特許第6903796号(P6903796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903796
(24)【登録日】2021年6月25日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】FGFR4阻害剤としての二環式複素環
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/438 20060101AFI20210701BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20210701BHJP
   A61K 31/527 20060101ALI20210701BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210701BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210701BHJP
   C07D 471/10 20060101ALN20210701BHJP
   C07D 471/04 20060101ALN20210701BHJP
【FI】
   A61K31/438
   A61K31/519
   A61K31/527
   A61P35/00ZNA
   A61P43/00 121
   !C07D471/10 101
   !C07D471/04 117N
【請求項の数】37
【全頁数】79
(21)【出願番号】特願2020-100899(P2020-100899)
(22)【出願日】2020年6月10日
(62)【分割の表示】特願2017-543981(P2017-543981)の分割
【原出願日】2016年2月19日
(65)【公開番号】特開2020-147592(P2020-147592A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年6月10日
(31)【優先権主張番号】62/118,699
(32)【優先日】2015年2月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/192,661
(32)【優先日】2015年7月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505193450
【氏名又は名称】インサイト・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ルー・リアン
(72)【発明者】
【氏名】ウー・リアンシン
(72)【発明者】
【氏名】チエン・ディン−チュエン
(72)【発明者】
【氏名】ウェンチン・ヤオ
【審査官】 今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/011900(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0296233(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/108992(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/064960(WO,A1)
【文献】 特表2018−511573(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/172644(WO,A1)
【文献】 Takii, Takemasa; et al.,Serotonin derivative, N-(p-coumaroyl)serotonin, isolated from safflower (Carthamus tinctorius L.) oi,Journal of Biochemistry,1999年,125(5),910-915
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61P 1/00−43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−{[2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−3’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−6’−イル]メチル}アクリルアミド;
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド;
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−(ピリジン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド;
N−((6’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−7’−オキソ−6’,7’−ジヒドロ−5’H−スピロ[シクロプロパン−1,8’−ピリド[4,3−d]ピリミジン]−2’−イル)メチル)アクリルアミド;および
N−((2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−3’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−6’−イル)メチル)アクリルアミド
から選択される化合物またはその薬学的に受容可能な塩とさらなる治療剤とを含む組合せ医薬であって、癌の治療を必要とする患者に、該化合物またはその薬学的に受容可能な塩と該さらなる治療剤とを、単一の剤形で投与するかまたは別々の剤形として同時にもしくは連続して投与することによる癌治療に用いるための組合せ医薬であり、
該さらなる治療剤が、
i)抗ホルモン剤;
ii)EGFR、Her2、VEGFR、c−Met、Ret、IGFR1またはFlt−3に対する阻害剤または抗体、及び癌関連融合タンパク質キナーゼに対する阻害剤または抗体;
iii)PI3キナーゼに対する薬剤;
iv)mTORの阻害剤;
v)アルキル化剤;
vi)プラチナ併用療法剤(platinum−based doublets);
vii)代謝拮抗物質;
viii)細胞毒性剤;
ix)免疫療法薬;
x)共刺激分子に対する抗体治療剤;
ix)抗癌ワクチン;ならびに
xii)ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アラ−C、パクリタキセル、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン、エトポシド、及びテニポシド
から選択される、組合せ医薬。
【請求項2】
癌が、腎臓癌、胃癌、食道癌、多発性骨髄腫、膵臓癌、肺癌、前立腺癌、乳癌、膀胱癌、肝臓癌、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症、頭頸部癌、卵巣癌、およびグリア芽細胞腫から選択される、請求項1に記載の組合せ医薬。
【請求項3】
癌が、腎臓癌である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項4】
癌が、胃癌である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項5】
癌が、食道癌である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項6】
癌が、多発性骨髄腫である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項7】
癌が、膵臓癌である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項8】
癌が、肺癌である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項9】
癌が、前立腺癌である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項10】
癌が、乳癌である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項11】
癌が、膀胱癌である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項12】
癌が、肝臓癌である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項13】
癌が、真性赤血球増加症である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項14】
癌が、本態性血小板血症である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項15】
癌が、原発性骨髄線維症である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項16】
癌が、頭頸部癌である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項17】
癌が、卵巣癌である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項18】
癌が、グリア芽細胞腫である、請求項1または2に記載の組合せ医薬。
【請求項19】
さらなる治療剤が、抗ホルモン剤である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項20】
さらなる治療剤が、EGFR、Her2、VEGFR、c−Met、Ret、IGFR1またはFlt−3に対する阻害剤または抗体、および癌関連融合タンパク質キナーゼに対する阻害剤または抗体から選択される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項21】
さらなる治療剤が、PI3キナーゼに対する薬剤である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項22】
さらなる治療剤が、mTORの阻害剤である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項23】
さらなる治療剤が、アルキル化剤である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項24】
さらなる治療剤がプラチナ併用療法剤(platinum−based doublets)である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項25】
プラチナ併用療法剤(platinum−based doublets)が、シスプラチンとゲムシタビンとの、カルボプラチンとゲムシタビンとの、シスプラチンとドセタキセルとの、カルボプラチンとドセタキセルとの、シスプラチンとパクリタキセルとの、カルボプラチンとパクリタキセルとの、シスプラチンとペメトレキセドとの、カルボプラチンとペメトレキセドとの、およびゲムシタビンとパクリタキセルとの結合粒子から選択される、請求項24に記載の組合せ医薬。
【請求項26】
さらなる治療剤が、代謝拮抗物質である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項27】
さらなる治療剤が、細胞毒性剤である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項28】
さらなる治療剤が、免疫療法薬である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項29】
免疫療法薬が、共刺激分子に対する抗体治療剤およびサイトカインに対する抗体から選択される、請求項28に記載の組合せ医薬。
【請求項30】
さらなる治療剤が、共刺激分子に対する抗体治療剤である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項31】
さらなる治療剤が、抗癌ワクチンである、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項32】
さらなる治療剤が、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アラ−C、パクリタキセル、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン、エトポシド、およびテニポシドから選択される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項33】
化合物が、N−{[2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−3’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−6’−イル]メチル}アクリルアミドまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項34】
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミドまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項35】
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−(ピリジン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミドまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項36】
N−((6’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−7’−オキソ−6’,7’−ジヒドロ−5’H−スピロ[シクロプロパン−1,8’−ピリド[4,3−d]ピリミジン]−2’−イル)メチル)アクリルアミドまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【請求項37】
N−((2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−3’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−6’−イル)メチル)アクリルアミドまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項1〜32のいずれか1項に記載の組合せ医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本開示は、FGFR4酵素の阻害剤であり、癌等のFGFR4関連疾患の治療に有用な、二環式複素環及びその医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
線維芽細胞成長因子受容体(Fibroblast Growth Factor Receptor)(FGFR)は、線維芽細胞増殖因子(FGF)リガンドに結合する受容体チロシンキナーゼである。リガンドに結合することができ、組織発生、血管新生、創傷治癒及び代謝調節を含む多くの生理学的過程の調節に関与する4つのFGFRタンパク質(FGFR1−4)が存在する。リガンド結合の際、受容体は二量体化及びリン酸化を受け、タンパク質キナーゼ活性の刺激及び多くの細胞内ドッキングタンパク質の増加をもたらす。これらの相互作用は、細胞増殖、組織増殖及び生存にとって重要なRas−MAPK、AKT−PI3K、及びホスホリパーゼCを含む細胞内シグナル伝達経路のアレイの活性化を促進する(Eswarakumarら、Cytokine & Growth Factor Reviews,2005に記載)。FGFリガンドまたはFGFRの過剰発現、またはFGFRにおける活性化突然変異のいずれかによるこの経路の異常な活性化は、腫瘍発生、進行、及び従来の癌治療に対する抵抗をもたらし得る。ヒト癌においては、遺伝子増幅、染色体転座、及びリガンド非依存性受容体活性化をもたらす体細胞突然変異等の遺伝子改変が記載されている。数千もの腫瘍サンプルの大規模DNA塩基配列決定により、FGFR経路の成分がヒト癌において最も頻繁に変異していることが明らかになった。 これらの活性化突然変異の多くは、骨格異形成症候群を引き起こす生殖細胞系突然変異と同一である。ヒト疾患において異常なリガンド依存性シグナル伝達をもたらす機構には、FGFの過剰発現、及びより乱雑なリガンド結合能力を有する受容体をもたらすFGFRスプライシングの変化が含まれる(Knights and Cook Pharmacology & Therapeutics,2010; Turner and Grose,Nature Reviews Cancer,2010に記載)。従って、FGFRを標的とする阻害剤の開発は、FGFまたはFGFR活性が上昇した疾患の臨床的治療に有用であり得る。
