特許第6903650号(P6903650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903650
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】嫌気性硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20210701BHJP
   C08F 283/00 20060101ALI20210701BHJP
   C08F 290/00 20060101ALI20210701BHJP
   C08F 299/06 20060101ALI20210701BHJP
   C09J 175/14 20060101ALI20210701BHJP
   C09J 163/10 20060101ALI20210701BHJP
   C09J 167/06 20060101ALI20210701BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20210701BHJP
   F16B 33/06 20060101ALI20210701BHJP
   F16B 39/22 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   C08F2/44 C
   C08F283/00
   C08F290/00
   C08F299/06
   C09J175/14
   C09J163/10
   C09J167/06
   C09J4/02
   F16B33/06 H
   F16B33/06 E
   F16B39/22 A
【請求項の数】43
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2018-520511(P2018-520511)
(86)(22)【出願日】2016年10月24日
(65)【公表番号】特表2019-500438(P2019-500438A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】EP2016075584
(87)【国際公開番号】WO2017068196
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2019年10月23日
(31)【優先権主張番号】1518760.2
(32)【優先日】2015年10月22日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】レドウィズ、 デアドラ
(72)【発明者】
【氏名】ハインズ、 エイミー
(72)【発明者】
【氏名】オカーン、 ルアイリ
(72)【発明者】
【氏名】マレン、 デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】バージン、 ニーアム
(72)【発明者】
【氏名】ドボラク、 デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】フィッツパトリック、 マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ロベル、 ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ニーフセイ、 ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】ホウリハン、 ジム
(72)【発明者】
【氏名】ドハーティ、 マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロアン、 マーク
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−110585(JP,A)
【文献】 特開2013−000740(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00103474(EP,A1)
【文献】 特開2003−327898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F2,251−299、C09J、C09D、F16B33,39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)嫌気性硬化性成分であって、
(i)樹脂成分および
(ii)嫌気性硬化性モノマーを含む嫌気性硬化性成分、および
(b)嫌気性硬化性成分を硬化するための硬化成分を含むスレッドロック組成物であって、樹脂成分および嫌気性硬化性モノマーがそれぞれ固体であり、それぞれ30℃から100℃の範囲の融点を有し、組成物は、流動性粒状形態であり、30℃から100℃の範囲の融点を有するスレッドロック組成物。
【請求項2】
前記組成物が、溶融後に30℃以下の温度に暴露されたときに再固化する、請求項1に記載のスレッドロック組成物。
【請求項3】
前記組成物が、40℃〜100℃の融点を有する、請求項1または2に記載のスレッドロック組成物。
【請求項4】
前記組成物が、50℃〜100℃の融点を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項5】
前記樹脂成分が嫌気性硬化性である、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が少なくとも2つの部分からなる形態で提供され、第1の部分が樹脂成分を含み、第2の部分が嫌気性硬化性モノマーを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項7】
前記嫌気性硬化性成分が、粉末形態で提供される、請求項1〜のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項8】
前記樹脂成分が、流動性粒状形態で提供される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項9】
前記樹脂成分が、粉末形態で提供される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項10】
前記嫌気性硬化性モノマーが、流動性粒状形態で提供される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項11】
前記嫌気性硬化性モノマーが、粉末形態で提供される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項12】
前記嫌気性硬化性成分が、前記樹脂成分と前記嫌気性硬化性モノマーを溶融し、それらをブレンドして固体ブレンド生成物を形成することによって形成された生成物を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項13】
前記組成物が、固体ブレンド生成物を流動性粒状形態にすることによって形成された生成物を含む、請求項12に記載のスレッドロック組成物。
【請求項14】
前記粒状形態が、500μm未満の平均粒径を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項15】
前記嫌気性硬化性成分が、全組成物の8〜99重量%の量で存在する、請求項1〜14のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項16】
前記嫌気性硬化性成分が、全組成物の93〜97重量%の量で存在する、請求項1〜15のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項17】
前記樹脂成分が、組成物の総重量に基づいて1〜60重量%の量で存在する、請求項1〜16のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項18】
前記樹脂成分が、組成物の総重量に基づいて25〜50重量%の量で存在する、請求項1〜17のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項19】
前記樹脂成分が、組成物の総重量に基づいて20〜30重量%の量で存在する、請求項1〜18のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項20】
前記樹脂成分が、2,000g/mol以上の分子量を有する(メタ)アクリル化ポリウレタン樹脂、2,000g/mol以上の分子量を有するノボラック樹脂、2,000g/mol以上の分子量を有する(メタ)アクリル化ポリエステル樹脂およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項21】
前記嫌気性硬化性モノマーが、組成物の総重量に基づいて4〜90重量%の量で存在する、請求項1〜20のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項22】
前記嫌気性硬化性モノマーが、組成物の総重量に基づいて45〜85重量%の量で存在する、請求項1〜21のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項23】
前記嫌気性硬化性モノマーが、組成物の総重量に基づいて45〜70重量%の量で存在する、請求項1〜22のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項24】
