特許第6903750号(P6903750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6903750ウェーハ複合体に半導体チップを製造するための加熱装置、方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903750
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】ウェーハ複合体に半導体チップを製造するための加熱装置、方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20210701BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20210701BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20210701BHJP
   H05B 6/02 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   H01L21/02 Z
   H05B6/10 381
   H05B6/02 Z
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-519401(P2019-519401)
(86)(22)【出願日】2017年10月11日
(65)【公表番号】特表2020-500418(P2020-500418A)
(43)【公表日】2020年1月9日
(86)【国際出願番号】EP2017075931
(87)【国際公開番号】WO2018069387
(87)【国際公開日】20180419
【審査請求日】2019年6月10日
(31)【優先権主張番号】102016119328.3
(32)【優先日】2016年10月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス リントベアク
【審査官】 宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/024762(WO,A1)
【文献】 特表2013−503464(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0259879(US,A1)
【文献】 特開2012−156111(JP,A)
【文献】 特開2014−026884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/02
H05B 6/02
H05B 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハ複合体(201)に半導体チップを製造するための加熱装置(100)であって、
前記半導体チップの前記製造の際に、前記ウェーハ複合体(201)における前記半導体チップの面(E2)に対して平行に配置可能な加熱面(E1)と、
基準点(x)を基準にして実質的に半径方向において前記加熱面(E1)内に延在する第1の加熱ユニット(110)と、
前記基準点(x)の周りに、円形、円に似た形状、または螺旋形状に延在しかつ前記加熱面(E1)内に配置されている第2の加熱ユニット(120)とを有しており、
前記第1の加熱ユニット(110)は、前記半径方向(R)に、または実質的に半径方向(R)に互いに隣り合って配置されておりかつ前記基準点(x)に対してそれぞれあらかじめ設定される距離を有する複数の誘導式加熱素子(111、112、113、114、115)を有
前記誘導式加熱素子(111、112、113、114、115)は、前記ウェーハ複合体(201)の支持体(203)にうず電流を形成する電磁石または永久磁石として構成されている、
加熱装置(100)。
【請求項2】
前記誘導式加熱素子(111、112、113、114、115)の磁極が、前記加熱面(E1)に対して垂直に、または実質的に垂直に配向されている、請求項1記載の加熱装置(100)。
【請求項3】
前記第1の加熱ユニット(110)は、複数の誘導式加熱素子(111、112、113、114、115)を有しており、
前記誘導式加熱素子(111、112、113、114、115)は、それぞれ隣り合う前記加熱素子(111、112、113、114、115)が、前記半径方向(R)に、あらかじめ設定されるオフセットを互いに有するように、前記半径方向(R)に対して横に互いに隣り合って配置されている、請求項1または2記載の加熱装置(100)。
【請求項4】
前記第2の加熱ユニット(120)は、少なくとも1つの加熱螺旋体(121、122、123)を有する、請求項記載の加熱装置(100)。
【請求項5】
ウェーハ複合体(201)に半導体チップを製造する方法において、
ウェーハ面(E2)および基準点(x)を備え、かつ前記ウェーハ面(E2)に少なくとも1つのウェーハ複合体(201)を収容するように構成されている支持体(203)を準備し、