【0003】
FGF/FGFRが関与する癌の種類には、癌腫(例えば、膀胱、乳房、頚部、結腸直腸、子宮内膜、胃、頭頸部、腎臓、肝臓、肺、卵巣、前立腺);造血器悪性腫瘍(例えば、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性リンパ腫、成人T細胞白血病、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、骨髄増殖性新生物、及びヴァルデンストレームのマクログロブリン血症);及び他の新生物(例えば、グリア芽細胞腫、黒色腫、及び横紋筋肉腫)が含まれるが、これらに限定されない。発癌性新生物における役割に加えて、FGFR活性化はまた、限定されないが、軟骨無形成症及び頭蓋骨形成症症候群を含む骨格及び軟骨細胞障害に関与している。発癌性新生物における役割に加えて、FGFR活性化はまた、限定されないが、軟骨無形成症及び頭蓋骨形成症症候群等の骨格及び軟骨細胞障害に関与している。
【0004】
FGFR4−FGF19シグナル伝達軸は、具体的には、肝細胞癌等の多くの癌の発症に関与している(Heinzleら,Cur.Pharm.Des.2014,20:2881)。遺伝子導入マウスにおけるFGF19の異所性発現は、肝臓における腫瘍形成をもたらし、FGF19に対する中和抗体はマウスにおける腫瘍増殖を阻害することが分かった。さらに、FGFR4の過剰発現は、肝細胞癌、結腸直腸癌、乳癌、膵臓癌、前立腺癌、肺癌及び甲状腺癌等の多発性腫瘍の型で観察されている。さらに、FGFR4の活性化突然変異が横紋筋肉腫において報告されている(Taylorら,JCI 2009,119:3395)。従って、選択的小分子阻害剤を用いてFGFR4を標的とすることは、特定の癌の治療において有益であることを証明する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
癌及び他の疾患の治療のための新薬の開発が引き続き求められており、本明細書に記載のFGFR4阻害剤は、この要求への取り組みを支援するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、式(I):
【化1】

(但し、構成変数は本明細書に記載されている。)
を有するFGFR4の阻害剤、またはその薬学的に受容可能な塩に関する。
【0007】
本開示はさらに、式(I)の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、及び少なくとも1つの薬学的に受容可能な担体を含む医薬組成物に関する。
【0008】
本開示はさらに、酵素を式(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩と接触させることを含む、FGFR4酵素を阻害する方法に関する。
【0009】
本開示はさらに、FGFR4酵素の異常な活性または発現に関連する疾患を治療する方法であって、その治療を必要とする患者に式(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を投与することを含む方法に関する。
【0010】
本開示はさらに、FGFR4酵素の異常な活性または発現に関連する疾患の治療に使用される式(I)の化合物に関する。
【0011】
本開示はさらに、その治療を必要とする患者におけるFGFR4酵素またはその変異体により媒介される障害を治療する方法であって、前記患者に本発明による化合物または医薬的に受容可能な組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0012】
本開示はさらに、その治療を必要とする患者におけるFGFR4酵素またはその変異体により媒介される障害を治療する方法であって、患者に本発明による化合物または薬学的に受容可能な塩を、もしくは本発明の化合物を含む組成物を、本明細書に記載の別の治療または治療剤と組み合わせて、投与することを含む方法に関する。
【0013】
本開示はさらに、治療において使用するための医薬品の調製における式(I)の化合物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
化合物
一実施態様において、本開示は、下記の式(I):
【化2】

(但し、
はCR1011またはNRであり;
XはNまたはCRであり;
はC1−3アルキルまたはC1−3ハロアルキルであり;
はH、ハロ、C1−3アルキル、C1−3ハロアルキル、CNまたはC1−3アルコキシであり;
はH、ハロ、C1−3アルキル、C1−3ハロアルキル、CNまたはC1−3アルコキシであり;
はC1−3アルキルまたはC1−3ハロアルキルであり;
はH、ハロ、C1−3アルキル、C1−3ハロアルキル、CNまたはC1−3アルコキシであり;
及びRは、それぞれ独立して、H、ハロ、CN、ORa4、SRa4、C(O)NRc4d4、OC(O)NRc4d4、NRc4d4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、NRc4C(O)NRc4d4、NRc4S(O)Rb4、NRc4S(O)b4、NRc4S(O)NRc4d4、S(O)Rb4、S(O)NRc4d4、S(O)b4、S(O)NRc4d4、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1,2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記R及びRの、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれ、R10Aから独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
Lは、−(CR1314−(但し、R13及びR14はそれぞれ独立してH、C1−6アルキル、C6−10アリール、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜7員ヘテロシクロアルキルであり、前記C1−6アルキル、C6−10アリール、5〜10員のヘテロアリールまたは4〜7員のヘテロシクロアルキルは、1〜3個のR17基で任意に置換されていてもよく、またはR13及びR14はそれらが結合する炭素原子と共にC3−6シクロアルキルまたは4〜6員のヘテロシクロアルキル基を形成し;前記C3−6シクロアルキルまたは4〜6員のヘテロシクロアルキル基は1〜3個のR17員で任意に置き換えされ;下付き文字nは1、2または3であるり;いくつかの実施形態では、下付き文字nは1または2である。)であり;
は、H、またはハロ、CN、ORa9、C(O)NRc9d9、NRc9d9、NRc9C(O)Rb9、NRc9C(O)ORa9、NRc9C(O)NRc9d9、NRc9S(O)Rb9、NRc9S(O)b9、NRc9S(O)NRc9d9、S(O)Rb9、S(O)NRc9d9、S(O)b9、S(O)NRc9d9、フェニル、C3−7シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、または炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分で任意に置換されたC1−4アルキルであり;前記Rの、フェニル、C3−7シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれ1または2個のR19基で任意に置換されており;
10及びR11は、それぞれ独立して、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜10員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1,2または3個のヘテロ原子を有する4〜10員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記R10及びR11の、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、5〜10員のヘテロアリール、及び4〜10員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれ1、2、3または4個のR10Aで任意に置換されており;
10Aは、出現ごとに独立して、ハロ、CN、NO、ORa4、SRa4、C(O)Rb4、C(O)NRc4d4、C(O)ORa4、OC(O)Rb4、OC(O)NRc4d4、C(=NRe4)NRc4d4、NRc4C(=NRe4)NRc4d4、NRc4d4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、NRc4C(O)NRc4d4、NRc4S(O)Rb4、NRc4S(O)b4、NRc4S(O)NRc4d4、S(O)Rb4、S(O)NRc4d4、S(O)b4、S(O)NRc4d4、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記R10Aの、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
a4、Rb4、Rc4、及びRd4は、出現ごとに独立して、H、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記Ra4、Rb4、Rc4、及びRd4の、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
あるいは、Rc4及びRd4は、それらが結合する窒素原子と共に、R19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換された4−、5−、6−または7−員のヘテロシクロアルキル基を形成し;
e4は、それぞれ独立してHまたはC1−4アルキルであり;
あるいは、R10、及びR11は、それらが結合する炭素原子と共に、3−、4−、5−、6−または7−員のシクロアルキル基または4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−員のヘテロシクロアルキル基を形成し、前記3−、4−、5−、6−または7−員のシクロアルキル基または4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−員のヘテロシクロアルキル基は1、2、3または4個のR10Aでそれぞれ任意に置換されており;
12は、H、またはR17で任意に置換されていてもよいC1−4アルキルであり;
17は、出現ごとに独立して、ハロ、CN、NO、ORa7、SRa7、C(O)Rb7、C(O)NRc7d7、C(O)ORa7、OC(O)Rb7、OC(O)NRc7d7、C(=NRe7)NRc7d7、NRc7C(=NRe7)NRc7d7、NRc7d7、NRc7C(O)Rb7、NRc7C(O)ORa7、NRc7C(O)NRc7d7、NRc7S(O)Rb7、NRc7S(O)b7、NRc7S(O)NRc7d7、S(O)Rb7、S(O)NRc7d7、S(O)b7、S(O)NRc7d7、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記R17の、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
a7、Rb7、Rc7、及びRd7は、出現ごとに独立して、H、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記Ra7、Rb7、Rc7、及びRd7の、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
あるいは、Rc7、及びRd7は、それらが結合する窒素原子と共に、R19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換された4−、5−、6−または7−員のヘテロシクロアルキル基を形成し;
e7は、出現ごとに独立して、HまたはC1−4アルキルであり;
19は、出現ごとに独立して、ハロ、CN、NO、ORa9、SRa9、C(O)Rb9、C(O)NRc9d9、C(O)ORa9、OC(O)Rb9、OC(O)NRc9d9、NRc9d9、NRc9C(O)Rb9、NRc9C(O)ORa9、NRc9C(O)NRc9d9、NRc9S(O)Rb9、NRc9S(O)b9、NRc9S(O)NRc9d9、S(O)Rb9、S(O)NRc9d9、S(O)b9、S(O)NRc9d9、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、及びC1−4ハロアルキルから選択され;
a9、Rc9、及びRd9は、出現ごとに独立して、H及びC1−4アルキルから選択され;そして
b9は、出現ごとに独立してC1−4アルキルである。)
で表される化合物またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。一実施形態では、YはOである。別の実施形態では、YはNRである。
【0015】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において:
はCR1011またはNRであり;
XはNまたはCRであり;
はC1−3アルキルまたはC1−3ハロアルキルであり;
はH、ハロ、C1−3アルキル、C1−3ハロアルキル、CNまたはC1−3アルコキシであり;
はH、ハロ、C1−3アルキル、C1−3ハロアルキル、CNまたはC1−3アルコキシであり;
はC1−3アルキルまたはC1−3ハロアルキルであり;
はH、ハロ、C1−3アルキル、C1−3ハロアルキル、CNまたはC1−3アルコキシであり;
は、H、ハロ、CN、ORa4、SRa4、C(O)NRc4d4、OC(O)NRc4d4、NRc4d4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、NRc4C(O)NRc4d4、NRc4S(O)Rb4、NRc4S(O)b4、NRc4S(O)NRc4d4、S(O)Rb4、S(O)NRc4d4、S(O)b4、S(O)NRc4d4、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1,2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記Rの、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR10Aから独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
は、H、C(O)NRc4d4、S(O)Rb4、S(O)NRc4d4、S(O)b4、S(O)NRc4d4、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1,2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記R7の、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR10Aから独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
Lは、−(CR1314−(但し、R13及びR14はそれぞれ独立してH、C1−6アルキル、C6−10アリール、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキルであり、前記C1−6アルキル、C6−10アリール、5〜10員のヘテロアリールまたは4〜7員のヘテロシクロアルキルは、1〜3個のR17基で任意に置換されていてもよく、下付き文字nは1又は2である。)であり;
