(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903679
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】ビデオ拡大装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20210701BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20210701BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20210701BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20210701BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
H04N5/232 990
G03B17/02
G03B17/56 B
H04N5/222 300
H04N5/225 100
H04N5/225 200
H04N5/225 450
H04N5/232 450
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-544152(P2018-544152)
(86)(22)【出願日】2017年2月24日
(65)【公表番号】特表2019-512916(P2019-512916A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】US2017019341
(87)【国際公開番号】WO2017147413
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2020年1月20日
(31)【優先権主張番号】62/300,268
(32)【優先日】2016年2月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501214133
【氏名又は名称】フリーダム サイエンティフィック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデンバーグ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス、カルロス
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、ブラッドリー エス.
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】コナード、トッド
(72)【発明者】
【氏名】タンキス、ワルデマール
【審査官】
佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0022364(US,A1)
【文献】
米国特許第05734414(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
G03B 17/02
G03B 17/56
H04N 5/222
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ拡大装置(20)であって、
上縁部(24)と、下縁部(26)と、内部(28)とを有し、前記上縁部(24)内に凹部(32)が形成され、前記下縁部(26)に沿ってヒンジ(34)が位置付けられているハウジング(22)であって、前面(36)と背面(38)とを有するとともに、前記背面(38)内にビデオスクリーン(42)が位置付けられている、ハウジング(22)、
2つの離間した足(46)を有するベース(44)であって、前記ヒンジ(34)によって前記ハウジング(22)の下縁部(26)に旋回可能に接続されており、当該装置(20)が第1および第2の向きを有し、前記ハウジング(22)およびベース(44)が、前記第1の向きにおいて互いにある角度を成すとともに、前記第2の向きにおいて互いに接触する、ベース(44)、
カメラバレル(48)であって、前記ハウジング(22)の凹部(32)内に該バレル(48)を回転可能に取り付けるための反対側に位置するアクスル(52)と、前記反対側に位置するアクスル(52)の一方の周りに位置付けられた受け部(54)と、前記バレル(48)内に収容されたビデオカメラ(56)とを備えており、前記バレル(48)が、文書を見るための向きと、近くの物を見るための向きと、遠くの物を見るための向きと、自分を見るための向きとを有し、これらの異なる向きのそれぞれにおいて、前記ハウジング(22)に対して異なる角度向きを有しており、前記反対側に位置するアクスル(52)の一方に結合され、かつ最前進位置へ前記バレル(48)を回転させるように機能するトーションバネ(58)をさらに備える、カメラバレル(48)、