加熱面(E1)と、前記基準点(x)に対して横にオフセットされて前記加熱面(E1)内に配置されている第1の加熱ユニット(110)とを有し、かつ前記加熱面(E1)が前記ウェーハ面(E2)に対して平行に配置されている加熱装置(100)を準備し、
前記支持体(203)の前記ウェーハ面(E2)内に少なくとも1つのウェーハ複合体(201)を配置し、
前記加熱面(E1)および前記ウェーハ面(E2)に対して垂直に伸びかつ前記基準点(x)を通る軸の周りに、前記支持体(203)および前記加熱装置(100)を互いに相対的に回転させ、
前記支持体(203)の温度に影響が及ぼされるように前記第1の加熱ユニット(110)を制御し、
前記ウェーハ面(E2)に対して相対的な、少なくとも1つの前記ウェーハ複合体(201)の湾曲を表す湾曲特性値を特定するために湾曲センサを準備し、
前記湾曲特性値に依存して前記第1の加熱ユニット(110)を制御する、ウェーハ複合体(201)に半導体チップを製造する方法。
【請求項6】
前記加熱装置(100)は、前記基準点(x)の周りに円形、円に似た形状、または螺旋形状に延在しかつ前記加熱面(E1)内に配置されており、かつ少なくとも1つの加熱螺旋体(121、122、123)を含む第2の加熱ユニット(120)を有しており、
前記方法では、
前記支持体(203)の温度に影響を及ぼすように前記第2の加熱ユニット(120)を制御する、請求項記載の方法。
【請求項7】
前記支持体(203)の前記ウェーハ面(E2)における少なくとも1つの局所的な温度を表す温度特性値を準備し、
前記温度特性値に依存して前記第1の加熱ユニット(110)を制御する、請求項またはのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記温度特性値を特定する温度センサを準備する、請求項記載の方法。
【請求項9】
前記支持体(203)および前記加熱装置(100)を、あらかじめ設定される回転速度で互いに相対的に回転させ、
前記方法において、
前記回転速度に依存して前記第1の加熱ユニット(110)を制御する、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記第1の加熱ユニット(110)には、半径方向(R)に、または実質的に半径方向(R)に互いに隣り合って配置されておりかつ前記基準点(x)に対してそれぞれあらかじめ設定される距離を有する複数の誘導式加熱素子(111、112、113、114、115)が含まれており、
前記方法において、
前記誘導式加熱素子(111、112、113、114、115)を、それぞれあらかじめ設定される、前記基準点(x)との距離に依存して制御する、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの前記ウェーハ複合体(201)の位置による温度の不均一が最小化されるように前記第1の加熱ユニット(110)を制御する、請求項から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
ウェーハ複合体(201)に半導体チップを製造するシステム(300)であって、
ウェーハ面(E2)および基準点(x)を備え、かつ少なくとも1つのウェーハ複合体(201)を収容するために前記ウェーハ面(E2)に構成されている支持体(203)と、
加熱面(E1)と、前記基準点(x)に対して横にオフセットされて前記加熱面(E1)内に配置されている第1の加熱ユニット(110)とを有し、かつ前記加熱面(E1)が、前記ウェーハ面(E2)に対して平行に配置されている加熱装置(100)と、
前記加熱面(E1)および前記ウェーハ面(E2)に対して垂直に伸びかつ前記基準点(x)を通る軸の周りに、前記支持体(203)および前記加熱装置(100)を互いに相対的に回転させるように構成された回転素子(301)と、
前記支持体(203)の温度に影響が及ぼされるように前記第1の加熱ユニット(110)を制御するように構成された制御装置(303)とを有しており、
前記第1の加熱ユニット(110)は、基準点(x)を基準にして実質的に半径方向に前記加熱面(E1)内に延在しており、
前記第1の加熱ユニット(110)には、前記半径方向(R)に、または実質的に前記半径方向(R)に互いに隣り合って配置されておりかつ前記基準点(x)に対してそれぞれあらかじめ設定される距離を有する複数の誘導式加熱素子(111、112、113、114、115)が含まれており、
前記誘導式加熱素子(111、112、113、114、115)は、前記ウェーハ複合体(201)の前記支持体(203)にうず電流を形成する電磁石または永久磁石として構成されており
前記加熱装置(100)は、前記基準点(x)の周りに円形、円に似た形状、または螺旋形状に延在しかつ前記加熱面(E1)内に配置されている第2の加熱ユニット(120)を有している、ウェーハ複合体(201)に半導体チップを製造するシステム(300)。
【請求項13】
記第2の加熱ユニット(120)は、少なくとも1つの加熱螺旋体(121、122、123)を有しており、前記制御装置(303)は、前記支持体(203)の温度に影響が及ぼされるように前記第2の加熱ユニット(120)を制御するように構成されている、請求項12記載のシステム(300)。
