された後に、ランドライ防止膜136の外部に適用され得る。これは、任意の公知のコーティング方法の使用を通して実施され得る。
【0044】
高い表面エネルギー添加剤またはコーティングの使用は、ランドライ防止膜136のバブルポイントを増加させる多くの可能な方式のうちのいくつかだけを表している。他の実施形態が、続いて説明されることになる。静脈内送達システム100を使用する一般化された方法は、図3に関連して、示されて説明されることになる。
【0045】
図3を参照すると、フローチャートダイアグラムは、1つの実施形態による、使用のための静脈内送達システムを準備する方法300を図示している。方法300は、図1の静脈内送達システム100を参照して説明されることになる。しかし、当業者は、方法300が異なる静脈内送達システムを用いて実施され得ることを理解するであろう。同様に、静脈内送達システム100は、図3のもの以外の方法の使用を通して、使用のために準備され得る。
【0046】
方法300は、ステップ320から開始310することが可能であり、ステップ320において、静脈内送達システム100のさまざまなコンポーネントが、静脈内アクセスユニット112を除いて、一緒に接続される。チュービング106およびベントキャップ110などのような、静脈内送達システム100のコンポーネントのうちのいくつかは、それらがすでに一緒に接続されている状態で、パッケージ化され、販売され、および/または、エンドユーザーに提供され得る。ステップ320は、未だ一緒に接続されていない静脈内送達システム100のコンポーネントの相互接続だけを含むことが可能である。
【0047】
ステップ330において、静脈内送達システム100がプライミングされ得る。以前に示されているように、これは、単に、液体122が重力を介してチュービング106を通ってベントキャップ110へ流れることを可能にすることによって、または、ドリップユニット104を絞るか、もしくは別の方法で加圧することによって行われ得る。
【0048】
ステップ340において、液体122は、たとえば、静脈内アクセスユニット112の使用を通して、患者に送達され得る。ステップ350において、液体122の送達が停止され得る。これは、液体供給源102の中の液体122の枯渇に起因して起こり得、および/または、たとえば、液体供給源102を静脈内送達システム100の残りの部分から取り外すことなど、静脈内送達システム100を通る液体122の流れを停止させるために臨床医によって取られるさまざまな行為に起因して起こり得る。
【0049】
ステップ360において、液体122の柱は、ランドライ防止膜136の下方に発達することが可能である。これは、残りの量の液体122が(たとえば、ランドライ防止膜136の上方のドリップチャンバ134の部分から)ランドライ防止膜136を通過してチュービング106の中へ入るときに起こり得る。静脈内送達システム100を再プライミングすることによってステップ330を繰り返す必要なしに、柱の中への空気の進入を防止し、静脈内送達システム100が、患者への液体122(または、異なる液体)のさらなる送達のために使用され得るようになっていることが望ましい可能性がある。
【0050】
したがって、ステップ370において、バブルポイント上昇コンポーネントは、空気がランドライ防止膜136を通過して液体122の柱の中へ入ることを実質的に防止するために使用され得る。本開示において、「空気が通過することを実質的に防止する」および「空気の通過に抵抗する」という語句は、それによって、柱の中への空気の進入が、静脈内送達システムのさらなる使用を通して、患者への液体柱の送達を可能にするのに十分に安全なレベルに制限される、システムおよび方法を表している。次いで、方法300は、終了390することが可能である。
【0051】
以前に述べられているように、多くの異なるタイプのバブルポイント上昇コンポーネントが、本開示の範囲内で使用され得る。ランドライ防止膜136の表面エネルギーを上昇させることは別として、他のバブルポイント上昇コンポーネントは、ランドライ防止膜136および/または液体122の他の特性を修正するように設計されているコンポーネントを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、ランドライ防止膜136の表面粗さが増加され、ランドライ防止膜136と液体122との間で、Wenzelの式にしたがって、見掛けの接触角度θを減少させることが可能である。他の実施形態では、ランドライ防止膜136の清浄度および/または均質性が強化され得る。さらなる他の実施形態では、液体122の温度が低減され得る。本開示によるバブルポイント上昇コンポーネントは、ランドライ防止膜136の表面エネルギーを増加させることに加えて、または、それの代わりに、これらの目的のいずれかを達成するように設計され得る。液体122を冷却するバブルポイント上昇コンポーネントの1つの例が、図4に関連して、示されて説明されることになる。
