【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、式(I)の化合物:
【0017】
【化3】
(I)
【0018】
並びにその塩及び溶媒和物を提供し、
式中、
点線は、C1とC2、C2とC3、及びC3とC4の1つ又は2つ以上の間に二重結合が存在していてもよいことを示し;
R
1は、R
7、=CH
2、=CH−(CH
2)
m−CH
3、=O、(CH
2)
m−OR
7、(CH
2)
m−CO
2R
7、(CH
2)
m−NR
7R
8、O−(CH
2)
n−NR
7R
8、NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−C(O)−NH−R
7、(CH
2)
m−SO
2R
7、O−SO
2R
7、(CH
2)
m−C(O)R
7、及び(CH
2)
m−C(O)NR
7R
8から選択され;
R
2は、R
9、=CH
2、=CH−(CH
2)
r−CH
3、=O、(CH
2)
r−OR
9、(CH
2)
r−CO
2R
9、(CH
2)
r−NR
9R
10、O−(CH
2)
s−NR
9R
10、NH−C(O)−R
9、O−(CH
2)
s−NH−C(O)−R
9、O−(CH
2)
s−C(O)−NH−R
9、(CH
2)
r−SO
2R
9、O−SO
2R
9、(CH
2)
r−COR
9、及び(CH
2)
r−C(O)NR
9R
10から選択され;
R
3は、H、C
1−12アルキル、及びCH
2Phから選択され;
R
4は、OH、C
1−6アルキル、OC
1−6アルキル、(CH
2)
j−CO
2R
11、O−(CH
2)
k−NR
11R
12、(CH
2)
j−NR
11R
12、C(=O)−NH−(CH
2)
k−NR
11R
12、C(=O)−NH−R
24、及びC(=O)−NH−(CH
2)
k−C(=NH)NR
11R
12から選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよい、フェニル及びC
5−9ヘテロアリール基から選択され;ただし、置換されていてもよいC
5−9ヘテロアリールは、インドリルではないことを条件とし;
R
19は、H及び(CH
2)
t−NR
20R
21から選択され;
Y
1は、N又はCHであり;
Y
2は、N又はCHであり;Y
1及びY
2の少なくとも一方は、CHであり;
pは、0又は1であり;
j、m、r、及びtは独立して、0〜6の整数から選択され;
k、n、及びsは独立して、1〜6の整数から選択され;
X
1は、O、S、NR
13、CR
13R
14、CR
13R
14O、C(=O)、C(=O)NR
13、NR
13C(=O)、O−C(O)、及びC(O)−Oから選択され;
Lは、アミノ酸、2〜6個のアミノ酸を有するペプチド鎖、1つ又は2つ以上の炭素−炭素二重結合又は三重結合を含有し得る1〜12個の炭素原子を含有するアルキレン鎖、パラホルムアルデヒド鎖−(OCH
2)
1−12−、及びポリエチレングリコール鎖−(OCH
2CH
2)
1−6−から選択され、これらの鎖は、O、S、及び/若しくはNH基、並びに/又はC
3−9ヘテロアリーレン、並びに/又はフェニレンの1つ又は2つ以上により中断されていてもよく;
X
2は、O、S、NR
15、CR
15R
16、CR
15R
16O、C(=O)、C(=O)NR
15、NR
15C(=O)、O−C(O)、及びC(O)−Oから選択されるか、又は存在せず;
qは、0、1、2、3、4、5、及び6から選択され;
Aは:
【0019】
【化4】
【0020】
から選択され、
各A1基について、Y
3及びY
4の1つは独立して、N−R
17、S、及びOから選択され;Y
3及びY
4の他方は、CHであり;Y
5は独立して、CH、N、S、及びCOHから選択され;
各A2基について、Y
6及びY
7の1つは独立して、N及びCHから選択され;Y
6及びY
7の他方は、CHであり;
R
7及びR
9は独立して、H、C
1−12アルキル、C
5−9ヘテロアリール、C
6−15ヘテロアリールアルキル、フェニル、及びC
7−12アラルキル基から選択され;ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、フェニル、及びアラルキル基は、C
1−6アルキル、OH、及びOC
1−6アルキルから選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよく;
R
24は、OH、C
1−6アルキル、OC
1−6アルキル、(CH
2)
j−CO
2R
11、O−(CH
2)
k−NR
11R
12、(CH
2)
j−NR
11R
12、C(=O)−NH−(CH
2)
k−NR
11R
12、及びC(=O)−NH−(CH
2)
k−C(=NH)NR
11R
12から選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよい、フェニルであり;
R
8、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
20、及びR
21は独立して、H及びC
1−6アルキルから選択され;
(i)R
5及びR
6は一緒になって二重結合を形成するか;
(ii)R
5はHであり、かつR
6はOHであるか;又は
(iii)R
5はHであり、かつR
6はOC
1−6アルキルであるか
のいずれかであり;
ただし、pが0であり、かつAがA1である場合:
(a)少なくとも1つのA1基について、Y
3及びY
4の1つは、S及びOから選択されるか;若しくは
(b)少なくとも1つのA1基について、Y
5は、Sであるか;又は
(c)R
4は、ピロリル、イミダゾリル、置換されていてもよいピロリル、若しくは置換されていてもよいイミダゾリルではないこと
を条件とする。
【0021】
本発明は、式(I)の化合物:
【0022】
【化5】
(I)
【0023】
並びにその塩及び溶媒和物を提供し、
式中、
点線は、C1とC2、C2とC3、及びC3とC4の1つ又は2つ以上の間に二重結合が存在していてもよいことを示し;
R
1は、R
7、=CH
2、=CH−(CH
2)
m−CH
3、=O、(CH
2)
m−OR
7、(CH
2)
m−CO
2R
7、(CH
2)
m−NR
7R
8、O−(CH
2)
n−NR
7R
8、NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−C(O)−NH−R
7、(CH
2)
m−SO
2R
7、O−SO
2R
7、(CH
2)
m−C(O)R
7、及び(CH
2)
m−C(O)NR
7R
8から選択され;
R
2は、R
9、=CH
2、=CH−(CH
2)
r−CH
3、=O、(CH
2)
r−OR
9、(CH
2)
r−CO
2R
9、(CH
2)
r−NR
9R
10、O−(CH
2)
s−NR
9R
10、NH−C(O)−R
9、O−(CH
2)
s−NH−C(O)−R
9、O−(CH
2)
s−C(O)−NH−R
9、(CH
2)
r−SO
2R
9、O−SO
2R
9、(CH
2)
r−COR
9、及び(CH
2)
r−C(O)NR
9R
10から選択され;
R
3は、H、C
1−12アルキル、及びCH
2Phから選択され;
R
4は、OH、C
1−6アルキル、OC
1−6アルキル、(CH
2)
j−CO
2R
11、O−(CH
2)
k−NR
11R
12、(CH
2)
j−NR
11R
12、C(=O)−NH−(CH
2)
k−NR
11R
12、C(=O)−NH−C
6H
4−(CH
2)
j−R
18、及びC(=O)−NH−(CH
2)
k−C(=NH)NR
11R
12から選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよい、フェニル及びC
5−9ヘテロアリール基から選択され;ただし、置換されていてもよいC
5−9ヘテロアリールは、インドリルではないことを条件とし;
R
19は、H及び(CH
2)
t−NR
20R
21から選択され;
Y
1は、N又はCHであり;
Y
2は、N又はCHであり;Y
1及びY
2の少なくとも一方は、CHであり;
pは、0又は1であり;
j、m、r、及びtは独立して、0〜6の整数から選択され;
k、n、及びsは独立して、1〜6の整数から選択され;
X
1は、O、S、NR
13、CR
13R
14、CR
13R
14O、C(=O)、C(=O)NR
13、NR
13C(=O)、O−C(O)、及びC(O)−Oから選択され;
Lは、アミノ酸、2〜6個のアミノ酸を有するペプチド鎖、1つ又は2つ以上の炭素−炭素二重結合又は三重結合を含有し得る1〜12個の炭素原子を含有するアルキレン鎖、パラホルムアルデヒド鎖−(OCH
2)
1−12−、ポリエチレングリコール鎖−(OCH
2CH
2)
1−6−から選択され、これらの鎖は、O、S、及び/若しくはNH基、並びに/又はC
3−9ヘテロアリーレン、並びに/又はフェニレンの1つ又は2つ以上により中断されていてもよく;
X
2は、O、S、NR
15、CR
15R
16、CR
15R
16O、C(=O)、C(=O)NR
15、NR
15C(=O)、O−C(O)、及びC(O)−Oから選択されるか、又は存在せず;
qは、0、1、2、3、4、5、及び6から選択され;
Aは:
【0024】
【化6】
【0025】
から選択され、
各A1基について、Y
3及びY
4の1つは独立して、N−R
17、S、及びOから選択され;Y
3及びY
4の他方は、CHであり;Y
5は独立して、CH、N、S、及びCOHから選択され;
各A2基について、Y
6及びY
7の1つは独立して、N及びCHから選択され;Y
6及びY
7の他方は、CHであり;
R
7及びR
9は独立して、H、C
1−12アルキル、C
5−9ヘテロアリール、C
6−15ヘテロアリールアルキル、フェニル、及びC
7−12アラルキル基から選択され;ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、フェニル、及びアラルキル基は、C
1−6アルキル、OH、及びOC
1−6アルキルから選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよく;
R
18は、CO
2R
11及びNR
11R
12から選択され;
R
8、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
20、及びR
21は独立して、H及びC
1−6アルキルから選択され;
(i)R
5及びR
6は一緒になって二重結合を形成するか;
(ii)R
5はHであり、かつR
6はOHであるか;又は
(iii)R
5はHであり、かつR
6はOC
1−6アルキルであるか
のいずれかであり;
ただし、pが0であり、かつAがA1である場合:
(a)少なくとも1つのA1基について、Y
3及びY
4の1つは、S及びOから選択されるか;若しくは
(b)少なくとも1つのA1基について、Y
5は、Sであるか;又は
(c)R
4は、ピロリル、イミダゾリル、置換されていてもよいピロリル、若しくは置換されていてもよいイミダゾリルではないこと
を条件とする。
【0026】
さらなる態様では、療法における使用のための、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物が提供される。
【0027】
さらなる態様では、医薬としての使用のための、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物が提供される。
【0028】
さらなる態様では、増殖性疾患の治療における使用のための、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物が提供される。
【0029】
さらなる態様では、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物、並びに薬学的に許容される賦形剤、担体、又は希釈剤を含む、医薬組成物が提供される。
【0030】
さらなる態様では、本発明は、増殖性疾患の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物の使用を提供する。
【0031】
さらなる態様では、本発明は、増殖性疾患に羅患している患者の治療方法であって、上記患者に治療的有効量の式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物又は本発明の医薬組成物を投与することを含む治療方法を提供する。
【0032】
さらなる態様では、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物は、治療されるべき状態によって、単独で、又は他の治療との組合せで同時に若しくは連続して投与してもよい。
【0033】
本発明の医薬組成物はさらに、1つ又は2つ以上の(例えば2つ、3つ、又は4つの)さらなる活性剤を含んでもよい。
【0034】
さらなる態様では、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物を、標的化コンジュゲートを提供するために、標的化剤(例えば抗体、抗体断片、ホルモン等)に直接的又は間接的に結合してもよい。本開示の標的コンジュゲートは、1つ又は複数の式(I)の化合物(又はその塩及び溶媒和物)を含有し得る。様々な標的コンジュゲートは、本分野で公知であり、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物と共に使用することができる。例えば、特定の態様では、標的コンジュゲートは、抗体−薬物コンジュゲートであり、1つ又は2つ以上の式(I)の化合物は、抗体に直接的又は間接的に結合する。それゆえ、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物は、標的化コンジュゲート上のペイロードとして使用することができる。
【0035】
定義
以下の略語は、本明細書全体を通して使用される:Ac アセチル;Alloc アリルオキシカルボニル;BAIB ビス(アセトキシ)ヨードベンゼン/(ジアセトキシヨード)ベンゼン;Boc tert−ブトキシカルボニル;BPD ベンゾピリドジアゼシン;CBz ベンジルオキシカルボニル;DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン;DHP ジヒドロピラン;DMAP 4−ジメチルアミノピリジン;DMF ジメチルホルムアミド;DMSO ジメチルスルホキシド;EDCl 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;Et エチル;Et
2O ジエチルエーテル;EtOAc 酢酸エチル;EtOH エタノール;HATU (1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム3−オキシドヘキサフルオロホスフェート);HMDST ヘキサメチルジシラチアン;iBu イソ−ブチル;KOtBu カリウムt−ブトキシド;L−セレクトリドリチウム トリ−sec−ブチル(ヒドリド)ホウ酸塩;Me メチル;MeOH メタノール;PBD ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾ−ジアゼピン;PDD ピリジノベンゾジアゼピン;PIFA フェニルヨウ素(III)ビス[トリフルオロ酢酸塩];Ph フェニル;p−TSA/PTSA p−トルエンスルホン酸;Pyr ピリジン;TBAF テトラブチルアンモニウムフルオリド;TBS−Cl/TBDMSCl tert−ブチルジメチルシリルクロリド;TEA トリエチルアミン;TEMPO (2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−イル)オキシル;TFA トリフルオロ酢酸;THF テトラヒドロフラン;THP テトラヒドロピラニル;Troc 2,2,2−トリクロロエチルカーボネート;及びTs(トシレート) p−トルエンスルホン酸。
