【文献】
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【文献】
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【文献】
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【文献】
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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プローブパネルは、さらに、HE4、AGR2、CHGA、LRG1、抗ANXA1、抗UBQLN1、IL6、IL8、CXCL2、DEFB1、FGF2、CD97、PPBP、PCT、RAGE、S100A4、S100A8/A9、OPN、およびそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された1つ以上の追加分析物と結合するためのプローブを有し、
前記1つ以上の追加分析物と前記プローブパネルのプローブとの結合の有無を検出して、前記被検体の循環分析物プロファイルを産生するステップを含む請求項1または請求項2に記載の方法。
前記プローブパネルは、さらに、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上の追加分析物に、または前記追加分析物の各々に、結合するためのプローブを有する請求項3に記載の方法。
その表面に取り付けられた捕捉プローブを有する前記2つ以上の磁気センサーのうち各々は、同じ2つ以上の分析物と結合するための捕捉プローブを有する請求項21に記載の方法。
分析物と前記プローブパネルのプローブとの結合の有無を検出するステップは、捕捉された分析物に結合された磁気ラベル付き検出試薬を検出するステップを含む請求項20に記載の方法。
前記磁気ラベル付き検出試薬は、捕捉プローブ、分析物、分析物に特異的に結合した第1検出試薬、および第1検出試薬に結合された磁気ラベル付き検出試薬からなる複合体の一部分である請求項26に記載の方法。
分析物と前記プローブパネルのプローブとの結合の有無を検出するステップは、磁気ラベル付き検出試薬によって誘起された磁気抵抗素子中の抵抗値変化を検出するステップを含む請求項23に記載の方法。
前記捕捉プローブパネルは、さらに、HE4、AGR2、CHGA、LRG1、抗ANXA1、抗UBQLN1、IL6、IL8、CXCL2、DEFB1、FGF2、CD97、PPBP、PCT、RAGE、S100A4、S100A8/A9、OPN、およびそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された1つ以上の追加分析物と結合するためのプローブを有する請求項29に記載のセンサー装置。
前記捕捉プローブパネルは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上の追加分析物に、または前記追加分析物の各々に、結合するためのプローブを有する請求項30に記載のセンサー装置。
その表面に取り付けられた捕捉プローブを有する前記2つ以上の磁気センサーのうち各々は、同じ分析物と結合するための捕捉プローブを有する請求項40に記載のセンサー装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
被検体の循環分析物プロファイルを産生する方法が提供される。本方法は、被検体からの血液サンプルを分析物と特異結合するためプローブパネルに接触させるステップと、プローブパネルのプローブと分析物との結合の有無を検出するステップとを含む。また、捕捉プローブパネルを有し、および例えば本開示の方法を実行するために有益なセンサー装置を備える。
【0008】
本発明をさらに詳細に記述する前に、本発明は説明されている、もちろん変更し得る特定の実施形態に限定されないことが理解されるべきである。また本開示で使用されている用語は特定の実施形態を説明するためだけのものであり、および本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ制限されるので、用語に制限する意図はないと理解されるべきである。
【0009】
値範囲が与えられている場合、各介在値は、文脈上明らかに別段の規定がない限り、下限値の単位の1/10までその範囲の上下限の間にあり、およびその記載範囲内の他の任意の記載値または介在値は本発明内に含まれると理解されるべきである。このような小範囲の上下限は、別途小範囲に含まれ得るが、およびまた本発明内に含まれ、この記載範囲において特別に除外された限度の適用を受ける。この記載範囲が限度の一方または両方を含む場合、またその含まれる限度の一方または両方を除外する範囲も本発明内に含まれる。
【0010】
特定の範囲は、「約」という用語が前に付いた数値を用いて本開示で呈示される場合がある。本開示では用語「約」は、後続の正確な数を文字通り指示すると共に、後続の数に近い数またはその概算の数も指示するために使用される。ある数が特別に記載された数の近傍またはその数の概算であるか否かの判定において、非記載の数の近傍または非記載の数の概算の数は、その数が呈示された文脈において特別に記載された数に実質的に相当する数を提示する数である。
【0011】
別途規定がない限り、本開示で使用されている技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を持つ。本開示に記載のものと同様または同等の方法または材料は本発明の実施またはテストのために使用され得るが、ここでは代表的例示的方法および材料が記述される。
【0012】
本明細書において引用されたすべての公示および特許は、あたかも個々の公示または特許を特別に個別に参照によって組み込むことを指示されたかのように参照によってここに組み込まれるが、および参照によってここに組み込まれることで、公示が関連して引用されるところの方法および/または材料を開示し、記述する。任意の公示の引用は本出願日に先立って開示するためであり、および本発明は先願発明によるそのような公示に先行する資格がないということの承認として解釈されてはならない。さらに、与えられた公示期日は実際の公示日と異なり得るが、これは別途確認される必要がある。
【0013】
本明細書および特許請求の範囲に言う単数形
「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別段の規定がない限り、複数の指示対象を含むということに留意されたい。さらに特許請求の範囲は、任意のオプション要素を除外するように起草され得ることに留意されたい。従って本明細書は、請求項要素の列挙に関連して、または「否定的」制限の使用に関連して、「もっぱら」、「のみ」、および同種の用語などのそのような排他的用語を使用するための先行詞の役割を果すことを目的とする。
【0014】
明確にするためにいうと、別々の実施形態という文脈で記述されている本発明の特定の諸特徴も、また単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが認識されよう。逆に簡潔にいうと、単一の実施形態という文脈で記述されている本発明の様々な特徴も、また個別にまたは任意の好適な下位組み合わせにおいて提供され得る。実施形態のすべての組み合わせは、おのおのの組み合わせおよびすべての組み合わせが個別に明示的に開示されたかのように、そのような組み合わせが実施可能な処理および/または装置/システム/キットを包含する範囲内において、本発明によって特別に包含されており、およびここに開示される。加えて、そのような可変型を記述する実施形態中でリストに記載されたすべての下位組み合わせもまた、おのおのおよびすべての化学基の下位組み合わせが個別に明示的に開示されたかのように、本発明によって特別に包含されており、およびここに開示される。
【0015】
本開示を読み取ることで当業者には明らかなように、本開示で説明され図示された個々の実施形態のおのおのには個別の構成部品および特性があり、その構成部品および特性は容易に、本発明の範囲または精神から逸脱せずに、他のいくつかの実施形態の任意の特性から分離、または任意の特性と組み合わせ得る。記載されている任意の方法は、記載されている事象の順序で、または任意の他の論理的に可能な順序で、実施され得る。
【0016】
方法
本開示の態様は、被検体の循環分析物プロファイルを産生する方法を含む。本方法は、被検体からの血液サンプルを分析物と特異結合するためプローブパネルに接触させるステップと、プローブパネルのプローブと分析物との結合の有無を検出するステップとを含む。特定の態様において、検出ステップは被検出分析物を定量化するステップを含む。
【0017】
循環分析物プロファイルは、多様な被検体のうち、任意のものから得られた血液サンプル(例えば全血サンプル、血漿サンプル、または血清サンプル)から産生され得る。概してそのような被検体は「哺乳動物」または「哺乳動物の」であり、ここでこのような用語は広く、食肉目(例えば犬、猫)、齧歯目(例えばハツカネズミ、モルモット、およびネズミ)、および霊長目(例えば人、チンパンジー、および猿)を含む哺乳類という種に属する有機体を記述するために使用される。いくつかの実施形態において、循環分析物プロファイルは人の被検体から得られた血液サンプルから産生される。
【0018】
プローブパネルのプローブは、対象分析物に特異的に結合する任意の分子であり得る。対象分析物は、蛋白質(非抗体蛋白質、抗体蛋白質、などを含む)、核酸(例えば腫瘍DNAまたはRNA)、および細胞(例えば循環腫瘍細胞)を含むが、それだけに限らない。プローブパネルのプローブは、被検出分析物の性質に応じて選択され得る。例えば、2つ以上の分析物のうち1つが蛋白質(例えば非抗体蛋白質または抗体蛋白質)であれば、抗体、配位子、またはその蛋白質に特異的に結合するもの等は、プローブパネル中のプローブとして採用され得る。2つ以上の分析物のうち1つが抗体であれば、その抗体に対応する抗原は、プローブパネル中のプローブとして採用され得る。2つ以上の分析物のうち1つが核酸であれば、その核酸の一意の領域を十分に相補して所望の接触状態において特異結合を達成する核酸は、例えばプローブパネル中のプローブとして採用され得る。蛋白質(例えば核酸結合蛋白質、抗体、および同種のもの)も、また核酸分析物に結合するために採用され得る。
【0019】
用語「結合」は、例えば共有結合性、静電的、疏水性、イオン性および/または水素結合性の相互作用による2つの分子間の直接の関連性を指す。プローブパネルのプローブは、対応する分析物に特異的に結合する。非特異結合(NSB)は通常、サンプル中の他の様々な抗原など、その相同抗原以外のものへの抗体の結合を指す。特定のアッセイ条件のもとで、NSBは例えば10
-6M、10
-5M、10
-4Mの親和性による結合など、約10
-7M未満の親和性による結合を指す。
【0020】
プローブパネルは、一意の対象循環分析物の数に特異結合するために好適な数のプローブを有する。特定の実施形態によると、プローブパネルは2〜5個の分析物、6〜10個の分析物、10〜15個の分析物、15〜20個の分析物、20〜25個の分析物、25〜30個の分析物、30〜35個の分析物、35〜40個の分析物、40〜45個の分析物、45〜50個の分析物、50〜60個の分析物、60〜70個の分析物、70〜80個の分析物、80〜90個の分析物、90〜100個の分析物、100〜200個の分析物、200〜300個の分析物、300〜400個の分析物、400〜500個の分析物、または500〜1000個の分析物に特異結合するために好適な数のプローブを有する。
【0021】
特定の態様において、プローブパネルは2つ以上の一意の循環対象分析物に特異結合するためのプローブを有し、そのパネルは1000個以下、500個以下、400個以下、300個以下、200個以下、100個以下、75個以下、50個以下、40個以下、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、10個以下、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3つ、または2つの一意の循環対象分析物に特異結合するためのプローブを有する。
【0022】
特定の実施形態によると、プローブパネルは、組織性メタロプロテアーゼ阻害因子1(TIMP1)、抗アンジオポエチン様タンパク質3抗体(抗ANGPTL3)、上皮成長因子受容体(EGFR)、プロサーファクタントタンパク質B(ProSB)、抗14−3−3タンパク質シータ抗体(抗YWHAQ)、抗ラミニンアルファ1抗体(抗LAMR1)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、アンテリアグラジエントタンパク質2(AGR2)、クロモグラニンA(CHGA)、ロイシンリッチα2糖蛋白質1(LRG1)、抗アネキシン1抗体(抗ANXA1)、抗ユビキチン1抗体(抗UBQLN1)、インターロイキン6(IL6)、インターロイキン8(IL8)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)配位子(CXCL2)、βデフェンシン1(DEFB1)、繊維芽細胞増殖因子2(FGF2)、分化クラスター97(CD97)、プロプラテレット塩基性蛋白質(PPBP)、プロカルシトニン(PCT)、終末糖化産物受容体(RAGE)、S100カルシウム結合タンパク質A4(S100A4)、S100カルシウム結合タンパク質A8/A9(S100A8/A9)、オステオポンチン(OPN)、およびそれらの組み合わせ、から選択された2つ以上の循環分析物に特異結合するためのプローブを有する。
【0023】
特定の態様においてプローブパネルは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23個の分析物に、またはTIMP1、抗ANGPTL3、EGFR、ProSB、抗YWHAQ、抗LAMR1、HE4、AGR2、CHGA、LRG1、抗ANXA1、抗UBQLN1、IL6、IL8、CXCL2、DEFB1、FGF2、CD97、PPBP、PCT、RAGE、S100A4、S100A8/A9、およびOPNの各々に任意の所望の組み合わせにおいて、特異結合するためのプローブを有する。特定の実施形態によると、そのようなプローブパネルは、50個以下、40個以下、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、10個以下、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3、または2の一意の分析物に結合するためのプローブを有する。
