特許第6903674号(P6903674)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903674
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】カチオン性ポリマー及び多孔質材料
(51)【国際特許分類】
   C08F 126/04 20060101AFI20210701BHJP
   C08F 8/32 20060101ALI20210701BHJP
   C08F 8/40 20060101ALI20210701BHJP
   C01B 39/40 20060101ALI20210701BHJP
   B01J 29/80 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   C08F126/04
   C08F8/32
   C08F8/40
   C01B39/40
   B01J29/80 M
【請求項の数】15
【全頁数】67
(21)【出願番号】特願2018-540689(P2018-540689)
(86)(22)【出願日】2016年10月20日
(65)【公表番号】特表2018-532871(P2018-532871A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】US2016057898
(87)【国際公開番号】WO2017070336
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2019年10月21日
(31)【優先権主張番号】62/244,388
(32)【優先日】2015年10月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(73)【特許権者】
【識別番号】518139742
【氏名又は名称】キング アブドゥッラー ユニヴァーシティー オブ サイエンス アンド テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】KING ABDULLAH UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ユィ
(72)【発明者】
【氏名】ティエン,チーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ドン,シンロン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ヂャオホイ
(72)【発明者】
【氏名】バセット,ジャン−マリー
(72)【発明者】
【氏名】サイーフ,ユーセフ
(72)【発明者】
【氏名】スゥン,ミアォ
(72)【発明者】
【氏名】シュィ,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シャイフ,ソエル
【審査官】 佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−212222(JP,A)
【文献】 特表平10−501842(JP,A)
【文献】 特表2009−516012(JP,A)
【文献】 特表2012−530680(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/092669(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 26/00−26/12
C08F 30/00−30/10
C08F 8/00−8/50
B01J 29/00−29/90
C01B 37/00−39/54
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造:
【化1】
(式中、Aが窒素またはリンであり、Bが窒素またはリンであり、
R5が1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖であり、
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の各々が水素原子または炭化水素であり、前記炭化水素の各々が1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、
nが10〜10,000,000である。)を含むカチオン性ポリマー。
【請求項2】
A及びBが窒素である、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【請求項3】
Cl、Br、F、I、OH、1/2SO2−、1/3PO3−、1/2S2−、AlOから選択される1種以上のアニオンを更に含む、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【請求項4】
R5が、3〜30個の炭素原子の炭素鎖長を含む、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【請求項5】
R5が、5〜10個の炭素原子の炭素鎖長を含む、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【請求項6】
R6、R7、R8、及びR9が水素である、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【請求項7】
R10がアルキル基である、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【請求項8】
R10がメチル基である、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【請求項9】
R11、R12、及びR13がアルキル基である、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【請求項10】
前記カチオン性ポリマーが、ポリ(N,N−ジアリル−N−アルキル−N,N,N−トリアルキルヘキサン−1,6−ジアモニウムハライド)である、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【請求項11】
前記カチオン性ポリマーが、ポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリメチルヘキサン−1,6−ジアンモニウムブロマイド)である、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【請求項12】
前記カチオン性ポリマーが、ポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリエチルヘキサン−1,6−ジアモニウムブロマイド)である、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【請求項13】
前記カチオン性ポリマーが、ポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリプロピルヘキサン−1,6−ジアモニウムブロマイド)である、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【請求項14】
前記カチオン性ポリマーが非界面活性剤である、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【請求項15】
前記カチオン性ポリマーが構造指向剤として利用されてメソ細孔性ゼオライトを形成する、請求項1に記載のカチオン性ポリマー。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2015年10月21日に出願された米国仮特許出願第62/244,388号に対する優先権を主張するものであり、その全体の内容が参照により組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、カチオン性ポリマー及び多孔質材料に関し、より具体的には、多孔質材料の合成に利用され得るカチオン性ポリマーに関する。
【背景技術】
【0003】
ゼオライトなどのミクロ細孔構造は、多くの石油化学工業用途において利用され得る。例えば、そのようなミクロ構造は、数多くの反応において触媒として利用され得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施形態によれば、カチオン性ポリマーは、本開示において後に含まれる化学構造#3または化学構造#8に図示される構造を含み得る。
【0005】
本開示の別の実施形態によれば、塩化物アニオンを有するジアリルメチルアンモニウム塩酸塩カチオンをジアリルアミンから形成し、ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩を重合してポリ(ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩)(PDMAH)を形成し、ポリ(ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩)(PDMAH)からポリ(ジアリルメチルアミン)(PDMA)を形成し、トリアルキルアミンをジハロアルカンと反応させることによってハライドアニオンを有するアンモニウムハライドカチオンを形成し、PDMAをアンモニウムハライドカチオンと反応させることによって化学構造#3に図示された化学組成物を形成する工程を含むプロセスによって、化学構造#3に図示されたカチオン性ポリマーが形成され得る。
【0006】
本開示の更に別の実施形態によれば、構造指向剤として化学構造#3に図示されるカチオン性ポリマーを利用することによって触媒が形成され得る。
【0007】
本開示の更に別の実施形態によれば、メソ細孔性ゼオライトは、2ナノメートル(nm)以下の直径を有する複数のミクロ細孔、及び2nmを超え50nm以下の直径を有する複数のメソ細孔を含むミクロ細孔骨格を含み得る。メソ細孔性ゼオライトは、アルミノシリケート材料、チタノシリケート材料、または純粋なシリケート材料を含み得、メソ細孔性ゼオライトは、1グラム当たり350平方メートル(m/g)を超えるBrunauer−Emmett−Teller(BET)表面積を含み得、メソ細孔性ゼオライトは、1グラム当たり0.3立方センチメートル(cm/g)を超える細孔容積を含み得る。本開示を通して、表面積は、ゼオライト構造のBET表面積を指す。
【0008】
本開示の更に別の実施形態によれば、メソ細孔性ゼオライトは、カチオン性ポリマー及び1種以上の前駆体材料を組み合わせてミクロ細孔を含む中間体材料を形成することと、中間体構造を焼成してメソ細孔性ゼオライトを形成することと、を含む方法によって生成され得る。カチオン性ポリマーは、ミクロ細孔の形成のための構造指向剤として作用し得る。カチオン性ポリマーは、炭化水素鎖によって結合した2つ以上の第4級アンモニウムカチオンまたは第4級ホスホニウムカチオンを含むモノマーを含む。
【0009】
本開示の更に別の実施形態によれば、多孔質材料は、2nm以下の直径を有する複数のミクロ細孔を含むミクロ細孔構造を含むゼオライトコア部分を含み得、そのコア部分が、アルミノシリケート材料、チタノシリケート材料、または純粋なシリケート材料を含む。多孔質材料はまた、アルミノシリケート材料、チタノシリケート材料、または純粋なシリケート材料を含み、かつコア部分を取り囲むメソ細孔性ゼオライトシェル部分を含み得る。シェル部分は、2nm以下の直径を有する複数のミクロ細孔、及び2nmを超え50nm以下の直径を有する複数のメソ細孔を含むミクロ細孔骨格を含み得る。
【0010】
本開示の更に別の実施形態によれば、コア部分及びシェル部分を含むコア/シェルゼオライトは、コアシード材料の周りにシェル部分の中間体材料を形成することであって、シェル部分の中間体材料がミクロ細孔を含む、形成することと、コア/シェル多孔質材料を焼成してコア/シェルゼオライトを形成することであって、そのシェル部分がメソ細孔性ゼオライトを含む、形成することと、を含む方法によって生成され得る。カチオン性ポリマーは、シェル部分の中間体のミクロ細孔の形成のための構造指向剤として作用する。カチオン性ポリマーは、炭化水素鎖によって分離した2つ以上の第4級アンモニウムカチオンまたは第4級ホスホニウムカチオンを含むモノマーを含む。
【0011】
本開示で開示されている技術の追加的な特徴及び利点は、以下の詳細な説明において説明されており、一部は、本明細書から当業者にとって容易に明らかであるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付の図面を含む本開示に記載された技術を実施することによって認識される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示されている以下の図面と併せて読むと最も良好に理解され得る。
【0013】
図1】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリプロピルヘキサン−1,6−ジアモニウムブロマイド)(PDAMAB−TMHAB)を形成するための反応経路を図示している。
図2】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、MFI骨格型ミクロ構造の概略図を図示している。
図3】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例1で合成されたPDAMAB−TMHABのプロトン核磁気共鳴(H−NMR)スペクトルを図示している。
図4】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例3のゼオライト及び慣用ZSM−5ゼオライト(メソ細孔を有しない)のN収着等温線を図示している。
図5】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、合成時及び焼成後の実施例3のゼオライトのX線回折(XRD)パターンを図示している。
図6】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例3のゼオライト中のメソ細孔のサイズの分布曲線を図示している。
図7】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例3のゼオライトの透過電子顕微鏡(TEM)画像を図示している。
図8】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例3のゼオライトの高分解能透過電子顕微鏡(HRTEM)画像を図示している。
図9】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、図8に示された選択領域の高速フーリエ変換(FFT)画像を図示している。
図10】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例3のゼオライトの暗視野走査型透過電子顕微鏡(STEM)画像を図示している。
図11】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、様々なSi/Alモル比を有するように調製された実施例6のゼオライトのXRDパターンを図示している。
図12】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例5のシリカライト材料のHRTEM画像を図示している。
図13】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例4のチタノシリケート材料のTEM画像を図示している。
図14】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例4のチタノシリケート材料のXRDパターンを図示している。
図15A】本開示に記載された実施形態による、ZSM−5コア/ZSM−5シェル多孔質構造のTEM画像を図示しており、コア(すなわち、シード)材料を図示している。
図15B】本開示に記載された別の実施形態による、ZSM−5コア/ZSM−5シェル多孔質構造のTEM画像を図示しており、約40nmのシェル厚さを有するコアシェル構造を図示している。
図15C】本開示に記載されたさらに別の実施形態による、ZSM−5コア/ZSM−5シェル多孔質構造のTEM画像を図示しており、約100nmのシェル厚さを有するコアシェル構造を図示している。
図15D】本開示に記載されたまた別の実施形態による、ZSM−5コア/ZSM−5シェル多孔質構造のTEM画像を図示しており、約150nmのシェル厚さを有するコアシェル構造を図示している。
図16A】本開示に記載された実施形態による、ゼオライトYコア/メソ細孔性ZSM−5シェル多孔質構造のTEM画像を図示しており、シードゼオライトYシード材料のものである。
図16B】本開示に記載された別の実施形態による、ゼオライトYコア/メソ細孔性ZSM−5シェル多孔質構造のTEM画像を図示しており、コア/シェル多孔質構造のものである。
図17A】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、合成されたメソ細孔性ベータゼオライトのTEM画像を図示している。
図17B】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、合成されたメソ細孔性ベータゼオライトのTEM画像を図示しており、合成されたメソ細孔性ベータゼオライトのXRDパターンを図示している。
図17C】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、合成されたメソ細孔性ベータゼオライトのTEM画像を図示しており、合成されたメソ細孔性ベータゼオライトのN吸着等温線を図示している。
図18A】本開示に記載された実施形態による、ベータコア/メソ細孔性ベータシェル多孔質構造のTEM画像を図示している。
図18B】本開示に記載された別の実施形態による、ベータコア/メソ細孔性ベータシェル多孔質構造のTEM画像を図示している。
図19A】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例6のゼオライトのTEM画像を図示している。
図19B】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例6のゼオライトの電子回折(ED)パターンを図示している。
図19C】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例6のゼオライトの高分解能TEM画像を図示している。
図19D】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例6のゼオライトの再構成された電子断層撮影ボリュームデータを図示している。