前記トーションバネ(58)の力を相殺するためのブレーキ(62)であって、前記ハウジング(22)の内部(28)に位置付けられ、かつ、第1の端部(66)および第2の端部(68)を有するバンド(64)であって、前記バンド(64)の第1の端部(66)が、前記バレル(48)の反対側に位置するアクスル(52)の一方の周囲に取り付けられたバンド(64)と、前記ハウジング(22)の内部(28)と前記バンド(64)の第2の端部(68)との間に接続されたコイルバネ(72)とを含み、前記ブレーキ(62)が、前記コイルバネ(72)の力が前記トーションバネ(58)の力を相殺することができ、それにより前記バレル(48)の角度向きを手で調整することが可能になる係合位置を有するとともに、前記トーションバネ(58)が前記バレル(48)を最前進位置に回転させることができる切離し位置を有している、ブレーキ(62)、
前記ブレーキ(62)を一時的に解除するためのブレーキ解除機構(74)であって、前記ハウジング(22)の内部(28)に配置され、かつ、前記ヒンジ(34)内の戻り止め(76)と、前記戻り止め(76)および前記バンド(64)を相互接続する2本のバーからなる連結具(78)とを含み、それにより、当該装置(20)が前記第1または第2の向きに移動するとき、前記戻り止め(76)が前記バンド(64)を上下に移動させると、前記ブレーキ(62)が前記切離し位置と係合位置との間で移動して、前記トーションバネ(58)が前記バレル(48)を前記最前進位置に回転させることができる、ブレーキ解除機構(74)、
前記バレル(48)の最前進位置を制限するための停止機構(82)であって、前記ハウジング(22)の内部(28)に配置され、かつ、第1の端部(86)および第2の端部(88)を有する連結具(84)と、前記ハウジング(22)の内部(28)の連結具(84)を上方および下方に移動させるためのレバー(92)とを含み、前記レバー(92)が、前記ハウジング(22)の前面(36)を貫通して延在して、前記連結具(84)の第1の端部(86)に相互接続され、前記連結具(84)の第2の端部(88)が前記バレル(48)の受け部(54)と接触し、それにより、当該装置(20)が前記第2の向きにあるとき、前記バレル(48)の最前進位置が、遠くの物を見るための向きに制限されるように、前記ベース(44)が前記レバー(92)と接触して前記連結具(84)を上方に移動させ、当該装置(20)が前記第1の向きにあるとき、前記バレル(48)の最前進位置が文書を見るための向きに制限されるように、前記連結具(84)が下方に移動する、停止機構(82)、および
前記ブレーキ解除機構(74)に結合される回転ダンパ(94)であって、前記バレル(48)が前記最前進位置に達するのに十分な時間を有するように、前記ブレーキの一時的な解除(74)を遅くする、回転ダンパ(94)を含む、ビデオ拡大装置(20)。
【請求項2】
ビデオ拡大装置(20)であって、
上縁部(24)と、下縁部(26)と、内部(28)とを有し、前記上縁部(24)内に凹部(32)が形成され、前記下縁部(26)に沿ってヒンジ(34)が位置付けられているハウジング(22)であって、前面(36)と背面(38)とを有するとともに、前記背面(38)内にビデオスクリーン(42)が位置付けられている、ハウジング(22)、
2つの離間した足(46)を有するベース(44)であって、前記ヒンジ(34)によって前記ハウジング(22)の下縁部(26)に旋回可能に接続されており、当該装置(20)が第1および第2の向きを有し、前記ハウジング(22)およびベース(44)が、前記第1の向きにおいて互いにある角度を成すとともに、前記第2の向きにおいて互いに接触する、ベース(44)、および
カメラバレル(48)であって、前記ハウジング(22)の凹部(32)内に前記バレル(48)を旋回可能に取り付けるための反対側に位置するアクスル(52)と、前記バレル(48)内に収容されたビデオカメラ(56)とを備え、前記バレル(48)が、前記ハウジング(22)の前面(36)と背面(38)との間で回転可能であるとともに、文書を見るための向きと、近くの物を見るための向きと、遠くの物を見るための向きと、自分を見るための向きとを有し、これらの異なる向きのそれぞれにおいて、前記ハウジング(22)に対して異なる角度向きを有する、カメラバレル(48)を含む、ビデオ拡大装置(20)。
【請求項3】
