特許第6903749号(P6903749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6903749調整可能なコアセンタリング装置を備えた射出成形金型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903749
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】調整可能なコアセンタリング装置を備えた射出成形金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/36 20060101AFI20210701BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20210701BHJP
   B29C 33/76 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   B29C45/36
   B29C45/26
   B29C33/76
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-517141(P2019-517141)
(86)(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公表番号】特表2019-517945(P2019-517945A)
(43)【公表日】2019年6月27日
(86)【国際出願番号】EP2017057270
(87)【国際公開番号】WO2017215801
(87)【国際公開日】20171221
【審査請求日】2020年2月28日
(31)【優先権主張番号】00750/16
(32)【優先日】2016年6月13日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】515253164
【氏名又は名称】フォスタッグ、フォルメンボー、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】FOSTAG, FORMENBAU AG
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ、ミュールマン
【審査官】 ▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第203831732(CN,U)
【文献】 米国特許第04571171(US,A)
【文献】 国際公開第2010/017622(WO,A1)
【文献】 実開平05−088925(JP,U)
【文献】 中国実用新案第2403567(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00 − 45/86
B29C 33/00 − 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ、チューブ、チューブヘッド、細管、ボトルブランク、又は注射器を含む容器状薄壁射出成形品を製造するための、少なくとも一つのキャビティ(1)を持つ射出成形金型であって、少なくとも一つのキャビティ形成ダイ(3’)を持つダイ保持プレート(2)と、キャビティ形成コア(5’)を備えた少なくとも一つのコアユニット(5)と、前記コアユニット(5)を持つコア保持プレート(4)と、前記少なくとも一つのコア(5’)から射出成形品を取り出すための少なくとも一つのストリッピングリング(6)とを有し、前記少なくとも一つのストリッピングリング(6)は前記コア保持プレート(4)と前記ダイ保持プレート(2)との間に配置されており、前記少なくとも一つのコア(5’)を前記射出成形金型の閉鎖状態において、前記少なくとも一つのダイ(3’)に正確に整合するための少なくとも一つの調節可能なコアセンタリング装置(7)が設けられた射出成形金型であって、
前記ストリッピングリング(6)は、前記ダイ保持プレート(2)と前記コア保持プレート(4)との間に配置されたストリッピングプレート(10)に浮動態様で保持されており、前記少なくとも一つの調節可能なコアセンタリング装置(7)は、前記コアユニット(5)と前記コア保持プレート(4)との間に配置され、前記コアセンタリング装置(7)と浮遊状態の前記ストリッピングリング(6)とによって、前記ダイ(3’)に対して前記コア(5’)をセンタリングして、前記射出成形金型の閉鎖状態において、前記キャビティ(1)内の厚みを均一にする、ことを特徴とする射出成形金型。
【請求項2】