【請求項14】
前記支持体は、導電性材料から構成されている、請求項12または13のいずれか1項記載のシステム(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この本願は、独国特許出願公開第102016119328号明細書(DE 102016119328.3)の優先権を主張するものであり、その開示内容は、参照によってこの明細書に取り入れられるものとする。
【0002】
本発明は、ウェーハ複合体に半導体チップを製造するための加熱装置と、ウェーハ複合体に半導体チップを製造するための、対応する方法およびシステムとに関する。
【0003】
ウェーハ複合体に半導体チップを製造する際のウェーハ複合体の局所的な温度差は、半導体チップの不均一な性能を生じさせることがある。例えば、不均一な温度分布下で発光ダイオードチップを製造する際には、このようにして製造される発光ダイオードチップの動作時の波長のずれおよび/または輝度への影響を計算に入れておく必要がある。
【0004】
したがって本発明の根底にある課題は、製造時にウェーハ複合体の温度に局所的な影響を正確に及ぼすのに有効な、ウェーハ複合体に半導体チップを製造するための加熱装置と、対応する方法およびシステムとを提供することである。
【0005】
この課題は、独立請求項によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、ウェーハ複合体に半導体チップを製造するための加熱装置に関する。半導体チップは、特に、発光ダイオードチップのようなオプトエレクトロニクス半導体チップであってよい。ウェーハ複合体は、製造の枠内において、例示的にはディスク状の複合体に配置されている少なくとも1つの半導体チップ、好ましくは複数の半導体チップを有する。
【0007】
加熱装置は、特に、少なくとも1つの半導体チップの製造時にウェーハ複合体の温度に影響を及ぼす装置である。この加熱装置は、有利には、製造の一プロセスステップにおいて複数のウェーハ複合体の温度に同時に影響を及ぼすように構成されていてよい。例えば、この関連において、1つまたは複数のウェーハ複合体が、加熱装置によって加熱される1つの支持体に配置される。このプロセスステップは、例えば、少なくとも1つの半導体チップを製造する際に1つまたは複数のエピタキシャル層を設けることであってよい。
【0008】
第1の態様の有利な一実施形態において、加熱装置は、加熱面を有しており、かつこの加熱面が、半導体チップの製造時に、ウェーハ半導体の半導体チップの面に対して平行に配置可能であるように構成される。
【0009】
ここでこの加熱面は、特に、加熱装置の側方へ広がる面と理解してよい。ウェーハ複合体の半導体チップの面とは、ウェーハ複合体の側方へ広がる面のことであり、つまりディスク状に構成されるウェーハ複合体の場合にはディスクの面のことである。加熱面に対して平行にウェーハ複合体を配置することにより、特に、ウェーハ複合体の温度に平面的に影響が及ぼされる。
【0010】
第1の態様の別の有利な一実施形態において、加熱装置は、さらに、基準点を基準にして実質的に半径方向に加熱面内に延在する第1の加熱ユニットを有する。
【0011】
基準点を基準にして実質的に半径方向に加熱面内に延在するとは、加熱面内の面領域であって、半径方向における第1の延在成分と、半径方向と交差する方向における第2の延在成分とを有しており、第1の延在成分が、第2の延在成分と大きさが同じであるかそれ以上である面領域を有することである。特に第1の延在成分は、第2の延在成分よりも、数倍、つまり少なくとも2倍、特に少なくとも4倍、好ましくは、少なくとも10倍は大きい。すなわち、上記の支持体に対して平行に加熱装置を位置固定に配置した際には、第1の加熱ユニットは、特に支持体の一部分領域だけを覆う。
【0012】
第1の態様の別の有利な一実施形態において、加熱装置は、半導体チップの製造の際に、ウェーハ複合体の半導体チップの面に対して平行に配置可能な加熱面を有する。加熱装置は、さらに、基準点を基準にして実質的に半径方向に加熱面内に延在する第1の加熱ユニットを有する。
【0013】
有利には、これにより、ウェーハ複合体を半径方向に所期のように加熱することができる。したがって、実質的に対称な放射形状、円形、円に似た形状、または螺旋形状に配置される、加熱コイルなどの加熱素子だけを有する加熱装置とは異なり、比較的迅速にかつ局所的に正確にウェーハ複合体の温度に影響を及ぼすことができる。特に、ウェーハ複合体または支持体を基準にして、加熱装置をこれらから回転できる場合には、上記の対称な放射形状、円形、円に似た形状、または螺旋形状の加熱素子とは異なり、接線方向にも、もしくは全面にわたってウェーハ複合体の温度に正確に影響を及ぼすことが可能である。
【0014】
第1の態様の有利な一実施形態において、第1の加熱ユニットは、ウェーハ複合体の支持体を加熱する少なくとも1つの誘導式加熱素子を有する。
【0015】
特に、第1の加熱ユニットは、複数の誘導式加熱素子を有しており、ここでは、第1の加熱ユニットは、実質的に半径方向に延在している。例えば、誘導式加熱素子は、このために、基準点から加熱装置の縁部に向かって延在する、加熱面の長く延びた面領域に配置されている。
