【文献】
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【文献】
永田千夏 ほか,赤紫蘇加工におけるロスマリン酸の変動とその消化管吸収動態,日本食品科学工学会大会第52回大会講演集,2005年,52,62
【文献】
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【文献】
ZORIC Zoran et al.,Stability of Rosmarinic Acid in Aqueous Extracts from Different Lamiaceae Species after in vitro Dig,Food Technol. Biotechnol.,2016年,54(1),97-102
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
工程(2)において、更に、必要に応じて、濃縮前に工程(1)で得られた抽出液のpHを4.9〜7.0に調整するか、又は濃縮後に濃縮抽出液のpHを4.9〜7.0に調整する、請求項2〜4のいずれか1項記載の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の赤シソ葉抽出物の製造方法は、(1)酸が添加された赤シソ葉を、pH4.0〜8.0の条件下に水で抽出する工程、を有する。
また、本発明の精製赤シソ葉抽出物の製造方法は、(1)酸が添加された赤シソ葉を、pH4.0〜8.0の条件下に水で抽出する工程と、(2)工程(1)で得られた抽出液を濃縮する工程と、(3)工程(2)で得られた濃縮抽出液にエタノール又はエタノール水溶液を添加し、次いで沈殿物を除去する工程、を有する。
【0011】
本発明において、赤シソ葉は、シソ科シソ属の赤シソ(
Perilla frutescens var.
crispa f.
purpurea)の葉を指す。酸が添加された赤シソ葉は、当該赤シソ葉の生葉に酸が添加されたもので、生の状態のものを用いてもよく、乾燥物、塩蔵物を用いることでもよい。
酸としては、食品用や医薬品用に用いられる可食性の酸、例えば、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、乳酸、酢酸、フマル酸、アジピン酸、フマル酸等の有機酸、リン酸等の無機酸が挙げられる。これらの2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、赤シソ葉の塩蔵に用いられる梅酢に高含有されるクエン酸及び/又はリンゴ酸が好ましい。
酸が添加された赤シソ葉の酸の添加量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば特に限定されないが、赤シソ葉の乾燥質量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。また、好ましくは1〜60質量%、より好ましくは10〜40質量%である。
【0012】
〔工程(1)〕
工程(1)は、酸が添加された赤シソ葉を、pH4.0〜8.0の条件下に水で抽出する工程である。
抽出時のpHは、pH4.0〜8.0であるが、ロズマリン酸の回収率の観点から、好ましくはpH4.5以上、より好ましくはpH5.0以上であり、また、好ましくはpH7.0以下、より好ましくはpH6.0以下である。また、好ましくはpH4.5〜7.0、より好ましくはpH5.0〜6.0である。
pHを調整するためのpH調整剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等が挙げられ、これらの2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0013】
水は、蒸留水、イオン交換水、脱気水、水道水、井戸水等いずれのものでも構わない。
抽出における水の使用量としては、酸が添加された赤シソ葉(乾燥質量換算)に対して、浴比で、好ましくは4以上、より好ましくは6以上であり、また、好ましくは35以下、更に好ましくは20以下である。また、好ましくは4〜35、より好ましくは6〜20である。ここで、本明細書において、乾燥質量は、赤シソ葉を凍結乾燥して得られる固形残渣の質量を指す。また、浴比とは、酸が添加された赤シソ葉(乾燥質量換算)の質量と水の容量との比[水の容量/酸が添加された赤シソ葉(乾燥質量換算)の質量]で表す値である。なお、本発明において容量は、25℃での容量を意味する。