は、H、またはハロ、CN、ORa9、C(O)NRc9d9、NRc9d9、NRc9C(O)Rb9、NRc9C(O)ORa9、NRc9C(O)NRc9d9、NRc9S(O)Rb9、NRc9S(O)b9、NRc9S(O)NRc9d9、S(O)Rb9、S(O)NRc9d9、S(O)b9、S(O)NRc9d9、フェニル、C3−7シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、または炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分で任意に置換されたC1−4アルキルであり;前記Rの、フェニル、C3−7シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれ1又は2個のR19基で任意に置換されており;
10及びR11は、それぞれ独立して、H、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜10員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1,2または3個のヘテロ原子を有する4〜10員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記R10及びR11の、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、5〜10員のヘテロアリール、及び4〜10員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれ、1、2、3または4個のR10Aで任意に置換されており;
10Aは、出現ごとに独立して、ハロ、CN、NO、ORa4、SRa4、C(O)Rb4、C(O)NRc4d4、C(O)ORa4、OC(O)Rb4、OC(O)NRc4d4、C(=NRe4)NRc4d4、NRc4C(=NRe4)NRc4d4、NRc4d4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、NRc4C(O)NRc4d4、NRc4S(O)Rb4、NRc4S(O)b4、NRc4S(O)NRc4d4、S(O)Rb4、S(O)NRc4d4、S(O)b4、S(O)NRc4d4、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記R10Aの、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
a4、Rb4、Rc4、及びRd4は、出現ごとに独立して、H、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記Ra4、Rb4、Rc4、及びRd4の、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれ、R19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
あるいは、Rc4、及びRd4は、それらが結合する窒素原子と共に、R19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換された4−、5−、6−または7−員のヘテロシクロアルキル基を形成し;
e4は、出現ごとにHまたはC1−4アルキルであり;
あるいは、R10及びR11は、それらが結合する炭素原子と共に、3−、4−、5−、6−または7−員のシクロアルキル基または4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−員のヘテロシクロアルキル基を形成し、前記3−、4−、5−、6−または7−員のシクロアルキル基または4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−員のヘテロシクロアルキル基は1、2、3または4個のR10Aでそれぞれ任意に置換されており;
12は、H、またはR17で任意に置換されていてもよいC1−4アルキルであり;
17は、出現ごとに独立して、ハロ、CN、NO、ORa7、SRa7、C(O)Rb7、C(O)NRc7d7、C(O)ORa7、OC(O)Rb7、OC(O)NRc7d7
C(=NRe7)NRc7d7、NRc7C(=NRe7)NRc7d7、NRc7d7、NRc7C(O)Rb7、NRc7C(O)ORa7、NRc7C(O)NRc7d7、NRc7S(O)Rb7、NRc7S(O)b7、NRc7S(O)NRc7d7、S(O)Rb7、S(O)NRc7d7、S(O)b7、S(O)NRc7d7、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記R17の、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
a7、Rb7、Rc7、及びRd7は、出現ごとに独立して、H、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から独立して選択され;前記Ra7、Rb7、Rc7、及びRd7の、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR19から選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
あるいは、Rc7、及びRd7は、それらが結合する窒素原子と共に、R19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換された4−、5−、6−または7−員のヘテロシクロアルキル基を形成し;
e7は、出現ごとに独立して、HまたはC1−4アルキルであり;
19は、出現ごとに独立して、ハロ、CN、NO、ORa9、SRa9、C(O)Rb9、C(O)NRc9d9、C(O)ORa9、OC(O)Rb9、OC(O)NRc9d9、NRc9d9、NRc9C(O)Rb9、NRc9C(O)ORa9、NRc9C(O)NRc9d9、NRc9S(O)Rb9、NRc9S(O)b9、NRc9S(O)NRc9d9、S(O)Rb9、S(O)NRc9d9、S(O)b9、S(O)NRc9d9、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、及びC1−4ハロアルキルから選択され;
a9、Rc9、及びRd9は、出現ごとに独立して、H及びC1−4アルキルから選択され;
b9は、出現ごとに独立してC1−4アルキルである。
【0016】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、Rは、H、C(O)NRc4d4、S(O)Rb4、S(O)NRc4d4、S(O)b4、S(O)NRc4d4、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1,2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキ部分から選択され;前記R7の、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれ、R10Aから独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されている。
【0017】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、本開示は、下記の式(II)を有する化合物であるFGFR4の阻害剤を提供する:
【化3】

(但し、
XはNまたはCRであり;
はC1−3アルキルまたはC1−3ハロアルキルであり;
はH、ハロ、C1−3アルキル、C1−3ハロアルキル、CNまたはC1−3アルコキシであり;
はH、ハロ、C1−3アルキル、C1−3ハロアルキル、CNまたはC1−3アルコキシであり;
はC1−3アルキルまたはC1−3ハロアルキルであり;
はH、ハロ、C1−3アルキル、C1−3ハロアルキル、CNまたはC1−3アルコキシであり;
は、H、ハロ、CN、ORa4、SRa4、C(O)NRc4d4、OC(O)NRc4d4、NRc4d4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、NRc4C(O)NRc4d4、NRc4S(O)Rb4、NRc4S(O)b4、NRc4S(O)NRc4d4、S(O)Rb4、S(O)NRc4d4、S(O)b4、S(O)NRc4d4、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分であり;前記Rの、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれ、R10Aから独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
Lは、−(CR1314−(但し、R13及びR14はそれぞれ独立してH、C1−6アルキル、C6−10アリール、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキルであり、前記C1−6アルキル、C6−10アリール、5〜10員のヘテロアリールまたは4〜10員のヘテロシクロアルキルは、1〜3個のR17基で任意に置換されていてもよく、各R17は1〜3個のR19で任意に置換されており、下付き文字nは1、2または3である。)であり;
は、H、またはハロ、CN、ORa9、C(O)NRc9d9、NRc9d9、NRc9C(O)Rb9、NRc9C(O)ORa9、NRc9C(O)NRc9d9、NRc9S(O)Rb9、NRc9S(O)b9、NRc9S(O)NRc9d9、S(O)Rb9、S(O)NRc9d9、S(O)b9、S(O)NRc9d9、フェニル、C3−7シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分で任意に置換されたC1−4アルキルであり;前記Rの、フェニル、C3−7シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれ1又は2個のR19基で任意に置換されており;
10は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜10員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜10員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記R10の、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、5〜10員のヘテロアリール、及び4〜10員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれ、1、2、3または4個のR10Aで任意に置換されており;
10Aは、出現ごとに独立して、ハロ、CN、NO、ORa4、SRa4、C(O)Rb4、C(O)NRc4d4、C(O)ORa4、OC(O)Rb4、OC(O)NRc4d4、C(=NRe4)NRc4d4、NRc4C(=NRe4)NRc4d4、NRc4d4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、NRc4C(O)NRc4d4、NRc4S(O)Rb4、NRc4S(O)b4、NRc4S(O)NRc4d4、S(O)Rb4、S(O)NRc4d4、S(O)b4、S(O)NRc4d4、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記R10Aの、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
a4、Rb4、Rc4、及びRd4は、出現ごとに独立して、H、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から独立して選択され;前記Ra4、Rb4、Rc4、及びRd4の、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれ、R19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
あるいは、Rc4、及びRd4は、それらが結合する窒素原子と共に、R19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換された4−、5−、6−または7−員のヘテロシクロアルキル基を形成し;
e4は、それぞれHまたはC1−4アルキルであり;
11は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、及びC1−6ハロアルキル、から選択され;前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル、及びC2−6アルキニルは、それぞれ、R19から独立して選択される1、2、または3個の置換基で任意に置換されており;
あるいは、R10及びR11は、それらが結合する炭素原子と共に、3−、4−、5−、6−または7−員のシクロアルキル基、または4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−員のヘテロシクロアルキル基を形成し、前記3−、4−、5−、6−または7−員のシクロアルキル基または4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−員のヘテロシクロアルキル基は1、2、3または4個のR10Aでそれぞれ任意に置換されており;
12は、H、またはR17で任意に置換されていてもよいC1−4アルキルであり;
17は、出現ごとに独立して、ハロ、CN、NO、ORa7、SRa7、C(O)Rb7、C(O)NRc7d7、C(O)ORa7、OC(O)Rb7、OC(O)NRc7d7、C(=NRe7)NRc7d7、NRc7C(=NRe7)NRc7d7、NRc7d7、NRc7C(O)Rb7、NRc7C(O)ORa7、NRc7C(O)NRc7d7、NRc7S(O)Rb7、NRc7S(O)b7、NRc7S(O)NRc7d7、S(O)Rb7、S(O)NRc7d7、S(O)b7、S(O)NRc7d7、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から独立して選択され;前記R17の、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
a7、Rb7、Rc7、及びRd7は、出現ごとに独立して、H、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記Ra7、Rb7、Rc7、及びRd7の、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
あるいは、Rc7、及びRd7は、それらが結合する窒素原子と共に、R19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換された4−、5−、6−または7−員のヘテロシクロアルキル基を形成し;
e7は、出現ごとに独立してHまたはC1−4アルキルであり;
19は、出現ごとに独立して、ハロ、CN、NO、ORa9、SRa9、C(O)Rb9、C(O)NRc9d9、C(O)ORa9、OC(O)Rb9、OC(O)NRc9d9
NRc9d9、NRc9C(O)Rb9、NRc9C(O)ORa9、NRc9C(O)NRc9d9、NRc9S(O)Rb9、NRc9S(O)b9、NRc9S(O)NRc9d9、S(O)Rb9、S(O)NRc9d9、S(O)b9、S(O)NRc9d9、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、及びC1−4ハロアルキルから選択され;
a9、Rc9、及びRd9は、出現ごとに独立して、H及びC1−4アルキルから選択され;そして
b9は、出現ごとにC1−4アルキルである。]。
【0018】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、本開示は、FGFR4の阻害剤であり、下記式(III)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を提供する:
【化4】

変数R、R、R、R、R、R10、R11、R12、X及びLは式(I)の化合物のいずれの実施形態においても定義されている。
【0019】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、本開示は、FGFR4の阻害剤であり、下記の式(IV)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩を提供する:
