特許第6903640号(P6903640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェネンテック, インコーポレイテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903640
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】てんかんの治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20210701BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20210701BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20210701BHJP
   C07K 14/50 20060101ALN20210701BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20210701BHJP
   A61K 38/18 20060101ALN20210701BHJP
   A61K 47/60 20170101ALN20210701BHJP
   A61K 47/62 20170101ALN20210701BHJP
   A61K 47/68 20170101ALN20210701BHJP
【FI】
   A61K39/395 D
   A61K39/395 N
   A61P25/08
   !C12N15/09 ZZNA
   !C07K14/50
   !C07K16/28
   !A61K38/18
   !A61K47/60
   !A61K47/62
   !A61K47/68
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-515127(P2018-515127)
(86)(22)【出願日】2016年9月23日
(65)【公表番号】特表2018-531927(P2018-531927A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(86)【国際出願番号】US2016053506
(87)【国際公開番号】WO2017053842
(87)【国際公開日】20170330
【審査請求日】2019年9月6日
(31)【優先権主張番号】62/222,983
(32)【優先日】2015年9月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ラジャン, シャーマイラ
【審査官】 長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−516538(JP,A)
【文献】 特表2013−532644(JP,A)
【文献】 Epilepsia,2005年,Vol.46, Suppl.5,pp.52-58
【文献】 Neuroscience,1994年,Vol.60, No.2,pp.311-323
【文献】 Epilepsy Research,2010年,Vol.92,pp.163-169
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00−39/44
A61K 45/00−45/08
A61P 25/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
てんかんの治療用の医薬の製造における抗FGFR1cアゴニスト抗体の使用であって、前記抗FGFR1c抗体は、KLHAVPAAKTVKFKCP(配列番号3)及びFKPDHRIGGYKVRY(配列番号4)からなる群から選択されるペプチドに結合する、使用
【請求項2】
前記医薬が、皮下投与される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記医薬が、レベチラセタム(「KEPPRA(商標)」)、レベチラセタム持続放出(XR)(「KEPPRA XR(商標)」)、ラモトリギン(「LAMICTAL(商標)」)、ラモトリギンXR(「LAMICTAL XR(商標)」)、オキシカルバゼピン(oxycarbazepine)(「TRILEPTAL(登録商標)」)、カルバマゼピン(「TEGRETOL(登録商標)」)、ラコサミド(「VIMPAT(登録商標)」)、バルプロ酸(「VPA」)、及びペランパネル(「FYCOMPA(登録商標)」)からなる群から選択される1つ以上の追加の治療薬との併用投与のためのものである、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
個体におけるてんかんの治療のための医薬であって、有効量の抗FGFR1cアゴニスト抗体を含前記抗FGFR1c抗体は、KLHAVPAAKTVKFKCP(配列番号3)及びFKPDHRIGGYKVRY(配列番号4)からなる群から選択されるペプチドに結合する、医薬
【請求項5】
前記抗FGFR1cアゴニスト抗体が、皮下投与される、請求項に記載の医薬
【請求項6】
レベチラセタム(「KEPPRA(商標)」)、レベチラセタム持続放出(XR)(「KEPPRA XR(商標)」)、ラモトリギン(「LAMICTAL(商標)」)、ラモトリギンXR(「LAMICTAL XR(商標)」)、オキシカルバゼピン(oxycarbazepine)(「TRILEPTAL(登録商標)」)、カルバマゼピン(「TEGRETOL(登録商標)」)、ラコサミド(「VIMPAT(登録商標)」)、バルプロ酸(「VPA」)、及びペランパネル(「FYCOMPA(登録商標)」)からなる群から選択される1つ以上の追加の治療薬がさらに投与される、請求項に記載の医薬
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FGF21受容体活性化因子を使用したけいれん及びてんかんの治療方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年9月24日に出願された米国仮出願第62/222,983号に関し、35 U.S.C 119の下でその優先権の利益を主張する。当該仮出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
配列表