前記嫌気性硬化性モノマーが、少なくとも1つのアクリレートまたはメタクリレートエステル基を含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項25】
前記嫌気性硬化性成分が、1000g/mol未満の分子量を有する(メタ)アクリル化ポリウレタン樹脂、カプセル化された(メタ)アクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー、およびそれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項26】
前記硬化成分が、組成物の総重量に基づいて、0.1〜10重量%の量で存在し、および/または前記硬化成分がカプセル化された過酸化物を含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項27】
前記硬化成分が、組成物の総重量に基づいて、1〜5重量%の量で存在する、請求項1〜26のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項28】
前記硬化成分が、組成物の総重量に基づいて、5重量%の量で存在する、請求項1〜27のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項29】
前記組成物が、組成物の総重量に基づいて1重量%未満の溶媒を含む無溶媒であり、溶媒が、有機溶媒または水である、請求項1〜28のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項30】
硬化性固体形態で提供される、請求項1〜29のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項31】
硬化性固体非粘着性形態で提供される、請求項1〜30のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物を含む製品。
【請求項33】
硬化性固体非粘着性形態で提供される、請求項32に記載の製品。
【請求項34】
前記物品が、スティック、テープ、細長いフィラメント、ガスケットまたはパッチの形態である、請求項32または33に記載の製品。
【請求項35】
スティックディスペンサまたはテープディスペンサを含む、物品をそこから分配することができるディスペンサをさらに含む、請求項32〜34のいずれか一項に記載の製品。
【請求項36】
(i)請求項1〜31のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物を固体非粘着性形態で提供する工程、
(ii)ねじに溶融によって融解するためにスレッドロック組成物を物品のねじに適用する工程を含む、ねじ止めされるねじ付き物品のねじにスレッドロック組成物を提供する方法。
【請求項37】
ねじ止めされる物品のねじを、前記スレッドロック組成物を溶融するのに十分な温度に加熱する工程を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が少なくとも2つの部分からなる形態で提供され、前記2つの部分が別々に適用される、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
(a)請求項1〜31のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物を提供する工程、
(b)ねじに溶融によって融解するために少なくとも1つの物品のねじにスレッドロック組成物を適用する工程、
(c)続いて2つの物品を一緒にねじ合わせ、スレッドロック組成物の嫌気的硬化を開始し、したがって、2つの物品を一緒に化学的に結合させるために組成物を嫌気的に硬化する工程を含む、2つのねじ付き物品を一緒にスレッドロックする方法。
【請求項40】
前記2つの物品を一緒にねじ合わせることが、能動冷却の後に行われる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
2つの物品を一緒にねじ合わせることが、受動冷却の後に行われる、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
請求項1〜31のいずれか一項に記載のスレッドロック組成物が適用された物品。
【請求項43】
物品が、ボルトまたはナットである、請求項42に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に、例えば非流動性の実質的に非粘着性のコーティングの形態で予め塗布することができる硬化性組成物に関する。したがって、物品は、長期間にわたって便利に取り扱い、梱包し、運搬し、貯蔵することができ、その後、コーティング(またはその一部)を選択された時間に硬化させることができる。特に重要なのは、嫌気的に硬化する硬化性組成物である。非流動性の、実質的に非粘着性のコーティングの形態で物品に予め適用され、その後嫌気的に硬化され得る組成物が重要である。そのような組成物の1つの最終用途は、ねじゆるみ止め剤(スレッドロッカー、threadlocker)の用途である。
【背景技術】
【0002】
嫌気性接着剤組成物は、一般に周知である。例えば、「Handbook of Adhesive Technology」、29、467〜79頁、A.PizziおよびK.L.Mittal編、Marcel Dekker、Inc.、New York(1994年)のR.D.Rich、「Anaerobic Adhesives」、およびそれに引用されている参考文献を参照のこと。それらの使用は多岐にわたっており、新しい用途の開発が継続されている。
【0003】
嫌気性接着剤系は、酸素の存在下で安定であるが、酸素の非存在下で重合する。重合は、しばしばペルオキシ化合物から生成されるフリーラジカルの存在によって開始される。嫌気性接着剤組成物は、酸素の存在下では、液体の非重合状態のままであり酸素を排除すると固体状態に硬化することができることがよく知られている。
【0004】
多くの場合、嫌気性接着剤系は、既知のウレタン化学に従って誘導された、メタクリレート、エチルアクリレートおよびクロロアクリレートエステル[例えば、ポリエチレングリコールジメタクリレートおよびウレタンアクリレート(例えば、米国特許第3,425,988号(Gorman)])などの重合性アクリレートエステルを末端に有する樹脂モノマーを含む。嫌気性硬化性接着剤組成物中に典型的に存在する他の成分は、開始剤、例えばクメンヒドロペルオキシド、第三ブチルヒドロペルオキシドなどの有機ヒドロペルオキシド、組成物が硬化する速度を高める促進剤、ペルオキシ化合物の分解による接着剤の早期重合を防止するのに役立つために含まれるキノンまたはヒドロキノンなどの安定剤を含む。
【0005】
硬化を誘発し促進する、望ましい嫌気性硬化誘発性組成物は、サッカリン、N,N−ジエチル−p−トルイジン(「DE−p−T」)およびN,N−ジメチル−o−トルイジン(「DM−o−T」)などのトルイジン、アセチルフェニルヒドラジン(「APH」)ならびにマレイン酸を含むことができる。例えば、米国特許第3,218,305号(Krieble)、同第4,180,640号(Melody)、同第4,287,330号(Rich)および同第4,321,349号(Rich)を参照のこと。
【0006】
サッカリンおよびAPHは、嫌気性接着剤硬化系の標準的な硬化促進剤成分として使用されている。現在、Henkel Corporationは、LOCTITEブランドの嫌気性接着剤の大部分に、サッカリンのみ、またはサッカリンとAPHの両方を使用している。
【0007】
嫌気性硬化性接着剤組成物は、一般に、金属イオンを隔離するために使用されるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤も含む。
【0008】
嫌気性硬化性成分を含む嫌気性硬化性組成物の調製は、典型的には液体キャリア成分を含む。したがって、組成物は、典型的には液体の形態であり、例えばアプリケータによって分配することができる。使用のために、嫌気性硬化性成分は、適切なアプリケータによって塗布され、表面上に層またはコーティングを形成する。多くの場合、嫌気性硬化性組成物は、ビーズ、例えば連続ビーズとして適用されてガスケットを形成する。
【0009】
嫌気性硬化性材料は、硬化のために適切な嫌気的条件に曝されるまで、適用後でさえ湿ったままであることが多い。例えば、多くの場合、嫌気性硬化性組成物は液体モノマーを含有する。
【0010】
嫌気性硬化性組成物は、例えば蒸発(乾燥させることによって、または一定期間乾燥させることにより)などにより若干乾燥しても、しばしば濡れて粘着性のままである。これは、材料が適用された物品に接触する物の潜在的汚染、および適用された材料の望ましくない除去をもたらす。後者の懸念は、所望の結合またはシールを形成するのに不十分な量が残る可能性があるため、嫌気性硬化性組成物によって後で形成される任意の結合またはシールの完全性を潜在的に損なう。
【0011】
もちろん、液体キャリヤ材料自体が液体モノマーである場合、それは嫌気的に硬化されるまでその液体形態のままである。従って、これらの組成物は、嫌気性条件への曝露を待つ基材上に適用されても、硬化するまで湿ったままであるか、少なくとも粘着性を保持する。
【0012】
これまで、増粘剤などの追加の成分が流動性が低下するように材料に添加されたが、他の成分は液体であるため、全体の組成物はいくらか流動性および/または粘着性のままである。
【0013】
テープ製品には、たとえばLoctite(登録商標)249 Quicktapeがある。この製品は、非反応性ポリアミド/ポリウレタンフィルムの2つのフィルムの間に挟まれた液体嫌気性スレッドロッカーで構成される。