【0016】
例えば、この少なくとも1つの誘導式加熱素子は、電磁石または永久磁石である。少なくとも1つの誘導式加熱素子は、特に、ウェーハ複合体について、時間に依存して変化する磁場を供給するように構成されている。例えば、電磁石として構成される少なくとも1つの誘導式加熱素子は、このために高周波で変調可能に構成される。代替的にまたは補足的には、複数の誘導式加熱素子が横に隣り合って配置されることも考えられ、これらの加熱素子により、ウェーハ複合体もしくは支持体を基準にして加熱装置を回転した際に上記の変調が行われる。例えば、このために、回転方向において横に隣り合う誘導式加熱素子は、それぞれ逆の極性で配向される。
【0017】
有利には、これにより、加熱装置に対して平行に配置される導電性材料において、うず電流損失を形成することができる。ウェーハ複合体の支持体が導電性材料から構成されている場合、支持体およびウェーハ複合体をこれによって効率的に加熱することができる。
【0018】
第1の態様の別の有利な一実施形態では、少なくとも1つの誘導式加熱素子は、ウェーハ複合体の支持体にうず電流を形成する電磁石として構成され、それらの磁極は、加熱面に対して垂直に、または実質的に垂直に配向される。
【0019】
第1の態様の別の有利な一実施形態において、第1の加熱ユニットは、半径方向において互いに隣り合って配置されている複数の誘導式加熱素子を有する。誘導式加熱素子は、基準点に対してそれぞれあらかじめ設定される距離を有する。
【0020】
有利には、これにより、ウェーハ複合体もしくは支持体を半径方向に所期のように加熱することができる。特に、この際には、加熱の極めて細かな位置分解能を、例えば5mm〜20mmの分解能を半径方向に生じさせることができる。ここでは個々の誘導式加熱素子によってそれぞれ供給される磁場の強度および/または変調周波数は、あらかじめ設定される距離に依存して個別に選択することが可能である。
【0021】
第1の態様の別の有利な一実施形態において、第1の加熱ユニットは、半径方向に対して横に互いに隣り合って配置されている複数の誘導式加熱素子を有する。誘導式加熱素子は、ここでは、それぞれ隣り合う加熱素子が、半径方向において、あらかじめ設定されるオフセットを互いに有するように配置される。
【0022】
有利には、これにより、加熱の極めて細かな位置分解能が半径方向に可能になる。例えば、加熱装置は、半径方向に隣り合う複数の誘導式加熱素子の2つまたはそれ以上の列を有し、これらの誘導式加熱素子は、それぞれ互いにあらかじめ設定されるオフセットを有する。
【0023】
第1の態様の別の有利な一実施形態において、加熱装置は、基準点の周りに円形、円に似た形状、または螺旋形状に延在しかつ加熱面内に配置されている第2の加熱ユニットを有する。
【0024】
特に第2の加熱ユニットは、実質的に円形、楕円形、円筒状または螺旋形状に構成された1つまたは複数の加熱素子を有するか、またはこれらから構成されることが可能である。例えば、第2の加熱ユニットの加熱素子は、基準点に対して対称な放射形状または実質的に対称な放射形状に配置される。第1の加熱ユニットとは異なり、第2の加熱ユニットは、加熱装置の位置固定の配置において、支持体に対して平行に、支持体の少なくとも大部分を覆う。
【0025】
有利には、これにより、ウェーハ複合体または支持体の、コストがかからず、一定でかつ平面的な加熱が可能になる。
【0026】
第1の態様の別の有利な一実施形態において、第2の加熱ユニットは、少なくとも1つの加熱螺旋体を有する。
【0027】
第2の態様によれば、本発明は、ウェーハ複合体に半導体チップを製造する方法に関する。この方法では、ウェーハ面および基準点を備えた支持体を準備する。この支持体は、ウェーハ面に少なくとも1つのウェーハ複合体を収容するように構成されている。
【0028】
さらに、加熱面と、第1の加熱ユニットとを有する加熱装置を準備する。第1の加熱ユニットは、基準点に対して横にオフセットされて加熱面内に配置されている。加熱装置は、その加熱面がウェーハ面に対して平行に配置されている。
【0029】
この方法では、支持体のウェーハ面内に少なくとも1つのウェーハ複合体を配置する。加熱面およびウェーハ面に対して垂直に伸びかつ基準点を通る軸の周りに、支持体および加熱装置を互いに相対的に回転させる。支持体の温度に影響が及ぼされるように第1の加熱ユニットを制御する。
【0030】
加熱装置は、例えば、基準点を基準にして横に、あらかじめ設定されるオフセットで配置されるただ1つの電磁石だけを備えた第1の加熱ユニットを有していてよく、これにより、基準点の周りでオフセットに沿ってウェーハ複合体の温度が不均一になることが解消される。しかしながら、特に、第1の加熱ユニットは、基準点を基準にして半径方向に隣り合って配置される複数の誘導式加熱素子を有する。加熱ユニットとして、第2の態様の方法に適しているのは、特に有利には、第1の態様の加熱装置である。したがって第1の態様の加熱装置に関連して開示したすべての特徴は、第2の態様の方法にも転用され、またこの逆にも転用される。
【0031】