少なくとも一つの第1固定プレートセンタリングユニット(11)が前記ダイ保持プレート(2)と前記ストリッピングプレート(10)との間に配置されており、少なくとも一つの第2固定プレートセンタリングユニット(12)が前記ストリッピングプレート(10)と前記コア保持プレート(4)との間に配置されており、前記第1及び第2の固定プレートセンタリングユニット(11、12)は、前記射出成形金型が閉鎖状態にある場合の前記ダイ保持プレート(2)、前記ストリッピングプレート(10)、及び前記コア保持プレート(4)の互いに関する所定の位置を定める、ことを特徴とする請求項1に記載の射出成形金型。
【請求項3】
前記ストリッピングリング(6)の外周面に沿って空隙が存在する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形金型。
【請求項4】
前記少なくとも一つの調節可能なコアセンタリング装置(7)は、前記コア保持プレート(4)のストリッピングプレート側に配置されている、ことを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の射出成形金型。
【請求項5】
前記ストリッピングリング(6)は、少なくとも一つのファスニングエレメント(13) を使用して前記ストリッピングプレート(10)に浮動態様で保持されている、ことを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の射出成形金型。
【請求項6】
前記ファスニングエレメント(13)は、前記ダイ保持プレート(2)と前記ストリッピングプレート(10)との間に1固定プレートセンタリングユニット(11)を同時に形成する、ことを特徴とする請求項5に記載の射出成形金型。
【請求項7】
前記ファスニングエレメント(13)は、前記ストリッピングリング(6)を前記ストリッピングプレート(10)に浮動態様で保持する平行に配置された二つの固定ピン(21、21’)を有する、ことを特徴とする請求項5に記載の射出成形金型。
【請求項8】
前記ストリッピングリング(6)は、前記コアユニット(5)の円錐形外面(14)と相補的な円錐形内面(15)を有する、ことを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の射出成形金型。
【請求項9】
前記ストリッピングリング(6)の円錐形内面には、前記射出成形金型の閉鎖中に前記円錐形内面によって前記コアユニットの錐形外面に密封態様で押し付けられるように、前記コアユニットの円錐形外面に対して予応力が加えられている、ことを特徴とする請求項6に記載の射出成形金型。
【請求項10】
前記少なくとも一つの調節可能なコアセンタリング装置(7)は、前記コアユニット(5)を中心として等間隔に配置された、傾斜したセンタリング面(19)を持つ四つのセンタリングストリップ(18)を有する、ことを特徴とする請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載の射出成形金型。
【請求項11】
前記ストリッピングリング(6)は、射出成形品を前記コア(5’)から取り出すため、前方に変位可能なストリッピングプレート(10)によって同伴されるように、外側に包囲ストップ(20)を有する、ことを特徴とする請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載の射出成形金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器状薄壁射出成形品、特にカップ、チューブ、チューブヘッド、細管、ボトルブランク、又は注射器を製造するための、少なくとも一つのキャビティを持つ射出成形金型であって、少なくとも一つのキャビティ形成ダイを持つダイ保持プレートと、キャビティ形成コアを備えた少なくとも一つのコアユニットを持つコア保持プレートと、少なくとも一つのコアから射出成形品を取り出すための少なくとも一つのストリッピングリングとを有し、少なくとも一つのストリッピングリングはコア保持プレートとダイ保持プレートとの間に配置されており、少なくとも一つのコアを少なくとも一つのダイに正確に整合するための少なくとも一つの調節可能なコアセンタリング装置が設けられた射出成形金型に関する。
【背景技術】
【0002】
容器状薄壁射出成形品、特にカップ、チューブ、チューブヘッド、細管、ボトルブランク、又は注射器の製造中、壁厚が均等であることが重要である。これは、容器の冷却中及び取り外し中に生じる壁厚の僅かな変化でも、容積の収縮が生じることにより容器の大きな変化に繋がるためである。
【0003】