抽出条件は、十分な抽出が行える条件であれば特に限定されないが、例えば、抽出時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上であり、また、好ましくは10時間以下、より好ましくは2時間以下である。また、好ましくは30分〜10時間、より好ましくは1〜2時間である。
また、抽出は室温又は加熱条件下で行うことができ、加熱条件下での抽出温度は20℃以上が好ましく、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上であり、また、好ましくは100℃以下である。また、好ましくは20〜100℃、より好ましくは50〜100℃、更に好ましくは80〜100℃である。通常、低温なら長時間、高温なら短時間の抽出を行う。
抽出手段は、特に限定されないが、例えば、固液抽出、液液抽出、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、ソックスレー抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出、攪拌等の通常の手段を用いることができる。
抽出工程は、1回又は複数回行うことができる。
本工程により得られた抽出液はそのまま、或いは適宜な溶媒で希釈した希釈液としてもよく、濃縮液や乾燥粉末、ペースト状に調製してもよい。
後述するように、ロズマリン酸の純度を高める観点からは、本工程により得られた抽出液を、抽出液を濃縮する工程、及び濃縮抽出液にエタノール又はエタノール水溶液を添加し、次いで沈殿物を除去する工程に供することが好ましい。
【0014】
酸が添加された赤シソ葉からの、抽出工程におけるロズマリン酸の回収率は、製造効率の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。
【0015】
〔工程(2)〕
工程(2)は、工程(1)で得られた抽出液を濃縮する工程である。
抽出液の濃縮は、常圧濃縮、減圧濃縮、膜濃縮等の通常の手段を用いることができ、そのまま、或いは必要に応じて水で希釈するなどの還元操作により濃縮抽出液を得る。
次工程(3)に供する濃縮抽出液の固形分濃度は、精製工程におけるロズマリン酸の回収率及び精製赤シソ葉抽出物のロズマリン酸純度の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。また、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは15〜50質量%、更に好ましくは20〜45質量%である。ここで、本明細書における固形分濃度とは、溶質の質量と溶液の質量との比[溶質質量/溶液質量]で表す値である。なお、溶質質量は、溶液を凍結乾燥して得られる固形残渣の質量を指す。
また、次工程(3)に供する濃縮抽出液のpHは、次工程(3)においてロズマリン酸を残存させつつロズマリン酸の純度を高める観点から、pH4.0以上、好ましくはpH4.5以上、より好ましくはpH5.0以上、更に好ましくはpH5.5以上であり、また、好ましくはpH7.5以下、より好ましくはpH7.0以下である。また、好ましくはpH4.0〜7.5、より好ましくはpH4.5〜7.5、更に好ましくはpH5.0〜7.0、更に好ましくはpH5.5〜7.0である。濃縮抽出液のpH調整は、必要に応じて、濃縮前に抽出液のpHを調整することによって行っても、濃縮後に濃縮抽出液のpHを調整することによって行ってもよい。pHを調整するためのpH調整剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等の1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0016】
〔工程(3)〕
工程(3)は、工程(2)で得られた濃縮抽出液にエタノール又はエタノール水溶液を添加し、次いで沈殿物を除去する工程である。
エタノール水溶液におけるエタノールの濃度は、好ましくは50容量%以上、より好ましくは70容量%以上、更に好ましくは90容量%以上であり、また、好ましくは99.5容量%以下、より好ましくは98容量%以下、更に好ましくは95容量%以下である。また、好ましくは50〜99.5容量%、より好ましくは70〜98容量%、更に好ましくは90〜95容量%である。
【0017】
本工程では、濃縮抽出液へのエタノール又はエタノール水溶液の添加により沈殿物を析出させて、液中のロズマリン酸の純度を高める条件であれば特に限定されないが、濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が40容量%以上、好ましくは55容量%以上、より好ましくは65容量%以上、更に好ましくは70容量%以上であり、また、95容量%以下、好ましくは90容量%以下、より好ましくは85容量%以下、更に好ましくは80容量%以下であり、また、40〜95容量%、好ましくは55〜90容量%、より好ましくは65〜85容量%、更に好ましくは70〜80容量%の範囲となるようにエタノール又はエタノール水溶液を添加するのが、ロズマリン酸を残存させつつロズマリン酸の純度を高める観点から好ましい。
