特許第6903620号(P6903620)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903620
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】車両用ペダル装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/327 20080401AFI20210701BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20210701BHJP
   B60T 7/06 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   G05G1/327
   G05G1/30 E
   B60T7/06 B
   B60T7/06 A
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-188403(P2018-188403)
(22)【出願日】2018年10月3日
(65)【公開番号】特開2020-57274(P2020-57274A)
(43)【公開日】2020年4月9日
【審査請求日】2020年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 康雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英幸
(72)【発明者】
【氏名】木下 摂
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−041102(JP,A)
【文献】 特開2018−139047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/30
B60T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のダッシュパネルの後面に固定されるペダルブラケットと、
前記ペダルブラケットに、車幅方向に延び且つ前記ペダルブラケットの前記ダッシュパネルに対する固定部よりも後方に位置する軸まわりに回転可能に支持されたペダルと、
前記ペダルブラケットの車幅方向に相対向する一対の側面板のそれぞれの上端部に所定の固定保持力で相対向して取り付けられた状態で、前記ダッシュパネルの後面に固定される一対のレバー支持ブラケットと、
一対の前記側面板のそれぞれの前記上端部間に車幅方向に沿って固定された軸部材と、
一対の前記レバー支持ブラケットに前記軸部材よりも後方側の位置において車幅方向に延びる軸線まわりに回動可能に支持されると共に、前記軸部材の外周面を挟持する挟持部が前端側に一体形成された樹脂製の回転レバーと、
車両の車幅方向に配置されたインパネリインフォースメントと、
前記インパネリインフォースメントに固定されて、前記ペダルブラケット及び一対の前記レバー支持ブラケットが前記ダッシュパネルと共に後方へ移動したときに、前記ペダルブラケット及び前記回転レバーに対して後方側から接触する後退防止ブラケットと、
を備え、
前記後退防止ブラケットは、
前記回転レバーに対して後方側から接触して、前記回転レバーを上方に回転させるレバー接触部と、
前記ペダルブラケットに対して後方側から接触して、前記ペダルブラケットを下方に変形させるブラケット変形部と、
を有し、
前記回転レバーが前記レバー接触部によって前方へ押圧された際に、前記回転レバーは、前記挟持部によって挟持する前記軸部材を中心に前記固定保持力を超える力で上方に回動されて、前記回転レバーを支持する一対の前記レバー支持ブラケットが前記ペダルブラケットから離脱される、
車両用ペダル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ペダル装置において、
前記回転レバーは、
一対の前記レバー支持ブラケットに対向する両側面から前記軸線に沿って車幅方向に同軸に突出し、前記回転レバーに一体的に形成された一対のボス部を有し、
一対の前記レバー支持ブラケットは、
相対向するそれぞれの側壁部に車幅方向に同軸に形成されて、一対の前記ボス部がそれぞれ回転可能に嵌入される一対の貫通孔を有する、
車両用ペダル装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用ペダル装置において、
前記回転レバーの前記挟持部は、前端部の下方側から車幅方向全幅に渡って後方側に窪んで、前方側に開口する側面視U字状に形成され、
前記挟持部の下側の壁面部は、
下方に撓み可能な平板状に形成されて、
車幅方向両側縁部の下面から長手方向に沿って基端部側に向かって徐々に高さが高くなるように下方に突出する一対のリブ部を有する、
車両用ペダル装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両ペダル装置において、
前記挟持部の下側の前記壁面部は、前方側の先端部が斜め下前方向に傾斜している、
車両用ペダル装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車両用ペダル装置において、
前記回転レバーは、
略四角柱状に形成され、