【0024】
特定の実施形態によると、プローブパネルは、2、3、4、5個の分析物に、またはTIMP1、抗ANGPTL3、EGFR、ProSB、抗YWHAQ、および抗LAMR1の各々に、特異結合するためのプローブを有する。そのようなパネルは、1つ以上の追加の一意の循環分析物(例えば20以下の追加分析物)に特異結合するための1つ以上のプローブを有し得る。追加分析物は、HE4、AGR2、CHGA、LRG1、抗ANXA1、抗UBQLN1、IL6、IL8、CXCL2、DEFB1、FGF2、CD97、PPBP、PCT、RAGE、S100A4、S100A8/A9、OPN、およびそれらの任意の組み合わせから、選択され得る。プローブパネルは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上の追加分析物に、または追加分析物の各々に、結合するためのプローブを有し得る。そのようなプローブパネルは、50個以下、40個以下、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、10個以下、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下、5つ以下、4つ以下、または3の一意の分析物に結合するためのプローブを有する。
【0025】
特定の態様において、プローブパネルは1つ以上のタイプの循環細胞に結合するためのプローブを有する。対象の循環細胞は循環腫瘍細胞および循環幹細胞を含むが、それだけに限らない。「循環腫瘍細胞」(CTC)とは、被検体の固形腫瘍から剥離し、および例えば被検体の末梢血、骨髄、および/または同種のものなど、被検体の循環で見つかった癌細胞を意味する。プローブは、対象循環細胞によって発現された公知の細胞表面分子(例えば受容体、接着分子など)に対する特異性を有するプローブによって循環細胞(例えばCTC)に結合し得る。循環細胞がCTCの場合、プローブ(例えば抗体プローブ)は、CTCによって発現された腫瘍関連抗原または腫瘍特異抗原に特異的に結合し得る。「腫瘍関連抗原」とは、正常組織の細胞上に限定発現を伴う悪性細胞に発現する細胞表面分子を、正常細胞に対し悪性細胞上に一層の高密度で発現した細胞表面分子を、または発達的に発現する細胞表面分子を、意味する。「腫瘍特異抗原」は、悪性細胞表面に存在し、非悪性細胞に存在しない抗原である。プローブパネルのプローブが結合し得るCTCのタイプは、例えばCTCが剥がれ落ちる固形腫瘍のタイプによって変化し得る。特定の態様において、プローブパネルはCTCに特異結合するためのプローブを有し得て、このプローブは上皮細胞接着分子(EpCAM)に、および/または他の任意の有用細胞表面CTC分子に特異的に結合する。
【0026】
特定の実施形態によると、プローブパネルは1つ以上のタイプの循環核酸に結合するための1つ以上のプローブを有する。対象の循環核酸は、循環二本鎖または一本鎖DNA、循環二本鎖または一本鎖RNA、循環DNA−RNAハイブリット、などを含む。特定の態様において、パネルは1つ以上の循環腫瘍DNA(ctDNA)に特異結合するための1つ以上のプローブを有する。死滅腫瘍細胞はDNAの小片を血流に放出し、および癌の病期が進むと、血液中のctDNAの量/濃度はしばしば増加する。特定の実施形態によると、プローブパネルはctDNAに特異結合するためのプローブを有するが、このctDNAは対象の腫瘍タイプと関連性(または特異性)があることが公知の体細胞の突然変異を含む。臨床的に関連するctDNAは、Bettegowda et al. (2014) Sci. Transl. Med. 6(224): 224ra24で記述されているものを有する。
【0027】
本開示の方法は、2つ以上の分析物のうちの分析物とプローブパネルのプローブとの結合の有無を検出して、被検体の循環分析物プロファイルを産生するステップを含む。特定の態様において、検出ステップは被検出分析物を定量化するステップを含む。多様な好適アッセイフォーマットおよび検出アプローチのうち、任意のものが採用され得る。特定の態様において、プローブパネルのプローブは、ビード(例えば微小粒子、ナノ粒子、または同種のもの)または実質的に平坦な固体支持体/基材などの固体支持体に直接または間接に取り付けられ得る。特定の実施形態によると、プローブは固体支持体に配列として取り付けられ得る。例えばプローブパネルは、アドレス可能なプローブ配列として供給されたプローブパネルであり得る。
【0028】
特定の態様において、2つ以上の分析物のうちの分析物とプローブパネルのプローブとの結合の有無を検出するステップは、サンドイッチアッセイを使用して実施される。例えばプローブパネルのプローブは、2つ以上の分析物のうちの分析物を捕捉するために固体表面(例えば配列)に取り付けられ得て、およびプローブによって結合されていない分析物の部位で2つ以上の分析物(血液サンプルに存在する場合)に結合(例えば特異的に結合)する検出試薬が追加される。特定の態様において、検出試薬は分析物のエピトープに結合する検出抗体であるが、このエピトープは、プローブパネルのプローブが結合する結合部位(例えばエピトープ)とは異なる。結果として、分析物はプローブと検出試薬との間で「サンドイッチ」される。検出試薬は検出可能ラベルを含み得て、そのため2つ以上の分析物のうちの分析物とプローブパネルのプローブとの結合の有無を検出するステップは検出試薬のラベルを検出するステップを伴う。特定の実施形態によると、第2検出試薬が採用される。好適な第2試薬は、ラベル付き第2抗体(例えば蛍光ラベル付き抗体、磁気ラベル付き抗体など)、検出可能生成物への基質の変換を触媒する酵素に連系した第2抗体、および同種のもの、を含む。本開示の方法の実施において使用されるサンドイッチアッセイおよび他のアッセイについて、さらなる詳細および設計上の検討事項は、例えばCox et al. (2014) Immunoassay Methods, Eli Lilly & Company and the National Center for Advancing Translational Sciencesにおいて説明されている。
【0029】
特定の態様において、プローブによって結合された分析物に結合する検出試薬は抗体である。そのような検出試薬は、修飾抗体であり得る。修飾抗体は、対象分析物に特異的に結合するように構成され得て、およびまた特異結合対の1つ以上の追加メンバーを含み得る。特異結合対の1つ以上の要素は、特異結合対の相補的メンバーに特異的に結合するように構成され得る。特定の適用例において、特異結合対の相補的メンバーは、例えば本方法を実施するために磁気センサー装置が採用された場合に、磁気ラベルに結合する。抗体検出試薬はビオチンを含むように修飾され得るが、このビオチンは例えばストレプトアビジンを含むように修飾された磁気ラベルなどのストレプトアビジンに特異的に結合する。従って特定の態様において、検出試薬は分析物(例えば抗体抗原相互作用を通して)に特異的に結合し、および選択された相互作用を介して(例えばストレプトアビジン・ビオチン相互作用を通して)ラベル(例えば磁気ラベル)に特異的に結合する。検出試薬は、分析物およびラベル(例えば磁気ラベル)に結合するように構成され得る。別の言い方をすれば、検出試薬は、分析物の検出試薬への特異結合が、検出試薬のラベルに特異的に結合する能力を有意に妨害しないように構成され得る。同様に検出試薬は、ラベルの検出試薬への特異結合が、検出試薬の分析物に結合する能力を有意に妨害しないように構成され得る。
【0030】
血液サンプルにおける2つ以上の分析物の存在は、定性的または定量的に判定され得る。定性的判定は、サンプル中の分析物の存在に関する簡単な有・無の結果が利用者に提供されるような判定を含む。定量的判定は、半定量的判定および詳細結果の両方を含むが、その半定量的判定においては、サンプル中の分析物の量に関して例えば低、中、高などの荒削りな結果が利用者に提供され、およびその詳細結果においては分析物濃度の正確な測定値が利用者に提供される。
【0031】
磁気センサーベースの方法
特定の実施形態によると、本開示の方法は磁気センサー装置を使用して実施される。例えばプローブパネルは、磁気センサー装置の磁気センサーチップに配列(例えばアドレス可能なプローブ配列として提供)され得る。磁気センサー装置は2つ以上の磁気センサーを持ち得て、プローブパネルはその表面に取り付けられる(例えば捕捉プローブと同じ配列または異なる配列として)。前述のプローブパネルのうち任意のものが、採用され得る。特定の態様において、その表面に捕捉プローブパネルが取り付けられた2つ以上の磁気センサーのうち各々は、同じ2つ以上の循環分析物と結合するための捕捉プローブを有する。
【0032】
磁気センサー装置を採用する本開示の方法は、その表面に捕捉プローブパネルが取り付けられた(例えば配列として)磁気センサー装置を血液サンプルに接触させるステップと、2つ以上の分析物(血液サンプル中に存在する場合)と捕捉プローブパネルとの結合を示す信号を検出するステップとを含み得る。いくつかの場合では、磁気センサー装置は、磁気センサーと磁気ラベルとの間で任意の物理的直接接触なしに、近傍の磁気ラベルの存在を検出するように構成されたセンサーを備える。磁気ラベルは、直接または間接に分析物に結合され得て、次いでこの分析物は直接または間接に磁気センサーに結合され得る。この結合された磁気ラベルが磁気センサーの検出範囲内に位置する場合、そのとき磁気センサーは結合された磁気ラベルの存在を示す信号を提供し得て、およびこうして分析物の存在を示し得る。
【0033】
特定の態様において本開示の方法は、サンドイッチアッセイを使用することで実施されるが、このサンドイッチアッセイにおいてプローブパネルは、磁気センサー装置の感知領域表面に取り付けられる。血液サンプルは感知領域に分注されて、2つ以上の分析物(血液サンプル中に存在する場合)のうちの分析物がそれぞれのプローブに結合する条件下で、血液サンプルをプローブパネルに接触させる。洗浄の有無を問わず検出試薬が追加され得るが、この検出試薬は、プローブパネルのプローブに結合された2つ以上の分析物のうちの分析物に結合する。いくつかの適用例において検出試薬は、磁気ラベルに直接に結合される。他の態様において検出試薬は磁気ラベルに直接結合されず、むしろ検出試薬に結合する第2磁気ラベル付き検出試薬が採用される。例えば検出試薬は、分析物(例えば抗体抗原相互作用を通して)に特異的に結合し得て、および選択された相互作用を介して(例えばストレプトアビジン・ビオチン相互作用を通して)磁気ラベルに特異的に結合する。(1つ以上の)検出試薬が表面結合分析物に結合することで、磁気ラベルを磁気センサーの検出範囲内に配置し、その結果、分析物の存在を示す検出可能信号が磁気センサー内で誘起される。
【0034】
特定の実施形態において、磁気センサー表面に近接する磁気ラベルに応答して、電気信号が生成される。例えば磁気センサーは、局所の磁界の変化によって誘起された磁気センサーの抵抗値の変化を検出するように構成され得る。いくつかの場合では、磁気センサーに近接する磁気ラベル(例えば、磁性ナノ粒子ラベル)の結合は、磁気ラベルの抵抗値の検出可能な変化を誘起する。例えば印加された外部磁界が存在する状態で、磁気センサーに近い磁気ラベルが着磁され得る。着磁された磁気ラベルの局所的磁界は、下層磁気センサーの抵抗値の検出可能な変化を誘起し得る。したがって、磁気ラベルの存在は、磁気センサーの抵抗値の変化を検出することで検出され得る。下記に更に詳しく記述されるように、本開示の方法の実施において使用される磁気センサー装置は、磁気抵抗素子を有し得る。採用され得る磁気抵抗素子の非限定的実施例は、スピンバルブ磁気抵抗素子および磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子を有する。
【0035】
いくつかの適用例において、本方法は、血液サンプル中に2つ以上の分析物の存在を評価する無洗の方法である。「無洗」とは、試薬および/または血液サンプルの磁気センサーとの接触に続いて、洗浄ステップが実施されないことを意味する。従ってこれらの実施形態のアッセイの際に、非結合の試薬(例えば非結合の磁気ラベル)または非結合のサンプルが磁気センサー表面から除去されるステップは実施されない。合わせて、本方法は1つ以上の独特な試薬および/またはサンプルが磁気センサー表面に逐次接触することを含み得るが、アッセイの際に、サンプル表面はどのポイントでも、非結合の試薬またはサンプルを磁気センサー表面から取り除く方法で流体に接触することはない。例えば特定の実施形態において、洗浄ステップは、磁気センサー表面が血液サンプルに接触することに続いて実施されることはない。いくつかの場合では本方法は、磁気センサー表面が磁気ラベルに接触することに続く洗浄ステップを含まない。特定の適用例において、磁気センサー表面が検出試薬に接触することに続いて、洗浄ステップは実施されない。
【0036】
洗浄ステップが実施される特定の実施形態において、洗浄ステップは磁気センサーからの信号を実質的に変更しない。洗浄ステップは結果として、磁気センサーからの信号の実質的変更にならない。なぜならいくつかの適用例では、本開示に記載のように非結合の磁気ラベルは実質的に検出可能な信号を持たないからである。例えば洗浄ステップが実施される場合、いくつかの場合では、洗浄ステップは結果として、洗浄ステップに先立って得られた信号と比較して20%以下、または15%以下、または10%以下、または5%以下、または4%以下、または3%以下、または2%以下、または1%以下など、25%以下の信号の変化になる。いくつかの実施形態において、洗浄ステップは結果として、磁気センサーからの信号の20%以下、または15%以下、または10%以下、または5%以下、または4%以下、または3%以下、または2%以下、または1%以下など、25%以下の減少になる。
【0037】