【0018】
工程(2)及び(3)の好適例は次のとおりである。
・固形分濃度が10〜60質量%の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が40〜95容量%となるように50〜99.5容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が15〜50質量%の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が55〜90容量%となるように70〜98容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が27.5質量%〜48.7質量%の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が70容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が27.5質量%〜37.5質量%、かつpH4.5〜6.7の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が70容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が24.1質量%〜44.2質量%の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が65容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が24.1質量%〜38.8質量%、かつpH4.5〜6.7の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が65容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が21.3質量%〜40.4質量%の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が60容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が21.3質量%〜40.4質量%、かつpH4.5〜6.7の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が60容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が19.2質量%〜37.3質量%の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が55容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が27.7質量%〜32.2質量%、かつpH4.5〜6.7の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が55容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
【0019】
本工程における温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上であり、また、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である。また、好ましくは10〜40℃、より好ましくは20〜30℃である。
【0020】
析出した沈殿物を除去する方法としては、特に制限されず、例えば、遠心分離やデカンテーション、濾過により行うことができる。
本工程により析出した沈殿物を除去して得られたロズマリン酸を含有する抽出液は、そのまま、或いは濃縮液や乾燥粉末としたり、ペースト状に調製したりしてもよい。
【0021】
このようにして、ロズマリン酸純度の高い精製赤シソ葉抽出物が高い収率で得られる。
工程(1)〜(3)を経た本発明の精製赤シソ葉抽出物において、ロズマリン酸の純度は、8質量%以上、好ましくは11質量%以上、より好ましくは14質量%以上とすることができる。また、濃縮抽出液からのロズマリン酸の精製回収率は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上という高い収率とすることができる。
【0022】