後端側の上面部から下方に窪む後側凹部と、
前記後側凹部よりも前方側の下面から上方に窪む前側凹部と、
前記後側凹部の底面部の前方側の縁部から前記前側凹部に連通する水抜き孔と、
を有する、
車両用ペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ペダル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ペダル装置に関して種々提案されている。例えば、下記特許文献1に記載される車両用ペダル装置では、ペダルブラケットとレバーブラケットを共にダッシュパネルに固定することによって、ペダルブラケットのダッシュパネルに対する取付強度を十分な大きさにすることができる。また、レバーブラケットは、回転レバーを車幅方向に延びる回転軸まわりに回転可能に支持している。
【0003】
そして、車両衝突時に、回転レバーが後方へ移動して、インパネリインフォースメントに固定された後退防止ブラケットに衝突すると、レバーブラケットと回転レバーとが、反時計方向に回動されて、ペダルブラケットから分離される。続いて、ペダルブラケットが後退防止ブラケットの下面に沿って下向きに変形し、その結果、ブレーキペダルがダッシュパネルに対して前方へ相対回転して、運転手の方向へ移動することを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−41102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通常時は、回転レバーを下方向に回動させるための付勢部材(スプリング)や、回転レバーをレバーブラケットに回転可能に支持するための回転軸が必要となり、部品点数の削減が困難である。また、回転レバー等は、金属製であるため、軽量化が難しい。
【0006】
そこで、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、部品点数を削減することができると共に、軽量化を図ることができる車両用ペダル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1発明は、車両のダッシュパネルの後面に固定されるペダルブラケットと、前記ペダルブラケットに、車幅方向に延び且つ前記ペダルブラケットの前記ダッシュパネルに対する固定部よりも後方に位置する軸まわりに回転可能に支持されたペダルと、前記ペダルブラケットの車幅方向に相対向する一対の側面板のそれぞれの上端部に所定の固定保持力で相対向して取り付けられた状態で、前記ダッシュパネルの後面に固定される一対のレバー支持ブラケットと、一対の前記側面板のそれぞれの前記上端部間に車幅方向に沿って固定された軸部材と、一対の前記レバー支持ブラケットに前記軸部材よりも後方側の位置において車幅方向に延びる軸線まわりに回動可能に支持されると共に、前記軸部材の外周面を挟持する挟持部が前端側に一体形成された樹脂製の回転レバーと、車両の車幅方向に配置されたインパネリインフォースメントと、前記インパネリインフォースメントに固定されて、前記ペダルブラケット及び一対の前記レバー支持ブラケットが前記ダッシュパネルと共に後方へ移動したときに、前記ペダルブラケット及び前記回転レバーに対して後方側から接触する後退防止ブラケットと、を備え、前記後退防止ブラケットは、前記回転レバーに対して後方側から接触して、前記回転レバーを上方に回転させるレバー接触部と、前記ペダルブラケットに対して後方側から接触して、前記ペダルブラケットを下方に変形させるブラケット変形部と、を有し、前記回転レバーが前記レバー接触部によって前方へ押圧された際に、前記回転レバーは、前記挟持部によって挟持する前記軸部材を中心に前記固定保持力を超える力で上方に回動されて、前記回転レバーを支持する一対の前記レバー支持ブラケットが前記ペダルブラケットから離脱される、車両用ペダル装置である。
【0008】
第2発明は、上記第1発明において、前記回転レバーは、一対の前記レバー支持ブラケットに対向する両側面から前記軸線に沿って車幅方向に同軸に突出し、前記回転レバーに一体的に形成された一対のボス部を有し、一対の前記レバー支持ブラケットは、相対向するそれぞれの側壁部に車幅方向に同軸に形成されて、一対の前記ボス部がそれぞれ回転可能に嵌入される一対の貫通孔を有する、車両用ペダル装置である。
【0009】
第3発明は、上記第1発明又は第2発明において、前記回転レバーの前記挟持部は、前端部の下方側から車幅方向全幅に渡って後方側に窪んで、前方側に開口する側面視U字状に形成され、前記挟持部の下側の壁面部は、下方に撓み可能な平板状に形成されて、車幅方向両側縁部の下面から長手方向に沿って基端部側に向かって徐々に高さが高くなるように下方に突出する一対のリブ部を有する、車両用ペダル装置である。
【0010】
第4発明は、上記第3発明の発明において、前記挟持部の下側の前記壁面部は、前方側の先端部が斜め下前方向に傾斜している、車両用ペダル装置である。
【0011】