本方法の態様はまた、磁気センサー装置からリアルタイムの信号を取得するステップを含み得る。「リアルタイム」とは、信号が産生されることに伴って信号が観察されることを意味する。例えばリアルタイム信号は、その開始の瞬間から得られ、および一定時間にわたって連続的に得られる。合わせて特定の実施形態は、対象の結合相互作用(例えば2つ以上の対象分析物のうちの分析物と磁気センサーへの結合、および/または磁気ラベルの対象分析物への結合)の発生と関連する信号の発生をリアルタイムで観察するステップを含む。リアルタイム信号は、一定時間にわたって得られた2つ以上のデータポイントを含み得て、ここで特定の実施形態において、得られた信号は、対象の一定時間にわたって連続的に得られた連続的なデータポイントのセット(例えばトレース形式)である。対象の期間は、いくつかの適用例では1分〜30分、1分〜15分、または1分〜10分など、0.5分〜60分の範囲で変わり得る。例えばこの期間は、リアルタイム信号の開始時点で開始し得て、およびセンサーが最大または飽和出力に到達するまで継続し得る(例えば、センサー上のすべての分析物結合部位が占有された場合)。例えばいくつかの場合では、この期間は血液サンプルがセンサーに接触するときに開始する。いくつかの場合ではこの期間は、例えばサンプルをセンサーに接触させる前にベースライン信号を記録するため、血液サンプルのセンサーとの接触に先立って開始し得る。信号中のデータポイントの数もまた変化し得るが、いくつかの適用例において、データポイントの数は、リアルタイム信号の時間経過にわたって連続的なひと続きのデータを提供するために十分である。「連続的」とは、1分当たりのデータポイント2以上、または1分当たりのデータポイント5以上、または1分当たりのデータポイント5以上、または1分当たりのデータポイント10以上、または1分当たりのデータポイント30以上、または1分当たりのデータポイント60以上(例えば1秒当たりのデータポイント1以上)、または1秒当たりのデータポイント2以上、または1秒当たりのデータポイント5以上、または1秒当たりのデータポイント10以上、または1秒当たりのデータポイント20以上、または1秒当たりのデータポイント50以上、または1秒当たりのデータポイント751以上、または1秒当たりのデータポイント100以上など、1分当たりのデータポイント1以上の繰返し率でデータポイントが繰り返して得られることを意味する。
【0038】
リアルタイム信号は、リアルタイムの分析物特異的信号であり得る。リアルタイムの分析物特異的信号は、前述のように、2つ以上の対象分析物のうちの特異的分析物からのみ得られたリアルタイム信号である。このような実施形態において、非結合分析物および非結合磁気ラベルは検出可能信号を産生しない。従って得られたリアルタイム信号は、磁気センサーに結合された特異的磁気ラベル付き対象分析物のみから得られ、および実質的にどの信号も非結合の磁気ラベルまたは他の試薬からは得られない(例えばセンサーに特異的には結合していない分析物)。
【0039】
いくつかの実施形態において、信号はアッセイ装置が濡れた状態にあるときに観察される。「濡れた」または「濡れた状態」とは、アッセイ組成物(例えば血液サンプル、磁気ラベル、および1つ以上の検出試薬を含むアッセイ組成物)がなお磁気センサー表面と接触していることを意味する。従って任意の洗浄ステップを実施して、対象外の非結合部分、または余剰非結合磁気ラベル、または捕捉プローブを取り除く必要はない。特定の実施形態において、磁気ラベルおよび磁気センサーの使用は前述のように、「濡れた」状態の検出を容易にする、なぜなら、磁気センサーにおいて磁気ラベルによって誘起された信号は、磁気ラベルと磁気センサー表面との間の距離が増加すると減少するからである。例えば、磁気ラベルおよび磁気センサーの使用は前述のように、「濡れた」状態の検出を容易にし得る。なぜなら、磁気ラベルによって生成された磁界は、磁気ラベルと磁気センサー表面との間の距離が増加すると減少するからである。いくつかの適用例において、表面結合分析物に結合された磁気ラベルの磁界は、溶液中に分散した非結合磁気ラベルからの磁界を有意に上回る。例えば前述のように、リアルタイム分析物特異的信号は、磁気センサーに結合された特異的磁気ラベル付き対象分析物のみから得られ、および実質的にどの信号も、溶液中に分散した非結合磁気ラベルからは得られない(例えばセンサーに特異的に結合していない)。溶液中に分散した非結合磁気ラベルは、磁気センサー表面から大きく離れた距離にあり得て、およびブラウン運動中にあり得るが、このブラウン運動は非結合磁気ラベルの能力を減少させて、磁気センサーの抵抗値における検出可能な変化を誘起し得る。非結合磁気ラベルはまた、例えば懸濁コロイド(例えばナノメートルスケールのサイズを持つことによる)として溶液中に浮遊し得るが、この懸濁コロイドは非結合磁気ラベルの能力を減少させて磁気センサーの抵抗値における検出可能な変化を誘起し得る。
【0040】
様々な方法(例えば本開示に記載のように)において採用され得る磁気ラベルは変化し得て、および磁気ラベルが磁気センサー表面近くに位置した場合に、磁気センサーにおいて検出可能信号を誘起する任意のタイプのラベルを含み得る。磁気ラベルはラベル付け部分であり、磁気センサーとの関連付けが十分である場合に磁気センサーによって検出可能であり、および磁気センサーに信号を出力させる。例えば磁気センサー表面近くに磁気ラベルが存在すると、磁気センサーにおいて、抵抗値、コンダクタンス、インダクタンス、インピーダンス等における変化などを含むがそれに限定されない検出可能な変化を誘起し得る。いくつかの場合では、磁気センサー表面近くに磁気ラベルが存在すると、磁気センサーの抵抗値において検出可能な変化を誘起し得る。対象磁気ラベルは、磁気ラベルの中心とセンサー表面との間の距離が、800nm以下、400nm以下、100nm以下、または75nm以下、または50nm以下、または25nm以下、または10nm以下など、1000nm以下の場合、磁気センサーとの関連付けが十分であり得る。
【0041】
特定の適用例において、磁気ラベルは常磁性、超常磁性、強磁性、フェリ磁性、反強磁性の材料、その組み合わせ、および同種のものから選択された1つ以上の材料を含む。例えば磁気ラベルは、超常磁性材料を含み得る。特定の実施形態において、磁気ラベルは外部磁界が存在しない中では、非磁性であるように構成される。「非磁性」とは、磁気ラベルの帯磁がゼロであるか、一定時間にわたって平均してゼロであることを意味する。いくつかの場合では、磁気ラベルは、経時的に磁気ラベルの磁化のランダムな反転により非磁性であり得る。外部磁界が存在しない中で非磁性であるように構成された磁気ラベルは、溶液中の磁気ラベルの拡散を容易にする、なぜなら、非磁性ラベルは通常、外部磁界が存在しない場合、または熱エネルギーがなお優勢である小磁界が存在する場合においても、凝集しないからである。特定の実施形態において、磁気ラベルは超常磁性材料または合成反強磁性材料を含む。例えば磁気ラベルは、2つ以上の反強磁性結合強磁性層を含み得る。
【0042】
特定の実施形態において、磁気ラベルは高モーメントの磁気ラベルである。磁気ラベルの磁気モーメントは、外部磁界に一致する傾向を表す尺度である。「高モーメント」とは、磁気ラベルが外部磁界に一致する大きな傾向を持つことを意味する。高磁気モーメントを持つ磁気ラベルは、磁気センサーの表面近くにある磁気ラベルの存在の検出を容易にし得る。なぜなら外部磁界を用いて磁気ラベルの磁化を誘起することがより容易だからである。
【0043】
特定の実施形態において、磁気ラベルはCo、Co合金、フェライト、窒化コバルト、酸化コバルト、Co−Pd、Co−Pt、鉄、酸化鉄、鉄合金、Fe−Au、Fe−Cr、Fe−N、Fe
3 O
4 、Fe−Pd、Fe−Pt、Fe−Zr−Nb−B、Mn−N、Nd−Fe−B、Nd−Fe−B−Nb−Cu、Ni、Ni合金、それらの組み合わせ、および同種のものを含むが、それだけに限らない。高モーメント磁気ラベルの具体例として、Co、Fe、または室温で超常磁性であり得るCoFeナノ結晶、および合成反強磁性ナノ粒子を含むが、それだけに限らない。
【0044】
いくつかの実施形態において、磁気ラベルの表面は修飾される。特定の適用例において、磁気ラベルは前述のように、磁気ラベルと結合対の1メンバーとの安定した組み合わせを容易にするように構成された層で被覆され得る。例えば磁気ラベルは、金の層、ポリ−L−リジン修飾ガラス、デキストラン、および同種のものの層で被覆され得る。特定の実施形態において磁気ラベルは、デキストランポリマーに埋め込まれた1つ以上の酸化鉄コアを含む。加えて磁気ラベルの表面は、1つ以上の界面活性剤を用いて修飾され得る。いくつかの場合では界面活性剤は、磁気ラベルの水溶性の増加を容易にする。特定の実施形態において、磁気ラベルの表面はパッシベーション層によって修飾される。パッシベーション層は、アッセイ条件において磁気ラベルの化学的安定性を得やすくし得る。例えば磁気ラベルは、金、酸化鉄、ポリマー(例えばポリウレタンアクリレートフィルム)、および同種のものを含むパッシベーション層で被覆され得る。
【0045】
特定の実施形態において、磁気ラベルは球状を有する。代替として、磁気ラベルは円盤、棒、コイル、または繊維であり得る。いくつかの場合では磁気ラベルのサイズは、磁気ラベルが対象の結合相互作用を妨害しないようなサイズである。例えば磁気ラベルは、分析物および捕捉プローブのサイズに見合って、その結果、磁気ラベルは捕捉プローブの分析物への結合を妨害しない。いくつかの場合では磁気ラベルは磁性ナノ粒子であり、または好適な結合剤によって保持された複数の磁性ナノ粒子含む。いくつかの実施形態において、磁気ラベルの平均直径は5nm〜150nm、10nm〜100nm、25nm〜75nmなど、5nm〜250nmの範囲である。例えば5nm、10nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、70nm、80nm、90nm、または100nmの平均直径を有する磁気ラベルが、ならびにこれらの値のうち任意の2つの間の範囲の平均直径を有する磁気ラベルが、標記方法で使用され得る。いくつかの適用例において、磁気ラベルは50nmの平均直径を有する。
【0046】
磁気ラベルおよびその生体分子への結合は、さらにに「Analyte Detection with Magnetic Sensors」という表題で、2008年9月19日に出願の米国特許出願第12/234,506号に記述されているが、その開示全体を参照によってここに組み込む。
【0047】
診断
本開示の方法はさらに、循環分析物プロファイルに基づいて疾患または病状を有するものとして被検体を診断するステップを含み得る。この診断ステップは、疾患または病状の重症度(例えば病期)を診断するステップ、疾患または病状をモニターするステップ、疾患または病状の治療法に対する反応をモニターするステップ、および/または同種のステップを含み得る。
【0048】
特定の実施形態によると、疾患または病状は癌である。「癌」を有する被検体とは、被検体が腫瘍細胞表現型を示す細胞を含むことを意味するが、この表現型は、免疫無防備状態の非ヒト動物モデルおよび/または細胞形質転換の任意の適切な指標において、例えば異常な細胞成長、異常な細胞増殖、密度依存性成長阻害の喪失、足場非依存性増殖の可能性、腫瘍成長および/または発現の促進能力という特徴の1つ以上によって特徴付けられ得る。本開示では「癌細胞」は、「腫瘍細胞」、「悪性細胞」、または「癌性細胞」と互換的に使用され得て、および固形腫瘍の癌細胞、半固形腫瘍、原発性腫瘍、転移性腫瘍、および同種のものを包含する。循環分析物プロファイルに基づいて診断され得る癌には、大腸、乳房、肺、前立腺、皮膚、肝臓、膵臓、脳、腎臓、子宮内膜、頸、卵巣、甲状腺、リンパ系、および血液の癌が含まれるが、それだけに限らない。
【0049】
特定の態様において本方法は、循環分析物プロファイルに基づいて、被検体を病期I、病期II、病期III、または病期IVの癌にかかっていると診断するステップを含む。例えば本方法は、被検体を病期Iの癌にかかっていると診断するステップ、または被検体を病期IIの癌にかかっていると診断するステップを含み得る。癌病期分類は、身体にどれくらいの癌があり、および癌はどの位置にあるかを判定するプロセスである。病期分類は、被検体の癌の重症度を記述するが、この癌の重症度は例えば元(原発)の腫瘍の大きさ、および癌が身体中に転移した範囲に関し得る。癌の病期の理解は、被検体の予後および治療プランの展開を容易にする。
【0050】
癌の病期分類は、特定の標準化基準に基づいて医師が異なるタイプの癌を分類するためのツールとして開発されたTNM病期分類システムに従う。TNM病期分類システムのカテゴリー「T」は、元(原発)の腫瘍に関する。カテゴリー「N」は、癌が近傍のリンパ節に到達したか否かを記述する。カテゴリー「M」は、遠隔転移が存在するか否かに関する。それぞれの癌のタイプには独自の分類システムがあるため、文字および数字はすべてのタイプの癌について、必ずしも同じ事柄を意味しない。T、N、およびMが判定されるとそれらが組み合わされて、総合病期の0、I、II、III、IVが割り当てられる。これらの病期も、IIIAおよびIIIBなどの文字を使用して細分化される場合がある。
【0051】
診断はもっぱら循環分析物プロファイルに基づいて行われてもよく、および部分的に循環分析物プロファイルに基づいていてもよい。診断が部分的に循環分析物プロファイルに基づいている適用例において、診断はさらに、臨床画像、年齢、性別、癌の病歴、陰影の場所、陰影のサイズ、陰影の境界、最大SUV、喫煙状態、およびそれらの任意の組み合わせ、から選択された臨床評価に基づき得る。
【0052】
特定の態様において、本方法は被検体を肺癌にかかっていると診断するステップを含む。いくつかの実施形態によると、本方法は被検体を、扁平上皮癌、腺癌(例えば腺房、乳頭、および気管支肺胞)、大細胞癌(例えば巨細胞および明細胞)、腺扁平上皮癌、および未分化癌など、非小細胞肺癌(NSCLC)にかかっていると診断するステップを含む。病期0のNSCLCにおいて、癌は肺の内膜を越えて転移していない。NSCLCの病期Iでは癌は小さく、リンパ節に転移していない。病期IIのNSCLCは、癌が元(原発)の腫瘍近くのリンパ節に転移しているという特徴がある。病期IIIのNSCLCにおいて、癌は近傍の組織にまたは遠いリンパ節に転移している。病期IVのNSCLCは、癌が他の肺、脳、または肝臓など身体の他の臓器に転移しているという特徴がある。
【0053】
