(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の部品実装機の実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。
図1は部品実装機10の概略構成を示す斜視図、
図2は実装ヘッド40の概略構成を示す説明図、
図3はノズル44の配置及び側面カメラ80の概略構成を示す平面図、
図4は制御装置90の電気的な接続関係を示す説明図である。なお、
図1の左右方向がX軸方向であり、前(手前)後(奥)方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。
【0011】
部品実装機10は、
図1に示すように、部品供給装置20と、基板搬送装置25と、XYロボット30と、実装ヘッド40と、パーツカメラ28と、マークカメラ29と、側面カメラ80と、制御装置90(
図4参照)とを備えている。
【0012】
部品供給装置20は、部品実装機10の前側に、左右方向(X軸方向)に並ぶように複数設けられている。この部品供給装置20は、所定間隔毎に部品Pが収容されたテープ22(
図3参照)をリール21から引き出して所定のピッチで送るテープフィーダとして構成されている。テープ22に収容された部品Pは、テープ22の表面を覆うフィルムによって保護されている。予め定められた部品供給位置に至った部品Pは、フィルムが剥がされて露出した状態になっている。本実施形態では、
図3に示すように上面視が略長方形をしている直方体形状の部品Pを例として説明する。部品Pは上面視で長手方向と短手方向とを有し、長手方向が左右方向に沿うようにテープ22に収容されている。
【0013】
基板搬送装置25は、
図1に示すように、前後に間隔を開けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルト26,26(
図1では一方のみ図示)を有している。基板12はこのコンベアベルト26,26により搬送されて所定の取込位置に到達すると、裏面側に多数立設された支持ピン27によって支持される。
【0014】
XYロボット30は、
図1に示すように、前後方向(Y軸方向)に沿って設けられた左右一対のY軸ガイドレール33,33と、左右一対のY軸ガイドレール33,33に架け渡されたY軸スライダ34とを備えている。また、XYロボット30は、Y軸スライダ34の前面に左右方向(X軸方向)に沿って設けられたX軸ガイドレール31,31と、X軸ガイドレール31,31に取り付けられたX軸スライダ32とを備えている。X軸スライダ32は、X軸モータ36(
図4参照)の駆動によってX軸方向に移動可能であり、Y軸スライダ34は、Y軸モータ38(
図4参照)の駆動によってY軸方向に移動可能である。X軸スライダ32には実装ヘッド40,マークカメラ29及び側面カメラ80が取り付けられている。実装ヘッド40,マークカメラ29及び側面カメラ80は、XYロボット30が移動することにより、XY平面上の任意の位置に移動される。
【0015】
実装ヘッド40は、
図2に示すように、ヘッド本体41と、ノズルホルダ42と、ノズル44とを備えている。ヘッド本体41は、円盤状の回転体である。ヘッド本体41の下面中央には、光を反射可能な円筒状の反射体41aが取り付けられている(
図3参照)。ノズルホルダ42はヘッド本体41の円周方向に所定間隔で複数設けられており、これにより実装ヘッド40はロータリーヘッドとして構成されている。ノズル44は、各ノズルホルダ42の先端部に交換可能に取り付けられている。ノズル44は、ノズルホルダ42を介してヘッド本体41に取り付けられており、ヘッド本体41の周方向に沿って配置されている。なお、
図2ではノズルホルダ42を見やすくするために、反射体41aの図示を省略しノズルホルダ42及びノズル44をそれぞれ8本図示しているが、本実施形態では
図3に示すようにノズル44の数は12本とした。そのため、ノズルホルダ42の数も同じく12本である。
図3に示すように、12本のノズル44を、図の8時の位置にあるノズル44から順に左回りにノズル44A〜44Lと称する。また、実装ヘッド40は、R軸駆動装置50と、Q軸駆動装置60と、Z軸駆動装置70,70とを備えている。なお、
図2では、説明の便宜上、Z軸駆動装置70,70と係合する位置にある2つのノズルホルダ42を実線で示し、それ以外のノズルホルダ42を一点鎖線で示した。
【0016】
R軸駆動装置50は、ヘッド本体41を回転させることで複数のノズル44を公転させる機構である。このR軸駆動装置50は、R軸51と、R軸モータ54と、R軸位置センサ55(
図4参照)とを備えている。R軸51は、上下方向に延び、下端がヘッド本体41の中心軸に取り付けられている。R軸モータ54は、R軸51の上端に設けられたR軸ギヤ52に噛み合うギヤ53を回転駆動する。R軸位置センサ55は、R軸モータ54の回転位置を検知する。R軸駆動装置50は、R軸モータ54によりギヤ53,R軸ギヤ52を介してR軸51を回転駆動することにより、ヘッド本体41が回転する。ヘッド本体41が回転することにより、ヘッド本体41と共に複数のノズルホルダ42及び複数のノズル44が円周方向に旋回(公転)する。すなわち、R軸駆動装置50が駆動することで、複数のノズル44はヘッド本体41の回転軸を中心とした公転軌跡に沿って公転する。なお、R軸駆動装置50は、所定角度(例えば30度)ずつヘッド本体41を間欠回転させることにより、ノズル44を所定角度ずつ間欠的に公転させることができる。
【0017】
ここで、ノズル44の公転軌跡上には、ノズル44が部品供給装置20から部品Pを採取するための部品採取位置が1以上存在する。本実施形態では、
図3に示すノズル位置N2,N5の2箇所が部品採取位置であり、この位置にあるノズル44が部品Pの採取を行う。ノズル位置N2,N5は、互いにノズル44の公転軌跡の中心軸を挟んで左右に対向する位置にある。ノズル位置N2はノズル44の公転軌跡上の左端の位置(
図3の9時の位置)であり、ノズル位置N5はノズル44の公転軌跡上の右端の位置(
図3の3時の位置)である。