上述した実施形態に関し、本発明においてはさらに以下の態様が開示される。
【0023】
<1>下記の工程(1)を含む、赤シソ葉抽出物の製造方法。
(1)酸が添加された赤シソ葉を、pH4.0〜8.0の条件下に水で抽出する工程
【0024】
<2>下記の工程(1)〜(3)を含む、精製赤シソ葉抽出物の製造方法。
(1)酸が添加された赤シソ葉を、pH4.0〜8.0の条件下に水で抽出する工程
(2)工程(1)で得られた抽出液を濃縮する工程
(3)工程(2)で得られた濃縮抽出液にエタノール又はエタノール水溶液を添加し、次いで沈殿物を除去する工程
<3>酸が添加された赤シソ葉の酸の添加量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下であり、また、好ましくは1〜60質量%、より好ましくは10〜40質量%である<1>又は<2>記載の製造方法。
<4>工程(1)における抽出時のpHが、好ましくはpH4.5以上、より好ましくはpH5.0以上であり、また、好ましくはpH7.0以下、より好ましくはpH6.0以下であり、また、好ましくはpH4.5〜7.0、より好ましくはpH5.0〜6.0である<1>〜<3>のいずれかに記載の製造方法。
<5>工程(1)における水の浴比が、好ましくは4以上、より好ましくは6以上であり、また、好ましくは35以下、更に好ましくは20以下であり、また、好ましくは4〜35、より好ましくは6〜20である<1>〜<4>のいずれかに記載の製造方法。
<6>工程(1)における抽出時間が、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上であり、また、好ましくは10時間以下、より好ましくは2時間以下であり、また、好ましくは30分〜10時間、より好ましくは1〜2時間である<1>〜<5>のいずれかに記載の製造方法。
<7>工程(1)における抽出温度が、好ましくは20℃以上、より好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上であり、また、好ましくは100℃以下であり、また、好ましくは20〜100℃、より好ましくは50〜100℃、更に好ましくは80〜100℃である<1>〜<6>のいずれかに記載の製造方法。
<8>工程(2)において、更に、必要に応じて、濃縮前に工程(1)で得られた抽出液のpHを、好ましくはpH4.0以上、より好ましくはpH4.5以上、より好ましくはpH5.0以上、更に好ましくはpH5.5以上であり、また、好ましくはpH7.5以下、より好ましくはpH7.0以下であり、また、好ましくはpH4.0〜7.5、より好ましくはpH4.5〜7.5、更に好ましくはpH5.0〜7.0、更に好ましくはpH5.5〜7.0に調整するか、又は濃縮後に濃縮抽出液のpHを、好ましくはpH4.0以上、より好ましくはpH4.5以上、より好ましくはpH5.0以上、更に好ましくはpH5.5以上であり、また、好ましくはpH7.5以下、より好ましくはpH7.0以下であり、また、好ましくはpH4.0〜7.5、より好ましくはpH4.5〜7.5、更に好ましくはpH5.0〜7.0、更に好ましくはpH5.5〜7.0に調整する、<2>〜<7>のいずれかに記載の製造方法。
<9>工程(3)において、濃縮抽出液のpHが、好ましくはpH4.0以上、より好ましくはpH4.5以上、より好ましくはpH5.0以上、更に好ましくはpH5.5以上であり、また、好ましくはpH7.5以下、より好ましくはpH7.0以下であり、また、好ましくはpH4.0〜7.5、より好ましくはpH4.5〜7.5、更に好ましくはpH5.0〜7.0、更に好ましくはpH5.5〜7.0である<2>〜<8>のいずれかに記載の製造方法。
<10>工程(3)において、濃縮抽出液の固形分濃度が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下であり、また、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは15〜50質量%、更に好ましくは20〜45質量%である<2>〜<9>のいずれかに記載の製造方法。
<11>工程(3)におけるエタノール水溶液のエタノールの濃度が、好ましくは50容量%以上、より好ましくは70容量%以上、更に好ましくは90容量%以上であり、また、好ましくは99.5容量%以下、より好ましくは98容量%以下、更に好ましくは95容量%以下であり、また、好ましくは50〜99.5容量%、より好ましくは70〜98容量%、更に好ましくは90〜95容量%である<2>〜<10>のいずれかに記載の製造方法。