【化5】

変数R、R、R、R、R、R10、R11、R12、X及びnは式(I)の化合物のいずれの実施形態においても定義されている。
【0020】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、本開示は、FGFR4の阻害活性を有する、下記の式(V)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を提供する:
【化6】
【0021】
式(V)の化合物のいくつかの実施形態において、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、任意に1または2個のR10A基で置換されてもよいC3−6シクロアルキルを形成する。
【0022】
式(I)の化合物の特定の実施形態において、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基を形成する。一実施形態では、XはCHである。別の実施形態では、XはNである。
【0023】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、本開示は、FGFR4の阻害活性を有する、下記の式(VI)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を提供する:
【化7】
【0024】
式(VI)の化合物のいくつかの実施形態において、Rが、C1−6アルキル、フェニル、5員または6員のヘテロアリール、C3−6シクロアルキルまたは4〜6員のヘテロシクロアルキルであり、そのそれぞれは、任意に、ハロ、C1−4アルキル CN、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、フェニル、C3−6シクロアルキル、5員または6員のヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、または4〜6員ヘテロシクロアルキルで置換されていてもよい。
【0025】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態において、Rが、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、シアノメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、フェニル、3−ピリジル、1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル、1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、3,3−ジフルオロシクロブチル、2−メトキシエチル、シクロプロピルメチル、2,2−ジフルオロエチル、ベンジル、3−フルオロベンジル、ピリジン−3−イルメチル、(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル、(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)メチル、または(テトラヒドロフラニル−3−イル)メチルである。一実施形態では、XはCHである。別の実施形態では、XはNである。
【0026】
いくつかの実施形態において、本開示は、式(Ia)またはその薬学的に受容可能な塩を有するFGFR4の阻害剤を提供する:
【化8】

(但し、
はFまたClであり;
はFまたClであり;
Lは、−(CR1314−(但し、R13及びR14はそれぞれ独立してH、C1−6アルキルまたはC6−10アリールであり、前記C1−6アルキルまたはC6−10アリールは1〜3個のR17基で任意に置換されており;あるいはR13及びR14は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、C3−6シクロアルキルまたは4〜6員のヘテロシクロアルキル基を形成し;C3−6シクロアルキルまたは4〜6員のヘテロシクロアルキル基が1〜3個のR17で任意に置換されている。)であり;
は、H、またはメチルであり;
10は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜10員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜10員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記R10の、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C6−10アリール、C3−10シクロアルキル、5〜10員のヘテロアリール、及び4〜10員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれ1、2、3または4個のR10Aで任意に置換されており;
10Aは、出現ごとに独立して、ハロ、CN、NO、ORa4、SRa4、C(O)Rb4、C(O)NRc4d4、C(O)ORa4、OC(O)Rb4、OC(O)NRc4d4
C(=NRe4)NRc4d4、NRc4C(=NRe4)NRc4d4、NRc4d4、NRc4C(O)Rb4、NRc4C(O)ORa4、NRc4C(O)NRc4d4
NRc4S(O)Rb4、NRc4S(O)b4、NRc4S(O)NRc4d4、S(O)Rb4、S(O)NRc4d4、S(O)b4、S(O)NRc4d4
1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記R10Aの、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
a4、Rb4、Rc4、及びRd4は、出現ごとに独立して、H、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C1−4ハロアルキル、フェニル、C3−6シクロアルキル、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール部分、及び炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分から選択され;前記Ra4、Rb4、Rc4、及びRd4の、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、フェニル、C3−6シクロアルキル、5〜6員のヘテロアリール、及び4〜7員のヘテロシクロアルキル基は、それぞれR19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換されており;
あるいは、Rc4、及びRd4は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、R19から独立に選択される1、2または3個の置換基で任意に置換された4−、5−、6−または7−員のヘテロシクロアルキル基を形成し;
e4は、出現ごとに独立して、HまたはC1−4アルキルであり;
11は、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、及びC1−6ハロアルキルから選択され;
あるいは、R10及びR11は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3−、4−、5−、6−または7−員のシクロアルキル基または4−、5−、6−、または7−員のヘテロシクロアルキル基を形成し;前記3−、4−、5−、6−または7−員のシクロアルキル基または4−、5−、6−、または7−員のヘテロシクロアルキル基はそれぞれ1、2、3または4個のR10Aで任意に置換されており;
17は、出現ごとに独立して、OH、CN、アミノ、ハロ、C1−6アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、C1−4ハロアルキル、及びC1−4ハロアルコキシルから選択され;
19は、出現ごとに独立して、ハロ、CN、NO、ORa9、SRa9、C(O)Rb9、C(O)NRc9d9、C(O)ORa9、OC(O)Rb9、OC(O)NRc9d9、NRc9d9、NRc9C(O)Rb9、NRc9C(O)ORa9、NRc9C(O)NRc9d9、NRc9S(O)Rb9、NRc9S(O)b9、NRc9S(O)NRc9d9、S(O)Rb9、S(O)NRc9d9、S(O)b9、S(O)NRc9d9、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、及びC1−4ハロアルキルから選択され;
a9、Rc9、及びRd9は、出現ごとに独立して、H及びC1−4アルキルから選択され;そして
b9は、出現ごとに独立してC1−4アルキルである。)。
【0027】
上記のような式(Ia)の化合物のいくつかの実施形態では、Lは−(CR1314−(但し、R13及びR14はそれぞれ独立してH、C1−6アルキル及びC6−10アリールであり、このC1−6アルキル及びC6−10アリールは、独立して選択される1〜3個のR17基で任意に置換されていてもよい。)である。
【0028】
いくつかの実施形態では、XはNである。
【0029】
いくつかの実施形態では、XはCRである。
【0030】
いくつかの実施形態において、Rは、H、ハロ、CN、またはC1−6アルキルである。 いくつかの実施形態では、RはHである。いくつかの実施形態では、RはC1−6アルキルである。いくつかの実施形態では、Rはメチルである。いくつかの実施形態では、Rはハロである。いくつかの実施形態では、RはCNである。
【0031】
いくつかの実施形態では、RはC1−3アルキルである。いくつかの実施形態では、Rはメチルである。
【0032】
いくつかの実施形態では、Rはハロである。 いくつかの実施形態では、Rはフルオロである。いくつかの実施形態では、Rはクロロである。
【0033】
いくつかの実施形態では、RはHである。
【0034】
いくつかの実施形態では、RはC1−3アルキルである。 いくつかの実施形態では、Rはメチルである。
【0035】
いくつかの実施形態では、Rはハロである。いくつかの実施形態では、Rはフルオロである。いくつかの実施形態では、Rはクロロである。
【0036】
いくつかの実施形態では、Rはフルオロであり、Rはフルオロである。いくつかの実施形態において、Rはクロロであり、Rはクロロである。
【0037】
いくつかの実施形態では、Rは、C1−6アルキル、フェニル、5員または6員ヘテロアリール、C3−6シクロアルキルまたは4員〜6員ヘテロシクロアルキルであり、これらのそれぞれは、ハロ、C1−4アルキル、CN、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、フェニル、C3−6シクロアルキル、5−または6−員ヘテロアリール、または4−〜6−員ヘテロシクロアルキルから選択される1〜2個のメンバーで任意に置換される。
【0038】
いくつかの実施形態では、Rが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、シアノメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、フェニル、3−ピリジル、1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル、1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、3,3−ジフルオロシクロブチル、2−メトキシエチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、2,2−ジフルオロエチル、ベンジル、3−フルオロベンジル、ピリジン−3−イルメチル、(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル、(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)メチル、(テトラヒドロフラニル−3−イル)メチル、2−フルオロエチル、4−ピリジル、(ピペリジン−4−イル)メチル、(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル、(1−メトキシカルボニルピペリジン−4−イル)メチル、(1−メチルスルホニルピペリジン−4−イル)メチル、テトラヒドロピラン−4−イル、シクロブチル、シクロペンチル、イソブチル、1−(シクロブチルメチル)、または4−メチル−N−イソプロピルピペリジン−1−カルボキサミドである。
【0039】
いくつかの実施形態では、Rが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、シアノメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、フェニル、3−ピリジル、1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル、1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル、 テトラヒドロフラン−3−イル、3,3−ジフルオロシクロブチル、2−メトキシエチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、2,2−ジフルオロエチル、ベンジル、3−フルオロベンジル、ピリジン−3−イルメチル、(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イルメチル)メチル、(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)メチルまたは(テトラヒドロフラニル−3−イル)メチルである。
【0040】
いくつかの実施形態では、Rが、エチル、プロピル、イソプロピル、シアノメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、フェニル、3−ピリジル、1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、3,3−ジフルオロシクロブチル、2−メトキシエチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、3−フルオロベンジル、ピリジン−3−イルメチル、(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル、または(テトラヒドロフラニル−3−イル)メチルである。
【0041】
いくつかの実施形態では、Rが、2−フルオロエチル、4−ピリジル、(ピペリジン−4−イル)メチル、(1−メチルピペリジン−4−イル)メチル、(1−メトキシカルボニルピペリジン−4−イル)メチル、(1−メチルスルホニルピペリジン−4−イル)メチル、テトラヒドロピラン−4−イル、シクロブチル、シクロペンチル、イソブチル、1−(シクロブチルメチル)、または4−メチル−N−イソプロピルピペリジン−1−カルボキサミドである。
【0042】
いくつかの実施形態では、RはC1−3アルキルであり;Rはハロであり;RはHであり; RはC1−3アルキルであり;Rはハロである。
【0043】
いくつかの実施形態では、RはC1−3アルキルであり;RはFであり;RはHであり; RはC1−3アルキルであり;RはFである。
【0044】
いくつかの実施形態では、Rはメチルであり;RはFであり;RはHであり;Rはメチルであり;RはFである。
【0045】
いくつかの実施形態では、RはC1−3アルキルであり;RはClであり;RはHであり;RはC1−3アルキルであり;RはClである。
【0046】
いくつかの実施形態では、Rはメチルであり;RはClであり;RはHであり;Rはメチルであり;RはClである。
【0047】
いくつかの実施形態では、R10はC1−6アルキルである。いくつかの実施形態では、R10はメチルである。
【0048】
いくつかの実施形態では、R11はC1−6アルキルである。いくつかの実施形態では、R11はメチルである。
【0049】
いくつかの実施形態では、R10及びR11は、それぞれC1−6アルキルである。いくつかの実施形態では、R10及びR11はそれぞれメチルである。
【0050】