図3では、ノズル44Lがノズル位置N2に位置し、ノズル44Fがノズル位置N5に位置している。なお、公転軌跡上には、ノズル44に保持された部品Pを基板12に実装(装着)するための部品装着位置も1以上存在する。部品装着位置は、部品採取位置と同じノズル位置N2,N5である。また、ノズル44の公転軌跡上でノズル44がノズル位置N2に位置するときの、そのノズル44の1つ前のノズル44(
図3ではノズル44A)の位置をノズル位置N1と称し、1つ後のノズル44(
図3ではノズル44K)の位置を、ノズル位置N3と称する。同様に、ノズル位置N5に位置するノズル44(
図3ではノズル44F)の1つ前のノズル44(
図3ではノズル44G)の位置を、ノズル位置N4と称し、1つ後のノズル44(
図3ではノズル44E)の位置を、ノズル位置N6と称する。ノズル位置N1,N3,N4,N6は、側面カメラ80がノズル44とノズル44に保持された部品Pとの少なくとも一方を撮像するための位置であり、撮像位置とも称する。また、撮像位置のうちノズル位置N1,N4は、部品Pを採取する前のノズル44の状態を側面カメラ80が撮像するための位置であり、採取前撮像位置とも称する。また、撮像位置のうちノズル位置N3,N6は、側面カメラ80がノズル44に採取されて保持された部品Pを撮像するための位置であり、採取後撮像位置又は部品撮像位置とも称する。撮像位置は、部品採取位置とは異なる位置である。部品撮像位置は、部品検知位置の一例である。
【0018】
Q軸駆動装置60は、複数のノズル44を同期して回転(自転)させる機構である。このQ軸駆動装置60は、上下2段のQ軸ギヤ61,62と、ギヤ63,64と、Q軸モータ65と、Q軸位置センサ66(
図4参照)とを備えている。上下2段のQ軸ギヤ61,62は、R軸51に対して同軸かつ相対回転可能に挿通されている。ギヤ63は、各ノズルホルダ42の上部に設けられ、下段のQ軸ギヤ61と上下方向にスライド可能に噛み合っている。Q軸モータ65は、上段のQ軸ギヤ62に噛み合うギヤ64を回転駆動する。Q軸位置センサ66は、Q軸モータ65の回転位置を検知する。Q軸駆動装置60は、Q軸モータ65によりQ軸ギヤ61,62を回転駆動することにより、Q軸ギヤ61と噛み合うギヤ63を回転させて、各ノズルホルダ42をその中心軸回りに同一回転方向に同一回転量(回転角度)だけ回転させる。これに伴い、複数のノズル44も互いに同期して自転する。
【0019】
Z軸駆動装置70,70は、ノズルホルダ42の旋回(公転)軌道上の2箇所に設けられ、2箇所においてノズルホルダ42を個別に昇降可能に構成されている。本実施形態では、Z軸駆動装置70,70は、ヘッド本体41の中心を挟んで左右に対向するように設けられている。Z軸駆動装置70による昇降が可能になるノズルホルダ42の位置を昇降位置と称する。昇降位置は、上面視でノズル44の部品採取位置と同じ位置である。Z軸駆動装置70は、Z軸スライダ71と、Z軸モータ73と、Z軸位置センサ74(
図4参照)とを備えている。Z軸スライダ71は、上下方向に延びるボールネジ72に昇降可能に取り付けられている。Z軸スライダ71は、ノズルホルダ42から横向きに延び出した係合片42aを挟み込む挟持部71aを備えている。Z軸モータ73は、ボールネジ72を回転させることによりZ軸スライダ71を昇降させる。Z軸位置センサ74は、Z軸スライダ71の上下方向の位置を検知する。Z軸駆動装置70は、Z軸モータ73を駆動してZ軸スライダ71をボールネジ72に沿って昇降させることにより、Z軸スライダ71と一体化されたノズルホルダ42及びノズル44を昇降させる。なお、ノズルホルダ42がヘッド本体41と共に公転してZ軸駆動装置70の配置された昇降位置に停止すると、そのノズルホルダ42の係合片42aがZ軸スライダ71の挟持部71aに挟み込まれる。そのため、Z軸駆動装置70は、昇降位置にあるノズルホルダ42及び部品採取位置にあるノズル44を昇降させる。これにより、部品採取時には、部品採取位置に位置するノズル44が下降して部品供給装置20の部品Pを採取する。また、部品装着時には、部品装着位置に位置するノズル44が下降してノズル44に保持された部品Pを基板12に装着する。なお、ノズルホルダ42が公転して昇降位置から移動すると、そのノズルホルダ42の係合片42aがZ軸スライダ71の挟持部71aから抜け出る。
【0020】
ノズル44は、部品Pを部品供給装置20から採取して保持する部材である。ノズル44は、圧力調整弁46(
図4参照)を介して負圧が供給されると部品Pを吸着して保持し、大気圧又は正圧が供給されると部品Pを放す。
図2,3に示すように、複数のノズル44の各々は、部品Pを保持する際に部品Pと接触する先端面45を下端に有している。先端面45は、下面視で長手方向と短手方向とを有する形状をしている。より具体的には、先端面45は下面視で角丸の長方形の形状をしている。先端面45の形状は下面視で楕円形であったりしてもよい。先端面45の中央の吸引口の形状は、先端面45の外形と同様に下面視で長手方向と短手方向とを有している。本実施形態では吸引口の形状は先端面45と同様に下面視で角丸の長方形の形状をしている。なお、吸引口の形状は長手方向と短手方向とを有さなくてもよく、例えば円形であったりしてもよい。ノズル44は、先端面45が長手方向と短手方向とを有する形状であることで、同様に長手方向と短手方向とを有する部品Pの保持に適した形状になっている。
【0021】
また、複数のノズル44の各々は、ノズル44の公転軌跡の径方向を基準とした先端面45の向きをノズル角度として、隣り合うノズル44のノズル角度が90°ずつ異なるように、ノズルホルダ42に取り付けられている。本実施形態では、先端面45の長手方向に沿った方向をノズル44の向きと定義して、この方向と公転軌跡の径方向とのなす角をノズル角度θnとする。例えば
図3の状態では、下側の拡大図に示すように、ノズル44Bの向き(矢印で示した方向)と公転軌跡の径方向(一点鎖線で示した方向)とが平行であるため、ノズル44Bのノズル角度θnは0°である。一方、ノズル44Bの隣のノズル44Cの向きは、公転軌跡の径方向と直交しているため、ノズル44Cのノズル角度θnは90°である。なお、ノズル角度θnは、公転軌跡の径方向から上面視で右回りに回転する方向を正とする。