第5発明は、上記第1発明乃至第4発明のいずれかの発明において、前記回転レバーは、略四角柱状に形成され、後端側の上面部から下方に窪む後側凹部と、前記後側凹部よりも前方側の下面から上方に窪む前側凹部と、前記後側凹部の底面部の前方側の縁部から前記前側凹部に連通する水抜き孔と、を有する、車両用ペダル装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記各発明の構成をとることによって、部品点数を削減することができると共に、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る車両用ペダル装置の側面図である。
図2】本実施形態に係る車両用ペダル装置の平面図である。
図3】ダッシュパネル、ブレーキブースタ、プッシュロッド、及び、ナットを省略して示す車両用ペダル装置の要部の側面図である。
図4図2のIV−IV矢視断面図である。
図5図1のV−V矢視断面図である。
図6】回転レバーを前方側斜め下から見た斜視図である。
図7】回転レバーを前方側斜め上から見た斜視図である。
図8】車両の衝突によってダッシュパネルが後方へ変形したときのダッシュパネル、ブレーキブースタ、及び、プッシュロッドを省略して示す車両用ペダル装置の側面図である。
図9】ペダルブラケットが図8の状態から更に変形したときの図8と同様の側面図である。
図10】ペダルブラケットが図9の状態から更に変形して、一対のレバー支持ブラケットがペダルブラケットから離脱したときの図8と同様の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る車両用ペダル装置をブレーキペダル装置について具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、各図に適宜に示される矢印「前」は、車両前方側を示し、矢印「後」は車両後方側を示している。又、各図に適宜に示される矢印「上」は車両上方側を示し、矢印「下」は車両下方側を示している。更に、各図に適宜に示される矢印「右」は、車幅方向右側を示し、矢印「左」は車幅方向左側を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
【0015】
本実施形態に係るブレーキペダル装置1の概略構成について図1乃至図7に基づいて説明する。図1に示すように、車両11は、車体を構成する金属板からなるダッシュパネル12を備えている。ダッシュパネル12の車両前方側(以下、単に「前方」という場合もある。)には、エンジンルームが形成されており、ダッシュパネル12の車両後方側(以下、単に「後方」という場合もある。)には、キャビンが形成されている。更に、車両11は、車幅方向(以下、単に「左右方向」という場合もある。)に延びる金属製のパイプであるインパネリインフォースメント13を備えている。インパネリインフォースメント13の両端部はボディシェルに固定されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、ブレーキペダル装置1は、ダッシュパネル12に対して取り付けられ、インパネリインフォースメント13よりも前方に配置されている。ブレーキペダル装置1は、主要な構成要素としてペダルブラケット2、ブレーキペダル3、一対のレバー支持ブラケット5、ボルト6、ナット7、樹脂製の回転レバー8を備えている。
【0017】
図1乃至図3に示すように、ダッシュパネル12の後方に位置する金属製のペダルブラケット2は、車幅方向に相対向する一対(以下、単に「左右一対」という場合もある。)の側面板15を有している。ペダルブラケット2の車両前方側の前半部は、車両上方側(以下、単に「上方」という場合もある。)に開放された断面U字形構造に形成されている。ペダルブラケット2の後部には、左右一対の上向きの挟持片16が設けられている。左右の挟持片16には、互いに同軸をなす貫通孔17(図5参照)がそれぞれ形成されている。一対の側面板15のそれぞれの前端部に、車幅方向右側へ略直角に折り曲げられて形成された各固定部18は、ダッシュパネル12の車両後方側の面(以下、単に「後面」という場合もある。)に対して図示を省略したボルト及びナットを用いて固定されている。
【0018】
ブレーキペダル(ペダル)3は、長尺状のアーム21と、アーム21の下端部に設けられたパッド22と、を一体的に備えている。アーム21の上部はペダルブラケット2の左右の側面板15の間に位置している。左右の側面板15の間には車幅方向に金属製のボルト(軸)23が挿通され、ナット25がネジ部に締結されている。更に、左右の側面板15の間において、アーム21の上部がボルト23によって回転可能に支持されている。
【0019】
ブレーキペダル3は、不図示の付勢手段(例えば、捩じりコイルバネ)によって図1における反時計方向に回転付勢されている。更に、ブレーキペダル装置1は、アーム21に対して後方から接触することにより、ブレーキペダル3の反時計方向への回転を所定の初期位置で規制する不図示のストッパを有している。そのため、運転手が足をブレーキペダル3のパッド22から離しているとき、ブレーキペダル3は初期位置に位置する。
【0020】
図1に示すように、ダッシュパネル12の車両前方側の面(以下、単に「前面」という場合もある。)には、ブレーキブースタ27が固定されている。ブレーキブースタ27は、前後方向に進退可能なプッシュロッド28を備えている。プッシュロッド28の後部はダッシュパネル12に形成された不図示の貫通孔を貫通しており、プッシュロッド28の後端部は、アーム21に対して回転可能に接続されている。ブレーキブースタ27は、不図示のマスタシリンダに接続されており、マスタシリンダは不図示の各車輪に対応させて設けられた不図示の各ブレーキ装置に対してそれぞれ接続されている。