【0052】
図4を参照すると、正面図は、図1の液体供給源102を図示しており、冷却デバイス400の形態のバブルポイント上昇コンポーネントを備えることを示している。冷却デバイス400は、液体供給源102の上に、または、液体供給源102の近くに位置決めされ得、液体122から熱を吸収することが可能である。したがって、冷却デバイス400は、アイスパックなどのような、冷却される液体、固体、またはガスの容器であることが可能である。追加的にまたは代替的に、冷却デバイス400は、液体122から熱を連続的に受け入れるために、冷凍サイクルを使用することが可能である。たとえば、冷却デバイス400は、圧縮機、膨張バルブ、蒸発器、および/または凝縮器を含むことが可能であり、それらは、導管によって相互接続されている。任意の公知のタイプの冷却剤が、導管を通して循環し、液体供給源102の中の液体122から大気などのようなヒートシンクへ熱を連続的に搬送することが可能である。
【0053】
冷却デバイス400は、ランドライ防止膜136への液体122の付着を強めることによって、湿分通過に抵抗するランドライ防止膜136の能力を強化することが可能である。これは、液体122を冷却することによって行われ得、それは、表面張力γを増加させる。
【0054】
追加的にまたは代替的に、ランドライ防止膜136の孔部138は、比較的小さく作製され得る。いくつかの実施形態では、ランドライ防止膜136の孔部138は、3マイクロメートル未満のサイズを有することが可能である(すなわち、円形孔部の場合では、3マイクロメートル未満の直径)。さらに、孔部138は、それぞれ、2.5マイクロメートル未満、2マイクロメートル未満、または、さらには、1.5マイクロメートル未満のサイズを有することが可能である。さらに、ランドライ防止膜136は、比較的小さい厚さを有することが可能である。いくつかの実施形態では、ランドライ防止膜136は、90マイクロメートル未満の厚さを有することが可能である。さらに、ランドライ防止膜136は、75マイクロメートル未満、60マイクロメートル未満、または、さらには、45マイクロメートル未満の厚さを有することが可能である。
【0055】
そのような小さい孔部サイズは、ランドライ防止膜136を通る液体122の流量を制限する傾向があることが可能である。したがって、ランドライ防止膜136の表面積を増加させることによって、これを補償することが望ましい可能性がある。具体的には、続いて示されて説明されることになるさまざまな実施形態において、ランドライ防止膜は、少なくともランドライ防止膜を通って液体122が流れる間に、非平面的な形状を有することが可能である。そのような非平面的な形状は、それに限定されないが、ドーム状の形状、折り畳まれた形状またはプリーツ付きの形状、円筒状の形状、および、それらの組み合わせを含むことが可能である。
【0056】
図5Aおよび図5Bを参照すると、平面図および正面図は、それぞれ、1つの実施形態によるランドライ防止膜500を図示している。示されているように、ランドライ防止膜500は、概してチューブ状の形状を画定するチューブ状の壁部510を有することが可能である。概してチューブ状の形状は、所与のフォームファクタの中に、より大きい表面積を提供することが可能である。いくつかの例では、ランドライ防止膜500は、液体122の流れに対して平行に配向され得、ランドライ防止膜500が、比較的コンパクトな断面積を有するスペースの中にフィットするようになっている。
【0057】
図5Cおよび図5Dを参照すると、平面図および正面図は、それぞれ、別の実施形態によるランドライ防止膜550を図示している。示されているように、ランドライ防止膜550は、図5Aおよび図5Bのランドライ防止膜500のものと概して同様の概してチューブ状の形状を画定するチューブ状の壁部510を有することが可能である。しかし、概してチューブ状の形状に加えて、チューブ状の壁部560は、チューブ状の壁部560の表面積をさらに増大させる複数の折り目570を有することが可能である。折り目570のそれぞれは、第1の膜表面580と第2の膜表面590との間に交差部を提供することが可能であり、その交差部は、任意選択で、鋭角595で生じることが可能である。ランドライ防止膜500と同様に、ランドライ防止膜550は、液体122の流れに対して平行に配向され得、ランドライ防止膜550が、比較的コンパクトな断面積を有するスペースの中にフィットするようになっている。
【0058】