前記カメラバレル(48)の反対側に位置するアクスル(52)の一方に結合されたトーションバネ(58)をさらに含み、前記トーションバネ(58)が前記バレル(48)を最前進位置に回転させるように機能する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記トーションバネ(58)の力を相殺するためのブレーキ(62)であって、前記ハウジング(22)の内部(28)に位置付けられ、かつ、第1の端部(66)および第2の端部(68)を有するバンド(64)であって、前記バンド(64)の第1の端部(66)が、前記バレル(48)の反対側に位置するアクスル(52)の一方の周囲に取り付けられたバンド(64)と、前記ハウジング(22)の内部(28)と前記バンド(64)の第2の端部(68)との間に接続されたコイルバネ(72)とを含み、前記ブレーキ(62)が、前記コイルバネ(72)の力が前記トーションバネ(58)の力を相殺することができ、それにより前記バレル(48)の角度向きを手で調整することが可能になる係合位置を有するとともに、前記トーションバネ(58)が前記バレル(48)を最前進位置に回転させることができる切離し位置を有している、ブレーキ(62)をさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ブレーキ(62)を一時的に解除するためのブレーキ解除機構(74)であって、前記ハウジング(22)の内部(28)に配置され、かつ、前記ヒンジ(34)内の戻り止め(76)と、前記戻り止め(76)および前記バンド(64)を相互接続する2本のバーからなる連結具(78)とを含み、それにより、当該装置(20)が前記第1または第2の向きに移動するとき、前記戻り止め(76)が前記バンド(64)を上下に移動させると、前記ブレーキ(62)が前記切離し位置と係合位置との間で移動して、前記トーションバネ(58)が前記バレル(48)を前記最前進位置に回転させることができる、ブレーキ解除機構(74)をさらに含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記バレル(48)の反対側に位置するアクスル(52)の一方の周囲に位置付けられた受け部(54)と、前記バレル(48)の最前進位置を制限するための停止機構(82)とをさらに含み、前記停止機構(82)が、前記ハウジング(22)の内部(28)に配置され、第1の端部(86)および第2の端部(88)を有する連結具(84)と、前記ハウジング(22)の内部(28)の連結具(84)を上方および下方に移動させるためのレバー(92)とを含み、前記レバー(92)が、前記ハウジング(22)の前面(36)を貫通して延在して、前記連結具(84)の第1の端部(86)に相互接続され、前記連結具(84)の第2の端部(88)が前記バレル(48)の受け部(54)と接触し、それにより、当該装置(20)が前記第2の向きにあるとき、前記バレル(48)の最前進位置が、遠くの物を見るための向きに制限されるように、前記ベース(44)が前記レバー(92)と接触して前記連結具(84)を上方に移動させ、当該装置(20)が前記第1の向きにあるとき、前記バレル(48)の最前進位置が前記文書を見るための向きに制限されるように、前記連結具(84)が下方に移動する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ブレーキ解除機構(74)に結合される回転ダンパ(94)であって、前記バレル(48)が前記最前進位置に達するのに十分な時間を有するように、前記ブレーキの一時的な解除(74)を遅くする回転ダンパ(94)をさらに含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
ビデオ拡大装置であって、
上縁部と内部とを有するハウジングであって、下縁部に沿ってヒンジが位置付けられており、背面を有し、前記背面内にビデオスクリーンが位置付けられた、ハウジング、
対向する足を有するベースであって、前記ヒンジによって前記ハウジングに旋回可能に接続され、当該装置が第1および第2の向きを有し、前記ハウジングおよびベースが、前記第1の向きにおいて互いにある角度を成すとともに、前記第2の向きにおいて向き合う関係にある、ベース、および
カメラバレルであって、前記ハウジングに前記バレルを旋回可能に取り付けるための反対側に位置するアクスルと、前記バレル内に位置付けられたビデオカメラとを備え、前記バレルが、前記ハウジングの前面と背面との間で回転可能であるとともに、文書を見るための向きと、近くの物を見るための向きと、遠くの物を見るための向きと、自分を見るための向きとを有し、これらの異なる向きのそれぞれにおいて、異なる角度向きを有している、カメラバレル、を含む、ビデオ拡大装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低視力者のための拡大装置に関する。より詳細には、本発明は、様々な別個の構成を有する携帯型拡大装置に関し、この装置は、その選択された構成に応じて位置がリセットされるカメラを含む。
【背景技術】
【0002】
低視力のユーザのための携帯型拡大装置の使用は、当技術分野で知られている。しかしながら、今日まで、これらの拡大装置は重く、かさばり、使用が厄介であった。さらに、これらの拡大装置の多くは動作モードが1つしかなく、そのモードでは、ユーザは、見ている物の上に装置を一定の距離で保持しなければならない。