特定の実施形態によると、循環分析物プロファイルが産生された被検体は、肺癌の危険性が高い母集団から選ばれている。被検体は、さまざまな遺伝的要因、行動要因、および/または環境要因により、肺癌の危険性が高い可能性がある。特定の実施形態によると、被検体は、被検体が現在も喫煙者である、過去に喫煙者であった(例えば過去はヘビースモーカー)、またはその両方により肺癌の危険性が高い母集団から選ばれている。特定の実施形態によると、被検体が肺癌の危険性が高い母集団から選ばれているということは、被検体は年齢55〜74才、30パックイヤー以上の最低喫煙歴があり(ここで「パックイヤー」は1日に喫煙したタバコの箱数×喫煙年数に等しい)、現在も喫煙しているかまたは過去15年以内に禁煙しており、および循環分析物プロファイルの産生時には明らかに無病であるということを意味する。例えば過去にヘビースモーカーであったことは、30パックイヤー以上の喫煙歴がある可能性がある。
【0054】
特定の態様において、循環分析物プロファイルが産生された被検体は、非定型肺病変(または「陰影」)がある。いくつかの適用例において、非定型肺病変は、胸部レントゲン、胸部のCTスキャン、胸部のMRI、胸部の陽電子断層撮影法(PET)スキャン、または他の好適な撮像アプローチによって特定される。非定型病変は良性(非癌)であり得て、瘢痕、炎症、感染症、または同種のものによって引き起こされ得る。他の事例において、病変は、肺癌(例えば早期肺癌)または、身体の別の癌から肺に転移した癌であり得る。
【0055】
特定の実施形態によると、循環分析物プロファイルが産生された被検体は、肺癌の治療を受けている。そのような実施形態によると、本方法はさらに、循環分析物プロファイルに基づいて肺癌治療に対する被検体の治療反応を、予測するステップ、モニターするステップ、またはその両方を含み得る。
【0056】
治療
本開示の方法はさらに、循環分析物プロファイルが産生された被検体を治療するステップを含み得る。特定の態様において、そのような方法は、循環分析物プロファイルに基づいて被検体が疾患または病状にかかっていると診断するステップを含み、および治療ステップは例えば診断に基づいて診断に続いて実施される。治療は、例えば被検体に、治療的に効果的な量の医薬品(例えば化学療法薬、小分子、生物学的(例えば免疫体)、操作された細胞、および/または同種のもの)放射線療法、および/または同種のもの、を施すステップを含み得る。代替としてまたは加えて、治療は被検体から、疾患または病状の原因となる(例えば、に責任がある)すべてまたは一部の組織(例えば腫瘍組織)または臓器を除去するステップを含み得る。
【0057】
一実施形態によると、被検体は循環分析物プロファイルに基づいて肺癌(例えば非小細胞肺癌)にかかっていると診断され、および本方法は被検体の肺癌を治療するステップを含む。この治療は、癌のすべてまたは一部を除去する手術(例えば肺切除、肺葉切除、区域切除または楔状切除、袖状切除、または同種のもの)、腫瘍のすべてまたは一部のラジオ波焼灼術(RFA)、放射線療法(例えば体外照射療法)、小線源治療(内照射療法))、化学療法(例えばシスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、アルブミン結合パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ビノレルビン、イリノテカン、エトポシド、ビンブラスチン、ペメトレキセド、またはそれらの任意の組み合わせについて治療的に効果的な量を投与)、標的治療(例えば、ベバシズマブおよび/またはラムシルマブの投与など、抗体ベース治療法)、免疫療法(例えばニボルマブおよび/またはペンブロリズマブなど1つ以上の免疫チェックポイント阻害薬の投与)、およびそれらの任意の組み合わせ、を含み得る。緩和療法はまた、肺癌の症状を治療するために使用され得る。
【0058】
センサー装置およびシステム
上記に要約したように、本開示の態様はセンサー装置(例えば磁気センサー装置)を含む。センサー装置は、2つ以上の分析物に特異結合するためのプローブパネルを備える。本発明のセンサー装置は、上記本開示の方法セクションで記載されたプローブパネルの中の任意のものを備え得る。いくつかの実施形態によると、センサー装置は、アドレス可能なプローブ配列(例えばセンサー装置の感知領域中)として提供された捕捉プローブパネルを備える。
【0059】
特定の実施形態によると、本センサー装置(例えば磁気センサー装置)は、組織性メタロプロテアーゼ阻害因子1(TIMP1)、抗アンジオポエチン様タンパク質3抗体(抗ANGPTL3)、上皮成長因子受容体(EGFR)、プロサーファクタントタンパク質B(ProSB)、抗14−3−3タンパク質シータ抗体(抗YWHAQ)、抗ラミニンアルファ1抗体(抗LAMR1)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、アンテリアグラジエントタンパク質2(AGR2)、クロモグラニンA(CHGA)、ロイシンリッチα2糖蛋白質1(LRG1)、抗アネキシン1抗体(抗ANXA1)、抗ユビキチン1抗体(抗UBQLN1)、インターロイキン6(IL6)、インターロイキン8(IL8)、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)配位子(CXCL2)、βデフェンシン1(DEFB1)、繊維芽細胞増殖因子2(FGF2)、分化クラスター97(CD97)、プロプラテレット塩基性蛋白質(PPBP)、プロカルシトニン(PCT)、終末糖化産物受容体(RAGE)、S100カルシウム結合タンパク質A4(S100A4)、S100カルシウム結合タンパク質A8/A9(S100A8/A9)、オステオポンチン(OPN)、およびそれらの組み合わせ、から選択された2つ以上の循環分析物に特異結合するためのプローブを有するプローブパネルを備える。特定の態様において、そのようなプローブパネルは、50個以下、40個以下、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、10個以下、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3つ、または2つの分析物に結合するためのプローブを有する。
【0060】
特定の態様において本開示のセンサー装置(例えば磁気センサー装置)は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23個の分析物に、またはTIMP1、抗ANGPTL3、EGFR、ProSB、抗YWHAQ、抗LAMR1、HE4、AGR2、CHGA、LRG1、抗ANXA1、抗UBQLN1、IL6、IL8、CXCL2、DEFB1、FGF2、CD97、PPBP、PCT、RAGE、S100A4、S100A8/A9、およびOPNの各々に、任意の所望の組み合わせにおいて特異結合するためのプローブを有するプローブパネルを備える。特定の実施形態によると、そのようなプローブパネルは、50個以下、40個以下、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、10個以下、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下、5つ以下、4つ以下、3つ、または2つの分析物に結合するためのプローブを有する。
【0061】
特定の実施形態によると、本開示のセンサー装置(例えば磁気センサー装置)は、2、3、4、5の分析物に、またはTIMP1、抗ANGPTL3、EGFR、ProSB、抗YWHAQ、および抗LAMR1の各々に、特異結合するためのプローブを有するプローブパネルを備える。そのようなパネルは、1つ以上の追加の一意の循環分析物(例えば20以下の追加分析物)に特異結合するための1つ以上のプローブを有し得る。追加分析物は、HE4、AGR2、CHGA、LRG1、抗ANXA1、抗UBQLN1、IL6、IL8、CXCL2、DEFB1、FGF2、CD97、PPBP、PCT、RAGE、S100A4、S100A8/A9、OPN、およびそれらの任意の組み合わせから、選択され得る。プローブパネルは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上の追加分析物に、または追加分析物の各々に、結合するためのプローブを有し得る。そのようなプローブパネルは、50個以下、40個以下、30個以下、25個以下、20個以下、15個以下、10個以下、9つ以下、8つ以下、7つ以下、6つ以下、5つ以下、4つ以下、または3つの分析物に結合するためのプローブを有する。
【0062】
本開示のセンサー装置中に備えられたプローブパネルは、前述のように、さらに循環細胞(循環腫瘍細胞(CTC)、循環幹細胞、および/または同種のもの等)、および/または循環核酸(循環DNA(例えば循環腫瘍DNA)および/または循環RNA等)に結合するためのプローブを有し得る。
【0063】
磁気センサー装置
特定の実施形態によると、本開示のセンサー装置は磁気センサー装置である。本開示の磁気センサー装置は、本開示の別のところで説明されているように、プローブパネルの中の任意のものを含むプローブパネル(例えば磁気センサーチップ表面に取り付け)を含む磁気センサーチップを備え得る。特定の態様において磁気センサーチップは、その表面に取り付けられた捕捉プローブ(例えばアドレス可能な捕捉プローブ配列)を有する2つ以上の磁気センサーからなる。その表面に取り付けられた捕捉プローブを有する2つ以上の磁気センサーのうち各々は、同じ2つ以上の循環分析物と結合するための捕捉プローブを有し得る。
【0064】
ここでは、磁気センサー装置およびシステムの態様を説明する。
【0065】
磁気センサー
特定の態様において、本開示の磁気センサー装置は1つ以上の磁気センサーを備える。いくつかの場合では1つ以上の磁気センサーは、磁気センサーと磁気ラベルとの間で任意の物理的直接接触なしに、近傍の磁気ラベルの存在を検出するように構成される。特定の実施形態において、磁気センサーは血液サンプル中に存在し得る2つ以上の循環分析物のうちの分析物の存在を検出するように構成される。例えば磁気ラベルは、直接または間接に分析物に結合され得て、次いでこの分析物は直接または間接に磁気センサーに結合され得る。結合された磁気ラベルが磁気センサーの検出範囲内に位置する場合、そのとき磁気センサーは結合された磁気ラベルの存在を示す信号を提供し得て、およびこうして分析物の存在を示し得る。
【0066】
いくつかの適用例において磁気センサーは、磁気センサー表面から1nm〜1000nmの検出範囲、磁気センサー表面から1nm〜500nmを含む1nm〜800nmの検出範囲、1nm〜100nm、または1nm〜75nm、または1nm〜50nm、または1nm〜25nm、または1nm〜10nmを含む1nm〜300nmの検出範囲を有する。いくつかの適用例においてセンサーの検出範囲の最小化は、対象外の分析物からの検出可能信号を最小限に抑えながら、特異的に結合された分析物の検出を容易にし得る。「検出範囲」とは磁気センサー表面からの距離を意味するが、そこでの磁気ラベルの存在は磁気センサーにおいて検出可能信号を誘起する。いくつかの場合では磁気センサーの検出範囲内にある磁気センサー表面の十分近くに位置する磁気ラベルは、磁気センサーにおいて検出可能信号を誘起する。特定の適用例において、磁気センサー表面から、磁気センサーの検出範囲より大きく離れた位置にある磁気ラベルは、磁気センサーにおいて検出可能信号または無視できない信号を誘起しない。例えば磁気ラベルは、1/r
3 に比例する磁束を持ち得るが、ここでrは磁気センサーと磁気ラベルとの間の距離である。したがって、近接に位置(例えば磁気センサーの検出範囲内)する磁気ラベルのみが、磁気センサーにおいて検出可能信号を誘起する。
【0067】
上述のようにプローブパネルのプローブは磁気センサーの表面に結合され得る。例えば、ポリエチレンイミン(PEI)などのカチオン性ポリマーは、物理吸収(物理的吸収)を介して帯電プローブ(例えば抗体、抗原、配位子、核酸、等)をセンサー表面に非特異的に結合するために使用し得る。代替として共有結合化学は、分析物特異的プローブで遊離アミン基または遊離チオール基を利用して、分析物特異的プローブを磁気センサー表面に共有結合するために使用し得る。例えばN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)カップリングシステムは、分析物特異的プローブを磁気センサー表面に共有結合するために使用され得る。
【0068】
特定の実施形態において、磁気センサーは磁気センサー表面に近接する磁気ラベルに応答して、電気信号を生成するように構成される。例えば磁気センサーは、局所の磁界の変化によって誘起された磁気センサーの抵抗値の変化を検出するように構成され得る。いくつかの場合では、磁気センサーに近接する磁気ラベル(例えば、磁性ナノ粒子ラベル)の結合は、前述のように磁気ラベルの抵抗値の検出可能な変化を誘起する。例えば印加された外部磁界が存在する状態で、磁気センサーに近い磁気ラベルが着磁され得る。着磁された磁気ラベルの局所的磁界は、下層磁気センサーの抵抗値の検出可能な変化を誘起し得る。したがって、磁気ラベルの存在は、磁気センサーの抵抗値の変化を検出することで検出され得る。特定の実施形態において磁気センサーは、100mΩ以下、または50mΩ以下、または25mΩ以下、または10mΩ以下、または5mΩ以下、または1mΩ以下を含む500mΩ以下など、1Ω以下の抵抗値の変化を検出するように構成される。特定の実施形態において抵抗値の変化は、2PPM以上、または20PPM以上、または200PPM以上、または400PPM以上、または600PPM以上、または1000PPM以上、または2000PPM以上、または4000PPM以上、または6000PPM以上、または10,000PPM以上、または20,000PPM以上、または40,000PPM以上、または60,000PPM以上、または100,000PPM以上、または200,000PPM以上の抵抗値の変化など、元のセンサー抵抗値に対して百万分率(PPM)で表示され得る。
【0069】
磁気センサーは、磁気抵抗素子を有し得る。好適な磁気抵抗素子は、スピンバルブ磁気抵抗素子および磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子を有するが、それだけに限らない。
【0070】