本出願は、EFS−Webを介して提出され、かつ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。2016年8月11日に作成された、該ASCIIの複写は、P33079−WO_SL.TXTという名称であり、16.4kbの大きさである。
【背景技術】
【0004】
てんかんは、人が慢性的な基礎過程に起因して反復性けいれんを有する病態である。最大1%の個人がてんかんを有し、米国ではおよそ250万人の個人がてんかんを有し、このうちのおよそ4分の1が、けいれんを十分に管理する現在の療法の下で管理不十分なけいれんを有する。
【0005】
てんかんに対する完全に有効な療法はないが、患者の治療に現在用いられているいくつかの手法が存在する。多数の承認された抗てんかん薬が存在するが、応答率は、どの特定の薬物についても50%未満である。加えて、ある特定の患者には、その亜集団において実質的な改善を提供する外科手術が望ましい。最後に、ケトジェニック食餌法が特に小児患者において治療上有用であり得るというエビデンスがあるが、この食餌法は、遵守が困難な食餌法である(例えば、Neal et al,“The ketogenic diet for the treatment of childhood epilepsy:a randomized controlled trial.” Lancet Neurol.7:500−06(2008)を参照されたい)。したがって、てんかんを有する個人のための追加の可能な治療選択肢を特定することは大きな関心事にとどまる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、FGF21受容体活性化因子を使用したけいれん及びてんかんの治療方法を提供する。
【0007】
一態様において、本発明は、てんかんの治療用の医薬品の製造におけるFGF21受容体活性化因子の使用を提供する。いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、FGF21、抗FGFR1c抗体、抗KLB抗体、及び二重特異性抗FGFR1c/KLB抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、FGF21である。いくつかの実施形態において、FGF21は、異種分子に複合されている。いくつかの実施形態において、異種分子は、PEGである。いくつかの実施形態において、異種分子は、ポリペプチド、例えば、抗体Fcである。(例えば、IgG1抗体からの)。
【0008】
いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、抗FGFR1c抗体である。いくつかの実施形態において、抗FGFR1c抗体は、KLHAVPAAKTVKFKCP(配列番号3)及びFKPDHRIGGYKVRY(配列番号4)からなる群から選択されるペプチドに結合する。
【0009】
いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、抗KLB抗体である。いくつかの実施形態において、抗KLB抗体は、該抗KLB抗体が、16H7(US2011/0135657に記載されるようなもの)及びh5h23(US2015/0210764に記載される)からなる群から選択される、またはその誘導体である。この関連において、抗体の「誘導体」とは、1つ以上のアミノ酸挿入、欠失または置換を有しながらも依然として及びKLBに結合し、FGF21受容体を活性化するものである。
【0010】
いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、二重特異性抗FGFR1c/KLB抗体である。いくつかの実施形態において、二重特異性抗FGFR1c/KLB抗体は、アミノ酸配列SSPTRLAVIPWGVRKLLRWVRRNYGDMDIYITAS(配列番号5)からなるKLBの断片内のKLBエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、二重特異性抗FGFR1c/KLB抗体は、YW182.5 YGDYからのアミノ酸配列を含む抗FGFR1cアーム及び抗8C5.K4.M4L.H3.KNVからのアミノ酸配列を含む抗KLBアーム(US2015/0218276に記載されるような)を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、この医薬品は、皮下投与される。いくつかの実施形態において、この医薬品は、レベチラセタム(「KEPPRA(商標)」)、レベチラセタム持続放出(XR)(「KEPPRA XR(商標)」)、ラモトリギン(「LAMICTAL(商標)」)、ラモトリギンXR(「LAMICTAL XR(商標)」)、オキシカルバゼピン(oxycarbazepine)(「TRILEPTAL(登録商標)」)、カルバマゼピン(「TEGRETOL(登録商標)」)、ラコサミド(「VIMPAT(登録商標)」)、バルプロ酸(「VPA」)、及びペランパネル(「FYCOMPA(登録商標)」)からなる群から選択される1つ以上の追加の治療薬との併用投与のためのものである。
【0012】
一態様において、本発明は、個体に有効量のFGF21受容体活性化因子を投与することを含む、個体におけるてんかんの治療方法を提供する。いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、FGF21、抗FGFR1c抗体、抗KLB抗体、及び二重特異性抗FGFR1c/KLB抗体からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、FGF21である。いくつかの実施形態において、FGF21は、異種分子に複合されている。いくつかの実施形態において、異種分子は、PEGである。いくつかの実施形態において、異種分子は、ポリペプチド、例えば、抗体Fcである。(例えば、IgG1抗体からの)。
【0013】
いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、抗FGFR1c抗体である。いくつかの実施形態において、抗FGFR1c抗体は、KLHAVPAAKTVKFKCP(配列番号3)及びFKPDHRIGGYKVRY(配列番号4)からなる群から選択されるペプチドに結合する。
【0014】
いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、抗KLB抗体である。いくつかの実施形態において、抗KLB抗体は、該抗KLB抗体が、16H7(US2011/0135657に記載されるようなもの)及びh5h23(US2015/0210764に記載される)からなる群から選択される、またはその誘導体である。この関連において、抗体の「誘導体」とは、1つ以上のアミノ酸挿入、欠失または置換を有しながらも依然として及びKLBに結合し、FGF21受容体を活性化するものである。
【0015】
いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、二重特異性抗FGFR1c/KLB抗体である。いくつかの実施形態において、二重特異性抗FGFR1c/KLB抗体は、アミノ酸配列SSPTRLAVIPWGVRKLLRWVRRNYGDMDIYITAS(配列番号5)からなるKLBの断片内のKLBエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、二重特異性抗FGFR1c/KLB抗体は、YW182.5 YGDYからのアミノ酸配列を含む抗FGFR1cアーム及び抗8C5.K4.M4L.H3.KNVからのアミノ酸配列を含む抗KLBアーム(US2015/0218276に記載されるような)を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、皮下投与される。いくつかの実施形態において、本方法は、レベチラセタム(「KEPPRA(商標)」)、レベチラセタム持続放出(XR)(「KEPPRA XR(商標)」)、ラモトリギン(「LAMICTAL(商標)」)、ラモトリギンXR(「LAMICTAL XR(商標)」)、オキシカルバゼピン(oxycarbazepine)(「TRILEPTAL(登録商標)」)、カルバマゼピン(「TEGRETOL(登録商標)」)、ラコサミド(「VIMPAT(登録商標)」)、バルプロ酸(「VPA」)、及びペランパネル(「FYCOMPA(登録商標)」)からなる群から選択される1つ以上の追加の治療薬を投与することをさらに含む。
【0017】
I.定義
「てんかん」という用語は、本明細書で使用されるとき、個体が2回以上の非誘発性けいれんを有する臨床的現象を指す。てんかんは、例えば、全般発作けいれん及び焦点発作けいれん(症候性及び特発性)を含み、これには、小児欠神てんかん、若年性ミオクロニーてんかん、起床時の大発作を伴うてんかん、側頭葉てんかん、前頭葉てんかん、頭頂葉てんかん、後頭葉てんかん、ならびに大田原症候群、ウエスト症候群、ドラベ症候群、ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん、及びレノックス・ガストー症候群を含むてんかん性脳症が含まれる。
【0018】
「FGFR1c」という用語は、本明細書で使用されるとき、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然線維芽細胞成長因子受容体1c(FGFR1c)を指す。この用語は、「完全長」のプロセシングされていないFGFR1c、ならびに細胞内のプロセシングからもたらされるFGFR1cの任意の形態を包含する。この用語は、FGFR1cの天然に存在する変異型、例えば、スプライス変異型または対立遺伝子変異型も包含する。例示的なヒトFGFR1cのアミノ酸配列は、下記である。
【0019】
MWSWKCLLFWAVLVTATLCTARPSPTLPEQAQPWGAPVEVESFLVHPGDLLQLRCRLRDDVQSINWLRDGVQLAESNRTRITGEEVEVQDSVPADSGLYACVTSSPSGSDTTYFSVNVSDALPSSEDDDDDDDSSSEEKETDNTKPNPVAPYWTSPEKMEKKLHAVPAAKTVKFKCPSSGTPNPTLRWLKNGKEFKPDHRIGGYKVRYATWSIIMDSVVPSDKGNYTCIVENEYGSINHTYQLDVVERSPHRPILQAGLPANKTVALGSNVEFMCKVYSDPQPHIQWLKHIEVNGSKIGPDNLPYVQILKTAGVNTTDKEMEVLHLRNVSFEDAGEYTCLAGNSIGLSHHSAWLTVLEALEERPAVMTSPLYLEIIIYCTGAFLISCMVGSVIVYKMKSGTKKSDFHSQMAVHKLAKSIPLRRQVTVSADSSASMNSGVLLVRPSRLSSSGTPMLAGVSEYELPEDPRWELPRDRLVLGKPLGEGCFGQVVLAEAIGLDKDKPNRVTKVAVKMLKSDATEKDLSDLISEMEMMKMIGKHKNIINLLGACTQDGPLYVIVEYASKGNLREYLQARRPPGLEYCYNPSHNPEEQLSSKDLVSCAYQVARGMEYLASKKCIHRDLAARNVLVTEDNVMKIADFGLARDIHHIDYYKKTTNGRLPVKWMAPEALFDRIYTHQSDVWSFGVLLWEIFTLGGSPYPGVPVEELFKLLKEGHRMDKPSNCTNELYMMMRDCWHAVPSQRPTFKQLVEDLDRIVALTSNQEYLDLSMPLDQYSPSFPDTRSSTCSSGEDSVFSHEPLPEEPCLPRHPAQLANGG LKRR(配列番号1)。
【0020】
「抗FGFR1c抗体」及び「FGFR1cに結合する抗体」という用語は、抗体が、FGFR1cを標的とすることにおいて診断剤及び/または治療剤として有用であるように、FGFR1cに十分な親和性で結合可能である抗体を指す。一実施形態において、無関係の非FGFR1cタンパク質への抗FGFR1c抗体の結合の程度は、例えば、放射免疫測定法(RIA)によって測定するとき、FGFR1cへの抗体の結合の約10%未満である。ある特定の実施形態において、FGFR1cに結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)の解離定数(Kd)を有する。ある特定の実施形態において、抗FGFR1c抗体は、異なる種由来のFGFR1c間で保存されるFGFR1cのエピトープに結合する。
【0021】
