特許第6903779号(P6903779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6903779
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】拭き取り用液体組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20210701BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20210701BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20210701BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20210701BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   A61K8/19
   A61K8/25
   A61K8/34
   A61K8/39
   A61Q1/14
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-33315(P2020-33315)
(22)【出願日】2020年2月28日
【審査請求日】2020年3月13日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507281937
【氏名又は名称】株式会社コスモビューティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中條 明
(72)【発明者】
【氏名】穂園 健治
(72)【発明者】
【氏名】本庄 智也
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−015407(JP,A)
【文献】 特開2013−155161(JP,A)
【文献】 特開2011−037782(JP,A)
【文献】 特開2009−007266(JP,A)
【文献】 特開2010−070521(JP,A)
【文献】 特開2014−181206(JP,A)
【文献】 特開2016−124866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
C11D 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(1)〜(4)を含有する、メイク汚れ拭き取り用液体組成物、
(1)ホウケイ酸系物質に、酸化銀または銀イオン化した物質を均一に分散させた組成物を水と配合後、加熱、ろ過して得られる、銀濃度が重量ベースで0.01〜100ppmである銀イオン水を1〜10質量%、
(2)二価アルコールを4〜11質量%、ここで、該二価アルコールは、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール及び1,2−ペンタンジオールからなる、
(3)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを1.5〜8質量%、
(4)水を80〜93質量%、
ここで、該液体組成物は、両性界面活性剤を含有せず、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル以外のノニオン性界面活性剤を含有しない
(但し、揮発性炭化水素油及びアクリル系高分子を含有する液体組成物、ベタイン化合物を含有する液体組成物、未中和のアニオン性界面活性剤を含有する液体組成物、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリオキシエチレン(8)ポリオキシプロピレン(5)ポリオキシブチレン(3)グリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(14)ジグリセリルエーテル及びコハク酸ビスエトキシジグリコールから選ばれる少なくとも1種を含有する液体組成物を除く)。
【請求項2】
前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルが、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル及びポリオキシエチレン(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拭き取り用液体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、様々なクレンジング剤が知られており、例えば、皮膚に適用した後に水で洗い流すタイプ、洗い流しが不要な拭き取りタイプが知られている。
【0003】
拭き取りタイプのクレンジング剤は、メイクを除去する際に水で洗い流す手間を省くことができる点で、多忙である、メイクを部分的に直したい、水を入手し難いといった様々な状況下において使い勝手が良い。一方、クレンジング剤は、顔等の皮膚に適用されることから、メイクを除去しながらも皮膚への悪影響が少なく、保存安定性に優れる等の、メイク除去以外の効果も備えていることが一層望ましいといえる。
【0004】