【0036】
「置換されている」は、化学置換基又は部分(例えばアルキル基)に関連して使用される場合、置換基又は部分の1個又は2個以上の水素原子が1個又は2個以上の非水素原子又は基で置換されており、ただし、原子価必要条件は満たされていること、及び化学的に安定な化合物が置換から得られることを条件とする。
【0037】
「置換されていてもよい」は、置換されていなくてもよいか、又は1個若しくは2個以上の置換基で置換されていてもよい親基を指す。好適には、別に指定しない限り、置換基が存在していてもよい場合、置換されていてもよい親基は1〜3個の置換基を含んでいてもよい。基が「最大3個の基で置換されていてもよい」場合、これは基が任意の置換基の0、1、2、又は3個で置換されていてもよいことを意味する。基が「1個又は2個の任意の置換基で置換されていてもよい」場合、これは基が任意の置換基の0、1、又は2個で置換されていてもよいことを意味する。好適には、基は、0個又は1個の任意の置換基で置換されていてもよい。
【0038】
「独立して、選択される」は、例えば「R
1及びR
2は独立して、H、C
1−12アルキル、フェニル、・・・から選択される」という記述の文脈で使用され、官能基の各場合、例えばR
1が、化合物内のR
1又はR
2のいかなる他の場合とも独立して、列挙される選択肢から選択されることを意味する。それゆえ、例えば、C
1−12アルキルを化合物内のR
1の第1の場合について選択してもよく;フェニル基を化合物内のR
1の次の場合について選択してもよく;Hを化合物内のR
2の第1の場合について選択してもよい。
【0039】
C
1−12アルキルは、一般的に1〜12個の炭素原子を有する直鎖状及び分岐状飽和炭化水素基、より好適にはC
1−7アルキル、より好適にはC
1−6アルキルを指す。アルキル基の例として、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンタ−1−イル、ペンタ−2−イル、ペンタ−3−イル、3−メチルブタ−1−イル、3−メチルブタ−2−イル、2−メチルブタ−2−イル、2,2,2−トリメチルエタ−1−イル、n−ヘキシル、n−ヘプチル等が挙げられる。
【0040】
「アルキレン」は、直鎖状又は分岐状であり得るアルカンに由来する二価ラジカルを指し、−CH
2CH
2CH
2CH
2−により例示される。
【0041】
「アリール」は、少なくとも1つの芳香環を有し、それらの環員を構成する特定の数の炭素原子を有する、完全に不飽和の単環式、二環式、及び多環式芳香族炭化水素を指す(例えばC
6−14アリールは、環員としての6〜14個の炭素原子を有するアリール基を指す)。アリール基は、結合又は置換が原子価必要条件に反しない限り、親基に、又はいかなる環原子の基質(substrate)に結合していてもよく、1個又は2個以上の非水素置換基を含んでもよい。アリール基の例として、フェニルが挙げられる。
【0042】
「C
7−12アラルキル」は、7〜12個の炭素原子を有し、アリール基で置換されているアルキル基を含む、アリールアルキル基を指す。好適には、アルキル基はC
1−6アルキル基であり、アリール基はフェニルである。C
7−12アラルキルの例として、ベンジル及びフェネチルが挙げられる。一部の場合、C
7−12アラルキル基は、置換されていてもよく、置換されていてもよいC
7−12アラルキル基の例は、4−メトキシルベンジルである。
【0043】
「C
5−9ヘテロアリール」は、炭素かヘテロ原子かにかかわらず5〜9個の環原子を含み、そのうちの1〜5個は環ヘテロ原子である、不飽和単環式又は二環式芳香族基を指す。好適には、いかなる単環式ヘテロアリール環も、5〜6個の環原子及び1〜3個の環ヘテロ原子を有する。好適には、各環ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素、及び硫黄から選択される。二環式環として、縮合環系が挙げられ、特に5個の環原子を含む単環式ヘテロ環がベンゼン環に縮合されている二環式基が挙げられる。ヘテロアリール基は、結合又は置換が原子価必要条件に反しないか、又は化学的に不安定な化合物をもたらさない限り、親基に、又はいかなる環原子の基質(substrate)に結合していてもよく、1個又は2個以上の非水素置換基を含んでもよい。
【0044】
単環式ヘテロアリール基の例として:
N
1:ピロール、ピリジン;
O
1:フラン;
S
1:チオフェン;
N
1O
1:オキサゾール、イソキサゾール、イソキサジン;
N
2O
1:オキサジアゾール(例えば1−オキサ−2,3−ジアゾリル、1−オキサ−2,4−ジアゾリル、1−オキサ−2,5−ジアゾリル、1−オキサ−3,4−ジアゾリル);
N
3O
1:オキサトリアゾール;
N
1S
1:チアゾール、イソチアゾール;
N
2:イミダゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン;
N
3:トリアゾール、トリアジン;及び
N
4:テトラゾール
に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
縮合環を含むヘテロアリールの例として:
O
1:ベンゾフラン、イソベンゾフラン;
N
1:インドール、イソインドール、インドリジン、イソインドリン;
S
1:ベンゾチオフラン;
N
1O
1:ベンゾキサゾール、ベンズイソキサゾール;
N
1S
1:ベンゾチアゾール;
N
2:ベンズイミダゾール、インダゾール;
O
2:ベンゾジオキソール;
N
2O
1:ベンゾフラザン;
N
2S
1:ベンゾチアジアゾール;
N
3:ベンゾトリアゾール;及び
N
4:プリン(例えばアデニン、グアニン)、プテリジン
に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
「ヘテロアリーレン」は、ヘテロアリール基に由来する二価ラジカルを指し、ピリジニレン−(C
5H
3N)−により例示される。
【0047】
「C
6−15ヘテロアリールアルキル」は、ヘテロアリール基で置換されているアルキル基を指す。好適には、上記に定義されるように、アルキルはC
1−6アルキル基であり、ヘテロアリール基はC
5−9ヘテロアリールである。C
6−15ヘテロアリールアルキル基の例として、ピロール−2−イルメチル、ピロール−3−イルメチル、ピロール−4−イルメチル、ピロール−3−イルエチル、ピロール−4−イルエチル、イミダゾール−2−イルメチル、イミダゾール−4−イルメチル、イミダゾール−4−イルエチル、チオフェン−3−イルメチル、フラン−3−イルメチル、ピリジン−2−イルメチル、ピリジン−2−イルエチル、チアゾール−2−イルメチル、チアゾール−4−イルメチル、チアゾール−2−イルエチル、ピリミジン−2−イルプロピル等が挙げられる。
【0048】
窒素保護基
窒素保護基は本分野で周知である。好ましい窒素保護基は、一般式:
【0049】
【化7】
【0050】
を有するカルバメート保護基である。多くの可能なカルバメート窒素保護基は、Wuts, P.G.M. and Greene, T.W., Protective Groups in Organic Synthesis, 4
th Edition, Wiley-lnterscience, 2007の706〜771頁、及びP. Kocienski, Protective Groups, 3rd Edition (2005)に列挙されており、当該文献は、参照により本明細書に組み込む。
【0051】
特に好ましい保護基として、Alloc(アリルオキシカルボニル)、Troc(2,2,2−トリクロロエチルカーボネート)、Teoc[2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル]、BOC(tert−ブチルオキシカルボニル)、Doc(2,4−ジメチルペンタ−3−イルオキシカルボニル)、Hoc(シクロヘキシルオキシカルボニル)、TcBOC(2,2,2−トリクロロ−tert−ブチルオキシカルボニル)、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)、1−Adoc(1−アダマンチルオキシカルボニル)、及び2−Adoc(2−アダマンチルオキシカルボニル)が挙げられる。
【0052】
ヒドロキシル保護基
ヒドロキシル保護基は、本分野で周知であり、多くの好適な基は、Wuts, P.G.M. and Greene, T.W., Protective Groups in Organic Synthesis, 4
th Edition, Wiley-lnterscience, 2007の16〜366頁、及びP. Kocienski, Protective Groups, 3rd Edition (2005)で説明されており、当該文献は、参照により本明細書に組み込む。
【0053】
特に所望されるクラスとして、シリルエーテル、メチルエーテル、アルキルエーテル、ベンジルエーテル、エステル、ベンゾエート、カーボネート、及びスルホネートが挙げられる。特に好ましい保護基として、THP(テトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。
【0054】
「式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物」は、式(I)の化合物、式(I)の化合物の塩、式(I)の化合物の溶媒和物、及び式(I)の化合物の塩の溶媒和物を指す。
【0055】
「薬物」、「薬物物質」、「活性医薬成分」等は、治療を必要とする対象を治療するために使用され得る化合物(例えば式(I)の化合物及び具体的に上記に指定される化合物)を指す。
【0056】
「賦形剤」は、薬物のバイオアベイラビリティに影響し得るが、それ以外には薬理学的に不活性であるいかなる物質も指す。
【0057】
「薬学的に許容される」物質は、過度の毒性、刺激、アレルギー性応答等を伴わずに対象の組織と接触する使用に好適で、正当な利益対リスク比に見合い、それらの意図される使用について有効な、健全な医療的判断の範囲内である物質を指す。
【0058】
「医薬組成物」は、1つ又は2つ以上の薬物物質と1つ又は2つ以上の賦形剤との組合せを指す。
【0059】
「対象」という用語は、本明細書で使用されるとき、ヒト又は非ヒト哺乳動物を指す。非ヒト哺乳動物の例として、家畜動物、例えばヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ウサギ、及びシカ;並びにペット動物、例えばネコ、イヌ、げっ歯類、及びウマが挙げられる。
【0060】
薬物の「治療的有効量」は、対象を治療すること、及びしたがって所望の治療的、改善的、阻害的、又は予防的効果を生成することにおいて有効な、薬物又は組成物の量を指す。治療的有効量は、中でも、対象の体重及び年齢、並びに投与経路に依存し得る。
【0061】
「治療すること」は、かかる用語が適用する障害、疾患、若しくは状態の進行を回復、緩和、阻害すること、若しくは障害、疾患、若しくは状態を予防すること、又はかかる障害、疾患、若しくは状態の1つ若しくは2つ以上の症状の進行を回復、緩和、阻害すること、若しくはかかる障害、疾患、若しくは状態の1つ若しくは2つ以上の症状を予防することを指す。
【0062】
「治療」は、すぐ上に定義されるように、「治療する」行為を指す。
【0063】
本明細書で使用されるとき、「〜を含むこと(comprising)」という用語は、「少なくとも一部には〜を含むこと」を意味し、包括的又は非限定的であることを意味する。「〜を含むこと(comprising)」という用語を含む本明細書における各記述を解釈する場合、上記用語が先行するその又はそれらの特徴、要素、及び/又はステップ以外の特徴、要素、及び/又はステップもまた、存在し得る。関連する用語、例えば「〜を含む(comprise)」及び「〜を含む(comprises)」は、同じように解釈されるべきである。
【0064】
R
1
R
1は、R
7、=CH
2、=CH−(CH
2)
m−CH
3、=O、(CH
2)
m−OR
7、(CH
2)
m−CO
2R
7、(CH
2)
m−NR
7R
8、O−(CH
2)
n−NR
7R
8、NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−C(O)−NH−R
7、(CH
2)
m−SO
2R
7、O−SO
2R
7、(CH
2)
m−C(O)R
7、及び(CH
2)
m−C(O)NR
7R
8から選択される。R
1が=CH
2、=CH−(CH
2)
m−CH
3、及び=Oから選択される選択肢について、それが結合するC環の炭素は、分子の原子価必要条件を満たすために、任意の二重結合を有することはできない。例えば、R
1が=CH
2であり、C環の縮合炭素に隣接するC環のC1位に位置し、かつR
2がHである場合、得られる式(I)の化合物は:
【0065】
【化8】
【0066】
として表すことができる。
【0067】
好適には、R
1は、R
7、(CH
2)
m−OR
7、(CH
2)
m−CO
2R
7、(CH
2)
m−NR
7R
8、O−(CH
2)
n−NR
7R
8、NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−C(O)−NH−R
7、(CH
2)
m−SO
2R
7、O−SO
2R
7、(CH
2)
m−C(O)R
7、及び(CH
2)
m−C(O)NR
7R
8から選択される。
【0068】
好適には、R
1は、R
7、(CH
2)
m−OR
7、(CH
2)
m−CO
2R
7、(CH
2)
m−NR
7R
8、O−(CH
2)
n−NR
7R
8、NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−C(O)−NH−R
7、(CH
2)
m−C(O)R
7、及び(CH
2)
m−C(O)NR
7R
8から選択される。
【0069】
好適には、R
1は、R
7、OR
7、CO
2R
7、NR
7R
8、NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−C(O)−NH−R
7、C(O)R
7、及びC(O)NR
7R
8から選択される。
【0070】
好適には、R
1は、R
7、OR
7、CO
2R
7、O−(CH
2)
n−NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−C(O)−NH−R
7、C(O)R
7、及びC(O)NR
7R
8から選択される。
【0071】
好適には、R
1は、R
7、O−(CH
2)
n−NH−C(O)−R
7、及びO−(CH
2)
n−C(O)−NH−R
7から選択される。
【0072】
一部の実施形態では、R
1は、Hである。
【0073】
R
2
R
2は、R
9、(CH
2)
r−OR
9、(CH
2)
r−CO
2R
9、(CH
2)
r−NR
9R
10、O−(CH
2)
s−NR
9R
10、NH−C(O)−R
9、O−(CH
2)
s−NH−C(O)−R
9、O−(CH
2)
s−C(O)−NH−R
9、(CH
2)
r−SO
2R
9、O−SO
2R
9、(CH
2)
r−COR
9、及び(CH
2)
r−C(O)NR
9R
10から選択される。
【0074】
好適には、R
2は、R
9、(CH
2)
r−OR
9、(CH
2)
r−CO
2R
9、(CH
2)
r−NR
9R
10、O−(CH
2)
s−NR
9R