いくつかの実施形態では、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3−、4−、5−、6−または7−員シクロアルキル基を形成する。いくつかの実施形態では、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3−、4−、5−、または6−員のシクロアルキル基を形成する。いくつかの実施形態において、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3−、4−、または5−員のシクロアルキル基を形成する.
【0051】
いくつかの実施形態において、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピル基を形成する。いくつかの実施形態において、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロブチル基を形成する。いくつかの実施形態において、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロペンチル基を形成する。いくつかの実施形態において、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロヘキシル基を形成する。いくつかの実施形態では、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロヘプチル基を形成する。
【0052】
いくつかの実施形態では、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1または2個のR10Aで任意に置換されていてもよいシクロプロピル基を形成する。いくつかの実施形態では、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1または2個のR10Aで任意に置換されていてもよいシクロブチル基を形成する。いくつかの実施形態では、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1または2個のR10Aで任意に置換されていてもよいシクロペンチル基を形成する。いくつかの実施形態では、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1または2個のR10Aで任意に置換されていてもよいシクロヘキシル基を形成する。
【0053】
いくつかの実施形態では、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基を形成する。
【0054】
いくつかの実施形態において、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピルまたはシクロペンチル基を形成する。
【0055】
いくつかの実施形態では、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、4−、5−、6−または7−員ヘテロシクロアルキル基を形成する。
【0056】
いくつかの実施形態において、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、テトラヒドロピラニル基(例えば、2−テトラヒドロピラニル、3−テトラヒドロピラニルまたは4−テトラヒドロピラニル)、テトラヒドロフラニル基(例えば、2−テトラヒドロフラニルまたは3−テトラヒドロフラニル )、テトラヒドロチオフェニル基(例えば、2−テトラヒドロチオフェニル、または3−テトラヒドロチオフェニル)、ピロリジニル基(例えば、2−ピロリジニルまたは3−ピロリジニル)、ピペリジニル基(例えば、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルまたは4−ピペリジニル)、2−モルホリニルまたは3−モルホリニルであり、これらのそれぞれは1または2個のR10A基で任意に置換されていてもよい。いくつかの実施形態においてR10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、テトラヒドロピラニル基を形成する。いくつかの実施形態ではR10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、1または2個のR10Aで任意に置換されていてもよいテトラヒドロピラニル基を形成する。いくつかの実施形態において、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、テトラヒドロフラニル基を形成する。いくつかの実施形態では、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、R10Aで置換されていてもよいテトラヒドロフラニル基を形成する。いくつかの実施形態において、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、アゼチジニル基を形成する。いくつかの実施形態では、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、R10Aで任意に置換されていてもよいアゼチジニル基を形成する。
【0057】
いくつかの実施形態において、Lは、−(CR1314−(但し、R13及びR14はそれぞれ独立してH、C1−6アルキル、C6−10アリール、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキルであり、これらのそれぞれは1〜3個のR17基で任意に置換されていてもよく、nは1又は2である。)である。いくつかの実施形態において、Lは、−(CR1314−(但し、R13及びR14はそれぞれ独立してH、C1−6アルキル、C6−10アリール、5〜10員ヘテロアリールまたは4〜10員ヘテロシクロアルキルである。)である。
【0058】
いくつかの実施形態において、Lは、−(CR1314−(但し、R13及びR14はそれぞれ独立してH、あるいはR13及びR14は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3〜6員シクロアルキル基、または4〜7員ヘテロシクロアルキル基を形成し、前記3〜6員シクロアルキル基、または4〜7員ヘテロシクロアルキル基は、1または2個のR17基で任意に置換されていてもよい。)である。いくつかの実施形態において、Lは、−(CR1314−(但し、R13及びR14はそれぞれ独立してH、あるいはR13及びR14は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3〜6員シクロアルキル基、または4〜7員ヘテロシクロアルキル基を形成する。)である。
【0059】
いくつかの実施形態において、Lは、−CHC(R13)(R14)−または−C(R13)(R14)CH−(但し、R13及びR14は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基を形成し、これらのそれぞれは、1または2個のR17基で任意に置換されていてもよい。)である。いくつかの実施形態において、Lは、−CHC(R13)(R14)−または−C(R13)(R14)CH−(但し、R13及びR14は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基を形成する。)である。
【0060】
いくつかの実施形態において、Lは、−CHC(R13)(R14)−または−C(R13)(R14)CH−(但し、R13及びR14は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、テトラヒドロピラニル基 (例えば、2−テトラヒドロピラニル、3−テトラヒドロピラニルまたは4−テトラヒドロピラニル)、テトラヒドロフラニル基 (例えば、2−テトラヒドロフラニルまたは3−テトラヒドロフラニル)、テトラヒドロチオフェニル基(例えば、2−テトラヒドロチオフェニルまたは3−テトラヒドロチオフェニル)、ピロリジニル基(例えば、2−ピロリジニルまたは3−ピロリジニル)、ピペリジニル基(例えば、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、または4−ピペリジニル)、2−モルホリニルまたは3−モルホリニルを形成し、これらのそれぞれは、1または2個のR17基で任意に置換されていてもよい。)である。いくつかの実施形態において、Lは、−CHC(R13)(R14)−または−C(R13)(R14)CH−(但し、R13及びR14は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、テトラヒドロピラニル基 (例えば、2−テトラヒドロピラニル、3−テトラヒドロピラニルまたは4−テトラヒドロピラニル)、テトラヒドロフラニル基(例えば、2−テトラヒドロフラニルまたは3−テトラヒドロフラニル)、テトラヒドロチオフェニル基(例えば、2−テトラヒドロチオフェニルまたは3−テトラヒドロチオフェニル)、ピロリジニル基(例えば、2−ピロリジニル、または3−ピロリジニル)、ピペリジニル基(例えば、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルまたは4−ピペリジニル)、2−モルホリニルまたは3−モルホリニルを形成する。)である。
【0061】
いくつかの実施形態では、Lは−(CH−であり、ここでnは1、2または3である。一実施形態では、LはCHである。
【0062】
いくつかの実施形態では、Lは−(CH−であり、ここでnは1または2である。
【0063】
好ましい実施形態において、RはHである。別の好ましい実施形態において、R12はHである。別の好ましい実施形態において、XはCHである。別の好ましい実施形態では、XはNである。
【0064】
いくつかの実施形態では、R17はメチルである。
【0065】
いくつかの実施形態では、Rは、HまたはC1−4アルキルである。いくつかの実施形態では、RはHまたはメチルである。いくつかの実施形態では、RはHである。いくつかの実施形態では、Rはメチルである。
【0066】
いくつかの実施形態では、R12は、HまたはR17で任意に置換されていてもよいC1−4アルキルであり;R17は、出現ごとに独立して、ハロ、CN、ORa7、C(O)Rb7、C(O)NRc7d7、C(O)ORa7、OC(O)Rb7、OC(O)NRc7d7、NRc7d7、NRc7C(O)Rb7、NRc7C(O)ORa7、NRc7C(O)NRc7d7、NRc7S(O)Rb7、NRc7S(O)b7、NRc7S(O)NRc7d7、S(O)Rb7、S(O)NRc7d7、S(O)b7、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、及びC1−4ハロアルキルから選択される。
【0067】
いくつかの実施形態では、Ra7、Rc7及びRd7は、出現ごとに独立してH及びC1−4アルキルから選択される。Rb7は独立してC1−4アルキルである。
【0068】
いくつかの実施形態において、R12は、HまたはC1−4アルキルである。いくつかの実施形態では、R12はC1−4アルキルである。いくつかの実施形態では、R12は、−N(CHで置換されたC1−4アルキルである。いくつかの実施形態では、R12は−CH−N(CHである。いくつかの実施形態では、R12はメチルである。いくつかの実施形態では、R12はピペリジン−1−イルで置換されたC1−4アルキルである。いくつかの実施形態において、R12は、−CH(ピペリジン−1−イル)である。
【0069】
いくつかの実施形態では、R12はHである。
【0070】
いくつかの実施形態において、本開示は、下記の式(Ib)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩である、FGFR4の阻害剤を提供する:
【化9】

(但し、X、L、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12は本明細書に定義されており、R12aはHであり;R12bはHである。)。
【0071】
いくつかの実施形態において、本開示は、下記の式(Ic)を有する化合物またはその薬学的に受容可能な塩である、FGFR4の阻害剤を提供する:
【化10】

(但し、L、R、R、R、R10、R11、及びR12は本明細書に定義されており、R12aはHであり;R12bはHである。)。
【0072】
いくつかの実施形態では、R12aはH、F、メチルまたはトリフルオロメチルである。
【0073】
いくつかの実施形態では、R12bはH、F、メチルまたはトリフルオロメチルである。
【0074】
明確にするために別の実施形態において記載された本発明の特定の特徴は、単一の実施形態における組み合わせでも示すことができることがさらに理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態において記載されている本発明の様々な特徴は、別々にまたは任意の適当なサブコンビネーションで示すこともできる。
【0075】
本明細書の様々な箇所で、本発明の化合物の置換基は、基または範囲で開示されている。 本発明では、このような基及び範囲のメンバーの個々のサブコンビネーションをそれぞれ及び全て含むことが特に意図されている。例えば、用語「C1−6アルキル」は、メチル、エチル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル及びCアルキルを個々に開示することを特に意図している。
【0076】
本明細書の様々な箇所で、種々のアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル環が記載されている。特段の規定がない限り、これらの環は、原子価で受容可能なように、任意の環員で分子の残りと結合することができる。例えば、「ピリジン環」または「ピリジニル」という用語は、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、またはピリジン−4−イル環を意味し得る。
【0077】
「n員の」(但し、nが整数である)という用語は、典型的には、環形成原子の数がnである部分における環形成原子の数を表す。例えば、ピペリジニルは6員のヘテロシクロアルキル環の例であり、ピラゾリルは5員のヘテロアリール環の例であり、ピリジルは6員のヘテロアリール環の例であり、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレンは10員のシクロアルキル基の例である。
【0078】
変数が1回を超えて現れる本発明の化合物について、各変数は、変数を定義する群から独立して選択される異なる部分であり得る。例えば、同じ化合物上に同時に存在する2つのR基を有する構造が記載されている場合、2つのR基は、Rについて定義した基から独立して選択される異なる部分を表すことができる。
【0079】
定義
本明細書で使用される「場合により置換された」という語句は、置換されていない、又は置換された、を意味する。
【0080】
本明細書で使用する「置換された」という用語は、水素原子でない基で置き換えられていることを意味する。所与の原子における置換は原子価によって制限されることは理解されるはずである。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「Ci−j」(但し、i及びjは化学基と組み合わせて使用される整数である)は、範囲を定義するi−jを有する化学基における炭素原子の数の範囲を示す。例えば、C1−6アルキルは、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキル基を指す。
【0082】
本明細書で使用される場合、単独または他の用語と組み合わせて使用される用語「アルキル」は、直鎖または分枝鎖であり得る飽和炭化水素基を指す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜6個、1〜4個、または1〜3個の炭素原子を含む。アルキル部分の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−ペンチル、n−ヘキシル、1,2,2−トリメチルプロピル等の化学基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、アルキル基は、メチル、エチル、またはプロピルである。
【0083】