有利にはこの方法により、接線方向にウェーハ複合体を所期のように加熱することができる。実質的に対称な放射形状、円形、円に似た形状、または螺旋形状に配置される、加熱螺旋体のような加熱素子だけを有する加熱装置とは異なり、ここでは、ウェーハ複合体の温度に比較的迅速に影響を及ぼすことができる。特に、第1の加熱ユニットが、実質的に、基準点を基準にして半径方向に加熱面内に延在している場合、ウェーハ複合体の温度に、全面にわたって正確に影響を及ぼすことができる。
【0032】
第2の態様の有利な一実施形態において、加熱装置は、基準点の周りに円形、円に似た形状、または螺旋形状に延在しかつ加熱面内に配置されている第2の加熱ユニットを有する。第2の加熱ユニットは、少なくとも1つの加熱螺旋体を含む。この方法では、支持体の温度に影響を及ぼすように第2の加熱ユニットを制御する。
【0033】
第2の態様の有利な一実施形態では、支持体のウェーハ面における少なくとも1つの局所的な温度を表す温度特性値を準備する。この温度特性値に依存して第1の加熱ユニットを制御する。
【0034】
温度特性値は、例えば、半導体チップの製造のそれぞれプロセスステップにおける温度測定値の統計的な評価の推定値または結果であってよい。有利には、温度特性値に依存して第1の加熱ユニットを制御することにより、少なくとも1つのウェーハ複合体の局所的な温度を所期のように設定することができる。したがって特に、例えば、支持体上の少なくとも1つのウェーハ複合体の載置領域において、それぞれウェーハ複合体の残りの領域について発生する温度むらのような典型的な温度むらを解消することができる。
【0035】
第2の態様の別の有利な一実施形態では、温度特性値を特定する温度センサを準備する。
【0036】
したがって有利には、少なくとも1つのウェーハ複合体の局所的な温度を、特に正確に設定することができる。温度センサは、例えば赤外線カメラであってよい。
【0037】
第2の態様の別の有利な一実施形態では、湾曲特性値を特定する、湾曲センサを準備する。湾曲特性値は、ウェーハ面に対して相対的に少なくとも1つのウェーハ複合体の湾曲を表す。この方法では、湾曲特性値に依存して第1の加熱ユニットを制御する。
【0038】
有利には、これにより、少なくとも1つのウェーハ複合体の局所的な温度を正確に、しかも実質的にその湾曲に依存せずに設定することができる。ここでは湾曲として、特に、それぞれのウェーハ複合体の、支持体側へのまたは反対側への膨らみが問題となる。典型的には、このような湾曲は、エピタキシャル層を設ける際のそれぞれのプロセスステップに依存して変化する。
【0039】
湾曲特性値を特定するため、例えば、それぞれのウェーハ複合体に向けられるレーザビームの偏向を使用することができる。特に、この関連において、第1の加熱ユニットを制御する制御装置と、レーザビームを形成して測定する光学モジュールを有する測定システムとを接続することができる。それぞれのウェーハ複合体の膨らみが大きくなるのに伴い、それぞれウェーハ複合体の表面によって反射されるレーザビームは、例えば、平坦なウェーハ面によって反射されるレーザビームが当たる静止位置からさらに偏向される。このようなレーザビームの偏向に依存して、すなわち、反射されるレーザビームの、静止位置からの距離に依存して、それぞれウェーハ複合体の湾曲を推定することができる。特に、ここでは、それぞれウェーハ複合体の平均的もしくは全体的な湾曲が特定される。代替的には、例えば、平行なレーザビームのアレイを形成して測定することにより、局所的な膨らみを特定することも可能である。
【0040】
第2の態様の別の有利な一実施形態では、支持体および加熱装置を、あらかじめ設定される回転速度で互いに相対的に回転させる。この方法では、第1の加熱ユニットを回転速度に依存して制御する。
【0041】
有利には、これにより、少なくとも1つのウェーハ複合体の局所的な温度を正確に設定することができる。ここでは、半径方向における加熱の上記の細かな位置分解能を利用し、回転運動によって支持体全体に伝達することも可能である。このあらかじめ設定される回転速度は、例えば、半導体チップを製造するための、毎分1000〜3000回転の範囲の通常の回転速度であってよい。好ましくは、回転速度に同期して、第1の加熱ユニットの、特に個別の誘導式加熱素子の制御を行う。
【0042】
第2の態様の別の有利な一実施形態において、第1の加熱ユニットには、半径方向に、または実質的に半径方向に互いに隣り合って配置されておりかつ基準点に対してそれぞれあらかじめ設定された距離を有する複数の誘導式加熱素子が含まれている。この方法では、基準点に対するそれぞれのあらかじめ設定される距離に依存して、誘導式加熱素子を制御する。
【0043】
有利には、これにより、少なくとも1つのウェーハ複合体の局所的な温度を特に正確に設定することができる。例えば、この関連において、載置領域の温度むらおよび/またはそれぞれウェーハ複合体の湾曲による温度むらを解消することができる。
【0044】
第2の態様の別の有利な一実施形態では、少なくとも1つのウェーハ複合体の位置による温度の不均一が最小化されるように第1の加熱ユニットを制御する。
【0045】