10、NH−C(O)−R
9、O−(CH
2)
s−NH−C(O)−R
9、O−(CH
2)
s−C(O)−NH−R
9、(CH
2)
r−COR
9、及び(CH
2)
r−C(O)NR
9R
10から選択される。
【0075】
好適には、R
2は、R
9、OR
9、CO
2R
9、NR
9R
10、NH−C(O)−R
9、O−(CH
2)
s−NH−C(O)−R
9、O−(CH
2)
s−C(O)−NH−R
9、COR
9、及びC(O)NR
9R
10から選択される。
【0076】
好適には、R
2は、R
9、OR
9、CO
2R
9、O−(CH
2)
s−NH−C(O)−R
9、O−(CH
2)
s−C(O)−NH−R
9、COR
9、及びC(O)NR
9R
10から選択される。
【0077】
好適には、R
2は、R
9、O−(CH
2)
s−NH−C(O)−R
9、及びO−(CH
2)
s−C(O)−NH−R
9から選択される。
【0078】
一部の実施形態では、R
2は、Hである。
【0079】
R
3
好適には、R
3は、H、C
1−6アルキル、及びCH
2Phから選択される。
【0080】
好適には、R
3は、H、メチル、エチル、及びCH
2Phから選択される。
【0081】
より好適には、R
3は、メチル及びエチルから選択される。
【0082】
より好適には、R
3は、メチルである。
【0083】
R
4
R
4は、最大3個の任意の置換基で置換されていてもよい、フェニル及びC
5−9ヘテロアリール基から選択される。それゆえ、R
4について選択されるフェニル基又はC
5−9ヘテロアリール基のいずれも、最大3個の任意の置換基で置換されていてもよい。
【0084】
好適には、R
4は、OH、C
1−6アルキル、OC
1−6アルキル、(CH
2)
j−CO
2R
11、O−(CH
2)
k−NR
11R
12、(CH
2)
j−NR
11R
12、C(=O)−NH−(CH
2)
k−NR
11R
12、C(=O)−NH−R
24、及びC(=O)−NH−(CH
2)
k−C(=NH)NR
11R
12から選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよい、フェニル、ピロリル、N−メチルピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、N−メチルベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、及びベンゾチアゾリルから選択される。
【0085】
好適には、R
4は、OH、C
1−6アルキル、OC
1−6アルキル、(CH
2)
j−CO
2R
11、O−(CH
2)
k−NR
11R
12、(CH
2)
j−NR
11R
12、C(=O)−NH−(CH
2)
k−NR
11R
12、C(=O)−NH−R
24、及びC(=O)−NH−(CH
2)
k−C(=NH)NR
11R
12から選択される1個又は2個の任意の置換基で置換されていてもよい、フェニル、ピロリル、N−メチルピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、N−メチルベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、及びベンゾチアゾリルから選択される。
【0086】
好適には、R
4は、OH、C
1−6アルキル、OC
1−6アルキル、(CH
2)
j−CO
2R
11、O−(CH
2)
k−NR
11R
12、(CH
2)
j−NR
11R
12、C(=O)−NH−(CH
2)
k−NR
11R
12、C(=O)−NH−R
24、及びC(=O)−NH−(CH
2)
k−C(=NH)NR
11R
12から選択される1個又は2個の任意の置換基で置換されていてもよい、フェニル、N−メチルピロリル、チオフェニル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾチオフェニル、N−メチルベンゾイミダゾリル、及びベンゾチアゾリルから選択される。
【0087】
好適には、R
4は、OH、C
1−6アルキル、OC
1−6アルキル、(CH
2)
j−CO
2R
11、O−(CH
2)
k−NH
2、(CH
2)
j−NH
2、C(=O)−NH−(CH
2)
k−NH
2、C(=O)−NH−R
24、及びC(=O)−NH−(CH
2)
k−C(=NH)NH
2から選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよい。
【0088】
好適には、R
4は置換されていてもよいC(=O)−NH−R
24であり、R
24は−C
6H
4−(CH
2)
j−R
18であり、フェニレン基−C
6H
4−はパラ置換されている。
【0089】
好適には、R
4は、OH、メチル、エチル、OCH
3、OCH
2CH
3、CO
2H、CO
2CH
3、CO
2CH
2CH
3、O−(CH
2)
k−NH
2、及び(CH
2)
j−NH
2から選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよい。
【0090】
好適には、R
4は、1個又は2個の任意の置換基で置換されていてもよい。
【0091】
より好適には、R
4は、1個の任意の置換基で置換されていてもよい。
【0092】
より好適には、R
4は:
【0093】
【化9】
【0094】
から選択され、
式中、Z
1は、NH、N−CH
3、S、及びOから選択され;
Z
2は、CH及びNから選択され;
Z
3は、S及びOから選択され;
Z
4は、CH及びNから選択され;
R
22は、(CH
2)
jCO
2R
11、(CH
2)
jNR
11R
12、及びC(=O)−NH−C
6H
4−(CH
2)
j−R
18から選択され;
R
18は、CO
2R
11及びNR
11R
12から選択され;
jは、0〜6の整数から選択され;
R
11及びR
12は独立して、H及びC
1−6アルキルから選択され;
R
23は、H及びC
1−6アルキルから選択される。
【0095】
波線は、式(I)の化合物の残りの部分への上記R
4基の結合点を示す。
【0096】
より好適には、R
4は:
【0097】
【化10】
【0098】
から選択され、
式中、Z
1は、NH、N−CH
3、S、及びOから選択され;
Z
2は、CH及びNから選択され;
Z
3は、S及びOから選択され;
Z
4は、CH及びNから選択され;
R
11は、H及びC
1−6アルキルから選択され;
R
23は、H及びC
1−6アルキルから選択される。
【0099】
R
5及びR
6
(iii)について好適には、R
5はHであり、かつR
6はO−CH
3及びO−CH
2CH
3から選択されるOC
1−6アルキルである。
【0100】
最も好適には、(i)R
5及びR
6は、一緒になって二重結合を形成する。
【0101】
R
7
好適には、R
7は、H、C
1−12アルキル、C
5−9ヘテロアリール、C
6−15ヘテロアリールアルキル、フェニル、ベンジル、及びフェネチルから選択され;ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、フェニル、及びアラルキル基は、C
1−6アルキル、OH、及びOC
1−6アルキルから選択される最大3個の基で置換されていてもよい。
【0102】
好適には、R
7は、H、C
1−12アルキル、ピロリル、N−メチルピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、インドリル、N−メチルインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、N−メチルベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ピロール−3−イルメチル、ピロール−4−イルメチル、イミダゾール−2−イルメチル、イミダゾール−4−イルメチル、チオフェン−3−イルメチル、フラン−3−イルメチル、フェニル、ベンジル、及びフェネチルから選択され;ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、フェニル、及びアラルキル基は、C
1−6アルキル、OH、及びOC
1−6アルキルから選択される最大3個の基で置換されていてもよい。
【0103】
好適には、R
7は、H、C
1−6アルキル、ピロリル、N−メチルピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、インドリル、N−メチルインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、N−メチルベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ピロール−3−イルメチル、ピロール−4−イルメチル、イミダゾール−2−イルメチル、イミダゾール−4−イルメチル、チオフェン−3−イルメチル、フラン−3−イルメチル、フェニル、ベンジル、及びフェネチルから選択され;ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、フェニル、及びアラルキル基は、C
1−6アルキル、OH、及びOC
1−6アルキルから選択される最大3個の基で置換されていてもよい。
【0104】
好適には、R
7は、C
1−6アルキル、OH、及びOC
1−6アルキルから選択される最大3個の基で置換されていてもよい、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ピロリル、N−メチルピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、インドリル、N−メチルインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、N−メチルベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ピロール−3−イルメチル、ピロール−4−イルメチル、イミダゾール−2−イルメチル、イミダゾール−4−イルメチル、チオフェン−3−イルメチル、フラン−3−イルメチル、フェニル、ベンジル、及びフェネチルから選択される。
【0105】
好適には、R
7は、C
1−6アルキル、OH、及びOC
1−6アルキルから選択される最大3個の基で置換されていてもよい、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ピロリル、N−メチルピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、インドリル、N−メチルインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、N−メチルベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、フェニル、ベンジル、及びフェネチルから選択される。
【0106】
一部の実施形態では、R
7は、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチルから選択される。
【0107】
R
9
好適には、R
9は、H、C
1−12アルキル、C
5−9ヘテロアリール、C
6−15ヘテロアリールアルキル、フェニル、ベンジル、及びフェネチルから選択され;ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、フェニル、及びアラルキル基は、C
1−6アルキル、OH、及びOC
1−6アルキルから選択される最大3個の基で置換されていてもよい。
【0108】
好適には、R
9は、H、C
1−12アルキル、ピロリル、N−メチルピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、インドリル、N−メチルインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、N−メチルベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ピロール−3−イルメチル、ピロール−4−イルメチル、イミダゾール−2−イルメチル、イミダゾール−4−イルメチル、チオフェン−3−イルメチル、フラン−3−イルメチル、フェニル、ベンジル、及びフェネチルから選択され;ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、フェニル、及びアラルキル基は、C
1−6アルキル、OH、及びOC
1−6アルキルから選択される最大3個の基で置換されていてもよい。
【0109】
好適には、R
9は、H、C
1−6アルキル、ピロリル、N−メチルピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、インドリル、N−メチルインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、N−メチルベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ピロール−3−イルメチル、ピロール−4−イルメチル、イミダゾール−2−イルメチル、イミダゾール−4−イルメチル、チオフェン−3−イルメチル、フラン−3−イルメチル、フェニル、ベンジル、及びフェネチルから選択され;ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、フェニル、及びアラルキル基は、C
1−6アルキル、OH、及びOC
1−6アルキルから選択される最大3個の基で置換されていてもよい。
【0110】
好適には、R
9は、C
1−6アルキル、OH、及びOC
1−6アルキルから選択される最大3個の基で置換されていてもよい、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ピロリル、N−メチルピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、インドリル、N−メチルインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、N−メチルベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ピロール−3−イルメチル、ピロール−4−イルメチル、イミダゾール−2−イルメチル、イミダゾール−4−イルメチル、チオフェン−3−イルメチル、フラン−3−イルメチル、フェニル、ベンジル、及びフェネチルから選択される。
【0111】
好適には、R
9は、C
1−6アルキル、OH、及びOC
1−6アルキルから選択される最大3個の基で置換されていてもよい、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ピロリル、N−メチルピロリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、N−メチルイミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、インドリル、N−メチルインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、N−メチルベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、フェニル、ベンジル、及びフェネチルから選択される。
【0112】
一部の実施形態では、R
9は、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、及びt−ブチルから選択される。