拭き取りタイプのクレンジング剤として、例えば、(A)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル3〜10質量%及び(B)両性界面活性剤0.005〜2質量%を含有することを特徴とする水性拭き取りクレンジング化粧料が知られている(特許文献1)。特許文献1には、該(A)と(B)とを兼ね備える化粧料は、高いクレンジング力を有するだけでなく、拭き取り直後のべたつき感がなく、刺激が少なく、泡残りせず、更に、気温変化によっても界面活性剤が析出せず保存安定性にも優れることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−201561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、メイク汚れの除去、刺激性、使用感(べたつき)、抗菌性及び保存安定性の点で所望の効果を備える拭き取り用液体組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが、前記課題に鑑み鋭意検討を行ったところ、特定の液体組成物とすることにより、メイク汚れの除去、刺激性、使用感(べたつき)、抗菌性、保存安定性の全ての点で所望の効果が得られることを見出した。本発明は該知見に基づき更に検討を重ねた結果完成されたものであり、次に掲げるものである。
【0008】
項1.次の(1)〜(3)を含有する、拭き取り用液体組成物、
(1)ホウケイ酸系物質に、酸化銀または銀イオン化した物質を均一に分散させた組成物を水と配合後、加熱、ろ過して得られる、銀濃度が重量ベースで0.01〜100ppmである銀イオン水を1〜10質量%、
(2)二価アルコールを1〜15質量%、
(3)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを1〜17質量%。
項2.前記二価アルコールが、プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール及びジプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載の組成物。
項3.前記ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルが、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル及びポリオキシエチレン(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルからなる群より選択される少なくとも1種である、項1または2に記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メイク汚れの除去、刺激性、使用感(べたつき)、抗菌性及び保存安定性に優れた、拭き取り用液体組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、次の(1)〜(3)を含有する拭き取り用液体組成物を提供する。
(1)ホウケイ酸系物質に、酸化銀または銀イオン化した物質を均一に分散させた組成物を水と配合後、加熱、ろ過して得られる、銀濃度が重量ベースで0.01〜100ppmである銀イオン水を1〜10質量%、
(2)二価アルコールを1〜15質量%、
(3)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを1〜17質量%。
【0011】
このように、本組成物は、(1)ホウケイ酸系物質に、酸化銀または銀イオン化した物質を均一に分散させた組成物を水と配合後、加熱、ろ過して得られる、銀濃度が重量ベースで0.01〜100ppmである銀イオン水を、1〜10質量%含有する。
【0012】
本組成物において使用される銀イオン水は、ホウケイ酸系物質に、酸化銀または銀イオン化した物質を均一に分散させた組成物を水と配合後、加熱、ろ過して得られる、銀濃度が重量ベースで0.01〜100ppmである銀イオン水である。
【0013】
ここで、ホウケイ酸系物質とは、例えば、ホウケイ酸ガラスであり、また、これに酸化銀または銀イオン化した物質を均一に分散させた組成物とは、所謂、抗菌性ガラスである。そして、該銀イオン水とは、該組成物を水と配合後、加熱、ろ過して得られる抗菌性を有する液体であり、液中における銀濃度が重量ベースで0.01〜100ppmである銀イオン水である。本発明を制限するものではないが、銀イオン水中、該銀濃度として重量ベースで好ましくは0.1〜50ppm、より好ましくは0.1〜10ppm、更に好ましくは1〜8ppmが例示される。このように本組成物は、銀イオン水を用いることを一つの特徴とする。銀イオン水として、公知のもの(以下、市販品)を用いてもよく、例えば商品名「Ag−P水」(進栄化学株式会社製)が挙げられる。銀イオン水中の銀濃度は、通常、市販品に記載等されている銀濃度に従えばよく、通常、該濃度は原子吸光光度法による銀換算した質量濃度である。銀イオン水は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
本組成物中の銀イオン水の含有量は1〜10質量%である限り制限されないが、好ましくは1.5〜9質量%、より好ましくは1.8〜8.5質量%、更に好ましくは2〜8.2質量%、特に好ましくは2〜8質量%が例示される。
【0015】