【0021】
運転手が足でパッド22を踏み込むと、ブレーキペダル3が上記付勢手段の付勢力に抗してボルト23を中心に図1における時計方向へ回動する。その結果、プッシュロッド28が前方に移動して、ブレーキブースタ27が作動する。すると、運転手がパッド22に及ぼした踏込力が、ブレーキブースタ27によって増幅されながらマスタシリンダ内のブレーキ作動液に伝わる。そのため、各ブレーキ装置から各車輪に対して制動力が及ぶ。一方、運転手がパッド22から足を離すと、ブレーキペダル3は上記付勢手段の付勢力か、又はブレーキブースタ27からの反力によって初期位置へ移動復帰し、各ブレーキ装置から各車輪に及んでいた制動力が消失する。
【0022】
図1乃至図3図5に示すように、ペダルブラケット2の左右の挟持片16の上端部には、金属製の一対のレバー支持ブラケット5が、左右の挟持片16の上端部を車幅方向外側(左右)から挟むように配置されている。各レバー支持ブラケット5は、左右の挟持片16の上端部に車幅方向外側から当接される略横長矩形状の側壁部31を備えている。各側壁部31の前端側は、斜め下方向に傾斜して、それぞれの前端部から車幅方向外側に略直角に延出された一対の固定部32が形成されている。各固定部32の中央部には貫通孔32Aが形成されている。更に、各貫通孔32Aの前端部には、円筒状の取付ボス33の一端側が同軸に溶接等によって固着されている。
【0023】
図3及び図5に示すように、一対のレバー支持ブラケット5の各側壁部31の下端縁の略中央部には、下端縁から上方に向かって切り欠かれたボルト受容溝35が形成されている。各ボルト受容溝35の上端部は半円形状である。更に、各ボルト受容溝35の車両前後方向の幅は、上端から下端に向かうに従って徐々に大きくなるように形成されている。また、各側壁部31のボルト受容溝35よりも後部には、互いに同軸をなす一対のボス支持孔(貫通孔)36が貫通して形成されている。図1乃至図3に示すように、一対のボス支持孔36には、回転レバー8の一対のレバー支持ブラケット5に対向する両側面から車幅方向に同軸に突出する円柱状に形成された一対のボス(ボス部)41(図6図7参照)が回転可能に嵌入される。
【0024】
図1及び図2に示すように、一対のレバー支持ブラケット5のそれぞれの固定部32は、ダッシュパネル12の後面に対して、各固定部32に形成された貫通孔32A及び取付ボス33に挿通される不図示のボルトとナットを用いて固定されている。図1に示すように、一対のレバー支持ブラケット5のそれぞれの固定部32及び取付ボス33は、ペダルブラケット2の各固定部18よりも上方に位置している。
【0025】
更に、レバー支持ブラケット5のそれぞれの固定部32及び取付ボス33をダッシュパネル12に固定すると、図3及び図5に示すように、一対のレバー支持ブラケット5のそれぞれの側壁部31の略中央部が、ペダルブラケットの左右の挟持片16の外側面に対して車幅方向の外側からそれぞれ接触する。更に、左右の挟持片16のそれぞれの貫通孔17の軸線上に、一対のレバー支持ブラケット5のそれぞれの側壁部31のボルト受容溝35が位置する。
【0026】
図1乃至図3図5に示すように、ペダルブラケット2の各挟持片16の上端部に形成された左右の貫通孔17と、一対のレバー支持ブラケット5の左右のボルト受容溝35には、車幅方向に延びるボルト6が挿入されている。図5に示すように、金属製のボルト6は、外周面に雄ネジが形成されたネジ部6Aと、ネジ部6Aの一端に固定された頭部6Bと、を備えている。頭部6Bの外径は、ネジ部6A及びボルト受容溝35の幅よりも大きい。また、図3及び図5に示すように、ネジ部6Aは、左右の挟持片16の間の空間において、同軸に配置された金属製で円筒状のカラー38に嵌挿されている。カラー38は、外径が各貫通孔17の直径よりも大きく、且つ、左右の挟持片16の間の距離にほぼ等しい長さの円筒状に形成されている。従って、ネジ部6Aとカラー38が、軸部材の一例として機能する。
【0027】
更に、図1図2及び図5に示すように、ネジ部6Aの頭部6Bと反対側の端部には、金属製のナット7が締結されている。図5に示すように、ナット7をネジ部6Aに対して締結すると、ボルトの頭部6Bが、一方(図5中、右側)のレバー支持ブラケット5の側壁部31の外側面に対して圧接し、且つ、ナット7が、他方(図5中、左側)のレバー支持ブラケット5の側壁部31の外側面に対して圧接する。更に、一方(図5中、右側)のレバー支持ブラケット5の側壁部31の内側面が、一方(図5中、右側)の挟持片16の外側面に対して圧接し、且つ、他方(図5中、左側)のレバー支持ブラケット5の側壁部31の内側面が、他方(図5中、左側)の挟持片16の外側面に対して圧接する。
【0028】
即ち、ボルト6及びナット7が、一対のレバー支持ブラケット5の側壁部31を左右方向両外側から挟持する。その結果、頭部6Bと一方(図5中、右側)の側壁部31との間、ナット7と他方(図5中、左側)の側壁部31との間、一方(図5中、右側)の側壁部31と一方(図5中、右側)の挟持片16との間、及び、他方(図5中、左側)の側壁部31と他方(図5中、左側)の挟持片との間に、摩擦力がそれぞれ発生する。尚、これ以降、これらの摩擦力の合計値を「ペダルブラケット2と一対のレバー支持ブラケット5との間の固定保持力」と称する。この固定保持力によって、左右の挟持片16と左右のレバー支持ブラケット5は互いに固定されている。