【0113】
R
8、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
20、及びR
21
好適には、R
8、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
20、及びR
21の各々は独立して、H、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、及びt−ブチルから選択される。
【0114】
好適には、R
8、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
20、及びR
21の各々は独立して、H、メチル、及びエチルから選択される。
【0115】
好適には、R
8は、Hである。
【0116】
好適には、R
10は、Hである。
【0117】
好適には、各R
11は独立して、H及びメチルから選択される。
【0118】
好適には、各R
12は独立して、H及びメチルから選択され;より好適には、各R
12は、Hである。
【0119】
好適には、R
13は、Hである。
【0120】
好適には、R
14は、Hである。
【0121】
好適には、R
15は、Hである。
【0122】
好適には、R
16は、Hである。
【0123】
好適には、R
17は、メチルである。
【0124】
好適には、R
20は、Hである。
【0125】
好適には、R
21は、Hである。
【0126】
R
18
好適には、R
18は、CO
2H、CO
2CH
3、CO
2CH
2CH
3、NH(CH
3)、及びNH
2から選択される。
【0127】
R
19
好適には、R
19は、H、(CH
2)
t−N(CH
2CH
3)
2、(CH
2)
t−N(CH
3)
2、(CH
2)
t−NH(CH
2CH
3)、(CH
2)
t−NH(CH
3)、及び(CH
2)
t−NH
2から選択される。
【0128】
より好適には、R
19は、H及び(CH
2)
t−NH
2から選択される。
【0129】
R
24
好適には、R
24は、OH、メチル、エチル、プロピル、OCH
3、OCH
2CH
3、CO
2H、CO
2CH
3、CO
2CH
2CH
3、O−(CH
2)
k−NH
2、O−(CH
2)
k−NH(CH
3)、(CH
2)
j−NH
2、(CH
2)
j−NH(CH
3)、C(=O)−NH−(CH
2)
k−NH
2、C(=O)−NH−(CH
2)
k−NH(CH
3)、C(=O)−NH−(CH
2)
k−C(=NH)NH(CH
3)、及びC(=O)−NH−(CH
2)
k−C(=NH)NH
2から選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよい、フェニルである。
【0130】
好適には、R
24は、OH、メチル、エチル、OCH
3、OCH
2CH
3、CO
2H、CO
2CH
3、CO
2CH
2CH
3、O−(CH
2)
k−NH
2、及び(CH
2)
j−NH
2から選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよい、フェニルである。
【0131】
好適には、R
24は、パラ置換されているフェニル基である。
【0132】
より好適には、一部の態様では、R
24は−C
6H
4−(CH
2)
j−R
18であり、R
18はCO
2R
11及びNR
11R
12から選択される。
【0133】
j
jの各場合は独立して、0〜6の整数から選択され、それゆえ、各jは独立して、0、1、2、3、4、5、及び6から選択される。
【0134】
好適には、各jは独立して、0、1、2、及び3から選択される。
【0135】
より好適には、各jは独立して、0及び1から選択される。
【0136】
より好適には、各jは、0である。
【0137】
k
kの各場合は独立して、1〜6の整数から選択され、それゆえ、各kは独立して、1、2、3、4、5、及び6から選択される。
【0138】
好適には、各kは独立して、1、2、及び3から選択される。
【0139】
より好適には、各kは、1である。
【0140】
m
mは、0〜6の整数から選択され、それゆえ、mは、0、1、2、3、4、5、及び6から選択される。
【0141】
好適には、mは、0、1、2、及び3から選択される。
【0142】
より好適には、mは、0及び1から選択される。
【0143】
より好適には、mは、0である。
【0144】
n
nは、1〜6の整数から選択され、それゆえ、nは、1、2、3、4、5、及び6から選択される。
【0145】
好適には、nは、1、2、及び3から選択される。
【0146】
より好適には、nは、1である。
【0147】
r
rは、0〜6の整数から選択され、それゆえ、rは、0、1、2、3、4、5、及び6から選択される。
【0148】
好適には、rは、0、1、2、及び3から選択される。
【0149】
より好適には、rは、0及び1から選択される。
【0150】
より好適には、rは、0である。
【0151】
s
sは、1〜6の整数から選択され、それゆえ、sは、1、2、3、4、5、及び6から選択される。
【0152】
好適には、sは、1、2、及び3から選択される。
【0153】
より好適には、sは、1である。
【0154】
t
tは、0〜6の整数から選択され、それゆえ、tは、0、1、2、3、4、5、及び6から選択される。
【0155】
好適には、tは、0、1、2、及び3から選択される。
【0156】
より好適には、tは、0及び1から選択される。
【0157】
より好適には、tは、0である。
【0158】
Y
1
Y
1は、N又はCHである;好適には、Y
1は、CHである。
【0159】
Y
2
Y
2は、N又はCHである;好適には、Y
2は、CHである。
【0160】
X
1
好適には、X
1は、O、S、NH、CH
2、CH
2O、C(=O)、C(=O)NR
13、NR
13C(=O)、O−C(O)、及びC(O)−Oから選択される。
【0161】
好適には、X
1は、O、C(=O)、C(=O)NR
13、及びNR
13C(=O)から選択される。
【0162】
より好適には、X
1は、O、C(=O)NH、及びNHC(=O)から選択される。
【0163】
より好適には、X
1は、Oである。
【0164】
X
2
好適には、X
2は、O、S、NH、CH
2、CH
2O、C(=O)、C(=O)NR
15、NR
15C(=O)、O−C(O)、及びC(O)−Oから選択されるか、又は存在しない。
【0165】
好適には、X
2は、O、C(=O)、C(=O)NR
15、及びNR
16C(=O)から選択されるか、又は存在しない。
【0166】
より好適には、X
2は、O、C(=O)NH、及びNHC(=O)から選択される。
【0167】
好適には、X
2は、X
1と同じである。
【0168】
より好適には、X
2は、Oである。
【0169】
L
Lは、結合基である。好適には、ペプチド鎖、アルキレン鎖、パラホルムアルデヒド鎖、又はポリエチレングリコール鎖のいずれも、1個若しくは2個以上のヘテロ原子(例えばN、O、及びS)及び/又は1個若しくは2個以上のC
5−9ヘテロアリーレン基(例えばピロリレン、ピラゾリレン、ピラゾリレン、1,2,3−トリアゾリレン、ピリジニレン)及び/又は1個若しくは2個以上のフェニレン基により中断されている。より好適には、鎖は、1〜3個のヘテロ原子及び/又は1〜3個のC
5−9ヘテロアリーレン基及び/又は1〜3個のフェニレン基により中断されていてもよい。
【0170】
好適には、Lは、2〜5個のアミノ酸、2〜4個のアミノ酸、2〜3個のアミノ酸を有するペプチド鎖;1つ又は2つ以上の炭素−炭素二重結合又は三重結合を含有し得る、1〜11個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜9個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜7個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜5個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、1〜3個の炭素原子を含有するアルキレン鎖;パラホルムアルデヒド鎖−(OCH
2)
1−12−、−(OCH
2)
1−11−、−(OCH
2)
1−10−、−(OCH
2)
1−9−、−(OCH
2)
1−8−、−(OCH
2)
1−7−、−(OCH
2)
1−6−、−(OCH
2)
1−5−、−(OCH
2)
1−4−、−(OCH
2)
1−3−;ポリエチレングリコール鎖−(OCH
2CH
2)
1−5−、鎖−(OCH
2CH
2)
1−4−、鎖−(OCH
2CH
2)
1−3−から選択され;この鎖は、1個若しくは2個以上のヘテロ原子及び/又はC
5−9ヘテロアリーレン基及び/又は1〜3個のフェニレン基により中断されていてもよい。
【0171】
より好適には、Lは、1つ又は2つ以上の炭素−炭素二重結合又は三重結合を含有し得る、1〜12個の炭素原子を含有するアルキレン鎖から選択してもよい。
【0172】
より好適には、Lは、CH=CH、CH
2、CH
2CH
2、CH
2CH
2CH
2、CH
2CH
2CH
2CH
2、及びCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2から選択してもよい。
【0173】
A
一実施形態では、Aは、A1:
【0174】
【化11】
【0175】
であり、
式中、各A1基について、Y
3及びY
4の1つは独立して、N−R
17、S、及びOから選択され;Y
3及びY
4の他方は、CHであり;Y
5は独立して、CH、N、S、及びCOHから選択される。
【0176】
この実施形態では、qが2、3、4、5、及び6から選択される場合、Aは互いに接続された多数のA1基を含有する。
【0177】
それゆえ、Y
3、Y
4、及びY
5を含有する5員環は、ヘテロアリール環である。このA1基は、いずれかの方向で分子の残りの部分に結合してもよい。それゆえ、AがA1である場合、上記の実施形態におけるように、式(I)の化合物は:
【0178】
【化12】
(II) 及び
(III)
【0179】
から選択される。
【0180】
より好適には、AがA1である場合、式(I)の化合物は、化合物(II)である。
【0181】
それゆえ、Y
3、Y
4、及びY
5を含有するヘテロアリール環は、以下の基:
【0182】
【化13】
【0183】
の1つから選択される。
【0184】
より好適には、Aは、
【0185】
【化14】
【0186】
であり、
式中、Y
5は、CH及びNから選択される。
【0187】
別の実施形態では、Aは、A2:
【0188】
【化15】
【0189】
であり、
式中、各A2基について、Y
6及びY
7の1つは独立して、N及びCHから選択され;Y
6及びY
7の他方は、CHである。
【0190】
それゆえ、Y
6及びY
7を含有する6員環は、フェニル又はピリジニル環である。A2基は、いずれかの方向で分子の残りの部分に結合してもよい。それゆえ、AがA2である場合、上記の実施形態におけるように、式(I)の化合物は:
【0191】
【化16】
(IV) 及び
(V)
【0192】
から選択される。
【0193】
より好適には、AがA2である場合、式(I)の化合物は、化合物(IV)である。
【0194】
好適には、Aは、A4:
【0195】
【化17】
【0196】
である。
【0197】
より好適には、Y
6は、CHであり;Y
7は、CHである。
【0198】
q
好適には、qは、0、1、2、及び3から選択される。
【0199】
より好適には、qは、0又は1である。
【0200】
6員芳香環
好適には、式(I)の6員芳香環は、パラ置換され:
【0201】
【化18】
【0202】
ている。
【0203】
より好適には、式(I)の6員芳香環は:
【0204】
【化19】
【0205】
である。
【0206】
C環中の任意の二重結合
本発明は、式(I)の化合物:
【0207】
【化20】
(I)
【0208】
を提供し、
式中、点線は、C1とC2、C2とC3、及びC3とC4の1つ又は2つ以上の間に二重結合が存在していてもよいことを示す。
【0209】
一態様では、式(I)の化合物は、C1とC2との間に二重結合を有して、式(VI)の化合物:
【0210】
【化21】
(VI)
【0211】
を与える。
【0212】
別の態様では、式(I)の化合物は、C2とC3との間に二重結合を有して、式(VII)の化合物:
【0213】
【化22】
(VII)
【0214】
を与える。
【0215】
別の態様では、式(I)の化合物は、C3とC4との間に二重結合を有して、式(VIII)の化合物:
【0216】
【化23】
(VIII)
【0217】
を与える。
【0218】
別の態様では、式(I)の化合物は、C1とC2との間の二重結合、及びC3とC4との間の二重結合を有して、式(IX)の化合物:
【0219】
【化24】
(IX)
【0220】
を与える。
【0221】
他の制限
式(I)の化合物についての選択肢は、pが0であり、かつAがA1である場合:(a)少なくとも1つのA1基について、Y
3及びY
4の1つはS及びOから選択されるか;又は(b)少なくとも1つのA1基について、Y
5はSであるか;又は(c)R
4は置換されていてもよいピロリル又はイミダゾリルではないという条件を含有する。
【0222】
qが2、3、4、5、及び6から選択される場合、1つ超のA1基が存在する。
【0223】
それゆえ、pが0であり、かつAがA1である場合、条件は、5員ピロール若しくはイミダゾール環又は置換されていてもよい誘導体、例えばN−メチルピロール若しくはN−メチルイミダゾール環を含有しない(A1又はR
4のいずれかの部分としての)少なくとも1個のアリール基の存在、又はあるいは、ヘテロアリール基の存在を必要とする。その結果、この条件は、PDDに結合した純粋なポリ−ピロール又はポリ−イミダゾール又はポリ−ピロール−イミダゾール長鎖基を有する式(I)の化合物を防ぐ。かかる長鎖基を有する化合物は、比較的細胞毒性が乏しい傾向がある。
【0224】
一部の態様では、好適には、式(I)の化合物の選択肢は、pが0であり、かつAがA1である場合:(a)A1の5員環は、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、H19、H20、H21、H22、H23、及びH24から選択されるか;又は(b)A1の5員環は、H5及びH6から選択されるか;又は(c)R
4は、OH、C
1−6アルキル、OC
1−6アルキル、(CH
2)
j−CO
2R
11、O−(CH
2)
k−NR
11R
12、(CH
2)
j−NR
11R
12、C(=O)−NH−(CH
2)
k−NR
11R
12、C(=O)−NH−C
6H
4−(CH
2)
j−R
18、及びC(=O)−NH−(CH
2)
k−C(=NH)NR
11R
12から選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよい、フェニル、フラニル、チオフェニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、N−メチルベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、及びベンゾチアゾリルから選択されるという条件を含有する。
【0225】
一部の態様では、好適には、式(I)の化合物の選択肢は、pが0であり、かつAがA1である場合:(a)A1の5員環は、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15、H16、H17、H19、H20、H21、H22、H23、及びH24から選択されるか;又は(b)A1の5員環は、H5及びH6から選択されるか;又は(c)R