【0014】
スレッドロック用途での使用に適した組成物を含む組成物は、手で触れるくらいまでの乾燥(接触乾燥:dry to touch)形態で適用することができるが、後の段階の嫌気性硬化機能を用いて適用することができる。これを達成するために、追加の構成要素がしばしば使用される。
【0015】
ある場合には、硬化メカニズムを用いて接触乾燥形態に達する。例えば、第1の硬化メカニズムは、接触乾燥形態を形成することができ、第2の(嫌気性)硬化メカニズムが後で活性化されて硬化を達成する、例えば、ねじ止めを達成する間、組成物を物品上の適所に保持することが可能となる。
【0016】
例えば欧州特許第0 077 659号(Thompson)は、エンジニアリング部品を封止およびロックするための予め塗布された重合可能な流体を記載している。組成物は硬化のための2つのメカニズムを有し、2つの硬化反応が起こる。第1のメカニズムはUV光硬化である。乳白剤は流体中に分散され、流体が放射線に対して実質的に不透明になる。流体が構成要素に適用された後、それはUV放射に曝され、そこでコーティングが形成され、乾燥した粘着性のない外層である表面層を形成する。皮下の流体は、放射線による影響を受けず、一般的に液体の状態のままである。構成要素が他の物にねじ込まれると、表面層が破断し、第2の重合(フリーラジカル重合など)が開始され、第2の硬化反応が起こる。第2の重合メカニズムは、ねじを一緒にロックするように作用する。Thompsonでは、第1の重合で外皮のみが形成され、組成物の残りは外皮の下に液体のままである。したがって、コーティングされたエンジニアリング部品の取り扱い中に外皮が破壊され、液体組成物が漏出する危険性がある。
【0017】
欧州特許第0 548 369号明細書(Usami)は、スクリューのねじ付き接触面に適用するための予め塗布された接着剤組成物を記載している。この組成物は、第2の硬化性組成物が分散された光硬化性バインダーを含む。二次硬化性組成物は、マイクロカプセル化反応性モノマー/活性化剤/開始剤を含む。
【0018】
国際特許出願WO2004/024841 A2(Haller)は、ねじ付き物品に適用するための硬化性組成物を記載している。この組成物は、(a)(メタ)アクリレート官能性モノマー成分、(b)(メタ)アクリレート官能性オリゴマー成分;(c)光開始剤成分とを含む第1の硬化メカニズム成分の分散および(ii)(e)アミン成分および(f)カプセル化されたエポキシ樹脂成分を含む第2の硬化メカニズムの成分を(iii)増粘剤成分と一緒に含む。光開始剤成分は、組成物の照射に適しており、ネジ付き物品に適用された組成物の深さにわたり第1の硬化を達成し、バインダーマトリックスがマトリックスを介して分散された第2の硬化メカニズムの成分を用いて形成される。
【0019】
中国特許公報CN102558490の英文抄録は、(メタ)アクリロイル末端基を有するウレタンまたはポリウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーであるホットメルト可能なプレポリマーを明らかに開示している。プレポリマーの融点は50〜80℃である。ホットメルト可能なプレポリマー、少なくとも1つのアクリル酸エステル基またはメタクリロイル基を含むモノマー、促進剤、安定剤および開始剤から嫌気性接着剤を調製する。液体モノマーをプレポリマーと混合してゲルを形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
最新技術にもかかわらず、スレッドロック用途を含む典型的な最終用途に適した代替の嫌気性硬化性組成物を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、(i)嫌気性硬化性成分であって、
(a)固体樹脂成分および
(b)固体嫌気性硬化性モノマーを含む嫌気性硬化性成分、および
(ii)嫌気性硬化性成分を硬化するための硬化成分を含む嫌気性硬化性組成物であって、組成物は(室温で)固体であり、30℃から100℃の範囲の融点を有する組成物を提供する。
【0022】
本発明は、(i)嫌気性硬化性成分(嫌気性硬化性成分は、任意に固体樹脂成分および固体嫌気性硬化性モノマーを含む)および(ii)嫌気性硬化性成分を硬化するための硬化成分を含むスレッドロック組成物であって、組成物は流動性粒状形態であり、約30℃から約100℃の範囲の融点を有する組成物を提供する。
【0023】
本発明の組成物は、周囲温度で約30℃を超える融点を有する固体である。それは、室温で寸法的に安定であるかまたは非流動性である。例えば、本発明の組成物はゲルではない。
【0024】
硬化成分は、硬化性成分を硬化させるための成分である。
【0025】
本発明の組成物の配合物は、固形の粘着性のない形態で組成物を提供する。本発明の組成物は、スレッドロック配合物としての適用に適している。
【0026】
本発明の組成物の嫌気性硬化性成分、例えば反応性樹脂成分および/または反応性モノマー成分は、他の成分のためのキャリヤとして作用する。
【0027】
本発明の組成物の主な利点の1つは、その成分が実質的に組成物の全重量のほぼ100%、例えば少なくとも80%、望ましくは少なくとも90%の反応性、例えば少なくとも95%反応性である。
【0028】
それ自体が嫌気性硬化に関与する固体樹脂および/または樹脂モノマーのような成分は、他の成分が担持され、例えば分散されたキャリヤ(例えばマトリックス)を形成する。例えば、反応性固体成分を溶融し、一緒にブレンドし、次いで他の成分を添加することができる。従って、いったん(再)固化すると、反応性固体成分は他の成分が保持される固体マトリックスを形成する。
【0029】
本発明の全ての構成要素が固体でなければならないわけではないことは理解されよう。 例えば、硬化成分は液体形態であることが通常である。また、本発明の組成物は、液体形態の嫌気性硬化性モノマーを含むことができる。
【0030】
しかしながら、そのような成分が存在するときはいつでも、本発明の組成物は、固体であるように処方される。
【0031】
液体形態であり得る任意の成分、例えば開始剤またはモノマーがカプセル化されることが望ましい。液体成分をカプセル化することは、カプセル化によって容易になる固体形態での全体の組成物を達成するのに有利である。
【0032】
望ましくは、カプセル化するか否かにかかわらず液体成分は、(組成物の全重量に基づいて重量で)組成物の重量の20%を超えない。
【0033】
融解および再固化は、DSC(示差走査熱量測定)によって測定することができる。
【0034】
本発明の組成物は、いかなる方法でも適用することができる。1つの利点は、本発明の組成物を、溶媒の使用を必要としない方法で製造および/または基材に適用できることである。したがって、溶媒−有機溶媒または水−は必要ではない。
【0035】
これは、組成物のための液体キャリヤの必要性を回避する。
【0036】
本発明の組成物は本質的に乾燥しており、結果的に取り扱い上の利点を有する。例えば、本発明の組成物は粒状形態で流動し、液体キャリヤを必要とせず、基材への適用を達成するために溶媒または水を乾燥除去する必要もない。
【0037】
したがって、例えば生産ライン上での製品のドライハンドリングは、達成可能であり、有利である。いったん(基材に)塗布されると、本発明の組成物も乾燥状態になる。接触乾燥製品は、汚染、汚れ、こぼれ、基材からの組成物の損失などを排除するために取扱いの観点から望ましい。
【0038】
本発明の組成物は、伝統的な嫌気性硬化性組成物と同様に、多くの最終用途を有する。
【0039】
本発明の組成物は、例えば、雌ねじ物品を雄ねじ物品に固定、例えばナットとボルトを固定するためのスレッドロック組成物などの金属−金属結合の用途を有する。密着した合わ(例えば金属の)表面の間に空気が存在しない状態で閉じ込められると、製品は硬化する。ねじの錆や腐食を防ぎ、ショックや振動からのゆるみを防ぐ。
【0040】
本発明の組成物は、保存または取扱い、たとえば、部品に適用した時ですらの出荷に適している。この保存または取り扱いは、例えば組成物がコーティングとして存在する場合、組成物の完全性に悪影響を及ぼさない。
【0041】
例えば自動車産業でのフランジなどのはめ合い表面はこれまで、液体嫌気性硬化性組成物を表面の1つの面に塗布することにより、シールされてきた。次いで、2つの表面、例えばフランジ面が組み立てられ、製品が酸素の非存在下で硬化し、それによってガスケットおよびシールが形成される。
【0042】
本発明は、フランジシールに適する組成物およびフランジシールの方法を提供し、組成物は、(硬化可能な)接触乾燥プレアプライド組成物としてフランジの1つの表面に塗布される。例えば、本発明の組成物は、温かい流動液体として、(溶融によって)例えば80℃で適用され得るが、急速に冷却され、迅速に、例えば5分未満で接触乾燥される。したがって、組み立てられる部品は、片面に予め塗布されたガスケットを有し、部品が組み立てられるまで硬化しない。
【0043】
本発明は、テープとして好適な組成物および組成物を塗布する方法を提供する。これにより、キャリアフィルムおよび基材にテープを適用するプロセスの必要性が回避され、たとえば、ねじ込み部品は、材料を使用する人の手上のフィルム間から液体材料の潜在的なはめ込みを回避する。
【0044】
本発明では、組成物は、それ自体が、追加のキャリヤまたはバッキングフィルムを必要とせず、基材に直接適用される反応性テープまたはフィラメントの形態である固体嫌気性配合物の形態を取ることができる。テープまたはフィラメントは、巻き取ることによって、すなわち現在のPTFEテープまたはねじシールコードと類似の方法で適用することができる。溶融によっても適用することができる。