【0029】
従って、互いに固定されたペダルブラケット2の各固定部18と、一対のレバー支持ブラケット5のそれぞれの固定部32及び取付ボス33とによって、ペダルブラケット2がダッシュパネル12の後面に固定される。これにより、ペダルブラケット2のダッシュパネル12に対する取付強度は十分な大きさとなる。従って、運転手がブレーキペダル3のパッド22を踏み込んだとき、ブレーキペダル3は安定した状態で回動される。換言すると、運転手はパッド22を踏み込むことにより、所望のブレーキ制動力を得ることが可能である。
【0030】
図1乃至図3に示すように、一対のレバー支持ブラケット5の側壁部31の間には、略四角柱状に形成された樹脂製の回転レバー8の前端部が位置している。図6及び図7に示すように、回転レバー8は、前後方向に長い略四角柱状に形成されて、前端部の下方側から車幅方向全幅に渡って後方側に窪んで、前方側に開口する側面視略U字状に形成された挟持部42が設けられている。
【0031】
挟持部42の下方側の壁面部43は、弾性により下方に撓み可能な平板状に形成されている。この壁面部43は、前方側の先端部43Aから少し内側の車幅方向両側縁部43Bの下面から、長手方向に沿って基端部43C側(後方側)に向かって徐々に高さが高くなるように下方に突出する一対のリブ部45が設けられている。また、回転レバー8の車幅方向の両側面には、一対のボス41が、挟持部42の後端から車幅方向両外側へ、互いに同軸に突出して、一体的に形成されている。
【0032】
図4及び図5に示すように、壁面部43と挟持部42の上方側の内側面46との隙間は、ボルト6のネジ部6Aに嵌挿されたカラー38の外径よりも僅かに狭い距離に形成されている。また、壁面部43の前方側の先端部43Aは、斜め下前方向に傾斜している。これにより、挟持部42の入口側(前方側)が上下方向に広くなるため、カラー38が挟持部42内に容易に進入する。そして、挟持部42内に進入したカラー38は、壁面部43の上面と挟持部42の上方側の内側面46に、車幅方向に沿って線接触した状態で挟持される。また、図4に示すように、壁面部43の車幅方向の幅は、カラー38の長さにほぼ等しい長さに形成されている。これにより、回転レバー8の車幅方向のガタツキを抑止することができる。
【0033】
図3乃至図7に示すように、回転レバー8は、後端側の上面から下方内側に窪む断面矩形状の後側凹部48と、この後側凹部48よりも前方側の下面から上方内側に窪む断面略矩形状の前側凹部49とが、一対のボス41よりも後方側の部分に形成されている。また、後側凹部48の底面部48Aの前方側の縁部には、略中央部に前側凹部49に連通する水抜き孔51が形成されている。また、回転レバー8の挟持部42よりも上方側、及び、一対のボス部の後側の車幅方向の両側面には、車幅方向内側に窪む断面略三角形状の複数の凹部52が隣接して形成されている。これにより、回転レバー8の更なる軽量化を図ることができる。
【0034】
上記のように構成された回転レバー8は、図4及び図5に示すように、先ず、ペダルブラケット2の各挟持片16の上端部に形成された左右の貫通孔17の間にカラー38を配置して、各貫通孔17及びカラー38にボルト6のネジ部6Aを挿通する。そして、後方側から回転レバー8の挟持部42をカラー38に対向させて押し込み、このカラー38を下方側の壁面部43の上面と挟持部42の上方側の内側面46との間に挟持する。
【0035】
続いて、図2及び図3に示すように、回転レバー8の一方(右側)のボス41に対して、一方(右側)のレバー支持ブラケット5の側壁部31に形成されたボス支持孔36を車幅方向外側から嵌入する。そして、図5に示すように、一方(右側)のレバー支持ブラケット5の側壁部31に形成されたボルト受容溝35をボルト6の頭部6Bと一方(右側)の挟持片16の外側面との間に上方から挿入する。
【0036】
その後、図2及び図3に示すように、回転レバー8の他方(左側)のボス41に対して、他方(左側)のレバー支持ブラケット5の側壁部31に形成されたボス支持孔36を車幅方向外側から嵌入する。そして、図5に示すように、他方(左側)のレバー支持ブラケット5の側壁部31に形成されたボルト受容溝35をボルト6のネジ部6Aに上方から挿入して、他方(左側)の挟持片16の外側面に当接させる。続いて、ナット7をネジ部6Aに対して締結して、左右のレバー支持ブラケット5を左右の挟持片16の車幅方向外側に所定の固定保持力で固定する。
【0037】
従って、回転レバー8は、一対のレバー支持ブラケット5に対して、一対のボス41の中心を通って、車幅方向に延びる軸線41A(図2参照)まわりに回転可能に支持された状態で、左右の挟持片16の間に配置されたカラー38を挟持する。この結果、回転レバー8に対して外力を及ぼさないときは、左右の挟持片16の間に配置されたカラー38を挟持した状態で、一対のレバー支持ブラケット5の間に位置決め配置される。この時の回転レバー8の位置が、図1乃至図3に示す初期位置である。
【0038】