図3からわかるように、ノズル44D,44F,44H,44J,44Lは、ノズル44Bと同様にノズル角度θnが0°である。また、ノズル44A,44E,44G,44I,44Kはノズル44Cと同様にノズル角度θnが90°である。このような向きでノズル44をヘッド本体41に取り付けている理由は後述する。また、このように隣り合うノズル44のノズル角度θnを異ならせて配設するにあたり、ノズルホルダ42に対するノズル44の取り付け可能な向きが定められている場合には、隣り合うノズルホルダ42のヘッド本体41への取り付けの向きを異ならせればよい。なお、本実施形態ではノズル44の向きは先端面45の長手方向に沿った方向と定義したが、ノズル44の向きは任意に定めることができる。例えば先端面45の短手方向をノズル44の向きとしてノズル角度θnの値を定義してもよい。また、本実施形態では先端面45は2回対称であるため、例えばノズル角度θn=90°とノズル角度θn=−90°とは同義であり、両者を区別しなくてもよい。
【0022】
パーツカメラ28は、
図1に示すように、部品供給装置20と基板搬送装置25との間に設けられている。パーツカメラ28は、ノズル44に吸着された部品Pの姿勢を下方から撮像する。
【0023】
マークカメラ29は、X軸スライダ32の下面に設けられている。マークカメラ29は、部品供給装置20が有する基準マークを撮像したり、基板12に設けられた基準マークを撮像したりする。制御装置90は、撮像された画像中の基準マークの位置に基づいて、テープ22に収納された部品Pの位置を特定したり、基板12の位置を特定したりする。
【0024】
側面カメラ80は、1以上の部品撮像位置(ここではノズル位置N3,N6)を含む1以上の撮像位置(ここではノズル位置N1,N3,N4,N6)の各々に位置する物体を側方から撮像する装置である。側面カメラ80は、撮像位置に位置するノズル44とそのノズル44に保持された部品Pとの少なくとも一方を撮像する。側面カメラ80は、部品撮像位置に位置するノズル44に保持された部品Pを撮像する。側面カメラ80は、
図3に示すように、ノズル44の後方に設けられたカメラ本体82と、カメラ本体82への光路を形成する光学系ユニットを有する筐体84とにより構成されている。筐体84は、複数のノズル44の左右及び後方を囲むように配置されている。筐体84には、ヘッド本体41の左前方,左後方,右後方,及び右前方の位置に第1〜第4入射口86a〜86dが形成されている。第1〜第4入射口86a〜86dは、それぞれノズル位置N1,N3,N4,N6に1対1に対向している。また、筐体84は、複数のノズル44側の外周面に、ヘッド本体41に取り付けられた反射体41aに向けて光を発光するLEDなどの発光体87が複数(
図3では左右に4個ずつ)設けられている。筐体84は、その内部に、光を反射する複数のミラー88a〜88kを備えている。なお、筐体84は、ミラー88a〜88kのうち1以上に代えて又は加えて、光を屈折させるプリズムなどの他の光学系を備えていてもよい。ミラー88a〜88eは、筐体84のうち左側に配置され、図の破線で示す光路を形成して第1,第2入射口86a,86bから入射した光をカメラ本体82の前方のミラー88kまで導く。例えば、第1入射口86aから入射した光は、ミラー88a,88b,88d,88eにこの順で反射されてミラー88kに到達する。ミラー88f〜88jは、筐体84のうち右側に配置され、図の破線で示す光路を形成して第3,第4入射口86c,86dから入射した光をミラー88kまで導く。ミラー88kは、第1〜第4入射口86a〜86dから到達したそれぞれの光を反射してカメラ本体82に導く。
【0025】
これにより、カメラ本体82は、ノズル位置N1,N3,N4,N6に位置する物体をそれぞれ撮像して、得られた像が画像中で左右方向に配置された1つの画像を表す画像データを取得する。そのため、カメラ本体82は、ノズル位置N1,N3,N4,N6に位置するノズル44及び部品Pを同時に側方から撮像できる。なお、第1〜第4入射口86a〜86d及びミラー88a〜88kは、カメラ本体82が各々の撮像位置を撮像する向きが、ノズル44の公転軌跡の径方向に沿った向き、すなわちノズル44の公転軌跡の中心に向かう向きになるように、配置及び形状が調整されている。また、カメラ本体82は、発光体87から発光されて反射体41aで反射した光を受光する。そのため、撮像された画像では、光を遮るノズル44及び部品Pが黒い影として写し出される。
【0026】
制御装置90は、
図4に示すように、CPU91を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU91の他に、ROM92やHDD93、RAM94、入出力インタフェース95などを備える。これらはバス96を介して接続されている。制御装置90には、XYロボット30からの検知信号、実装ヘッド40(R軸位置センサ55やQ軸位置センサ66、Z軸位置センサ74,74)からの検知信号、パーツカメラ28からの画像信号、マークカメラ29からの画像信号、及び側面カメラ80からの画像信号などが入出力インタフェース95を介して入力される。また、制御装置90からは、部品供給装置20、基板搬送装置25、XYロボット30(X軸モータ36及びY軸モータ38)、実装ヘッド40(R軸モータ54、Q軸モータ65、及びZ軸モータ73,73)、圧力調整弁46、パーツカメラ28、マークカメラ29、及び側面カメラ80への制御信号などが入出力インタフェース95を介して出力される。
【0027】
次に、部品実装機10が部品実装処理を行うときの動作について説明する。制御装置90のCPU91は、図示しない管理装置から受信した生産プログラムに基づいて、部品実装機10の各部を制御して複数の部品が実装された基板12を生産する。具体的には、CPU91は、部品供給装置20から供給される部品Pをノズル44が採取して保持し、ノズル44に吸着された部品Pが基板12上に順次実装されるように、部品実装機10の各部を制御する。
【0028】
ここで、ノズル44による部品Pの採取に関連する部品採取関連処理について詳細に説明する。