<12>工程(3)において、濃縮抽出液にエタノールの濃度が、好ましくは40容量%以上、より好ましくは55容量%以上、より好ましくは65容量%以上、更に好ましくは70容量%以上であり、また、好ましくは95容量%以下、より好ましくは90容量%以下、より好ましくは85容量%以下、更に好ましくは80容量%以下であり、また、好ましくは40〜95容量%、より好ましくは55〜90容量%、より好ましくは65〜85容量%、更に好ましくは70〜80容量%の範囲となるようにエタノール又はエタノール水溶液を添加する<2>〜<11>のいずれかに記載の製造方法。
<13>工程(3)における濃縮抽出液へのエタノール又はエタノール水溶液の添加が次のいずれかである、<2>〜<12>のいずれかに記載の製造方法。
・固形分濃度が10〜60質量%の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が40〜95容量%となるように50〜99.5容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が15〜50質量%の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が55〜90容量%となるように70〜98容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が27.5質量%〜48.7質量%の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が70容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が27.5質量%〜37.5質量%、かつpH4.5〜6.7の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が70容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が24.1質量%〜44.2質量%の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が65容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が24.1質量%〜38.8質量%、かつpH4.5〜6.7の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が65容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が21.3質量%〜40.4質量%の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が60容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が21.3質量%〜40.4質量%、かつpH4.5〜6.7の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が60容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が19.2質量%〜37.3質量%の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が55容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
・固形分濃度が27.7質量%〜32.2質量%、かつpH4.5〜6.7の濃縮抽出液に対して、エタノールの濃度が55容量%となるように95容量%エタノール水溶液を添加する
<14>工程(3)における温度が、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上であり、また、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下であり、また、好ましくは10〜40℃、より好ましくは20〜30℃である<2>〜<13>のいずれかに記載の製造方法。
<15>精製赤シソ葉抽出物におけるロズマリン酸の純度が、好ましくは8質量%以上、より好ましくは11質量%以上、更に好ましくは14質量%である<2>〜<14>のいずれかに記載の製造方法。
【実施例】
【0025】
(i)ロズマリン酸(RA)分析
試料中のRA量は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定した。まず、試料をチューブに量り取り、固形分濃度1容量%の水溶液を調整した。この水溶液を50容量%メタノール水溶液を用いて適宜希釈した後、0.45μmフィルター(PES、Agilent Technologies(株)製)を用いて濾過し、分析に供した。