【0045】
適用された材料を有する得られる物品は接触乾燥であり、アセンブリが必要とされるまで保存することができる。
【0046】
全体的に固体(樹脂、モノマーおよび硬化系)の嫌気性テープまたは細長いフィラメントは、追加のキャリヤまたはバッキングテープを必要としない。過酸化物開始剤は、カプセル化されてもよく、例えば、組み立てプロセス中にマイクロキャップが剪断されたときにのみ放出されてもよい。テープは、金属ボルトなどの基材に室温で塗布することができる。次いで、ナットをボルトの上に締め付け、例えば過酸化物マイクロキャップを破壊することよって、硬化を開始する。
【0047】
本発明の溶融組成物の粘度は、温度を上昇または下降させることによって制御することができる。
【0048】
本発明の組成物は、溶融され、必要に応じてアルミニウム製であってもよいフランジ上の基材上に分配され得る。組成物は、コーティングの形態であってもよい接触乾燥の耐転写性固体材料を製造するための追加の外部冷却方法を必要とせずに、例えば室温で2〜3分以内で急速に固化する。従って、フランジは、便利に、取扱い、梱包され、輸送され、長期間保存され、その後、予め塗布されたシーラントは、はめ合うフランジを有するアセンブリで生じるような嫌気的条件にさらされることによって、硬化することができる。
【0049】
さらに、本発明の組成物は、長期的なオンパート(on−part)安定性を示す。例えば、6ヶ月を超える安定性が達成される。
【0050】
本発明の組成物の更なる利点は、本発明の組成物が別の物品に触れるときにに受刑汚染がないことである。例えば、締め具が、緩く一緒にかつ互いに接触して保管される場合、本発明の組成物の二次汚染は起こらない。
【0051】
本発明に関して、タックフリーとは、接触乾燥を意味し、取り扱い中または使用中に組成物が剥離しない。例えば、本発明の組成物が適用される物品は、接触乾燥でなければならない。本発明の組成物が適用された物品は、そのような物品のうちの20個が乾いたティッシュペーパー上に個々に4時間置かれ、ティッシュの外観に変化がなければ、接触乾燥とみなされる。
【0052】
本発明の組成物を適用するためには、組成物を付着させる方法で物品への組成物の塗布を可能とする十分な溶融を行うことができることは、当業者には理解される。適用のために材料を溶融させることは、組成物の液体キャリアの必要性を回避する。粘着性がなく、接触乾燥という表現は、(融解して)適用し、次いで(再)固化させた後の組成物に関する。物品が接触乾燥していると判断する試験は、組成物がもはや溶融状態になっていない後にのみ行うべきである。例えば、試験は、組成物が適用された後、少なくとも約30分後に実施されるべきである。
【0053】
所望の粒状形態で組成物を提供するために、組成物は、例えば、連続した塊として、最初は非粒子形態であってもよい。それを粒子形態で提供するために、粉砕してもよい。例えば、組成物を微粉化してもよい。
【0054】
本発明の組成物は、約40℃から約100℃の融点を有することができる。
【0055】
本発明の組成物は、約50℃から約100℃の融点を有することができる。
【0056】
そのような温度は、液体ベースの配合物を乾燥させるために利用される温度と好ましくは比較する。
【0057】
組成物全体が固体であり、30℃から100℃の範囲の融点を有するならば、任意の適切な嫌気性硬化性成分を本発明の組成物に使用することができ、および/または粒状形態が約30℃から約100℃の範囲の融点を有する、流動性粒状形態で組成物を提供することを可能にする。
【0058】
嫌気性硬化性成分は、嫌気性硬化性モノマーを含むことができる。嫌気性硬化性成分は、嫌気性硬化性樹脂成分を含むことができる。樹脂成分は、レドックス開始重合によって硬化させる機能を有する。
【0059】
嫌気性硬化性樹脂成分は、約50から約80℃の範囲の融点を有することができる。約30〜約50℃の範囲の再固化点(溶融後)を有することができる。この範囲の再固化点を有することは、周囲温度が30℃以下である場合に材料が再固化することを意味する。したがって、組成物は典型的な周囲条件下で再固化する。再固化は単一の温度では起こらないが、その代わりにある温度範囲にわたって生じることが理解される。いずれにしても、本発明の目的のために、再固化のための終点温度は望ましくは30℃以上であり、すなわち再固化点温度以下の温度に曝されると、組成物はその固体形態に戻る。嫌気性硬化性成分は、嫌気性硬化性モノマーおよび樹脂成分を含んでいてもよい。
【0060】
本発明の組成物において、嫌気性硬化性成分は、別々の/異なる成分の組み合わせであり得る。嫌気性硬化性成分が別々の/異なる成分の組み合わせである場合、嫌気性硬化性成分を形成する成分の2つ以上、または実際にはすべてが約30℃から約100℃の範囲の融点を有することが望ましい。少なくとも2つ、望ましくは全ての成分が約30℃から約100℃の範囲の融点を有することが望ましい。
【0061】
嫌気性硬化性成分が、別々の/異なる成分の組み合わせである場合には、成分の2つ以上または実際には全てが、別々の場合および混合された場合の両方において固体であることが望ましい。
【0062】
嫌気性硬化性成分が、別々の/異なる成分の組み合わせである場合には、少なくとも2つ、望ましくは全ての成分が嫌気的に硬化可能であることが望ましい。2つ以上、望ましくは少なくとも2つの成分が存在する場合には、望ましくはそれらが嫌気的硬化反応に関与する限り機能的である。それらは反応性である。
【0063】
他の成分が嫌気性硬化反応に関与しないことが理解されよう。それらは非反応性である。しかし、このような成分は、他の成分の硬化中にその中に組み込まれた硬化生成物の一部となり得る。
【0064】
本発明の組成物が樹脂成分を含む場合、樹脂は嫌気性硬化性である(組成物の嫌気性硬化に関与する)ことが望ましい。
【0065】
本発明の組成物が樹脂成分および嫌気性硬化性モノマーを含む場合、それぞれ約30℃から約100℃の範囲の融点を有することが望ましい。このような場合、それぞれが固体である。
【0066】
本発明の組成物は、第1の部分が樹脂成分を含み、第2の部分が嫌気性硬化性モノマーを含む少なくとも2つの部分からなる形態で提供されてもよい。
【0067】
本発明の組成物において、嫌気性硬化性成分は、粉末形態で提供されてもよい。
【0068】
本発明の組成物が樹脂成分を含む場合、樹脂成分は、流動性粒状形態、例えば粉末形態で提供されてもよい。
【0069】
本発明の組成物が嫌気性硬化性モノマーを含む場合、嫌気性硬化性モノマーは流動性粒状形態、例えば粉末形態で提供されてもよい。
【0070】
嫌気性硬化性成分が、別々の/異なる成分の組み合わせである場合、嫌気性硬化性成分は、固体ブレンド生成物を形成するために、成分を溶融し、それらを一緒にブレンドすることによって形成された生成物であってもよい。
【0071】
例えば、嫌気性硬化性成分は、樹脂成分と嫌気性硬化性モノマーを溶融し、それらをブレンドして固体ブレンド生成物を形成することによって形成された生成物を含むことができる。
【0072】
本発明の組成物は、固体ブレンド生成物を流動性粒状形態に還元することによって形成された生成物を含むことができる。
【0073】
本発明の組成物において、粒状形態は、約500μm未満の平均粒径を有することが望ましい。例えば、組成物が、約500μm未満の粒径の粒子が通過することができるふるいを通過することが望ましい。粒状形態は、例えば、約20μm〜約500μmの粒径を有することができる。
【0074】
本発明の組成物において、嫌気性硬化性成分は、典型的には、全組成物の約80重量%〜約99重量%、例えば約93〜約97重量%の量で存在する。
【0075】
本発明の組成物が樹脂成分を含む場合、樹脂成分は、ラジカル重合性固体樹脂であってもよい。
【0076】
本発明の組成物が樹脂成分を含む場合、樹脂成分は、組成物の総重量に基づいて約10〜約60重量%、例えば約25〜約50重量%、約20〜約30重量%などの量で存在してもよい。
【0077】
樹脂成分は、約2,000g/mol以上の分子量を有する樹脂から選択することができ、約2,000g/mol以上の分子量を有する(メタ)アクリル化ポリウレタン樹脂、約2,000g/mol以上の分子量を有するノボラック樹脂、約2,000g/mol以上の分子量を有する(メタ)アクリル化ポリエステル樹脂およびそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、樹脂成分は、2,500〜40,000g/molの範囲の分子量を有することができる。樹脂成分は、80℃で約0.5〜約20Pa.sの溶融粘度を有することができる。このような組成物を分配するために、それらを溶融し、次いで冷却することができる。例えば、このような組成物は、スティック形態に形成され、次いで、ホットメルトガンの使用といった適切なアプリケータによって、溶融形態で適用してもよい。
【0078】
本発明の組成物が嫌気性硬化性モノマーを含む場合、それは組成物の総重量に基づいて約40〜約90重量%、例えば約45〜約85重量%、50〜約80重量%、例えば約45重量%〜約70重量%などの量で存在してもよい。嫌気性硬化性モノマーは、2,000g/mol未満の分子量を有するモノマーから選択することができる。
【0079】
嫌気性硬化性モノマーは、望ましくは、少なくとも1つのアクリレートまたはメタクリレートエステル基を含む。
【0080】