「KLB」という用語は、本明細書で使用されるとき、別途指示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源由来の任意の天然klothoベータ(KLB)を指す。この用語は、「完全長」のプロセシングされていないKLB、ならびに細胞内のプロセシングからもたらされるKLBの任意の形態を包含する。この用語は、KLBの天然に存在する変異型、例えば、スプライス変異型または対立遺伝子変異型も包含する。例示的なヒトKLBのアミノ酸配列は、下記である。
【0022】
FSGDGRAIWSKNPNFTPVNESQLFLYDTFPKNFFWGIGTGALQVEGSWKKDGKGPSIWDHFIHTHLKNVSSTNGSSDSYIFLEKDLSALDFIGVSFYQFSISWPRLFPDGIVTVANAKGLQYYSTLLDALVLRNIEPIVTLYHWDLPLALQEKYGGWKNDTIIDIFNDYATYCFQMFGDRVKYWITIHNPYLVAWHGYGTGMHAPGEKGNLAAVYTVGHNLIKAHSKVWHNYNTHFRPHQKGWLSITLGSHWIEPNRSENTMDIFKCQQSMVSVLGWFANPIHGDGDYPEGMRKKLFSVLPIFSEAEKHEMRGTADFFAFSFGPNNFKPLNTMAKMGQNVSLNLREALNWIKLEYNNPRILIAENGWFTDSRVKTEDTTAIYMMKNFLSQVLQAIRLDEIRVFGYTAWSLLDGFEWQDAYTIRRGLFYVDFNSKQKERKPKSSAHYYKQIIRENGFSLKESTPDVQGQFPCDFSWGVTESVLKPESVASSPQFSDPHLYVWNATGNRLLHRVEGVRLKTRPAQCTDFVNIKKQLEMLARMKVTHYRFALDWASVLPTGNLSAVNRQALRYYRCVVSEGLKLGISAMVTLYYPTHAHLGLPEPLLHADGWLNPSTAEAFQAYAGLCFQELGDLVKLWITINEPNRLSDIYNRSGNDTYGAAHNLLVAHALAWRLYDRQFRPSQRGAVSLSLHADWAEPANPYADSHWRAAERFLQFEIAWFAEPLFKTGDYPAAMREYIASKHRRGLSSSALPRLTEAERRLLKGTVDFCALNHFTTRFVMHEQLAGSRYDSDRDIQFLQDITRLSSPTRLAVIPWGVRKLLRWVRRNYGDMDIYITASGIDDQALEDDRLRKYYLGKYLQEVLKAYLIDKVRIKGYYAFKLAEEKSKPRFGFFTSDFKAKSSIQFYNKVISSRGFPFENSSSRCSQTQENTECTVCLFLVQKKPLIFLGCCFFSTLVLLLSIAIFQRQKRRKFWKAKNLQHIPLKKGKRVVS(配列番号2)。
【0023】
「抗KLB抗体」及び「KLBに結合する抗体」という用語は、抗体が、KLBを標的とすることにおいて診断剤及び/または治療剤として有用であるように、KLBに十分な親和性で結合可能である抗体を指す。一実施形態において、無関係の非KLBタンパク質への抗KLB抗体の結合の程度は、例えば、放射免疫測定法(RIA)によって測定するとき、KLBへの抗体の結合の約10%未満である。ある特定の実施形態において、KLBに結合する抗体は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下(例えば、10−8M以下、例えば、10−8M〜10−13M、例えば、10−9M〜10−13M)の解離定数(Kd)を有する。ある特定の実施形態において、抗KLB抗体は、異なる種由来のKLB間で保存されるKLBのエピトープに結合する。
【0024】
「FGF21受容体」という用語は、本明細書で使用されるとき、FGF21に結合する、FGFR1cc及びKLBを含む受容体複合体を指す。
【0025】
「FGF21受容体活性化因子」という用語は、本明細書で使用されるとき、FGF21受容体を介したシグナル伝達を活性化する分子を指す。例示的なFGF21受容体活性化因子には、例えば、任意選択で別の分子、例えばPEGまたは抗体のFc領域に複合された、FGF21、ある特定の抗FGFR1c抗体(例えば、WO2012/158704に記載される)、ある特定の抗KLB抗体(例えば、米国特許公開US2011/0135657、US2012/0328616、US2013/0129725、US2015/0210764に記載される)、ならびにFGFR1c及びKLBの両方に結合するある特定のタンパク質、例えば、US8,372,952に記載される非抗体タンパク質及び二重特異性抗FGFR1c/抗KLB抗体(例えば、US2015/0218276に記載される)が含まれる。
【0026】
本明細書の「抗体」という用語は、最も広義に使用され、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含むがこれらに限定されない、様々な抗体構造を包含する。
【0027】
「エフェクター機能」とは、抗体のアイソタイプにより異なる抗体のFc領域に起因する生物活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞傷害性(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、ならびにB細胞活性化が挙げられる。
【0028】
薬剤、例えば、薬学的製剤または治療用分子の「有効量」とは、所望の治療的または予防的結果を実現するために必要な投薬量及び期間での有効な量を指す。
【0029】
「個体」または「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物には、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、個体または対象は、ヒトである。
【0030】
「添付文書」という用語は、かかる治療薬の適応症、使用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌症についての情報、及び/またはその使用に関する警告を含む、治療剤製品の市販パッケージに通例含まれる指示書を指すように使用される。
【0031】
「薬学的製剤」という用語は、調製物中に含有される活性成分の生物活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象にとって許容できないほど有毒である追加の構成成分を全く含有しない調製物を指す。
【0032】