濃度検定用の標品には、試薬RA(Carbosynth(株)製)を用いた。分析カラムにCapcell Core C18(2.1mm×100mm,2.7μm,(株)大阪ソーダ製)を用い、流速を0.7mL/分、カラム温度を40℃、試料注入量を10μL、UV検出波長を320nmに設定して分析した。溶離液には、A液に0.1容量%ギ酸水溶液を、B液にアセトニトリルを用い、2液のグラジエントの系で分析を実施した。グラジエント条件は、下記のとおりである。
時間(分) A液(容量%) B液(容量%)
0−0.3 94 6
0.3−1.2 82 18
1.2−2.2 82 18
2.2−2.7 75 25
2.7−4.5 75 25
4.5−5.5 3 97
5.5−8.0 94 6
【0026】
(ii)pHの測定
LAQUA pH/ION METER((株)堀場製作所製)及びGRT複合電極((株)堀場製作所製)を用いて、室温下、pHを測定した。
【0027】
(iii)RA回収率
赤シソ葉抽出物におけるRA回収率は、酸が添加された赤シソ葉中のRA質量を100質量%とし、下記の計算式によって求めた。
RA回収率[質量%]=(赤シソ葉抽出物中のRA質量)/(酸が添加された赤シソ葉中のRA質量)×100
(酸が添加された赤シソ葉中のRA質量)=(酸が添加された赤シソ葉中のRA含有率)×(酸が添加された赤シソ葉仕込質量)
なお、酸が添加された赤シソ葉中のRA含有率[質量%]は、以下の方法で算出した。
100mL三角フラスコに酸が添加された赤シソ葉5gとメタノール50mL(浴比10)を加え、室温下で静置し、8日間抽出した。その後、GFP濾紙((有)桐山製作所製)を用いて抽出液を濾過し、さらに濾過残渣をメタノール50mL(浴比10)で洗浄した。抽出液と洗浄液を合わせ、100mLにメスアップし、上記の方法と同様にしてHPLCによりRA含有量を測定した。
酸が添加された赤シソ葉中のRA含有率[質量%]=(メタノール抽出物中のRA質量)/(酸が添加された赤シソ葉仕込質量)×100
【0028】
(iv)RAの精製回収率
精製赤シソ葉抽出物におけるRAの精製回収率は、下記の計算式によって求めた。
RAの精製回収率[質量%]=(精製赤シソ葉抽出物中のRA質量)/(エタノール水溶液添加前の赤シソ葉抽出物中のRA質量)×100
【0029】
(v)RA純度
RA純度は、試料の固形分質量を100質量%とし、下記の計算式によって求めた。
RA純度[質量%]=(試料中のRA質量)/(試料の固形分質量)×100
【0030】
以下の実施例中、実施例1、5及び6は参考例である。
実施例1
抽出原料である酸が添加された赤シソ葉として、クエン酸添加乾燥赤シソ葉粉末(赤シソパウダーKU、こだま食品(株)製)を用いた。抽出原料中のRA含有率は2.50質量%だった。
抽出原料2gに対して水40mL(浴比20)を加え、8N NaOH水溶液を滴下してpHを4.0に調整した。つづいて80℃の加熱条件下にて1時間撹拌抽出し、濾過により抽出液を回収した。さらに濾過残渣に対し、室温の水30mL(浴比15)を加えて濾過し、残渣内に残存するRAを回収した。回収した抽出液を合わせ、次いで凍結乾燥し、乾燥粉末状の赤シソ葉抽出物を得た。
得られた抽出物中のRA含有量を測定し、RA回収率を求めた。
【0031】
実施例2〜7
表1に示すpHと温度条件で、実施例1と同様にして抽出を行い、抽出原料から乾燥粉末状の赤シソ葉抽出物を得た。
得られた抽出物中のRA含有量を測定し、RA回収率を求めた。
【0032】
実施例8
実施例1と同様の抽出原料20gに対して水200mL(浴比10)を加え、8N NaOH水溶液を滴下してpHを6.0に調整した。つづいて90℃の加熱条件下にて1時間撹拌抽出し、濾過により抽出液を回収した。さらに濾過残渣に対し、室温の水200mL(浴比10)を加えて濾過し、残渣内に残存するRAを回収した。回収した抽出液を合わせ、次いで凍結乾燥し、乾燥粉末状の赤シソ葉抽出物を得た。使用した抽出溶媒の総浴比は20だった。
得られた抽出物中のRA含有量を測定し、RA回収率を求めた。
【0033】
実施例9
実施例1と同様の抽出原料20gに対して水160mL(浴比8)を加え、8N NaOH水溶液を滴下してpHを6.0に調整した。つづいて90℃の加熱条件下にて1時間撹拌抽出し、濾過により抽出液を回収した。さらに濾過残渣に対し、室温の水160mL(浴比8)を加えて濾過し、残渣内に残存するRAを回収した。回収した抽出液を合わせ、次いで凍結乾燥し、乾燥粉末状の赤シソ葉抽出物を得た。使用した抽出溶媒の総浴比は16だった。
得られた抽出物中のRA含有量を測定し、RA回収率を求めた。