図5は、部品採取関連処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図5のルーチンをCPU91が実行するためのプログラムは、例えばHDD93に記憶されている。部品採取関連処理では、CPU91は、ノズル44による部品Pの採取と、採取異常の判定を行うための側面カメラ80による撮像とを並行して行いながら、複数のノズル44に順次部品Pを採取させていく。
図6はノズル44A,44Gが部品採取位置に位置した様子を示す説明図、
図7はノズル44A,44Gが部品Pを採取した状態を示す説明図、
図8はノズル44A,44Gが部品撮像位置に位置した状態を示す説明図、
図9はノズル44B,44Hが部品Pを採取した状態を示す説明図、
図10は全ノズル44の部品採取及び採取異常判定が終了した状態を示す説明図、
図11は比較例における全ノズル44の部品採取後の様子を示す説明図である。なお、以下では、部品採取関連処理の開始時に
図3に示すようにノズル44A,44Gがノズル位置N1,N4にある場合を例として説明する。
【0029】
CPU91は、この部品採取関連処理を開始すると、まず、部品供給装置20の部品供給位置上にノズル44を移動させる(ステップS100)。CPU91は、
図3に示すように、部品採取位置(ノズル位置N2,N5)に位置するノズル44が部品供給位置にある部品Pの直上に位置するように、XYロボット30を制御して実装ヘッド40を移動させる。なお、ここでは、ノズル位置N2,N5の真下に位置する部品は、同じ部品Pであるものとして説明する。
【0030】
続いて、CPU91は、採取前撮像処理と、部品採取処理と、採取後撮像処理と、を並列的に行う(ステップS110)。採取前撮像処理は、採取前撮像位置(ノズル位置N1,N4)に位置するノズル44の状態を撮像するよう側面カメラ80を制御する処理である。部品採取処理は、部品採取位置(ノズル位置N2,5)に位置する少なくとも1つのノズル44が部品Pを採取して保持するように実装ヘッド40を制御する処理である。本実施形態では、CPU91は、部品採取位置に位置する全て(ここでは2個)のノズル44が部品Pを採取して保持するように部品採取処理を行う。CPU91は、部品採取処理では、部品採取位置に位置するノズル44を下降させ、ノズル44の先端面45の吸引口に負圧を作用させて、部品供給装置20の部品供給位置にある部品Pを先端面45に吸着させ、その後にノズル44を上昇させる。採取前撮像処理は、部品撮像位置(ノズル位置N3,N6)に位置するノズル44に保持された部品Pを撮像するよう側面カメラ80を制御する処理である。なお、上述したように側面カメラ80はノズル位置N1,N3,N4,N6を同時に撮像するため、側面カメラ80は採取前撮像処理と採取後撮像処理とを1回の撮像で同時に行う。また、CPU91は、撮像された画像データをHDD93に記憶する。
【0031】
なお、CPU91は、採取前撮像処理が行われた後のノズル44に対して部品採取処理を行い、部品採取処理が行われた後のノズル44に対して採取後撮像処理を行う。そのため、CPU91は、部品採取関連処理ルーチンを開始してから初めて実行されるステップS110では、採取前撮像処理のみを行う。例えば、
図3に示す状態では、CPU91はノズル44A,44Gに対する採取前撮像処理のみを行う。なお、採取前撮像処理を行うと採取後撮像処理も同時に行うことになるが、CPU91は例えば撮像された画像データのうち採取前撮像位置の画像のみをHDD93に記憶すればよい。
【0032】
次に、CPU91は、採取前撮像処理及び採取後撮像処理で取得された画像に基づいてノズル44に保持された部品Pの異常の有無を判定する採取異常判定処理を行う(ステップS120)。なお、部品採取関連処理ルーチンを開始してからステップS110を1回実行した状態では、採取前撮像処理と採取後撮像処理とが共に終了したノズル44は存在しないから、CPU91はここではステップS120の処理を省略し、採取異常がないと判定する。
【0033】
続いて、CPU91は、全てのノズル44について部品Pの採取及び採取異常判定処理が終了したか否かを判定し(ステップS130)、終了していないときにはノズル44を公転させるようR軸駆動装置50を制御する保持体公転処理とノズル44を自転させるようQ軸駆動装置60を制御する保持体自転処理とを並行して行う(ステップS140)。保持体公転処理では、CPU91は、ノズル1個分(ノズル44の1ピッチ分)だけノズル44を公転させる。すなわち本実施形態では、ノズル44を上面視で右回りに30°(=360°/ノズル数12)公転させる。そのため、
図3に示した状態からCPU91が保持体公転処理を行うと、
図6に示すようにノズル44A,44Gが採取前撮像位置(ノズル位置N1,N4)から部品採取位置(ノズル位置N2,N5)に移動する。また、採取前撮像位置には、新たにノズル44B,44Hが移動してくる。保持体自転処理では、CPU91は、ノズル44の公転軌跡の径方向を基準としてノズル44を−90°自転させる。なお、自転の方向は上面視で右回りを正方向とする。これにより、
図6に示すように、複数のノズル44は同期していずれも−90°自転する。そのため、今回の保持体公転処理で部品採取位置に位置するノズル44A,44Gのノズル角度θnは、今回の保持体自転処理によって90°から0°になる。また、今回の保持体公転処理で採取前撮像位置に位置するノズル44B,44Hのノズル角度θnは、今回の保持体自転処理によって0°から90°になる。なお、このようにノズル44を自転させる理由については後述する。また、CPU91は奇数回目の保持体自転処理ではノズル44を−90°自転させ、偶数回目の保持体自転処理ではノズル44を90°自転させる。処理時間短縮の観点から、保持体自転処理は、前のステップS110の部品採取処理が終了してから保持体公転処理が完了するまでの間に完了することが好ましく、本実施形態では同時に完了するものとした。また、本実施形態のR軸駆動装置50とQ軸駆動装置60との構造では、R軸駆動装置50がノズル44を公転させると、それに伴ってノズル44の自転も生じる。例えば、Q軸モータ65を停止させた状態でR軸駆動装置50がノズル44を公転させると、Q軸ギヤ61は回転せずギヤ63は回転しながら公転していくことになり、ノズル44は公転角度に応じた所定角度だけ自転する。R軸駆動装置50及びQ軸駆動装置60がこのような構造をしている場合は、CPU91は公転角度に応じて生じる自転角度も含めて、ステップS140の保持体公転処理及び保持体自転処理が完了した状態でノズル44が−90°(又は90°)自転した状態になるように、Q軸駆動装置60を制御する。