本組成物は、(2)二価アルコールを1〜15質量%含有する。
【0016】
二価アルコールは、皮膚に適用可能な従来公知の二価アルコールであれば制限されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。二価アルコールとして、本発明を制限するものではないが、好ましくはプロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール等が例示され、より好ましくは1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
本組成物中の二価アルコールの含有量は1〜15質量%である限り制限されないが、好ましくは1.5〜14質量%、より好ましくは2.5〜13質量%、更に好ましくは3〜12質量%、特に好ましくは3.5〜11質量%、更に特に好ましくは4〜10.5質量%が例示される。
【0018】
本組成物は、(3)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを1〜17質量%含有する。
【0019】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルは、ノニオン性界面活性剤の一種として知られており、皮膚に適用可能な従来公知のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルであれば制限されない。ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを構成する脂肪酸として、本発明を制限するものではないが、好ましくは炭素数8〜22の脂肪酸が例示され、より好ましくは炭素数8〜20の脂肪酸が例示される。該脂肪酸は飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸の場合、炭素間の二重結合数は制限されず、例えば1〜4、好ましく1〜3、より好ましくは1または2が例示される。また、該脂肪酸は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
【0020】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを構成する脂肪酸として、本発明を制限するものではないが、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸等、また、これらの脂肪酸を含むヤシ油脂肪酸やパーム油脂肪酸といった天然の脂肪酸が好ましく挙げられる。本発明を制限するものではないが、該脂肪酸として、より好ましくはカプリル酸、カプリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを構成するポリオキシエチレンとして、本発明を制限するものではないが、エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数が好ましくは4〜10程度、より好ましくは5〜8程度が例示される。
【0022】
また、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとしては、脂肪酸グリセリルの有する2つのヒドロキシル基のうち、1つだけがポリエチレングリコールとエーテル結合したものであってもよく、2つともポリエチレングリコールとエーテル結合したものであってもよい。
【0023】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとして、本発明を制限するものではないが、好ましい例示として、前述のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数を有する、ポリオキシエチレン(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンイソステアリン酸グリセリル等が挙げられ、より好ましい例示として、ポリオキシエチレン(PEG)−7(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、PEG−8(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ヤシ油脂肪酸PEG−7グリセリル、イソステアリン酸PEG−6グリセリル等が挙げられる。
【0024】
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
本組成物中のポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルの含有量は1〜17質量%である限り制限されないが、好ましくは1.5〜16質量%、より好ましくは1.7〜13質量%、更に好ましくは1.8〜8質量%、特に好ましくは1.8〜5質量%が例示される。
【0026】
このように、本組成物は前記(1)〜(3)を備えることを特徴とする。
【0027】