つまり、回転レバー8が初期位置に位置するとき、回転レバー8の挟持部42はカラー38を挟持している。また、一対のボス41の中心を通って、車幅方向に延びる軸線41Aは、車幅方向に沿って配置されるため、回転レバー8の先端部と挟持部42の幅方向と平行である。また、回転レバー8は、一対のレバー支持ブラケット5に対して、挟持部42が挟持する左右の挟持片16の間に配置されたカラー38を中心に、このカラー38の外周面まわりに回転可能である。
【0039】
図1及び図2に示すように、インパネリインフォースメント13には、金属製の後退防止ブラケット9が固定されている。後退防止ブラケット9の下面全体は、ほぼペダルブラケット案内部53により構成されている。ペダルブラケット案内部53は、平板状で前方から後方に向かうに従って徐々に下方へ向かうように湾曲している。更に、後退防止ブラケット9は、ペダルブラケット案内部53の前端縁からほぼ全幅に渡って略直角に上方へ延出された正面視略矩形状のレバー接触部55が形成されている。レバー接触部55は、一対のレバー支持ブラケット5の間に配置された回転レバー8の一対のボス41の軸線と平行である。
【0040】
後退防止ブラケット9の車幅方向の位置は、ペダルブラケット2、ブレーキペダル3の上部、一対のレバー支持ブラケット5、及び、回転レバー8と同じである。図1図2及び図4に示すように、ダッシュパネル12が初期形状を維持し、且つ、回転レバー8が初期位置に位置するとき、ペダルブラケット2及び回転レバー8は、後退防止ブラケット9から前方に離間している。このとき、回転レバー8の後端部8Aと後退防止ブラケット9のレバー接触部55は前後方向に対向し、且つ、ペダルブラケット2の後端部2Aが後退防止ブラケット9のペダルブラケット案内部53の上端部と前後方向に対向する。
【0041】
次に、車両11が前方に位置する別の車両に衝突したときのブレーキペダル装置1の動作について図1図8乃至図10に基づいて説明する。尚、図8乃至図10において、ダッシュパネル12の図示を省略している。
【0042】
ここで、車両11の衝突時に発生する衝撃によって、車両11全体に後向きの大きな力がかかると、ダッシュパネル12に対してかかる後向きの力の大きさが、インパネリインフォースメント13及び後退防止ブラケット9にかかる後向きの力の大きさよりも大きくなり易い。そのため、ダッシュパネル12が後退防止ブラケット9よりも後方に大きく変形(塑性変形と弾性変形の両方を含む。以下の「変形」も同様である。)する。
【0043】
従って、ダッシュパネル12がペダルブラケット2及び一対のレバー支持ブラケット5と一体的に後退防止ブラケット9に対して後方に相対移動する。即ち、ダッシュパネル12がペダルブラケット2、ブレーキペダル3、一対のレバー支持ブラケット5、及び、回転レバー8と一体的に後退防止ブラケット9に対して前方から接近する。
【0044】
そうすると、図1図2図4及び図8に示すように、回転レバー8の後端部8Aが、後退防止ブラケット9のレバー接触部55に対して前方から衝突する。回転レバー8の後端部8A、及び、レバー接触部55は、回転レバー8の一対のボス41の軸線と平行であるため、このとき、回転レバー8は、後退防止ブラケット9からほぼ前向きの反力、換言すると左右方向成分を殆ど含まない反力P1(図8参照)を受けることになる。
【0045】
その結果、図8及び図9に示すように、後退防止ブラケット9がインパネリインフォースメント13に固定されている一方で、回転レバー8の一対のボス41は、一対のレバー支持ブラケット5のそれぞれのボス支持孔36に回転可能に支持され、同時に、回転レバー8の挟持部42は、カラー38の外周面を上下方向両側から挟持している。このため、回転レバー8は、後退防止ブラケット9から受けた前向きの反力P1によって、ペダルブラケット2の一対の挟持片16の間に配置されたカラー38(図4参照)を中心に図8及び図9の反時計方向に勢いよく回転する。
【0046】
すると、回転レバー8のカラー38を中心とする反時計方向への回転によって、一対のレバー支持ブラケット5のそれぞれのボス支持孔36に対して、各ボス支持孔36に回転可能に嵌入された回転レバー8の各ボス41から斜め前上方向(図9の矢印58方向)の力がかかる。つまり、一対のレバー支持ブラケット5に対して、回転レバー8から図9の矢印58方向の力がかかる。
【0047】
このとき、図9に示すように、回転レバー8から一対のボス41及び一対のボス支持孔36を介して一対のレバー支持ブラケット5にかかった矢印58方向の力の大きさが、ペダルブラケット2と一対のレバー支持ブラケット5との間の固定保持力を超える。そうすると、一対のレバー支持ブラケット5のそれぞれの側壁部31が、ペダルブラケット2の一対の挟持片16に対して上方へスライドする。そして、一対のレバー支持ブラケット5のそれぞれの側壁部31の下端縁の略中央部に形成されたボルト受容溝35が、ボルト6の頭部6Bとナット7とから離脱すると、ペダルブラケット2と一対のレバー支持ブラケット5との間の固定保持力が消失する。
【0048】
また、図8に示すように、回転レバー8が後退防止ブラケット9に対して衝突した後に、ペダルブラケット2の後端部2Aが、後退防止ブラケット9のペダルブラケット案内部53に衝突する。すると、ペダルブラケット2の後端部2Aは、後退防止ブラケット9のペダルブラケット案内部53から下向き(図8中、矢印59方向)の反力を受ける。そのため、ペダルブラケット2は下向きに変形する。