特に、少なくとも1つのウェーハ複合体が、実質的に位置によらず一定の温度を有するように第1の加熱ユニットを制御する。有利には、これにより、製造される半導体チップの十分に均一な性能が可能になる。したがって、特に、発光ダイオードチップを製造する際には、製造される発光ダイオードチップの、動作時における波長のずれおよび/または輝度への影響を防止することができる。
【0046】
第2の態様の別の有利な一実施形態において、それぞれのウェーハ複合体は、半径方向に複数の仮想のセグメントに分割され、それぞれのセグメントには、少なくとも1つのウェーハ複合体の接線方向の温度経過もしくは湾曲経過を表す温度特性値および/または湾曲特性値が対応付けられる。それぞれのセグメントは、誘導式加熱素子に対応付けられる。加熱装置を基準とした支持体の配向に依存し、またそれぞれの温度特性値および/または湾曲特性値に依存して、少なくとも1つの誘導式加熱素子を制御し、これにより、それぞれのセグメントが、それぞれの誘導式加熱素子の位置に対応する位置において、あらかじめ設定されている目標値にそれぞれの温度特性値および/または湾曲特性値を局所的に調整する強度で加熱されるようにする。
【0047】
半径方向における分割は、例えば、それぞれのウェーハ複合体についての誘導式加熱素子の個数およびそれらの影響領域の個数に依存する。ここから、例えば、誘導式加熱素子の個数に対応する個数の、少なくとも1つのウェーハ複合体の接線方向の温度の推移もしくは湾曲の推移が得られ、これらの温度の推移もしくは湾曲の推移は、基準点の周りに延在しかつ半径方向に段階付けられて配置されている。
【0048】
第3の態様によれば、本発明は、ウェーハ複合体に半導体チップを製造するシステムに関する。このシステムは、ウェーハ面および基準点を備え、かつ少なくとも1つのウェーハ複合体を収容するためにウェーハ面内に構成されている支持体を有する。
【0049】
このシステムは、さらに、加熱面および第1の加熱ユニットを備えた加熱装置を有する。第1の加熱ユニットは、基準点に対して横にオフセットされて加熱面内に配置されている。加熱装置は、その加熱面が、ウェーハ面に対して平行に配置されている。
【0050】
このシステムは、さらに、加熱面およびウェーハ面に対して垂直に伸びかつ基準点を通る軸の周りに、支持体および加熱装置を互いに相対的に回転させるように構成された回転素子と、支持体の温度に影響が及ぼされるように第1の加熱ユニットを制御するように構成された制御装置とを有する。
【0051】
加熱装置は、例えば、基準点を基準にして横にあらかじめ設定されたオフセットで配置されるただ1つの電磁石だけを備えた第1の加熱ユニットを有していてよく、これにより、基準点の周りでオフセットに沿ってウェーハ複合体の温度が不均一になることが調整される。しかしながら、特に、第1の加熱ユニットは、基準点を基準にして半径方向に隣り合って配置される複数の誘導式加熱素子を有する。加熱ユニットとして、第3の態様のシステムに適しているのは、特に有利には、第1の態様の加熱装置である。したがって第1の態様の加熱装置に関連して開示したすべての特徴は、第3の態様のシステムにも転用され、またその逆にも転用される。
【0052】
制御装置は、特に、第2の態様の方法ステップを実行するように構成されている。したがって第2の態様の方法に関連して開示したすべての特徴は、第3の態様のシステムにも転用され、またその逆にも転用される。
【0053】
第3の態様の有利な一実施形態において、加熱装置は、円形に、円に似た形状で、または螺旋形状に基準点の周りに延在し、かつ加熱面に配置されている第2の加熱ユニットを有する。第2の加熱ユニットは、少なくとも1つの加熱螺旋体を有する。制御装置は、さらに、支持体の温度に影響が及ぼされるように第2の加熱ユニットを制御するように構成されている。
【0054】
第3の態様の有利な一実施形態において、支持体は、導電性材料から構成されている。特に支持体は、少なくとも、少なくとも1つのウェーハ複合体の領域にグラファイトを有するかまたはグラファイトから構成される。したがって有利には、第1の加熱ユニットによって支持体にうず電流損失を生じさせることができ、ひいてはそれぞれのウェーハ複合体を所期のように加熱することができる。
【0055】
以下では、概略図面に基づき、本発明の実施例を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1A】ウェーハ複合体に半導体チップを製造する例示的なシステムを示す図である。
図1B】ウェーハ複合体に半導体チップを製造する例示的なシステムを示す図である。
図1C】ウェーハ複合体に半導体チップを製造する例示的なシステムを示す図である。
図2A】ウェーハ複合体に半導体チップを製造するシステムの第1実施例を示す図である。
図2B】ウェーハ複合体に半導体チップを製造するシステムの第1実施例を示す図である。
図2C】ウェーハ複合体に半導体チップを製造するシステムの第1実施例を示す図である。
図3A】第1実施例のウェーハ複合体の局所的な温度経過を示す図である。
図3B】第1実施例のウェーハ複合体の局所的な温度経過を示す図である。