【0034】
実施例10
実施例1と同様の抽出原料20gに対して水120mL(浴比6)を加え、8N NaOH水溶液を滴下してpHを6.0に調整した。つづいて90℃の加熱条件下にて1時間撹拌抽出し、濾過により抽出液を回収した。さらに濾過残渣に対し、室温の水120mL(浴比6)を加えて濾過し、残渣内に残存するRAを回収した。回収した抽出液を合わせ、次いで凍結乾燥し、乾燥粉末状の赤シソ葉抽出物を得た。使用した抽出溶媒の総浴比は12だった。
得られた抽出物中のRA含有量を測定し、RA回収率を求めた。
【0035】
比較例1
実施例1と同様の抽出原料2gに対して水40mL(浴比20)を加え、つづいて80℃の加熱条件下にて1時間撹拌抽出し、濾過により抽出液を回収した。抽出時のpHは2.9だった。さらに濾過残渣に対し、室温の水30mL(浴比15)を加えて濾過し、残渣内に残存するRAを回収した。回収した抽出液を合わせ、次いで凍結乾燥し、乾燥粉末状の赤シソ葉抽出物を得た。
得られた抽出物中のRA含有量を測定し、RA回収率を求めた。
各実施例及び比較例の処理条件及び分析結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
表1より、抽出温度20〜90℃において、抽出時のpHが4.0〜8.0であると、比較例1に比べてRA回収率が向上することが確認された。なかでも、pHの範囲5.0〜7.0で好適だった。さらに、抽出温度は、50℃以上が好適だった。
【0038】
実施例11
遠沈管に、実施例1と同様の抽出原料20gと水200mL(浴比10)を加え、8N NaOH水溶液を滴下してpHを6.0に調整した。つづいて50℃の加熱条件下、1時間撹拌抽出した。その後、遠沈管を3000r/min、20℃にて5分遠心分離し、上清を回収した。さらに、残渣に室温の水200mL(浴比10)を加え、同様の条件で撹拌抽出と遠心分離し、上清を回収した。この操作をもう一度繰り返し、計3回分の上清を合わせた。この抽出液を凍結乾燥し、乾燥粉末状の赤シソ葉抽出物を得た。
得られた抽出物中のRA含有量を測定した結果、RA回収率は97質量%だった。また、RA純度は4.02質量%だった。
【0039】
次いで、赤シソ葉抽出物の乾燥粉末のうち200mgをチューブに量り取り、水500μLを加えて撹拌し、固形分濃度28.6質量%の濃縮抽出液を調製した。
この濃縮抽出液に対し、室温下、エタノール終濃度70容量%となるよう95容量%エタノール水溶液1.4mLを添加し、不溶性の沈殿を形成させた。つづいて、3000r/min、20℃にて10分遠心分離した後、上清を回収した。さらに、沈殿形成時の半分量のエタノール水溶液を残った沈殿に添加し、スパーテルを用いて沈殿を分散させた。なお、このときのエタノール水溶液のエタノール濃度は、沈殿形成時のエタノール終濃度に合わせた。同様の条件で遠心分離後、上清を回収した。先に回収した上清と合わせて濃縮、次いで乾燥し、精製赤シソ葉抽出物を得た。
得られた精製赤シソ葉抽出物中のRA含有量を測定し、RA精製回収率及びRA純度を求めた。
【0040】
実施例12及び13
濃縮抽出液の固形分濃度を表2に示す値となるように水及びエタノール水溶液の添加量を調整した以外は実施例11と同様に処理を行い、抽出原料から精製赤シソ葉抽出物を得た。
得られた精製赤シソ葉抽出物中のRA含有量を測定し、RA精製回収率及びRA純度を求めた。
【0041】
実施例14
実施例1と同様の抽出原料4gに対して室温の水20mL(浴比5)を加え、8N NaOH水溶液を滴下してpHを4.5に調整した。つづいて50℃の加熱条件下、1時間撹拌抽出した。その後、遠沈管を3000r/min、20℃にて5分遠心分離し、上清を回収した。さらに、残渣に室温の水20mL(浴比5)を加え、同様の条件で撹拌抽出と遠心分離し、上清を回収した。この操作をもう一度繰り返し、計3回分の上清を合わせた。この抽出液を凍結乾燥し、乾燥粉末状の赤シソ葉抽出物を得た。
得られた抽出物中のRA含有量を測定した結果、RA回収率は83質量%だった。また、RA純度は4.04質量%だった。
【0042】
次いで、赤シソ葉抽出物の乾燥粉末のうち200mgをチューブに量り取り、水500μLを加えて撹拌し、固形分濃度28.6質量%の濃縮抽出液を調製した。
この濃縮抽出液に対し、実施例11と同様に処理を行い、抽出原料から精製赤シソ葉抽出物を得た。
得られた精製赤シソ葉抽出物中のRA含有量を測定し、RA精製回収率及びRA純度を求めた。
【0043】
実施例15及び16
濃縮抽出液の固形分濃度を表2に示す値となるように調整した以外は実施例14と同様に処理を行い、抽出原料から精製赤シソ葉抽出物を得た。
