特許第6903723号(P6903723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903723
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】領域分割されたバルーン付きカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20210701BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20210701BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20210701BHJP
【FI】
   A61B18/12
   A61B18/14
   A61M25/10 520
   A61M25/10 546
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-178971(P2019-178971)
(22)【出願日】2019年9月30日
(62)【分割の表示】特願2014-222440(P2014-222440)の分割
【原出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2019-217364(P2019-217364A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2019年9月30日
(31)【優先権主張番号】14/069,729
(32)【優先日】2013年11月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・レビン
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヴ・リキテンスタイン
(72)【発明者】
【氏名】アビ・レウベニ
(72)【発明者】
【氏名】アビグドール・ローゼンバーグ
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−529766(JP,A)
【文献】 特表2012−526635(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/040201(WO,A2)
【文献】 米国特許第06656174(US,B1)
【文献】 米国特許第06632196(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12 − 18/14
A61M 25/10 − 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって、
細長いシャフトと遠位部分とを有するカテーテルであって、前記遠位部分は膨張可能な組立品を含み、
前記膨張可能な組立品は収容室を含み、前記収容室は、外側壁と、外側表面と、軸芯と、前記収容室を少なくとも4つの膨張可能なセクターに分割するように前記軸芯から前記外側壁まで延びる複数の長手方向に配向された仕切りと、を有し、前記セクターは、前記外側表面のそれぞれの境界部分によって外部的に境界を定められる、カテーテルと、
それぞれのセクターに接続された液圧弁であって、前記液圧弁が液体の源に接続されており、選択された液圧弁が開かれたとき、前記液体によって前記セクターの選択的な膨張を可能にする、液圧弁と、
前記境界部分のそれぞれに取り付けられた少なくとも1つの表面電極と、
前記液圧弁を制御するように動作する制御プロセッサと、を備え、
前記制御プロセッサは、前記少なくとも4つの膨張可能なセクターの全ての対の内で1の対のセクターから得た情報を他の対のセクターから得た情報よりも先に評価することができ、
前記制御プロセッサは、前記少なくとも4つの膨張可能なセクターの内の互いに対向する一対のセクターを膨張するように、前記一対のセクターを膨張させる一対の液圧弁を制御し、前記一対のセクターの前記表面電極と人体の壁との間の電気的接触を確認し、前記一対のセクターの前記表面電極を用いて測定または処理を行い、前記一対のセクターの情報を評価する前に、より多くの対のセクターが膨張されるべきであるか否かを判定し、より多くの対のセクターが膨張されるべきでないと判定された場合、前記一対のセクターを収縮すると共に、前記測定または前記処理を行った前記一対のセクターの情報を評価し、更に、前記少なくとも4つの膨張可能なセクターの内の互いに対向する次の対のセクターを膨張するように、前記次の対のセクターを膨張させる次の対の液圧弁を制御し、前記次の対のセクターの前記表面電極と人体の壁との間の電気的接触を確認し、前記次の対のセクターの前記表面電極を用いて測定または処理を行い、前記次の対のセクターの情報を評価する前に、より多くの対のセクターが膨張されるべきであるか否かを判定し、より多くの対のセクターが膨張されるべきでないと判定された場合、前記次の対のセクターを収縮すると共に、前記測定または前記処理を行った前記次の対のセクターの情報を評価する、医療装置。