特定の実施形態において磁気センサー素子は、スピンバルブ磁気抵抗素子である。特定の場合ではスピンバルブ素子は、第1強磁性層と、第1強磁性層に配置された非磁性層と、非磁性層に配置された第2強磁性層とを含む多層構造体である。第1強磁性層は一定方向に固定された帯磁ベクトルを有するように構成され得る。いくつかの場合では、第1強磁性層は「ピンド層」と呼ばれる。特定の実施形態においてスピンバルブ素子は、磁気センサー素子の横幅に実質的に平行の磁化ピンド層を含む。第2強磁性層は、磁化ベクトルが印加された磁界下で自在に回転できるように構成され得る。いくつかの場合では、第2強磁性層は「フリー層」と呼ばれる。いくつかの場合では第1強磁性層(「ピンド層」と呼ばれ得る)は、合成または人工の反強磁性体によって置換されるが、この反強磁性体は非磁性スペーサによって分離された次の2つの反平行強磁性層からなる。即ち、「フリー層」の下にある非磁性層の下にある強磁性層(「基準層」と呼ばれ得る)のうち1つと、通常IrMn、PtMn、FeMn、またはNiOなどの自然反強磁性体によって「ピン止め」されたもう1つの強磁性層(もう1つの「ピンド層」)とである。
【0071】
特定の適用例において、スピンバルブ素子の電気的抵抗値は、ピンド層の磁化ベクトルに対するフリー層の磁化ベクトルの相対的方向に依存する。2つの磁化ベクトルが平行の場合、抵抗値は最低になる。2つの磁化ベクトルが反平行の場合、抵抗値は最高になる。抵抗値の相対的変化は、磁気抵抗(MR)比と呼ばれる。特定の実施形態においてスピンバルブ素子は、3%〜15%、5%〜12%など1%〜20%のMR比を有する。いくつかの場合ではスピンバルブ素子のMR比は、小磁界において10%以上、例えば100Oeである。スピンバルブ素子表面近くに磁気ラベルが存在することによるスピンバルブ素子の抵抗値の変化は、前述のように検出され得る。
【0072】
特定の実施形態において、磁気ラベルによるスピンバルブ素子からの信号は、磁気ラベルとスピンバルブ素子のフリー層との間の距離に依存する。いくつかの場合では、磁気ラベルからの電圧信号は、磁気ラベルの中心からフリー層の中央平面までの距離が増加すると減少する。したがって特定の適用例において、スピンバルブ素子中のフリー層はスピンバルブ素子表面に位置する。スピンバルブ素子中のフリー層をスピンバルブ素子表面に配置すると、フリー層と任意の結合磁気ラベルとの間の距離を最小限に抑え得て、これは磁気ラベルの検出を容易にし得る。
【0073】
特定の実施形態において、スピンバルブ素子は1つ以上のスピンバルブ素子表面に配置されたパッシベーション層を含み得る。いくつかの場合ではパッシベーション層は、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下など60nm以下の厚さを有する。例えばパッシベーション層は、1nm〜5nm、1nm〜3nmなど、1nm〜10nmの厚さを有し得る。特定の実施形態において、パッシベーション層は金、タンタル、SiO
2 、Si
3 N
4 、それらの組み合わせ、および同種のものを含む。
【0074】
特定の実施形態において、磁気センサー素子は磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子(MTJ素子とも言う)である。いくつかの場合ではMTJ素子は、第1強磁性層と、第1強磁性層に配置された絶縁層と、絶縁層に配置された第2強磁性層とを含む多層構造体を含む。絶縁層は薄型絶縁トンネルバリヤであり得て、およびアルミナ、MgO、および同種のものを含み得る。いくつかの場合では第1強磁性層および第2強磁性層間の電子トンネリングは、2つの強磁性層の相対的磁化に依存する。例えば特定の実施形態において、第1強磁性層および第2強磁性層の磁化ベクトルが平行の場合にトンネリング電流は高く、および第1強磁性層および第2強磁性層の磁化ベクトルが反平行の場合にトンネリング電流は低い。いくつかの場合では第1強磁性層は、合成または人工の反強磁性体によって置換され得るが、この反強磁性体は非磁性スペーサによって分離された次の2つの反平行強磁性層からなる。即ち、トンネルバリヤの下にある強磁性層のうちの1つと、IrMn、PtMn、FeMn、またはNiOなどの自然反強磁性体によって「ピン止め」され得るもう1つの強磁性層とである。
【0075】
いくつかの適用例においてMTJ素子は、10%〜250%、25%〜200%など1%〜300%の磁気抵抗比(MR)を有する。MTJ素子表面近くに磁気ラベルが存在することによるMTJ素子の抵抗値における変化は、前述のように検出され得る。いくつかの適用例においてMTJ素子は、50%以上、または75%以上、または100%以上、または125%以上、または150%以上、または175%以上、または200%以上、または225%以上、または250%以上、または275%以上、または200%以上のMRを有する。例えばMTJ素子は、225%以上のMRを有し得る。
【0076】
特定の実施形態において、第2強磁性層(例えば、MTJ素子表面に配置されたMTJ素子の層)は2つ以上の層を含む。例えば第2強磁性層は、第1層、第1層に配置された第2層、第2層に配置された第3層を含み得る。いくつかの場合では第1層は、薄型強磁性層(例えばNiFe、CoFe、CoFeB、および同種のもの)である。薄型金属層は、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下、または0.5nm以下など、6nm以下の厚さを有する。第2層は、例えば銅、アルミニウム、パラジウム、パラジウム合金、酸化パラジウム、プラチナ、プラチナ合金、酸化プラチナ、ルテニウム、ルテニウム合金、酸化ルテニウム、銀、銀合金、酸化銀、スズ、スズ合金、酸化スズ、チタン、チタン合金、酸化チタン、タンタル、タンタル合金、酸化タンタル、それらの組み合わせ、および同種のもの、などの導電性金属を含み得る。第2層は、0.5nm以下、0.4nm以下、0.3nm以下、0.2nm以下、または0.1nm以下など、2nm以下の厚さを有する。第3層は、NiFe、CoFe、CoFeB、および同種のものなどの強磁性材料を含み得るが、それに限定されない。第3層は、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下、または0.5nm以下など、6nm以下の厚さを有する。
【0077】
いくつかの場合ではMTJ素子は、関連する磁気ラベルおよびフリー層上頂面間の間隔が20nm〜600nm、40nm〜400nm、60nm〜300nm、80nm〜250nmなど、5nm〜1000nm、または10nm〜800nmの範囲にあるように構成される。
【0078】
MTJ素子は1つ以上のMTJ素子表面に配置されたパッシベーション層を含み得る。いくつかの適用例においてパッシベーション層は、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下など60nm以下の厚さを有する。例えばパッシベーション層は、1nm〜30nm、または1nm〜20nmを含む1nm〜40nmなど、1nm〜50nmの厚さを有し得る。いくつかの適用例においてパッシベーション層は30nmの厚さを有する。いくつかの場合ではパッシベーション層は、金、タンタル、タンタル合金、酸化タンタル、アルミニウム、アルミニウム合金、SiO
2 、Si
3 N
4 、ZrO
2 、それらの組み合わせ、および同種のものを含む。特定の実施形態において前述のような厚さを有するパッシベーション層は、特異的に結合されていない磁気ラベルからの信号を最小限に抑えながら、センサー表面に特異的に結合された磁気ラベルから検出された信号の最大化を容易にする。
【0079】
特定の実施形態においてMTJ素子は、例えば1μm×200μm以下、200μm×1μm以下、150μm×10μm以下、または120μm×5μm以下、または120μm×0.8μm以下、または0.8μm×120μm以下、または100μm×0.7μm以下、または100μm×0.6μm以下、または100μm×0.5μm以下、または10μm×0.6μm以下、または10μm×0.5μm以下の寸法を含む1μm×1μm〜200μm×200μmなどの範囲の寸法を有する。いくつかの適用例においてMTJ素子は、2.0μm×0.8μmなど120μm×0.8μm以下の寸法を有する。
【0080】
磁気トンネル接合(MTJ)検出器はさらに、2008年9月19日に出願の米国出願公開第2009/0104707号に記述されているが、その開示全体を参照によってここに組み込む。検出器はさらに、2004年4月22日に出願の米国特許第7,906,345号に記述されているが、その開示全体を参照によってここに組み込む。
【0081】
特定の場合において、磁気センサーは多層薄膜構造体である。センサーは強磁性材料および非磁性材料の代替層を含み得る。強磁性材料はパーマロイ(NiFe)、鉄コバルト(FeCo)、ニッケル鉄コバルト(NiFeCo)、CoFeB、それらの組み合わせ、および同種のもの、を含み得るが、それに限定されない。いくつかの場合では非磁性材料は、Cu、Au、Ag、および同種のものなどの貴金属であるが、それに限定されない。特定の実施形態において、強磁性層は、2nm〜8nm、3nm〜4nmなど、1nm〜10nmの厚さを有する。いくつかの適用例において非磁性層は、1nm〜3nm、1.5nm〜2.5nm、または1.8nm〜2.2nmなど、0.2nm〜5nmの厚さを有する。
【0082】
特定の実施形態において、磁気センサー装置は、1つ以上の磁気感知領域を含むように構成され得る。磁気感知領域は、磁気センサー配列(例えばバイオセンサー配列)が配置された装置の領域に対応し得る。例えば磁気感知領域は、使用中に血液サンプルに曝され、および前述のように磁気センサー配列を備える装置の表面にある領域であり得る。
【0083】
磁気感知領域は、流体リザーバを含むように構成され得る。流体リザーバは、多様な構成のうち任意のものであり得るが、ここで流体リザーバは磁気センサー配列に接触して血液サンプルを保持するように構成される。従って流体リザーバの構成は以下のものを含み得るが、それだけに限らない。即ち、円筒形井戸構成、正方形井戸構成、長方形井戸構成、丸型井戸構成、および同種のものである。例えば流体リザーバは、隣接する複数の流体リザーバから1つの流体リザーバを分離する壁を含み得る。この壁は、リザーバプレート表面に対して実質的に垂直であり得る。いくつかの場合では各流体リザーバの壁は、流体リザーバによって規定された空間に等しいまたはそれ未満のサンプル容量を受け入れ得る空間を規定する。
【0084】
特定の実施形態において、流体リザーバは例えば500μL以下、100μL以下、50μL以下、または25μL以下、または10μL以下など、10mL以下、または5mL以下、または3mL以下、または1mL以下、の容量を有するが、この容量は、等しい容量かそれ以下の容量のサンプル容量を収容するために十分である。
【0085】
磁気センサーシステム
本開示の態様は磁気センサーシステムを含む。いくつかの実施形態において、磁気センサーシステムは磁気センサー装置および磁界発生源を備える。磁気センサー装置は、その上に配置された1つ以上の磁気センサー配列(例えばバイオセンサー配列)を備える支持体を有する。このシステムは、2つ以上の循環分析物のうちの分析物が1つ以上の対応する血液サンプル中に存在するか否かを示す磁気センサーの1つ以上の配列から信号を得るように構成され得る。
【0086】
特定の実施形態において、システムは磁界発生源を備える。磁界発生源は、アッセイ感知領域(例えば信号取得の際に磁気センサー配列が配置される領域)中にDCおよび/またはAC磁界を産生するために十分な磁気センサー装置(例えば磁気センサー配列)に、磁界を印加するように構成され得る。いくつかの適用例において磁界発生源は、1Oe以上、または5Oe以上、または10Oe以上、または20Oe以上、または30Oe以上、または40Oe以上、または50Oe以上、または60Oe以上、または70Oe以上、または80Oe以上、または90Oe以上、または100Oe以上の磁界強度の磁界を産生するように構成される。
【0087】
磁界発生源は、磁気センサー装置が使用されているときに磁界発生源配列が配置される領域に磁界が産生されるように配置され得る。いくつかの場合では磁界発生源は、均一で制御可能な磁界を、アッセイが実施されるリザーバ板上で、流体リザーバセットの周囲に生成するように構成される。磁界発生源は、2つ以上、3つ以上、4つ以上など、1つ以上の磁界生成部品を有し得る。いくつかの場合では磁界発生源は、電磁コイルなど1つ以上の電磁石を含み得る。電磁コイルは、巻線コイルを含み得る。例えば磁界発生源は、ヘルムホルツコイルジオメトリ内に配置された2つの電磁石を含み得る。
【0088】
システムの実施形態はさらに、コンピュータベースのシステムを含む。このシステムは、前述のように定性的および/または定量的に結合相互作用を評価するように構成され得る。「コンピュータベースのシステム」は、磁気センサーからの信号を分析するために使用されるハードウェア、ソフトウェア、およびデータストレージ部品を指す。コンピュータベースのシステムのハードウェアは、中央処理装置(CPU)、入力部品、出力部品、およびデータストレージ部品を備え得る。多様なコンピュータベースのシステムのうち、任意のものが標記システムでの使用に適している。データストレージ部品は、磁気センサー配列からの信号を記録するための任意のコンピュータ可読媒体、または磁気センサー配列からの信号を保存可能なアクセス可能メモリ部品を有し得る。
【0089】
データ、プログラミング、または他の情報をコンピュータ可読媒体に「記録」することは、当業者には周知の任意の方法を使用して情報を保存するための処理を指す。保存された情報にアクセスするために使用される方法によって、任意の便利なデータストレージ構造が選択され得る。さまざまなデータプロセッサプログラムおよびフォーマットは、例えば保存、テキストファイルの文字処理、データベースフォーマットなどのために使用され得る。
【0090】
特定の実施形態において、このシステムは起動および信号処理ユニットを含む。起動および信号処理ユニットは、磁気センサー装置に動作可能に連結されるように構成され得る。いくつかの適用例において起動および信号処理ユニットは、電気的に磁気センサー装置に連結される。起動および信号処理ユニットは、磁気センサー装置と双方向の通信を提供するように電気的に連結され得る。例えば起動および信号処理ユニットは、電力、起動信号などを、磁気センサー配列などを含むがそれに限定されない磁気センサー装置の部品に提供するように構成され得る。従って起動および信号処理ユニットは、起動信号発生器を有し得る。起動信号発生器は、電力、起動信号などを、磁気センサー配列などを含むがそれに限定されない分析物検出装置の部品に提供するように構成され得る。いくつかの適用例において起動および信号処理ユニットは、磁気センサー配列に例えば100mV〜5V、200mV〜1V、300mV〜500mVなど、1mV〜10Vの範囲の両端電圧を印加するように構成される。いくつかの適用例において起動および信号処理ユニットは、磁気センサー配列に500mVの両端電圧を印加するように構成される。