図20A】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例6のゼオライトのXRDデータを図示している。
図20B】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例6のゼオライトの吸着/脱着等温線データを図示している。
図20C】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例6のゼオライトの熱重量分析データを図示している。
図20D】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、実施例6のゼオライトのNH−温度−プログラム脱着(TPD)プロファイルを図示している。
図21A】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、メタノールから芳香族化合物への反応のための触媒として利用される様々な慣用ゼオライト及びメソ細孔性ゼオライトの芳香族化合物の転化百分率及び選択性を示している。
図21B】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、キャノーラ油の分解反応のための触媒として利用される様々な慣用ゼオライト及びメソ細孔性ゼオライトのオレフィンの転化百分率及び収率を示している。
図22】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、メソ細孔性ZSM−5ゼオライト担持Ptナノ結晶の高角度環状暗視野走査型透過電子顕微鏡画像を示している。
図23】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、3つのゼオライト触媒上の酸部位の2,6−ジ−tertブチルピリジン(DTBP)塩基滴定を図示している。
図24A】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、慣用ゼオライトのTEM画像を図示している。
図24B】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、慣用ゼオライトのTEM画像を図示している。
図25A】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、遠心分離前のメソ細孔性ZSM−5ゼオライト及びナノZSM−5慣用ゼオライトのPtCl2−の吸着の写真を図示している。
図25B】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、遠心分離後メソ細孔性ZSM−5ゼオライト及びナノZSM−5慣用ゼオライトのPtCl2−の吸着の写真を図示している。
図26A】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ナノZSM−5慣用ゼオライトコア及びメソ細孔性ZSM−5ゼオライトシェルを有するコア/シェルゼオライトの画像を図示している。
図26B】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ナノZSM−5慣用ゼオライトコア及びメソ細孔性ZSM−5ゼオライトシェルを有するコア/シェルゼオライトの画像を図示している。
図26C】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ナノZSM−5慣用ゼオライトコア及びメソ細孔性ZSM−5ゼオライトシェルを有するコア/シェルゼオライトの画像を図示している。
図26D】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ナノZSM−5慣用ゼオライトコア及びメソ細孔性ZSM−5ゼオライトシェルを有するコア/シェルゼオライトの画像を図示している。
図26E】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ナノZSM−5慣用ゼオライトコア及びメソ細孔性ZSM−5ゼオライトシェルを有するコア/シェルゼオライトの画像を図示している。
図27A】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ベータコア/メソ細孔性ベータシェル多孔質構造の画像を示している。
図27B】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ベータコア/メソ細孔性ベータシェル多孔質構造の画像を示している。
図27C】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ベータコア/メソ細孔性ベータシェル多孔質構造の画像を示している。
図27D】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ベータコア/メソ細孔性ベータシェル多孔質構造の画像を示している。
図28】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、異なる分子量を有するSDAポリマーを用いて調製されたゼオライトについてのN吸着等温線を示している。
図29】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、メソ細孔性ZSM−5ゼオライト粒子のTEM画像及び対応するEDパターンを示している。
図30A】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、異なる入射角で撮影された突出しているMFI(反転モルデナイト骨格)繊維のTEM画像を示している。
図30B】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ある入射角で撮影された突出しているMFI(反転モルデナイト骨格)繊維のTEM画像を示している。
図30C】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、異なる入射角で撮影された突出しているMFI(反転モルデナイト骨格)繊維のTEM画像を示している。
図30D】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、異なる入射角で撮影された突出しているMFI(反転モルデナイト骨格)繊維のTEM画像を示している。
図31】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、1つ以上の互い違いの(staggered)結晶構造を有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトの単純化された概略図を示している。
図32A】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ナノZSM−5慣用ゼオライトコア材料/シード及び様々なシェル厚さを有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトシェルから調製されたコア/シェル構造のSEM画像を示している。
図32B】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ナノZSM−5慣用ゼオライトコア材料/シード及び様々なシェル厚さを有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトシェルから調製されたコア/シェル構造のSEM画像を示している。
図32C】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ナノZSM−5慣用ゼオライトコア材料/シード及び様々なシェル厚さを有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトシェルから調製されたコア/シェル構造のXRDデータを示している。
図32D】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、ナノZSM−5慣用ゼオライトコア材料/シード及び様々なシェル厚さを有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトシェルから調製されたコア/シェル構造のN吸着等温線を示している。
図33A】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、バルク慣用ゼオライトベータ結晶上に成長したメソ細孔性ZSM−5ゼオライトのTEM画像を図示している。
図33B】本開示に記載された1つ以上の実施形態による、バルク慣用ゼオライトベータ結晶上に成長したメソ細孔性ZSM−5ゼオライトのTEM画像を図示している。
【0014】
これより、より詳細に様々な実施形態に言及し、そのいくつかの実施形態は添付の図面に示されている。可能な限り常に、同じまたは類似の部分に言及するために図面を通して同じ参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、メソ細孔性ゼオライト材料の製造のための構造指向剤(SDA)として使用され得るカチオン性ポリマーの様々な実施形態に関する。本開示を通して使用される場合、「ゼオライト」は、規則的な結晶内空洞及び分子寸法のチャネルを有するミクロ細孔含有無機材料を指す。ゼオライトのミクロ細孔構造(例えば、0.3nm〜1nmの細孔サイズ)は、大きな表面積及び所望のサイズ/形状選択性をもたらし得、これは触媒作用に有利であり得る。記載されたメソ細孔性ゼオライトは、アルミノシリケート、チタノシリケート、または純粋なシリケートを含み得る。実施形態では、記載されたゼオライトは、(ゼオライトのミクロ構造中に存在する)ミクロ細孔を含み得、メソ細孔を追加的に含み得る。本開示を通して使用される場合、ミクロ細孔は、2nm以下で0.1nm以上の直径を有する構造中の細孔を指し、メソ細孔は、2nmを超え50nm以下の直径を有する構造中の細孔を指す。カチオン性ポリマーは、メソ細孔性ゼオライトを合成するための二重機能テンプレートとして機能し得、これは、それらがミクロ細孔の製造のためのテンプレートとして及びメソ細孔の製造のためのテンプレートとして同時に作用することを意味する。実施形態では、SDAとしてカチオン性ポリマーを使用することによって製造されたメソ細孔性ゼオライトは、MFI(反転モルデナイト骨格)骨格型またはBEA骨格型によって特徴付けられるミクロ構造(ミクロ細孔を含む)を含み得る。例えば、記載されたメソ細孔性ゼオライトは、ZSM−5(すなわち、アルミノシリケートMFI骨格型を有する)として、TS−1(すなわち、チタノシリケートMFI骨格型を有する)として、またはシリカライト−I(すなわち、純粋なシリケートMFI骨格型を有する)として特徴付けられ得る。他の実施形態では、記載されたメソ細孔性ゼオライトは、ベータ(すなわち、アルミノシリケートBEA骨格型を有する)として特徴付けられ得る。
【0016】
開示されたカチオン性ポリマーは、1種以上のモノマーを含み得、そのモノマーがそれぞれ、第4級アンモニウムカチオンまたは第4級ホスホニウムカチオンなどの複数のカチオン性官能基を含み得る。モノマーのカチオン性官能基は、炭化水素鎖によって結合され得る。理論に束縛されるものではないが、カチオン性官能基は、メソ細孔性ゼオライトのミクロ構造(例えば、MFI骨格型またはBEA骨格型)を形成するか、またはそれを形成する際に少なくとも部分的に役立ち得、そのポリマーの炭化水素鎖及び他の炭化水素官能基は、メソ細孔性ゼオライトのメソ細孔を形成するか、またはそれを形成する際に少なくとも部分的に役立ち得る。
【0017】
カチオン性ポリマーは、ゼオライトミクロ構造の製造のためのSDAとして利用される官能基を含み得る。ゼオライトミクロ構造を形成すると考えられるそのような官能基には、第4級アンモニウムカチオン及び第4級ホスホニウムカチオンが含まれる。第4級アンモニウムは一般に化学構造#1に図示されており、第4級ホスホニウムは一般に化学構造#2に図示されている。
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】
本開示を通して使用される場合、丸で囲まれたプラス記号(「+」)は、カチオン性の正に荷電した中心を示す。R基(R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13を含む)は化学構成要素を表す。様々なR基のうちの1つ以上は、構造的に同一であり得、または互いに構造的に異なり得る。
【0021】
化学構造#1及び化学構造#2において、R1、R2、R3、及びR4には、水素原子または、1つ以上のヘテロ原子を任意に含む炭化水素鎖などの炭化水素が含まれ得る。本開示を通して使用される場合、「炭化水素」は、水素及び炭素を含む化学物質または化学的部分を指す。例えば、炭化水素鎖は、分枝状または非分枝状であり得、環状または芳香族部分を含むアルカン炭化水素鎖、アルケン炭化水素鎖、またはアルキン炭化水素鎖を含み得る。いくつかの実施形態では、R1、R2、R3、またはR4のうちの1つ以上は水素原子を表し得る。本開示を通して使用される場合、ヘテロ原子は、非炭素及び非水素原子である。実施形態において、第4級アンモニウム及び第4級ホスホニウムは、環状部分、例えば、5原子環、6原子環、または異なる数の原子を含む環に存在し得る。例えば、化学構造#1及び化学構造#2では、R1及びR2構成要素は、同じ環状部分の一部であり得る。
【0022】
1つ以上の実施形態では、2つのカチオン部分は、アニオンとイオン結合を形成し得る。Cl、Br、F、I、OH、1/2SO2−、1/3PO3−、1/2S2−、AlOを含む様々なアニオン性化学種が企図される。いくつかの実施形態では、2−、3−、または4−などの1−を超える負電荷を有するアニオンが利用され得、それらの実施形態では、単一のアニオンがカチオン性ポリマーの複数のカチオンと対になり得る。本開示を通して使用される場合、アニオン性組成物の前に列挙された分数は、アニオンが1つを超えるカチオンと対になり、例えば、その負電荷に等しい数のカチオンと対になり得ることを意味する。
【0023】
1つ以上の実施形態では、モノマーの2つのカチオンは、炭化水素鎖によって互いに分離されていてよい。炭化水素鎖は、分枝状または非分枝状であり得、環状または芳香族部分を含むアルカン炭化水素鎖、アルケン炭化水素鎖、またはアルキン炭化水素鎖を含み得る。一実施形態では、炭化水素鎖の長さ(2つのカチオンを直接結合させる鎖中の炭素の数として測定される)は、1〜10,000個の炭素原子、例えば1〜20個の炭素原子アルカン鎖であり得る。
【0024】
本開示において記載されているカチオン性ポリマーは、一般に、非界面活性剤である。界面活性剤は、通常、親水性の頭部及び疎水性の尾部を含むことによって、2つの液体間または液体と固体との間の表面張力(または界面張力)を低下させる化合物を指す。非界面活性剤は、そのような疎水性及び親水性領域を含有せず、極性材料及び非極性材料を含有する混合物中にミセルを形成しない。理論に束縛されるものではないが、記載されたポリマーは、炭化水素鎖によって連結された2つ以上のカチオン部分を含むため、非界面活性剤であると考えられる。そのような配置は、モノマーの各末端上またはその近くに極性電荷を有し、そのような配置は、ポリマーからの疎水性セグメントを排除し、それ故、界面活性剤挙動(溶液中の自己組織化)を排除する。原子スケールでは、ポリマー上の官能基(例えば、第4級アンモニウム)は、ゼオライト構造の形成を導くと考えられ、メソスケールでは、ポリマーは、慣用の意味でのSDAよりもむしろ「ポロゲン」として単に機能する。界面活性剤の場合とは対照的に、非界面活性剤ポリマーは自己組織化して規則的なメソ構造を形成せず、これは順次ゼオライトの結晶化を助長し、高度に相互接続された結晶内メソ細孔を有する3次元(3−D)連続的ゼオライト骨格を特徴とする新たなクラスの階層状ゼオライトを生成する。そのような材料は、ゼオライトの構造的完全性が重要である一方でメソ細孔の規則性が重要でない用途にとって、それらの界面活性剤テンプレート対応物より有利である。
【0025】
一実施形態では、カチオン性ポリマーは、化学構造#3に図示された一般化された構造を含み得る。
【0026】
【化3】
【0027】
化学構造#3は、カチオン性ポリマーの単一のモノマーを図示しており、これは、含まれる括弧によって表されており、nは、ポリマー中の繰り返しモノマーの総数である。いくつかの実施形態では、カチオン性ポリマーは、2つ以上のモノマー構造を含むコポリマーであり得る。化学構造#3のX及びYはアニオンを表す。本出願に記載されたカチオン性ポリマーの1つ以上のモノマー(化学構造#3に示されているものなど)は、互いに異なり得ることを理解されたい。例えば、様々なモノマー単位は、異なるR基を含み得る。化学構造#3を参照すると、Aは窒素またはリンを表し得、Bは窒素またはリンを表し得、R5は、1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖、例えば2〜20個の炭素のアルカンであり得、Xはアニオンであり得、Yはアニオンであり得、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13は、水素原子または1つ以上のヘテロ原子を任意に含む炭化水素であり得る。
【0028】
化学構造#3を参照すると、1つ以上の実施形態では、Aは窒素またはリンを表し得、Bは窒素またはリンを表し得る。一実施形態では、A及びBは窒素であり得、別の実施形態では、A及びBはリンであり得る。例えば、化学構造#3のAは、第4級アンモニウムカチオンまたは第4級ホスホニウムカチオンを含み得る。化学構造#3に示されるように、Aは、5員環などの環構造の一部であり得る。1つ以上の実施形態では、X及びYはアニオンである。例えば、Xは、Cl、Br、F、I、OH、1/2SO2−、1/3PO3−、1/2S2−、AlOから選択され得、Yは、Cl、Br、F、I、OH、1/2SO2−、1/3PO3−、1/2S2−、AlOから選択され得る。実施形態では、2−、3−、または4−などの1ーを超える負電荷を有するアニオンが利用され得、それらの実施形態では、単一のアニオンがカチオン性ポリマーの複数のカチオンと対になり得る。
【0029】