本明細書で使用される場合、単独または他の用語と組み合わせて使用される「Ci−jアルキレン」という用語は、i〜j個の炭素を有する直鎖または分枝鎖であり得る飽和二価連結炭化水素基を意味する。いくつかの実施形態では、アルキレン基は、1〜4個の炭素原子、1〜3個の炭素原子、または1〜2個の炭素原子を含む。アルキレン部分の例は、メチレン、エチレン、1,1−エチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,1−プロピレン、 イソプロピレン等の化学基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本明細書で使用する「アルケニル」は、単独または他の用語と組み合わせて使用され、1個以上の炭素−炭素二重結合を有するアルキル基を指す。いくつかの実施形態において、アルケニル部分は、2〜6個または2〜4個の炭素原子を含む。アルケニル基の例としては、エテニル、n−プロペニル、イソプロペニル、n−ブテニル、sec−ブテニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本明細書で使用される場合、単独または他の用語と組み合わせて使用される「アルキニル」は、1個以上の炭素−炭素三重結合を有するアルキル基を指す。いくつかの実施形態では、アルキニル部分は、2〜6個または2〜4個の炭素原子を含む。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピン−1−イル、プロピン−2−イル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
本明細書で使用する場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含む。いくつかの実施形態では、ハロはFまたはClである。いくつかの実施形態では、ハロはFである
【0087】
本明細書で使用する場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される用語「ハロアルキル」は、同一でも異なっていてもよいハロゲン原子置換基の全原子価までを有するアルキル基を指す。いくつかの実施形態では、ハロゲン原子はフルオロ原子である。 いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜6個、1〜4個、または1〜3個の炭素原子を有する。 ハロアルキル基の例としては、CF、C、CHF、CCl、CHCl、CCl等が挙げられる。
【0088】
本明細書で使用する場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される用語「アルコキシ」は、式−O−アルキルの基を指す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜6個、1〜4個、または1〜3個の炭素原子を有する。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシ及びイソプロポキシ)、t−ブトキシ等が挙げられる。いくつかの実施形態では、アルコキシはメトキシである。
【0089】
本明細書で使用する場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「ハロアルコキシ」は、式−O−(ハロアルキル)の基を指す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1〜6個、1〜4個、または1〜3個の炭素原子を有する。ハロアルコキシ基の例は−OCFである。
【0090】
本明細書で使用する場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「アミノ」は、NHを指す。
【0091】
本明細書で使用する場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される用語「アルキルアミノ」は、式−NH(アルキル)の基を指す。いくつかの実施形態において、アルキルアミノ基は1〜6個、または1〜4個の炭素原子を有する。 アルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ(例えばn−プロピルアミノ及びイソプロピルアミノ)等が挙げられる。
【0092】
本明細書で使用する場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される用語「ジアルキルアミノ」は、式−N(アルキル)の基を指す。ジアルキルアミノ基の例としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ(例えば、ジ(n−プロピル)アミノ及びジ(イソプロピル)アミノ)等が挙げられる。いくつかの実施形態では、各アルキル基は、独立して1〜6個、または1〜4個の炭素原子を有する。
【0093】
本明細書で使用する場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される用語「アルキルチオ」は、式−S−アルキルの基を指す。いくつかの実施形態において、アルキル基は1〜6個、または1〜4個の炭素原子を有する。
【0094】
本明細書で使用する場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される用語「シクロアルキル」は、環化アルキル及びアルケニル基を含む非芳香族環状炭化水素を指す。シクロアルキル基は、単環式又は多環式(例えば、2、3または4個の縮合環、架橋した環またはスピロ環を有する)環系を含むことができる。また、シクロアルキルの定義には、シクロアルキル環に縮合した(即ち、共有結合を有する)1個以上の芳香環(例えば、アリールまたはヘテロアリール環)を有する部分、例えば、シクロペンタン、シクロヘキセン、 シクロヘキサン等のベンゾ誘導体、またはシクロペンタンまたはシクロヘキサンのピリド誘導体が含まれる。シクロアルキル基の環形成炭素原子は、オキソにより任意に置換されていてもよい。 シクロアルキル基には、シクロアルキリデンも含まれる。用語「シクロアルキル」はまた、ブリッジヘッドシクロアルキル基(例えば、アダマンタン−1−イル等の、少なくとも1個のブリッジヘッド炭素を含む非芳香族環状炭化水素部分)及びスピロシクロアルキル基(例えば、スピロ[2.5]オクタン等の、単一の炭素原子で縮合した少なくとも2個の環を含む非芳香族炭化水素部分)である。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、3〜10個の環員、または3〜7個の環員、または3〜6個の環員を有する。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、単環式または二環式である。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は単環式である。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、C3−7単環式シクロアルキル基である。 シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、テトラヒドロナフタレニル、オクタヒドロナフタレニル、インダニル等が挙げられる。 いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0095】
本明細書で使用する場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される用語「ヘテロシクロアルキル」は、環構造の一部として1個以上のアルケニレンまたはアルキニレン基を任意に含むことができ、窒素、硫黄、酸素及びリンから独立して選択される少なくとも1個のヘテロ原子環員を含む非芳香族環または環系を指す。ヘテロシクロアルキル基は、単環式または多環式(例えば、2、3または4個の縮合環、架橋した環またはスピロ環を有する)環系を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、窒素、硫黄及び酸素から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する単環式または二環式基である。また、ヘテロシクロアルキルの定義には、非芳香族ヘテロシクロアルキル環(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン等)に縮合した(即ち、共有結合を有する)1個以上の芳香環(例えば、アリールまたはヘテロアリール環)を有する部分も含まれる。ヘテロシクロアルキル基はまた、ブリッジヘッドヘテロシクロアルキル基(例えば、アザアダマンタン−1−イル等の、少なくとも1個のブリッジヘッド原子を含有するヘテロシクロアルキル部分)、及びスピロヘテロシクロアルキル基(例えば、単一の原子に縮合した少なくとも2個の環を含むヘテロシクロアルキル部分、 例えば、[1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカン−N−イル]等)も含み得る。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、3〜10個の環形成原子、4〜10個の環形成原子、または3〜8個の環形成原子を有する。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、1〜5個のヘテロ原子、1〜4個のヘテロ原子、1〜3個のヘテロ原子、または1〜2個のヘテロ原子を有する。ヘテロシクロアルキル基の環の炭素原子またはヘテロ原子は、酸化されてカルボニル、N−オキシドまたはスルホニル基(または他の酸化結合)を形成することができ、または窒素原子は四級化され得る。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル部分は、C2−7単環式ヘテロシクロアルキル基である。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキル基は、モルホリン環、ピロリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロピリジン、アゼチジン環またはテトラヒドロフラン環である。いくつかの実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜7員のヘテロシクロアルキル部分である。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、 N、O及びSから独立して選択される1、2または3個のヘテロ原子を有する4〜10員のヘテロシクロアルキル部分である。
【0096】
本明細書で使用する場合、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される用語「アリール」は、単環式または多環式(例えば、2個の縮合環を有する)芳香族炭化水素部分を指し、例えばフェニル、1−ナフチル 、2−ナフチル等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アリール基は6〜10個の炭素原子または6個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態では、アリール基は、単環式または二環式基である。いくつかの実施形態では、アリール基はフェニルまたはナフチルである。
【0097】
本明細書で使用される場合、単独または他の用語と組み合わせて用いられる用語「ヘテロアリール」は、窒素、硫黄及び酸素から独立して選択される1個以上のヘテロ原子環員を有する単環式または多環式(例えば、2または3個の縮合環を有する) 芳香族炭化水素部分を指す。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、窒素、硫黄及び酸素から独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を有する単環式または二環式基である。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソチアゾリル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリニル、ピロリル、アゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイソオキサゾリル、イミダゾ[1,2−b]チアゾリル等が挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基の環内の炭素原子またはヘテロ原子は、環の芳香性が保存されるとの条件で、酸化されてカルボニル、N−オキシドまたはスルホニル基(または他の酸化結合)が形成され得るか、または窒素原子は四級化され得る。一実施形態では、ヘテロアリール基は、5〜10員のヘテロアリール基である。別の実施形態において、ヘテロアリール基は、5〜6員のヘテロアリール基である。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールは、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1,2または3個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロアリール部分である。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールは、炭素及びN、O及びSから独立して選択される1、2、または3個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール部分である。
【0098】
本明細書に記載の化合物は、非対称(例えば、1つ以上の立体中心を有する)であり得る。 エナンチオマー及びジアステレオマー等のすべての立体異性体が、特段の指示がない限り意図されている。不斉炭素原子を含む本発明の化合物は、光学活性体またはラセミ体で単離することができる。光学的に不活性な出発物質から光学活性形態を調製する方法は、ラセミ混合物の分割または立体選択的合成等、当技術分野で公知である。オレフィンの多数の幾何異性体、C=N二重結合等もまた、本明細書に記載の化合物中に存在することができ、このような安定な異性体のすべてが本発明において考慮される。本発明の化合物のシス及びトランス幾何異性体は記載されており、異性体の混合物として、または分離された異性体として単離することができる。
【0099】
化合物のラセミ混合物の分割は、当技術分野で公知の方法により行うことができる。その方法の例としては、光学活性塩生成有機酸であるキラル分割酸を使用する分別再結晶が挙げられる。分別再結晶法に好適な分割剤は、例えば、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸または種々の光学活性樟脳スルホン酸のD及びL型等の光学活性酸である。分別結晶化法に好適な他の分割剤には、メチルベンジルアミンの立体異性的に純粋な形態(例えばS体及びR体、またはジアステレオマー的に純粋な形態)、2−フェニルグリシノール、ノルエフェドリン、エフェドリン、N−メチルエフェドリン、シクロヘキシルエチルアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン等が挙げられる。
ラセミ混合物の分割はまた、光学活性分割剤(例えば、ジニトロベンゾイルフェニルグリシン)を充填したカラム上への溶出によって行うこともできる。適切な溶出溶媒組成は、当業者によって決定され得る。
【0100】
本発明の化合物は、互変異性体も含む。 互変異性体は、プロトンの付随する移動とともに、単結合が隣接する二重結合と交換することから生じる。互変異性体には、同じ実験式と全電荷を有する異性体プロトン化状態であるプロトトロピー互変異性体が含まれる。プロトトロピー互変異性体の例としては、ケトン−エノール対、アミド−イミド酸対、ラクタム−ラクチム対、エナミン−イミン対、及びプロトンが複素環式系の2つ以上の位置を占めることができる環状型、例えば1H−及び3H−イミダゾール、1H−、2H−及び4H−1,2,4−トリアゾール、1H−及び2H−イソインドール、及び1H−及び2H−ピラゾールが挙げられる。互変異性体は、適切な置換によって、平衡状態または立体的に1つの形態に固定され得る。
【0101】