【0003】
さらに、見ている物の上に配置されるように設計された多くの拡大装置は、典型的に、物の上に空間をほとんどまたは全く残さない。これにより、ユーザは見ている物と関わることができない。例えば、物が文書である場合、ユーザは、文書が拡大されている間、文書に書き込むことができない。
【0004】
従って、必要とされているのは、複数の構成および動作モードを備えた拡大装置であり、それにより、ユーザは、物の上で装置を保持するか、または装置を物の上に位置付けるかによって、拡大装置を使用することができる。物が拡大されている間にユーザが物と関わることを可能にする拡大装置がさらに必要とされる。使用しないときに拡大装置を保護するコンパクトな閉じられた向きを有する携帯型拡大装置も当技術分野で必要とされている。
【0005】
装置の選択された構成に応答して自動的に調整されるカメラを備えた拡大装置が、当技術分野でさらに必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の別個の向きを有する拡大装置を提供することが、本開示の目的である。
拡大装置の意図された使用に応じて、ユーザが所望の向きを選択する多様な異なる向きを有する拡大装置を提供することが、本開示のさらなる目的である。
【0007】
従って、見ている物の上で保持することができる、または見ている物の上に位置付けることができる拡大装置カメラをユーザが構成することを可能にすることが、本発明の目的のうちの1つである。
【0008】
拡大装置の選択された構成に応じて、自動的にそれ自体を方向付けるカメラを備えた拡大装置を提供することが、本開示のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の様々な実施形態は、これらの利点を全く有さないか、これらの利点のいくつかを有するか、全てを有する場合がある。本発明の他の技術的利点は、当業者にとって容易に明らかになるであろう。
【0010】
本開示およびその利点をさらに完全に理解するために、以下の記載が添付の図面と組み合わせて参照される。
図面のいくつかを通して、同様の参照番号は同様の部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】離れた物を見るための向きにある拡大装置の斜視図である。
【
図2】文書を見るための向きにある拡大装置の斜視図である。
【
図3】自分を見るための向きにある拡大装置の斜視図である。
【
図4】近くの物を見るための向きにある拡大装置の斜視図である。
【
図5】開かれた向きにある拡大装置の側面図であり、文書を見るためのカメラの向き(A)、近くの物を見るためのカメラの向き(B)、および自分を見るためのカメラの向き(C)を示す。
【
図6】閉じられた向きにある拡大装置の側面図であり、離れた物を見るためのカメラの向き(D)および自分を見るためのカメラの向き(E)を示す。
【
図8】拡大装置のハウジングの内部構成要素の図である。
【
図9】拡大装置のハウジングの内部構成要素の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、複数の向きを有する拡大装置に関する。この装置により、目の不自由なまたは低視力のユーザは、実行されている作業に対して最良の向きを選択することが可能になる。拡大装置は、開かれた向きと閉じられた向きの両方を含む。さらに、拡大装置は、文書読み取りモード、近くの物を見るモード、遠くの物を見るモード、および自己検査モードに構成することができる。これらの向きのうちのどれが選択されているかに応じて、拡大装置のカメラは、ユーザによって操作可能である。さらに、カメラは、拡大装置が開かれているか、または閉じられているときはいつでも、それ自体を2つのプリセットされた構成のうちの1つに自動的に調整する。本開示の様々な構成要素、およびそれらが相互に結合する方法が、以下でより詳細に記載される。
【0013】
図1〜6は、本開示の拡大装置(20)の様々な構成を示す。
図1および6は、ハウジング(22)およびベース(44)が互いに向き合った状態の閉じられた向きの装置(20)を示す。この状態でユーザは拡大装置を手に持つことができる。
図2、3、4および5は、ハウジング(22)およびベース(44)が互いに離れるように旋回された状態の開かれた向きの拡大装置(20)を示す。この状態で拡大装置(20)をテーブルまたは他の面に置くことが可能になる。
【0014】
拡大装置(20)のビデオカメラ(56)は、実行されている作業に応じてユーザによって位置決めされる。
図2は、カメラ(56)がテーブルの上に置かれた物を見るために下方に向けられている、文書を見るための向きを示す。
図4は、ユーザによってカメラ(56)の前に保持された物を見るためにカメラ(56)が角度をつけられている、近くの物を見るための向きを示す。