更に化学構造#3を参照すると、R5は、分枝状または非分枝状炭化水素鎖を表す。炭化水素鎖は、分枝状または非分枝状であり得、アルカン炭化水素鎖、アルケン炭化水素鎖、またはアルキン炭化水素鎖を含み得る。炭化水素鎖の長さ(AをBに直接結合させる鎖中の炭素の数として測定される)は、1〜10,000個の炭素原子(例えば1〜1,000個の炭素原子、1〜500個の炭素原子、1〜250個の炭素原子、1〜100個の炭素原子、1〜50個の炭素原子、1〜25個の炭素原子、1〜20個の炭素原子、1〜15個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、2〜10,000個の炭素原子、3〜10,000個の炭素原子、4〜10,000個の炭素原子、5〜10,000個の炭素原子、6〜10,000個の炭素原子、8〜10,000個の炭素原子、10〜10,000個の炭素原子、15〜10,000個の炭素原子、20〜10,000個の炭素原子、25〜10,000個の炭素原子、50〜10,000個の炭素原子、100〜10,000個の炭素原子、250〜10,000個の炭素原子、500〜10,000個の炭素原子、2〜100個の炭素原子、3〜30個の炭素原子、4〜15個の炭素原子、または5〜10個の炭素原子、例えば6個の炭素原子であり得る。R5は、1つ以上のヘテロ原子を含み得、R1のいくつかの実施形態は、炭素及び水素のみを含む。
【0030】
化学構造#3において、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13は、それぞれ、水素原子、または1つ以上のヘテロ原子を任意に含む炭化水素であり得る。例えば、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13のいくつかは、互いに構造的に同一であり得、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13のいくつかは、互いに構造的に異なり得る。例えば、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の1つ以上は、水素、またはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、もしくはペンチル基などのアルキル基であり得る。実施形態では、R6、R7、R8、及びR9のうちの1つ以上は水素原子であり得る。実施形態では、R10、R11、R12、及びR13のうちの1つ以上はアルキル基であり得る。例えば、R10は、メチル、エチル、プロピル、またはブチル基であり得、R11、R12、及びR13のうちの1つ以上は、メチル、エチル、プロピル、またはブチル基であり得る。一実施形態では、R10はメチル基であり、R11、R12、及びR13はプロピル基である。一実施形態では、R11、R12、及びR13はメチル基である。別の実施形態では、R11、R12、及びR13はメチル基である。別の実施形態では、R11、R12、及びR13はプロピル基である。
【0031】
一実施形態では、化学構造#3は、n個のモノマー単位を含むポリマーであり得、nは、10〜10,000,000(例えば50〜10,000,000、100〜10,000,000、250〜10,000,000、500〜10,000,000、1,000〜10,000,000、5,000〜10,000,000、10,000〜10,000,000、100,000〜10,000,000、1,000,000〜10,000,000、10〜1,000,000、10〜100,000、10〜10,000、10〜5,000、10〜1,000、10〜500、10〜250、または10〜100であり得る。例えば、nは1,000〜1,000,000であり得る。
【0032】
1つ以上の実施形態によれば、カチオン性ポリマーは、ポリ(N,N−ジアリル−N−アルキル−N,N,N−トリアルキルアルカン−1,6−ジアモニウムハライド)、例えばポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリアルキルヘキサン−1,6−ジアモニウムブロマイド)を含む。そのようなものの例は、(PDAMAB−TPHAB)と称される化学構造#4に示されているポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリプロピルヘキサン−1,6−ジアモニウムブロマイド)である。
【0033】
【化4】
【0034】
別の実施形態では、カチオン性ポリマーは、(PDAMAB−TEHAB)と称される化学構造#5に示されているポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリエチルヘキサン−1,6−ジアモニウムブロマイド)を含む。
【0035】
【化5】
【0036】
別の実施形態では、カチオン性ポリマーは、(PDAMAB−TMHAB)と称される化学構造#6に示されているポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリメチルヘキサン−1,6−ジアモニウムブロマイド)を含む。
【0037】
【化6】
【0038】
化学構造#3のものを含む本開示に記載されたカチオン性ポリマーは、図1に示すものなどの反応経路によって合成され得る。具体的には、図1は、PDAMAB−TPHABの合成のための反応経路を図示している。しかしながら、PDAMAB−TPHABまたは化学構造#3のポリマーなどの他の一般化されたポリマーの合成のために他の反応経路が利用され得ることを理解されたい。更に、図1に図示される反応スキームは、一般化された化学構造#3に含まれるいくつかのポリマー(例えば、PDAMAB−TEHABまたはPDAMAB−TEHAB)などの、PDAMAB−TPHABとは異なる構造を有するポリマーを形成するように適合され得ると理解されたい。例えば、化学構造#3のカチオン基A及びBの間の炭化水素鎖長は、図1のスキームにおいて異なる反応物を利用することによって変更され得る。
【0039】
図1を参照すると、塩化物アニオンを有するジアリルメチルアンモニウム塩酸塩カチオンをジアリルアミンから形成することと、ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩を重合してポリ(ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩)(PDMAH)を形成することと、ポリ(ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩)(PDMAH)からポリ(ジアリルメチルアミン)(PDMA)を形成することと、トリプロピルアミンなどのトリアルキルアミンをジハロアルカンと反応させることによってハライドアニオンを有するアンモニウムハライドカチオンを形成することと、PDMAをアンモニウムハライドカチオンと反応させることによってPDAMAB−TPHABを形成することと、を含むプロセスによって、化学構造#3のカチオン性ポリマーが形成され得る。他の実施形態では、トリアルキルアミンとしてトリエチルアミンまたはトリメチルアミンが利用され得る。
【0040】
更に図1を参照すると、1つ以上の実施形態によれば、塩化物アニオンを有するジアリルメチルアンモニウム塩酸塩カチオンは、ジアリルアミンをギ酸、ホルムアルデヒド、及びHClと接触させることによって形成され得る。他の実施形態では、ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩は、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AAPH)との接触によって重合され得る。追加の実施形態では、ポリ(ジアリルメチルアミン)(PDMA)は、ポリ(ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩)(PDMAH)をメタン及びナトリウムメトキシドと接触させることによって形成され得る。
【0041】
別の実施形態によれば、カチオン性ポリマーは、化学構造#3に図示される構造のモノマー及び化学構造#7のモノマーを含むコポリマーであり得る。
【0042】
【化7】
【0043】
化学構造#7を参照すると、1つ以上の実施形態では、Aは窒素またはリンを表し得る。一実施形態では、Aは窒素であり得、別の実施形態では、Aはリンであり得る。例えば、化学構造#7のAは、第4級アンモニウムカチオンまたは第4級ホスホニウムカチオンを含み得る。化学構造#7に示されるように、Aは、5員環などの環構造の一部であり得る。アニオンが存在し得、AもしくはB、またはその両方に引き寄せられ得る。例えば、アニオンは、Cl、Br、F、I、OH、1/2SO2−、1/3PO3−、1/2S2−、AlOから選択され得る。実施形態では、2−、3−、または4−などの1ーを超える負電荷を有するアニオンが利用され得、それらの実施形態では、単一のアニオンがカチオン性ポリマーの複数のカチオンと対になり得る。
【0044】
化学構造#3において、R6、R7、R8、R9、R10は、それぞれ、水素原子、または1つ以上のヘテロ原子を任意に含む炭化水素であり得る。例えば、R6、R7、R8、R9、R10のいくつかは、互いに構造的に同一であり得、R6、R7、R8、R9、R10のいくつかは、互いに構造的に異なり得る。例えば、R6、R7、R8、R9、R10の1つ以上は、水素、またはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、もしくはペンチル基などのアルキル基であり得る。実施形態では、R6、R7、R8、及びR9のうちの1つ以上は水素原子であり得る。実施形態では、R10はアルキル基であり得る。例えば、R10は、メチル、エチル、プロピル、またはブチル基であり得る。一実施形態では、R10はメチル基である。
【0045】
化学構造#3に図示された構造のモノマー及び化学構造#7のモノマーを含むカチオン性ポリマーの実施形態は、化学構造#8に図示されている。
【0046】
【化8】
【0047】
化学構造#8に図示されているように、コポリマーは、「m」部の化学構造#3のモノマー成分及び「o」部の化学構造#7のモノマー成分を含み得る。実施形態によれば、m/(o+m)の比は0〜100%と同等であり得る。例えば、m/(o+m)=0%の場合、カチオン性ポリマーは化学構造#7に図示されたモノマー成分のみを含み得、m/(o+m)=100%の場合、カチオン性ポリマーは化学構造#3に図示されたモノマー成分のみを含み得る。追加の実施形態では、m/(o+m)は、0〜25%、25〜50%、50〜75%、または75〜100%と同等であり得る。いくつかの実施形態では、m/(o+m)は、25〜75%、または60〜70%と同等であり得る。
【0048】
一実施形態では、化学構造#7は、(o+m)個のモノマー単位を含むコポリマーであり得、(o+m)は、10〜10,000,000(例えば50〜10,000,000、100〜10,000,000、250〜10,000,000、500〜10,000,000、1,000〜10,000,000、5,000〜10,000,000、10,000〜10,000,000、100,000〜10,000,000、1,000,000〜10,000,000、10〜1,000,000、10〜100,000、10〜10,000、10〜5,000、10〜1,000、10〜500、10〜250、または10〜100であり得る。例えば、(o+m)は1,000〜1,000,000であり得る。
【0049】
ここで図1を参照すると、化学構造#8のモノマーは、一実施形態では、PDMAの一部のみがアンモニウムハライドカチオンと反応するように、より少ないモル量のアンモニウムハライドカチオンを供給することによって形成され得る。そのような実施形態では、非カチオン置換PDMAモノマーは、化学構造#7のモノマーの代表であり、カチオン置換モノマーは、化学構造#3のモノマーの代表である。
【0050】
1つ以上の実施形態によれば、本開示に記載されたメソ細孔性ゼオライトは、本開示に記載されたカチオン性ポリマーを構造指向剤として利用することによって生成され得る。メソ細孔性ゼオライトは、メソ細孔及びミクロ細孔を含み得る。記載されたメソ細孔性ゼオライトは、一般に、シリカ含有材料、例えばアルミノシリケート、純粋なシリケート、またはチタノシリケートである。メソ細孔性ゼオライトは、慣用的に生成されたゼオライトのものより大きい表面積及び細孔容積を有し得る。この開示では、「慣用ゼオライト」または「慣用的に生成されたゼオライト」は、メソ細孔を実質的に含まないゼオライトを指す(例えば、ゼオライト細孔容積の0.5%未満がメソ細孔として特徴付けられる)。
【0051】
様々な実施形態によれば、本開示に記載されたメソ細孔性ゼオライトは、PDAMAB−TPHABなどのカチオン性ポリマー構造指向剤(SDA)と、メソ細孔性ゼオライトの構造を形成する1種以上の前駆体材料と、を含む混合物を形成することによって生成され得る。前駆体材料は、アルミノシリケートゼオライトの場合はアルミナ及びシリカ、チタノシリケートゼオライトの場合はチタニア及びシリカ、純粋なシリカゼオライトの場合はシリカなどの多孔質構造を形成する材料を含有し得る。例えば、前駆体材料は、ケイ素含有材料、チタン含有材料、及びアルミニウム含有材料のうちの1種以上であり得る。例えば、少なくともNaAlO、テトラエチルオルトシリケート、及びカチオン性ポリマーを水溶液中で混合して、メソ細孔性アルミノシリケートゼオライトとなる中間体材料を形成し得る。シリカ、チタニア、またはアルミナを含む他の前駆体材料が利用され得ることを理解されたい。例えば、他の実施形態では、テトラエチルオルトシリケート及びカチオン性ポリマーを組み合わせて、シリケートメソ細孔性ゼオライトとなる中間体材料を形成し得、またはテトラエチルオルトシリケート、テトラブチルオルトチタネート、及びカチオン性ポリマーを組み合わせて、チタノシリケートメソ細孔性ゼオライトとなる中間体材料を形成し得る。任意に、組み合わされた混合物を加熱して中間体材料を形成し得、オートクレーブ条件下で結晶化させ得る。中間体材料はミクロ細孔を含み得、カチオン性ポリマーは、結晶化の間にミクロ細孔の形成において構造指向剤として作用し得る。中間体材料は、それらの除去後にメソ細孔の空間を少なくとも部分的に画定し得るカチオン性ポリマーを依然として含有し得る。生成物を遠心分離し、洗浄し、乾燥させ、最後に、ポリマーを焼成工程によって除去し得る。焼成工程は、少なくとも約400セルシウス度(℃)、500℃、550℃、またはそれ以上の温度で加熱することを含み得る。理論に束縛されるものではないが、ポリマーの除去により、メソ細孔性ゼオライトのメソ細孔の少なくとも一部が形成され、そのメソ細孔は、ポリマーによって一旦存在した空間に存在する。
【0052】
混合物の材料は、アルミノシリケート、チタノシリケート、または純粋なシリケートなどのメソ細孔性ゼオライトの材料組成物を決定する。アルミノシリケートメソ細孔性ゼオライトは、10以上10,000未満、25以上10,000未満、50以上10,000未満、100以上10,000未満、200以上10,000未満、500以上10,000未満、1,000以上10,000未満、または更に2,000以上10,000未満のSi/Alのモル比を含み得る。純粋なシリケートゼオライトでは、無視できる量のアルミニウムが存在するか、またはアルミニウムの量は存在せず、Si/Alモル比は理論的には無限大に近づく。本明細書で使用される場合、「純粋なシリケート」は、少なくとも約99.9重量パーセント(重量%)のケイ素及び酸素原子を含む材料を指す。純粋なシリカメソ細孔性ゼオライトは、ケイ素含有材料のみを利用し、アルミニウムを利用しないことによって形成され得る。チタノシリケート多孔質構造は、30以上10,000未満、40以上10,000未満、50以上10,000未満、100以上10,000未満、200以上10,000未満、500以上10,000未満、1,000以上10,000未満、または更に2,000以上10,000未満のSi/Tiのモル比を含み得る。PDAMAB−TPHABを利用することにより、シリカ及びアルミナ前駆体材料と共に使用する場合はメソ細孔性ZSM−5ゼオライトを、シリカ及びチタニア前駆体と共に使用する場合はメソ細孔性TS−1ゼオライトを、及びシリカ前駆体と共に使用する場合はメソ細孔性シリカライト−Iゼオライトを形成し得ることが見出された。シリカ及びアルミナ前駆体と共に使用する場合、PDAMAB−TMHABを利用してメソ細孔性ベータゼオライトを形成し得ることも見出された。
【0053】
形成されたメソ細孔性ゼオライトは、MFI骨格型として特徴付けられるミクロ細孔を含み得、これは図2に概略的に図示されている。MFI骨格型は、2nm以下の直径を有するミクロ細孔を含む。しかしながら、他のミクロ細孔ゼオライト構造、例えば、BEA、FAU、LTA骨格型も企図される。
【0054】
形成されたメソ細孔性ゼオライトはまた、メソ細孔を含む。メソ細孔は、ポリマーの焼成の間に作り出された空隙から形成されると考えられる。本開示のメソ細孔性ゼオライトのメソ細孔は、4nm〜16nm、6nm〜14nm、8nm〜12nm、または9nm〜11nmの平均サイズを有し得る。慣用的に調製されたゼオライトは、約6nm以下の細孔サイズを有するメソ細孔を有し得る。いくつかの実施形態では、メソ細孔の大部分は、8nmを超え、9nmを超え、または更に10nmを超え得る。記載されたメソ細孔性ゼオライトのメソ細孔は、2nm〜40nmの範囲であり得、メジアン細孔サイズは、8nm〜12nmであり得る。実施形態では、メソ細孔性ゼオライトのメソ細孔構造は、メソ細孔がチャネル状である繊維状であり得る。理論に束縛されるものではないが、開示されたメソ細孔性ゼオライトは、焼成された場合にメソ細孔性ゼオライト中に複数の相互接続されたチャネルを残すSDAのポリマー構造により、向上したメソ細孔特性を有すると考えられる。
【0055】
本開示に記載されたメソ細孔性ゼオライトは、向上した触媒活性を有し得る。理論に束縛されるものではないが、ミクロ細孔構造は、記載されたメソ細孔性ゼオライトの触媒機能の大部分を提供すると考えられる。高いメソ細孔性は、より多くのミクロ細孔が触媒反応において反応物と接触するために利用可能であるため、より高い触媒機能を可能にする。メソ細孔は、メソ細孔性ゼオライト上のミクロ細孔触媒部位への良好なアクセスを可能にする。
【0056】
実施形態では、メソ細孔性ゼオライトは、300m/g以上、350m/g以上、400m/g以上、450m/g以上、500m/g以上、550m/g以上、600m/g以上、650m/g以上、または更に700m/g以上であり、1,000m/g以下の表面積を有し得る。1つ以上の他の実施形態では、メソ細孔性ゼオライトは、0.2cm/g以上、0.25cm/g以上、0.3cm/g以上、0.35cm/g以上、0.4cm/g以上、0.45cm/g以上、0.5cm/g以上、0.55cm/g以上、0.6cm/g以上、0.65cm/g以上、または更に0.7cm/g以上であり、1.5cm/g以下の細孔容積を有し得る。更なる実施形態では、メソ細孔に起因する表面積の部分は、全表面積の20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、または更に65%以上、例えば20%〜70%であり得る。追加の実施形態では、メソ細孔に起因する細孔容積の部分は、全細孔容積の20%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、または更に75%以上、例えば20%〜80%であり得る。表面積及び細孔容積分布は、(Micrometrics ASAP 2020システムを用いることなどにより)77ケルビン(K)で実施されるN吸着等温線によって測定され得る。