図4A】第1実施例のウェーハ複合体の歪みを示す図である。
図4B】第1実施例のウェーハ複合体の歪みを示す図である。
図5】ウェーハ複合体に半導体チップを製造するシステムの第3実施例を示す図である。
【0057】
同じ構成または同じ機能の要素には、複数の図に亘って、同じ参照符号が付されている。
【0058】
図1a〜図1cにより、ウェーハ複合体に半導体チップを製造する例示的なシステムが示されている。このシステムは、それぞれディスク状のウェーハ複合体201(図1c)を収容するように構成されている6個の凹部205を備えたディスク状の支持体203(図1a)を有する。それぞれのウェーハ複合体201は、その外側の縁部だけが、それぞれの凹部205の突出部に載置されている。この縁部内では支持体203と、それぞれのウェーハ複合体201との間に空隙があり、すなわち支持体203と、それぞれのウェーハ複合体201との間では直接の接触は行われない。
【0059】
さらにこのシステムは、加熱装置100(図1b)を有する。この加熱装置は、3つの加熱素子121、122、123を備えた加熱ユニット120を有しており、これらの加熱素子は、加熱面E1(図1c)内で、加熱装置100の中心の基準点xの周りに実質的に円形に延在している。加熱素子121、122、123は、特に加熱螺旋体である。
【0060】
このシステムにおいて、支持体203は、加熱面E1に対して平行なウェーハ面E2内のそれぞれのウェーハ複合体201と共に、加熱装置100の上に離隔されて配置されている(図1c)。それぞれのウェーハ複合体201は、加熱素子121、122、123の熱放射によって平面的に加熱することが可能であり、ここでは温度は、加熱素子121、122、123を流れる、対応するヒータ電流によって設定することが可能である。外側の加熱素子121、中間の加熱素子122および内側の加熱素子123は、それぞれ互いに独立して動作させることが可能である。しかしながら円形状の配置に起因して、接線方向に温度を設定することはできない。さらに加熱素子121〜123は、極めて緩慢にしか応答せず、高周波動作はできない。
【0061】
ウェーハ複合体201に半導体チップを製造する際、例えばエピタキシャル層を設ける際には、支持体203は、それぞれのウェーハ複合体201と共に、あらかじめ設定される回転速度で基準点xの周りに回転させられる。
【0062】
図2a〜図2cに基づき、ウェーハ複合体に半導体チップを製造するシステムの第1実施例を示す。このシステムは、前の実施例と同様に、それぞれ1つのウェーハ複合体201を収容する6個の凹部205を備えた支持体203を有しており、ウェーハ複合体201は、そのウェーハ面E2が、加熱装置100の上で加熱面E1に対して平行に配置されており(図2c)、基準点xの周りに回転する。
【0063】
しかしながら前の実施例とは異なり、第1実施例の加熱装置100は、基準点xから半径方向Rに延在する第1の加熱ユニット110を有する(図2a、図2b)。さらに、任意選択的には加熱装置100は、前の実施例と同様に、加熱素子121、122、123を備えた第2の加熱ユニット120を有する。
【0064】
図2aに示したように、第1の加熱ユニット110は、互いにオフセットされて配置された、誘導式加熱素子111、112、113、114、115の2つの列110a、110bを有しており、これらはそれぞれ、基準点xに対してあらかじめ設定される距離を有する。
【0065】
しかしながら別の実施例では、第1の加熱ユニット110が、誘導式加熱素子111〜115の列110aだけを有するか、または基準点xに対してオフセットされて配置されたただ1つの誘導式加熱素子113だけを有することも考えられる。
【0066】
誘導式加熱素子111〜115は、特に電磁石であり、これらの電磁石は、支持体203と加熱装置100との間の相対的な回転運動により、支持体203にうず電流が発生し、このうず電流により、支持体203およびそれぞれウェーハ複合体201の局所的な加熱が生じるように制御可能である。これに関連して支持体203は、グラファイトのような導電性材料から構成される。
【0067】
さらに電磁石は、これが、時間に依存して変化する磁場を、特に高周波で変調される磁場を形成するように制御されることが可能である。これにより、支持体203の局所的な加熱がさらに強化される。
【0068】
ここでは、磁場の強度および/または周波数を変調し、これにより、この変調に依存して局所的に正確でありかつ時間に依存する、支持体203の加熱を行うことが可能である。電磁石の変調は、特に、支持体203の回転速度に同期させることが可能である。特に好ましくは、回転角と、基準点xからの電磁石のそれぞれの距離とに依存して、それぞれの電磁石を別々に制御することができ、これにより、それぞれウェーハ複合体201の局所的な温度を正確に設定することができる。第1の加熱ユニット110は、それぞれのウェーハ複合体201の局所的な温度経過を適合もしくは均一化するために、例えば、第2の加熱ユニット120を補足するものとして使用することができる。
【0069】
図3aおよび図3bにはそれぞれ、図1a〜図2cによる6個のウェーハ複合体201のこのような局所的な温度経過が示されている。