「薬学的に許容される担体」とは、対象にとって無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書で使用されるとき、「治療」(及び「治療する」または「治療すること」などのその文法上の変形)とは、治療されている個体の自然経過を変更することを目的とした臨床介入を指し、予防のために、または臨床病理過程中に実施され得る。てんかんの治療の望ましい効果には、けいれんの発生または再発の低減、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的病理学的帰結の縮小、疾患進行速度の減少、病状の回復または寛解、または予後の改善が含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
II.組成物及び方法
一態様において、本発明は、FGF21受容体活性化因子がてんかんの動物モデルにおいて有効性を実証するという観察に部分的に基づく。したがって、FGF21受容体を活性化する薬剤を投与することによる、てんかんを有する個体の治療方法が提供される。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態において、治療剤は、FGF21受容体活性化因子である。いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、FGF21自体であり、これは任意選択で別の分子、例えば、PEGまたは抗体のFc領域に複合されている。いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、抗FGFR1c抗体である(例えば、WO2012/158704に記載される抗体を参照されたい)。いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、抗KLB抗体である(例えば、米国特許公開US2011/0135657、US2012/0328616、US2013/0129725、US2015/0210764を参照されたい)。いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、FGFR1c及びKLBの両方に結合する非抗体タンパク質である(例えば、米国特許8,372,952を参照されたい)。いくつかの実施形態において、FGF21受容体活性化因子は、二重特異性抗FGFR1c/抗KLB抗体である(例えば、抗体に記載されるUS2015/0218276を参照されたい)。
【0036】
FGF21受容体活性化因子についてのスクリーニングは、当該技術分野で周知の方法を用いて遂行することができる。例えば、FGF21受容体複合体を発現するように操作された細胞が、候補となる活性化因子に曝露され得、結果として生じるFGF21受容体複合体(例えば、ERK)の何らかの発現及び/またはその1つ以上の下流標的のリン酸化状態が分析され得る。
【0037】
本明細書に記載されるFGF21受容体活性化因子の薬学的製剤は、所望の程度の純度を有するFGF21受容体活性化因子を、1つ以上の任意の薬学的に許容される担体と混合することによって(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で調製される。薬学的に許容される担体は、一般に、用いられる投薬量及び濃度ではレシピエントに非毒性であり、それらとしては、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化物質;防腐剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);及び/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などのヒト可溶性PH−20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質などの介在性薬物分散剤をさらに含む。rHuPH20を含む、ある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様において、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つ以上のさらなるグリコサミノグリカナーゼと組み合わされる。
【0038】
例示的な凍結乾燥FGF21受容体活性化因子製剤については、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性FGF21受容体活性化因子製剤には、米国特許第6,171,586号及びWO2006/044908に記載されるものが含まれ、後者の製剤はヒスチジン−酢酸緩衝液を含む。
【0039】
本明細書における製剤はまた、治療されている特定の適応症に必要な2つ以上の活性成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有してもよい。例えば、レベチラセタム(「KEPPRA(商標)」)、レベチラセタム持続放出(XR)(「KEPPRA XR(商標)」)、ラモトリギン(「LAMICTAL(商標)」)、ラモトリギンXR(「LAMICTAL XR(商標)」)、オキシカルバゼピン(oxycarbazepine)(「TRILEPTAL(登録商標)」)、カルバマゼピン(「TEGRETOL(登録商標)」)、ラコサミド(「VIMPAT(登録商標)」)、バルプロ酸(「VPA」)、及びペランパネル(「FYCOMPA(登録商標)」)のうちの1つ以上をさらに提供することが望ましくあり得る。かかる活性成分は、意図される目的に有効である量で組み合わされて存在するのが好適である。
【0040】
活性成分は、例えば、コアセルベーション技法もしくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ−(メチルメタシレート(methylmethacylate))マイクロカプセル中、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)中、またはマイクロエマルジョン中に封入され得る。かかる技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示される。
【0041】
徐放性調製物が調製されてもよい。徐放性調製物の好適な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、これらのマトリックスは、成形物品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。