ランドライ防止膜500およびランドライ防止膜550は、孔部を有することが可能であり、または、図1のランドライ防止膜136の孔部138のような孔部を有することが可能である。ランドライ防止膜500およびランドライ防止膜550は、単に、本開示によるランドライ防止膜の構築において使用され得る非平面的な形状の例である。そのような非平面的な膜は、静脈内送達システムのさまざまなコンポーネントの中で支持されて使用され得る。いくつかの例では、そのような非平面的なランドライ防止膜は、図1のドリップユニット104などのような、ドリップユニットの中に位置決めされ得る。図6図11は、代替的に非平面的なランドライ防止膜を収容するために使用され得る、さまざまな異なるドリップユニット構成を図示している。
【0059】
図6を参照すると、正面断面図は、1つの実施形態によるドリップユニット604を図示している。ドリップユニット604は、図1のものと同様のドリップ特徴部132を有することが可能である。ドリップユニット604は、液体122を含むようにドリップチャンバ634を全体的に画定する外部壁部620を有することが可能である。外部壁部620は、概してチューブ状のおよび/または切頭円錐状の形状を有する周辺部分622と、チュービングインターフェース624とを有することが可能であり、チュービングインターフェース624は、周辺部分622の下方に位置決めされており、チュービング106の第1の端部140に接続されているように設計されている。外部壁部620は、周辺部分622とチュービングインターフェース624との間に境界を画定するように位置決めされている棚部626を有することが可能である。
【0060】
図6のドリップユニット604は、概してチューブ状の形状を有するランドライ防止膜636を含むことが可能であり、ランドライ防止膜636は、図5Aおよび図5Bのランドライ防止膜500のものと同様の構成、ならびに/または、図5Cおよび図5Dのランドライ防止膜550のものと同様の構成を有することが可能である。ランドライ防止膜636は、カートリッジ640の中に保持され得、カートリッジ640は、外部壁部620とは別々に形成され、外部壁部620の棚部626の上に置かれるように搭載され得る。カートリッジ640は、その長さに沿って長手方向に延在する複数のスロット644を備えた外側壁部642を有することが可能である。外側壁部642は、液体122に対して実質的に不浸透性である中実ベース646を有することが可能である。代替的に、中実ベース646は、ランドライ防止膜636のものと同様のランドライ防止膜(図示せず)と交換され得るが、それは、概して円形の周辺部を有する形状(たとえば、概して円形のまたはドーム状の形状など)を有する。
【0061】
また、カートリッジ640は、その長さに沿って長手方向に延在する複数のスロット654を備えた内側壁部652を有することが可能である。内側壁部652は、液体122に対して実質的に不浸透性である中実ベース656を有することが可能である。代替的に、中実ベース646と同様に、中実ベース656は、ランドライ防止膜636のものと同様のランドライ防止膜(図示せず)と交換され得るが、それは、概して円形の周辺部を有する形状(たとえば、概して円形のまたはドーム状の形状など)を有する。
【0062】
図6に示されている構成では、液体122は、カートリッジ640を通って流れ、チュービングインターフェース624を介してチュービング106に到達することが可能である。液体122の流れは、矢印670によって示されているようなものである可能性がある。液体122は、ドリップチャンバ634からカートリッジ640の上部を通って下向きに流れ、カートリッジ640の内部に到達することが可能である。次いで、液体122は、内側壁部652のスロット654を通って流れ、ランドライ防止膜636に到達することが可能である。次いで、液体122は、ランドライ防止膜636を通過し、外側壁部642のスロット644を通ってカートリッジ640から外へ出ることが可能である。
【0063】
ランドライ防止膜636は、任意の空気がチュービングインターフェース624の中へ入ることを可能にするというよりも、カートリッジ640の内部の中に任意の空気を捕捉するように動作することが可能である。逆に、液体122がランドライ防止膜636を通過した後に、液体122は、チュービングインターフェース624の中へ、そして、チュービング106の中へ、下向きに移動し続けることが可能である。
【0064】
代替的な実施形態では、ドリップユニットの中のカートリッジの中に配設されているランドライ防止膜を有するというよりも、2ピースのドリップユニットが使用され得る。ワンピースのドリップユニットは、ランドライ防止膜を含むことによって、カートリッジとして効果的に作用することが可能である。そのような実施形態の1つの例が、図7に関連して、示されて説明されることになる。
【0065】