【0091】
加えて、起動および信号処理ユニットは、磁気センサー装置の磁気センサー配列からなど、磁気センサー装置から信号を受信するように構成され得る。磁気センサー装置の(1つ以上の)磁気センサーからの信号は、(1つ以上の)血液サンプル中に2つ以上の循環分析物のうちの分析物の存在を検出するために使用され得る。いくつかの適用例において起動および信号処理ユニットは、磁気センサー配列からの受信信号に応答して分析物検出結果を出力するように構成されたプロセッサを備え得る。したがって起動および信号処理ユニットのプロセッサは、磁気センサー装置から信号を受信し、所定のアルゴリズムに従って信号を処理し、サンプルにおいて1つ以上の分析物の存在に関連する結果を取得し、および可読または可聴フォーマットでこの結果を利用者に出力するように構成され得る。例えば被検体を癌(例えば、非小細胞肺癌などの肺癌)にかかっていると診断するために使用され得るモデルは、本開示の実施例セクションおよび
図8と
図9とで記載のもの含む。
【0092】
「プロセッサ」は、1つ以上のプログラムされた機能を実行する任意のハードウェアおよび/またはソフトウェアの組み合わせを指す。例えば本開示の任意のプロセッサは、電子制御装置、メインフレーム、サーバー、またはパーソナルコンピュータ(例えばデスクトップまたはラップトップ)の形式で使用可能など、プログラム可能なデジタルマイクロプロセッサであり得る。プロセッサがプログラム可能である場合、好適なプログラミングは、遠く離れた場所からプロセッサに通信したり、または前もってコンピュータプログラム製品(磁気的、光学的、または固体装置かを問わず、可搬または固定のコンピュータ可読記録媒体など)に保存され得る。例えば磁気媒体、光ディスク、または固体メモリ装置はプログラミングを持ち運び得て、およびプロセッサと通信する好適なリーダーによって読み取られ得る。
【0093】
いくつかの適用例において標記システムは、磁気センサー配列に印加された電流(例えばセンス電流)を変調するように構成される。標記システムはまた、磁界発生源によって生成された磁界を変調するように構成される。センス電流および磁界の変調は、容易に信号ノイズを最小化し、およびしたがって容易に信号雑音比を最大化し得る。センス電流および磁界を調節する追加的態様は、「Methods and Devices for Detecting the Presence of an Analyte in a Sample」という表題で、2010年4月13日に出願の米国特許出願第12/759,584号に詳細に記述されているが、その開示全体を参照によってここに組み込む。
【0094】
標記システムの実施形態はまた、以下の部品を含み得る。即ち、(a)システムおよび1つ以上の利用者の間で、以下に説明するように、例えば利用者のコンピュータを介して情報を転送するように構成された有線または無線の通信モジュール、ならびに(b)磁気センサーからの信号の定性分析および/または定量分析に関する1つ以上の作業を実行するためのプロセッサである。特定の実施形態において、そこに保存されている制御ロジック(例えばプログラムコードを含むコンピュータソフトウェアプログラム)を備えるコンピュータ使用可能媒体を有するコンピュータプログラム製品が提供される。制御ロジックは、コンピュータのプロセッサによって実行された場合に、コンピュータに本開示に記載の機能を実行させる。他の実施形態において、いくつかの機能は主としてハードウェア内に、例えばハードウェアステートマシンを使用して実装される。本開示に記載の機能を実行するためのハードウェアステートマシンの実装は、任意の便利な方法および技術を使用して達成され得る。
【0095】
磁気センサー装置および起動および信号処理ユニットに加えて、このシステムは、例えばモニター、スピーカーなどのデータ出力装置、例えばインターフェースポート、ボタン、スイッチ、キーボードなどのデータ入力装置、例えばマイクロ流体部品などの流体処理部品、電源、電力増幅器、有線または無線通信部品などの多数の追加部品を含み得るが、それに限定されない。例えばこのシステムは、マイクロ流体処理部品などの流体処理部品を含み得る。特定の実施形態において、マイクロ流体処理部品は流体をリザーバ板の流体リザーバに送り込むように構成される。いくつかの場合では、流体は以下のうち1つ以上を含む。即ち、アッセイ組成物、血液サンプル、1つ以上の検出試薬(例えば検出抗体、磁気ラベル、および/または同種のもの)である。特定の適用例において、マイクロ流体処理部品は、例えば500μL以下、100μL以下、50μL以下、または25μL以下、または10μL以下など、1mL以下の小容量の流体を送り出すように構成される。
【0096】
特定の実施形態において、このシステムは高感度分析物検出器である。「高感度」とは、システムがサンプル中に分析物を検出するように構成されていることを意味するが、ここでサンプル中の分析物の濃度は低い。いくつかの場合ではシステムは、サンプル中に対象分析物の存在を示す検出可能信号を産生するように構成されるが、ここでサンプル中の分析物の濃度は、例えば100pM以下、または10pM以下、または1pM以下、500fM以下、または250fM以下、または100fM以下、または50fM以下、または25fM以下、10fM以下、または5fM以下、または1fM以下を含む100nM以下、または10nM以下、または1nM以下など、1μM以下である。別の言い方をすれば、このシステムは、例えば100pM以下、または10pM以下、または1pM以下、500fM以下、または250fM以下、または100fM以下、または50fM以下、または25fM以下、10fM以下、または5fM以下、または1fM以下を含む100nM以下、または10nM以下、または1nM以下など、1μM以下の定量下限(LLOQ)などの検出限度を有するように構成され得る。
【0097】
特定の実施形態において、このシステムはディスプレイを備える。ディスプレイは、前述のように起動および信号処理ユニットから得られた分析物検出結果の視覚的表示を提供するように構成され得る。ディスプレイは、定性分析物検出結果を表示するように構成され得る。例えば定性ディスプレイは、利用者にサンプルが特異的対象分析物を含むか否かの定性指標を表示するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ディスプレイは分析物検出結果を表示するように構成され得るが、ここで分析物検出結果は例えばサンプル中の分析物の濃度の定量的測定などの定量的結果である。例えばシステムが定量的分析物検出結果を出力するように構成されている実施形態において、システムは定量的分析物検出結果を表示するように構成されたディスプレイを備え得る。
【0098】
磁気センサー装置はオプションとしてプログラム可能メモリを備えるが、このメモリは磁気センサー装置の使用に先立っておよび使用中、次の関連情報を使ってプログラムされ得る。即ち、個々のセンサーそれぞれの校正データ、アッセイに先立ってバイオチップが表面機能化分子を用いて調製されたその様子の記録、完了したすべてのアッセイステップの記録、測定されたサンプルについての記録、測定結果の記録、および同種のものである。
【0099】
磁気センサーシステムの追加態様は、米国特許第9,151,763号および第9,164,100号、ならびに米国出願公開第2015/0377893号に詳細に記述されているが、その開示全体を参照によってここに組み込む。
【0100】
例示的実施形態
本開示の態様は、血液ベースの診断およびNSCLC管理のための磁気ナノセンサー技術を含む。臨床段階に進んでいる現在の蛋白質技術はELISAベースであるか、または高価な質量分析法(MS)に依存する。磁気ナノセンサーはELISAベースの化学の検出制限および高コストを克服し、MS技術のスループットを示している。さらにその上磁気ナノセンサーは、数十の患者サンプルを同時に読み取るように構成された計器において、バイオマーカー読み取りの高スループット化のために、一度に最大80までの個々の検知器の多重化が可能である。本開示に記載の血液検査は、高感度で安価、および高スループットの磁気ナノセンサーを使用して2つ以上のバイオマーカーを有する蛋白質パネルを測定することで、肺癌にかかっている患者を特定するように開発された。肺癌スクリーニングが増加し、および付随的に医療用撮像の際に判明した肺結節が検出されると、ここに記載の方法および装置は、臨床医の情報ギャップを埋める重要データを提供し、および肺癌介護の重要ニーズに役立つであろう。
【0101】
本開示の態様はまた、補助血液検査としての磁気ナノセンサー技術と、NSCLCを検出するための臨床画像および臨床パラメータとの統合を含む。肺癌予測モデルは、15年以上に渡って、年齢、喫煙履歴、ならびに算定された断層撮影画像による結節特性など、不明確な人口統計データに頼ってきた。そのようなモデルは便利ではあるが、過度に単純すぎており、およびその時期でも70〜80%のみ正確である。本発明者は、初期段階において肺癌の予測を改善するために、磁気ナノセンサー技術を用いて測定された循環分析物と共に、画像化および臨床パラメータを使用する多変量モデルを開発した。モデルは、単独査定として、または標準臨床評価および他の癌バイオマーカーと組み合わせて、肺癌評価を受けている患者の大母集団にとって臨床有用性がある。モデルはまた、肺癌についておよび治療の予測についてハイリスクな母集団をスクリーニングすることに、および診断後に肺癌患者をモニタリングすることに適合し得る。
【0102】
低濃度(fMまたはpg/mLレベル)の循環蛋白質および自己抗体をすぐれた精度と再現性で定量化する能力は、早期癌の検出を可能にし、次世代診断学の要件でもある。MagArray、Inc.から供給される磁気ナノセンサーのイムノアッセイプラットフォームは、そのような要件を満たし、および多重フォーマットにおいて最大で80の異なる循環分析物を検出することができる。この試験は、同時に高感度および特異性を有した複数の循環分析物を測定する過程が早期NSCLSなど複雑な疾患に必要とされるような用途に最適である。
【0103】
図1は、巨大磁気抵抗(GMR)センサーを内蔵するMagArray磁気ナノセンサーチップの原理を示す。GMRセンサー表面は固定化抗原または抗体で被覆されて、サンドイッチ形イムノアッセイフォーマットにおいて分析物を捕捉する。ビオチン化検出抗体はイムノアッセイの後半を形成し、およびストレプトアビジン複合磁性ナノ粒子(50−nm、MNP)が局所の磁界を結合して摂動させたり、およびセンサー抵抗値を変化させることを可能にする。このためMNPは、GMRセンサーにおいて抵抗値の変化をモニターすることによってリアルタイムで検出される。センサー抵抗値信号(百万分率として表される、PPM)は、分析物濃度(pg/mLまたはフェントモル/L、fM)に相関する。磁気ナノセンサーは、5フェントモル(または1pg/mL)の低濃度、〜4−6logのダイナミックレンジでCEAなど血漿バイオマーカーを検出するために使用され得て、および交差反応性が無視できる程度の血液バイオマーカーの多重化が可能になる。自己抗体の高感度検出のための抗原ベースの捕捉もまた実証された。
【0104】
図2に示すMagArrayの計器システム(「MR−813」)は、同時に16以上のサンプルをアッセイすることができる。MR−813は、単一サンプル処理のみ用に設計された別のMagArray計器(「MC−113」)と比較して第2世代装置を表す。
【0105】
磁気ナノセンサーの重要な特徴は低インターアッセイCVであり、このCVは概して対象の生理学的濃度にあるすべての分析物に対して15%未満である。
図3は、NSCLC診断の次の5つの循環抗原に対して0〜14%の範囲のCVを図示する。即ち、AGR2、CHGA、EGFR、HE4、およびpro−SFTPBである。
【0106】
早期NSCLCは、検出のため大量の循環分析物を産生する可能性は低い。MagArray技術は、フェントモルレベルの複数の蛋白質バイオマーカーを検出可能であり、現在の商用の方法を大きく上回る。循環蛋白質の高感度多重化検出および高標的特異性を持つ自己抗体は、単独でおよび臨床パラメータと撮像方法との組み合わせで早期NSCLCの正確な検出を可能にする。この目的のため、厳密な分析物研究設計原理に従って201人の患者のトレーニングコホートにおいて、MR−813計器を使い、循環蛋白質および自己抗体パネルの試験を行った。コホートは、最終的には良性または悪性の診断(NSCLCまたは他の非NSCLC悪性、身体の他の領域からの転移など)を受け取った患者からなる。病理診断による病期IのNSCLCの患者は82人、病期II〜IVの癌の患者は36人、および癌ではない肺の病変の患者は83人であった。良性という診断は、2年の結節安定性、結節解像度、または培養または生検データに基づく代替の非悪性診断という臨床診断により定義される。追跡不能例、または医療記録に従って診断が不確定の患者、または胸部に非NSCLC悪性のある患者たちも除外された。診断用グループに割り当てられた患者に対して、解析のために必要な臨床データおよび画像データの収集が行われた。被検体の研究参加時に摂られた血漿は、バッチ効果を回避するためすべてのサンプルが同時に処理できるまで、−80℃で保存された。サンプルは、MagArrayシステム上で多重化蛋白質および自己抗体アッセイパネルで、被検体の臨床診断に盲検の技術者によって処理された。蛋白質アッセイパネルは、上皮成長因子受容体(EGFR)、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、プロサーファクタントタンパク質B(pro−SFTPB、またここでは「pro−SB」と呼ばれる)、アンテリアグラジエントタンパク質(AGR2)、クロモグラニンA(CHGA)、ロイシンリッチα2糖蛋白質1(LRG1)、および組織性メタロプロテアーゼ阻害因子1(TIMP1)、を測定した。第2多重化アッセイパネルは、ANXA1(アネキシン1)に対する血漿自己抗体、ラミニンアルファ1(LAMR1)、14−3−3タンパク質シータ(別名YWHAQ)、およびアンジオポエチン様タンパク質3(ANGPTL3)、およびユビキチン1(UBQLN1)、を測定した。循環蛋白質および自己抗体は、NSCLCについて早期診断が有望であることを示した。例えばTIMP−1は、細胞増殖効果および抗アポトーシス効果によって肺において広く誘起可能な金属フラビン蛋白質の内在性阻害因子である。TIMP−1は、皮膚癌および肺癌を含む複数の疾患部位における癌に関連付けられる。TIMP−1は血液における肺癌推定の診断バイオマーカーである、なぜなら分泌蛋白質であるから。血液中のUBQLN1に対する自己抗体は、肺癌の診断用マーカーである(Chinnaiyan et al.、米国特許第7,597,890号)。