4は、OH、C
1−6アルキル、OC
1−6アルキル、(CH
2)
j−CO
2R
11、O−(CH
2)
k−NR
11R
12、(CH
2)
j−NR
11R
12、C(=O)−NH−(CH
2)
k−NR
11R
12、C(=O)−NH−C
6H
4−(CH
2)
j−R
18、C(=O)−NH−(CH
2)
k−C(=NH)NR
11R
12から選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよい、フェニル及びC
9ヘテロアリール基から選択されるという条件を含有し、ただし、C
5−9ヘテロアリールはインドリルではないことを条件とする。
【0226】
好適な構造
式(I)の化合物:
【0227】
【化25】
(I)
【0228】
は、C環のR
1及びR
2の位置を特定せずに描かれている。それゆえ、R
1及びR
2は、原子価必要条件を満たす限り、C環のいかなる位置にも存在することができる。C環の縮合炭素及び窒素は、全てのそれらの置換基を示されているので、このことは、R
1及びR
2は、C環の非縮合炭素(すなわち、上記に示されるC1、C2、C3、又はC4位)のいずれにも存在することができることを意味する。好適には、R
1及びR
2は、C環の2個の異なる非縮合炭素上に存在する。
【0229】
一態様では、式(I)の化合物は:
【0230】
【化26】
(X);
【0231】
【化27】
(XI); 及び
(XII)
【0232】
から選択される。
【0233】
別の態様では、式(I)の化合物は:
【0234】
【化28】
(XIII); 及び
(XIV)
【0235】
から選択される。
【0236】
より好適には、式(I)の化合物は、以下の構造:
【0237】
【化29】
(XV)
【0238】
を有する。
【0239】
R
1及び/又はR
2がH以外の置換基である式(XV)の化合物について、いかなるかかる置換基でも結合するC環の炭素は、立体中心になる。式(XV)において、R
1及びR
2は、それらが結合するC環上の炭素の立体化学を特定せずに描かれている。
【0240】
より好適には、式(I)の化合物は:
【0241】
【化30】
(XVI);
(XVII);
(XVIII); 及び
(XIX)
【0242】
から選択され、
式中、qは、0、1、2、3、4、5、又は6から選択され;
pは、0又は1であり;
Lは、1〜12個の炭素原子を含有するアルキレン鎖であり;
Y
1は、N又はCHであり;
Y
2は、N又はCHであり;Y
1及びY
2の少なくとも一方は、CHであり;
Y
5は、CH及びNから選択され;
Z
1は、O、S、NH、及びN−CH
3から選択され;
Z
2は、CH及びNから選択され;
Z
3は、S及びOから選択され;
Z
4は、CH及びNから選択され;
R
22は、(CH
2)
jCO
2H、(CH
2)
jCO
2C
1−6アルキル、(CH
2)
jNR
11R
12、及びC(=O)−NH−C
6H
4−(CH
2)
j−R
18から選択され;
R
18は、CO
2R
11及びNR
11R
12から選択され;
R
19は、H及び(CH
2)
t−NR
20R
21から選択され;
j及びtは独立して、0〜6の整数から選択され;
R
11、R
12、及びR
23は独立して、H及びC
1−6アルキルから選択され;
(i)R
5及びR
6は一緒になって二重結合を形成するか;
(ii)R
5はHであり、かつR
6はOHであるか;又は
(iii)R
5はHであり、かつR
6はOC
1−6アルキルであるか
のいずれかであり;
ただし、化合物が(XVI)であり、かつpが0である場合、Z
1は、O及びSから選択されることを条件とする。
【0243】
より好適には、式(I)の化合物は:
【0244】
【化31】
(XX);
(XXI);
(XXII); 及び
(XXIII);
【0245】
から選択され、
式中、qは、0、1、2、3、4、5、又は6から選択され;
pは、0又は1であり;
Lは、1〜12個の炭素原子を含有するアルキレン鎖であり;
Y
1は、N又はCHであり;
Y
2は、N又はCHであり;Y
1及びY
2の少なくとも一方は、CHであり;
Y
5は、CH及びNから選択され;
Z
1は、O、S、NH、及びN−CH
3から選択され;
Z
2は、CH及びNから選択され;
Z
3は、S及びOから選択され;
Z
4は、CH及びNから選択され;
R
19は、H及び(CH
2)
t−NR
20R
21から選択され;
tは、0〜6の整数から選択され;
R
11、R
20、R
21、及びR
23は独立して、H及びC
1−6アルキルから選択され;
(i)R
5及びR
6は一緒になって二重結合を形成するか;
(ii)R
5はHであり、かつR
6はOHであるか;又は
(iii)R
5はHであり、かつR
6はOC
1−6アルキルであるか
のいずれかであり;
ただし、化合物が(XX)であり、かつpが0である場合、Z
1は、O及びSから選択されることを条件とする。
【0246】
より好適には、式(I)の化合物は:
(a)メチル(S)−5−(4−(4−((2−メトキシ−12−オキソ−6a,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロベンゾ[e]ピリド−[1,2−a][1,4]ジアゼピン−3−イル)オキシ)ブタンアミド)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキサミド)ベンゾ−[b]チオフェン−2−カルボキシレート(13)
【0247】
【化32】
(13)
【0248】
(b)メチル(S)−5−(4−(4−((2−メトキシ−12−オキソ−6a,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロベンゾ[e]ピリド−[1,2−a][1,4]ジアゼピン−3−イル)オキシ)ブタンアミド)−1−メチル−1H−イミダゾール−2−カルボキサミド)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキシレート(17)
【0249】
【化33】
(17)
【0250】
(c)メチル(S)−4−(4−(4−(4−((2−メトキシ−12−オキソ−6a,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロベンゾ[e]−ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−3−イル)オキシ)ブタンアミド)−1−メチル−1H−イミダゾール−2−カルボキサミド)フェニル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキシレート(20)
【0251】
【化34】
(20)
【0252】
(d)メチル(S)−4−(4−(4−(4−((2−メトキシ−12−オキソ−6a,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロベンゾ[e]−ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−3−イル)オキシ)ブタンアミド)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキサミド)フェニル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキシレート(24)
【0253】
【化35】
(24)
【0254】
(e)メチル(S)−4−(4−(4−(4−((2−メトキシ−12−オキソ−6a,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロベンゾ[e]−ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−3−イル)オキシ)ブタンアミド)−ベンズアミド)フェニル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキシレート(28)
【0255】
【化36】
(28)
【0256】
(f)メチル(S)−5−(4−(4−((2−メトキシ−12−オキソ−6a,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロベンゾ[e]ピリド−[1,2−a][1,4]ジアゼピン−3−イル)オキシ)ブタンアミド)−ベンズアミド)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキシレート(30)
【0257】
【化37】
(30)
【0258】
(g)メチル(S)−4−(4−(4−((2−メトキシ−12−オキソ−6a,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロベンゾ[e]ピリド−[1,2−a][1,4]ジアゼピン−3−イル)オキシ)ブタンアミド)−1−メチル−1H−イミダゾール−2−カルボキサミド)−ベンゾエート(34)
【0259】
【化38】
(34)
【0260】
(h)メチル(S)−4−(4−(4−((2−メトキシ−12−オキソ−6a,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロベンゾ[e]ピリド−[1,2−a][1,4]ジアゼピン−3−イル)オキシ)ブタンアミド)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキサミド)−ベンゾエート(38)
【0261】
【化39】
(38)
【0262】
(i)(S)−N−(4−アミノフェニル)−4−(4−(4−(4−((2−メトキシ−12−オキソ−6a,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロベンゾ[e]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−3−イル)オキシ)ブタン−アミド)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキサミド)フェニル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキサミド(41)
【0263】
【化40】
(41)
【0264】
(j)(S)−N−(2−((4−アミノフェニル)カルバモイル)ベンゾ[b]チオフェン−5−イル)−4−(4−((2−メトキシ−12−オキソ−6a,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロベンゾ[e]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−3−イル)オキシ)−ブタンアミド)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキサミド(47)
【0265】
【化41】
(47)
【0266】
(k)メチル5−(4−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキサミド)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキシレート(62)
【0267】
【化42】
(62)
【0268】
(l)(S)−N−(4−アミノフェニル)−4−(6−((2−メトキシ−12−オキソ−6a,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロベンゾ[e]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−3−イル)オキシ)ヘキサン−アミド)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキサミド(66)
【0269】
【化43】
(66)
【0270】
及び
(m)(S)−N−(2−アミノエチル)−4−(4−(4−(4−((2−メトキシ−12−オキソ−6a,7,8,9,10,12−ヘキサヒドロベンゾ[e]ピリド[1,2−a][1,4]ジアゼピン−3−イル)オキシ)ブタンアミド)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキサミド)フェニル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボキサミド(68)
【0271】
【化44】
(68)
【0272】
から選択される。
【0273】
さらなる態様では、式(I)の化合物:
【0274】
【化45】
(I)
【0275】
並びにその塩及び溶媒和物が提供され、式中、
点線は、C1とC2、C2とC3、及びC3とC4の1つ又は2つ以上の間に二重結合が存在していてもよいことを示し;
R
1は、R
7、=CH
2、=CH−(CH
2)
m−CH
3、=O、(CH
2)
m−OR
7、(CH
2)
m−CO
2R
7、(CH
2)
m−NR
7R
8、O−(CH
2)
n−NR
7R
8、NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−NH−C(O)−R
7、O−(CH
2)
n−C(O)−NH−R
7、(CH
2)
m−SO
2R
7、O−SO
2R
7、(CH
2)
m−C(O)R
7、及び(CH
2)
m−C(O)NR
7R
8から選択され;
R
2は、R
9、=CH
2、=CH−(CH
2)
r−CH
3、=O、(CH
2)
r−OR
9、(CH
2)
r−CO
2R
9、(CH
2)
r−NR
9R
10、O−(CH
2)
s−NR
9R
10、NH−C(O)−R
9、O−(CH
2)
s−NH−C(O)−R
9、O−(CH
2)
s−C(O)−NH−R
9、(CH
2)
r−SO
2R
9、O−SO
2R
9、(CH
2)
r−COR
9、及び(CH
2)
r−C(O)NR
9R
10から選択され;
R
3は、H、C
1−12アルキル、及びCH
2Phから選択され;
R
4は、OH、C
1−6アルキル、OC
1−6アルキル、(CH
2)
j−CO
2R
11、O−(CH
2)
k−NR
11R
12、(CH
2)
j−NR
11R
12、C(=O)−NH−(CH
2)
k−NR
11R
12、C(=O)−NH−C
6H
4−(CH
2)
j−R
18、及びC(=O)−NH−(CH
2)
k−C(=NH)NR
11R
12から選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよい、フェニル及びC
5−9ヘテロアリール基から選択され;
R
19は、H及び(CH
2)
t−NR
20R
21から選択され;
Y
1は、N又はCHであり;Y
2は、N又はCHであり;Y
1及びY
2の少なくとも一方は、CHであり;
pは、0又は1であり;j、m、r、及びtは独立して、0〜6の整数から選択され;
k、n、及びsは独立して、1〜6の整数から選択され;
X
1は、O、S、NR
13、CR
13R
14、CR
13R
14O、C(=O)、C(=O)NR
13、NR
13C(=O)、O−C(O)、及びC(O)−Oから選択され;
Lは、アミノ酸、2〜6個のアミノ酸を有するペプチド鎖、1つ又は2つ以上の炭素−炭素二重結合又は三重結合を含有し得る1〜12個の炭素原子を含有するアルキレン鎖、パラホルムアルデヒド鎖−(OCH
2)
1−12−、ポリエチレングリコール鎖−(OCH
2CH
2)
1−6−から選択され、これらの鎖は、O、S、及び/若しくはNH基、並びに/又はC