このような射出成形品用のキャビティは、多くの場合、ダイ及びその中に配置されたコアによって形成される。従って、壁厚を均等にするため、成形金型の閉鎖方向に垂直な離間平面でのコアの位置は、キャビティ形成ダイに関して中央にあるように整合していなければならない。多キャビティ成形金型では、各コアは、この場合、別々にセンタリングされる。全てのキャビティで壁厚が均等な射出成形品を得ることができるようにするため、夫々のダイでコアを別々にセンタリングすることが重要である。
【0004】
例えば図1に示す射出成形金型等のこうした容器状薄壁射出成形品用の公知の射出成形金型は、少なくとも一つのキャビティ形成ダイユニット又はダイが固定されたダイ保持プレートと、少なくとも一つのキャビティ形成コアユニット又はコアが保持されたコア保持プレートと、コアユニットの凹所にぴったりと嵌着するように構成された、成形金型の開放後に完成した射出成形品をコアから取り出すため、閉鎖方向と逆方向に移動できるストリッピングリングとを含む。コア又はコアユニットは、コア保持プレート上で浮動態様でセンタリングを設定するように取り付けられており、ファスニング手段によってセンタリングが正しく行われた後にコア保持プレート上でのその位置が固定される。
【0005】
コアをダイに関して正確にセンタリングするため、ダイユニットとコアユニットとの間にコアセンタリング装置が配置される。コアセンタリング装置は、複数の、最大四つのセンタリングストリップを含む。これらのセンタリングストリップは、射出成形金型の閉鎖方向に対して傾斜したセンタリング面を有し、コアユニットの対応する傾斜を持つ接触面上に支持される。センタリングストリップの調節フィルムを追加することによって、又は減らすことによって、コアを関連したダイ内で正確にセンタリングできる。従って、各センタリングストリップは、コアユニットにセンタリング面を形成する。このセンタリング面は、ダイユニットのセンタリング面と対応する。コア及びダイが互いに関してセンタリングされると直ぐに、コアユニットをコア保持プレートに固定し、成形金型は射出成形品の製造の準備ができる。複数のコアユニットがある場合、個々のユニットを個々にセンタリングするため、隣接したコアユニット間に空隙が存在する。
【0006】
公知の構造には、1000kN又はそれ以上の大きな閉鎖力に耐えるため、ストリッピングリング及び特にコアセンタリング装置を持つストリッピングリングを取り囲むコアユニットの領域が十分に大きく且つ強固であるように寸法決めされていなければならないという欠点がある。このため、コアユニットの直径は、キャビティの寸法よりもかなり大きく、そのため、成形金型毎のキャビティの最大数に直接的影響が及ぼされる。
【0007】
別の欠点は、初期調節中又は再調節中、コアセンタリング装置にアクセスし難く、射出成形金型をある程度分解しなければならないということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、容器状薄壁射出成形品、特にカップ、チューブ、チューブヘッド、細管、ボトルブランク、又は注射器を製造するための、センタリングの調節が容易であり、単位面積当たりのキャビティの数を多くできる射出成形金型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の特徴を持つ射出成形金型によって達成される。容器状薄壁射出成形品、特にカップ、チューブ、チューブヘッド、細管、ボトルブランク、又は注射器を製造するための、少なくとも一つのキャビティを持つ射出成形金型は、少なくとも一つのキャビティ形成ダイ即ちダイユニットを持つダイ保持プレートと、キャビティ形成コアを備えた少なくとも一つのコアユニットを持つコア保持プレートと、少なくとも一つのコアから射出成形品を取り出すための少なくとも一つのストリッピングリングとを有し、少なくとも一つのストリッピングリングはコア保持プレートとダイ保持プレートとの間に配置されており、少なくとも一つのコアを少なくとも一つのダイに正確に整合するための少なくとも一つの調節可能なコアセンタリング装置が設けられている。ストリッピングリングは、ダイ保持プレートとコア保持プレートとの間に配置されたストリッピングプレートに浮動態様で保持されており、少なくとも一つの調節可能なコアセンタリング装置は、コアユニットとコア保持プレートとの間に配置されている。
【0010】
調節可能なコアセンタリング装置は、その結果、閉鎖方向でコア保持プレートとコアユニットとの間にストリッピングリングの後方に配置されており、及びかくして閉鎖方向と平行にコアを通って延びる中央軸線(コア軸線)に関してコアの近くに位置決めできる。これにより、コアユニットの全直径を小さくでき、多キャビティ射出成形金型の個々のキャビティを互いに近付けて配置できる。ストリッピングリングがストリッピングプレートに浮動態様で保持されているため、コアをダイ内で正確にセンタリングするためにコアユニットの変位に適合する。換言すると、コアユニット即ちコアは、コアユニットがダイ保持プレートによって前方でセンタリングされる従来技術とは異なり、コア保持プレートによって後方からセンタリングされる。