【0107】
循環蛋白質に加えて多数のゲノムバイオマーカーが、肺癌の診断のために使用され得る。ただし、血液中の循環蛋白質に導き得るゲノムバイオマーカーはわずかである。本発明者は、肺癌の遺伝子バイオマーカーに関する文献で報告された炎症に関連する循環蛋白質のリストを特定した。蛋白質バイオマーカーの発現は肺癌の初期発生について、ゲノム情報のみより信頼性が高い臨床情報を提供し得るため、このような蛋白質は、以前に開示された蛋白質バイオマーカーを組み込んで、さらに肺癌の早期検出の精度を向上させ得る。追加蛋白質は以下を含む。即ち、IL6(インターロイキン6)、IL8(インターロイキン8)、CXCL2(ケモカイン(C−X−Cモチーフ)配位子2)、DEFB1(デフェンシン、ベータ1)、FGF2(繊維芽細胞増殖因子2)、CD97(表面抗原分類97)、PPBP(プロプラテレット塩基性蛋白質、ケモカインとも言う(C−X−Cモチーフ)配位子7またはCXCL7)、PCT(プロカルシトニン)、RAGE(終末糖化産物受容体)、S100A4(S100カルシウム結合タンパク質A4)、S100A8/A9(S100カルシウム結合タンパク質A8/A9複合体)、OPN(オステオポンチン、骨シアロタンパク質Iとも言う(BSP−1またはBNSP)、早期T−リンパ球活性化(ETA−1)、分泌リン蛋白質1(SPP1)、2arおよびリケッチア抵抗値(Ric))である。
【0108】
ここに開示されたアッセイは、肺疾患その他の疾患を持つ被検体が肺癌にかかっているか否かを識別するために適用され得る。このアッセイはまた、無症候性であるが肺癌の危険性の高い母集団のスクリーニングにも適用可能である。例えば後者の母集団は、年齢55〜74才で、最小でも30パックイヤー以上の喫煙履歴があり(パックイヤー=1日に喫煙したタバコの箱数×喫煙年数)、現在喫煙しているか過去15年以内に禁煙し、スクリーニングの時点で疾患にかかっていない人々を含む。
【0109】
孤立した循環分析物試験は、意思決定において患者表現型が大きな役割を演ずる臨床ではあまり有意義ではない。それゆえいくつかの事前に指定された分析は、血漿蛋白質および自己抗体アッセイの結果を元に実施された。第1に、感度、特異性、NPV、およびPPVメトリックスを生成するロジスティク回帰モデルを使用して、良性疾患から悪性疾患を識別するパネルのみの診断の正確性が判定された。第2に、より多くの変数のあるモデルにおいて、癌のリスクに対する従来の臨床的措置に加えて、バイオマーカーパネルの付加価値が確認された。臨床変数および画像変数は、年齢、喫煙歴、癌病歴、肺病変サイズの最大直径、肺病変の場所(上/下肺)、および原発巣のSUVmax強度を含む確定されたリスクのマーカーを含んでいた。SUVmaxは、対象病変による糖代謝標準摂取の最大値である。SUVmaxは病変の増殖活性と相関することが示され、および一般的な癌診断および特に肺癌における患者の予後には有益である。有意な結果は、ロジスティク回帰を使用してp<0.05で癌対良性ケースを予測するモデルの精度の増加として規定される。結果の安定性を確保し、および間違った検出率を低下させてロジスティク回帰モデルの係数から癌リスクスコアを発展させるために、ブートストラップテクニックが使用された。
【0110】
有用性
標記方法およびシステムは、サンプル(例えば血液サンプル)中の1つ以上の分析物の有無の判定および/または定量化(例えば循環分析物)が所望される多様の異なる用途で使用される。標記システムおよび方法はまた、複数のサンプルのスクリーニングが所望される用途に使用される。特定の実施形態において、本方法は1つ以上のサンプルにおいて例えば2つ以上の異なる循環分析物など分析物のセットの検出に関する。例えば本方法は、被検体において、被検体における継続的管理または病状の治療においてなど、例えば病状(例えば非小細胞肺癌などの癌)の診断に採用され得るように、全血、血漿、または血清サンプルの一群において、2つ以上の循環分析物の高速検出に使用され得る。
【0111】
特定の実施形態において、標記方法およびシステムは、特定循環分析物の有無の検出、ならびに全血、血漿、血清、または他の体液中の特定分析物の濃度の増減の検出に使用される。
【0112】
特定循環分析物の有無または特定循環分析物の濃度における有意の変化は、疾病リスク、被検体における疾患の存在を診断したり、または個体の疾患の処置を調整するために使用され得る。例えば特定循環分析物の有無および/または濃度は、薬物療法または個体に与えられる投薬処方の選定に影響し得る。可能な薬物療法の評価において、循環分析物は生存率または非可逆疾病率などの自然エンドポイントの代替として使用され得る。健康の改善に直接つながりがある治療が循環分析物を変化させる場合、循環分析物は、特定の治療処方または投薬処方の臨床的利益を評価するための代替エンドポイントの役割を果し得る。したがって、被検体における循環分析物プロファイルに基づく個別化された診断および治療は、標記方法およびシステムによって容易となる。さらにその上、疾患に関連する循環分析物の早期検出は、標記方法およびシステム(例えば磁気センサーベースの方法およびシステム)のピコモルおよび/またはフェントモル感度によって容易になる。単一センサー装置(例えば磁気センサー装置)上で複数の循環分析物を検出する能力により、本開示のアッセイシステムおよび方法は多重化分子診断法において複数サンプルのスクリーニングに使用される。
【0113】
特定の実施形態において、標記システムおよび方法は、疾患または疾病状態について循環分析物を検出するために使用される。いくつかの場合では疾患は、癌、腫瘍、乳頭腫、肉腫、カルチノイド、および同種のものなどの細胞増殖疾患であるが、それに限定されない。したがって、標記システムおよび方法は、癌、腫瘍、乳頭腫、肉腫、カルチノイド、または同種のものなどの細胞増殖疾患などの疾患の存在を検出するために使用される。
【0114】
キット
また、上述した方法の1つ以上の実施形態を実施するためにキットが供給される。標記キットは変化し得て、および様々な装置(例えば本開示のセンサー装置(例えば磁気センサー装置)のうち任意のもの)および試薬を含み得る。試薬および装置は、磁気センサー装置またはその部品(磁気センサー配列など)に関してここで前述のもの、磁気ラベル、1つ以上のプローブパネル、検出試薬、緩衝剤、などを含む。試薬は、試薬、磁気ラベル、プローブなどが希望に応じて個別に使用され得るように個別容器に入れて提供され得る。代替として1つ以上の試薬、磁気ラベル、プローブなどは、1つ以上の試薬、磁気ラベル、捕捉プローブなどが事前併用利用者に提供されるように同じ容器に入れて提供され得る。
【0115】
特定の実施形態において、キットは前述のように磁気センサー装置および磁気ラベルを有する。例えば磁気ラベルは、前述のように磁性ナノ粒子であり得る。いくつかの適用例において、キットは、方法(例えば前述のもの)で使用される試薬、そこに保存されたコンピュータプログラムを有するコンピュータ可読媒体であって、コンピュータプログラムはコンピュータにロードされた場合にコンピュータを操作して、センサー(例えば磁気センサー)から得られた信号(例えばリアルタイム信号)から定性的および/または定量的に対象の結合相互作用を判定するところの媒体、およびコンピュータプログラムを得るためのアドレスを有する物理的基材、を少なくとも有する。
【0116】
上記部品に加えて、標記キットは標記方法を実行するための命令をさらに含み得る。これらの命令は標記キット中にさまざまな形式で存在し得て、そのうちの1つ以上はキットの中に存在し得る。これらの命令が存在する一形式は、例えばキットのパッケージ、パッケージの挿入物、などにおいて1枚または複数枚の情報が印刷された用紙など、好適な媒体または基材に印刷された情報として存在し得る。さらに別の手段は、例えばCD、DVD、ブルーレイ、コンピュータ可読メモリ装置(例えばフラッシュメモリドライブ)、など、その上に情報が記録されているコンピュータ可読媒体である。さらに存在し得る別の手段は、インターネットを介して遠隔のサイトにある情報にアクセスするために使用し得るWebサイトアドレスである。任意の便利な手段がキット中に存在し得る。
【0117】
上述の開示から認識され得るように、本開示は幅広い用途を有する。従って以下の実施例は説明する目的で提供されており、本発明の制限として解釈されることをまったく意図しない。当業者は、変更または修正を行っても本質的に同様の結果を生み出す多様な一般的パラメータを容易に認識するであろう。したがって、以下の実施例は当業者に完全に開示するため、および本発明を使用する方法を説明するために提示されており、および本発明者が本発明者の発明として見なすものの範囲を制限することを意図したものではなく、また以下の実験が実施されたすべてのまたは唯一の実験であることを示すことを意図したものでもない。使用された数(例えば数量、温度、など)に関して正確性を確保するための努力が費やされたが、いくつかの実験エラーおよび偏差は考慮されなければならない。別途指定がない限り、部品は部品数×重量、分子量は重量平均分子量、温度は摂氏温度、および圧力は大気圧またはその近傍である。
【実施例】
【0118】
実施例1:臨床モデル+2つの蛋白質バイオマーカーを用いた肺癌の検出
【0119】
肺病変の診断のため、または3つの医療センターにおける肺癌の観測調査による癌病期分類のため、PET−CTスキャンを受けた患者について検査が行われた。磁気ナノセンサーおよびStanford UniversityとMagArray,Inc.で開発されたサンドイッチイムノアッセイ法を使用して、肺癌管理および非癌管理を用いて患者の血漿中のTIMP−1およびANGPTL3自己抗体を測定した。次いで層別化されたこれらの患者のコホート中のバイオマーカーレベルおよび喫煙状態を解析し、ANOVAおよびロジスティク回帰解析を使用してバイオマーカーと診断との関連性および患者の喫煙状態との関連性を把握した。
【0120】
8、16以上のGMRセンサ−チップの同時アッセイが可能な
図2に示す「MR−813」システムを使用して、血液サンプルをアッセイした。各GMRチップは、患者サンプル、対照サンプル、または標準サンプルとインキュベートされた。モジュール型生化学混合ステーション(MR−813 Hanno Unit)を使用して、GMRチップとサンプルまたは対照または標準とのインキュベート、検出試薬のインキュベート、および必要に応じてその間に洗浄ステップを実施した。読み取りステーション(MR−813 Reader Unit)を使用して、Hanno Unitから転送されたGMRチップと磁性ナノ粒子溶液とのインキュベートを実施し、およびリアルタイムでティックリング磁界下でセンサー信号の問い合わせを行うことで、同時に8、16以上のGMRチップの解析を行った。
【0121】
201人の患者−82人の患者は病期INSCLC、36人は病期II〜IVの癌、および83人は癌ではない肺病変(良性対照)−から採取した血漿20μLをアッセイした。この患者たちのうち100人は喫煙歴あり、50人は現在も喫煙しており、および51人が非喫煙者であった。過去の喫煙歴は、登録時に喫煙していないことで定義された。TIMP−1の平均レベルは、全201人の患者について102±5ng/mLであった。TIMP−1レベルはすべての癌の症例対対照(p=0.03)で有意に異なっていたが、病期Iの下位群について、または年齢および病変直径によるマッチド解析では当てはまらなかった。ただし
図4に示すように、喫煙状態で層別化した場合、TIMP−1レベルの増加は全病期の癌診断と関連し(p=0.001)、病期Iのみでは(p=0.005)、年齢および病変直径によるマッチングでは(p=0.03)であった。
【0122】
年齢、癌病歴、結節直径(cm)、結節肺の場所、および結節境界、NSCLC患者を含む臨床的に関連があるデータを使用することで、AUCが0.741の良性対照の識別が可能になった(
図5の「ステップ0」ROC曲線参照、これはいわゆる任意の蛋白質バイオマーカーの利益を受けない臨床モデルに対応する)。TIMP−1の蛋白質データを臨床モデル(「ステップ1」ROC曲線参照)に追加することで、AUCは0.8466に改善した。別の蛋白質バイオマーカー(ANGPTL3抗体)をロジスティク回帰モデルに追加することで、AUCは0.9069になった(
図5の「モデル」ROC参照)。
【0123】
実施例2:多数の蛋白質バイオマーカーを組み込んだロジスティク回帰モデルを用いた肺癌の検出
【0124】
11個のバイオマーカーレベルは、ロジスティク回帰分析に先立って自然対数を使用して変換された。28個の定義済み予測モデルの識別能力を評価した。これらのモデルは、表1の仕様書に従ってロジスティク回帰モデルを適合させることで組み立てられたが、xは所定のモデルに含まれるパラメータを示す。モデルの適合の結果として得られ係数は予測モデルを組み立てるために使用され、そのモデルは次いで、1000ブートストラップデータセットを使用して評価された。性能の最終的尺度は、各ブートストラップデータセットに適用された場合に各モデルについて判定された平均ROC曲線AUCであった。
【0125】
モデル11〜16は、年齢および/または性別付き/なしのバイオマーカーP3およびP6からなるモデル10、9、8として組み立てられた喫煙スコア変数を最初に使用して組み立てられた。これらのバイオマーカーが選択された。なぜならそれらは喫煙状態を予測するための最適合モデルを産生したからである。
【0126】
モデル25が追加されることで、最高性能の喫煙スコアモデル(モデル14)および喫煙スコアなしで同じ変数を使用するモデル(モデル25)の性能間の比較が可能になった。モデル25はモデル14と同じ変数を含むが、いくつかの変数を喫煙スコアに組み合わせるのではなく、すべての変数を無関係に使用する。
【0127】
12個のモデルが、0.8以上の平均AUC値を持つAUC分布を産生した(