図7を参照すると、正面断面図は、代替的な実施形態によるドリップユニット704を図示している。ドリップユニット704は、図1のものと同様のドリップ特徴部132を有することが可能である。ドリップユニット704は、液体122を含むようにドリップチャンバ734を全体的に画定する外部壁部720を有することが可能である。外部壁部720は、概してチューブ状のおよび/または切頭円錐状の形状を有する周辺部分722と、周辺部分722の底部に位置決めされている棚部726とを有することが可能である。棚部726は、開口部を画定することが可能であり、開口部の中に、カートリッジ740が位置決めされ得る。カートリッジ740は、概してチューブ状の形状を有するランドライ防止膜736を含むことが可能であり、ランドライ防止膜736は、図5Aおよび図5Bのランドライ防止膜500のものと同様の構成、ならびに/または、図5Cおよび図5Dのランドライ防止膜550のものと同様の構成を有することが可能である。
【0066】
カートリッジ740は、外部壁部720と協働して、ドリップユニット704の第2のピースとして作用するために、棚部726によって画定された開口部の中へ落下するように設計され得る。カートリッジ740は、外側壁部742を有することが可能であり、外側壁部742は、ランドライ防止膜736を保持することが可能である。外側壁部742は、その長さに沿って長手方向に延在する複数のスロット744を有することが可能である。外側壁部742は、液体122に対して実質的に不浸透性である中実上部746を有することが可能である。代替的に、中実上部746は、ランドライ防止膜736のものと同様のランドライ防止膜(図示せず)と交換され得るが、それは、概して円形の周辺部を有する形状(たとえば、概して円形のまたはドーム状の形状など)を有する。また、カートリッジ740は、チュービング106の第1の端部140に接続されるように設計されているチュービングインターフェース748を有することが可能である。
【0067】
図7に示されている構成では、液体122は、カートリッジ740を通って流れ、チュービングインターフェース748を介してチュービング106に到達することが可能である。液体122の流れは、矢印770によって示されているようなものである可能性がある。液体122は、ドリップチャンバ734からカートリッジ740のスロット744を通って下向きに流れ、ランドライ防止膜736に到達することが可能である。次いで、液体122は、ランドライ防止膜736を通過し、カートリッジ740の内部の中へ入ることが可能である。次いで、液体122は、カートリッジ740から流出し、チュービングインターフェース748を通って流れ、チュービング106の第1の端部140に到達することが可能である。
【0068】
さらなる他の代替的な実施形態では、ランドライ防止膜は、カートリッジに対する必要性なしに、ドリップユニットの中に保持され得る。そのような場合では、ランドライ防止膜は、ドリップチャンバの内部の上のさまざまな特徴によって直接的に保持され得る。1つのそのような実施形態が、図8に関連して、示されて説明されることになる。
【0069】
図8を参照すると、正面断面図は、別の代替的な実施形態によるドリップユニット804を図示している。ドリップユニット804は、ドリップ特徴部832を有することが可能であり、ドリップ特徴部832は、たとえば、滴の形態で、液体122をドリップユニット804の内部に送達する。ドリップユニット804は、液体122を含むようにドリップチャンバ834を全体的に画定する外部壁部820を有することが可能である。外部壁部820は、概してチューブ状のおよび/または切頭円錐状の形状を有する周辺部分822と、チュービングインターフェース824とを有することが可能であり、チュービングインターフェース824は、周辺部分822の底部に位置決めされており、底部部分826によって周辺部分822に接合されている。
【0070】
ドリップチャンバ834は、概してチューブ状の形状を有するランドライ防止膜836を含むことが可能であり、ランドライ防止膜836は、図5Aおよび図5Bのランドライ防止膜500のものと同様の構成、ならびに/または、図5Cおよび図5Dのランドライ防止膜550のものと同様の構成を有することが可能である。ランドライ防止膜836は、ドリップチャンバ834を画定するコンポーネントによって直接的に保持され得る。たとえば、ランドライ防止膜836は、その下側端部において、外部壁部820の底部部分826によって保持され、その上側端部において、ドリップ特徴部832によって保持され得る。ドリップ特徴部832は、チューブ状のカラーなどのような形態の上部の膜リテイナ842を有することが可能であり、上部の膜リテイナ842は、ランドライ防止膜836の上側端部を保持する。同様に、底部部分826は、チューブ状のカラーなどの形態の底部の膜リテイナ844を有することが可能であり、底部の膜リテイナ844は、ランドライ防止膜836の下側端部を保持する。
【0071】