【0011】
本発明の説明では、調節可能なコアセンタリング装置は、壁厚が均等なキャビティを形成するため、分離平面でコアの位置をずらすことができ、ダイに対して中心に置くことができるコアセンタリング装置を意味する。これとは対照的に、固定プレートセンタリングユニットという用語は、閉鎖状態の射出成形金型の様々なプレートの分離平面での互いに関する位置をずれなしで決定するのに使用される装置を意味する。プレートセンタリングユニットの調節は行われない、又は可能でない。個々のプレートを互いに関して固定整合し、位置決めするため、固定プレートセンタリングユニットを使用する。調節可能なコアセンタリング装置は、コアをダイの内部で正確に調節するために使用される。閉鎖方向というのは、成形金型を閉鎖するときにコアをダイに対して押す方向を意味する。従って、前というのは、コアの前狭幅領域によって定義される。
【0012】
射出成形金型を開放するため、先ず最初に、ダイ保持プレートとストリッピングプレートとの間の第1離型線に沿って、ダイ保持プレートを、少なくとも一つのダイとともに、ストリッピングプレート及び少なくとも一つのコアユニットを持つコア保持プレートから分離する。その後、射出成形品をコアから外し、ストリッピングリングを使用してストリッピングプレートをストリッピングプレートとコア保持プレートとの間の第2離型線に沿って分離し、前進する。
【0013】
コアユニット又はコアは、閉鎖状態にある場合には、ストリッピングリング又はストリッピングプレートを通ってダイ内に延び、ダイとともにキャビティを形成する。キャビティは、更に、コアを取り囲む小さな領域で、ストリッピングリングによって形成される。射出成形ノズル又は射出成形領域は、前部、後部、又は側部に配置されていてもよい。
【0014】
少なくとも一つの第1固定プレートセンタリングユニットがダイ保持プレートとストリッピングプレートとの間に配置されていてもよく、少なくとも一つの第2固定プレートセンタリングユニットがストリッピングプレートとコア保持プレートとの間に配置されていてもよく、第1及び第2のプレートセンタリングユニットは、射出成形金型の閉鎖状態でのダイ保持プレート、ストリッピングプレート、及びコア保持プレートの互いに関する固定された所定の位置を定める。ダイ保持プレート、ストリッピングプレート、及びコア保持プレートは、かくして、離間平面で互いにしっかりと固定されており、この場合、ダイ内でのコアの位置は、調節可能なコアセンタリング装置によって正確に調節される。
【0015】
幾つかの実施例では、ストリッピングリングの外周面に沿って空隙が存在する。このようにして、ストリッピングリングは、コアのセンタリングを行うためにコアユニットを変位できるようにするため、分離閉鎖に移動可能に取り付けられている。
【0016】
幾つかの実施例では、少なくとも一つの調節可能なコアセンタリング装置は、コア保持プレートのストリッピングプレート側に配置されていてもよい。ストリッピングリング側構成では、射出成形金型が完全に開放されたとき、即ち保守中にストリッピングリングをダイ保持プレートの方向に一杯に前進したとき、射出成形金型を部分的に分解する必要なしに、コアの正確な調節を更新し又は補正するためにコアセンタリング装置にアクセスできる。
【0017】
幾つかの実施例では、ストリッピングリングは、少なくとも一つのファスニングエレメントを使用してストリッピングプレートに浮動態様で保持されていてもよい。ファスニングエレメントは、ダイ保持プレートとストリッピングプレートとの間に第1固定プレートセンタリングユニットを形成してもよい。ファスニングエレメントは、別の態様では、互いに平行に且つ分離平面と平行に配置された二つの固定ピンを含んでいてもよい。これらのピンは、ストリッピングリングを、二つの反対側で、例えば第1固定プレートセンタリングユニットによって、ストリッピングプレートに直接的に固定し、又はストリッピングプレートに間接的に固定する。固定ピンには十分な遊びがあり、そのためストリッピングリングはストリッピングプレートに浮動態様で取り付けられる。
【0018】