【0042】
体内投与に使用される製剤は、一般に、滅菌のものである。滅菌性は、例えば、滅菌濾過膜を介する濾過によって容易に達成され得る。
【0043】
一態様において、医薬品として使用するためのFGF21受容体活性化因子が提供される。さらなる態様において、てんかんの治療において使用するためのFGF21受容体活性化因子が提供される。ある特定の実施形態において、治療方法において使用するためのFGF21受容体活性化因子が提供される。ある特定の実施形態において、本発明は、てんかんを有する個体に有効量のFGF21受容体活性化因子を投与することを含む、てんかんを有する個体の治療方法において使用するためのFGF21受容体活性化因子を提供する。1つのかかる実施形態において、本方法は、個体に、例えば、下に記載される、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む。上記の実施形態のいずれかによる「個体」は、好ましくはヒトである。
【0044】
さらなる態様において、本発明は、医薬品の製造または調製におけるFGF21受容体活性化因子の使用を提供する。一実施形態において、この医薬品は、てんかんの治療のためのものである。さらなる実施形態において、この医薬品は、てんかんを有する個体に有効量の医薬品を投与することを含む、てんかんを治療する方法において使用するためのものである。1つのかかる実施形態において、本方法は、個体に、例えば、下に記載される、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む。上記の実施形態のいずれかによる「個体」は、ヒトであり得る。
【0045】
さらなる態様において、本発明は、てんかんの治療方法を提供する。一実施形態において、本方法は、かかるてんかんを有する個体に有効量のFGF21受容体活性化因子を投与することを含む。1つのかかる実施形態において、本方法は、以下に記載されるように、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む。上記の実施形態のいずれかによる「個体」は、ヒトであり得る。
【0046】
上述のかかる併用療法は、組み合わせた投与(2つ以上の治療剤が同じまたは別個の製剤中に含まれる)、及び別個の投与を包含し、別個の投与の場合、FGF21受容体活性化因子の投与は、追加の治療剤(単数または複数)の投与の前、それと同時、及び/またはその後に生じ得る。一実施形態において、FGF21受容体活性化因子の投与及び追加の治療剤の投与は、互いに約1か月以内、または約1、2、3週間以内、または約1、2、3、4、5、若しくは6日以内に発生する。
【0047】
本発明によれば、FGF21受容体アゴニスト(及び任意の追加の治療剤)は、非経口、肺内、及び鼻腔内、ならびに局所治療で所望の場合、病変内投与を含む、任意の好適な手段によって投与され得る。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。投薬は、投与が短時間であるか、または慢性的であるかに部分的に応じて、例えば、静脈注射または皮下注射などの注射によって任意の好適な経路で行われ得る。単回投与または様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むがこれらに限定されない様々な投薬スケジュールが本明細書で企図される。
【0048】
FGF21受容体活性化因子は、良好な医療行為と一致する様式で、製剤化され、投薬され、投与されるだろう。これに関連して考慮する要因には、治療されている特定の障害、治療されている特定の動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジューリング、及び医師に既知の他の要因を含む。FGF21受容体活性化因子は、必ずしもそうである必要はないが、任意選択で、問題の障害を予防または治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤とともに製剤化される。かかる他の薬剤の有効量は、製剤中に存在するFGF21受容体活性化因子の量、障害または治療の種類、及び上で考察される他の要因に左右される。これらは一般に、本明細書に記載されるものと同じ投薬量及び投与経路で使用されるか、または本明細書に記載される投薬量の約1〜99%、または経験的/臨床的に適切と判断される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
【0049】
てんかんの予防または治療に関して、本発明のFGF21受容体活性化因子の適切な投薬量は(単独で、または1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用される場合)、治療される疾患の種類、FGF21受容体活性化因子の種類、疾患の重症度及び経過、FGF21受容体活性化因子が予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴、及びFGF21受容体活性化因子への応答、ならびに主治医の裁量に左右される。FGF21受容体活性化因子は、患者に、一度にまたは一連の治療にわたって、好適に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば、0.1mg/kg〜10mg/kg)のFGF21受容体活性化因子が、例えば、1回以上の別個の投与によるか、または連続注入によるかにかかわらず、患者への投与のための初期候補投薬量であり得る。1つの典型的な1日用量は、上述の要因に応じて、約1μg/kg〜100mg/kg以上の範囲であり得る。病態に応じて数日間以上にわたる反復投与では、治療は一般に、疾患症状の所望の抑制が生じるまで持続されるだろう。FGF21受容体活性化因子の1つの例示的な投薬量は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲であろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、または10mg/kg(またはそれらの任意の組み合わせ)のうちの1つ以上の用量が患者に投与され得る。かかる用量は、断続的に、例えば、毎週または3週間に1回(例えば、患者が約2〜約20回、または例えば約6回用量の抗体を受けるように)投与され得る。より高い初回負荷量、続いて1回以上のより低い用量が投与されてもよい。しかしながら、他の投薬量レジメンも有用であり得る。この療法の進行は、従来の技術及びアッセイによって容易に監視される。