本発明の化合物はまた、中間体または最終化合物中に存在する原子の全ての同位体を含む。 同位体には、原子番号は同じであるが質量数が異なる原子が含まれる。 例えば、水素の同位体としては、トリチウム及び重水素が挙げられる。
【0102】
本明細書で使用する用語「化合物」は、描かれた構造のすべての立体異性体、幾何異性体、互変異性体及び同位体を含むことを意味する。
【0103】
全ての化合物及びその薬学的に受容可能な塩は、水及び溶媒のような他の物質と共に(例えば、水和物及び溶媒和物の形態)見出すことができ、または単離することができる。
【0104】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物またはその塩は、実質的に単離される。 「実質的に単離された」とは、化合物が形成または検出された環境から少なくとも部分的または実質的に分離されることを意味する。部分的分離は、例えば、本発明の化合物が豊富な組成物を含むことができる。 実質的な分離は、組成物の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または 少なくとも約99重量%の本発明の化合物またはその塩を含むことができる。化合物及びその塩を単離するための方法は、当技術分野では日常的なものである。
【0105】
語句「薬学的に受容可能な」は、ヒト及び動物の組織と接触において、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題または合併症が無く、使用するのに適しており、また合理的な利益/リスク比に見合っている、化合物、材料、組成物及び/または剤形を指す。
【0106】
本発明は、本明細書に記載の化合物の薬学的に受容可能な塩も含む。本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能な塩」は、親化合物が、既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾される開示化合物の誘導体を指す。薬学的に受容可能な塩の例としては、アミン等の塩基性残基の無機または有機酸塩;カルボン酸等の酸性残基のアルカリまたは有機塩;等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の薬学的に受容可能な塩には、例えば無毒性無機または有機酸から形成された親化合物の無毒性塩が含まれる。
本発明の薬学的に受容可能な塩は、従来の化学的方法によって塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、化学量論量の適切な塩基または酸と、水中または有機溶媒中、またはその2種の混合物中で反応させることによって調製することができる;一般に、エーテル、酢酸エチル、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、またはブタノール)またはアセトニトリル(ACN)等の非水性媒体が好ましい。好適な塩の例示は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418及びJournal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)に記載されており、その各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
本明細書では以下の略語を用いることができる:AcOH(酢酸);AcO(無水酢酸); aq.(水性);atm.(大気圧);Boc(t−ブトキシカルボニル);br(ブロード); Cbz(カルボキシベンジル);calc.(計算された);d(併用療法);dd(複数の併用療法の併用療法);DCM(ジクロロメタン);DEAD(アゾジカルボン酸ジエチル);DIAD(N,N’−ジイソプロピルアジドジカルボキシレート);DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン); DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);Et(エチル);EtOAc(酢酸エチル);g(グラム);h(時間);HATU(N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート);HCl(塩酸);HPLC(高速液体クロマトグラフィー);Hz(ヘルツ); J(カップリング定数);LCMS(液体クロマトグラフィー−質量分析);m(多重項);M(モル);mCPBA(3−クロロペルオキシ安息香酸);MgSO(硫酸マグネシウム);MS(質量分析);Me(メチル);MeCN(アセトニトリル);MeOH(メタノール);mg(ミリグラム);min(分);mL(ミリリットル);mmol(ミリモル);N(ノーマル);NaHCO(重炭酸ナトリウム);NaOH(水酸化ナトリウム);NaSO(硫酸ナトリウム);NHCl(塩化アンモニウム);NHOH(水酸化アンモニウム);nM(ナノモル);NMR(核磁気共鳴分光法);OTf(トリフルオロメタンスルホネート);Pd(パラジウム);Ph(フェニル);pM(ピコモル);PMB(パラ−メトキシベンジル);POCl(塩化ホスホリル);RP−HPLC(逆相高速液体クロマトグラフィー);s(一重項);t(三重項または三次);TBS(tert−ブチルジメチルシリル); tert(ターシャリー);tt(複数三重項の三重項);t−Bu(tert−ブチル);TFA(トリフルオロ酢酸);THF(テトラヒドロフラン);μg(マイクログラム);μL(マイクロリットル);μM(マイクロモル);wt%(重量%)。
【0108】
合成
本発明の化合物(その塩を含む)は、公知の有機合成技術を用いて、様々な可能な合成経路に従って調製することができる。
【0109】
本発明の化合物を調製するための反応は、有機合成の当業者が容易に選択することができる好適な溶媒中で行うことができる。好適な溶媒は、反応が実施される温度、例えば溶媒の凍結温度から溶媒の沸点までの範囲の温度において、出発物質(反応物)、中間体、または生成物と実質的に非反応性であり得る。所定の反応は、1種の溶媒または2種以上の溶媒の混合物中で行うことができる。特定の反応工程に応じて、特定の反応工程に好適な溶媒を当業者が選択することができる。
【0110】
本発明の化合物の調製は、種々の化学基の保護及び脱保護を含むことができる。保護及び脱保護の必要性及び適当な保護基の選択は、当業者により容易に決定され得る。保護基の化学は、例えば、T.W.Greene及びP.G.M. Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版, Wiley & Sons,Inc.,New York(1999)に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
反応は、当該分野で公知の任意の適当な方法に従ってモニターすることができる。 例えば、生成物の形成は、核磁気共鳴分光法(例えば、Hまたは13C)、赤外分光法、分光光度法(例えばUV−可視光、)または質量分析法等の分光手段によって、あるいは高速液体 クロマトグラフィー(HPLC)または薄層クロマトグラフィー等のクロマトグラフィーによってモニターすることができる。
【0112】
本明細書で使用される表現「周囲温度」、「室温」及び「r.t.」は、当該技術分野において理解されており、一般に、温度、例えば反応温度、即ち反応が行われる部屋の室温くらいの温度、例えば約20℃〜約30℃の温度、を指す。
【0113】
本発明の化合物は、文献に公知の調製経路に従って、当業者により調製することができる。 本発明の化合物を調製するための合成方法の例は、以下のスキームに示される。
【0114】
スキーム1に示されている手順を用いて、式4の化合物を合成することができる。ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL−H)を用いるエステル1の還元により、対応するアルデヒド2を得ることができる。酢酸またはトリフルオロ酢酸(TFA)等の酸の存在下で、トリアセトキシボロヒドリド[Na(OAc)BH]等の好適な還元剤を用いて、アルデヒド2をアニリン3で還元的アミノ化することにより、式4のアミンを得ることができる
【化11】
【0115】
式8の置換ジクロロピリミジンは、スキーム2に記載の方法によって調製することができる。市販の5−(クロロメチル)ピリミジン−2,4(1H、3H)−ジオン5を塩化ホスホリル(POCl)で処理すると、式6の3塩化ピリミジンが得られる。ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(BuNI)、または同等のヨウ化物試薬を用いて、化合物6を式7のヨウ化物に転化することができる。化合物7は、ジイソプロピルエチルアミン(PrNEt)、炭酸セシウム(CsCO)または水素化ナトリウム(NaH)等の適当な塩基の存在下にアニリン3とカップリングされて、式8のジクロロピリミジンを得ることができる。
【化12】
【0116】
化合物14の合成の概要をスキーム3に示す。化合物9をTHF中で3−クロロ−3−オキソプロパン酸エチル及びNaHで処理してアミド10を得ることができる。ラクタム11は、化合物10をDMF中で強塩基、例えばNaHまたはCsCOで処理し、次いでHCl等の酸媒介により脱カルボキシル化することにより調製することができる。α-置換ラクタム12は、DMFまたはアセトニトリル中で、NaHまたはCsCO等の塩基で化合物11を処理し、続いてハロゲン化物R10X及び/またはR11X(XはCl、BrまたはI等のハロである) を添加することにより得ることができる。塩化物12をDMF中でZn(CN)/Pd(dppf)Clで処理すると、化合物13に転化することができる。 DIBAL−Hを用いた化合物13の還元により対応するアミンが生じ、そのアクリロイル化をiPrNEt等の塩基の存在下に塩化アクリロイルを用いて行うことにより、アミド14を得ることができる。
【化13】
【0117】
スキーム4に示す手順に従って、アルケン17を合成することができる。従って、化合物9は、最初にピリジン等の塩基の存在下にトリホスゲンで処理し、次に別の塩基(例えばDIPEA)の存在下にアミンRNHで処理して、尿素15を得る。適切な塩基(例えば、CsCO)で処理すると、15の環化が起こり、環式尿素16が生成し、次いで、4,4,5,5−テトラメチル−2−ビニル−1,3,2−ジオキサボロランの存在下に標準的なスズキ条件を用いて、 化合物17に転化することができる。
【化14】
【0118】
アルケン17は、スキーム5に示した別の手順によって調製することができる。化合物9と4,4,5,5−テトラメチル−2−ビニル−1,3,2−ジオキサボロランとのスズキカップリングにより、アルケン18が得ることができ、例えばPd(OAc)/キサントホス/CsCOまたはPd(dba)/BINAP/NaOtBu等の試薬を用いて、標準Buchwald−Hartwigアミノ化条件下において、対応するアミン19に転化され得る。アミン19をEtNまたはDIPEA等の塩基の存在下にトリホスゲンで処理することにより、化合物17を得ることができる。
【化15】
【0119】
化合物23は、スキーム6に記載の方法により合成することができる。OsO/NaIOを用いたアルケン17の酸化開裂により、アルデヒド20が得られる。次に、化合物20を還元アミノ化により対応するアミン21に転化する。 アミン21と酸塩化物22との間のカップリング反応は、iPrNEtまたはEtN等の塩基の存在下で起こり、アミド23を得ることができる。
【化16】
【0120】
使用方法
本発明の化合物は、FGFR4酵素の活性を阻害することができる。例えば、本発明の化合物は、阻害する量の本発明の化合物を細胞、個体または患者に投与することによって、酵素の阻害を必要とする細胞もしくは個体または患者におけるFGFR4酵素の活性を阻害するために使用することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、FGFR1、FGFR2、及び/またはFGFR3の1つ以上よりも、酵素FGFR4に対して選択的である。 いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、FGFR1、FGFR2、及びFGFR3よりも、酵素FGFR4に対して選択的である。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、VEGFR2よりも酵素FGFR4に対して選択的である。いくつかの実施形態において、選択性は、2倍以上、3倍以上、5倍以上、10倍以上、25倍以上、50倍以上、または100倍以上である。
【0122】
FGFR4阻害剤として、本発明の化合物は、FGFR4酵素またはFGFRリガンドの異常発現または活性に関連する様々な疾患の治療に有用である。FGFRを阻害する化合物は、腫瘍の増殖を防止するか、または腫瘍におけるアポトーシスを誘導する手段を、特に血管新生を阻害することによって、提供するのに有用であろう。従って、化合物は、癌等の増殖性障害の治療または予防に有用であることが予想される。特に、受容体チロシンキナーゼの活性化突然変異体または受容体チロシンキナーゼの上方制御を有する腫瘍は、阻害剤に対して特に感受性であり得る。
【0123】
特定の実施形態では、FGFR4またはその突然変異体の活性は、不可逆的に阻害される。特定の実施形態では、FGFR4またはその突然変異体は、FGFR4のCys552を共有結合的に修飾することによって不可逆的に阻害される。
【0124】
特定の実施形態では、本発明は、当該治療を必要とする患者におけるFGFR4媒介性障害の治療方法であって、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な組成物を前記患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0125】
例えば、本発明の化合物は癌の治療に有用である。癌の例としては、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、小腸癌、結腸癌、直腸癌、肛門癌、子宮体癌、胃癌、頭頸部癌(例えば、喉頭、下咽頭、鼻咽頭、口腔咽頭、唇及び口の癌)、腎臓癌、肝臓癌(例えば、肝細胞癌、胆管細胞癌)、肺癌(例えば、腺癌、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌、肺胞性及び非小細胞肺癌、気管支癌、気管支腺腫、胸膜肺芽腫)、卵巣癌、前立腺癌、睾丸癌、子宮癌、食道癌、胆嚢癌、膵臓癌(例えば、外分泌膵臓癌)、胃癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、メルケル細胞皮膚癌)、及び脳癌(例えば、星状細胞腫、髄芽腫、上衣腫、神経外胚葉腫瘍、松果体腫瘍)が挙げられる。
【0126】
さらなる例としては、白血病またはリンパ腫等の造血悪性腫瘍、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性リンパ腫、成人T細胞白血病、B細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、ホジキンまたは非ホジキンリンパ腫、骨髄増殖性新生物(例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、及び原発性骨髄線維症)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、毛状細胞リンパ腫、慢性骨髄性リンパ腫、急性リンパ芽球性リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びバーキットリンパ腫が挙げられる。
【0127】
本発明の化合物で治療可能な他の癌には、眼、膠芽細胞腫、メラノーマ、横紋筋肉腫、リンパ肉腫及び骨肉腫の腫瘍が含まれる。
【0128】
本発明の化合物は、腫瘍転移の阻害にも有用であり得る。
【0129】
いくつかの実施形態において、本発明は、当該治療を必要とする患者における肝細胞癌の治療方法であって、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な組成物を前記患者に投与する工程を含む、治療方法を提供する。
【0130】
いくつかの実施形態では、本発明は、当該治療を必要とする患者における横紋筋肉腫、食道癌、乳癌、または頭頸部の癌を治療する方法であって、本発明による化合物をまたはその薬学的に受容可能な組成物を前記患者に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0131】