所望の場合には、上部の膜リテイナ842は、示されているように、ドリップユニット804の中心軸線からオフセットされ得、ドリップ特徴部832が、中心軸線に近接して液体122を送達するように構成され得るようになっている。代替的な実施形態では(図示せず)、ドリップ特徴部832は、中心軸線からオフセットされた場所において、液体122を送達するように構成され得、次いで、上部の膜リテイナ842は、中心軸線に沿って、底部の膜リテイナ844に整合され得る。代替的に、上部の膜リテイナ842および底部の膜リテイナ844は、互いに整合され得るが、両方とも、中心軸線から変位され得る。そのような代替的な構成は、図8に図示されている斜めの角度でというよりも、ドリップユニット804の中心軸線に対して平行に、ランドライ防止膜836を位置決めすることが可能である。
【0072】
それらの構成のいずれかにおいて、図8に示されている構成と同様に、液体122は、ドリップチャンバ834からランドライ防止膜836を通って流れ、ランドライ防止膜836の内部に到達することが可能である。ランドライ防止膜836の内部から、液体122は、下向きに流れ、チュービングインターフェース824を介してドリップユニット804から流出することが可能である。次いで、液体122は、チュービング106の第1の端部140の中へ入ることが可能である。この液体122の動きは、図8の中の矢印870によって示されている。
【0073】
さらなる他の代替的な実施形態では、カートリッジは、再び、ランドライ防止膜を保持するために使用され得るが、そのようなカートリッジは、ドリップユニットのドリップチャンバの内部の中のエレメントに固定され得る。そのような構成の1つの例が、図9に関連して、示されて説明されることになる。
【0074】
図9を参照すると、正面断面図は、さらなる別の代替的な実施形態によるドリップユニット904を図示している。ドリップユニット904は、図1のものと同様のドリップ特徴部132を有することが可能である。ドリップユニット904は、液体122を含むようにドリップチャンバ934を全体的に画定する外部壁部920を有することが可能である。外部壁部920は、概してチューブ状のおよび/または切頭円錐状の形状を有する周辺部分922と、チュービングインターフェース924とを有することが可能であり、チュービングインターフェース924は、周辺部分922の下方に位置決めされており、チュービング106の第1の端部140に接続されるように設計されている。外部壁部920は、周辺部分922とチュービングインターフェース924との間の接合部を画定するように位置決めされている底部部分926を有することが可能である。底部部分926は、保持特徴部928を画定するように形状決めされ得る。
【0075】
図9のドリップユニット904は、概してチューブ状の形状を有するランドライ防止膜936を含むことが可能であり、ランドライ防止膜936は、図5Aおよび図5Bのランドライ防止膜500のものと同様の構成、ならびに/または、図5Cおよび図5Dのランドライ防止膜550のものと同様の構成を有することが可能である。ランドライ防止膜936は、カートリッジ940の中に保持され得、カートリッジ940は、外部壁部920とは別々に形成され、外部壁部620の底部部分926の上に置かれるように搭載され得る。カートリッジ940は、その長さに沿って長手方向に延在する複数のスロット944を備えた外側壁部942を有することが可能である。外側壁部942は、液体122に対して実質的に不浸透性である中実上部946を有することが可能である。代替的に、中実上部946は、ランドライ防止膜936のものと同様のランドライ防止膜(図示せず)と交換され得るが、それは、概して円形の周辺部を有する形状(たとえば、概して円形のまたはドーム状の形状など)を有する。
【0076】
また、カートリッジ940は、保持特徴部950を備える底部部分948を有することが可能であり、保持特徴部950は、外部壁部920の底部部分926の保持特徴部928に嵌合する。図9の例示的な実施形態では、保持特徴部928および保持特徴部950は、両方とも、単に一緒にフィットすることができる切頭円錐状の形状を有しており、カートリッジ940が外部壁部920の底部部分926の上に除去可能に位置合わせされることを可能にする。所望の場合には、溶着、RF溶着、化学的な結合、接着剤結合、および/または、1つもしくは複数の機械的な締結具の適用などのような、さまざまな取り付け方法が、カートリッジ940を底部部分926に固定するために使用され得る。
【0077】
図9に示されている構成では、液体122は、カートリッジ940を通って流れ、チュービングインターフェース924を介してチュービング106に到達することが可能である。液体122の流れは、矢印970によって示されているようなものである可能性がある。液体122は、ドリップチャンバ934からランドライ防止膜936を通って流れ、外側壁部942のスロット944を通ってカートリッジ940の中へ流入することが可能である。カートリッジ940の内部から、液体122は、外側壁部942の中へ、次いで、チュービング106の第1の端部140の中へ、下向きに流入する。