本組成物は、本発明の効果を妨げないことを限度として、薬学的または香粧学的に許容可能な任意の他の成分を含有してもよい。他の成分の一例として、本発明の効果を妨げないことを限度として、一般的なクレンジング剤、洗浄剤等、特に拭き取り用のクレンジング剤等に使用可能な各種成分が挙げられる。該成分として水等の溶剤、保湿成分、抗炎症成分、清涼化剤、香料、着色料、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、pH調整剤、酵素、動物・植物抽出物等の天然抽出物、キレート剤、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル以外の界面活性剤等が例示される。これらは、目的等に応じて適宜選択すればよく、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよく、その配合量も適宜決定すればよい。
【0028】
この限りにおいて本発明を制限するものではないが、他の成分の一例として水を例示すると、水は、皮膚に適用可能な純度や精製度であれば制限されず、イオン交換水、蒸留水、水道水、地下水等が例示される。本組成物が水を含有する場合、本組成物中、水の含有量は好ましくは73〜97質量%、より好ましくは75〜95質量%、更に好ましくは80〜93質量%、特に好ましくは83〜91質量%が例示される。なお、該水の含有量は、前記銀イオン水に含まれる水を含まない値である。
【0029】
また、この限りにおいて本発明を制限するものではないが、本組成物として両性界面活性剤を含有しないもの、アニオン性界面活性剤を含有しないもの、カチオン性界面活性剤を含有しないもの、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル以外のノニオン性界面活性剤を含有しないものが例示される。
【0030】
本組成物は、本分野において従来公知の方法に従い、前記(1)〜(3)に記載する成分を前記含有量で及び必要に応じて任意の他の成分を混合して、製造することができる。
【0031】
本組成物は、拭き取り用液体組成物であり、所謂、拭き取り用のクレンジング剤や洗浄剤として使用される。このため、本組成物は、拭き取り用液体クレンジング組成物、拭き取り用液体洗浄組成物ということもできる。
【0032】
本組成物の適用対象は皮膚である。本組成物は、従来公知の拭き取り用のクレンジング剤や洗浄剤と同様にして、皮膚に適用すればよい。この限りにおいて制限されないが、一例として、本組成物の適量をコットン等に含浸させ、これを皮膚上で滑らせることにより使用すればよい。本発明は、通常、皮膚に付着した汚れの除去、特にメイク汚れの除去を目的として使用することができる。本組成物の皮膚への適用量や使用回数は、特に制限されず、従来公知の拭き取り用クレンジング剤や洗浄剤と同様にして使用すればよい。本組成物は、皮膚への適用後、例えば水で洗い流してもよいが、洗い流すことは必須ではない。
【0033】
本組成物のpHは、皮膚に適用可能なpHを備えている限り、その値は制限されない。本発明を制限するものではないが、本組成物のpHとして、pH5〜7が例示され、より好ましくはpH5.3〜6.3が例示される。pHは、30℃の本組成物を、pHメーター(型番D−71、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した値である。
【0034】
本発明によれば、メイク汚れの除去、刺激性、使用感(べたつき)、抗菌性、保存安定性の全ての点で優れた拭き取り用液体組成物を提供することができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
試験例
1.拭き取り用液体組成物の調製
次の表1〜3に示す配合量(重さ)に従い各成分を混合し、均一に撹拌して、ふき取り用液体組成物を調製した(表1〜3に記載する各実施例及び各比較例)。具体的には、1,3−ブチレングリコールとフェノキシエタノールとを均一に混合し、得られた溶液に、各成分を順に均一に混合しながら添加して、ふき取り用液体組成物を調製した。
【0036】
本試験で使用した成分は次の通りである。
BG:商品名1,3ブチレングリコールP、協和発酵ケミカル株式会社製;DPG(ジプロピレングリコール):商品名DPG LO+、ダウ・ケミカル社製;PEG−8(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル:商品名NIKKOL SG−CCG800、日光ケミカルズ株式会社製;ヤシ油脂肪酸PEG−7グリセリル:商品名Mファインオイル COG−7M、ミヨシ油脂株式会社製;銀イオン水:商品名Ag−P水、進栄化学株式会社製((成分)水、ホウケイ酸(Ca/Na)、酸化銀。銀濃度2.5〜5ppmの範囲(原子吸光光度法による、銀換算した質量濃度));フェノキシエタノール:商品名カフレクトPE−1、交洋ファインケミカル株式会社製;ペンチレングリコール:商品名HYDROLITE−5、株式会社感光社製;クエン酸Na:商品名精製クエン酸ナトリウムM 外原規合致品、扶桑化学工業株式会社製;クエン酸:商品名Citric Acid(クエン酸無水 中国産)、QINGDAO CHEMICAL製
【0037】
得られた各液体組成物のpHはいずれも弱酸性(pH5.6〜6)であった。なお、pHは、30℃の液体組成物において、pHメーター(型番D−71、株式会社堀場製作所製社製)を用いて測定した。
【0038】
2.評価手順
前述のようにして調製した各組成物について、メイク汚れの除去、刺激性、使用感(べたつき)、抗菌性、保存安定性を次の基準に従い評価した。
【0039】
・メイク汚れの除去