【0049】
具体的には、ペダルブラケット2は、固定部18の近傍、且つ、ボルト23よりも前方に位置する変形中心2Xを中心に、図8の時計方向に回転しながら変形する。そのため、ペダルブラケット2と一体化しているボルト6のネジ部6A(図5参照)が図3に示す矢印61方向の力を受けながら下方に移動する。矢印61方向は、変形中心2Xを中心にネジ部6Aが下方に回転したときのネジ部6Aの回転軌跡の方向である。
【0050】
従って、ボルト6のネジ部6Aがボルト受容溝35に対して更に下方へ相対移動する、つまり、ボルト6の頭部6Bとナット7とが、ボルト受容溝35に対して更に下方へ相対移動する。従って、一対のレバー支持ブラケット5のそれぞれの側壁部31の下端縁の略中央部に形成された各ボルト受容溝35は、下方に開放されているため、ボルト6のネジ部6Aは、各ボルト受容溝35から円滑に離脱することが可能となる。
【0051】
図9及び図10に示すように、ボルト6のネジ部6A(図5参照)が各ボルト受容溝35から離脱すると、ペダルブラケット2の下向きの変形がより進行し易くなる。そのため、ペダルブラケット2は、カラー38(図5参照)が回転レバー8の挟持部42から下方に離脱して、該ペダルブラケット2の後端部2Aがペダルブラケット案内部53によって下方に移動案内され、更に下方へ変形する。従って、ペダルブラケット案内部53は、ブラケット変形部の一例として機能する。
【0052】
その結果、図10に示すように、変形中心2Xよりも後方に位置するボルト23を介してペダルブラケット2に支持されているブレーキペダル3が、ダッシュパネル12(図1参照)に対して前方へ(矢印62方向へ)相対回転する。従って、車両11に生じた衝撃によってブレーキペダル3が後方、即ち、運転手の方向へ移動することを抑制できる。
【0053】
更に、ブレーキペダル装置1は、ペダルブラケット2と一対のレバー支持ブラケット5を共にダッシュパネル12に固定しているので、以下の効果を奏する。即ち、実際の衝突によって車両11に生じる力の成分の方向は多様であり、横方向成分が多く含まれることもある。例えば、この力が横方向成分を多く含む場合は、ダッシュパネル12が後方のみならず左右方向にも変形することになる。しかし、ダッシュパネル12がいずれの方向に変形したとしても、ダッシュパネル12に支持されたペダルブラケット2及び一対のレバー支持ブラケット5及び回転レバー8は、実質同じ方向に移動することとなる。
【0054】
換言すると、ダッシュパネル12が変形したときに、ペダルブラケット2の移動方向と一対のレバー支持ブラケット5及び回転レバー8の移動方向とが、大きく異なることがない。従って、衝突に起因してダッシュパネル12が変形したときに、一対のレバー支持ブラケット5に対して、回転レバー8の各ボス41から斜め前上方向(図9の矢印58方向)の力が確実に作用する。その結果、ダッシュパネル12がいずれの方向に変形したとしても、ペダルブラケット2を一対のレバー支持ブラケット5から分離させることが可能である。つまり、ダッシュパネル12の変形方向にかかわらず、ブレーキペダル3をダッシュパネル12に対して前方へ相対回転させることができる。
【0055】
更に、ブレーキペダル装置1では、ボルト6とナット7を利用して「ペダルブラケット2と一対のレバー支持ブラケット5の間の固定保持力」を決定している。そのため、ボルト6とナット7の締結力を調整すれば、「固定保持力」の大きさを簡単に調整できる。従って、車両11の種類等に応じて、「固定保持力」の大きさを簡単に変更することが可能である。
【0056】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るブレーキペダル装置1では、回転レバー8の前端側に一体形成された挟持部42がカラー38の外周面を挟持するため、回転レバー8を一対のボス41の中心を通って、車幅方向に延びる軸線41Aまわりに回動しないように固定することができる。これにより、回転レバー8を一対のボス41まわりに回動しないように付勢する付勢部材(例えば、スプリング等)を無くすことができ、部品点数を削減することができる。また、樹脂製の回転レバー8によって挟持部42を一体形成することができ、軽量化を図ることができる。また、回転レバー8の前端側に形成された挟持部42によってカラー38の外周面を挟持するため、回転レバー8のガタツキを抑えて、振動等による異音の発生を抑制することができる。
【0057】
また、回転レバー8は、一対のボス41が、一対のレバー支持ブラケット5のそれぞれの側壁部31に形成されたボス支持孔(貫通孔)36に嵌入されて、一対のボス41の中心を通る軸線41Aまわりに回転可能に支持される。これにより、回転レバー8を一対のレバー支持ブラケット5に回転可能に支持する金属製の回転軸等を無くすことができ、部品点数の更なる削減を図ることができる。
【0058】
また、回転レバー8の前端側に設けられた挟持部42の下側の壁面部43は、下方に撓み可能な平板状に形成されるため、回転レバー8の挟持部42にカラー38を容易に嵌入し、保持することができる。また、挟持部42の下側の壁面部43は、車幅方向両側縁部43Bの下面から長手方向に沿って基端部43C側に向かって徐々に高さが高くなるように下方に突出する一対のリブ部45を設けることによって、必要な強度を確保しつつ、下側の壁面部43を薄型化することができる。