【0078】
さらなる他の代替的な実施形態では、ランドライ防止膜は、チューブ状の形状でない非平面的な形状を有することが可能である。いくつかの実施形態では、ランドライ防止膜は、ランドライ防止膜の変形によって形成される形状を有することが可能である。たとえば、ランドライ防止膜は、最初に、平面的な構成であることが可能であるが、1つまたは複数の製造プロセスの適用を通して変形され、ドーム形状または他の非平面的な形状をとることが可能である。そのような実施形態の1つの例が、図10Aおよび図10Bに関連して、示されて説明されることになる。
【0079】
図10Aおよび図10Bを参照すると、正面断面図は、それぞれ、ランドライ防止膜1036を形状決めする前および後の、さらなる別の代替的な実施形態によるランドライ防止膜1036を備えたドリップユニット1004を図示している。ドリップユニット1004は、図1のものと同様のドリップ特徴部132を有することが可能である。ドリップユニット1004は、液体122を含むようにドリップチャンバ1034を全体的に画定する外部壁部1020を有することが可能である。外部壁部1020は、概してチューブ状のおよび/または切頭円錐状の形状を有する周辺部分1022と、チュービングインターフェース1024とを有することが可能であり、チュービングインターフェース1024は、周辺部分1022の下方に位置決めされており、チュービング106の第1の端部140に接続されるように設計されている。外部壁部1020は、周辺部分1022とチュービングインターフェース1024との間の接合部を画定するように位置決めされている棚部1026を有することが可能である。複数のスタンドオフ1042が、棚部1026の下方、および、棚部1026の内部に、位置決めされ得る。
【0080】
具体的には図10Aを参照すると、ランドライ防止膜1036は、示されているように、最初に、概して平面的な円形形状を有することが可能である。製造プロセスは、その平面的な形状から非平面的な形状へランドライ防止膜1036を引き伸ばすことによって、ランドライ防止膜1036の表面積を増加させるように使用され得る。ランドライ防止膜1036は、任意選択で、ランドライ防止膜1036がドリップチャンバ1034の中の適切な場所にある状態で、製造プロセスを適用することによってその場で変形され得る。スタンピングおよび熱成形などのようなさまざまなプロセスが、ランドライ防止膜1036に適用され、図10Bに示されている構成へとそれを引き伸ばすことが可能である。
【0081】
ここで図10Bを参照すると、ランドライ防止膜1036は、それを引き伸ばすための製造プロセスの適用の後の状態が図示されている。示されているように、ランドライ防止膜1036は、概してドーム状の構成を有することが可能であり、スタンドオフ1042によって制限されたプロファイルを有している。スタンドオフ1042は、ランドライ防止膜1036に隣接するチュービングインターフェース1024からランドライ防止膜1036が十分に変位され、液体122がチュービングインターフェース1024を通って比較的自由に流れることを可能にすることを確実にするのを助けることが可能であり、また、ランドライ防止膜1036の表面積の大部分が外部壁部1020の任意の部分によって閉塞されないことを確実にするのを助けることが可能である。
【0082】
ランドライ防止膜1036は、図1のランドライ防止膜136の孔部138と同様の孔部(図示せず)を有することが可能である。所望の場合には、ランドライ防止膜1036は、最初に、その最終的な引き伸ばされた形態でランドライ防止膜1036の中に存在することになるものよりも小さい孔部とともに形成され得る。したがって、図10Aの構成において、ランドライ防止膜1036は、所望のものよりも小さい孔部を有することが可能である。次いで、製造プロセスが、ランドライ防止膜1036を引き伸ばすために適用されるときに、孔部は、また、所望のサイズへ伸びることが可能である。したがって、図10Bでは、ランドライ防止膜1036は、所望のサイズを備える孔部を有することが可能である。留意されるべきことには、そのような引き伸ばしは、それらが元々形成されていたものとは異なる形状へと孔部を引き伸ばすことが可能である。たとえば、最初に円形断面形状を備えて形成された孔部は、長円形形状および/もしくは楕円形形状を有するように引き伸ばされ得、または、孔部形状のねじれが増加され得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、ランドライ防止膜は、製造プロセスによってではなく、ランドライ防止膜を通る液体122の流れまたは液体柱の重量によって、引き伸ばされ得る。そのような実施形態の1つの例が、図11Aおよび図11Bに関連して、示されて説明されることになる。
【0084】