3−9ヘテロアリーレン、並びに/又はフェニレンの1つ又は2つ以上により中断されていてもよく;
X
2は、O、S、NR
15、CR
15R
16、CR
15R
16O、C(=O)、C(=O)NR
15、NR
15C(=O)、O−C(O)、及びC(O)−Oから選択されるか、又は存在せず;
qは、0、1、2、3、4、5、及び6から選択され;
Aは:
【0276】
【化46】
【0277】
から選択され、
各A1基について、Y
3及びY
4の1つは独立して、N−R
17、S、及びOから選択され;Y
3及びY
4の他方は、CHであり;Y
5は独立して、CH、N、S、及びCOHから選択され;
各A2基について、Y
6及びY
7の1つは独立して、N及びCHから選択され;Y
6及びY
7の他方は、CHであり;
R
7及びR
9は独立して、H、C
1−12アルキル、C
5−9ヘテロアリール、C
6−15ヘテロアリールアルキル、フェニル、及びC
7−12アラルキル基から選択され;ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、フェニル、及びアラルキル基は、C
1−6アルキル、OH、及びOC
1−6アルキルから選択される最大3個の任意の置換基で置換されていてもよく;
R
18は、CO
2R
11及びNR
11R
12から選択され;
R
8、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
20、及びR
21は独立して、H及びC
1−6アルキルから選択され;
(i)R
5及びR
6は一緒になって二重結合を形成するか;又は(ii)R
5はHであり、かつR
6はOHであるか;又は(iii)R
5はHであり、かつR
6はOC
1−6アルキルであるか
である。
【0278】
用途
本発明は、増殖性疾患の治療において用途を見出す。
【0279】
ある特定の態様では、増殖性疾患の治療方法であって、対象に治療的有効量の式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物、又は式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物を含む組成物を投与することを含む方法が提供される。
【0280】
ある特定の態様では、増殖性疾患の治療方法であって、対象に式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物を含む治療的有効量の標的化コンジュゲートを投与することを含む方法が提供される。
【0281】
ある特定の態様では、増殖性疾患の治療方法であって、対象に式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物を含む治療的有効量の抗体−薬物コンジュゲートを投与することを含む方法が提供される。
【0282】
「増殖性疾患」という用語は、所望されない過剰な又は異常な細胞の、不必要な又は無制御な細胞増殖、例えばインビトロかインビボかにかかわらず、新生物性増殖又は過形成性増殖を指す。増殖性状態の例として、新生物及び腫瘍(例えば組織球腫、神経膠腫、星状細胞腫、骨腫)、がん(例えば肺がん、小細胞肺がん、肝細胞がん、胃腸がんを含む胃がん、腸がん、結腸がん、肝細胞腫、乳がん、神経膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、食道がん、口腔がん、前立腺がん、精巣がん、肝臓がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜癌又は子宮癌、子宮がん、唾液腺癌、腎臓がん又は腎がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝癌、肛門癌、陰茎癌、頭頸部がん、膀胱がん、膵臓がん、脳がん、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、黒色腫)、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害(例えば結合組織の)、並びにアテローム性動脈硬化症を含むが、これらに限定されない、良性、前悪性、及び悪性細胞増殖が挙げられるが、これらに限定されない。好適には、増殖性疾患は、膀胱がん、骨がん、腸がん、脳がん、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、頭頸部がん、白血病、肝臓がん、肺がん、リンパ腫、黒色腫、食道がん、口腔がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、直腸がん、腎がん、網膜芽細胞腫、肉腫、皮膚がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、及び子宮がんから選択される。好適には、増殖性疾患は、乳がん及び子宮頸がんから選択される。
【0283】
骨、眼、頭頸部、肺、胃腸(例えば口腔、食道、腸、結腸を含む)、胸部(乳房)、子宮頸部、卵巣、子宮、前立腺、肝臓(肝)、腎臓(腎)、膀胱、膵臓、脳、及び皮膚を含むが、これらに限定されない、いかなる種類の細胞も治療することができる。
【0284】
当業者は、いかなる特定の細胞種についても、候補化合物が増殖性状態を治療するかどうかを容易に決定することができる。
【0285】
好適には、対象は、ヒト、家畜動物、及びペット動物である。
【0286】
さらなる態様では、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物は、標的化コンジュゲートを提供するために、標的化剤(例えば抗体、抗体断片、ホルモン等)に直接的又は間接的に結合してもよい。本開示の標的コンジュゲートは、1つ又は多数の式(I)の化合物(又はその塩及び溶媒和物)を含有し得る。様々な標的コンジュゲートは、本分野で公知であり、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物と共に使用することができる。例えば、特定の態様では、標的コンジュゲートは、抗体−薬物コンジュゲートであり、1つ又は2つ以上の式(I)の化合物は、抗体に直接的又は間接的に結合される。それゆえ、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物は、標的化コンジュゲート上のペイロードとして使用することができる。
【0287】
好適には、標的化コンジュゲート中の薬物としての使用のための、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物は、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物を、標的化剤に直接的に又は任意の結合基を介して結合することにより調製される。好適には、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物は、結合基を介して標的化剤に結合される。好適には、標的化コンジュゲートは、疾患の、より具体的には増殖性疾患の治療における使用のためである。好適には、薬物は、それが含有するいかなる好適な官能基によっても、標的化剤に直接的に又は結合基を介して結合することができる。典型的には、薬物は、薬物を標的化剤に直接的に又は結合基を介して結合するための、1個又は2個以上の官能基、例えばアミン、ヒドロキシル、又はカルボン酸基を含有するか、又は含有するように改変してもよい。一部の態様では、式(I)の化合物の1個又は2個以上の原子又は基は、薬物の抗体への結合中に除去され得る。一部の態様では、標的化剤は、細胞表面受容体又は腫瘍関連抗原に結合する。一部の態様では、標的化剤は、抗体である。一部の態様では、標的化剤は、ホルモンである。一部の態様では、標的化剤は、タンパク質である。一部の態様では、標的化剤は、ポリペプチドである。一部の態様では、標的化剤は、小分子(例えば葉酸)である。
【0288】
式(I)の化合物は、抗体又は抗体断片のペイロードとしての用途を見出す。式(I)の化合物は、抗体又は抗体断片へのコンジュゲーションを容易に可能にする。
【0289】
抗体薬物コンジュゲート
抗体療法は、がん、免疫学的障害及び血管新生性障害を有する患者の標的化治療のために確立されている(Carter, P. (2006) Nature Reviews Immunology 6:343-357)。抗体−薬物コンジュゲート(ADC,antibody-drug conjugate)、すなわち、イムノコンジュゲートの、細胞毒性剤又は細胞分裂阻害剤、すなわち、がんの治療において腫瘍細胞を殺傷又は阻害するための薬物の局所的送達のための使用は、薬物部分の腫瘍への送達及び腫瘍内での細胞内蓄積を目的とする一方、これらのコンジュゲートされていない薬剤の全身性投与は正常細胞への許容できない毒性レベルをもたらし得る(Xie et al (2006) Expert. Opin. Biol. Ther. 6(3):281 -291、Kovtun ef a/ (2006) Cancer Res. 66(6):3214-3121、Law et al (2006) CancerRes. 66(4):2328-2337、Wu et al (2005) Nature Biotech. 23(9): 1 137-1 145、Lambert J. (2005) Current Opin. in Pharmacol. 5:543-549、Hamann P. (2005) Expert Opin. Ther. Patents 15(9): 1087-1 103、Payne, G. (2003) Cancer Cell 3:207-212、Trail ef a/ (2003) Cancer Immunol. Immunother. 52:328-337、Syrigos and Epenetos (1999) Anticancer Research 19:605-614)。
【0290】
最小限の毒性での最大効力は、これにより求められる。ADCを設計及び改良する努力は、モノクローナル抗体(mAb,monoclonal antibody)の選択性、並びに薬物活性機構、薬物結合、薬物/抗体比(ローディング)、及び薬物放出特性に集中している(Junutula, et al., 2008b Nature Biotech., 26(8):925-932、Doman et al., (2009) Blood 114(13):2721 -2729、米国特許第7521541号明細書、同第7723485号明細書、国際公開第2009/052249号パンフレット、McDonagh (2006) Protein Eng. Design & Sel. 19(7): 299-307、Doronina et al., (2006) Bioconj. Chem. 17:114-124、Erickson et al., (2006) CancerRes. 66(8): 1-8、et al., (2005) Clin. CancerRes. 1 1 :843-852、Jeffrey et al., (2005) J. Med. Chem. 48:1344-1358、Hamblett et al., (2004) Clin. Cancer Res. 10:7063- 7070)。
【0291】
一部の態様では、本発明は、抗体−薬物コンジュゲートにおける薬物としての使用のための、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物に関する。好適には、抗体−薬物コンジュゲートにおける薬物としての使用のための、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物は、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物を、抗体に直接的に又は任意の結合基を介して結合することにより調製される。好適には、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物は、結合基を介して抗体に結合される。好適には、抗体−薬物コンジュゲートは、疾患の、より具体的には増殖性疾患の治療における使用のためである。好適には、抗体−薬物コンジュゲートは、疾患の、より具体的には増殖性疾患の治療における使用のためである。好適には、薬物は、それが含有するいかなる好適な官能基によっても、抗体に直接的に又は結合基を介して結合することができる。典型的には、薬物は、薬物を抗体に直接的に又は結合基を介して結合するための、1個又は2個以上の官能基、例えばアミン、ヒドロキシル、又はカルボン酸基を含有するか、又は含有するように改変してもよい。一部の態様では、抗体薬物コンジュゲートの抗体は、抗体断片、例えば非限定的に単鎖抗体である。一部の態様では、式(I)の化合物の1個又は2個以上の原子又は基は、薬物の抗体への結合中に除去され得る。一部の態様では、抗体は、細胞表面受容体又は腫瘍関連抗原に結合する。
【0292】
一部の態様では、本発明は、抗体−薬物コンジュゲートにおける薬物としての、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物の使用に関する。好適には、抗体−薬物コンジュゲートにおける薬物としての、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物の使用は、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物を、抗体に直接的に又は任意の結合基を介して結合することにより達成される。好適には、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物は、結合基を介して抗体に結合される。好適には、抗体−薬物コンジュゲートは、疾患の、より具体的には増殖性疾患の治療における使用のためである。好適には、薬物は、それが含有するいかなる好適な官能基によっても、抗体に直接的に又は結合基を介して結合することができる。典型的には、薬物は、薬物を抗体に直接的に又は結合基を介して結合するための、1個又は2個以上の官能基、例えばアミン、ヒドロキシル、又はカルボン酸基を含有するか、又は含有するように改変してもよい。一部の態様では、抗体薬物コンジュゲートの抗体は、抗体断片、例えば非限定的に単鎖抗体である。一部の態様では、式(I)の化合物の1個又は2個以上の原子又は基は、薬物の抗体への結合中に除去され得る。一部の態様では、抗体は、細胞表面受容体又は腫瘍関連抗原に結合する。
【0293】
式(I)の化合物の置換基は、DNA配列と相互作用してもよく、特異的配列を標的とするように選択してもよい。特に、式(I)の化合物における以下の基:
【0294】
【化47】
【0295】
は、特異的配列を標的とするために選択することができる。それゆえ、置換基がこのように適合される場合、式(I)の化合物は、標的化化学療法における用途を見出す。
【0296】
抗体及び抗体断片