【0057】
記載されたメソ細孔性ゼオライトは、一般に球形状または不規則な球体状(すなわち、非球状)であり得る粒子として形成され得る。実施形態において、粒子は、単一のゼオライト粒子上に位置する2つの点の間の最大距離として測定される「粒子サイズ」を有する。例えば、球状粒子の粒子サイズはその直径であろう。他の形状では、粒子サイズは、同じ粒子の最も離れた2つの点の間の距離として測定され、これらの点は、粒子の外表面上に存在し得る。粒子は、25nm〜500nm、50nm〜400nm、100nm〜300nm、または900nm未満、800nm未満、700nm未満、600nm未満、500nm未満、400nm未満、300nm未満、もしくは250nm未満の粒子サイズを有し得る。粒子サイズは、顕微鏡下での視覚的検査であり得る。
【0058】
記載されたメソ細孔性ゼオライトは、単結晶構造で形成され得、または単結晶でない場合には、2、3、4、または5などの限られた数の結晶からなり得る。メソ細孔性ゼオライトの結晶構造は、高度に相互接続された結晶内メソ細孔を有する分枝状の繊維構造を有し得る。そのような構造は、ゼオライトの構造的完全性が重要である一方でメソ細孔の規則性が重要でない用途において有利であり得る。
【0059】
別の実施形態によれば、コア部分及びシェル部分を含むメソ細孔性ゼオライトが形成され得、シェル部分は一般にコア部分を取り囲む。そのような材料は、本開示において「コア/シェルゼオライト」として記載されている。コア部分は、いくつかの慣用ゼオライトなどのミクロ細孔を含むメソ細孔性ゼオライトであり得、メソ細孔をある程度任意に含み得る。シェル部分は、前述したようなメソ細孔及びミクロ細孔を含むメソ細孔性ゼオライトを含み、本開示に記載されたカチオン性ポリマーをSDAとして利用することによって形成され得る。いくつかの実施形態では、コア部分は、MFI骨格型などのミクロ細孔を含み得るが、メソ細孔を実質的に含まない。そのような実施形態では、コア部分は、メソ細孔を実質的に含まない場合があり、シェル部分は、メソ細孔を含み得る(または代替的に、シェル部分は、コア部分よりも高い程度のメソ細孔を含み得る)。
【0060】
コア/シェルゼオライトは、前述のミクロ細孔及びメソ細孔を含むメソ細孔性ゼオライトを合成するためのプロセスに類似したプロセスによって生成され得る。前述したように、ミクロ細孔及びメソ細孔を含むそのようなメソ細孔性ゼオライトは、化学構造#3のポリマーまたは化学構造#8のポリマーなどのカチオン性ポリマーを利用することによって制作され得る。コア/シェルゼオライトの実施形態を形成するために、コア部分となるシード材料を、SDAポリマー及び前駆体材料を含む混合物に添加する。シード材料は、メソ細孔性ゼオライト(メソ細孔及びミクロ細孔を含有する)が成長する結晶性シードとして作用する予め製造されたゼオライトであり得る。メソ細孔性ゼオライトはシードの周りに形成され、コア/シェル構造が形成される。例えば、結晶化された中間体材料が、ミクロ細孔を含むコアの周りに形成され得、その後の工程において、ポリマーが焼成によって除去されてメソ細孔が生成する。
【0061】
シード材料と同じ組成及びミクロ細孔構造を有し得るコア部分は、MFI骨格型ゼオライト、例えば、ZSM−5ゼオライトなどのゼオライトを含み得る。しかしながら、コア部分は、シリケートゼオライト及びチタノシリケートゼオライト、またはY−ゼオライトなどの異なるミクロ細孔骨格型を有するゼオライトなどの他の材料を含み得る。シード材料は、25nm〜500nm、例えば50nm〜300nm、または75nm〜200nmの長さを有し得る。シード材料のサイズは、コア/シェルゼオライトのコア部分のサイズを決定する。
【0062】
シェル部分は、本開示において前述されたメソ細孔性ゼオライトの組成及び構造を有し得る。例えば、前述したMFI構造化またはBEA構造化されたメソ細孔性ゼオライトの表面積、細孔容積、及び組成物の材料は、シェル材料のものと同じであり得る。理論に束縛されるものではないが、シェル部分及びコア部分の材料は、2つの材料の界面においてSi−O−Si共有結合によって相互接続されていると考えられる。シェル部分は、10nm〜300nm、例えば20nm〜200nm、20nm〜50nm、50nm〜100nm、100nm〜150nm、または150nm〜200nmの厚さを有し得る。一般に、シードが少ないほど厚いシェルが生成し得、シードが多いほど薄いシェルが生成し得るので、混合物に添加されるシードの量に基づいてシェル部分の厚さが変動し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、コア及びシェルは、同じミクロ構造を有し、これは単結晶コア/シェル本体の形成を可能にし得る。コア及びシェルが異なるミクロ構造を有する場合、シェルは、コアの外表面の欠陥部位で成長し得る。しかしながら、コア及びシェル材料のミクロ構造の骨格の合致は、向上したコア/シェル実施形態を生成し得る。いくつかの実施形態では、コア/シェル構造は、コア及びシェルゼオライトの骨格型の合致によって少なくとも部分的に向上する。
【0064】
1つ以上の実施形態では、非界面活性剤ポリマー系テンプレートは、ゼオライト結晶中の相互連結するメソ細孔の創出に限定されない。例えば、小さな分子とは異なり、ポリマー鎖は官能基で容易にグラフトされ得る。SDA基に加えて追加の官能基を含有するポリマーを使用してゼオライトを合成する場合、対応する機能性(例えば、吸着能力、触媒活性、分子認識能力、蛍光特性)は、得られる階層状ゼオライトに「運ばれ」て多機能材料とし得ることが企図される。例えば、ナノ結晶と特定の相互作用を有する特殊な基でポリマーテンプレートを官能化することによって、合成中に金属または酸化物ナノ結晶などのコロイド状ナノ結晶を階層状ゼオライト粒子に直接組み込むことが達成され得る。例えば、PDAMAB−TPHABは、ポリマー鎖に沿って高密度の第4級アンモニウム基を有し、そのごく一部がZSM−5の結晶化のためのSDAの役割を果たし、多数の未使用のアンモニウム基を残す。これらの還元剤アンモニウムは、アニオンを吸着する吸着部位として利用可能であり得る。
【0065】
本開示に記載されたメソ細孔性ゼオライトは、多くの工業的に価値のあるプロセスに適用され得る。これらのプロセスには、流動化プロセス(流動接触分解(FCC)、深度接触分解(DCC)、及び高過酷度流動接触分解(HSFCC)など)、脱水素化プロセス、異性化プロセス、メタノールからオレフィンへのプロセス(MTO)、及び改質プロセスが含まれる。表1は、石油化学工業におけるゼオライト及び他の多孔質触媒材料のいくつかの工業的用途を要約している。本メソ細孔性ゼオライト及びコア/シェル構造は、これらの触媒に置き換えられ得、またはこれらの触媒と組み合わせて使用され得る。
【0066】
また、コア/シェルの実施形態は、ゼオライトとポリマーとの結合を促進して、分離または触媒作用のための界面欠陥のない高品質の複合膜を製造するのに特に適合し得るが、その場合、分子はシェル中のメソ細孔によって事前に整列され、並外れた輸送特性を与え得る。異なる触媒活性を有するシェル及びコアは、多段階反応のためのタンデム触媒を形成し得る。
【0067】
【表1】
【実施例】
【0068】
メソ細孔性ゼオライト及びコア/シェルゼオライトを形成するための方法及びシステムの様々な実施形態は、以下の実施例によって更に明らかにされる。実施例は本来は例示的なものであり、本開示の主題を限定するものと理解すべきではない。
【0069】
様々な実施例を通して、粉末X線回折(XRD)パターンをCuKα線を使用してBruker D8 Advance回折計で記録した。誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−OES)は、Varian 720−ES分光計で行った。熱重量分析(TGA)は、毎分25ミリリットル(mL/分)の速度及び毎分10ケルビン(K/分)の一定の傾斜(ramping)速度で流動空気下でNetzsch TG 209 F1装置で実施した。Micromeritics ASAP 2420分析機で77KでN吸着−脱着等温線を収集した。プローブ分子としてNHを使用する温度プログラム脱着(TPD)測定は、Micromeritics AutoChem II 2950装置で実施した。測定前に、0.15gのサンプルをHeガス(25mL/分)中で500℃で1時間前処理し、次いで100℃に冷却した。次に、サンプルを20mL/分の混合ガス(10モルパーセント(mol%)のNH及び90mol%のHe)流に1時間暴露して、NHの十分な吸着を確保した。脱着の前に、サンプルをHeガス中で3時間フラッシュした。その後、20mL/分のHe流下で毎分10セルシウス度(℃/分)の加熱速度で100〜600℃の範囲内でNHの吸着を実施した。電子顕微鏡法の画像化及び断層撮影は、図19Cに示される画像(300kVで作動されるJEOL JEM−3010顕微鏡で撮影された)以外は、300キロボルト(kV)で作動されるFEI−Titan ST電子顕微鏡で行った。TEM断層撮影では、1°の間隔で75度(°)から75°までの電子断層撮影傾斜シリーズをまず整列し、次いでFEI Inspect 3DソフトウェアのSIRT機能を使用して3Dボリュームに再構成した。次いで3Dボリュームレンダリング、密度セグメント化、及びスライス化は、Avizoソフトウェアによって達成された。
【0070】
実施例1−PDAMAB−TPHABカチオン性ポリマーの合成
PDAMAB−TPHABを生成するための一般化された反応順序を図1に図示している。合成の各ステップを図1に照らして説明する。
【0071】
第1工程では、メチルアミンモノマーを合成した。500ミリリットル(mL)の丸底フラスコ内で0℃に冷却したギ酸(5当量、0.5mol)の溶液にジアリルアミン(1部当量、0.1mol)を徐々に添加した。得られた透明な溶液に、ホルムアルデヒド溶液(37%溶液;3当量、0.3mol)を添加して、混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、フラスコを還流凝縮器に接続し、反応混合物を110℃で一晩加熱した。その後、溶液を冷却し、水性HCl(4N、2当量、0.9mol、225mL)を添加した。粗反応生成物を減圧下で蒸発させて乾燥させた。
【0072】
第2の工程では、ポリ(ジアリルメチルアミン)(PDMA)を合成した。3.2%の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AAPH)の開始剤を有するモノマーのジアリルメチルアンモニウム塩酸塩の50%水溶液を窒素で20分間(分)パージした。その後、反応を窒素雰囲気下で50℃で3時間撹拌した後、反応を更に6時間60℃に上昇させた。生成物のポリ(ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩)(PDMAH)を透析によって精製し、減圧下でロータリーエバポレーターで水を除去した。次いで、PDMAH(モノマー単位に対して1部当量)を最小量のメタノールに溶解させ、氷浴中に置いた。その後、最小量のメタノールに溶解したナトリウムメトキシド(1部当量)を添加した。反応物を冷凍庫内で1時間保存した。遠心分離でNaClを除去した後、PDMAメタノール溶液を得た。
【0073】
第3工程では、6−ブロモ−N,N,N−トリプロピルヘキサン−1−アミニウムブロマイド(BTPAB)を合成した。1,6−ジブロモヘキサン(0.1mol)/アセトニトリル(1:1v/v)にトリプロピルアミン(0.05mol)/トルエン混合物(1:1体積/体積(v/v)を磁気撹拌下で60℃で徐々に添加し、この温度で24時間維持した。室温への冷却及び溶媒の蒸発後、得られたBTPABを、混合物から過剰の1,6−ジブロモヘキサンを分離するジエチルエーテル−水系で抽出した。
【0074】
第4工程では、PDAMAB−TPHABを合成した。PDAMAB−TPHABの合成のために、メタノール中1部当量のPDMA(モノマー単位に対して)を1部当量のBTPABと共にアセトニトリル/トルエン(40mL、v:v=1:1)に溶解させ、磁気撹拌下で70℃で72時間還流した。室温への冷却及びそれに次ぐ溶媒の蒸発後、得られたPDAMAB−TPHABを、水中での透析法によって更に精製した。
【0075】
実施例2−PDAMAB−TPHABカチオン性ポリマーのH−NMR分析
実施例1で合成されたPDAMAB−TPHABポリマーをH−NMRによって分析した。実施例1で生成されたポリマーのH−NMRスペクトルを図3に図示している。H−NMRスペクトルは、0.85百万分率(ppm)またはその付近、1.3ppmまたはその付近、1.6ppmまたはその付近、2.8ppmまたはその付近、及び3.05ppmまたはその付近においてピークを示す。
【0076】
実施例3−100Si/Al比を有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトの合成
100のSi/Alモル比を有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトを形成した。まず、0.1093グラム(g)のNaAlO及び0.2gのNaOHを0.5時間撹拌しながら14.4mLの水に溶解させた。透明な溶液が形成されたら、0.497gのPDAMAB−TPHABを溶液に添加し、0.5時間撹拌した。次いで、4.16gのテトラエチルオルトシリケートを60℃で添加した。混合物のモル組成は、1PDAMAB−TPHAB:20SiO:2.5NaO:0.1Al:800HOであった。60℃で10時間撹拌した後、得られたゲルを更に2時間100℃に加熱した。テフロン(登録商標)内張りステンレス鋼オートクレーブ(サイズ25mL)内で結晶化を150℃で48時間行った。生成物を遠心分離し、蒸留水及びメタノールで洗浄し、100℃で一晩乾燥させた。550℃での5時間の焼成によってポリマーテンプレートを合成時の材料から除去した。
【0077】
実施例4−60Si/Ti比を有するメソ細孔性TS−1−ゼオライトの合成
60のSi/Tiモル比を有するメソ細孔性チタノシリケートゼオライトを形成した。まず、0.2gのNaOHを10分間撹拌しながら14.4mLの水に溶解させた。透明な溶液が形成されたら、0.497gのPDAMAB−TPHABを溶液に添加し、0.5時間撹拌した。次いで、Si/Tiモル比60を有する、テトラエチルオルトシリケートとテトラブチルオルトチタネートとの混合物(全量:4.16g)を60℃で添加した。混合物のモル組成は、1PDAMAB−TPHAB:20SiO:0.33TiO:2.5NaO:800HOであった。60℃で10時間撹拌した後、得られたゲルを更に2時間100℃に加熱した。「テフロン」内張りステンレス鋼オートクレーブ(サイズ25mL)内で結晶化を150℃で48時間行った。生成物を遠心分離し、蒸留水及びメタノールで洗浄し、100℃で一晩乾燥させた。550℃での5時間の焼成によってポリマーテンプレートを合成時の材料から除去した。
【0078】
実施例5−100Si/Al比を有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトの分析
実施例3のメソ細孔性ZSM−5ゼオライトを分析した。図5は、合成時及び焼成後のメソ細孔性ZSM−5ゼオライトのX線回折(XRD)パターンを図示している。実施例3のゼオライトは、焼成によるポリマーテンプレートの除去後に良好に維持されたMFI型のゼオライト構造を有することがXRDパターンから決定された。例えば、図5に示されたものにおけるXRDピークを使用して、ゼオライトがMFI骨格型のミクロ構造を有することを決定した。
【0079】
また、実施例3のメソ細孔性ZSM−5ゼオライトを多孔度について試験した。図5は、実施例3のゼオライト及び慣用的に調製されたZSM−5ゼオライトのN収着等温線を図示しており、それは、慣用ZSM−5ゼオライトよりもはるかに高い多孔度を有することを図示している。慣用ZSM−5ゼオライトの320m/gの表面積とは対照的に、実施例3のゼオライトについては700m/gの表面積が測定された。また、慣用ZSM−5ゼオライトの0.23cm/gの全細孔容積とは対照的に、実施例3のゼオライトについては0.71cm/gの全細孔容積が測定された。実施例3のゼオライトでは、全表面積の57%及び全細孔容積の68%がメソ細孔に起因する。また、図6は、実施例3のゼオライト中のメソ細孔の分布曲線を図示している。メソ細孔は、図6に示されているように、10nmまたはその付近を中心とする比較的広いサイズ分布を有する。
【0080】
図7を参照すると、実施例3のゼオライトの透過電子顕微鏡(TEM)画像が図示されている。TEMの特徴付けは、実施例3のゼオライトが、均一で比較的小さい(約200nmのサイズ)が、高度にメソ細孔性である粒子からなることを示している。更に、図8は、実施例3のゼオライトの高分解能透過電子顕微鏡画像(HRTEM)を図示しており、図9は、図8に示された選択領域の高速フーリエ変換(FFT)画像を図示しており、図10は、実施例3のゼオライトの暗視野走査型電子顕微鏡(STEM)画像を図示している。これらの粒子の高い結晶化度は、HRTEM画像で確認される一方で、HRTEM画像のFFTは、大幅な量のメソ細孔の存在にもかかわらず、各粒子が単結晶特質であることを示唆している。図8のHRTEM画像は、実施例3の粒子のゼオライトが高度に分枝状であり、各分枝はわずか3〜4nmの厚さであり、1〜2単位のセルに相当することも明らかにしている。図10のSTEM画像は、より良好な画像コントラストにより、粒子中のメソ細孔性構造をよりはっきりと示している。
【0081】
実施例6−31のSi/Alモル比を有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトの分析
31のSi/Alモル比を有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトを(Alに対するSiの異なる比の前駆体材料で)実施例3と同様のプロセスで調製し、これは、655.6m/gの測定された表面積、0.66cm/gの測定された全細孔容積、及び0.081cm/gの測定されたミクロ細孔容積を有していた。図19A〜19Dは、31のモル比Si/Alのメソ細孔性ZSM−5ゼオライトの画像を図示している。具体的には、図19Aは、低倍率のTEM画像を図示している。図19Bは、単一のメソ細孔性ZSM−5粒子のEDパターン及びTEM画像を図示している。EDパターンは、約35度の面内方位差を有する2組の[010]投影反射としてインデックス化され得る。図19Cは、メソ細孔性ZSM−5粒子の周辺で[010]方向に沿って撮影された高分解能TEM画像を図示しており、10リングチャネルの規則的な配置を有する繊維状構造を図示している。比較のための構造モデルと共に、繊維中の最も薄い領域(約3.5nm)が示されている。左下隅の挿入図は、対応する低倍率のTEM画像であり、HRTEM画像化のための領域が表示されている。図19Dは、メソ細孔性ZSM−5粒子の再構成された電子断層撮影ボリューム、及びそのボリュームの異なる領域で横断する3つのスライスを図示している。そのスライスは、何もない領域が濃い青色である虹色図でレンダリングされている。スライスII及びスライスIIIでは、離散しているドット(その一部は矢印によって示されている)は、突出している繊維の断面を表している。スケールバーは50nmを表す。