【請求項2】
前記膨張可能な組立品に対して遠位側において、前記カテーテルに配置された先端電極を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外側表面は、前記収容室から前記液体が出るように、前記外側表面を貫通して形成された穿孔を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記それぞれのセクターが膨張されるとき、前記少なくとも1つの表面電極は変形可能である、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、侵襲性医療処置の方法、及びデバイスに関する。より具体的には、本発明は、カテーテルの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の諸区域が、隣接組織に電気信号を異常に伝導することによって正常な心周期を阻害し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生する。
【0003】
不整脈を治療する処置は、不整脈の原因となっている信号源を外科的に遮断すること、並びにそのような信号の伝達経路を遮断することを含む。カテーテルを介してエネルギーを印加し、心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止するか、又は変更することが可能な場合がある。このアブレーション処理は、非導電性の損傷部位を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。
【0004】
そのようなカテーテルの1つは、PCT特許公開第WO 2012/174375号に提案されている。カテーテルは、膨張によって長さに沿ったいくつかの部分で拡張され得るバルーンを有する。カテーテルは、長さに沿って1つ以上の異なる従順な区分を有してもよく、又は、1つ以上の個別の従順な部分が上に被さった概ね従順でない本体を有してもよい。従順な部分は、カテーテルの1つの区分で、ガイドワイヤーの方向に直角に配向され、遠位方向に向いている、円形のいくぶん平面状の表面を備えた拡張した円盤状の構成を作るように、別個に膨張されてもよい。カテーテルは、RFエネルギーを伝導することが可能な、平面状の表面上で円形の構成をとるようにバルーンの表面に位置決めされ得る1つ以上のRF電極を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によると、細長いシャフト及び遠位部分を有するカテーテルを含む、医療装置が提供される。遠位部分は、膨張可能な組立品を含み、その膨張可能な組立品は、収容室と、軸芯と、収容室を少なくとも4つの膨張可能なセクターに分割するように軸芯から室の壁まで延びる複数の長手方向に配向された仕切りとを含む。セクターは、外側表面のそれぞれの境界部分によって外部的に境界を定められる。液圧弁が、それぞれのセクターに接続され、弁が液体の源に接続されたとき、液体によってセクターの選択的な膨張を可能にし、少なくとも1つの表面電極が、境界部分のそれぞれに取り付けられる。
【0006】
装置は、膨張可能な組立品に対して遠位側において、カテーテルに配置された先端電極を含んでもよい。
【0007】
装置の別の態様によれば、外側表面は、収容室から液体が出るように、外側表面を貫通して形成された穿孔を有する。
【0008】
装置は、弁を制御するように動作する制御プロセッサを含んでもよい。
【0009】
装置の別の態様によれば、それぞれのセクターが膨張及び収縮するとき、少なくとも1つの表面電極は変形可能である。
【0010】
本発明の実施形態によると、被験者の心腔にカテーテルを導入することにより実行される、カテーテル挿入の方法が更に提供される。カテーテルの遠位部分は、膨張可能な組立品を含む。膨張可能な組立品は、収容室、軸芯、及び収容室を少なくとも4つの膨張可能なセクターに分割するように軸芯から室の壁まで延びる複数の長手方向に配向された仕切りを含む。セクターは、外側表面のそれぞれの境界部分によって外部的に境界を定められる。液圧弁が、それぞれのセクターに接続され、弁が液体の源に接続されたとき、液体によってセクターの選択的な膨張を可能にし、少なくとも1つの表面電極が、境界部分のそれぞれに取り付けられる。方法は、対のセクターの選択された1つを十分に膨張させることで、対の膨張したセクターの外側表面を心腔の壁に安定して押しつけると同時に、他のセクターの膨張を避けることにより更に実行され、選択された対のそれぞれのセクターの前記少なくとも1つの表面電極は、心腔の壁と接触する。
【0011】
方法の別の態様は、選択された対のセクターを膨張させた後、選択された対のセクターの少なくとも1つの表面電極からの電位を測定することによって行なわれる。方法は、電流を少なくとも1つの表面電極に通過させて、心腔の壁の一部分をアブレーションすることを含んでもよい。