5名の専門パネラーの片手の甲3cm×3cmに赤色の口紅0.1gを均一になるように塗り広げ、1時間放置した。次いで、前述の通り調製した各組成物3mLをコットンに含浸させ、放置した口紅にまんべんなく接するようにコットンを10往復して、メイク汚れの除去を評価した。
【0040】
前記往復後、各甲において口紅が除去された程度を次の基準に従い4段階で点数化した。
4:メイク汚れが残らない。
3:メイク汚れが少し残る。
2:メイク汚れが残る。
1:メイク汚れがほぼ残っている。
【0041】
次いで、パネラーの合計点から平均値を求め、平均値が1.6未満の場合を×、1.6以上2.5未満の場合を△、2.5以上〜3.3未満の場合を○、3.3以上を◎とした。
【0042】
・刺激性
前記メイク汚れ除去直後(10往復後)から10分間に感じる一時的な皮膚の刺激について、次の基準に従い4段階で点数化した。
4:刺激(皮膚のピリピリ感)を感じない。
3:少し刺激を感じるが、気にならない。
2:刺激を感じるが、あまり気にならない。
1:はっきり刺激を感じる。
【0043】
次いで、パネラーの合計点から平均値を求め、平均値が1.6未満の場合を×、1.6以上2.5未満の場合を△、2.5以上〜3.3未満の場合を○、3.3以上を◎とした。
【0044】
・使用感(べたつき)
前記メイク汚れ除去直後(10往復後)のべたつきを、次の基準に従い3段階で点数化した。
3:べたつきを感じない。
2:少しべたつきを感じるが、気にならない。
1:はっきりべたつきを感じる。
【0045】
次いで、パネラーの合計点から平均値を求め、平均値が1.7未満の場合を×、1.7以上2.5未満の場合を△、2.5以上の場合を○とした。
【0046】
・抗菌性
大腸菌(ATCC 8739)、黄色ブドウ球菌(ATCC 6538)、緑膿菌(ATCC 9027)、カンジダ菌(ATCC 10231)、黒カビ(ATCC 16404)の5種を従来公知の一般的な手順に従いそれぞれ培養し、各菌液(10cells/mL)を調製した。前述のようにして調製した各液体組成物20gに菌液1mLを植菌し、大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌は30℃の恒温槽、カンジダ菌、黒カビは25℃の恒温槽、暗所で振とう培養した。
【0047】
植菌0日、7日、14日、21日、28日目に各培養液の菌数を測定し、0日の菌数と比較して28日目に菌数の増加が認められなかった場合を〇とし、増加が認められた場合を×とした。
【0048】
なお、大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌についてはソイビーン・カゼイン・ダイジェストカンテン培地を用いた平板表面塗抹法(培養条件:30℃、24時間、暗所)に従い、カンジダ菌、黒カビについてはサブロー・ブドウ糖カンテン培地を用いた平板表面塗抹法(培養条件:25℃、48時間、暗所)に従い、菌数を測定した(検出限界10CFU/mL)。
【0049】
・保存安定性
前述のようにして調製した各液体組成物50mLを透明なガラス製容器に注ぎ入れ、蓋をせず、45℃の恒温槽に静置して、30日間保管し、成分の析出や相分離の有無を目視で観察し、次の基準に従って保存安定性を評価した。
〇:30日間保管しても成分が析出せず、相分離も生じなかった。
×:30日以内に成分が析出し、相分離が生じた。
【0050】
3.結果
結果を表1〜3に示す
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
表1〜3から明らかなように、実施例1−1〜1−4、実施例2−1〜2−10、実施例3−1〜3−11の液体組成物では、メイク汚れ除去、刺激性、使用感、抗菌性及び保存安定性のいずれにおいても概ね評価が◎か○、また、せいぜい△が1つか◎と共に△が2つ存在するにとどまった。
【0055】
一方、銀イオン水を含有しない場合(比較例1−1)、二価アルコールを含有しない場合や16質量%以上である場合(比較例2−1〜2−4)、また、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを含有しない場合や19質量%以上である場合(比較例3−1〜3−3)は、メイク汚れ除去、刺激性、使用感、抗菌性、保存安定性の少なくともいずれかの点で評価結果に×が存在し、前記実施例の液体組成物と比較して、拭き取り用液体組成物として劣っていた。
【0056】
このように、表1〜3の実施例に示す組成物は、メイク汚れ除去、刺激性、使用感、抗菌性及び保存安定性の全て点で所望の効果が得られ、拭き取り用液体組成物として有用であること分かった。
【要約】
【課題】メイク汚れの除去、刺激性、使用感(べたつき)、抗菌性及び保存安定性の点で所望の効果を備える拭き取り用液体組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】次の(1)〜(3)を含有する、拭き取り用液体組成物、(1)ホウケイ酸系物質に、酸化銀または銀イオン化した物質を均一に分散させた組成物を水と配合後、加熱、ろ過して得られる、銀濃度が重量ベースで0.01〜100ppmである銀イオン水を1〜10質量%、(2)二価アルコールを1〜15質量%、(3)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを1〜17質量%。
【選択図】なし