「抗体」という用語は具体的には、所望の生物学的活性、例えば標的細胞又は組織上の所望の抗原に結合する能力を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、インタクトな抗体、及び抗体断片を包含する。抗体は、マウス、ヒト、ヒト化、キメラであるか、又は他の種由来であってもよい。抗体は、特定の抗原を認識し、これに結合することができる免疫系により発生されるタンパク質である(Janeway, C, Travers, P., Walport, M., Shlomchik (2001) Immuno Biology, 5th Ed., Garland Publishing, New York)。標的抗原は一般的に、抗体上のCDRにより認識される、エピトープとも呼ばれる多くの結合部位を有する。異なるエピトープに特異的に結合する各抗体は、異なる構造を有する。したがって、1つの抗原は、1つ超の対応する抗体を有し得る。抗体は、全長イムノグロブリン分子、又は全長イムノグロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、所望の標的の抗原若しくはその部分に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を含み、かかる標的として、がん細胞又は自己免疫疾患と関連付けられる自己免疫抗体を生成する細胞が挙げられるが、これらに限定されない。イムノグロブリンは、イムノグロブリン分子のいかなる種類(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)若しくはサブクラス、又はアロタイプ(例えばヒトG1m1、G1m2、G1m3、非G1m1[G1m1以外のいずれかのアロタイプであるもの]、G1m17、G2m23、G3m21、G3m28、G3m11、G3m5、G3m13、G3m14、G3m10、G3m15、G3m16、G3m6、G3m24、G3m26、G3m27、A2m1、A2m2、Km1、Km2、及びKm3)のものであってもよい。イムノグロブリンは、ヒト、マウス、又はウサギ起源を含む、いかなる種に由来してもよい。
【0297】
本明細書で使用されるとき、「エピトープに結合する」は、抗体が、ウシ血清アルブミン(BSA,Bovine Serum Albumin、Genbank受託番号CAA76847、バージョン番号CAA76847.1 Gl:3336842、記録更新日2011年1月7日午後2時30分)等の非特異的パートナーより高いアフィニティでエピトープに結合することを意味するために使用される。一部の実施形態では、抗体は、生理学的条件下で測定した場合、BSAについての抗体の結合定数より少なくとも2、3、4、5、10、20、50、100、200、500、1000、2000、5000、10
4、10
5、又は10
6倍高い結合定数(Ka)でエピトープに結合する。
【0298】
「抗体断片」という用語は、全長抗体の一部、例えばその抗原結合領域又は可変領域を指す。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びscFv断片;二重特異性抗体;直鎖抗体;Fab発現ライブラリにより生成した断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域,complementary determining region)、単鎖抗体分子;並びに標的抗原、例えばがん細胞抗原、ウイルス抗原、又は微生物抗原に免疫特異的に結合する上記のもののいずれかの抗体断片及びエピトープ結合断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用されるとき、実質的に同種の抗体の集団から得られた抗体を指す、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る、可能性のある天然の突然変異を除いては、同一である。モノクローナル抗体は、特異性が高く、単一の抗原性部位を対象としている。さらに、様々な決定基(エピトープ)を対象とする様々な抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基又はエピトープを対象とする。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の抗体で汚染されずに合成され得る点で有利である。「モノクローナルの」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の生成を要するとは解釈されるべきでない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al (1975) Nature 256:495により最初に説明されたハイブリドーマ法により作製することができるか、又は組換えDNA法により作製することができる(米国特許第4816567号明細書を参照のこと)。また、モノクローナル抗体は、Clackson et al (1991) Nature, 352:624-628、Marks et al (1991) J. Mol. Biol., 222:581-597で説明される技術を使用してファージ抗体ライブラリから、又は完全なヒトイムノグロブリン系を有するトランスジェニックマウスから(Lonberg (2008) Curr. Opinion 20(4):450-459)単離することができる。
【0299】
モノクローナル抗体を含む抗体は、本明細書で具体的に、抗体構造の一部、例えば重鎖及び/又は軽鎖が特定の種に由来するか、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同である一方で、鎖(複数可)の残りの部分は別の種に由来するか、又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同である、「キメラ」抗体、並びに所望の生物学的活性を示す限り、かかる抗体の断片を含む(米国特許第4816567号明細書、及びMorrison et al (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81 :6851 -6855)。キメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えば旧世界ザル又はサル)に由来する可変ドメイン抗原結合配列、及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む。本明細書における「インタクトな抗体」(intact antibody)は、VL及びVHドメイン、並びに軽鎖定常ドメイン(CL,light chain constant domain)及び重鎖定常ドメイン(heavy chain constant domain)、CH1、CH2、及びCH3を含む、抗体である。定常ドメインは、ネイティブ配列定常ドメイン(例えばヒトネイティブ配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変形であり得る。インタクトな抗体は、抗体のFc領域(ネイティブ配列Fc領域又はアミノ酸配列変形Fc領域)に起因することができるそれらの生物学的活性を指す、1つ又は2つ以上の「エフェクター機能」を有し得る。抗体エフェクター機能の例として、C1 q結合;補体依存性細胞毒性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞仲介細胞毒性(ADCC,antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity);食作用;並びに細胞表面受容体、例えばB細胞受容体及びBCRのダウンレギュレーションが挙げられる。
【0300】
本明細書で開示される抗体は、改変することができる。例えば、それらをヒト対象に対して、より免疫原性でなくするためである。これは、ヒト化等の、当業者によく知られているいくつかの技術のいずれかを使用して達成することができる。
【0301】
投与及び用量
式Iの化合物は、単独で、又は1つの若しくは別のものとの、若しくは式Iの化合物とは異なる1つ若しくは2つ以上の薬理学的に活性な化合物との組合せで、投与することができる。
【0302】
本発明の化合物は好適に、様々な構成成分と混合されて、本発明の組成物を生成し得る。好適には、本組成物は、薬学的に許容される担体又は希釈剤と混合されて、医薬組成物(ヒト又は動物使用のためであり得る)を生成する。好適な担体及び希釈剤は、等張生理食塩水、例えばリン酸緩衝食塩水を含む。有用な医薬組成物及びそれらの調製方法は、標準の医薬のテキストで見ることができる。例えば、Handbook for Pharmaceutical Additives, 3rd Edition (eds. M. Ash and I. Ash), 2007 (Synapse Information Resources, Inc., Endicott, New York, USA)及びRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition (ed. D. B. Troy) 2006 (Lippincott, Williams and Wilkins, Philadelphia, USA)を参照されたい。当該文献は、参照により本明細書に組み込む。
【0303】
本発明の化合物は、いかなる好適な経路によっても投与することができる。好適には、本発明の化合物は通常、経口で、又はいかなる非経口経路によっても、活性成分を含む医薬調製物の形態で、非毒性有機若しくは無機酸又は塩基添加塩の形態であってもよく、薬学的に許容される投与形態で、投与される。
【0304】
本発明の化合物、それらの薬学的に許容される塩、及びいずれかの実体の薬学的に許容される溶媒和物は、単独で投与され得るが、一般的には意図される投与経路及び標準の医薬の実施に関して選択される好適な医薬賦形剤、希釈剤、又は担体との混合物で投与される。
【0305】
例えば、本発明の化合物又はその塩若しくは溶媒和物は、即時放出、遅延放出、調節放出、維持放出、制御放出、又は拍動性送達適用のために、香味又は着色剤を含有し得る、錠剤、カプセル(軟性ゲルカプセルを含む)、膣坐剤、エリキシル剤、溶液、又は懸濁液の形態で、経口にて、口腔にて、又は舌下にて投与することができる。また、本発明の化合物は、急速分散又は急速溶解投与形態により投与することができる。
【0306】
かかる錠剤は、賦形剤、例えば微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、及びグリシン;崩壊剤、例えばデンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ、又はタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、及びある特定のケイ酸塩複合体;並びに造粒結合剤、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC,hydroxypropylmethyl cellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC,hydroxypropylcellulose)、ショ糖、ゼラチン、及びアカシアを含有し得る。加えて、潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、及びタルクが含まれ得る。
【0307】
また、同様の種類の固体組成物は、ゼラチンカプセル中の充填剤として使用することができる。この点で好ましい賦形剤は、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖、又は高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁液及び/又はエリキシル剤については、本発明の化合物は、様々な甘味又は香味剤、着色料又は色素と、乳化剤及び/又は懸濁剤と、並びに希釈剤、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、及びグリセリン、及びこれらの組合せと混合してもよい。
【0308】
調節放出及び拍動性放出投与形態は、賦形剤、例えば即時放出投与形態について詳述した賦形剤を、放出速度調節剤として働く追加の賦形剤と共に含有してもよく、これらはデバイスの本体上にコーティングされ、及び/又は本体内に含まれる。放出速度調節剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、カルボマー、アンモニオメタクリレートコポリマー、水素添加ヒマシ油、カルナウバ蝋、パラフィン蝋、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに排他的に限定されない。調節放出及び拍動性放出投与形態は、放出速度調節賦形剤の1つ又は組合せを含有し得る。放出速度調節賦形剤は、投与形態内に、すなわち、マトリックス内に、及び/又は投与形態上に、すなわち、表面若しくはコーティング上に存在してもよい。
【0309】
急速分散又は溶解投与製剤(FDDF,fast dispersing or dissolving dosage formulation)は、以下の成分:アスパルテーム、アセスルファムカリウム、クエン酸、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジアスコルビン酸、アクリル酸エチル、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、メタクリル酸メチル、ミント香味剤、ポリエチレングリコール、ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、デンプングリコール酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ソルビトール、及びキシリトールを含有し得る。
【0310】
また、本発明の化合物は、非経口で、例えば静脈内、動脈内に投与することができるか、又はそれらは、点滴技術により投与することができる。かかる非経口投与のために、それらは、他の物質、例えば溶液を血液と等張にするのに十分な塩又はグルコースを含有し得る滅菌水溶液の形態で使用されることが最善である。水溶液は、必要に応じて、好適に(好ましくは3〜9のpHに)緩衝されるべきである。滅菌条件下での好適な非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準の製薬技術により容易に達成される。
【0311】
好適には、本発明の製剤は、投与経路、例えば経口、静脈内等について最適化される。
【0312】
投与は、治療過程中に1用量で、連続で、又は間欠的で(例えば適切な間隔で分割された用量で)あってもよい。最も有効な手段及び投与量の決定方法は、当業者に周知であり、療法に使用される製剤、療法の目的、治療される標的細胞(複数可)、及び治療される対象により変化する。単回又は多数回の投与は、治療する医師、獣医師、又は臨床医により選択される用量レベル及び用量レジメンで行われ得る。
【0313】
治療される障害及び患者、並びに投与経路によって、組成物は、様々な用量で投与することができる。例えば、ヒト成人についての典型的な投与量は、1日当たり対象のkg体重当たり100ng〜25mg(好適には約1μg〜約10mg)であってもよい。
【0314】
好適には、ヒト対象の初期用量を見積もる場合、試験動物における研究から指針を得ることができる。例えば、特定の用量がマウスについて特定される場合、好適にはヒトの初期試験用量は、マウスに与えたmg/Kg値の約0.5倍〜2倍であってもよい。
【0315】
他の形態
別に指定しない限り、これらの置換基の周知のイオン性形態、塩形態、溶媒和物形態、及び保護形態が、上記に含まれる。また、例えば、カルボン酸(−COOH)についての言及は、そのアニオン性(カルボキシレート)形態(−COO
−)、その塩、又は溶媒和物、及び従来型保護形態を含む。同様に、アミノ基についての言及は、アミノ基のプロトン化形態(−N
+HR
1R
2)、塩、又は溶媒和物、例えば、塩酸塩、及びアミノ基の従来型保護形態を含む。また、同様に、ヒドロキシル基についての言及は、そのアニオン性形態(−O
−)、その塩、又は溶媒和物、及び従来型保護形態を含む。
【0316】
アイソマー、塩、及び溶媒和物