図3は、自分を見るためのモードのカメラ(56)を示す。この状態でユーザは自分自身をモニタ(42)上で見ることができる。さらに、閉じられた向きのとき、カメラ(56)は遠くの物に向けることができる。これは遠くの物を見るための向きである。以下に説明するように、ユーザは、カメラバレル(48)を容易に操作して、これらの見るための向きのうちの1つにカメラ(56)を向けることができる。しかしながら、本開示によれば、カメラ(56)は、拡大装置(20)が開かれると文書を見るための向き(
図2)に自動的にリセットされる。また、カメラ(56)は、拡大装置(20)が閉じられると、遠くの物を見るための向きに自動的にリセットされる。拡大装置(20)は、以下に詳述するように、ブレーキ、ブレーキ解除、および停止機構間の相互作用によって、これらの位置に自動的にリセットする。
【0015】
図8は、ハウジング(22)の詳細図であり、ハウジング(22)の上縁部(24)、下縁部(26)、および内部(28)を示している。図示のように、ハウジング(22)は、上縁部(24)内に形成された凹部(32)を含む。ヒンジ(34)が、下縁部(26)に沿って配置される。ハウジング(22)は、前面(36)および背面(38)によってさらに画定される。ビデオスクリーン(42)は、背面(38)内に配置される。ビデオスクリーン(42)は、ユーザがカメラ(56)によって撮影された物の画像を見ることを可能にする。ビデオプロセッサ(図示せず)をハウジング(22)の内部(28)に含めることができる。当技術分野で知られているように、ビデオプロセッサは、カメラ(56)によって撮影された画像を、目の不自由なまたは低視力のユーザが見ることができるように、より拡大することが可能である。
【0016】
ハウジング(22)は、旋回可能に取り付けられたベース(44)を含む。好ましい実施形態では、ベース(44)は、2つの離間した足(46)を含む。これにより、見るべき物を置くことができる介在スペースが生み出される。ベース(44)は、ヒンジ(34)を介してハウジング(22)の下縁部(26)に旋回可能に接続されている。従って、拡大装置(20)は、第1および第2の向きを有する。第1の(または開かれた)向きでは、ハウジング(22)およびベース(44)は互いに角度を成している。この角度は、90度未満から10度超の範囲であってもよい。この構成により、ベース(44)をテーブルまたは机などの表面に置くことができる。ハウジング(22)の角度位置は、ユーザの見るというニーズに適合するように選択される。第2の(または閉じられた)向きでは、ハウジング(22)およびベース(44)は互いに接触している。これは手持ちモードとしても知られており、この構成により拡大装置(20)がユーザによってより容易に扱われることが可能になる。
【0017】
次に、カメラバレル(48)について、
図7に関連して記載する。カメラバレル(48)は反対側に位置するアクスル(52)を含み、アクスルによってバレル(48)をハウジング(22)の凹部(32)内に回転可能に取り付けることができる。バレル(48)は、反対側に位置するアクスル(52)のうちの一方の周りに配置された受け部(54)をさらに含む。この受け部(54)の機能は、以下でより詳細に記載する。ビデオカメラ(56)はバレル(48)内に収容される。
図5の矢印Aで示すように、バレル(48)は、文書を見るための向きを有する。
図5の矢印Bは、バレル(48)の近くの物を見るための向きを示す。
図6の矢印Dは、バレル(48)の遠くの物を見るための向きを示す。さらに、
図5の矢印Cおよび
図6の矢印Eは、バレル(48)の自分を見るための向きを示す。従って、バレル(48)は、様々な見るための向きのそれぞれにおい
て異なる角度の向きを有する。バレル(48)は、反対側に位置するアクスル(52)の一方に接続されるトーションバネ(58)を含む。このトーションバネ(58)は、最初にバレル(48)を最前進位置に回転させるように機能する。拡大装置(20)が開かれている場合、この最前進位置は文書を見るための向きに対応し、拡大装置(20)が閉じている場合、この最前進位置は遠くの物を見るための向きに対応する。
【0018】
カメラバレル(48)は、好ましくは、ユーザによって上述の向きの1つに操作可能である。これはブレーキ機構(62)によって行われる。ブレーキ機構によって、いったん所望の角度向きが選択されると、バレル(48)がその向きを維持する。ブレーキ機構(62)は、2つのバネ力の相互作用によって作動する。特に、ブレーキ(62)はトーションバネ(58)の力を相殺する。