幾つかの実施例では、ストリッピングリングは、円錐形シール領域、即ちコアユニットの円錐形外面と相補的な円錐形内面を備えていてもよい。ストリッピングリング及びコアユニットは、この場合、射出成形金型の閉鎖中、ストリッピングリングがダイユニットを通して閉鎖方向に後方に押され、従って、コアユニットに密閉態様で押し付けられるように形成されている。これを行うため、ストリッピングリングの円錐形内面には、射出成形金型の閉鎖中に円錐形内面によってコアユニットの円錐形外面に密封態様で押し付けられるように、コアユニットの円錐形外面に対して予応力が加えられていてもよい。換言すると、ストリッピングリングは、前部の大きさが僅かに過大であってもよく、そのため射出成形金型が閉鎖状態にある場合には、ダイユニットを通して後方に押され、プロセス中にコアユニットの円錐形シール面に密閉態様で押し付けられる。次いで、ストリッピングリングによって後領域がある程度限定されたキャビティを密閉態様で閉鎖する。一般的には、射出成形金型が閉鎖状態にある場合でも、ストリッピングリングとストリッピングプレートとの間及び閉鎖方向でのストリッピングリングの後端とコア保持プレート、コアユニット又は調節可能なコアセンタリング装置との間に空隙が存在する。仮に成形金型が閉鎖している場合、ストリッピングリングは、コア保持プレート又はコアユニットに常に押し付けられる(即ちもはや空隙は存在しない)。この場合、ストリッピングリング6がコアの位置を更に安定させる。
【0019】
幾つかの実施例では、少なくとも一つの調節可能なコアセンタリング装置は、コアユニットを中心として等間隔に配置された、傾斜したセンタリング面を持つ四つのセンタリングストリップを備えていてもよい。
【0020】
幾つかの実施例では、ストリッピングリングは、射出成形品をコアから取り出すため、前方に変位可能なストリッピングプレートによって同伴されるように、外側に包囲ストップ備えていてもよい。ストリッピングリング用のファスニングエレメントは、この包囲ストップに同様に作用できる。
【0021】
本発明を添付図面と関連して例示の実施例に基づいて以下に更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、コアユニットとダイユニットとの間にコアセンタリング装置を持つ従来技術による射出成形金型の断面図である。
図2図2は、コア側コアセンタリング装置及び浮動ストリッピングリングを持つ射出成形金型の断面図である。
図3図3は、コアセンタリング装置の平面図である。
図4図4は、コア側コアセンタリング装置及び浮動ストリッピングリングを持つ射出成形金型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、従来技術による射出成形金型の断面図を示す。射出成形金型は、キャビティ形成ダイ3’を形成する少なくとも一つのダイユニット3を持つダイ保持プレート2(表示のみ)と、キャビティ形成コア5’を形成する少なくとも一つのコアユニット5を持つコア保持プレート4(表示のみ)と、ストリッピングリング6とを含む。ストリッピングリング6は、コアユニットのコア形成領域と周囲領域との間の凹所に確実に嵌着するように配置されている。そのため、射出成形品を取り出すために作動装置8によってコア5’に沿って前進させることができる。コアユニット5はコア保持プレート4に浮動態様で取り付けられており、センタリングを行った後に固定できる。コア5’をダイ3’内で正確にセンタリングするため、コアユニット5の周囲領域とダイユニット3の周囲領域との間に調節可能なコアセンタリング装置7が配置されている。
【0024】
図2は、コア側コアセンタリング装置7及び浮動ストリッピングリング11を持つ射出成形金型の断面図を示す。この射出成形金型は、ダイ保持プレート2、コア保持プレート4、及びストリッピングプレート10を含む。ダイ保持プレート2は、キャビティ形成ダイ3’を持つ少なくとも一つのダイユニット3を保持する。コア保持プレート4は、キャビティ形成コア5’を持つ少なくとも一つのコアユニット5を保持する。ストリッピングプレート6は、ストリッピングリング10に浮動態様で取り付けられている。成形金型の閉鎖状態において、各場合で一つのコア5’及び一つのダイ3’がキャビティ1を形成する。このキャビティは、更に、後領域がストリッピングリング6によって更に形成されている。この場合、コアユニット5又はコア5’の部品がストリッピングリング6を通ってダイ3’内に達している。
【0025】
図示の射出成形金型では、調節可能なコアセンタリング装置7は、コアユニット5を中心として等間隔に配置された複数の、好ましくは4つのセンタリングストリップ18を有する(図3参照)。センタリングストリップ18は、傾斜したセンタリング面19を有する。このセンタリング面19は、各場合において、コアユニット5の傾斜したセンタリング面と相補的である。センタリングストリップ18は、コア保持プレート4に螺着固定できる。正確にセンタリングするため、その後、各場合において、コア5’が所望の通りにセンタリングされるまで、向き合ったセンタリングストリップ18、18’の後側に調節フィルムを挿入し又は取り出す。