【0012】
方法の1つの態様は、選択された対のセクターを膨張させた後、選択された対のセクターを収縮させ、その後、別の1つの対を膨張させることによって行なわれる。
【0013】
方法の更なる態様では、外側表面は、その外側表面を貫通して形成された穿孔を有し、膨張させることは、液体を弁を通して選択された対のセクターの中に流すことを含む。方法は、選択された対の中に液体を入れ、選択された対以外のセクターに液体を入れないように弁を制御することと、液体を穿孔を経由して収容室から出すことによって、選択された対のアブレーション中に選択された対の表面電極を冷却することと、を更に含む。
【0014】
方法の更に別の態様によると、選択された対のセクターの部材は同時に膨張される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明をよりよく理解するため、発明を実施するための形態を実例として参照するが、発明を実施するための形態は、同様の要素に同様の参照番号を付した以下の図面と併せ読むべきものである。
図1】本発明の実施形態による血管内カテーテル挿入システムの略図的な描図。
図2】本発明の実施形態によるカテーテルの遠位部分の長手方向概略図。
図3】本発明の実施形態による図2のカテーテルを線3−3に沿って示す概略断面図。
図4】本発明の実施形態による領域分割されたバルーン付きカテーテルを用いた心臓カテーテル挿入の方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明では、本発明の様々な原理の深い理解を与えるため、多くの具体的な詳細について記載する。しかしながら、これらの詳細は、必ずしも、本発明の実施のために常にすべてが必要とされるものではない点は当業者には明らかであろう。この場合、一般的な概念を不要に曖昧にすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及び処理に対するコンピュータプログラム命令の詳細については詳しく示していない。
【0017】
システムの説明
ここで図面を参照し、まず図1を参照すると、本発明の実施形態による血管内カテーテル挿入システム10の略図的な描図である。システム10の使用は、例えば、大腿動脈又は静脈の挿入点30から、心腔などの身体内の腔の中へと、被験者14の身体にカテーテル12を挿入することを含む。典型的には、カテーテル12は、医療施術者16によって行なわれる、心臓の電位のマッピング、又は心臓組織のアブレーションなどの、診断処置又は治療処置に使用される。あるいは、カテーテル12は、それ自体で又は他の治療器具と一緒に、他の用途に使用されてもよい。医療処置に関連する補助要素は、制御装置26にあり、その装置は、例えば、ケーブル32を経由して、カテーテル12のセンサから信号によって報告されたデータ用のプロセッサを収容している。制御装置26は、アブレータの高出力発生装置、潅流用ポンプ、及び心電図回路を含んでもよい。制御装置26に報告されたイベント及びデータは、モニター34に表示されてもよい。しかしながら、以下で説明されるように、制御装置26は、心臓、及び被験者14の身体の他の部分で、カテーテル12の位置及び配向を追跡するための位置検出回路を含む必要はない。以下で説明されるように、カテーテル12は、典型的には、潅流用ポンプからの液体をカテーテルのハンドルを経由してカテーテル12の遠位部分に移動させるために、液圧ラインを含有している。ポンプへの液圧接続は、図示の明瞭性を保つために図1に示されていない。
【0018】
次に図2を参照すると、本発明の実施形態による心臓の中及び周りの領域のマッピング、並びに組織アブレーションに有用であるカテーテル36の遠位部分の長手方向概略図である。カテーテル36は、細長い管状シャフト38を含む。膨張可能なバルーン組立品40が、カテーテル本体の遠位端に設けられている。膨張可能なバルーン組立品40は、内部で複数の隔壁によってセクター42、44、46、48に分割される収容室を含む。隔壁は、軸芯52から外側表面50まで延び、軸芯52の周りに長手方向に配向される。セクター42、44、46、48は、外側表面50のそれぞれの境界部分によって外部的に境界を定められる。4つのセクターが図2に示されるが、膨張可能なバルーン組立品40は、4より大きい任意の数のセクターを含んでもよい。膨張可能なバルーン組立品40の表面の特徴及び機能性が、以下に説明される。
【0019】
膨張可能なバルーン組立品40のセクター42、44、46、48は、膨張したとき、対の膨張したセクターの外側表面を心腔の壁に安定して押しつけるように、外側表面50と心腔の壁との間で機械的な接触を保持するのに十分な可撓性を持たなければならないが、心臓壁の動きを妨げるほど剛性であってはならない。膨張圧は、操作者によって経験的に判断されてもよく、又は「Contact Assessment Based on Phase Measurement」という名称の米国特許出願第13/343,024号(Govari et al.)の教示を用いて判断されてもよく、その教示は参照により本明細書に組込まれる。