【0034】
ステップS140の処理を行った後、CPU91は、ステップS110以降の処理を実行する。そのため、CPU91は、2回目のステップS110を実行する。2回目のステップS110では、CPU91は、採取前撮像位置に位置するノズル44B,44Hに対して採取前撮像処理を実行し、部品採取位置に位置するノズル44A,44Gに対して部品採取処理を実行する。これにより、
図7に示すように、ノズル44A,44Gはそれぞれ部品Pを採取して保持した状態になる。ここで、部品Pの部品保持角度θpについて説明する。部品保持角度θpは、ノズル44に保持された部品Pの、ノズル44の公転軌跡の径方向を基準とした向きである。本実施形態では、部品Pの長手方向に沿った方向(
図7の拡大図の矢印で示した方向)を部品Pの向きと定義して、この方向と公転軌跡の径方向とのなす角を部品保持角度θpとする。部品保持角度θpは、公転軌跡の径方向から上面視で右回りに回転する方向を正とする。上述したように、部品Pは長手方向が左右方向に沿ってテープ22に収容されており、部品採取位置における公転軌跡の径方向も左右方向に沿っているため、部品採取位置で保持された部品Pの部品保持角度θpは0°となる。なお、本実施形態では部品Pの向きは長手方向に沿った方向と定義したが、部品Pの向きは任意に定めることができる。また、本実施形態では部品Pは上面視で2回対称の形状であるため、例えば部品保持角度θp=0°と部品保持角度θp=180°とは同義であり、両者を区別しなくてもよい。
【0035】
このとき、上述したように、部品採取位置に位置するノズル44A,44Gは直近の保持体自転処理によってノズル角度θnが0°になっており、先端面45の長手方向と採取される部品Pの長手方向とが共に同じ方向を向いている。そのため、ノズル44A,44Gは部品Pをより適切に保持することができる。なお、以降の処理で部品Pを保持した状態でノズル44が自転しても、先端面45と部品Pとは一体的に回転するから、ノズル角度θnと部品保持角度θpとの差は一定値のまま変化しない。そのため本実施形態では部品Pを保持した状態ではノズル角度θnと部品保持角度θpとは常に等しい。
【0036】
こうして2回目のステップS110を行った後、CPU91は、採取前撮像処理と採取後撮像処理とが共に終了したノズル44はまだ存在しないからステップS120で採取異常がないと判定する。そして、CPU91は、ステップS130では全てのノズル44について部品Pの採取及び採取異常判定処理が終了していないと判定して、ステップS140で2回目の保持体公転処理及び保持体自転処理を行う。CPU91は、この2回目の保持体公転処理では、1回目と同様にノズル44を30°公転させる。これにより、
図8に示すように、部品Pを保持したノズル44A,44Gが部品採取位置(ノズル位置N2,N5)から採取後撮像位置(ノズル位置N3,N6)に移動する。また、部品採取位置には新たにノズル44B,44Hが移動する。すなわち、前回の部品採取処理で部品Pを採取したノズル44A,44Gの位置(ノズル位置N2,N5)に、部品Pを保持していないノズル44B,44Hが位置する。採取前撮像位置には、新たにノズル44C,44Iが移動する。また、CPU91は、この2回目の保持体自転処理では、偶数回目であるためノズル44を90°自転させる。これにより、
図8に示すように、今回の保持体公転処理で部品撮像位置に位置するノズル44A,44Gの部品保持角度θpは、今回の保持体自転処理によって0°から90°になる。今回の保持体公転処理で部品採取位置に位置するノズル44B,44Hのノズル角度θnは、今回の保持体自転処理によって90°から0°になる。今回の保持体公転処理で採取前撮像位置に位置するノズル44C,44Iのノズル角度θnは、今回の保持体自転処理によって0°から90°になる。
【0037】
2回目のステップS140を行ったあと、CPU91は、3回目のステップS110を実行する。3回目のステップS110では、CPU91は、採取前撮像位置(ノズル位置N1,N4)に位置するノズル44C,44Iに対して採取前撮像処理を実行し、部品採取位置(ノズル位置N2,N5)に位置するノズル44B,44Hに対して部品採取処理を実行し、部品撮像位置(ノズル位置N3,N6)に位置するノズル44A,44Gに対して採取後撮像処理を実行する。これにより、
図9に示すように、ノズル44B,44Hはそれぞれ部品Pを採取して部品保持角度θp=0°で保持した状態になる。
【0038】
次に、CPU91は、ステップS120の採取異常判定処理を行う。3回目のステップS110が終了したことで、ノズル44A,44Gについては採取前撮像処理と採取後撮像処理とが共に終了しているから、CPU91はここではノズル44A,44Gの採取異常判定処理を行う。CPU91は、ノズル44A,44Gが採取前撮像位置に位置していたときの採取前撮像処理(3回前の採取前撮像処理)で撮像された画像データと、ノズル44A,44Gが部品撮像位置(採取後撮像位置)に位置していたときの採取後撮像処理(直近の採取前撮像処理)で撮像された画像とに基づいて、保持された部品Pの異常の有無を判定する。例えば、CPU91は、同じノズル44の採取前後の画像データの各画素の値の差に基づいて、部品Pが映し出された画素の領域(ここでは矩形の領域)の下端位置(部品Pの下面に相当する位置)を認識する。そして、CPU91は、認識された位置が予めHDD93に記憶された部品Pの形状に関する情報(例えば部品Pの厚さ)に基づく許容範囲内か否かを判定し、許容範囲内であれば採取異常はないと判定する。これにより、CPU91は、例えば部品Pがそもそもノズル44に保持されていない場合や、部品Pとは異なる種類の部品が誤って保持されている場合などには、採取異常があると判定することができる。
【0039】