本発明の組成物において、嫌気性硬化性成分は、約1000g/mol未満の分子量を有する(メタ)アクリル化ポリウレタン樹脂、カプセル化された(メタ)アクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー、およびそれらの組み合わせのうち、少なくとも1つを含むことができる。
【0081】
1つ以上の反応種がマイクロカプセル化してもよいことは理解されよう。例えば、嫌気性硬化性モノマーは、カプセル化されていてもよい。嫌気性硬化性モノマーが液体である場合、カプセル化は、固体形態の組成物の調製を助ける。
【0082】
一般に、本発明の組成物が液体形態の嫌気性硬化性モノマーを含む場合、これは、存在する全嫌気性硬化性モノマーの50%未満(組成物の全重量に基づく重量による)であろう。主な部分は、固体形態の嫌気性硬化性モノマーである。
【0083】
任意の種が例えばマイクロカプセル化でカプセル化されている場合、それは、微粒子を調製した後の段階で組成物に添加することができる。
例えば、すりつぶし(grinding)後、例えば粉砕(milling)が行われた。これは、カプセル化された材料が、本発明の組成物に組み込む前にカプセル化された形態から放出されないことを意味する。
【0084】
例えば、カプセル化された嫌気性硬化性モノマーの1つは、商品名GRUF Lipocapsules RDで入手可能であり、Lipo Technologies Inc.から入手可能なエトキシル化ビスフェノールAジメタクリレートである。
【0085】
【化1】
式中、mおよびnはそれぞれ独立して整数であり、m+n=2である。
【0086】
カプセル化は、CAS 9011−05−6などの尿素−ホルムアルデヒドポリマーを含めることによって達成することができる。カプセル化は、CAS9000−7−8などのゼラチン材料を含めることによって達成することができる。カプセル化は、CAS番号108−46−3などのレゾルシノール材料(1,3−ベンゼンジオール)を含めることによって達成することができる。同じものの組み合わせをカプセル化に利用することができる。例えば、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレートをカプセル化するために、これらの材料の組み合わせを使用することができる。
【0087】
硬化成分は、典型的には、組成物の総重量に基づいて約0.1〜約10重量%、例えば約1〜約5重量%、例えば約5重量%の量で存在する。
【0088】
嫌気性硬化を誘発および加速する望ましい硬化誘導成分は、サッカリン、N、N−ジエチル−p−トルイジン(「DE−pT」)およびN、N−ジメチル−o−トルイジン(「DM−oT」)などのトルイジン、アセチルフェニルヒドラジン(「APH」)ならびにマレイン酸の1種以上を含んでもよい。例えば、米国特許No.3,218,305(Krieble)、4,180,640(Melody)、4,287,330(Rich)および4,321,349(Rich)を参照。
【0089】
キノンまたはヒドロキノンなどの安定剤が含まれていてもよい。
【0090】
本発明の組成物は、液体キャリヤ成分を有さないことが理解され、従って、本質的に溶媒を含まない、例えば、組成物の総重量に基づいて約1%未満の溶媒、例えば、約0.5%未満の溶媒、例えば、0.05重量%未満、例えば、0.01重量%未満であると考えられる。したがって、本発明の利点は、必要な液体キャリヤを有さず、その結果、組成物がほとんどまたは全く溶媒(例えば、有機溶媒または水)を含まない。
【0091】
本発明で使用するための(ポリウレタン)樹脂成分は、ポリオールとジイソシアネートとを1:多くとも1.6、例えば1:多くとも1.5、例えば約1:1.4、たとえば1:1.36のOH:NCOの比で反応させることによって形成することができる。その反応生成物に、OH:NCOの化学当量比が多くとも1.6:1、例えば多くとも1.5:1、例えば1.4:1の比で(メタ)アクリレートを反応させることができ、OHの量は、以前に添加されたポリオールのものを含む。
【0092】
本発明の組成物は固体であるので、それらは任意の設計された形態/形状で提供できることが理解されるであろう。
【0093】
例えば、本発明は、少なくとも1つの反応性成分を含む嫌気的硬化性組成物を含む製品を提供し、組成物は、固体形態であり、組成物の少なくとも1つの反応性成分によって付与された構造的完全性を有し、構造的完全性は、物品が不具合なく支持されずに取り扱われるのを可能にするのに十分である。
【0094】
本発明の組成物から製造された物品は、望ましくは可撓性である。望ましくは、それは、十分に可撓性であり、それが適用される基材の周りに部分的に巻き付けられるか、または巻き付けられる。
【0095】
例えば、テープ、細長いフィラメント、ガスケット、パッチの形態であれば、十分な可撓性を有することができ、それが適用される基材の周りに部分的に巻き付けられるか、または巻き付けられる。
【0096】
上述のように、材料は固体であるが、反応性であるので、それらは基板上に塗布されない場所で直接取り扱うことができる形態で提供することができるが、代わりに所望の形状/形態で材料自体(およびそれ以外を有さない)からなる物品にすることができる。
【0097】
さらに、製品は、硬化性固体非粘着性形態で提供されてもよい。これは、物品と接触する機器や梱包材などの汚れがないことを意味する。
【0098】
例えば、(例えばホットメルトタイプの用途のための)スティックの形態の嫌気性硬化性材料自体、テープ、細長いフィラメント、ガスケット、パッチ、または他の形態からなる物品を提供することが可能である。本発明の組成物は、溶融形態で適用することができるので、融解し、次いで、例えば押出成形または注型またはモールディングによって所望の形状に成形することができることが理解されよう。材料が固化または再固化すると、それに適用される形状/形態が保持される。
【0099】
スティックディスペンサまたはテープディスペンサを含む、物品をそこからディスペンスすることができるディスペンサの形態の製品を提供することができる。
【0100】
本発明による製品は、本発明の組成物から形成することができる。これは、例えば、本発明の組成物を溶融させ、例えば注型またはモールディングまたは押出しなどにより所望の形態を付与し、組成物を再固化させることによって行うことができる。
【0101】
本発明はまた、ねじ止めされるねじ付き物品のねじにスレッドロック組成物を提供する方法に関し、
(i)本発明の組成物を固体非粘着性形態で提供する工程、
(ii)ねじに溶融によって融解するためにスレッドロック組成物を物品のねじに適用する工程を含む。
【0102】
融解した形態は適用に十分であることが理解されるであろう。液体キャリヤは必要ない。
【0103】
また、組成物自体が溶融するまで加熱されてもよく、適用されるべき基材を加熱して組成物を溶融させてもよく、または組成物を加熱および基材を加熱する組み合わせを利用してもよい。
【0104】
本発明の方法において、ねじ止めされる物品のねじは、スレッドロック組成物を溶融するのに十分な温度に加熱されることが望ましい。
【0105】
本発明の組成物が少なくとも2つの部分からなる形態で提供される場合、それらの2つの部分は別々に適用されてもよい。
【0106】
本発明はまた、2つのねじ付き物品を一緒にスレッドロックする方法もまた提供することが理解され、
(i)本発明のスレッドロック組成物を提供する工程、
(ii)ねじに溶融によって融解するために少なくとも1つの物品のねじにスレッドロック組成物を適用する工程、
(iii)続いて、(任意に能動的冷却または受動的冷却後に)2つの物品を一緒にねじ合わせ(threading)、スレッドロック組成物の嫌気的硬化を開始し、したがって、2つの物品を一緒に化学的に結合させるために組成物を嫌気的に硬化させる工程を含む。
【0107】
本発明は、本発明による組成物が適用された物品、例えばボルトまたはナットにも関する。それは未硬化の形態で、後の嫌気性硬化に適した形態である。
【0108】
本発明の組成物は、(長鎖)メタ(アクリル化)ポリウレタンを(樹脂として)含むことができる。例えば、
【0109】
【化2】
式中、nは、2〜10の整数であり、例えば、約6,000g/molの分子量を有する上記式の化合物は、75〜85℃の融点を有することができる。
【0110】
本発明の組成物は、(樹脂として)たとえば以下のノボラックビニルエステルを含むことができる。
【0111】
【化3】
式中、nは2〜10の整数である。
例えば、約6,000g/molの分子量を有する上記式の化合物は、75〜85℃の融点を有することができる。
【0112】
本発明の組成物は、(嫌気性硬化性モノマーとして)約70〜75℃の融点を有する2−メタクリルオキシエチルフェニルウレタンである以下の化合物を含有してもよい。
【0113】
【化4】
【0114】
しかしながら、本発明の組成物は、短時間後、例えば約30分後に接触乾燥であってもよいことは理解されよう。
【0115】
本発明の組成物は、1つの部分または2つ(またはそれ以上)の部分の組成物として配合することができる。組成物または組成物の各部分は固体であり、場合によっては流動性形態であることが望ましい。例えば、組成物または組成物の各部分が、流動性粒状形態、例えば粉末形態であることが望ましい場合がある。
【0116】
当然のことながら、嫌気性硬化性成分は約30℃〜約100℃の範囲の融点を有し、以下に記載のものを含む、任意の好適な嫌気性硬化性材料(または材料の任意の組み合わせ)から選択することができる。
【0117】
嫌気性硬化性組成物は、適切な(メタ)アクリレート成分に基づく嫌気性硬化性成分を有することができる。
【0118】