【0082】
31のSi/Alモル比を有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトを慣用ZSM−5ゼオライトと比較した。2つの慣用ZSM−5ゼオライトを調製した。約200nmの平均粒子サイズを有する「ナノZSM−5慣用ゼオライト」を調製し(SDAとして水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAOH)を使用して)、これは、26のSi/Alモル比、399.1m/gの測定された表面積、0.24cm/gの測定された全細孔容積、及び0.099cm/gの測定されたミクロ細孔容積を有していた。3〜10ミクロン(μm)の平均粒子サイズを有する「ミクロZSM−5慣用ゼオライト」を調製し(the Catalyst Plant of Nakai Universityから商業的に入手可能)、これは、25のSi/Alモル比、298.6m/gの測定された表面積、0.15cm/gの測定された全細孔容積、及び0.092cm/gの測定されたミクロ細孔容積を有していた。図20A〜20Dは、慣用ZSM−5ゼオライトとメソ細孔性ZSM−5ゼオライトとの間の様々な差異を示している。図24Aは、ナノZSM−5慣用ゼオライトのTEM画像を図示しており、図24Bは、ミクロZSM−5慣用ゼオライトのTEM画像を図示している。
【0083】
図20Aは、メソ細孔性ZSM−5ゼオライト及びミクロZSM−5慣用ゼオライトの粉末X線回折パターンを図示している。図20Bは、メソ細孔性ZSM−5ゼオライト及びミクロZSM−5慣用ゼオライトのN吸着−脱着等温線を図示している。図20Cは、メソ細孔性ZSM−5ゼオライト及びナノZSM−5慣用ゼオライトの熱重量分析プロファイルを図示している。図20Dは、メソ細孔性ZSM−5ゼオライト及びミクロZSM−5慣用ゼオライトのNH−TPDプロファイルを図示している。
【0084】
透過電子顕微鏡法(TEM)は、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトが、200〜250nmのサイズの比較的均一な粒子からなり、ほとんどの粒子が伸長した形状を有することを示している。メソ細孔性ZSM−5ゼオライトの、慣用ZSM−5ゼオライトと比較して広いX線回折(XRD)ピークは、TEMによって明らかにされるようにメソスケールでのその多孔質構造に従って、前者がより小さな結晶サイズを有することを示唆している。TEM及びXRDによってメソ細孔性ZSM−5ゼオライトにおいて観察された付随的不純物相または非晶質成分は存在しない。メソ細孔性ZSM−5ゼオライト中の高いメソ細孔性の存在は吸着等温線によって確認され、P/P>0.10の範囲の相対圧力での吸着容積の連続的な増加が、非常に開口的でありかつ相互接続されたメソ細孔性システムを示している。したがって、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトは、慣用ZSM−5よりも大幅に大きなBET表面積(298m/gに対して655m/g)及び全細孔容積(0.15cm/gに対して0.66cm/g)を有する。合成時のメソ細孔性ZSM−5ゼオライトの熱重量分析は、PDAMAB−TPHABの分解に対応して、200〜650℃の領域で顕著な重量損失(>40重量%)を示した。比較すると、SDAとして水酸化テトラプロピルアンモニウムを使用して合成された慣用ZSM−5ゼオライトは、同じ範囲の温度範囲で約15重量%の重量損失を示した。この結果は、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトにおけるPDAMAB−TPHABの組み込み及びそのメソ細孔を発生させるための「ポロゲン」の役割を確認している。
【0085】
1つ以上の実施形態によれば、PDAMAB−TPHABの分子量は、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトのテクスチャー特性にほとんど影響を及ぼさない。図28は、前述した合成のために使用された場合よりも低い分子量を有する(約390Kに対して約130K)PDAMAB−TPHABを使用して合成されたメソ細孔性ZSM−5ゼオライトサンプルのN吸着等温線を示している。重合プロセスの温度及び反応時間を制御することによって、異なる分子量を有する2つのPDAMAB−TPHABサンプルを合成した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィによってそれらの分子量を正確に決定することは困難である。そのため、それらの固有粘度は、確立された方法(Prajapat,P.R.Gogate/Chemical Engineering and Processing,2015,88,1)に従うことによって30℃でCannon Unnelohde粘度計を用いて測定した。標準として100キロダルトン(kDa)〜200kDa及び400kDa〜500kDaの分子量を有するポリジメチルジアリルアンモニウムクロライドを使用して、我々は、2つのPDAMAB−TPHABサンプルの平均分子量をそれぞれ390kDa及び130kDAと概算で決定した。前者は、本開示に記載されたMFI型階層状ゼオライトの合成の全てに使用されたが、後者はここでは比較目的のためにのみ使用された。
【0086】
図19Bは、典型的なメソ細孔性ZSM−5ゼオライト粒子のTEM画像及び電子回折(ED)パターンを示している。そのEDパターンは、2組の[100]投影反射を含有し、この粒子は、それらの整列したa軸、及びbc平面において約35度の方位差を有する2つの単結晶から構成されることを示唆している。とりわけ、図19Aにおいて白い矢印で表示されているように、いくつかのメソ細孔性ZSM−5ゼオライト粒子は、他のものよりも薄く、メソ細孔性ZSM−5ゼオライト粒子のTEM画像及び伸長した対応するEDパターンである。図29に示されるTEM及びEDの結果は、そのような粒子が本質的に単結晶であり、伸長がc軸に沿っていることを示している。具体的には、図29は、メソ細孔性ZSM−5ゼオライト粒子のFFTを示しており、図29に関して、[010]及び[100]の投影は現在の解像度では区別できず、[010]はインデックス化のために任意に選択されたことに留意されたい。また、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトは、伸長方向に沿って突出する粒子周辺における極薄の「繊維」を有し得る。高分解能TEMは、繊維中に規則的な10リングミクロ細孔チャネルをはっきりと示しており、図19Cに示されているように、繊維がc軸に沿って成長していることを確認している。繊維の最も薄い領域は約3.5nmであり、図19Cに示されているように、3つの10リングチャネル層のみを含有する。TEM試料を大きな角度範囲内で傾斜させた場合、繊維はそれらの一次元(1−D)モルフォロジーを保持することが見出された。例えば、図30A〜30Dは、TEM試料を傾斜させることによって、異なる入射角(すなわち、図30Aでは−40°、図30Bでは−20°、図30Cでは0°、図30Dでは20°)で撮影された突出しているMFI繊維のTEM画像を示している。繊維は、傾斜の間にそれらの1−Dモルフォロジーを保持し、これらの「繊維」が2−Dナノシートの側方投影である可能性を除外する。また、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトを特徴付けるために、TEM断層撮影を実施した。図19Dは、メソ細孔性ZSM−5粒子の再構成された電子断層撮影ボリューム、及びそのボリュームの異なる領域で横断する3つのスライス(約2nm厚)を示している。スライスIに示されているように、粒子の中央領域では、不規則なメソ細孔は、連続的なゼオライト骨格によって包含されている。一方、ゼオライトは高度に分枝状の繊維構造を示して、スライスII及びIIIで実証されているように(図19Dに示されているように、離れたドットは突出している繊維の横断面を示している)、粒子の周辺により大きくかつより開いたメソ細孔を形成する。
【0087】
電子顕微鏡法及び断層撮影法によれば、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトの構造的特徴は次のように特徴付けされ得る:高度にメソ細孔性であるにもかかわらず、ほとんどのメソ細孔性ZSM−5ゼオライト粒子は単結晶であるか、または2つの相互成長した(intergrown)単結晶から構成されている。各単結晶は、c軸に沿ってわずかに伸長しており、2つの端部で分枝した極薄繊維を有する。少数の粒子は、大部分(例えば、図19Aの黒い矢印で表示された粒子)と比較してより薄くかつより丸いように見えるが、その理由は、それらはより多くの(すなわち、少なくとも2つの)互い違いの単結晶を含有するからである。図31は、1つ以上の互い違いの結晶構造を有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトの単純化された概略図を示している。具体的には、図34は、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトの単純化された概略図を示しており、一番左は、単結晶メソ細孔性伸長(c軸に沿った)ZSM−5粒子を表し、これは単独で、または、図31の右の3つの図形に示されているように、相互成長を介して互い違いの構造で1個(または数個)以上の粒子と組み合わせて存在し得る。単結晶特質は、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトを、2−Dゼオライトナノシートまたは小さな(数nmの)ゼオライト粒のランダムな凝集によって構成される界面活性剤テンプレートゼオライトから区別する。
【0088】
実施例7−メソ細孔性シリカライト−Iの合成及び分析
実施例3の手順を使用して、混合物中にアルミニウムを含めないことによってシリカライトメソ細孔性構造を生成した。図12は、生成されたシリカライトのHRTEM画像を図示している。そのメソ細孔性シリカライト−Iゼオライトは、671.4m/gの測定された表面積、0.77cm/gの測定された全細孔容積、及び0.080cm/gの測定されたミクロ細孔容積を有していた。
【0089】
実施例8−メソ細孔性TS−1の分析
実施例4のメソ細孔性チタノシリケート材料を分析した。図13は、実施例4のチタノシリケート材料のTEM画像を図示しており、図14は、実施例4のチタノシリケート材料のXRDパターンを図示している。そのメソ細孔性TS−1ゼオライトは、527m/gの測定された表面積、0.61cm/gの測定された全細孔容積、及び0.065cm/gの測定されたミクロ細孔容積を有していた。
【0090】
実施例9−ゼオライトコア/メソ細孔性ゼオライトシェル構造(コア/シェルゼオライト)の合成
コア/シェルゼオライト構造を形成した。まず、0.1〜0.5gの予め合成したゼオライト結晶(例えば、ZSM−5、Y、またはベータ)を6.3gの水に分散させて懸濁液を作製した。次いで、PDAMAB−TPHAB(0.2485g)、アルミン酸ナトリウム(0.0164g)、及び10%のNaOH水溶液(1g)を懸濁液に添加した。6時間撹拌した後、2.229mLのTEOSを添加し、更に4時間撹拌した。得られたゲルを100℃で1時間加熱した。「テフロン」内張りステンレス鋼オートクレーブ(25mL)内で結晶化を150℃で48時間行った。生成物を遠心分離し、蒸留水及びメタノールで洗浄し、100℃で一晩乾燥させた。550℃での5時間の焼成によってポリマーテンプレートを合成時の材料から除去した。
【0091】
ゼオライトシードの種類に応じて、この方法を使用して異なるコア−シェル構造を合成することができた。使用されるゼオライトシードの量に応じて、メソ細孔性ゼオライトシェルの厚さは、約20nm〜約200nmに調整することができた。慣用ZSM−5コア材料及び慣用Yゼオライトコア材料(それぞれがメソ細孔性ZSM−5シェルを有する)を利用してサンプルを調製した。HRTEMは、シェルの完全な結晶性及びメソ細孔性、ならびにコアとシェルとの間の高度に密着した界面を実証し、エピタキシャル関係を明らかにした。幾何学的位相分析による歪みマッピングは、小さな歪みを有する密着界面を確認し、メソ細孔を適合させる結果としてシェル領域でかなりのひずみ変動の存在を明らかにした。HRTEM画像のED及び高速フーリエ変換(FFT)は、メソ細孔性ZSM−5シェル(シード結晶は単結晶であった)の成長後に結晶が単結晶のままであることを示していた。これらの結果は、非界面活性剤ポリマーが、メソ多孔質であるが単結晶のゼオライト構造の形成を可能にすることを再度確認するものである。
【0092】
また、慣用TS−1コア/メソZSM−5シェル、慣用ZSM−5コア/メソ細孔性TS−1シェル、慣用TS−1コア/メソ細孔性TS−1シェル、慣用シリカライト−1コア/メソ細孔性ZSM−5シェル、及び慣用ZSM−5コア/メソ細孔性シリカライト−1シェルなどのコア及びシェル材料の組み合わせは、シード、合成前駆体、またはその両方を変更することによって合成し得る。コア及びシェルが同じミクロ細孔骨格を有する場合、コア/シェルは、単結晶から構築され得、シェル部分はシード部分(すなわち、コア)からエピタキシャル成長する。
【0093】
図26A〜26Eは、ナノZSM−5慣用ゼオライトコア材料/シード及びメソ細孔性ZSM−5ゼオライトシェルから調製されたコア/シェル構造の画像を示している。図29Aは、比較的薄いシェルを有するコア/シェル構造のTEM画像を示し、図26Bは、比較的厚いシェルを有するコア/シェル構造のTEM画像を示している。図26Cは、2つの直行する方向から見たTEM断層撮影法による再構成されたコア/シェル粒子を示しており、コア結晶を示すためにメソ細孔性シェルは半透明の手法で表示されている。図26Cは、HR−TEM画像を示しており、図26Dは、コア/シェル粒子の対応するFFT(左)及びEDパターン(右)を示しており、多孔質であるが結晶性であるシェル及びそのコア結晶との完全なエピタキシャル関係を示している。図26Eは、幾何学的位相分析によって決定された異なる歪み成分の分布(εxx,εyy,εxy,及びrxy;±15%でのカットオフ)を示しており、非常に密着的(より歪みの少ない)コア−シェル界面及び最も外側のシェルにおけるひずみの存在を示している。
【0094】
図32A〜32Dは、ナノZSM−5慣用ゼオライトコア材料及び様々なシェル厚さを有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトシェルから調製されたコア/シェル構造のSEM画像、XRDデータ、及びN吸着等温線を示している。具体的には、図32Aは、より薄いシェルを有するZSM−5/メソ細孔性ZSM−5コア/シェル粒子の低倍率TEM画像を示しており、図32Bは、より厚いシェルを有するZSM−5/メソ細孔性ZSM−5コア/シェル粒子の低倍率TEM画像を示しており、図32Cは、XRDパターンを示しており、図32Dは、異なるシェル厚さを有するZSM−5/メソ細孔性ZSM−5コア/シェルゼオライト及びバルクZSM−5シード(ナノZSM−5慣用ゼオライト)のN吸着等温線をそれぞれ示している。その結果は、構造中のコアとシェルとの間の密着性、及びシェルの厚さの増加に伴うメソ細孔性の増加を示している。
【0095】
実施例10−コア/シェルゼオライトの分析
実施例9のコア/シェルゼオライトをTEM画像化によって分析した。図15A〜15Dは、ZSM−5コア/メソ細孔性ZSM−5シェル多孔質構造のTEM画像を図示しており、図15Aは、コア(すなわち、シード)材料を図示しており、図15Bは、約40nmのシェル厚さを有するコア/シェル構造を図示しており、図15Cは、約100nmのシェル厚さを有するコア/シェル構造を図示しており、図15Dは、約150nmのシェル厚さを有するコア/シェル構造を図示している。図16A及び16Bは、Yゼオライトコア/メソ細孔性ZSM−5シェル多孔質構造のTEM画像を図示しており、図16Aの画像は、ゼオライトYシード材料のものであり、図16Bの画像は、コア/シェルゼオライトのものである。
【0096】
図33A及び33Bは、バルク慣用ゼオライトベータ結晶上に成長したメソ細孔性ZSM−5ゼオライトから構成される「ダイマー」のTEM画像を示している。これらの材料は、慣用ゼオライトベータ結晶の表面上にメソ細孔性ZSM−5層を成長させる試みをしたときに得られた。これらの結果は、コア/シェル構造を形成するためのいくつかの実施形態では、シードと成長材料との間の格子合致が重要であり得ることを示唆している。
【0097】
実施例11−メソ細孔性ベータゼオライトの製造及び分析
メソ細孔性ベータゼオライトを生成するために、0.058gのNaAlO、0.4gのNaOH、及び0.41gのPDAMAB−TMHABを14.4mLの脱イオン水に添加した。1時間撹拌した後、0.935gのヒュームドシリカを溶液に添加した。得られたゲル(モル組成:1PDAMAB−TMHAB:15.6SiO2:5NaO:0.35Al:800HO)を12時間後にオートクレーブに移した。結晶化は180℃で96時間行った。得られた粉末を遠心分離によって収集し、水及びメタノールで数回洗浄した。真空下で80℃で24時間乾燥させた後、ポリマーテンプレートを550℃で6時間焼成することによって除去した。合成時のメソ細孔性ベータゼオライトのSi/Al比は20であった。
【0098】
図17Aは、階層的に構造化されたメソ細孔性ベータゼオライトの異なる倍率でのTEM画像を示しており、図17Bは、メソ細孔性ベータゼオライト及び慣用ベータゼオライト(「バルクベータ」として表示されている)のXRDパターンを示しており、図17Cは、メソ細孔性ベータゼオライト及び慣用バルクベータゼオライトのN収着等温線を示している。メソ細孔性ベータゼオライトは、750m/gの表面積及び1.1cm/gの全細孔容積を有し、対照的に、慣用(ミクロ細孔)ベータゼオライトは、550m/gの表面積及び0.3cm/gの全細孔容積を有する。
【0099】
18のSi/Al比を有する別のメソ細孔性ベータゼオライトを製造し、これは、616m/gの測定された表面積、1.01cm/gの測定された全細孔容積、及び0.151cm/gの測定されたミクロ細孔容積を有していた。
【0100】