【0020】
収縮したセクターは、スペースをほとんど取らず、血液は、心腔を通ってそれらの周りを容易に流れるので、心臓を通る血流は実質的に遮断されない。
【0021】
膨張可能なバルーン組立品40が収縮しているとき、先端電極54は、必要に応じて局所測定及びアブレーションに使用することができる。
【0022】
次に図3を参照すると、本発明の実施形態による、図2の線3−3を通ったカテーテル36の概略横断面図である。この図から、膨張可能なバルーン組立品40は、カテーテル本体に対して一般に横方向かつ遠位側において、前もって形成された概ね円形の主領域を含み、円周外側表面50を有する管状の構造を含むことが理解される。隔壁56、58、60、62は、芯52から外側表面50に放射状に延び、セクター42、44、46、48を画定する。
【0023】
セクター42、44、46、48はそれぞれ、液体源64に独立して接続され、それぞれの液体ライン68を経由して、潅流液、典型的には食塩水を、セクター42、44、46、48に送達する制御弁66を用いて、選択的に膨張可能である。例えば、セクター44、48は、互いに直径的に対向しており、同時に膨張しており、一方で他のセクター42、46は収縮したままである。それぞれの制御弁66を同時に開くことによって、液体は、セクター44、48に供給されることができる。いずれの場合でも、セクター44、48の両方は、測定を行なうために操作位置で膨張される。制御装置26(図1)は、制御弁66を調節するためにプロセッサを含んでもよい。あるいは、制御弁66は、施術者16又は助手によって、手動で制御されてもよい。
【0024】
セクター42、44、46、48のそれぞれの上にある外側表面50の部分は、上に取り付けられた柔軟な電極70の配列を有し、マッピング及びアブレーションに使用することができる。電極70、及び付随するコネクタは、セクター42、44、46、48が伸縮するのに応じて、変形することが求められる。可撓性があり、伸縮可能な電子素子の構造は、例えば、Controlled Buckling of Semiconductor Nanoribbons for Stretchable Electronics,Yugang Sun et al.,Nature Nanotechnology 1,201〜207(2006)、及び米国特許出願公開第2011/0254171号の文献から既知である。そのような方法で構成されたデバイスは、湾曲面に一致することができ、機械的変形に耐えることができる。
【0025】
必要に応じて、穿孔72が、電極70の近くで外側表面50を貫通して形成されてもよい。そのような場合、液体源64からセクター42、44、46、48に選択的に送達された液体は、穿孔72を経由して膨張可能なバルーン組立品40を出て、アブレーション中に電極70及びアブレーション部位を冷却する。
【0026】
動作
次に図4を参照すると、本発明の実施形態による、領域分割されたバルーン付きカテーテルを用いた心臓カテーテル挿入の方法のフローチャートである。例示する工程のステップは、工程を実行するためにすべてが必要とされるわけではない。最初のステップ74で、カテーテル36(図2)は、既知の方法で心臓に挿入され、対象となるチャンバー内に位置決めされる。この時点で、セクター42、44、46、48は、すべて収縮している。
【0027】
次に、ステップ76で、直径的に対向する1対のセクター、例えば、セクター44、48(図3)が選択される。
【0028】
次に、ステップ78で、ステップ76で選択された1対のセクターが膨張される。選択されていないセクターはすべて収縮したままである。
【0029】
次に、ステップ80で、心臓のチャンバーの壁と選択されたセクターに取り付けられた電極70との間の電気的接触が確認される。
【0030】
次に、ステップ82で、2つの対向する膨張したセクターの電極70を用いて、例えば、心拍周期中の電位の双極を測定するなど、測定又は処置が行なわれる。
【0031】
次に、決定ステップ84で、膨張可能なバルーン組立品40のより多くの対のセクターが処理されるべきであるかどうかが判定される。決定ステップ84の判定が肯定の場合、次に、制御はステップ86に進む。現在の対の膨張したセクターは収縮される。制御はステップ76に戻り、別の対のセクターで処置を繰り返す。
【0032】
決定ステップ84の判定が否定の場合、次に、ステップ88で、現在の対の膨張したセクターは収縮される。すべての対が膨張されていた場合、又はすべての対より少ない数の対のセクターから得た信号を評価すると判定した場合、これが起こり得る。確かに、次の対を膨張させる前に、1対のセクターから得た信号を評価することは適切であり得る。ステップ90で、対の膨張したセクターの電極を介して心内膜の表面から集められたここまでの信号は、医師によって、又は自動的に評価される。
【0033】