1または2以上の適する(メタ)アクリレート成分は、式、HC=CGCO(式中、Gは、水素、ハロゲンまたは1〜約4個の炭素原子を有するアルキル基であってもよく、Rは、1〜約16個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリール、アラルキルまたはアリール基から選択されてもよく、これらの基は任意に、シラン、ケイ素、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、尿素、ウレタン、ポリウレタン、カーボネート、アミン、アミド、硫黄、スルホン酸塩、スルホンなどで場合によっては、置換または遮断されてもよい。)によって表される(メタ)アクリレートモノマーなどから選択されてもよい。
【0119】
1または2以上の適する(メタ)アクリレートモノマーは、これには限定されないが、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレートなどの二官能性または三官能性(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートモノマー、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(「HPMA」)、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(「TMPTMA」)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレンジグリコールジメタクリレート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレンジグリコールジアクリレート、ジグリセロールテトラメタクリレート、テトラメチレンジメタクリレート、エチレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびエトキシル化ビスフェノール−A(メタ)アクリレート(「EBIPMA」)などのビスフェノール−A−モノおよびジ(メタ)アクリレート、およびエトキシル化ビスフェノール−F(メタ)アクリレートなどのビスフェノール−F−モノおよびジ(メタ)アクリレートから選択される。
【0120】
たとえば、嫌気性硬化性成分は、(嫌気性硬化性モノマーとして)おおよそ72から74℃までの融点を有する、以下のビスフェノールAジメタクリレートを含有してもよい。
【0121】
【化5】
【0122】
本明細書で使用することができるさらに他の(メタ)アクリレートモノマーには、その開示が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,605,999号(Chu)によって教示され、特許請求されているようなシリコーン(メタ)アクリレート部分(「SiMA」)が含まれる。
【0123】
他の好適なモノマーには、以下の式で表されるポリアクリレートエステルから選択されてもよい。
【0124】
【化6】
式中、
は、水素、ハロゲンまたは1〜約4個の炭素原子を有するアルキルから選択される基であり;qは、少なくとも1、好ましくは、1〜約4に等しい整数であり;Xは、少なくとも2個の炭素原子を含み、総結合容量がq+1である有機基である。X中の炭素原子の数の上限に関し、本質的にいかなる値でも機能できるモノマーが存在する。しかし、実際、一般的な上限値は、約50個の炭素原子、望ましくは30個、最も望ましくは約20個である。
【0125】
例えば、Xは、以下の式の有機基であってもよい。
【0126】
【化7】
式中、
およびYの各々は、少なくとも2個の炭素原子、望ましくは2個〜約10個の炭素原子を含む有機基、例えば、炭化水素基であり、Zは、有機基、好ましくは少なくとも1個の炭素原子、好ましくは2〜約10個の炭素原子を含む炭化水素基である。
【0127】
他のモノマーは、フランス特許第1,581,361号に開示されているような、ジ−またはトリ−アルキロールアミン(例えば、エタノールアミンまたはプロパノールアミン)とアクリル酸との反応生成物から選択されてもよい。(メタ)アクリレート官能基を有する適するオリゴマーもまた用いてもよい。そのような(メタ)アクリレート官能化オリゴマーの例には、以下の一般式を有するものが含まれる。
【0128】
【化8】
式中、Rは、水素、1〜約4個の炭素原子を有するアルキル、1〜約4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル、または
【0129】
【化9】
から選択される基であり、
は、水素、ハロゲン、または1〜約4個の炭素原子を有するアルキルから選択される基であり;Rは、水素、ヒドロキシルまたは
【0130】
【化10】
であり、
mは、少なくとも1に等しい整数、例えば1〜約15またはそれ以上、望ましくは、1〜約8であり;nは、少なくとも1に等しい整数、例えば1〜約40以上、望ましくは、約2〜約10であり;pは、0または1である。
【0131】
上記一般式に対応するアクリル酸エステルオリゴマーの典型例は、ジ−、トリ−およびテトラエチレングリコールジメタクリレート;ジ(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート;テトラエチレングリコールジアクリレート;テトラエチレングリコールジ(クロロアクリレート);ジグリセロールジアクリレート;ジグリセロールテトラメタクリレート;ブチレングリコールジメタクリレート;ネオペンチルグリコールジアクリレート;およびトリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
【0132】
ジ−および他のポリアクリレートエステル、特に前の段落に記載されたポリアクリレートエステルが望ましいが、単官能性アクリレートエステル(1つのアクリレート基を含むエステル)も使用できる。
【0133】
適切な化合物は、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、およびクロロエチルメタクリレートから選択することができる。
【0134】
別の有用な種類の材料は、イソシアネート基のすべてをウレタンまたはウレイド基にそれぞれ変換するための、(メタ)アクリレート官能化、ヒドロキシルまたはアミノ含有材料とポリイソシアネートとの反応生成物である。
【0135】
このように形成された(メタ)アクリレートウレタンまたは尿素エステルは、その非アクリレート部分にヒドロキシまたはアミノ官能基を含むことができる。使用に適する(メタ)アクリレートエステルは、以下の式のものから選択することができる。
【0136】
【化11】
式中、
Xは、−O−および
【0137】
【化12】
から選択され、
は、水素または1〜7個の炭素原子を有する低級アルキルから選択され;Rは、水素、ハロゲン(例えば塩素)またはアルキル(例えばメチルおよびエチル基)から選択され、Rは、1〜8個の炭素原子を有するアルキレン、フェニレンおよびナフチレンから選択される二価の有機基である。
【0138】
これらの基は、ポリイソシアネートとの適切な反応の際に、以下の一般式のモノマーを生成する。
【0139】
【化13】
式中、nは、2〜約6の整数であり;Bは、置換および非置換の両方のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルカリール、アルカリールおよび複素環式基、およびそれらの組み合わせから選択される多価有機基であり;R、RおよびXは上記の意味を有する。
【0140】
Bの特性に依存して、尿素またはウレタン結合を有するこれらの(メタ)アクリレートエステルは、それらをオリゴマークラス(約1,000g/mol〜約5,000g/molなど)またはポリマークラス(例えば、約5,000g/mol以上)である分子量を有してもよい。
【0141】
もちろん、これらの(メタ)アクリレートモノマーの組み合わせも使用することができる。
【0142】
望ましくは、嫌気性硬化性成分は、少なくとも1つのアクリレートまたはメタクリレートエステル基を含む。
【0143】
望ましくは、嫌気性硬化性成分は、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノール−A−(メタ)アクリレート、ビスフェノール−F−(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノール−F−(メタ)アクリレート、ビスフェノール−Aジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−F−ジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノール−F−ジ(メタ)アクリレート等の少なくとも1つから選択される。
【0144】
例えば、嫌気性硬化性成分は、(嫌気性硬化性モノマーとして)ヒドロキシエチルメタクリレートでキャップされたジイソシアネート、例えば:
約72〜74℃の融点を有するHEMA−IPDI−HEMAである、
【0145】
【化14】
【0146】
:または約75〜85℃の融点を有するHEMA−hMDI−HEMAである、
【0147】
【化15】
【0148】
:または約75〜85℃の融点を有するHEMA−6HXDI−HEMA(この物質は以下の実施例では「RRT600」である)である、
【0149】
【化16】
【0150】
:または約75〜約85℃の範囲の融点を有するグリセロールジメタクリレート−6HXDI−グリセロールジメタクリレート(この物質は以下の実施例では「4RRT600」である)である、
【0151】