ステップS120で採取異常がないと判定すると、CPU91は、ステップS130では全てのノズル44について部品Pの採取及び採取異常判定処理が終了していないと判定して、ステップS140以降の処理を実行する。すなわち、CPU91は、ステップS140の保持体公転処理及び保持体自転処理と、ステップS110の採取前撮像処理,部品採取処理,及び採取後撮像処理と、を交互に繰り返し行い、採取後撮像処理を行ったノズル44に対してS120の採取異常判定処理を行う。これにより、CPU91は、複数のノズル44の各々に対して採取前撮像処理,部品採取処理,採取後撮像処理,採取異常判定処理をこの順で行っていき、各ノズル44に部品Pを採取して保持させその採取異常の有無を判定する。そして、CPU91は、ステップS130で全てのノズル44について部品Pの採取及び採取異常判定処理が終了したと判定すると、本ルーチンを終了する。この状態では、
図10に示すように、最後に部品Pを採取するノズル44F,44Lが、部品撮像位置(ノズル位置N3,N6)に位置している。
図10に示すように、部品Pは、隣り合うノズル44間で部品保持角度θpが90°ずつ異なるように、複数のノズル44にそれぞれ保持される。
【0040】
なお、このようにステップS130で全てのノズル44について部品Pの採取及び採取異常判定処理が終了したと判定して本ルーチンを終了すると、CPU91は、実装ヘッド40をパーツカメラ28の上方に移動し、各ノズル44に吸着された部品Pをパーツカメラ28で撮像する。そして、撮像画像に基づいて部品Pの姿勢を認識し、その姿勢を加味して部品Pを基板12上に実装する。
【0041】
なお、CPU91は、ステップS120で採取異常があると判定すると、採取エラー発生時処理を行って(ステップS150)、本ルーチンを途中で終了する。CPU91は、エラー発生時処理として、例えば採取異常が発生した旨の情報を図示しない管理装置に報知する処理を行う。なお、CPU91は、エラー発生時処理として採取異常と判定されたノズル44に保持された部品Pを所定の廃棄位置へ廃棄する処理を行ってもよい。また、CPU91は、その後に、採取異常が発生したノズル44が採取前撮像位置にノズル角度θn=90°の向きで位置するようノズル44を自転及び公転させて、そのノズル44に対して採取前撮像処理,部品採取処理,採取後撮像処理,及び採取異常判定処理をもう一度行ってもよい。
【0042】
以上詳述した部品採取関連処理ルーチンでは、CPU91が保持体自転処理を行うことで、複数のノズル44に保持された部品Pは、いずれも部品採取位置では部品保持角度θpが0°であるが、部品撮像位置では90°となる。そのため、部品Pは長手方向が側面カメラ80の撮像方向(ここではノズル44の公転軌跡の中心に向かう向き)と垂直な状態でノズル44に保持されている。これにより、側面カメラ80は採取後撮像処理において部品Pの長辺を撮像することになる。これに対し、例えばCPU91が保持体自転処理を行わず、常に部品保持角度θpが0°である場合を考える。この場合、
図11に示すように、側面カメラ80は部品撮像位置において部品Pの短辺を撮像することになる。本実施形態では、採取後撮像処理において部品Pの長辺を撮像するため、
図11にように部品Pの短辺を撮像する場合と比較して、採取後撮像処理で撮像される部品Pの下端の長さが長くなる。したがって、採取異常判定処理における上述した部品Pの下端位置の認識がしやすくなる。このように、本実施形態では、保持体自転処理を行うことで、部品撮像位置に位置するノズル44の部品保持角度θpが、採取後の部品Pの撮像に適した撮像用角度(ここでは90°)になるようにしている。撮像用角度は、検知用角度の一例である。
【0043】
また、複数のノズル44の各々は、部品撮像位置に位置するときと採取前撮像位置に位置するときとで、ノズル角度θnが同じ値(ここでは90°)になる。そのため、先端面45が長手方向と短手方向とを有していても、採取前後の画像データではノズル44の見かけの形状が同じになる。したがって、CPU91は、採取異常判定処理において部品Pをより認識しやすくなる。
【0044】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のヘッド本体41が本開示の回転体に相当し、ノズル44が保持体に相当し、実装ヘッド40が実装ヘッドに相当し、R軸駆動装置50が公転機構に相当し、Q軸駆動装置60が自転機構に相当し、側面カメラ80が検知部に相当し、制御装置90が制御部に相当する。
【0045】
以上詳述した部品実装機10では、CPU91は、保持体公転処理を行う際に、今回の保持体公転処理によって部品撮像位置(ノズル位置N3,N6)に位置するノズル44に保持された部品Pの部品保持角度θpが、その部品Pの採取時の部品保持角度θp(=0°)とは異なる撮像用角度(=90°)になるように複数のノズル44を自転させる保持体自転処理を行う。そのため、部品採取位置(ノズル位置N2,N5)でノズル44に採取された部品Pは、保持体公転処理及び保持体自転処理によるノズル44の公転及び自転を伴って移動していき、部品保持角度θpが撮像用角度(=90°)になるように向きが調整されて部品撮像位置(ノズル位置N3,N6)に位置する。そのため、この撮像用角度がその部品Pの撮像に適した角度となるように予め定めておけば、保持された部品Pを側面カメラ80によってより適切に撮像することができる。本実施形態では、部品保持角度θpが90°であるときには、側面カメラ80はその部品Pの長辺を撮像できるため、部品Pの下端位置をより精度良く認識することができる。そのため、撮像用角度は部品Pの撮像に適した角度になっている。
【0046】
また、CPU91は、部品採取位置に位置する2以上(ここでは2個)のノズル44が部品Pを採取して保持するように実装ヘッド40を制御する部品採取処理と、部品Pの採取を行った位置(ノズル位置N2,N5)の各々に部品Pを保持していないノズル44が位置するようにR軸駆動装置50を制御する保持体公転処理と、を交互に繰り返し行う。これにより、CPU91は、1回の部品採取処理の中で2以上(ここでは2個)のノズル44に部品Pを保持させて、複数(ここでは12個)のノズル44に部品Pを順次保持させていく。そして、保持体公転処理を行う際には、CPU91は、今回の保持体公転処理によって部品撮像位置に位置する2以上(ここで2個)のノズル44に保持された部品Pの各々の部品保持角度θpが部品Pの各々の採取時の部品保持角度θp(=0°)とは異なる撮像用角度(=90°)になるようにQ軸駆動装置60を制御する保持体自転処理を行う。そのため、1回の部品採取処理で2以上(ここでは2個)のノズル44の各々に部品Pを採取させる場合においても、採取された各々の部品Pの部品保持角度θpが部品撮像位置では撮像用角度になるように、保持された部品Pの向きを調整することができる。