比較として、SDAとして水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAOH)から15のSi/Alモル比を有する慣用ベータゼオライトを調製した。慣用ベータゼオライトは、633.5m/gの測定された表面積、0.27cm/gの測定された全細孔容積、及び0.214cm/gの測定されたミクロ細孔容積を有していた。
【0101】
実施例12−ベータコア/メソ細孔性ベータシェルゼオライトの製造
ベータコア/メソ細孔性ベータシェルゼオライトは、予め合成された慣用(ミクロ細孔)ベータゼオライト結晶をシードとして使用することによってシード成長を介して合成した。シェル合成手順は、(ヒュームドシリカに対して)20〜50重量%の予め合成された慣用ゼオライトベータを前駆体に添加したことを除き、前述した実施例11のゼオライトのものと同一である。図18A及び18Bは、異なる倍率でのベータコア/メソ細孔性ベータシェルゼオライトのTEM画像を図示している。図27A及び27Bもまた、ベータコア/メソ細孔性ベータシェルゼオライトの画像を示している。図27Aは、ベータコア/メソ細孔性ベータシェルゼオライト及びゼオライトベータシード(挿入図)の低倍率TEM画像を示している。図27Bは、単一のベータコア/メソ細孔性ベータシェルゼオライト粒子のTEM画像を示している。対応するEDパターン(挿入図)は、粒子の単結晶特質を示しており、伸長した反射はメソ細孔に関連する歪みの存在を暗示している。図27C及び27Dは、図27Bで表示された粒子周辺で撮影されたベータコア/メソ細孔性ベータシェルゼオライトのHR−TEM画像を示しており、密着したコア−シェル界面及びシェルの高い結晶性を示している。
【0102】
実施例13−様々なSi/Alモル比を有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライトの分析
実施例3の手順を使用して、SiのAlに対する様々なモル比を有するゼオライトを生成した。図11は、異なるSi/Alモル比を有する調製されたゼオライトのXRDパターンを図示している。その結果は、異なるSi/Alモル比を有するゼオライトは全て、高い結晶性のMFI構造を有することを確認している。
【0103】
実施例14−調製されたメソ細孔性ゼオライトの触媒試験
2つの酸触媒反応を利用して、31のSi/Alモル比を有するメソ細孔性ZSM−5ゼオライト(実施例6に記載されている)の触媒性能を評価した。第1の試験は、メタノールの芳香族化合物(MTA)への転化であり、これはコークスの蓄積による触媒の迅速な失活を被る。第2の試験は、キャノーラ油の接触分解であり、これは大分子の反応物を伴う。比較のために、異なる粒子サイズを有する2つの慣用ZSM−5ゼオライト触媒を同じ反応について試験した。これらの慣用ZSM−5ゼオライトは、実施例6に記載された「ミクロZSM−5慣用ゼオライト」(メソ細孔性ZSM−5ゼオライトに匹敵する粒子サイズを有する)、及び実施例6に記載された「ナノZSM−5慣用ゼオライト」(メソ細孔性ZSM−5ゼオライトよりもはるかに大きな粒子サイズを有する)であった。
【0104】
メタノールの芳香族化合物への転化は、ステンレス固定床反応器(内径11mm)内で実施した。各反応において0.5gのゼオライト触媒を使用した。各実行の前に触媒床を550℃で60分間純粋な空気流中(50mL/分)で活性化した。次いで、温度を550℃に設定し、HPLCポンプを使用して空気流を0.02mL/分の供給原料(MeOHと2−エチルフランとの重量比は4:1である)を有するN(50mL/分)ガス流に変更した。重量時間空間速度(WHSV)は、1時間当たり触媒1グラム当たり約2gの供給原料であった。全ての実験は大気圧下で行った。生成物分析はオンラインガスクロマトグラフィを使用して実施した。Agilent HP−PLOT/Qカラム(30m×0.53mm×40μm)を備えるフレームイオン化検出器(FID)を用いてGCで流出物組成を決定した。次の温度プログラムを適用した:50℃(初期温度で5分)から230℃(最終温度で20分)まで6℃/分。ジメチルエーテルは、計算を行うときは1つの生成物としてみなされなかった。
【0105】
アンモニア実験の温度プログラム脱着(TPD)の結果は、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトが、わずかに少ない強酸部位を除いて、酸性の種類及び強度においてミクロZSM−5慣用ゼオライトと本質的に同一であることを示している。ナノZSM−5慣用ゼオライトは、ミクロZSM−5慣用ゼオライトと同様のNH−TPDプロファイルを有する。塩基滴定法を使用して、メソ細孔性ZSM−5ゼオライト、ナノZSM−5慣用ゼオライト、及びミクロZSM−5慣用ゼオライトが、それぞれ、29%、12%、及び0%の外部ブレンステッド酸部位(ZSM−5の10−リングチャネルに入るには大きすぎる分子とって到達可能である)を有することが決定された。具体的には、外部酸性部位を決定するために、エタノール脱水反応中に有機塩基2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(DTBP)滴定を使用してゼオライトの外部酸性部位を決定し、FFAPキャピラリーカラムを備えたAgilent 7890A GCに接続されたパルス反応器内で反応を実施した。773Kで2時間He中で処理した後、触媒(5.0mg〜11.0mg、100〜300メッシュ)をグラスウールで支持された反応器に入れた。反応器の温度を415Kに固定した。2,6−ジ−tertブチルピリジン(DTBP、Alfa、純度98%)/エタノール(0.0105g/mL)の混合物1マイクロリットル(μL)を、液体オートサンプラーの各パルスによって滴定剤が有機塩基で飽和するまで840秒間隔で導入した。エタノールの脱水速度は、FFAPキャピラリーカラムを備えたAgilent 7890A GCによって測定した。脱水速度の低下は、方程式1によって計算した。エタノールの脱水速度の低下は、かさ高いDTBP分子が到達可能な活性部位(「外部酸性部位」と定義される)の割合を反映していた。図23は、エタノール脱水反応中の3つのゼオライト触媒上の酸部位のDTBP(2,6−ジ−tertブチルピリジン)塩基滴定を図示している。
【0106】
【数1】
【0107】
MTA反応は、2gMeOH/(g触媒・時間)の重量時間空間速度(WHSV)で550℃において固定床反応器を使用して行った。ゼオライトのメタノールの転化率及び芳香族化合物の選択性を図21Aに示している。この条件下で、3つの触媒は、反応の開始時にメタノールを十分に転化することができた。芳香族ベースの触媒サイクルを促進するために、2−メチルフラン(25重量%)と共にMeOHを共供給することによって高い芳香族化合物選択性(50%超)が達成された。この共供給戦略の副作用は、コークスの迅速な形成及びその結果生じる触媒の失活であった。結果は、失活速度が触媒の拡散距離に対して直接的な相関を有することを示した。具体的には、ミクロZSM−5慣用ゼオライトはわずか2時間の反応の間にその活性の90%を損失した。ナノZSM−5慣用ゼオライトでは、メタノール転化率は最大で6時間は100%のままであり、次いで10時間で約40%に低下した。最良の性能はメソ細孔性ZSM−5ゼオライトによって得られ、これはメタノールの100%の転化率を11時間維持し、転化率が約40%に低下する前のその寿命は14時間であった。3つの触媒の寿命プロットから、転化能力R、速度定数k、及び失活係数aは、「Janssens,T.V.W.,J.Catal.264,130−137(2009)」においてJanssensによって開発されたモデルを各触媒の寿命プロットと組み合わせて使用することによって導いた。結果を表2に示す。結果は、ナノZSM−5及びミクロZSM−5慣用のゼオライト触媒と比較して、メソ−ZSM−5がより高い転化能力、より高い速度定数、及びより低い失活係数を有することを示している。メソ細孔性ZSM−5ゼオライトの優れた触媒特性は、その階層状構造に起因し得、その構造は、酸性部位を十分に利用して高い転化率及び大きな転化能力を達成することを可能にする一方で、コークス形成及びそれ故触媒の失活の可能性を低下させる分子輸送を促進する。また、階層状構造は、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトの長い寿命の原因ともなる、触媒のコークス耐性能力を増大させ得る。100%のメタノール転化率を伴う反応期間中、メソZSM−5ゼオライトは、2つの慣用ZSM−5触媒よりも高い芳香族化合物に対する選択性を示したことに留意される。表2のデータについて、t0.5は50%の転化率までの時間を指し、t0.8は80%の転化率までの時間を指し、Rはt0.5で計算されたメタノール転化能力を指し(R=WHSVMeOH*t0.5)、kはt0.8でJanssensのモデルから導かれた速度定数を指し、aはa=τ/t0.5(接触時間τ=2.84g触媒h molMeOH−1)の失活係数を指すことを理解されたい。
【0108】
【表2】
【0109】
キャノーラ油(Abu Dhabi Vegetable Oil Company、100%純度)の接触分解を550℃で固定床反応器内で行った。キャリアガスとしてヘリウム(25mL/分)を使用し、内部標準として窒素(12mL/分)を使用した。反応の前に、触媒を100〜300μmサイズの粒子に粉砕し、ヘリウム流(37mL/分)下で550℃で1時間その場で活性化した。凝縮器を使用して、水及び液体生成物を捕捉した。FID及びTCD検出器ならびにHP−AL/KCL及びTDX−01カラムを備えたHaixin 9200 GCシステムを使用して気相生成物を分析した。HP−AL/KCLカラム及びFIDは、炭化水素の分離及び分析のために使用し、TDX−01カラム及びTCDは、窒素、CO、及び水素の分離及び分析のために使用した。FID検出器を573Kで維持し、TCD検出器を523Kで維持した。次の温度傾斜を使用した:323Kで10分間保持し、10K/分で473Kまで傾斜させ、473Kで20分間保持する。HP−5キャピラリーカラムを備えたAgilent 7890A GCによって液体生成物を分析した。
【0110】
図21(b)は、接触時間に対するキャノーラ油の転化率及び軽質オレフィンの収率を示しており、これから、メソZSM−5ゼオライトは、ナノZSM−5慣用ゼオライト及びミクロZSM−5慣用ゼオライトよりも同じ条件でより多くのキャノーラ油を転化することができたことが示されている。0.015時間g触媒/gの接触時間では、キャノーラ油の転化率は、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトの場合は82.7重量%であり、ナノZSM−5慣用ゼオライトの場合は60.2重量%であり、ミクロZSM−5慣用ゼオライトの場合は37.0重量%であった。軽質オレフィンの対応する収率はそれぞれ26.9重量%、16.4重量%、及び10.1重量%であった。3つの触媒について異なる反応条件での詳細な生成物分布を表3〜5に提供しており、表3はメソ細孔性ZSM−5ゼオライトの結果を示しており、表4はナノZSM−5慣用ゼオライトの結果を示しており、表5はミクロZSM−5慣用ゼオライトの結果を示している。主としてかさ高い飽和及び不飽和トリグリセリドを含有するキャノーラ油の分解は、脂肪酸鎖のプロトン化及びそれに続くβ−切断から開始すると考えられる。反応物分子のサイズが大きいため、プロトン化はミクロ細孔内では起こり得ず、触媒の外表面上でのみ起こり得る。メソ細孔性ZSM−5ゼオライトは、3つの触媒の中で最も高い割合の外部酸部位を有し、そのため、この反応に特に有利である。
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【0114】
実施例15−官能化ゼオライトの合成
慣用ZSM−5と比較した、未焼成メソ細孔性ZSM−5ゼオライト(テンプレートポリマーを除去しない)の吸着能力を実証した。50mgのゼオライト粉末を1mLのKPtCl溶液(0.013M)と5分間混合し、次いで遠心分離によって分離した。2つの上澄み間の色の鮮明なコントラストは、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトが、慣用ZSM−5よりも効率的に溶液からPtCl2−アニオンを吸収したことを暗示していた。図25A及び25Bは、未焼成メソ細孔性ZSM−5ゼオライト及び未焼成ナノZSM−5慣用ゼオライトによるPtCl2−の吸着を示している。具体的には、図25A及び25Bは、1mLの0.013−MのKPtCl水溶液単独(バイアル0)、50mgのメソ細孔性ZSM−5との混合(バイアル1)、または50mgのナノZSM−5慣用ゼオライトとの混合(バイアル2)の遠心分離の前(図25A)及び後(図25B)の写真を示している。バイアル2中のものと比較して、バイアル1中の上澄み液のより明るい色は、メソ細孔性ZSM−5の、より高い吸着能力を示している。
【0115】
吸着能力(Ptに基づく)は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−OES)によって、メソZSM−5の場合は24.7mg/gであり、ナノZSM−5慣用ゼオライトの場合は0.64mg/gであると決定された。メソ細孔性ZSM−5ゼオライトの向上した吸着能力は、静電相互作用を介してPtCl2−アニオンを捕捉し得るPDAMAB−TPHAB中の豊富なアンモニウム基に起因する。PtCl2−の吸着後、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトを500℃で焼成してテンプレートを除去し、その一方でPt前駆体をPt金属に還元した。図22に示されているように、このプロセスは、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトに均一に分散した超微細Ptナノ結晶(1〜2nm)をもたらし、これは高角度環状暗視野透過電子顕微鏡(HAADF−STEM)によって観察され、メソ細孔性ZSM−5ゼオライトによるPtイオンの吸着を確認した。慣用の湿式含浸法では、そのような担持レベルでゼオライト担体上にそのような小さな良好に分散したPtナノ結晶を調製することは困難であることに留意される。アンモニウム基とPtCl2−アニオンとの間の特定の相互作用により、後者がメソ細孔性ZSM−5ゼオライト粒子中に存在するポリマーマトリックスによって均一に分布しかつ保護されることが可能となり、最終的には焼成時に高度に分散した超微細Ptナノ結晶となる。得られる複合材料は、メソ細孔性、強酸性、及び貴金属部位を統合し、潜在的には、大きな分子を伴う水素化または水素化脱酸素化のための有用な触媒である。
【0116】
本開示を説明及び定義する目的のために、「約」という用語は、定量的な比較、価値、測定、または他の表現に起因し得る不確実性の固有の程度を表すために本開示において利用されることが留意される。「約」という用語はまた、定量的表現が、問題の主題の基本的機能に変化をもたらさずに記述された基準と異なり得る程度を表すために本開示において利用される。また、「本質的に〜からなる」という用語は、本開示の基本的かつ新規な特徴(複数可)に実質的に影響を与えない定量値を指すために本開示において使用される。例えば、特定の化学的構成要素または化学的構成要素の群から「本質的になる」化学流は、その流れがその特定の化学的構成要素または化学的構成要素の群の少なくとも約99.5%を含むことを意味すると理解されたい。
【0117】
以下の請求項のうちの1つ以上は、用語「そこで(where)」を移行句として利用することに留意される。本技術を定義する目的のために、この用語は、構造の一連の特徴の記述を導入するために使用されるオープンエンドの移行句として特許請求の範囲に導入され、より一般的に使用されるオープンエンドのプリアンブル用語「含む」と同様に解釈されるべきであることに留意される。
【0118】
特性に割り当てられた任意の2つの定量値は、その特性の範囲を構成し得、所与の特性の全ての記述された定量値から形成される全ての範囲の組み合わせが本開示において企図されることを理解されたい。
【0119】
本開示の第1の態様によれば、カチオン性ポリマーは、化学構造#3または化学構造#8の構造を含み、Aが窒素またはリンであり、Bが窒素またはリンであり、R5が1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖であり、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の各々が水素原子または炭化水素であり、その炭化水素の各々が1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、nが10〜10,000,000である。
【0120】
本開示の第2の態様は、A及びBが窒素である第1の態様を含み得る。
【0121】
本開示の第3の態様は、Cl、Br、F、I、OH、1/2SO2−、1/3PO3−、1/2S2−、AlOから選択される1種以上のアニオンを更に含む、第1または第2の態様を含み得る。
【0122】
本開示の第4の態様は、R5が3〜30個の炭素原子の炭素鎖長を含む、第1〜第3の態様のいずれか1つを含み得る。
【0123】
本開示の第5の態様は、R5が5〜10個の炭素原子の炭素鎖長を含む、第1〜第4の態様のいずれか1つを含み得る。
【0124】
本開示の第6の態様は、R6、R7、R8、及びR9が水素である、第1〜第5の態様のいずれか1つを含み得る。
【0125】
本開示の第7の態様は、R10がアルキル基である、第1〜第6の態様のいずれか1つを含み得る。
【0126】
本開示の第8の態様は、R10がメチル基である、第1〜第7の態様のいずれか1つを含み得る。
【0127】
本開示の第9の態様は、R11、R12、及びR13がアルキル基である、第1〜第8の態様のいずれか1つを含み得る。
【0128】
本開示の第10の態様は、R11、R12、及びR13がメチル基である、第1〜第9の態様のいずれか1つを含み得る。
【0129】
本開示の第11の態様は、R11、R12、及びR13がエチル基である、第1〜第10の態様のいずれか1つを含み得る。
【0130】
本開示の第12の態様は、R11、R12、及びR13がプロピル基である、第1〜第11の態様のいずれか1つを含み得る。
【0131】
本開示の第13の態様は、カチオン性ポリマーがポリ(N,N−ジアリル−N−アルキル−N,N,N−トリアルキルアルカン−1,6−ジアモニウムハライド)である、第1〜第12の態様のいずれか1つを含み得る。
【0132】
本開示の第14の態様は、カチオン性ポリマーがポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリメチルヘキサン−1,6−ジアモニウムブロマイド)である、第1〜第13の態様のいずれか1つを含み得る。
【0133】
本開示の第15の態様は、カチオン性ポリマーがポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリエチルヘキサン−1,6−ジアモニウムブロマイド)である、第1〜第14の態様のいずれか1つを含み得る。