【化17】
などが挙げられる。
【0152】
本発明の組成物はまた、フリーラジカル開始剤、フリーラジカル促進剤、フリーラジカル発生の阻害剤などの他の従来の成分、ならびに鉄および銅などの金属触媒を含むことができる。
【0153】
フリーラジカル重合の多くの周知の開始剤、限定されるものではないが、CHP、パラメンタンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド(「TBH」)およびt−ブチルペルベンゾエートなどのヒドロペルオキシドなどを本発明の組成物に組み込むことができる。他の過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、1,3ビス(t−ブチルパーオキイソプロピル)ベンゼン、過酸化ジアセチル、4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)吉草酸ブチル、p−クロロベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシへクス−3−イン、4−メチル−2,2−ジ−t−ブチルペルオキシペンタン及びこれらの組み合わせからなる。
【0154】
このような過酸化物化合物は、典型的には、組成物の総重量に基づいて約0.1〜約10重量%の範囲で本発明で使用され、約1〜約5重量%が望ましい。
【0155】
所望により、開始剤成分は、カプセル化されていてもよい。例えば、開始剤成分は、カプセル化された過酸化ベンゾイルなどのカプセル化された過酸化物であってもよい。
【0156】
本発明の組成物は、増粘剤および/または充填剤をさらに含むことができる。
【0157】
上記のように、本発明の組成物は、樹脂を含む非反応性種を含むことができることが理解されよう。このような成分は、嫌気硬化反応に関与しない。それらは非反応性である。
【0158】
しかし、このような成分は、他の成分の硬化中にその中に組み込まれた硬化生成物の一部となり得る。そのような非反応性種の例としては、ヒュームドシリカ、ポリエチレン、PTFE、マイカ、ポリアミドワックス、二酸化チタン、硫酸バリウムが挙げられる。
【0159】
本発明はまた、本発明の嫌気性接着剤組成物、ならびに組成物の反応生成物を調製および使用する方法を提供する。
【0160】
本発明の組成物は、当業者に周知の従来の方法を用いて調製することができる。例えば、本発明の組成物の成分は、成分が組成物中で果たすべき役割および機能と一致する任意の都合のよい順序で一緒に混合され得る。公知の装置を用いた従来の混合技術を使用することができる。
【0161】
(メタ)アクリレート成分は、組成物の総重量に基づいて、例えば約45〜約85重量%、約45〜約70重量%などの組成物の約25〜約95重量%または組成物の約40〜約90重量%を構成してもよい。
【0162】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0163】
図1図1は、以下の例1に示す、ナット及びボルトアセンブリに対して達成された平均破壊トルク(Nm)を示す図である。
図2図2は、以下の例2に示す、ナット及びボルトアセンブリに対して達成された平均破壊トルク(Nm)を示す図である。
図3図3は、以下の例3に示す、ナット及びボルトアセンブリに対して達成された平均破壊トルク(Nm)を示す図である。
図4図4は、以下の例4に示す、ナット及びボルトアセンブリに対して達成された平均破壊トルク(Nm)を示す図である。
図5図5は、以下の例5に示す、ナット及びボルトアセンブリに対して達成された平均破壊トルク(Nm)を示す図である。
図6図6は、以下の例6に示す、ナット及びボルトアセンブリに対して達成された平均破壊トルク(Nm)を示す図である。
図7図7は、以下の例7に示す、ナット及びボルトアセンブリに対して達成された平均破壊トルク(Nm)を示す図である。
図8図8は、以下の例の試験結果を示し、異なる基材に対する平均破壊トルク(Nm)を示す。
図9図9は、以下の例の試験結果を示し、異なる基材に対する平均破壊トルク(Nm)を示す。
図10図10は、以下の例の試験結果を示し、異なる基材に対する平均破壊トルク(Nm)を示す。
図11図11は、以下の例の試験結果を示し、異なる基材に対する平均破壊トルク(Nm)を示す。
図12図12は、以下の例の試験結果を示し、異なる基材に対する平均破壊トルク(Nm)を示す。
図13図13は、以下の例の試験結果を示し、異なる温度でのリン酸亜鉛の平均破壊トルク(Nm)を示す。
図14図14は、以下の例の試験結果を示し、異なる温度でのリン酸亜鉛の平均破壊トルク(Nm)を示す。
図15図15は、以下の例の試験結果を示し、リン酸亜鉛の平均破壊トルク(単位:Nm)を示す。
図16図16は、以下の例の試験結果を示し、黒色酸化物ボルトおよび軟鋼ナットの平均破壊トルク(単位:Nm)を示す。
図17図17は、以下の例の試験結果を示し、異なる温度でのリン酸亜鉛の平均破壊トルク(単位:Nm)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0164】
<詳細な説明>
(100%)固体嫌気性配合物を配合するための基準と考えられる組成物の例を以下の表1に示す:
【0165】
【表1】
【0166】
樹脂およびモノマーは、一般に、室温で固体形態であり、100℃より低い融点を有する。上記モノマー成分は、望ましくは全て固体モノマーであるが、必要に応じて(組成物全体の重量の)約20%までの液体モノマーを含むことができる。液体モノマーは、液体として組成物に直接添加してもよく、またはカプセル化してもよい。カプセル化された場合、カプセル化されたモノマーは(組成物全体の重量の)約20%までの量で存在することができる。
【0167】
使用可能な材料のタイプの一般的な例を以下の表2に示す。
【0168】
【表2】
【0169】
<調製>
原材料は、個々の成分の融点より少し上の温度で共に配合される。配合物が均一な外観を有する場合、それを室温まで冷却してもよい。この時点で、それは固体である。次いで、この固体を粉砕して微粉末(粒径20〜500μm)にする。これは、極低温ボールミルを用いて達成することができる。得られる粉末は自由流動性であり、大きな凝集体を含まない。
【0170】
<適用>
被覆されるべき基材は、ほとんどの場合ボルトであり、約80℃まで加熱される。粉末は熱いボルトに分配される。熱いボルトに触れると、粉末は溶けて、ボルトのネジ山の周りを流れる。生成されたカバレッジの程度は、ボルト温度、粉末の溶融粘度などの様々な要因によって制御することができる。ボルトの温度が低下すると、コーティングは凝固する。例えば基材を冷凍庫に置くなどの能動的な冷却によって、このプロセスを迅速化することができる。
【0171】
したがって、本発明の組成物は、微粉末として提供され得る。それは100℃未満の温度で適用することができる。適用される粒子状物質の量は当該塗布に適合するように変化させることができるので、それは可変プロファイルを有することができる。それは嫌気性硬化系であるので、空気の存在下での硬化は不可能であり、酸素(空気)が排除される環境に置かれるまで、本発明の組成物が大きな安定性を示すことを意味する。それは優れた耐振性を示す。それはまた、改善された熱性能を示す。また、向上した耐薬品性も有する。また、例えば、現在の調剤装置を変更することなく、現行のアプリケーションシステムと共に利用することもできる。
【実施例】
【0172】
以下の例1〜7の配合物は、上記の「調製」の記載に従って調製し、「適用」という見出しに従いボルトに適用した。
【0173】
試験は、M10×1.5ボルトに適用して実施した(例1〜7)。以下の3つの異なる基材を試験した。
1)軟鋼製ナット付きの黒色酸化物被覆軟鋼ボルト(BO/MS)
2)リン酸亜鉛被覆軟鋼ナットとボルト(ZnP)
3)ステンレス鋼ナットとボルト(SS)
【0174】
各試験について、これらのボルトのうちの5つを使用し、平均値をとった。次いで、上記のような適切なタイプのナットを、ボルトに1N.mより大きいトルクで適用し、嫌気的硬化を開始した。少なくとも60分後、ナットをボルトに対して動かすのに必要な平均破壊トルクをISO 10964に従って測定した。ナット及びボルトアセンブリが準備された24時間及び72時間後に破壊トルクを再び測定した。例1〜7の試験結果を図1〜7に示す。
【0175】
すべてのパーセンテージは、組成物の総重量に基づく重量パーセントである。
【0176】
【表3】
【0177】
例1による本発明の組成物を用いた試験の結果を図1に示す。
【0178】
【表4】
【0179】
例2による本発明の組成物を用いた試験の結果を図2に示す。
【0180】
【表5】
【0181】
例3による本発明の組成物を用いた試験の結果を図3に示す。
【0182】
【表6】
【0183】
例4による本発明の組成物を用いた試験の結果を図4に示す。
【0184】
【表7】
【0185】
例5による本発明の組成物を用いた試験の結果を図5に示す。
【0186】
【表8】
【0187】
例6による本発明の組成物を用いた試験の結果を図6に示す。
【0188】
【表9】
【0189】
例7による本発明の組成物を用いた試験の結果を図7に示す。
【0190】
上記例1〜7に詳述した嫌気性硬化性組成物は、基材、すなわち黒色酸化物被覆軟鋼、リン酸亜鉛被覆軟鋼およびステンレス鋼において優れた接着性能を提供した。完全硬化強度は、ナット及びボルトアセンブリが調製されてから72時間以内に達成された。これは、ISO 10964に従って破壊トルク値を測定することによって確認され、その結果は図1〜7に示される。これは、流動可能な粒状形態の嫌気性硬化性組成物の最初の既知の例であるため、直接の比較はできないが、このねじゆるみ止め組成物の性能は、標準的な液体嫌気性または他の予め適用されたねじゆるみ止め組成物と少なくとも同等である。