【0059】
また、挟持部42の下側の壁面部43は、平板状に形成されるため、回転レバー8の挟持部42と円筒状のカラー38とは線接触となり、回転レバー8はカラー38からほぼ前向きの反力、換言すると左右方向成分をほとんど含まない反力を受けることとなる。従って、回転レバー8の上方への回動によって、一対のレバー支持ブラケット5とペダルブラケット2との固定をより確実に解除できる。また、挟持部42の下側の壁面部43は、前方側の先端部43Aが斜め下前方向に傾斜しているため、挟持部42の入口側が上下方向に広くなるため、カラー38が挟持部42内に容易に進入し、ブレーキペダル装置1の組立作業の効率化を図ることができる。
【0060】
また、回転レバー8は、後端部の上面部から下方に窪む後側凹部48と、後側凹部48よりも前方側の下面部から上方に窪む前側凹部49とを形成することによって、回転レバー8の更なる軽量化を図ることができる。また、後側凹部48に結露した水を、後側凹部48の底面部48Aの前方側の縁部から前側凹部49に連通する水抜き孔51から前側凹部49の開口部を経て外側下方に流すことができ、樹脂製の回転レバー8の物性の低下を抑止することができる。
【0061】
尚、本発明は前記実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形、追加、削除が可能であることは勿論である。
【0062】
(A)例えば、アクセルペダルを備える車両用ペダル装置に本発明を適用してもよい。同様に、クラッチペダルを備える車両用ペダル装置に本発明を適用してもよい。
【0063】
(B)また、前記第1発明乃至第5発明は、以下の効果を奏する。例えば、第1発明に係る車両用ペダル装置によれば、回転レバーの前端側に一体形成された挟持部が軸部材の外周面を挟持するため、回転レバーを車幅方向に延びる軸線まわりに回動しないように固定することができる。これにより、回転レバーを車幅方向に延びる軸線まわりに回動しないように付勢する付勢部材(例えば、スプリング等)を無くすことができ、部品点数を削減することができる。また、樹脂製の回転レバーによって挟持部を一体形成することができ、軽量化を図ることができる。また、回転レバーの前端側に形成された挟持部によって軸部材の外周面を挟持するため、回転レバーのガタツキを抑えて、振動等による異音の発生を抑制することができる。
【0064】
また、第2発明に係る車両用ペダル装置によれば、回転レバーは、一対のボス部が、一対のレバー支持ブラケットに形成された貫通孔に嵌入されて、車幅方向に延びる軸線まわりに回転可能に支持される。これにより、回転レバーを一対のレバー支持ブラケットに回転可能に支持する金属製の回転軸を無くすことができ、部品点数の更なる削減を図ることができる。
【0065】
また、第3の発明に係る車両用ペダル装置によれば、回転レバーの前端側に設けられた挟持部の下側の壁面部は、下方に撓み可能な平板状に形成されるため、回転レバーの挟持部に軸部材を容易に嵌入し、保持することができる。また、挟持部の下側の壁面部は、車幅方向両側縁部の下面から長手方向に沿って基端部側に向かって徐々に高さが高くなるように下方に突出する一対のリブ部を設けることによって、必要な強度を確保しつつ、下側の壁面部を薄型化することができる。
【0066】
また、挟持部の下側の壁面部は、平板状に形成されるため、回転レバーの挟持部と軸部材とは線接触となり、回転レバーは軸部材からほぼ前向きの反力、換言すると左右方向成分をほとんど含まない反力を受けることとなる。従って、回転レバーの上方への回動によって、一対のレバー支持ブラケットとペダルブラケットとの固定をより確実に解除できる。
【0067】
また、第4の発明に係る車両用ペダル装置によれば、挟持部の下側の壁面部は、前方側の先端部が斜め下前方向に傾斜しているため、挟持部の入口側が上下方向に広くなるため、軸部材が挟持部内に容易に進入し、組立作業の効率化を図ることができる。
【0068】
また、第5の発明に係る車両用ペダル装置によれば、回転レバーは、後端部の上面部から下方に窪む後側凹部と、後側凹部よりも前方側の下面部から上方に窪む前側凹部とを形成することによって、回転レバーの更なる軽量化を図ることができる。また、後側凹部に結露した水を、後側凹部の前方側の縁部から前側凹部に連通する水抜き孔から前側凹部の開口部を経て外側下方に流すことができ、樹脂製回転レバーの物性の低下を抑止することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 ブレーキペダル装置
2 ペダルブラケット
3 ブレーキペダル
5 レバー支持ブラケット
6、23 ボルト
7、25 ナット
8 回転レバー
9 後退防止ブラケット
11 車両
13 インパネリインフォースメント
15 側面板
16 挟持片
18、32 固定部
31 側壁部
36 ボス支持孔
38 カラー
41 ボス
42 挟持部
43 壁面部
45 リブ部
48 後側凹部
49 前側凹部
51 水抜き孔
53 ペダルブラケット案内部
55 レバー接触部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10