得られた精製赤シソ葉抽出物中のRA含有量を測定し、RA精製回収率及びRA純度を求めた。
【0044】
実施例17〜20
実施例1と同様の抽出原料200gに対して水2L(浴比10)を加え、6N NaOH水溶液を滴下してpHを4.5に調整した。つづいて90℃の加熱条件下、1時間撹拌抽出した。その後、抽出液を篩(目開き:106μm,線径:71μm)を用いて濾過し、得られた濾液を濾紙(2号,Agilent Technologies(株)製)を用いて濾過した。得られた抽出液を、40℃にて減圧濃縮することで、濃縮抽出液として赤シソ葉抽出物を得た。
得られた抽出物中のRA含有量と固形分量を測定した結果、RA純度は4.33質量%、固形分濃度は28.5質量%と求められた。
【0045】
次いで、濃縮抽出液のうち800mgをチューブに量り取り、かつ濃縮抽出液のpHを表2に示す値となるように8N NaOH水溶液を添加して調整した。この濃縮抽出液に対し、室温下、エタノール終濃度70容量%となるよう95容量%エタノール水溶液を添加した。以降の処理は実施例11と同様に行い、抽出原料から精製赤シソ葉抽出物を得た。
得られた精製赤シソ葉抽出物中のRA含有量を測定し、RA精製回収率及びRA純度を求めた。
【0046】
実施例21
実施例1と同様の抽出原料30gに対して水150mL(浴比5)を加え、8N NaOH水溶液を滴下してpHを4.5に調整した。つづいて90℃の加熱条件下、1時間撹拌抽出した。その後、遠沈管を3000r/min、20℃にて5分遠心分離し、上清を回収した。さらに、残渣に水150mL(浴比5)を加え、同様の条件で撹拌抽出と遠心分離し、上清を回収した。この操作をもう一度繰り返し、計3回分の上清を合わせた。この抽出液に8N NaOH水溶液を滴下してpH6.0に調整した後、凍結乾燥し、乾燥粉末状の赤シソ葉抽出物を得た。
得られた抽出物中のRA含有量を測定した結果、RA回収率は94質量%だった。また、RA純度は4.12質量%だった。
【0047】
次いで、赤シソ葉抽出物の乾燥粉末のうち200mgをチューブに量り取り、水526μLを加えて撹拌し、固形分濃度27.5質量%の濃縮抽出液を調製した。
この濃縮抽出液に対し、実施例11と同様に処理を行い、抽出原料から精製赤シソ葉抽出物を得た。
得られた精製赤シソ葉抽出物中のRA含有量を測定し、RA精製回収率及びRA純度を求めた。
【0048】
実施例22〜25
濃縮抽出液の固形分濃度を表3に示す値となるように水の添加量を調整した以外は実施例21と同様に処理を行い、抽出原料から精製赤シソ葉抽出物を得た。
得られた精製赤シソ葉抽出物中のRA含有量を測定し、RA精製回収率及びRA純度を求めた。
【0049】
実施例26〜30
濃縮抽出液の固形分濃度を表3に示す値となるように水の添加量を調整し、かつエタノール終濃度65容量%となるよう95容量%エタノール水溶液を添加した以外は実施例21と同様に処理を行い、抽出原料から精製赤シソ葉抽出物を得た。
得られた精製赤シソ葉抽出物中のRA含有量を測定し、RA精製回収率及びRA純度を求めた。
【0050】
実施例31〜35
濃縮抽出液の固形分濃度を表3に示す値となるように水の添加量を調整し、かつエタノール終濃度60容量%となるよう95容量%エタノール水溶液を添加した以外は実施例21と同様に処理を行い、抽出原料から精製赤シソ葉抽出物を得た。
得られた精製赤シソ葉抽出物中のRA含有量を測定し、RA精製回収率及びRA純度を求めた。
【0051】
実施例36〜40
濃縮抽出液の固形分濃度を表3に示す値となるように水の添加量を調整し、かつエタノール終濃度55容量%となるよう95容量%エタノール水溶液を添加した以外は実施例21と同様に処理を行い、抽出原料から精製赤シソ葉抽出物を得た。
得られた精製赤シソ葉抽出物中のRA含有量を測定し、RA精製回収率及びRA純度を求めた。
各実施例の処理条件及び分析結果を表2及び表3に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
表2及び表3より、抽出液を濃縮した後、エタノール沈殿法に供することで、精製工程におけるロスを抑えてRAを収率良く回収しながらも、RAを高純度化できることが確認された。なかでも、エタノール沈殿に供する濃縮抽出液の固形分濃度とpH、また、エタノール終濃度は、以下の範囲が好適だった。
・固形分濃度27.5質量%〜37.5質量%、pH4.5〜6.7、エタノール終濃度70容量%
・固形分濃度24.1質量%〜38.8質量%、pH4.5〜6.7、エタノール終濃度65容量%
・固形分濃度21.3質量%〜40.4質量%、pH4.5〜6.7、エタノール終濃度60容量%
・固形分濃度27.7質量%〜32.2質量%、pH4.5〜6.7、エタノール終濃度55容量%