【0134】
本開示の第16の態様は、カチオン性ポリマーがポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリプロピルヘキサン−1,6−ジアモニウムブロマイド)である、第1〜第15の態様のいずれか1つを含み得る。
【0135】
本開示の第17の態様は、カチオン性ポリマーが非界面活性剤である、第1〜第16の態様のいずれか1つを含み得る。
【0136】
本開示の第18の態様は、カチオン性ポリマーが構造指向剤として利用されてメソ細孔性ゼオライトを形成する、第1〜第17の態様のいずれか1つを含み得る。
【0137】
本開示の第19の態様によれば、H−NMRピークを0.65ppm〜1.05ppm、1.1ppm〜1.5ppm、1.4ppm〜1.8ppm、2.6ppm〜3.0ppm、及び2.85ppm〜3.25ppmのうちの1つ以上で含むカチオン性ポリマー。
【0138】
本開示の第20の態様は、カチオン性ポリマーが、H−NMRピークを0.65ppm〜1.05ppm、1.1ppm〜1.5ppm、1.4ppm〜1.8ppm、2.6ppm〜3.0ppm、及び2.85ppm〜3.25ppmで含む、第19の態様を含み得る。
【0139】
本開示の第21の態様によれば、カチオン性ポリマーを生成するための方法は、塩化物アニオンを有するジアリルメチルアンモニウム塩酸塩カチオンをジアリルアミンから形成するステップと、ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩を重合してポリ(ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩)(PDMAH)を形成するステップと、ポリ(ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩)(PDMAH)からポリ(ジアリルメチルアミン)(PDMA)を形成するステップと、トリアルキルアミンをジハロアルカンと反応させることによってハライドアニオンを有するアンモニウムハライドカチオンを形成するステップと、PDMAをアンモニウムハライドカチオンと反応させることによって請求項1に記載のカチオン性ポリマーを形成するステップと、を含む。
【0140】
本開示の第22の態様は、カチオン性ポリマーが、化学構造#3または化学構造#8の構造を含み、Aが窒素またはリンであり、Bが窒素またはリンであり、R5が1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖であり、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の各々が水素原子または炭化水素であり、その炭化水素の各々が1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、nが10〜10,000,000である、第21の態様を含み得る。
【0141】
本開示の第23の態様は、塩化物アニオンを有するジアリルメチルアンモニウム塩酸塩カチオンが、ジアリルアミンをギ酸、ホルムアルデヒド、及びHClと接触させることによって形成される、第21または第22の態様を含み得る。
【0142】
本開示の第24の態様は、ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩が、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AAPH)との接触によって重合される、第21〜第23の態様のいずれか1つを含み得る。
【0143】
本開示の第25の態様は、ポリ(ジアリルメチルアミン)(PDMA)が、ポリ(ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩)(PDMAH)をメタン及びナトリウムメトキシドと接触させることによって形成される、第21〜第24の態様のいずれか1つを含み得る。
【0144】
本開示の第26の態様によれば、触媒は、構造指向剤としてカチオン性ポリマーを利用することによって生成され得、構造指向剤として利用されるカチオン性ポリマーが、化学構造#3または化学構造#8の構造を含み、Aが窒素またはリンであり、Bが窒素またはリンであり、R5が1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖であり、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の各々が水素原子または炭化水素であり、その炭化水素の各々が1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、nが10〜10,000,000である。
【0145】
本開示の第27の態様は、触媒がメソ細孔性ゼオライトである、第26の態様を含み得る。
【0146】
本開示の第28の態様によれば、メソ細孔性ゼオライトは、カチオン性ポリマー及び1種以上の前駆体材料を組み合わせてミクロ細孔を含む中間体材料を形成するステップであって、カチオン性ポリマーが、ミクロ細孔の形成のための構造指向剤として作用し、カチオン性ポリマーが、炭化水素鎖によって結合した2つ以上の第4級アンモニウムカチオンまたは第4級ホスホニウムカチオンを含むモノマーを含む、形成するステップと、中間体構造を焼成してメソ細孔性ゼオライトを形成するステップと、を含む方法によって生成され得る。
【0147】
本開示の第29の態様は、焼成が、中間体構造からカチオン性ポリマーを除去し、メソ細孔を形成する、第28の態様を含み得る。
【0148】
本開示の第30の態様は、カチオン性ポリマーが、化学構造#3または化学構造#8の構造を含み、Aが窒素またはリンであり、Bが窒素またはリンであり、R5が1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖であり、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の各々が水素原子または炭化水素であり、その炭化水素の各々が1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、nが10〜10,000,000である、第28または第29の態様のいずれかを含み得る。
【0149】
本開示の第31の態様は、前駆体材料が、ケイ素含有材料、チタン含有材料、及びアルミニウム含有材料のうちの1種以上から選択される、第28〜第30の態様のいずれか1つを含み得る。
【0150】
本開示の第32の態様は、メソ細孔性ゼオライトが、アルミノシリケート材料、チタノシリケート材料、または純粋なシリケート材料を含む、第28〜第31の態様のいずれか1つを含み得る。
【0151】
本開示の第33の態様は、メソ細孔性ゼオライトが、350m/gを超える表面積を含む、第28〜第32の態様のいずれか1つを含み得る。
【0152】
本開示の第34の態様は、メソ細孔性ゼオライトが、0.3cm/gを超える細孔容積を含む、第28〜第33の態様のいずれか1つを含み得る。
【0153】
本開示の第35の態様は、メソ細孔性ゼオライトがMFI骨格型を含む、第28〜第34の態様のいずれか1つを含み得る。
【0154】
本開示の第36の態様は、メソ細孔性ゼオライトがZSM−5ゼオライトである、第28〜第35の態様のいずれか1つを含み得る。
【0155】
本開示の第37の態様は、メソ細孔性ゼオライトがTS−1ゼオライトである、第28〜第36の態様のいずれか1つを含み得る。
【0156】
本開示の第38の態様は、メソ細孔性ゼオライトがシリカライト−Iゼオライトである、第28〜第37の態様のいずれか1つを含み得る。
【0157】
本開示の第39の態様は、メソ細孔性ゼオライトがBEA骨格型を含む、第28〜第38の態様のいずれか1つを含み得る。
【0158】
本開示の第40の態様は、メソ細孔性ゼオライトがベータゼオライトである、第28〜第39の態様のいずれか1つを含み得る。
【0159】
本開示の第41の態様によれば、メソ細孔性ゼオライトは、2nm以下の直径を有する複数のミクロ細孔を含むミクロ細孔性骨格と、2nmを超え50nm以下の直径を有する複数のメソ細孔と、を含み得、メソ細孔性ゼオライトが、アルミノシリケート材料、チタノシリケート材料、または純粋なシリケート材料を含み、メソ細孔性ゼオライトが、350m/gを超える表面積を含み、メソ細孔性ゼオライトが、0.3cm/gを超える細孔容積を含む。
【0160】
本開示の第42の態様は、メソ細孔性ゼオライトがMFI骨格型を含む、第41の態様を含み得る。
【0161】
本開示の第43の態様は、メソ細孔性ゼオライトがZSM−5ゼオライトである、第41〜第42の態様のいずれか1つを含み得る。
【0162】
本開示の第44の態様は、メソ細孔性ゼオライトがTS−1ゼオライトである、第41〜第43の態様のいずれか1つを含み得る。
【0163】
本開示の第45の態様は、メソ細孔性ゼオライトがシリカライト−Iゼオライトである、第41〜第44の態様のいずれか1つを含み得る。
【0164】
本開示の第46の態様は、メソ細孔性ゼオライトがBEA骨格型を含む、第41〜第45の態様のいずれか1つを含み得る。
【0165】
本開示の第47の態様は、メソ細孔性ゼオライトがベータゼオライトである、第41〜第46の態様のいずれか1つを含み得る。
【0166】
本開示の第48の態様は、メソ細孔性ゼオライトがアルミノシリケート材料を含む、第41〜第47の態様のいずれか1つを含み得る。
【0167】
本開示の第49の態様は、メソ細孔性ゼオライトが10以上のSiのAlに対するモル比を含む、第41〜第48の態様のいずれか1つを含み得る。
【0168】
本開示の第50の態様は、メソ細孔性ゼオライトがチタノシリケート材料を含む、第41〜第49の態様のいずれか1つを含み得る。
【0169】
本開示の第51の態様は、メソ細孔性ゼオライトが30以上のSiのTiに対するモル比を含む、第41〜第50の態様のいずれか1つを含み得る。
【0170】
本開示の第52の態様は、メソ細孔性ゼオライトが純粋なシリケート材料を含む、第41〜第51の態様のいずれか1つを含み得る。
【0171】
本開示の第53の態様は、メソ細孔性ゼオライトが25nm〜500nmのサイズの粒子を含む、第41〜第52の態様のいずれか1つを含み得る。
【0172】
本開示の第54の態様によれば、多孔質材料は、2nm以下の直径を有する複数のミクロ細孔を含むミクロ細孔構造を含むゼオライトコア部分であって、そのコア部分が、アルミノシリケート材料、チタノシリケート材料、または純粋なシリケート材料を含む、ゼオライトコア部分と、アルミノシリケート材料、チタノシリケート材料、または純粋なシリケート材料を含み、かつコア部分を取り囲むメソ細孔性ゼオライトシェル部分であって、そのシェル部分が、2nm以下の直径を有する複数のミクロ細孔を含むミクロ細孔性骨格と、2nmを超え50nm以下の直径を有する複数のメソ細孔と、を含む、メソ細孔性ゼオライトシェル部分と、を含む。
【0173】
本開示の第55の態様は、シェル部分が、350m/gを超える表面積を含む、第54の態様を含み得る。
【0174】
本開示の第56の態様は、シェル部分が、0.3cm/gを超える細孔容積を含む、第54または第55の態様を含み得る。
【0175】
本開示の第57の態様は、コア部分がメソ細孔を含まない、第54〜第56の態様のいずれか1つを含み得る。
【0176】
本開示の第58の態様は、シェル部分が20nm〜200nmの厚さを有する、第54〜第57の態様のいずれか1つを含み得る。
【0177】
本開示の第59の態様は、コア部分が25nm〜500nmの長さを有する、第54〜第58の態様のいずれか1つを含み得る。
【0178】
本開示の第60の態様は、シェル部分がMFI骨格型を含む、第54〜第59の態様のいずれか1つを含み得る。
【0179】
本開示の第61の態様は、シェル部分がZSM−5ゼオライトである、第54〜第60の態様のいずれか1つを含み得る。
【0180】
本開示の第62の態様は、シェル部分がTS−1ゼオライトである、第54〜第61の態様のいずれか1つを含み得る。
【0181】
本開示の第63の態様は、シェル部分がシリカライト−Iゼオライトである、第54〜第62の態様のいずれか1つを含み得る。
【0182】
本開示の第64の態様は、シェル部分がBEA骨格型を含む、第54〜第64の態様のいずれか1つを含み得る。
【0183】
本開示の第65の態様は、シェル部分がベータゼオライトである、第54〜第64の態様のいずれか1つを含み得る。
【0184】
本開示の第66の態様によれば、コア部分及びシェル部分を含むコア/シェルゼオライトは、カチオン性ポリマー、多孔質材料の前駆体材料、及び1種以上のコアシード材料を含む混合物を形成するステップであって、コアシード材料がミクロ細孔構造を含む、形成するステップと、コアシード材料の周りにシェル部分の中間体材料を形成するステップであって、シェル部分の中間体材料がミクロ細孔を含み、カチオン性ポリマーが、シェル部分の中間体のミクロ細孔の形成のための構造指向剤として作用し、カチオン性ポリマーが、炭化水素鎖によって分離した2つ以上の第4級アンモニウムカチオンまたは第4級ホスホニウムカチオンを含むモノマーを含む、形成するステップと、コア/シェル多孔質材料を焼成してコア/シェルゼオライトを形成するステップであって、シェル部分がメソ細孔性ゼオライトを含む、形成するステップと、を含む、方法によって生成され得る。
【0185】
本開示の第67の態様は、カチオン性ポリマーが、化学構造#3または化学構造#8の構造を含み、Aが窒素またはリンであり、Bが窒素またはリンであり、R5が1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖であり、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の各々が水素原子または炭化水素であり、その炭化水素の各々が1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、nが10〜10,000,000である、第66の態様を含み得る。
【0186】
本開示の第68の態様は、焼成が、シェル部分の中間体構造からカチオン性ポリマーを除去し、シェル構造中でメソ細孔を形成する、第66または第67の態様を含み得る。
【0187】
本開示の第69の態様は、構造
(式中、Aが窒素またはリンであり、Bが窒素またはリンであり、R5が1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖であり、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の各々が水素原子または炭化水素であり、その炭化水素の各々が1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、o+mが10〜10,000,000である。)を含むカチオン性ポリマーを含む。
【0188】
本開示の主題を詳細に、そして特定の実施形態を参照して説明したが、本開示に記載された様々な詳細は、これらの詳細が、本明細書に付随する図面の各々に特定の要素が示されている場合であっても、本開示に記載された様々な実施形態の必須成分である要素と関連することを暗示するために受け取られるべきではないことが留意される。むしろ、本明細書に添付された特許請求の範囲は、本開示の幅及び本開示に記載された様々な実施形態の対応する範囲の唯一の表現として受け取られるべきである。更に、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、変更及び変形が可能であることは明らかである。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
構造:
【化1】
(式中、Aが窒素またはリンであり、Bが窒素またはリンであり、
R5が1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖であり、
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の各々が水素原子または炭化水素であり、前記炭化水素の各々が1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、
nが10〜10,000,000である。)を含むカチオン性ポリマー。
実施形態2
A及びBが窒素である、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態3
Cl、Br、F、I、OH、1/2SO2−、1/3PO3−、1/2S2−、AlOから選択される1種以上のアニオンを更に含む、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態4
R5が、3〜30個の炭素原子の炭素鎖長を含む、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態5
R5が、5〜10個の炭素原子の炭素鎖長を含む、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態6
R6、R7、R8、及びR9が水素である、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態7
R10がアルキル基である、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態8
R10がメチル基である、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態9
R11、R12、及びR13がアルキル基である、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態10
R11、R12、及びR13がメチル基である、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態11
R11、R12、及びR13がエチル基である、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態12
R11、R12、及びR13がプロピル基である、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態13
前記カチオン性ポリマーが、ポリ(N,N−ジアリル−N−アルキル−N,N,N−トリアルキルアルカン−1,6−ジアモニウムハライド)である、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態14
前記カチオン性ポリマーが、ポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリメチルヘキサン−1,6−ジアンモニウムブロマイド)である、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態15