ある特定の化合物は、1つ又は2つ以上の特定の形状的、光学的、鏡像異性、ジアステレオ異性、エピマーの、アトロピックの、立体異性、互変異性、コンフォメーションの、又はアノマーの形態で存在してもよく、本明細書で後に集合的に「異性体」(又は「異性形」)と呼ばれる、シス及びトランス体;E及びZ体;c、t、及びr体;エンド及びエキソ体;R、S、及びメソ体;D及びL体;d及びl体;(+)及び(−)体;ケト、エノール、及びエノレート形;シン及びアンチ体;向斜及び背斜体;アルファ及びベータ体;アキシャル及びエクアトリアル体;舟形、いす形、ねじれ形、エンベロープ形、及び半いす形;並びにこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0317】
互変異性形について以下に説明されることを除いては、構造(又は構成的)異性体(すなわち、単に空間における原子位置によって異なるのではなく、原子間の接続において異なる異性体)は、本明細書で使用される「異性体」という用語から具体的に除外されることに留意されたい。例えば、メトキシ基、−OCH
3についての言及は、その構造的異性体、ヒドロキシメチル基、−CH
2OHについての言及とは解釈されるべきでない。
【0318】
あるクラスの構造についての言及は、そのクラスに入る構造的異性形を十分に含み得る(例えば、C
1−7アルキルは、n−プロピル及びイソ−プロピルを含み;ブチルは、n−、イソ−、sec−、及びtert−ブチルを含み;メトキシフェニルは、オルト−、メタ−、及びパラ−メトキシフェニルを含む)。
【0319】
上記除外は、例えば以下の互変異性ペア:ケト/エノール、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N−ニトロソ/ヒドロキシアゾ、及びニトロ/アシ−ニトロのように、互変異性形、例えばケト、エノール、及びエノレート形には適用しない。
【0320】
具体的には、1つ又は2つ以上の同位体置換を有する化合物は、「異性体」という用語に含まれることに留意されたい。例えば、Hは、
1H、
2H(D)、及び
3H(T)を含む任意の同位体形で存在し得る;Cは、
12C、
13C、及び
14Cを含む任意の同位体形で存在し得る;Oは、
16O及び
18Oを含む任意の異性体形で存在し得る;等。
【0321】
別に指定しない限り、特定の化合物についての言及は、それらの(全体的又は部分的)ラセミ体及び他の混合物を含む、全てのかかる異性形を含む。
【0322】
かかる異性形の調製(例えば不斉合成)及び分離(例えば分別結晶及びクロマトグラフィーによる手段)の方法は、本分野で公知であるか、又は公知の様式で本明細書にて教示される方法若しくは公知の方法を適合することにより容易に得られる。
【0323】
別に指定しない限り、また、特定の化合物についての言及は、例えば以下に説明するように、そのイオン性形態、塩形態、溶媒和物形態、及び保護形態を含む。
【0324】
一部の実施形態では、式(I)の化合物並びにその塩及び溶媒和物は、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩を含む。
【0325】
上記に具体的に指定される化合物を含む、式(I)の化合物は、薬学的に許容される複合体、塩、溶媒和物、及び水和物を形成し得る。これらの塩は、非毒性酸添加塩(二酸を含む)及び塩基塩を含む。
【0326】
化合物がカチオン性であるか、又はカチオン性であり得る官能基を有する(例えば−NH
2が−NH
3+であり得る)場合、酸添加塩は、好適なアニオンで形成することができる。好適な無機アニオンの例として、以下の無機酸:塩酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、硫酸、亜硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、リン酸、及び亜リン酸に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。好適な有機アニオンの例として、以下の有機酸:2−アセトキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、桂皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、及び吉草酸に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。好適なポリマー有機アニオンの例として、以下のポリマー酸:タンニン酸、カルボキシメチルセルロースに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。かかる塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、重硫酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチルスルホン酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、及びキシノホ酸塩を含む。
【0327】
例えば、化合物がアニオン性であるか、又はアニオン性であり得る官能基を有する(例えば−COOHが−COO
−であり得る)場合、塩基塩は、好適なカチオンで形成することができる。好適な無機カチオンの例として、金属カチオン、例えばアルカリ又はアルカリ土類金属カチオン、アンモニウム及び置換されているアンモニウムカチオン、並びにアミンが挙げられるが、これらに限定されない。好適な金属カチオンの例として、ナトリウム(Na
+)、カリウム(K
+)、マグネシウム(Mg
2+)、カルシウム(Ca
2+)、亜鉛(Zn
2+)、及びアルミニウム(Al
3+)が挙げられる。好適な有機カチオンの例として、アンモニウムイオン(すなわち、NH
4+)及び置換されているアンモニウムイオン(例えばNH
3R
+、NH
2R
2+、NHR
3+、NR
4+)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の好適な置換されているアンモニウムイオンの例は:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、並びにアミノ酸、例えばリジン及びアルギニンに由来するものである。通常の四級アンモニウムイオンの例は、N(CH
3)
4+である。好適なアミンの例として、アルギニン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、グリシン、リジン、N−メチルグルカミン、オラミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール、及びプロカインが挙げられる。有用な酸添加塩及び塩基塩の説明については、S. M. Berge et al., J. Pharm. Sci. (1977) 66:1-19を参照されたく、またStahl and Wermuth, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use (2011)を参照されたい。
【0328】
薬学的に許容される塩は、様々な方法を使用して調製することができる。例えば、式1の化合物を適切な酸又は塩基と反応させて、所望の塩を得ることができる。また、式1の化合物の前駆体を酸又は塩基と反応させて、酸若しくは塩基不安定保護基を除去するか、又は前駆体のラクトン若しくはラクタム基を開放することができる。加えて、適切な酸若しくは塩基での処理を通して、又はイオン交換樹脂との接触を通して、式1の化合物の塩を別の塩に変換することができる。反応後、その後、塩が溶液から沈殿した場合は濾過により、又は蒸発により塩を単離して、塩を回復することができる。塩のイオン化度は、完全にイオン化〜ほとんど非イオン化まで変動してもよい。
【0329】
活性化合物の対応する溶媒和物を調製、精製、及び/又は取り扱うことが、便利であるか、又は望ましい場合がある。「溶媒和物」という用語は、化合物及び1つ又は2つ以上の薬学的に許容される溶媒分子(例えばEtOH)を含む、分子複合体を表す。「水和物」という用語は、溶媒が水である溶媒和物である。薬学的に許容される溶媒和物は、溶媒が同位体置換されていてもよい(例えばD
2O、アセトン−d6、DMSO−d6)溶媒和物を含む。
【0330】
有機化合物の溶媒和物及び水和物の現在容認されている分類システムは、隔てられた部位、チャネル、及び金属イオン配位溶媒和物及び水和物間で区別するシステムである。例えばK. R. Morris (H. G. Brittain ed.) Polymorphism in Pharmaceutical Solids (1995)を参照のこと。隔てられた部位の溶媒和物及び水和物は、有機化合物分子が間に入ることにより溶媒(例えば水)分子が互いに直接的な接触から隔てられている溶媒和物及び水和物である。チャネル溶媒和物では、溶媒分子は格子チャネル内に位置し、そこでそれらは他の溶媒分子に隣接している。金属イオン配位溶媒和物では、溶媒分子は、金属イオンに結合する。
【0331】
溶媒又は水がしっかりと結合している場合、複合体は、湿度に依存しない、十分に定義された化学量論性を有する。しかしながら、チャネル溶媒和物及び吸湿性化合物におけるように、溶媒又は水が弱く結合している場合、水又は溶媒含有量は、湿度及び乾燥条件に依存する。かかる場合、非化学量論性が典型的に観察される。
【0332】
式Iの化合物は、PDDのイミン、カルビノールアミン、及びカルビノールアミンエーテル形を含む。求核性溶媒(H
2O、ROH)がPDD部分のイミン結合にわたり付加した場合、カルビノールアミン又はカルビノールアミンエーテルが形成される。これらの形態間のこれらの平衡のバランスは、化合物が発見される条件、及び部分それ自体の性質に依存する。
【0333】
これらの化合物は、例えば凍結乾燥により、固体形態で単離され得る。
【0334】
さらなる特定の、かつ好ましい態様は、付属の独立及び従属請求項中に示される。従属請求項の特徴は、適宜、独立請求項の特徴と組み合わせることができ、特許請求の範囲に明確に示されるもの以外の組合せであってもよい。
【0335】
合成計画
式(I)の化合物は、以下に説明する技術を使用して調製することができる。スキーム及び実施例の一部は、有機化学の分野の当業者に公知の、酸化、還元等を含む通常の反応、分離技術(抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、研和、結晶化等)、及び分析手順の詳細を省略している場合がある。かかる反応及び技術の詳細は、Richard Larock, Comprehensive Organic Transformations, A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Ed (2010)、及びMichael B. Smith and othersにより編集された多数巻のシリーズCompendium of Organic Synthetic Methods (1974 et seq.)を含む、いくつかの専門書で見ることができる。出発物質及び試薬は、市販の供給源から得てもよく、又は文献の方法を使用して調製してもよい。反応スキームの一部は、化学的変換から生じる少量の生成物(例えば、エステルの加水分解からのアルコール、二酸の脱炭酸からのCO
2等)を省略している場合がある。加えて、一部の場合、反応中間体は、単離又は精製を行わずに(すなわちその場で)、続くステップで使用することができる。
【0336】
以下の反応スキーム及び実施例の一部では、ある特定の化合物は、保護基を使用して調製することができ、これは、そうしなければ反応性である部位での望ましくない化学反応を防ぐ。また、保護基は、化合物の溶解性を向上させるか、又は別のように物性を改変するために使用することができる。保護基計画の考察、保護基の取り付け及び除去のための材料及び方法の説明、並びにアミン、カルボン酸、アルコール、ケトン、アルデヒド等を含む通常の官能基のために有用な保護基の編集については、T. W. Greene and P. G. Wuts, Protecting Groups in Organic Chemistry, 4th Edition, (2006)及びP. Kocienski, Protective Groups, 3rd Edition (2005)を参照のこと。
【0337】
一般的に、本明細書全体を通して説明する化学的変換は、実質的に化学量論量の反応物を使用して行うことができるが、ある特定の反応は、過剰な、反応物の1つ又は2つ以上を使用することから利益を得ることができる。加えて、本明細書全体を通して開示される反応の多くは、およそ室温(RT:room temperature)及び大気圧で行うことができるが、反応速度論、収率等によって、一部の反応は、高圧で行われるか、又はより高い温度(例えば還流条件)若しくはより低い温度(例えば−78℃〜0℃)を使用し得る。化学量論範囲、温度範囲、pH範囲等についての本開示におけるいかなる言及も、「範囲」という語を明確に使用しているかどうかにかかわらず、また、示される終点を含む。
【0338】
また、化学的変換の多くは、反応速度及び収率に影響し得る、1つ又は2つ以上の適合性の溶媒を使用し得る。反応物の性質によって、1つ又は2つ以上の溶媒は、極性プロトン性溶媒(水を含む)、極性非プロトン性溶媒、非極性溶媒、又は一部の組合せであってもよい。代表的な溶媒として、飽和脂肪族炭化水素(例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン);芳香族炭化水素(例えばベンゼン、トルエン、キシレン);ハロゲン化炭化水素(例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素);脂肪族アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール、ブタン−1−オール、2−メチル−プロパン−1−オール、ブタン−2−オール、2−メチル−プロパン−2−オール、ペンタン−1−オール、3−メチル−ブタン−1−オール、ヘキサン−1−オール、2−メトキシ−エタノール、2−エトキシ−エタノール、2−ブトキシ−エタノール、2−(2−メトキシ−エトキシ)−エタノール、2−(2−エトキシ−エトキシ)−エタノール、2−(2−ブトキシ−エトキシ)−エタノール);エーテル(例えばジエチルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシ−エタン、1,2−ジエトキシ−エタン、1−メトキシ−2−(2−メトキシ−エトキシ)−エタン、1−エトキシ−2−(2−エトキシ−エトキシ)−エタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン);ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン);エステル(酢酸メチル、酢酸エチル);窒素含有溶媒(例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチル−ピロリドン、ピリジン、キノリン、ニトロベンゼン);硫黄含有溶媒(例えば二硫化炭素、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロ−チオフェン−1,1−ジオキシド);及びリン含有溶媒(例えばヘキサメチルリン酸トリアミド)が挙げられる。
【0339】
さらなる特定の及び好ましい態様が、添付の独立及び従属請求項において示されている。従属請求項の特徴は、適宜、かつ特許請求の範囲に明示的に示されている以外の組合せで、独立請求項の特徴と組み合わせることができる。