図11Aおよび図11Bを参照すると、正面断面図は、それぞれ、実質的に液体フローがない状態、および、プライミングまたは静脈内送達システムの使用から起こる液体フローがある状態の、さらなる別の代替的な実施形態によるドリップユニット1104を図示している。ドリップユニット1104は、図1のものと同様のドリップ特徴部132を有することが可能である。ドリップユニット1104は、液体122を含むようにドリップチャンバ1134を全体的に画定する外部壁部1120を有することが可能である。外部壁部1120は、概してチューブ状のおよび/または切頭円錐状の形状を有する周辺部分1122と、チュービングインターフェース1124とを有することが可能であり、チュービングインターフェース1124は、周辺部分1122の下方に位置決めされており、チュービング106の第1の端部140に接続されるように設計されている。外部壁部1120は、周辺部分1122とチュービングインターフェース1124との間の接合部を画定するように位置決めされている棚部1126を有することが可能である。
【0085】
具体的には図11Aを参照すると、ランドライ防止膜1136は、示されているように、ランドライ防止膜1136を通る液体122の実質的な流れがないときに、最初に、概して平面的な円形形状を有している。ランドライ防止膜1136は、比較的低い厚さを有することが可能であり、それは、ランドライ防止膜1136を横切る圧力勾配の適用に応答して、ランドライ防止膜1136が比較的容易に伸びることを可能にする。そのような圧力勾配は、液体122がランドライ防止膜1136を横切って流れ始めるときに存在することになる。したがって、静脈内送達システム100のプライミングの間、および/または、液体122を患者に送達するために静脈内送達システム100を使用する間のように、液体122フローが流れるときに、ランドライ防止膜1136は、チュービングインターフェース1124の中に画定されているキャビティーの中へ伸びて膨張することが可能であり、それは、ランドライ防止膜1136を収容するようにサイズ決めされ得る。所望の場合には、図10Aおよび図10Bのスタンドオフ1042と同様のスタンドオフ(図示せず)が、任意選択で使用され得る。
【0086】
ここで図11Bを参照すると、ランドライ防止膜1136を通って液体122が実質的に流れている間のランドライ防止膜1136が図示されている。示されているように、ランドライ防止膜1136は、概してドーム状の構成を有することが可能である。ランドライ防止膜1136の変形は、極端であることが可能である。いくつかの実施形態では、ランドライ防止膜1136の材料および幾何学形状は、ランドライ防止膜1136の変形が、ランドライ防止膜1136を形成する材料の弾性限界の中に留まるように選択され得る。代替的に、ランドライ防止膜1136は、ランドライ防止膜1136を通って液体122が流れる間に塑性変形が起こるように作製され得る。
【0087】
ランドライ防止膜1136は、図1のランドライ防止膜136の孔部138と同様の孔部(図示せず)を有することが可能である。所望の場合には、ランドライ防止膜1136は、図11Aの全体的に引き伸ばされていない構成において、ランドライ防止膜1136を通って液体122が流れている間のランドライ防止膜1136の中に存在するものよりも小さい孔部を有することが可能である。液体122がランドライ防止膜1136を通って流れることを停止すると、いくらかの圧力勾配が依然として存在する可能性がある。したがって、ランドライ防止膜1136は、図11Bの構成のままであることが可能であり、または、低減された圧力勾配の存在を反映して、図11Aのものと図11Bのものとの間の構成のままであることが可能である。液体122がもはや流れていないが、いくらかの圧力勾配が依然として存在しているときに、ランドライ防止膜1136の下方の液体122の柱の中への空気流を制限するために必要とされるレベルまで、ランドライ防止膜1136のバブルポイントを上昇させるために必要とされるサイズまで孔部が伸びるように、ランドライ防止膜1136の孔部はサイズ決めされ得る。
【0088】
本発明は、本明細書で広く説明されているような、および、以降で特許請求されているような、その構造、方法、または他の必須の性質から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得る。説明されている実施形態は、すべての観点において、単なる例示目的のもの考慮されるべきであり、制限的なものとして考慮されるべきではない。したがって、本発明の範囲は、先述の説明によってというよりも、添付の特許請求の範囲によって示されている。特許請求の範囲の均等性の意味および範囲の中に入るすべての変化は、それらの範囲内に包含されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B