図8に示すように、ブレーキ(62)は、ハウジング(22)の内部(28)に配置され、第1および第2の端部(66、68)を有するバンド(64)を含む。バンド(64)の第1の端部(66)は、バレル(48)の反対側に位置するアクスル(52)のうちの一方の周りに取り付けられる。好ましくは、バンド(64)は、トーションバネ(58)に隣接する位置でアクスルの周りに取り付けられる。コイルバネ(72)が、ハウジング(22)の内部(28)とバンド(64)の第2の端部(68)との間に接続される。コイルバネ(72)は、トーションバネ(58)によって発生する回転力を完全に打ち消すのに十分な力を発生できるように選択される。ブレーキ(62)は、コイルバネ(72)の力がトーションバネ(58)の力を相殺することができる係合位置を有する。これにより、バレル(48)の角度方向を手で調整することができる。ブレーキ(62)は、トーションバネ(58)がバレル(48)を最前進位置に回転させることができる切離し位置を有する。以下で説明するように、この最前進位置は、停止機構の動作に応じて変化する。
【0019】
次に、ブレーキ解除機構(74)を
図8に関連して記載する。ブレーキ解除機構(74)は、ブレーキ(62)を一時的に解除し、それによってトーションバネがバレル(48)を最前進位置まで回転させることによって動作する。図示のように、ブレーキ解除機構(74)は、ハウジング(22)の内部(28)に配置され、ヒンジ(34)内に戻り止め(76)を含む。ブレーキ解除機構(74)は、戻り止め(76)とバンド(64)とを相互接続する働きをする2本のバーからなる連結具(78)も含む。使用時に、拡大装置(20)が開かれたまたは閉じられた向きのどちらかに動かされるとき、戻り止め(76)がバンド(64)を上下に移動させ(cycle up and down)、それによりブレーキ(62)は係合位置と切離し位置との間で移動する。このブレーキの一時的な切離しは、トーションバネ(58)がバレル(48)の位置を最前進位置にリセットすることを可能にする。
【0020】
バレル(48)の最前進位置は、停止機構(82)の動作を介して決定される。
さらに、
停止機構(82)は、拡大装置(20)が開かれた向きにあるか閉じられた向きにあるかに依存してバレル(48)の最前進位置を制限する。停止機構(82)は、ハウジング(22)の内部(28)に配置され、第1の端部(86)および第2の端部(88)を有する連結具(84)を含む。連結具(84)を上方および下方に移動させるためのレバー(92)も、ハウジング(22)の内部(28)に配置される。レバー(92)の一端は、ハウジング(22)の前面(36)を貫通して延びている。レバー(92)は、連結具(84)の第1の端部(86)に相互接続される。連結具(84)の第2の端部(88)はバレル(48)の受け部(54)と接触している。このように、拡大装置(20)が第2の、すなわち閉じられた向きにあるとき、ベース(44)はレバー(92)と接触して連結具(84)を上方に移動させる。この連結具の上方への移動は、バレル(48)の最前進位置が、遠くの物を見るための向きに制限されるようにする。あるいは、拡大装置(20)が第1の、すなわち開かれた向きにあるとき、バレル(48)の最前進位置が文書を見るための向きに制限されるように、連結具(84)が下方に移動する。このようにして、拡大装置(20)が最初に開かれると、カメラ(56)は最初に文書を見るためのモードに向けられる(またはリセットされる)。拡大装置(20)が最初に閉じられると、カメラ(56)は最初に遠くの物を見るための向きに向けられる(またはリセットされる)。どちらの場合でも、ユーザはその後、カメラバレル(48)を別の見るための向きに操作することができる。しかしながら、記載されるようにカメラ(56)をリセットすることにより、拡大装置(20)を構成するときに、目の不自由なまたは低視力のユーザが混乱しないようにする。
【0021】
さらに、回転ダンパ(94)が任意選択的にブレーキ解除機構(74)に結合される。回転ダンパ(94)は、ブレーキの一時的な解除(74)を遅くすることによって機能する。このため、次に、バレル(48)が、ブレーキが再び係合される前に最前進位置に達するのに十分な時間を有するようにする。
【0022】
好ましい実施形態において、カメラバレル(48)は機械的に調整されるが、他の調整方法も本発明の範囲内である。例えば、カメラ(56)と見ている物との間のおおよその距離を決定するために、バレル(48)内に近接センサを含めることができる。その距離に応じて、バレル(48)は、文書を見るための向き(A)、近くの物を見るための向き(B)、自分を見るための向き(C、D)または遠くの物を見るための向き(E)に自動的に回転可能である。
【0023】
本開示は特定の実施形態および一般的に関連する方法に関して記載されているが、これらの実施形態および方法の変更および置換は当業者には明らかであろう。従って、例示的な実施形態の上の記載は、本開示を定義することもなければ、または制限することもない。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の変化、置換、および変更も可能である。