【0191】
例8樹脂および原材料
樹脂合成に使用される出発物質の例:
【0192】
ポリオール:
EvonikからDynacollの商品名、たとえば、Dynacoll 7380,7381,7362で入手可能な(半)結晶性ポリエステルポリオール
【0193】
イソシアネート:
トルエンジイソシアネート
メチレンジフェニルイソシアネート
水素化キシリレンジイソシアネート
【0194】
キャッピング剤:
ヒドロキシエチルメタクリレート
グリセロールジメタクリレート
【0195】
樹脂合成例:
反応容器にDynacoll 7380(90.89g)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)(0.03g)、MEHQ(4−メトキシフェノール)(0.03g)およびリン酸(0.007g)を入れ、120℃に加熱しながら混合した。許容される温度を低下させ、100℃で20分間混合した。混合しながらDBTDL(ジブチル錫ジラウレート)(0.037g)を添加し、次いでTDI(トルエンジイソシアネート)(6.28g)を容器にゆっくりと添加し、反応中、温度を100℃に維持した。2〜3時間、または重量%イソシアネート(NCO)が平衡に達するまで、継続して混合した。残りのNCOについて滴定した。力価に基づいて必要なHEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)(〜2.5g)の90%を加えた。DBTDL(0.037g)を加えた。3時間反応させ、滴定によりNCO消費量をモニターした。残りのNCOのパーセンテージが0.2%より上である場合、計算されたHEMAの第2回の添加をした。NCO含量が0.2%未満である場合、反応を停止させた。
【0196】
例9
上記例8で調製した樹脂を他の成分と共に配合して、以下のように本発明の組成物を形成した。
【0197】
【表10】
【0198】
ISO 10964に従って実施された異なる基材上の硬化速度の結果を図8に示す。
【0199】
例10
上記例8で調製した樹脂を他の成分と共に配合して、以下のように本発明の組成物を形成した。
【0200】
【表11】
【0201】
ISO 10964に従って実施された異なる基材上での硬化速度の結果を図9に示す。
【0202】
例11
上記例8で調製した樹脂を他の成分と共に配合して、以下のように本発明の組成物を形成した。
【0203】
【表12】
【0204】
ISO 10946に従って実施された異なる基材上での硬化速度の結果を図10に示す。
【0205】
例12
上記例8で調製した樹脂を他の成分と共に配合して、以下のように本発明の組成物を形成した。
【0206】
【表13】
【0207】
ISO 10964に従って実施された異なる基材上の硬化速度の結果を図11に示す。
例13
上記例8で調製した樹脂を他の成分と共に配合して、以下のように本発明の組成物を形成した。
【0208】
【表14】
【0209】
ISO 10964に従って実施された異なる基材上の破損トルクの結果を図12に示す。
例14
上記例8で調製した樹脂を他の成分と共に配合して、以下のように本発明の組成物を形成した。
【0210】
【表15】
【0211】
ISO 10964に従って実施されたリン酸亜鉛の熱間強度の結果を図13に示す。
【0212】
例15
上記例8で調製した樹脂を他の成分と共に配合して、以下のように本発明の組成物を形成した。
【0213】
【表16】
【0214】
ISO 10964に従って実施されたリン酸亜鉛の熱間強度の結果を図14に示す。
【0215】
例16
予め塗布されたフランジシーラント配合物として使用するための以下の組成を有する本発明の組成物を調製した。:
【0216】
【表17】
【0217】
クメンヒドロペルオキシドおよびパラメンタンヒドロペルオキシドなどの典型的な過酸化物を有する配合物もまた、上記配合物中のベンゾイルペルオキシドマイクロキャップの代わりに使用することができる。
【0218】
この予め塗布されたフランジシーラント配合物を、ロボットに取り付けられたホットメルト分配システムを使用して、80℃の嵌合フランジのアルミニウム表面上に塗布し、冷却した。材料は5分未満以内に指触乾燥する。
【0219】
はめ合わせ部品は組み立てられ、10Nmまでトルクを下げた。組み立ての2分後にインスタントシール試験を実施した。1バール(0.1MPa)の圧力で空気に対して試験したとき漏れはなかった。次いで、生成物を室温で24時間硬化させた。さらに6バール(0.6MPa)で空気に対して1時間の圧力試験を行った。再び漏れは観察されなかった。
【0220】
予め塗布されたフランジシーラント配合物を1つの重ね剪断面に適用し、4バール(0.4MPa)の圧力を適用し、第2の重ね剪断で接合部を組み立てることにより、ISO 4587に従って接着力(引張強度)を測定した。
【0221】
室温で72時間硬化させた後、結果を下記に示す。
【0222】
【表18】
【0223】
例17
【0224】
配合物を以下のように調製した:
【0225】
【表19】
【0226】
この配合物を80℃に加熱し、溶融した材料のサンプルを2枚のガラスプレートの間に置き、クランプした。ギャップ線(250μm)をガラス板の間に配置して、平滑なフィルムを作るための間隔を設けた。溶融した嫌気性配合物有するガラスプレートを再びオーブンに20分間入れて、配合物が広がるようにし、平らで薄いフィルムを得た。プレートをオーブンから取り出し、冷却した。室温で、固体テープ/フィルムを細片に切断し、必要に応じてねじ部分に塗布した。
【0227】
次いで、テープを(リン酸亜鉛)ZnPボルトに塗布し、その後、ナットにトルクを加えた。この場合はテープ形態で本発明の組成物に適用するために、溶融は必要でないことに留意されたい。テープ/フィルムを冷たいZnPボルトに塗布した。(固体の)接着テープを塗布するのに熱を必要としなかった。それは塗布を可能にするのに十分柔軟である。次いで組成物を室温で16〜17時間硬化させた。
【0228】
調製された最初のサンプルは上記の処方を有するが、過酸化物マイクロキャップは存在しなかった。破壊トルクはISO 10964に従って試験し、結果は以下の通りである。
【0229】
【表20】
【0230】
今回、過酸化物マイクロキャップを含む第2のサンプルを調製した。この第2の配合物は、過酸化物マイクロキャップを含み、以下のようにトルク強度の有意な増加を示す:
【0231】
【表21】
【0232】
2つの配合物の平均破壊トルクの比較を図15に示す。
【0233】
例18
テープを、例16で上述したように、以下の例18の配合物を用いて調製した:
【0234】
【表22】
【0235】
このテープを黒色酸化物ボルトおよび軟鋼ナットに塗布し、室温(RT)で1時間、一晩(24時間)、および一週間(168時間)硬化させた。破壊トルクはISO 10964に従って試験し、結果は以下の通りである。
【0236】
【表23】
【0237】
これらの試験の平均破壊トルクの比較を図16に示す。
【0238】
例19
【0239】
テープを、例16で上述したように、以下の例19の配合を用いて調製した。
【0240】
【表24】
【0241】
テープをZnPナットおよびボルトに塗布し、室温(RT)で一晩(24時間)硬化させた。破壊トルクは、様々な温度でISO 10964に従って試験し、結果は以下の通りである。
【0242】
【表25】
【0243】
熱間強度
24時間硬化させ、100℃で試験したサンプル
【0244】
【表26】
【0245】
24時間硬化させ、120℃で試験したサンプル
【0246】
【表27】
【0247】
24時間硬化させ、150℃で試験したサンプル
【0248】
【表28】
【0249】
これらの試験の平均破壊トルクの比較を図17に示す。
【0250】
例では:
メタクリル化PU樹脂は、メタクリレート末端ウレタンポリエステル樹脂(M.W.=5,000g/mol)である(上記の考察を参照のこと)。
CHPは、クメンヒドロペルオキシドである。
ノボラックビニルエステル樹脂は、約6,000g/モルの分子量を有するフェノールホルムアルデヒドノボラックビニルエステル樹脂(上記の考察を参照のこと)である。
BPOキャップは、ベンゾイルパーオキシドマイクロカプセルである。
E2BDMAマイクロキャップは、尿素/ホルムアルデヒドシェル中のエトキシル化ビスフェノールAジメタクリレートである。
【0251】
本発明を参照して使用される場合、“含む/含んでいる”および“有する/含んでいる”という語は、記述された特徴、整数、ステップまたは成分が存在することを特定するために使用されるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、成分またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。
【0252】
明確にするために別個の実施形態の文脈で説明された本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において、組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔のために、単一の実施形態の文脈で説明された本発明の様々な特徴は、別個にまたは任意の適切なサブコンビネーションで提供されることもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17