【0050】
本発明の別の態様において、上記の障害の治療、予防及び/または診断に有用な材料を含有する製品が提供される。製品は、容器と、容器上または容器に関連付けられたラベルもしくは添付文書とを含む。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV液バッグなどが含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの多様な材料から形成され得る。容器は、それ自体によって、または別の組成物と組み合わせて、病態の治療、予防、及び/または診断に有効である組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、静注液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能な栓を有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、FGF21受容体活性化因子である。ラベルまたは添付文書は、組成物が選択の病態を治療するために使用されることを指示する。さらに、製品は、(a)組成物がその中に含有された第1の容器(この組成物はFGF21受容体活性化因子を含む)、及び(b)組成物がその中に含有された第2の容器(この組成物はさらなる治療剤を含む)を含んでもよい。本発明のこの実施形態の製品は、組成物がてんかんを治療するために使用され得ることを指示する添付文書をさらに含んでもよい。代替的に、または追加的に、製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンガー溶液、及びデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝剤を含む第2の(または第3の)容器をさらに含み得る。それは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的観点及びユーザの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
【実施例】
【0051】
III.実施例
以下は、本発明の方法及び組成物の実施例である。上述の概要を得ると、様々な他の実施形態が実施され得ることが理解される。
【0052】
実施例1.抗FGFR1cアゴニスト抗体は、MESモデルにおいてけいれんを阻害する。
MESは、全身性強直性間代性発作のモデルであり、脳内のすべての神経回路が最大限に活性であるときのけいれんの広がりを予防する化合物の能力の指標を提供する。これらのけいれんは、再現性が高く、ヒトけいれんと電気生理学的に一致する (White,H.S.,A.S.Bender,and E.A.Swinyard,Effect of the selective N−methyl−D−aspartate receptor agonist 3−(2−carboxypiperazin−4−yl)propyl−1−phosphonic acid on [3H]flunitrazepam binding.Eur J Pharmacol,1988.147(1):p.149−51、Swinyard,E.A.,Electrically induced convulsions,in Experimental Models of Epilepsy,D.B.Purpura,et al.,Editors.1972,Raven Press:New York.p.443−58、Swinyard,E.A.,Experimental Models of Epilepsy:A Manual for the Laboratory Worker.Electrically induced convulsions,ed.J.K.P.D.P Purpura,D.Tower,D.M.Woodbry,R.Walter.1972,New York:Raven Press.433−438.5、Barton,M.E.,et al.,Pharmacological characterization of the 6 Hz psychomotor seizure model of partial epilepsy.Epilepsy Res,2001.47:p.217−27)。MESひきつけに基づくすべての試験に関して、60Hzの交流(マウスにおいて50mA)を、麻酔剤(0.5%テトラカインHCL)を含有する電解液でプライミングした角膜電極によって0.2秒間送達する。0.5、1及び3mg/kgの抗FGFR1c mAb R1MAb1(WO2012/158704に記載される)の用量をi.p.注射により毎週与えた後、種々の間隔でマウスを試験する。これらの抗体は、FGF21受容体を活性化する。発明者らは、多くの動物が、けいれんの後肢強直性伸展要素の消失によって明示されるように、MES誘発性けいれんから保護されることを観察する。
【0053】
MESモデルにおいて1群あたり6匹の成体オスCF−1マウスを、食塩水(群1)、または3もしくは5mg/kgの抗FGFR1c mAb R1MAb1(それぞれ群2及び3)の単回IP注射の5日後に試験した。これらの抗体は、FGF21受容体を活性化する。けいれん保護についての分析は、この薬物の薬物動態に及ぼす抗薬物抗体の影響がマウスにおいて未知であり、7日間が典型的に抗薬物抗体形成の発生前であるため、単回注射の7日後に制限した。動物は、けいれんの後肢強直性伸展要素の消失があったときに、MES誘発性けいれんから保護されたとみなした。注射の5日後、群1は、けいれんに対して何の保護も示さず、群2は、1/6のマウスにおいて完全な保護を示し、群3は、2/6のマウスにおいて完全な保護を示した。これらの結果は、この実施例で使用した抗FGFR1cアゴニスト抗体などのFGF21受容体活性化因子での治療が、このモデルにおいてけいれんからの保護を提供することを示す。
【0054】
実施例2.抗FGFR1cアゴニスト抗体は、MESモデルにおいてけいれんを阻害する。