【0047】
さらに、複数のノズル44の各々は、先端面45が長手方向と短手方向とを有する形状をしている。そして、複数のノズル44は、いずれのノズル44が部品採取位置に位置した状態でも、部品採取位置に位置するノズル44のノズル角度θnと部品撮像位置に位置するノズル44のノズル角度θnとの差が、部品Pの採取時の部品保持角度θp(=0°)と撮像用角度(=90°)との差(=90°)に等しくなるように、複数のノズル44の各々の向きが定められている。これにより、部品Pを採取する際の部品Pに対するノズル44の向きを適切な状態にしつつ、採取された部品Pの部品保持角度θpを部品撮像位置では撮像用角度(=90°)に調整することができる。そのため、部品Pを適切なノズル44の向きで採取でき、且つその部品Pをより適切に撮像できる。例えば、複数のノズル44の向きが全て同じノズル角度θnになるように複数のノズル44が取り付けられた場合において、上述した部品採取関連処理ルーチンを行う場合を考える。この場合、部品保持角度θpを部品採取位置では0°、部品撮像位置では90°とすることはできるが、12個のノズル44のうち半分のノズル44は、ノズル角度θnと部品保持角度θpとが90°ずれた状態で部品Pを採取して保持することになる。すなわち、先端面45の長手方向と部品Pの長手方向とが直交した状態で部品Pを保持することになる。本実施形態では、このような場合に比べて、ノズル44が部品Pをより適切に採取できる。
【0048】
さらにまた、部品Pの採取時の部品保持角度θpと撮像用角度との差が90°となっている。採取時の部品保持角度θpと撮像に適した部品保持角度とが90°異なる場合には、例えば採取時と撮像時とで部品保持角度θpが同じであるとすると部品Pを適切に撮像しにくくなりやすい。そのため、このような場合には、保持体自転処理を行って部品Pが部品撮像位置では採取時と部品保持角度θpが異なる撮像用角度になるようにする意義が高い。
【0049】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0050】
例えば、上述した実施形態では、複数のノズル44は、先端面45が長手方向と短手方向とを有していたが、これに限られない。例えば、先端面45の下面視の外径が円形であってもよい。先端面45が長手方向と短手方向とを有さない場合、ノズル角度θnを部品Pの採取時の部品保持角度θpと撮像用角度との差に等しくする必要はない。
【0051】
上述した実施形態では、部品保持角度θpと撮像用角度との差が90°としたが、これに限られない。例えば上述した実施形態において部品保持角度θpと撮像用角度との差が60°である場合には、CPU91は保持体自転処理においてノズル44を奇数回目で−60°、偶数回目で60°自転させるようにしてもよい。あるいは、CPU91は保持体自転処理においてノズル44を毎回60°自転させてもよい。
【0052】
上述した実施形態では、部品撮像位置は、部品採取位置に位置するノズル44の隣のノズル44の位置としたが、これに限られない。例えば、部品撮像位置が部品採取位置に位置するノズル44からノズル2個分だけ離れている場合において、部品保持角度θpと撮像用角度との差を90°とする場合には、CPU91は保持体自転処理でノズル44を45°自転させるようにすればよい。
【0053】
上述した実施形態では、12個のノズル44が等間隔で円周上に配設されていたが、ノズル44の数は12個に限定されるものではなく、例えば8個,20個,又は24個などとしてもよい。また、ノズル44の数は偶数としてもよく、奇数としてもよい。
【0054】
上述した実施形態では、2箇所の部品採取位置のいずれでも部品採取処理を行ったが、これに限られない。ノズル44の公転軌跡上に存在する部品採取位置のうち少なくとも1つの位置において、部品採取処理を行えばよい。また、ノズル44の公転軌跡上に存在する部品採取位置は2箇所に限らず、1箇所であっても3箇所以上(例えば4箇所)であってもよい。
【0055】
上述した実施形態では、CPU91は、奇数回目の保持体自転処理ではノズル44を−90°自転させ、偶数回目の保持体自転処理ではノズル44を90°自転させたが、これに限らず例えば毎回90°ずつ自転させてもよい。上述した実施形態のように部品Pが上面視で2回対称の形状であるなど、互いに180°異なる部品保持角度θp同士を区別する必要がない場合は、毎回90°ずつ自転させてもよい。ただし、部品撮像位置での部品Pの向きを完全に同じにできるため、本実施形態のように自転させることが好ましい。
【0056】
上述した実施形態では、撮像用角度は90°としたが、撮像用角度は部品Pの撮像に適した角度であればよい。例えば、部品Pの採取時に部品Pが傾斜してノズル44に保持される場合があり、これを採取異常処理で判定したい場合がある。このような場合、部品Pの傾斜は短辺が傾くように生じる場合が多いため、部品Pの長手方向に沿って撮像して部品Pの短辺を撮像した方が、画像に基づく傾斜の有無を判定しやすい。このような場合は、撮像用角度は0°とすることが好ましい。そして、それにも関わらず部品Pの短手方向が左右方向に沿うようにテープ22に収容されているような場合は、採取時の部品保持角度θpは90°になってしまう。このような場合でも、CPU91が上述した実施形態と同様に保持体自転処理を行うことで、採取時の部品保持角度θpが90°であっても部品撮像位置での部品保持角度θpを撮像用角度(=0°)とすることができる。また、他の例として、部品Pが自身の本体部から両側に飛び出したリードを有する場合がある。この場合において、飛び出したリードを撮像したい場合には、側面カメラ80はリードの飛び出す方向と垂直な方向から撮像することが好ましい。このような場合は、部品Pのリードの飛び出す向きがノズル44の公転軌跡の径方向と垂直になるような向きを撮像用角度として、部品撮像位置における部品保持角度θpがこの撮像用角度となるように、保持体自転処理での自転角度が定められていればよい。