図8の表1)。以前に適用されたラッソアプローチ、モデル1を介して選択されたモデルは、他の全モデルより性能がよかった。次に性能がよいモデルはモデル17で、このモデルは年齢、性別、癌診断履歴、結節の場所、およびP3、P6、P7、A1、A2、およびA4を含む。
【0128】
図6は、各モデルについてのブートストラップAUC分布の棒グラフを示す。
図7は、このAUC分布の平均値と、各分布の95%信頼区間の上下限を示す。
【0129】
図9の表2は、モデル1、6、7、および17のモデル係数を示す。
【0130】
添付の請求項にもかかわらず、本明細書に記載される開示は、以下の付記によっても定義される。
【0131】
1.被検体の循環分析物プロファイルを産生する方法であって、被検体からの血液サンプルを、組織性メタロプロテアーゼ阻害因子1(TIMP1)、抗アンジオポエチン様タンパク質3抗体(抗ANGPTL3)、上皮成長因子受容体(EGFR)、プロサーファクタントタンパク質B(ProSB)、抗14−3−3タンパク質シータ抗体(抗YWHAQ)、および抗ラミニンアルファ1抗体(抗LAMR1)からなるグループから選択された2つ以上の分析物と特異結合するために、プローブパネルに接触させるステップと、2つ以上の分析物のうちの分析物とプローブパネルのプローブとの結合の有無を検出して、被検体の循環分析物プロファイルを産生するステップとを含む方法。
2.血液サンプルを、TIMP1、抗ANGPTL3、EGFR、ProSB、抗YWHAQ、および抗LAMR1からなるグループから選択された3つ以上の分析物と特異結合するために、プローブパネルに接触させる、付記1に記載の方法。
3.血液サンプルを、TIMP1、抗ANGPTL3、EGFR、ProSB、抗YWHAQ、および抗LAMR1からなるグループから選択された4つ以上の分析物と特異結合するために、プローブパネルに接触させる、付記1に記載の方法。
4.血液サンプルを、TIMP1、抗ANGPTL3、EGFR、ProSB、抗YWHAQ、および抗LAMR1からなるグループから選択された5つ以上の分析物と特異結合するために、プローブパネルに接触させる、付記1に記載の方法。
5.血液サンプルを、TIMP1、抗ANGPTL3、EGFR、ProSB、抗YWHAQ、および抗LAMR1と特異結合するために、プローブパネルに接触させる、付記1に記載の方法。
【0132】
6.2つ以上の分析物のうちの分析物の結合の有無を検出するステップは、検出された分析物を定量化するステップを含む、付記1〜5のいずれか一つに記載の方法。
7.プローブパネルは、HE4、AGR2、CHGA、LRG1、抗ANXA1、抗UBQLN1、IL6、IL8、CXCL2、DEFB1、FGF2、CD97、PPBP、PCT、RAGE、S100A4、S100A8/A9、OPN、およびそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された1つ以上の追加分析物と結合するためのプローブを有し、1つ以上の追加分析物とプローブパネルのプローブとの結合の有無を検出して、被検体の循環分析物プロファイルを産生するステップを含む、付記1〜6のいずれか一つに記載の方法。
8.プローブパネルは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上の追加分析物に、または追加分析物の各々に、結合するためのプローブを有する、付記7に記載の方法。
9.1つ以上の追加分析物の結合の有無を検出するステップは、検出された1つ以上の追加分析物を定量化するステップを含む、付記7または8に記載の方法。
10.プローブパネルは循環腫瘍細胞に結合するためのプローブを有し、循環腫瘍細胞とプローブパネルのプローブとの結合の有無を検出して、被検体の循環分析物プロファイルを産生するステップを含む、付記1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【0133】
11.循環腫瘍細胞の結合の有無を検出するステップは、検出された循環腫瘍細胞を定量化するステップを含む、付記10に記載の方法。
12.プローブパネルは腫瘍DNAに結合するためのプローブを有し、腫瘍DNAとプローブパネルのプローブとの結合の有無を検出して、被検体の循環分析物プロファイルを産生するステップを含む、付記1〜11のいずれか一つに記載の方法。
13.腫瘍DNAの結合の有無を検出するステップは、検出された腫瘍DNAを定量化するステップを含む、付記12に記載の方法。
14.プローブパネルは、50個以下の分析物と特異的に結合するためのプローブを有する、付記1〜13のいずれか一つに記載の方法。
15.プローブパネルは、40個以下の分析物と特異的に結合するためのプローブを有する、付記1〜13のいずれか一つに記載の方法。
【0134】
16.プローブパネルは、30個以下の分析物と特異的に結合するためのプローブを有する、付記1〜13のいずれか一つに記載の方法。
17.プローブパネルは、25個以下の分析物と特異的に結合するためのプローブを有する、付記1〜13のいずれか一つに記載の方法。
18.循環分析物プロファイルに基づいて被検体を癌にかかっていると診断するステップをさらに含む、付記1〜17のいずれか一つに記載の方法。
19.診断するステップは、被検体を病期I、病期II、病期III、または病期IVの癌にかかっていると診断するステップを含む、付記18に記載の方法。
20.診断するステップは、被検体を病期Iまたは病期IIの癌にかかっていると診断するステップを含む、付記19に記載の方法。
【0135】
21.診断するステップは、被検体を病期Iの癌にかかっていると診断するステップを含む、付記20に記載の方法。
22.診断するステップは、臨床画像、年齢、性別、癌の病歴、陰影の場所、陰影のサイズ、陰影の境界、最大SUV、喫煙状態、およびそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された臨床評価にさらに基づいている、付記18〜21のいずれか一つに記載の方法。
23.癌は肺癌である、付記18〜22のいずれか一つに記載の方法。
24.肺癌は非小細胞肺癌(NSCLC)である、付記23に記載の方法。
25.被検体は肺癌の危険性が高い母集団から選ばれる、付記1〜24のいずれか一つに記載の方法。
【0136】
26.肺癌の危険性が高い母集団は現在喫煙している被検体からなる、付記25に記載の方法。
27.肺癌の危険性が高い母集団は過去にヘビースモーカーであった者からなる、付記25または26に記載の方法。
28.被検体は非定型肺病変を有する、付記1〜27のいずれか一つに記載の方法。
29.被検体は肺癌治療を受けており、循環分析物プロファイルに基づいて肺癌治療に対する被検体の治療反応を予測するステップ、モニターするステップ、またはその両方を含む、付記1〜24のいずれか一つに記載の方法。
30.血液サンプルは、全血サンプル、血漿サンプル、または血清サンプルである、付記1〜29のいずれか一つに記載の方法。
【0137】
31.プローブパネルは、アドレス可能プローブ配列として提供された捕捉プローブパネルである、付記1〜30のいずれか一つに記載の方法。
32.アドレス可能プローブ配列は磁気センサー装置の磁気センサーチップに存在する、付記31に記載の方法。
33.磁気センサーチップは、その表面に取り付けられた捕捉プローブを有する2つ以上の磁気センサーを備える、付記32に記載の方法。
34.その表面に取り付けられた捕捉プローブを有する2つ以上の磁気センサーのうち各々は、同じ2つ以上の分析物と結合するための捕捉プローブを有する、付記33に記載の方法。
35.各磁気センサーは磁気抵抗素子を有する、付記33または34に記載の方法。
【0138】
36.磁気抵抗素子は、スピンバルブ磁気抵抗素子または磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子である、付記35に記載の方法。
37.2つ以上の分析物とプローブパネルのプローブとの結合の有無を検出するステップは、捕捉された分析物に結合された磁気ラベル付き検出試薬を検出するステップを含む、付記32〜36のいずれか一つに記載の方法。
38.磁気ラベル付き検出試薬は間接的に捕捉された分析物に間接的に結合されている、付記37に記載の方法。
39.磁気ラベル付き検出試薬は、捕捉プローブ、分析物、分析物に特異的に結合した第1検出試薬、および第1検出試薬に結合された磁気ラベル付き検出試薬からなる複合体の一部分である、付記38に記載の方法。
40.2つ以上の分析物とプローブパネルのプローブとの結合の有無を検出するステップは、磁気ラベル付き検出試薬によって誘起された磁気抵抗素子中の抵抗値変化を検出するステップを含む、付記35〜39のいずれか一つに記載の方法。
【0139】
41.センサー装置であって、アドレス可能プローブ配列として提供された捕捉プローブパネルを備えており、捕捉プローブパネルは、TIMP1、抗ANGPTL3、EGFR、ProSB、抗YWHAQ、および抗LAMR1からなるグループから選択された2つ以上の分析物と特異結合するためのプローブを有するセンサー装置。
42.捕捉プローブパネルは、TIMP1、抗ANGPTL3、EGFR、ProSB、抗YWHAQ、および抗LAMR1からなるグループから選択された3つ以上の分析物と特異結合するためのプローブを有する、付記41に記載のセンサー装置。
43.捕捉プローブパネルは、TIMP1、抗ANGPTL3、EGFR、ProSB、抗YWHAQ、および抗LAMR1からなるグループから選択された4つ以上の分析物と特異結合するためのプローブを有する、付記41に記載のセンサー装置。
44.捕捉プローブパネルは、TIMP1、抗ANGPTL3、EGFR、ProSB、抗YWHAQ、および抗LAMR1からなるグループから選択された5つの分析物と特異結合するためのプローブを有する、付記41に記載のセンサー装置。
45.捕捉プローブパネルは、TIMP1、抗ANGPTL3、EGFR、ProSB、抗YWHAQ、および抗LAMR1と特異結合するためのプローブを有する、付記41に記載のセンサー装置。
【0140】
46.捕捉プローブパネルは、HE4、AGR2、CHGA、LRG1、抗ANXA1、抗UBQLN1、IL6、IL8、CXCL2、DEFB1、FGF2、CD97、PPBP、PCT、RAGE、S100A4、S100A8/A9、OPN、およびそれらの任意の組み合わせからなるグループから選択された1つ以上の追加分析物と結合するためのプローブを有する、付記41〜45のいずれか一つに記載のセンサー装置。
47.捕捉プローブパネルは、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上の追加分析物に、または追加分析物の各々に、結合するためのプローブを有する、付記41〜45のいずれか一つに記載のセンサー装置。
48.捕捉プローブパネルは、循環腫瘍細胞と結合するためのプローブを有する、付記41〜47のいずれか一つに記載のセンサー装置。
49.捕捉プローブパネルは、腫瘍DNAと結合するためのプローブを有する、付記41〜48のいずれか一つに記載のセンサー装置。
50.捕捉プローブパネルは、50個以下の分析物と結合するためのプローブを有する、付記41〜49のいずれか一つに記載のセンサー装置。
【0141】
51.捕捉プローブパネルは、40個以下の分析物と結合するためのプローブを有する、付記41〜49のいずれか一つに記載のセンサー装置。
52.捕捉プローブパネルは、30個以下の分析物と結合するためのプローブを有する、付記41〜49のいずれか一つに記載のセンサー装置。
53.捕捉プローブパネルは、25個以下の分析物と結合するためのプローブを有する、付記41〜49のいずれか一つに記載のセンサー装置。
54.センサー装置は磁気センサー装置である、付記41〜53のいずれか一つに記載のセンサー装置。
55.磁気センサー装置は、捕捉プローブパネルを有する磁気センサーチップを備える、付記54に記載のセンサー装置。
【0142】
56.磁気センサーチップは、その表面に取り付けられた捕捉プローブを有する2つ以上の磁気センサーを備える、付記55に記載のセンサー装置。
57.その表面に取り付けられた捕捉プローブを有する2つ以上の磁気センサーのうち各々は、同じ分析物と結合するための捕捉プローブを有する、付記56に記載のセンサー装置。
58.各磁気センサーは磁気抵抗素子を有する、付記56または57に記載のセンサー装置。
59.磁気抵抗素子は、スピンバルブ磁気抵抗素子または磁気トンネル接合(MTJ)磁気抵抗素子である、付記58に記載のセンサー装置。
【0143】
前述の実施形態は理解の明確さのため例示および実施例によって詳細に記述されたのではあるが、本開示の説明に従えばここに加えられる特許請求の趣旨および範囲を逸脱することなく何らかの変形や修正を行うことができることは、当業者には容易に明らかである。
【0144】
従って、前述のものは単に本開示の実施形態の原理を示すものにすぎない。当業者は、ここでは明示または公示されなかったけれども、標記実施形態の原理を具体化し、およびその主旨および範囲に含まれる様々な配置を考案できることが理解されよう。さらに、ここに記載されたすべての実施例および条件付き文言は主に閲覧者による本開示の実施形態の原理および本発明者が提供した概念の理解を補助することを意図したものであり、およびそのような具体的に記載された実施例および条件にたいする制限ではないと解釈されるべきである。さらに、本開示ならびにその特定の実施例の原理、態様、および実施形態を記載したここでのすべての記述は、構造上および機能上両方の均等物を包含することを意図したものである。加えて、そうような均等物は現在公知の均等物と将来開発される均等物、つまり構造に拘わらず同じ機能を実行する任意の開発された要素の両方を含むことが意図されている。本開示の範囲はそれゆえ、ここに記載のような例示的実施形態に制限されるとは意図されていない。正しくは、本開示の範囲および精神は特許請求の範囲によって具体化される。
【0145】
関連出願への相互参照
本出願は、出願日2016年3月8日に出願された米国特許仮申請第62/305,333号に対する米国特許法第119条(e)にいう優先権を主張するものであり、その開示全体を参照によって本明細書に組み込む。
【0146】
政府援助への参照
本発明は、認可番号U54CA151459、U54 CA199075、およびR44 CA165296に基づいて米国立衛生研究所から授与された政府援助を得て実施された。政府機関は、本発明に特定の権利を得る。