破線で示されるように、ECG信号を評価した後、選択された対のセクターは、必要に応じて再度膨張されてもよく、次に、制御はステップ76に戻る。あるいは、典型的には医師が、最終のステップ92でアブレーションに関して決定を下す。
【0034】
当業者であれば、本発明は、上記に具体的に示し、説明したものに限定されない点は認識されるところであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記に述べた異なる特性の組み合わせ及び一部の組み合わせの両方、並びに上記の説明文を読むことで当業者には想到されるであろう、従来技術ではない変形及び改変をも含むものである。
【0035】
〔実施の態様〕
(1) 医療装置であって、
細長いシャフトと遠位部分とを有するカテーテルであって、前記遠位部分は膨張可能な組立品を含み、
前記膨張可能な組立品は収容室を含み、前記収容室は、外側壁と、外側表面と、軸芯と、前記収容室を少なくとも4つの膨張可能なセクターに分割するように前記軸芯から前記外側壁まで延びる複数の長手方向に配向された仕切りと、を有し、前記セクターは、前記外側表面のそれぞれの境界部分によって外部的に境界を定められる、カテーテルと、
それぞれのセクターに接続された液圧弁であって、前記弁が液体の源に接続されたとき、前記液体によって前記セクターの選択的な膨張を可能にする、液圧弁と
前記境界部分のそれぞれに取り付けられた少なくとも1つの表面電極と、を備える、医療装置。
(2) 前記膨張可能な組立品に対して遠位側において、前記カテーテルに配置された先端電極を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記外側表面は、前記収容室から前記液体が出るように、前記外側表面を貫通して形成された穿孔を有する、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記弁を制御するように動作する制御プロセッサを更に備える、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記それぞれのセクターが膨張されるとき、前記少なくとも1つの表面電極は変形可能である、実施態様1に記載の装置。
【0036】
(6) カテーテル挿入の方法であって、
被験者の心腔に細長いシャフトと遠位部分とを有するカテーテルを導入するステップであって、前記遠位部分は膨張可能な組立品を含み、前記心腔は壁を有し、前記膨張可能な組立品は、
収容室であって、外側壁と、外側表面と、軸芯と、前記収容室を少なくとも4つの膨張可能なセクターに分割するように前記軸芯から前記外側壁まで延びる複数の長手方向に配向された仕切りと、を有し、前記セクターは、前記外側表面のそれぞれの境界部分によって外部的に境界を定められ、前記セクターは、対の前記セクターが、前記軸芯をはさんで互いに対向するように配列される、収容室と、
それぞれのセクターに接続された液圧弁であって、前記弁が液体の源に接続されたとき、前記液体によって前記セクターの選択的な膨張を可能にする、液圧弁と
前記境界部分のそれぞれに取り付けられた少なくとも1つの表面電極と、を含む、ステップと、
前記対のセクターの選択された1つを十分に膨張させて、前記対の前記膨張したセクターの前記外側表面を前記心腔の前記壁に安定して押しつけると同時に、他の前記セクターの膨張を避けるステップと、を含み、前記選択された対のそれぞれのセクターの前記少なくとも1つの表面電極は、前記心腔の前記壁と接触する、方法。
(7) 膨張させるステップを行なった後、前記選択された対の前記セクターの前記少なくとも1つの表面電極から電位を測定するステップを更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 膨張させるステップを行なった後、電流を少なくとも1つの表面電極に通過させて、前記心腔の前記壁の一部分をアブレーションするステップを更に含む、実施態様6に記載の方法。
(9) 膨張させるステップを行なった後、前記選択された対の前記セクターを収縮させるステップと、
その後、別の1つの前記対を選択し、前記別の1つの前記対を前記選択された対として用いて、膨張させるステップを繰り返すステップと、を更に含む、実施態様6に記載の方法。
(10) 前記外側表面は、前記外側表面を貫通して形成された穿孔を有し、膨張させることは、前記液体を前記弁を通して前記選択された対の前記セクターの中に流すことを含み、前記方法は、
前記選択された対の中に前記液体を入れ、前記選択された対以外のセクターに前記液体を入れないように前記弁を制御するステップと、
アブレーション電流を前記選択された対の選択された表面電極に通過させている間、前記液体を前記穿孔を経由して前記収容室から出すことによって、前記選択された表面電極を冷却するステップと、を更に含む、実施態様6に記載の方法。
【0037】
(11) 膨張させることは、前記選択された対の前記セクターの部材を同時に膨張させることを含む、実施態様6に記載の方法。
図1
図2
図3
図4