6Hzは、角膜電極を通して低周波(6Hz)、長時間(3秒間)の刺激を送達することによって誘発される精神運動発作を遮断する、試験剤の能力を評価するモデルである (Toman,J.E.P.,G.M.Everett,and R.M.Richards,The search for new drugs against epilepsy.Texas Reports on Biology & Medicine,1952.10:p.96−104、Swinyard,E.A.,Electrically induced convulsions,in Experimental Models of Epilepsy,D.B.Purpura,et al.,Editors.1972,Raven Press:New York.p.443−58、Swinyard,E.A.,Experimental Models of Epilepsy:A Manual for the Laboratory Worker.Electrically induced convulsions,ed.J.K.P.D.P Purpura,D.Tower,D.M.Woodbry,R.Walter.1972,New York:Raven Press.433−438.5、及びBarton,M.E.,et al.,Pharmacological characterization of the 6 Hz psychomotor seizure model of partial epilepsy.Epilepsy Res,2001.47:p.217−27)。
【0055】
成体オスCF1マウス(18〜25g)を0.5、1及び3mg/kgの抗FGFR1c mAb R1MAb1の腹腔内投与(i.p.)で前処置する。各処置群(n=4マウス/群)を、試験化合物での処置後5つの時点(1/4、1/2、1、2、及び4時間)のうちの1つの時点で、抗ひきつけ効果について検査する。前処置に続いて、各マウスに0.5%塩酸テトラカインの液滴を各眼に適用して与える。マウスを次いで、角膜電極を通して低周波(6Hz)刺激を3秒間送達することにより刺激する。低周波、長時間の刺激は、最初に32mA強度で送達する。動物を手で拘束し、刺激後すぐに解放し、けいれん活動の存在または不在について観察する。典型的に、6Hz刺激は、最小の間代性期、続いて感覚毛のぴくぴくした動き及びStraub挙尾を含む類型的な自動性挙動を特徴とする、けいれんをもたらす。発明者らは、多くの動物がかかる挙動を呈しなかったことを観察し、それらは保護されたとみなされる。
【0056】
実施例3.抗FGFR1cアゴニスト抗体は、角膜キンドリングモデルにおいてけいれんを阻害する。
角膜キンドリングモデルを使用して、抗FGFR1cアゴニスト抗体のけいれんに対する効果を試験した(このモデルについては、Rowley,N.M.and H.S.White,Comparative anticonvulsant efficacy in the corneal kindled mouse model of partial epilepsy:Correlation with other seizure and epilepsy models.Epilepsy Res,2010.92(2−3):p.163−9、Matagne,A.and H.Klitgaard,Validation of corneally kindled mice:a sensitive screening model for partial epilepsy in man.Epilepsy Res,1998.31(1):p.59−71に記載される)。成体オスCF1マウス(1群あたりn=8、18〜25g)を 5回の連続的な二次性全般発作の基準までキンドリングを形成した(kindled)(Racine,R.J.,Modification of seizure activity by electrical stimulation:II.Motor seizure.Electroenceph.Clin.Neurophysiol.,1972.32:p.281−294に記載されるステージ4または5)。1日2回、0.5%塩酸テトラカイン溶液を各眼に適用し、角膜電極(3mA、60Hz、3秒間)を通して視神経を刺激した。1日2回の角膜刺激を受けた後、CF1マウスは典型的に、およそ10〜14日目で初回のステージ5けいれんに達した。マウスが、発明者らが「キンドリングが完成した」とみなした5回の連続的なステージ5けいれんの基準に達するまで、1日2回の刺激を各マウスに対して継続した。群内のすべての他のマウスのキンドリングが完成されるまで、キンドリングが完成したマウスを次いで1日おきから2〜3日おきに刺激した。
【0057】
最後の刺激を与えた5日後、マウスに1、3または10mg/kgの抗FGFR1 mAb(それぞれ群1、群2及び群3)の単回IP注射を与えた。各郡のマウスを次いで、薬物注射の48時間及び96時間後に角膜刺激した。マウスを次いでけいれん保護について0〜5で分類した(完全な保護が0、保護なしが5、及び部分的保護として0から5の間)。けいれん保護についての分析は、この薬物の薬物動態に及ぼす抗薬物抗体の影響がマウスにおいて未知であり、この7日間が典型的に抗薬物抗体形成の発生前であるため、単回注射の7日後に制限した。
【0058】
注射の48時間後、群1は、けいれんに対して何の保護も示さず、群2は、3/8のマウスにおいて部分的な保護(ラシーヌスコア(racine score)=4)を示し、群3は、1/8のマウスにおいて完全な保護(ラシーヌスコア=0)及び3/8のマウスにおいて部分的な保護(ラシーヌスコア=4)を示した。注射の96時間後、群1は、1/8のマウスにおいて完全な保護を示し、群2は、1/8のマウスにおいて完全な保護及び2/8のマウスにおいて部分的な保護を示し、群3は、2/8のマウスにおいて完全な保護を示した。これらの結果は、この実施例で使用した抗FGFR1cアゴニスト抗体などのFGF21受容体活性化因子での治療が、このモデルにおいてけいれんからの用量依存的な保護を提供することを示す。
【0059】
前述の発明は明確な理解のために例証及び例によって多少詳しく説明されているが、これらの説明及び例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書で引用されるすべての特許及び科学文献の開示は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]