【0070】
図3aには、例えば、図1a〜図1cの実施例にしたがってウェーハ複合体201を加熱した際に発生する、ウェーハ複合体201の全面にわたるウェーハ複合体201の局所温度の瞬時の記録が示されている。参照符号201aにより、ウェーハ複合体201の比較的低温の領域が、また参照符号201bにより、ウェーハ複合体201の比較的高温の領域が示されている。
【0071】
さらに、例示的に、基準点xに対してあらかじめ設定される距離(例えば130mm)にある温度センサ305が示されており、温度センサ305は、ウェーハ複合体201の温度の一部だけを記録し、かつ加熱装置100を基準にして空間的に固定されて配置されている。破線の矢印によって示されているように、支持体203は、前の図1a〜図2cと同様にウェーハ複合体201と共に回転し、これにより、局所的な温度経過が、回転角に依存し、温度センサ305により、矢印に沿って、図3bに示されているように検出される。
【0072】
個々のウェーハ複合体201の図示した温度の不均一を補償するために、ウェーハ複合体201の比較的冷たい領域201aが、付加的に加熱されるように第1の加熱ユニット110を制御することができる。基準点xに対してあらかじめ設定される距離が、図示した温度センサ305の距離にほぼ対応する誘導式加熱素子113の磁場を変調する制御信号は、図3bに示した温度経過に比例して選択することが可能である。別の誘導式加熱素子111、112、114および115に対する制御信号は、この場合、例えば、推定値に基づき、かつ/または図示した温度経過に依存して特定することが可能である。
【0073】
代替的にまたは補足的には、さらに、それぞれのウェーハ複合体201の湾曲が補償されるように第1の加熱ユニット110を動作させることできる。第1実施例に示したウェーハ複合体201のこのような歪みは、図4aおよび図4bに示されている。
【0074】
支持体203側にウェーハ複合体201が膨らむことにより(図4a)、支持体203と、ウェーハ複合体201との間の、凹部205における空隙が狭くなっており、これにより、図1a〜図1cの実施例にしたがって補償を行わずに加熱した際には、ウェーハ複合体201の中央領域は、ウェーハ複合体201の外側領域よりも強く加熱される。このように温度が不均一となることを補償するために、より広い空隙を有する、ウェーハ複合体201の領域が付加的に加熱されるように第1の加熱ユニット110を制御することができる。例示的には、誘導式加熱素子112、114によって形成される磁場よりも、強くかつ/または高い周波数の磁場が、誘導式加熱素子111、115によって形成され、誘導式加熱素子113が、遮断された動作状態になるように誘導式加熱素子111〜115を制御する。
【0075】
支持体203とは反対側にウェーハ複合体201が膨らんだ場合(図4b)、まったく逆にする。この場合には、例示的に、誘導式加熱素子113によって形成される磁場よりも弱くかつ/または低い周波数の磁場が誘導式加熱素子112、114によって形成され、誘導式加熱素子111、115が、遮断された動作状態になるように誘導式加熱素子111〜115を制御する。
【0076】
図5には、ウェーハ複合体201に半導体チップを製造するシステム300の第2実施例が略示されている。システム300では、前の実施例と同様に、加熱装置100と、ウェーハ複合体201を有する支持体203とが、互いに対して平行かつ回転可能に配置されている。ここでは、あらかじめ設定される回転速度で支持体203を回転させる回転素子301がシステム300に割り当てられている。さらに、システム300は、第1の加熱ユニット110を制御するように構成された制御装置303を有する。
【0077】
システム300は、さらに、1つまたは複数の温度センサ305を有する。さらに、図4aおよび図4bの湾曲を特定するため、湾曲センサ307が使用される。センサ305、307は、出力側が制御装置303に接続されている。誘導式加熱素子111〜115の制御は、例えば、検出した温度および湾曲に依存して、特に回転速度に同期して行われる。
【0078】
本発明は、実施例に基づく上記の説明により、これに制限されることはない。むしろ本発明には、あらゆる新規の特徴的構成および特に、特許請求の範囲の複数の特徴的構成のあらゆる組み合わせを含む複数の特徴的構成のあらゆる組み合わせが含まれているのであり、このことは、この特徴的構成またはこの組み合わせそのものが、特許請求の範囲または実施例に明示的に記載されていない場合であっても当てはまるものである。
【符号の説明】
【0079】
100 加熱装置
110 第1の加熱ユニット
110a、110b 電磁石の列
111〜115 加熱素子
120 第2の加熱ユニット
121〜123 加熱素子
E1 加熱面
E2 ウェーハ面
201 ウェーハ複合体
201a 比較的低温の領域
201b 比較的高温の領域
203 支持体
x 基準点
300 システム
301 回転素子
303 制御装置
305 温度センサ
307 湾曲センサ
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5