前記カチオン性ポリマーが、ポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリエチルヘキサン−1,6−ジアモニウムブロマイド)である、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態16
前記カチオン性ポリマーが、ポリ(N,N−ジアリル−N−メチル−N,N,N−トリプロピルヘキサン−1,6−ジアモニウムブロマイド)である、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態17
前記カチオン性ポリマーが非界面活性剤である、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態18
前記カチオン性ポリマーが構造指向剤として利用されてメソ細孔性ゼオライトを形成する、実施形態1に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態19
H−NMRピークを、
0.65ppm〜1.05ppm、
1.1ppm〜1.5ppm、
1.4ppm〜1.8ppm、
2.6ppm〜3.0ppm、及び
2.85ppm〜3.25ppmのうちの1つ以上で含むカチオン性ポリマー。
実施形態20
前記カチオン性ポリマーが、H−NMRピークを、
0.65ppm〜1.05ppm、
1.1ppm〜1.5ppm、
1.4ppm〜1.8ppm、
2.6ppm〜3.0ppm、及び
2.85ppm〜3.25ppmで含む、実施形態19に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態21
前記カチオン性ポリマーを生成するための方法であって、前記方法が、
塩化物アニオンを有するジアリルメチルアンモニウム塩酸塩カチオンをジアリルアミンから形成するステップと、
前記ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩を重合してポリ(ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩)(PDMAH)を形成するステップと、
前記ポリ(ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩)(PDMAH)からポリ(ジアリルメチルアミン)(PDMA)を形成するステップと、
トリアルキルアミンをジハロアルカンと反応させることによってハライドアニオンを有するアンモニウムハライドカチオンを形成するステップと、
前記PDMAを前記アンモニウムハライドカチオンと反応させることによって実施形態1に記載のカチオン性ポリマーを形成するステップと、
を含む、方法。
実施形態22
前記カチオン性ポリマーが、構造:
【化2】
(式中、Aが窒素またはリンであり、Bが窒素またはリンであり、
R5が1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖であり、
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の各々が水素原子または炭化水素であり、前記炭化水素の各々が1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、
nが10〜10,000,000である。)を含む、実施形態21に記載の方法。
実施形態23
前記塩化物アニオンを有するジアリルメチルアンモニウム塩酸塩カチオンが、前記ジアリルアミンをギ酸、ホルムアルデヒド、及びHClと接触させることによって形成される、実施形態21に記載の方法。
実施形態24
前記ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩が、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(AAPH)との接触によって重合される、実施形態21に記載の方法。
実施形態25
前記ポリ(ジアリルメチルアミン)(PDMA)が、前記ポリ(ジアリルメチルアンモニウム塩酸塩)(PDMAH)をメタン及びナトリウムメトキシドと接触させることによって形成される、実施形態21に記載の方法。
実施形態26
構造指向剤としてカチオン性ポリマーを利用することによって生成される触媒であって、前記構造指向剤として利用される前記カチオン性ポリマーが、構造:
【化3】
(式中、Aが窒素またはリンであり、Bが窒素またはリンであり、
R5が1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖であり、
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の各々が水素原子または炭化水素であり、前記炭化水素の各々が1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、
nが10〜10,000,000である。)を含む、触媒。
実施形態27
前記触媒がメソ細孔性ゼオライトである、実施形態26に記載の触媒。
実施形態28
メソ細孔性ゼオライトを生成するための方法であって、前記方法が、
カチオン性ポリマー及び1種以上の前駆体材料を組み合わせてミクロ細孔を含む中間体材料を形成するステップであって、
前記カチオン性ポリマーが、前記ミクロ細孔の形成のための構造指向剤として作用し、
前記カチオン性ポリマーが、炭化水素鎖によって結合した2つ以上の第4級アンモニウムカチオンまたは第4級ホスホニウムカチオンを含むモノマーを含む、形成するステップと、
中間体構造を焼成してメソ細孔性ゼオライトを形成するステップと、
を含む、方法。
実施形態29
前記焼成が、前記中間体構造から前記カチオン性ポリマーを除去し、メソ細孔を形成する、実施形態28に記載の方法。
実施形態30
前記カチオン性ポリマーが、構造:
【化4】
(式中、Aが窒素またはリンであり、Bが窒素またはリンであり、
R5が1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖であり、
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の各々が水素原子または炭化水素であり、前記炭化水素の各々が1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、
nが10〜10,000,000である。)を含む、実施形態28に記載の方法。
実施形態31
前記前駆体材料が、ケイ素含有材料、チタン含有材料、及びアルミニウム含有材料のうちの1種以上から選択される、実施形態28に記載の方法。
実施形態32
前記メソ細孔性ゼオライトが、アルミノシリケート材料、チタノシリケート材料、または純粋なシリケート材料を含む、実施形態28に記載の方法。
実施形態33
前記メソ細孔性ゼオライトが、350m/gを超える表面積を含む、実施形態28に記載の方法。
実施形態34
前記メソ細孔性ゼオライトが、0.3cm/gを超える細孔容積を含む、実施形態28に記載の方法。
実施形態35
前記メソ細孔性ゼオライトがMFI骨格型を含む、実施形態28に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態36
前記メソ細孔性ゼオライトがZSM−5ゼオライトである、実施形態35に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態37
前記メソ細孔性ゼオライトがTS−1ゼオライトである、実施形態35に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態38
前記メソ細孔性ゼオライトがシリカライト−Iゼオライトである、実施形態35に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態39
前記メソ細孔性ゼオライトがBEA骨格型を含む、実施形態28に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態40
前記メソ細孔性ゼオライトがベータゼオライトである、実施形態39に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態41
2nm以下の直径を有する複数のミクロ細孔を含むミクロ細孔性骨格と、
2nmを超え50nm以下の直径を有する複数のメソ細孔と、を含む、メソ細孔性ゼオライトであって、
前記メソ細孔性ゼオライトが、アルミノシリケート材料、チタノシリケート材料、または純粋なシリケート材料を含み、
前記メソ細孔性ゼオライトが、350m/gを超える表面積を含み、
前記メソ細孔性ゼオライトが、0.3cm/gを超える細孔容積を含む、メソ細孔性ゼオライト。
実施形態42
前記メソ細孔性ゼオライトがMFI骨格型を含む、実施形態41に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態43
前記メソ細孔性ゼオライトがZSM−5ゼオライトである、実施形態42に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態44
前記メソ細孔性ゼオライトがTS−1ゼオライトである、実施形態42に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態45
前記メソ細孔性ゼオライトがシリカライト−Iゼオライトである、実施形態42に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態46
前記メソ細孔性ゼオライトがBEA骨格型を含む、実施形態41に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態47
前記メソ細孔性ゼオライトがベータゼオライトである、実施形態46に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態48
前記メソ細孔性ゼオライトがアルミノシリケート材料を含む、実施形態41に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態49
前記メソ細孔性ゼオライトが、10以上のSiのAlに対するモル比を含む、実施形態48に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態50
前記メソ細孔性ゼオライトがチタノシリケート材料を含む、実施形態41に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態51
前記メソ細孔性ゼオライトが、30以上のSiのTiに対するモル比を含む、実施形態50に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態52
前記メソ細孔性ゼオライトが純粋なシリケート材料を含む、実施形態41に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態53
前記メソ細孔性ゼオライトが、25nm〜500nmのサイズの粒子を含む、実施形態41に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態54
2nm以下の直径を有する複数のミクロ細孔を含むミクロ細孔構造を含むゼオライトコア部分であって、前記コア部分が、アルミノシリケート材料、チタノシリケート材料、または純粋なシリケート材料を含む、ゼオライトコア部分と、
アルミノシリケート材料、チタノシリケート材料、または純粋なシリケート材料を含み、かつ前記コア部分を取り囲むメソ細孔性ゼオライトシェル部分であって、前記シェル部分が、
2nm以下の直径を有する複数のミクロ細孔を含むミクロ細孔性骨格と、
2nmを超え50nm以下の直径を有する複数のメソ細孔と、を含む、メソ細孔性ゼオライトシェル部分と、を含む、多孔質材料。
実施形態55
前記シェル部分が、350m/gを超える表面積を含む、実施形態54に記載の多孔質材料。
実施形態56
前記シェル部分が、0.3cm/gを超える細孔容積を含む、実施形態54に記載の多孔質材料。
実施形態57
前記コア部分がメソ細孔を含まない、実施形態54に記載の多孔質材料。
実施形態58
前記シェル部分が、20nm〜200nmの厚さを有する、実施形態54に記載の多孔質材料。
実施形態59
前記コア部分が、25nm〜500nmの長さを有する、実施形態54に記載の多孔質材料。
実施形態60
前記シェル部分がMFI骨格型を含む、実施形態54に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態61
前記シェル部分がZSM−5ゼオライトである、実施形態60に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態62
前記シェル部分がTS−1ゼオライトである、実施形態60に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態63
前記シェル部分がシリカライト−Iゼオライトである、実施形態60に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態64
前記シェル部分がBEA骨格型を含む、実施形態54に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態65
前記シェル部分がベータゼオライトである、実施形態64に記載のメソ細孔性ゼオライト。
実施形態66
コア部分及びシェル部分を含むコア/シェルゼオライトを生成するための方法であって、
カチオン性ポリマー、多孔質材料の前駆体材料、及び1種以上のコアシード材料を含む混合物を形成するステップであって、前記コアシード材料がミクロ細孔構造を含む、形成するステップと、
前記コアシード材料の周りに前記シェル部分の中間体材料を形成するステップであって、前記シェル部分の中間体材料がミクロ細孔を含み、
前記カチオン性ポリマーが、前記シェル部分の中間体の前記ミクロ細孔の形成のための構造指向剤として作用し、
前記カチオン性ポリマーが、炭化水素鎖によって分離した2つ以上の第4級アンモニウムカチオンまたは第4級ホスホニウムカチオンを含むモノマーを含む、形成するステップと、
前記コア/シェル多孔質材料を焼成してコア/シェルゼオライトを形成するステップであって、前記シェル部分がメソ細孔性ゼオライトを含む、形成するステップと、
を含む、方法。
実施形態67
前記カチオン性ポリマーが、構造:
【化5】
(式中、Aが窒素またはリンであり、Bが窒素またはリンであり、
R5が1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖であり、
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の各々が水素原子または炭化水素であり、前記炭化水素の各々が1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、
nが10〜10,000,000である。)を含む、実施形態66に記載の方法。
実施形態68
前記焼成が、前記シェル部分の中間体構造から前記カチオン性ポリマーを除去し、前記シェル構造中でメソ細孔を形成する、実施形態66に記載の方法。
実施形態69
構造:
【化6】
(式中、Aが窒素またはリンであり、Bが窒素またはリンであり、
R5が1〜10,000個の炭素原子の炭素鎖長を有する分枝状または非分枝状炭化水素鎖であり、
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13の各々が水素原子または炭化水素であり、前記炭化水素の各々が1つ以上のヘテロ原子を任意に含み、
o+mが10〜10,000,000である。)を含むカチオン性ポリマー。
実施形態70
A及びBが窒素である、実施形態69に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態71
Cl、Br、F、I、OH、1/2SO2−、1/3PO3−、1/2S2−、AlOから選択される1種以上のアニオンを更に含む、実施形態69に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態72
R5が、3〜30個の炭素原子の炭素鎖長を含む、実施形態69に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態73
R5が、5〜10個の炭素原子の炭素鎖長を含む、実施形態69に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態74
R6、R7、R8、及びR9が水素である、実施形態69に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態75
R10がアルキル基である、実施形態69に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態76
R10がメチル基である、実施形態69に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態77
R11、R12、及びR13がアルキル基である、実施形態69に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態78
R11、R12、及びR13がメチル基である、実施形態69に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態79
R11、R12、及びR13がエチル基である、実施形態69に記載のカチオン性ポリマー。
実施形態80
R11、R12、及びR13がプロピル基である、実施形態69に記載のカチオン性ポリマー。
図1
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図3
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図5
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図16B
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図17B
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図18A
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図19B
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図27C
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