【0057】
上述した実施形態では、側面カメラ80は部品Pの採取前後での撮像を行ったが、少なくとも部品撮像位置(上述した実施形態では採取後撮像位置)での撮像を行えばよい。また、側面カメラ80は、ノズル44の公転軌跡の中心に向かう向きに撮像を行う装置としたが、これに限られない。例えば、側面カメラ80がノズル位置N3を図の左方向から(公転軌跡の径方向とのなす角が30°の方向から)撮像してもよい。この場合は、ノズル位置N3での部品保持角度θpすなわち撮像用角度が60°であれば、本実施形態と同様に側面カメラ80は部品Pの長手方向に垂直な方向から部品Pを撮像できる。また、側面カメラ80は、ノズル位置N1,N3,N4,N6を同時に撮像する構成としたが、これに限らず、ノズル位置毎に側面カメラを有していたりしてもよい。
【0058】
上述した実施形態において、CPU91は、採取前撮像処理で取得された画像に基づいてノズル44に部品Pが保持されていないことを確認する吸着前異常判定処理を行ってもよい。例えば、CPU91は、ステップS120の前後において、直近のステップS110における採取前撮像処理で取得された画像に基づいて、採取前撮像位置(ノズル位置N1,N4)に位置するノズル44に部品Pが保持されているか否かを判定してもよい。この判定は、例えばCPU91が取得された画像中のノズル44の領域を認識し、認識したノズル44の領域の下方に部品Pと認識される領域が存在するか否かを判定することで行ってもよい。CPU91は、この吸着前異常判定処理で異常がある(ノズル44に部品Pが保持されている)と判定した場合には、例えば採取前異常が発生した旨の情報を図示しない管理装置に報知してもよいし、採取前異常と判定されたノズル44に保持された部品Pを所定の廃棄位置へ廃棄する処理を行ってもよい。
【0059】
上述した実施形態では、ノズル位置N2,N5で採取する部品Pは同じ部品としたが、部品の種類やテープ22に収容された向きなどが互いに異なっていてもよい。
【0060】
上述した実施形態では、実装ヘッド40は負圧を利用して部品Pを吸着するノズル44を備えていたが、ノズル44に限らず部品を保持する保持体を備えていればよい。例えば、実装ヘッド40は、ノズル44に代えて部品Pを把持して保持するメカニカルチャックを備えていてもよい。
【0061】
上述した実施形態では、部品実装機10が撮像部としての側面カメラ80を備えており、この側面カメラ80が部品撮像位置に位置するノズル44に保持された部品Pを側方から撮像した。しかし、部品実装機10が備えるのは、撮像を行う撮像部に限らず、ノズル44に保持された部品Pを側方から検知する検知部であればよい。この場合、上述した採取前撮像位置は採取前検知位置と称してもよいし、採取後撮像位置は採取後検知位置と称してもよいし、部品撮像位置は部品検知位置と称してもよいし、撮像用角度は検知用角度と称してもよい。検知部は、例えばレーザーやLEDからの光などを側方から照射することで部品検知位置に位置するノズル44に保持された部品Pを側方から検知してもよい。また、検知部は、採取前検知位置に位置するノズル44を側方から検知してもよいし、採取前検知位置に位置するノズル44が部品Pを保持する領域(例えばノズル44の下方の領域)の部品Pの有無を側方から検知してもよい。
【0062】
本開示の部品実装機は、以下のように構成してもよい。
【0063】
本開示の部品実装機において、前記部品採取位置及び前記部品検知位置は、それぞれ複数存在し、前記制御部は、前記部品採取位置に位置する2以上の前記保持体が前記部品を採取して保持するように前記実装ヘッドを制御する前記部品採取処理と、該部品採取処理で部品を採取した前記2以上の前記保持体の位置の各々に前記部品を保持していない前記保持体が位置するように前記公転機構を制御する前記保持体公転処理と、を交互に繰り返し行い、該保持体公転処理を行う際には、今回の保持体公転処理によって前記部品検知位置に位置する2以上の保持体に保持された部品の各々の前記部品保持角度が該部品の各々の採取時の前記部品保持角度とは異なる前記検知用角度になるように前記自転機構を制御する前記保持体自転処理を行ってもよい。こうすれば、1回の部品採取処理で2以上の保持体の各々に部品を採取させる場合においても、採取された各々の部品の部品保持角度が部品検知位置では検知用角度になるように、保持された部品の向きを調整することができる。
【0064】
本開示の部品実装機において、前記複数の保持体の各々は、前記部品を保持する際に該部品と接触する先端面が長手方向と短手方向とを有する形状のノズルであり、前記複数の保持体は、前記公転軌跡の径方向を基準とした前記先端面の向きをノズル角度として、いずれの保持体が前記部品採取位置に位置した状態でも、該部品採取位置に位置する前記保持体の前記ノズル角度と前記部品検知位置に位置する前記保持体の前記ノズル角度との差が、前記部品の採取時の前記部品保持角度と前記検知用角度との差に等しくなるように、前記複数の保持体の各々の向きが定められていてもよい。こうすれば、部品を採取する際の部品に対するノズルの向きを適切な状態にしつつ、採取された部品の部品保持角度を部品検知位置では検知用角度に調整することができる。そのため、部品を適切なノズルの向きで採取でき、且つその部品をより適切に検知できる。
【0065】
本開示の部品実装機において、前記部品の採取時の前記部品保持角度と前記検知用角度との差が90°であってもよい。採取時の部品保持角度と検知に適した部品保持角度とが90°異なる場合には、例えば採取時と検知時とで部品保持角度が同じであるとすると部品を適切に検知しにくくなりやすい。そのため、このような場合には、保持体自転処理を行って部品が部品検知位置では採取時と部品保持角度が異なる検知用角度になるようにする意義が高い。
【0066】
本開示の部品実装機において、前記部品検知位置は、前記部品採取位置に位置する保持体の隣の保持体の位置であってもよい。
【0067】
本開示の部品実装機において、前記検知部は、1以上の前記部品検知位置に位置する前記保持体に保持された部品を側方から撮像する撮像部であってもよい。