【0026】
少なくとも一つの第1固定プレートセンタリングユニット11がダイ保持プレート2とストリッピングプレート10との間に配置されている。これは、射出成形金型が閉鎖状態にある場合に二つのプレートの所定の整合を決定する。第2固定プレートセンタリングユニット12がストリッピングプレート10とコア保持プレート4との間に配置されている。これは、射出成形金型が閉鎖状態にある場合にこれらの二つのプレートの所定の整合を決定する(図2及び図4に破線で示す)。従って、射出成形金型が閉鎖状態にある場合には、ダイ保持プレート2、ストリッピングプレート10、及びコア保持プレート4の互いに関する相対位置は固定されている。ダイ3’内でのコア5’の正確なセンタリングは、実際には、調節可能なコアセンタリング装置7によって行われる。固定プレートセンタリング装置11、12は、同様に、傾斜したセンタリング面を有する。これらのセンタリング面は、各場合において、個々のプレート2、4、10間で相補的である。
【0027】
図2に示す射出成形金型では、ストリッピングリング6は、前領域に周囲包囲ストップ20即ちフランジを有する。ストップ20の一方の側は、ストリッピングプレート10の肩部に係合しており、そのため、ストリッピングプレート10をコア5’に沿って前進することによって射出成形品を取り出すため、ストリッピングリング7を前方に同伴する。ストップ20の他方の側は、ファスニングエレメント13によってストリッピングプレート10に浮動態様で保持される。ファスニングエレメント13は、これと同時に、第1プレートセンタリングユニット11を形成する。
【0028】
コアユニット5は、コア5’と隣接して円錐形外面14を有する。この円錐形外面14は、ストリッピングリング6の円錐形内面と相補的である。ストリッピングリング6の円錐形内面には、コアユニットの円錐形外面15に対して予応力が加えられている(即ち前部の寸法が僅かに大きいように形成されている)。そのため、ダイユニット3’による射出成形金型の閉鎖中にその円錐形内面15がコアユニット5の円錐形外面14に押し付けられる。ストリッピングリングの外周面に沿って、即ちストリッピングリング6とストリッピングプレート10との間に小さな空隙17が存在する。射出成形金型が開放状態にある場合には、ストリッピングリング6の後領域とコア保持プレート4又はコアセンタリング装置7又はコアユニット5との間に空隙が存在する。この空隙は、比較的小さいけれども閉鎖状態でも存在する。射出成形金型が閉鎖された場合、ストリッピングリング6は、コア保持プレート4又はコアユニット5に常に押し付けられる(即ちもはや空隙は存在しない)。この場合、ストリッピングリング6が、コア5’の位置を更に安定化してもよい。
【0029】
図4は、同様に、コア側コアセンタリング装置7及び浮動ストリッピングリング11を持つ射出成形金型の断面図を示す。ストリッピングリング11は、図2の射出成形金型と比較すると、互いに及び射出成形金型の離間平面と平行に配置された二つの固定ピン21、21’によってストリッピングプレート10に保持されている。固定ピン21、21’には、ストリッピングリングを確実に浮動取り付けするが、射出成形品をコアから取り出した後、浮動取り付けされたストリッピングリングが脱落しないようにするため、十分な遊びがある。図示の実施例では、固定ピン21、21’は第1固定プレートセンタリングユニット11に保持されている。第1プレートセンタリングユニット11は、ストリッピングプレート10に取り付けられている。ストリッピングプレート10に直接的に取り付けることもできる。更に、固定ピン21、21’は、ストリッピングリング6を捩じれないように固定する。
【0030】
コア5をセンタリングするためにコアユニット5’が移動できるようにするため、コアユニットの外周面に沿って、即ちコアユニット5と固定プレートセンタリングユニット11との間に周囲空隙22が存在する。
【符号の説明】
【0031】
1 キャビティ
2 ダイ保持プレート
3、3’ ダイユニット/ダイ
4 コア保持プレート
5、5’ コアユニット/コア
6 ストリッピングリング
7 調節可能なコアセンタリング装置
8 作動装置
10 ストリッピングプレート
11 第1固定プレートセンタリングユニット
12 第2固定プレートセンタリングユニット
13 ファスニングエレメント
14 円錐形外面
15 円錐形内面
16 ストリッピングリング後端
17 空隙
18 センタリングストリップ
19 傾斜したセンタリング面
20 ストップ
21、21’ 固定ピン
22 空隙
A 閉鎖方向
図1
図2
図3
図4