いくつかの実施形態において、本発明は、肝細胞癌、乳癌、膀胱癌、結腸直腸癌、メラノーマ、中皮腫、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、精巣癌、甲状腺癌、扁平上皮癌、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、子宮癌及び横紋筋肉腫から選択される癌を治療する方法を提供する。
【0132】
本明細書中で使用される場合、用語「細胞」は、インビトロ、エクスビボまたはインビボの細胞を指すことを意味する。いくつかの実施形態では、エクスビボ細胞は、哺乳動物等の生物から切除された組織サンプルの一部であり得る。いくつかの実施形態において、インビトロ細胞は、細胞培養物中の細胞であり得る。いくつかの実施形態において、インビボ細胞は、哺乳動物等の生物に存在する細胞である
【0133】
本明細書で使用される場合、用語「接触させる」は、インビトロ系またはインビボ系において示された部分を一緒にすることを指す。例えば、FGFR4酵素を本発明の化合物と「接触させる」ことは、FGFRを有する個体または患者、例えばヒトに、本発明の化合物を投与すること、同様に、例えば、本発明の化合物を、FGFR4酵素を含有する細胞または精製調製物を含む試料に導入することが、含まれる。
【0134】
本明細書で使用される場合、交換可能に使用される用語「個体」または「患者」は、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、最も好ましくはヒトである。
【0135】
本明細書で使用される場合、語句「治療上有効な量」は、研究者、獣医、医師または他の臨床医が求める組織、系、動物、個体またはヒトにおける生物学的または医学的応答を誘発する活性化合物または医薬品の量を指す。
【0136】
本明細書で使用する場合、用語「治療する」または「治療」は、1)疾患を予防すること;例えば、疾患、状態または障害に罹患しやすい可能性があるが、疾患の病理または症候をまだ経験または呈していない個体の疾患、状態または障害を予防すること;2)疾患を阻害すること;例えば、疾患、状態または障害の病状または兆候を経験しているかまたは呈している個体において疾患、状態または障害を阻害する(即ち、病理及び/または症候のさらなる発達を阻止する)こと、または3)疾患を改善すること; 例えば、疾患、状態または障害の病理または症候を経験しているかまたは呈している個体の疾患、状態または障害を改善する(即ち、病理及び/または症候を逆転させる)ことを指す。
【0137】
併用療法
例えば、抗ウイルス剤、化学療法剤、または他の抗癌剤、免疫増強剤、免疫抑制剤、放射線、抗腫瘍及び抗ウイルスワクチン、サイトカイン療法(例えば、IL2、GM−CSF等)、及び/またはチロシンキナーゼ阻害剤等の1つまたは複数の追加の医薬品または治療法は、FGFR関連の疾患、障害または状態の治療のために、本発明の化合物と組み合わせて使用することができる。薬剤は、単一の剤形で本発明の化合物と組み合わせることができるか、薬剤を別々の剤形として同時にまたは連続して投与することができる。
【0138】
本発明の化合物と組み合わせて使用することが意図される好適な抗ウイルス剤には、ヌクレオシドおよびヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、プロテアーゼ阻害剤及び他の抗ウイルス薬が含まれ得る。
【0139】
好適なNRTIの例としては、ジドブジン(AZT); ジダノシン(ddl);ザルシタビン(ddC);スタブジン(d4T);ラミブジン(3TC); アバカビル(1592U89); アデホビルジピボキシル[bis(POM)−PMEA];ロブカビル(BMS−180194);BCH−10652;エミリシタビン[(−)−FTC];ベータ−L−FD4(ベータ−L−D4Cとも呼ばれ、ベータ−L−2’,3’−ジクロキシ−5−フルオロ−シチデンと命名された);DAPD、((−)−ベータ−D−2,6−ジアミノ−プリンジオキソラン); 及びロデノシン(FddA)が挙げられる。典型的な好適なNNRTIとしては、ネビラピン(BI−RG−587); デラビラジン(BHAP、U−90152);エファビレンツ(DMP−266);PNU−142721;AG−1549;MKC−442(1−(エトキシ−メチル)−5−(1−メチルエチル)−6−(フェニルメチル)−(2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン);及び(+)−カラノライドA(NSC−675451)及びBが挙げられる。典型的な適当なプロテアーゼ阻害剤としては、サキナビル(Ro 31−8959);リトナビル(ABT−538);インジナビル(MK−639);nelfnavir(AG−1343);アンプレナビル(141W94);ラシナビル(BMS−234475);DMP−450;BMS−2322623;ABT−378;及びAG−1 549が挙げられる。他の抗ウイルス剤には、ヒドロキシウレア、リバビリン、IL−2、IL−12、ペンタフサイド及びYissum Project No.11607が含まれる。
【0140】
癌の治療のために本発明の化合物と組み合わせて好適に使用される手段(agent)としては、化学療法剤、標的癌療法、免疫療法または放射線療法が挙げられる。本発明の化合物は、乳癌及び他の腫瘍の治療のために抗ホルモン剤との併用が有効であり得る。好適な例としては、タモキシフェン及びトレミフェン(これらに限定されない)等の抗エストロゲン剤、レトロゾール、アナストロゾール及びエキセメスタン、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、酢酸メゲストロール)、及びエストロゲン受容体アンタゴニスト(例えば、フルベストラント)(これらに限定されない)等のアロマターゼ阻害剤が挙げられる。前立腺癌及び他の癌の治療に使用される好適な抗ホルモン剤もまた、本発明の化合物と併用することができる。これらには、フルタミド、ビカルタミド及びニルタミド、ロイプロリド、ゴセレリン、トリプトレリン及びヒストレリンを含む黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アナログ、LHRHアンタゴニスト(例えば、デガレリクス)、アンドロゲン受容体遮断薬(例えば、エンザルタミド)及び アンドロゲン産生を阻害する薬剤(例えば、アビラテロン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
本発明の化合物は、特に、標的療法に対して初回または獲得耐性を発症した患者のために、膜受容体キナーゼに対して他の剤と組み合わせて、またはそれと連続して投与することができる。
これらの治療剤としては、EGFR、Her2、VEGFR、c−Met、Ret、IGFR1またはFlt−3に対する阻害剤または抗体、及びBcr−Abl及びEML4−Alk等の癌関連融合タンパク質キナーゼに対する阻害剤または抗体が挙げられる。EGFRに対する阻害剤としては、ゲフィチニブ及びエルロチニブが挙げられ、EGFR/Her2に対する阻害剤としては、ダコミニブ、アファチニブ、ラピチニブ及びネラチニブが挙げられるが、これらに限定されない。EGFRに対する抗体には、セツキシマブ、パニツムマブ及びネチツムマブが挙げられるが、これらに限定されない。c−Metの阻害剤は、FGFR阻害剤と組み合わせて使用することができる。これらとしては、オナルツズマブ、ティバントニブ、及びINC−280が挙げられる。Abl(またはBcr−Abl)に対する薬剤としては、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、及びポナチニブが挙げられ、Alk(またはEML4−ALK)に対するものとしては、クリゾチニブが挙げられる。
【0142】
血管形成阻害剤は、いくつかの腫瘍において、FGFR阻害剤と併用して有効であり得る。 これらとしては、VEGFまたはVEGFRに対する抗体、またはVEGFRのキナーゼ阻害剤が挙げられる。VEGFに対する抗体または他の治療用タンパク質としては、ベバシズマブ及びアフリベセプトが挙げられる。VEGFRキナーゼの阻害剤及び他の抗血管新生阻害剤としては、スニチニブ、ソラフェニブ、アキシチニブ、セジラニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、ブリバニブ、及びバンデタニブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
細胞内シグナル伝達経路の活性化は癌において頻繁であり、これらの経路の成分を標的とする薬剤は、受容体標的剤と併用されてきており、効力を増強し耐性を低下させる。本発明の化合物と組み合わせることができる薬剤の例としては、PI3K−AKT−mTOR経路の阻害剤、Raf−MAPK経路の阻害剤、JAK−STAT経路の阻害剤、及びタンパク質シャペロン及び細胞周期進行の阻害剤が挙げられる。
【0144】
PI3キナーゼに対する薬剤としては、トピララリシブ、イデラリシブ、ブパルリシブが挙げられるが、これに限定されない。ラパマイシン、シロリムス、テムシロリムス、及びエベロリムス等のmTORの阻害剤は、FGFR阻害剤と併用することができる。他の適当な例としては、これらに限定されないが、ベムラフェニブ及びダブラフェニブ(Raf阻害剤)及びトラメチニブ、セルメチニブ及びGDC−0973(MEK阻害剤)が挙げられる。1種以上のJAK(例えば、ルキソリチニブ、バロチニブ、トファシチニブ)、Hsp90(例えば、タネスピマイシン)、サイクリン依存性キナーゼ(例えば、パルボシリブ)、HDAC(例えば、パノビノスタット)、PARP(例えば、オラパリブ)、及びプロテアソーム(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ)もまた、本発明の化合物と組み合わせることができる。いくつかの実施形態において、JAK阻害剤は、JAK2及びJAK3よりもJAK1に対して選択的である。
【0145】
本発明の化合物と組み合わせて使用するための他の好適な薬剤には、肺癌及び他の固形腫瘍において使用されるプラチナ併用療法(platinum−based doublets)のような化学療法の組合せ(シスプラチンまたはカルボプラチン+ゲムシタビン;シスプラチンまたはカルボプラチン+ドセタキセル;シスプラチンまたはカルボプラチン+パクリタキセル;シスプラチンまたはカルボプラチン+ペメトレキセド)、またはゲムシタビン+パクリタキセル結合粒子(Abraxane(登録商標))が含まれる。
【0146】
好適な化学療法剤または他の抗癌剤としては、例えば、ウラシルマスタード、クロルメチン、シクロホスファミド(Cytoxan(商標))、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレン−メラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、及びテモゾロミド等のアルキル化剤(窒素マスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソウレア及びトリアゼンが含まれるが、これらに限定されない)が挙げられる。
【0147】
本発明の化合物と併用される他の適当な薬剤としては、任意にカルムスチン(BCNU)及びシスプラチン等の他の化学療法薬と一緒に使用される、ダカルバジン(DTIC); DTIC、BCNU、シスプラチン及びタモキシフェンからなる“ダートマスレジメン”;シスプラチン、ビンブラスチン、及びDTICの組み合わせ;またはテモゾロマイドが挙げられる。本発明による化合物はまた、インターフェロンアルファ、インターロイキン2、及び腫瘍壊死因子(TNF)等のサイトカインを含む免疫療法薬と組み合わせてもよい。
【0148】
好適な化学療法剤または他の抗癌剤としては、例えば、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、フルダラビンホスフェート、ペントスタチン、及びゲムシタビン等の代謝拮抗物質(葉酸アンタゴニスト、ピリミジン類似体、プリン類似体及びアデノシンデアミナーゼ阻害剤を含むが、これらに限定されない)が挙げられる。
【0149】
好適な化学療法剤または他の抗癌剤としては、さらに、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アラ−C、パクリタキセル(TAXOL(商標))、ミトラマイシン、デオキシコホルマイシン、マイトマイシン−C、L−アスパラギナーゼ、インターフェロン(特にIFN−α)、エトポシド及びテニポシド等の特定の天然産物及びそれらの誘導体(例えば、ビンカアルカロイド、抗腫瘍抗生物質、酵素、リンホカイン及びエピポドフィロトキシン)が挙げられる。
【0150】
他の細胞傷害剤としては、ナベルベン、CPT−11、アナストロゾール、レトロゾール、カペシタビン、リロキサフィン、シクロホスファミド、イホスファミド、及びドロロキサフィンが挙げられる。
【0151】
また、エピドフィロトキシン; 抗腫瘍性酵素;トポイソメラーゼ阻害剤;プロカルバジン;ミトキサントロン;シスプラチン及びカルボプラチン等の白金配位錯体;生物学的反応修飾物質; 成長阻害剤;抗ホルモン療法剤;ロイコボリン;テガフール;及び造血成長因子等の細胞毒性剤も好適である。
【0152】
他の抗癌剤としては、トラスツズマブ(Herceptin)等の抗体治療剤、CTLA−4、4−1BB及びPD−1等の共刺激分子に対する抗体、またはサイトカイン(IL−10、TGF−β等)に対する抗体が挙げられる。
【0153】
他の抗癌剤としては、CCR2及びCCR4を含むケモカイン受容体に対するアンタゴニスト等の免疫細胞移動を阻止するものも挙げられる。
【0154】
他の抗癌剤として、アジュバントまたは養子T細胞移植等の免疫系を増強するものも挙げられる。
【0155】
抗癌ワクチンとしては、樹状細胞、合成ペプチド、DNAワクチン及び組換えウイルスが挙げられる。
【0156】
これらの化学療法剤の大部分を安全かつ有効に投与するための方法は、当業者に公知である。さらに、それらの投与は標準的な文献に記載されている。例えば、多くの化学療法剤の投与は、“Physicians’Desk Reference”(PDR、例えば、1996版,Medical Economics Company,Montvale,NJ)に記載されており、その開示は、その全体が記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0157】
医薬製剤及び剤形
医薬品として使用する場合、本発明の化合物は、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩と、少なくとも1つの薬学的に受容可能な担体との組み合わせを意味する医薬組成物の形態で投与することができる。これらの組成物は、医薬分野で周知の方法で調製することができ、局所的または全身的治療が所望されるかどうかに応じて、及び治療される領域に応じて、様々な経路で投与することができる。投与は局所的(例えば、眼、及び鼻腔内、膣及び直腸送達等の粘膜を含む)、肺(例えば、噴霧器による等の、粉末またはエアロゾルの吸入または吹送による;気道または気管内、鼻腔内、表皮及び経皮を含む)、眼、 経口、または非経口であり得る。眼内送達のための方法としては、局所投与(点眼)、結膜下、眼周囲または硝子体内注射、または結膜嚢に外科的に配置されたバルーンカテーテルまたは眼科用インサートによる導入を挙げることができる。非経口投与としては、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内注射または注入が含まれ;または頭蓋内、例えば髄腔内または脳室内投与が挙げられる。非経口投与は、単一ボーラス用量の形態であってもよく、または例えば、連続灌流ポンプによってもよい。局所投与のための医薬組成物及び製剤としては、経皮パッチ剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、滴剤、坐剤、スプレー剤、液体剤及び散剤が挙げられ得る。従来の医薬担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤等が必要または望ましい場合がある。
【0158】
本発明はまた、有効成分として、上記の本発明の化合物の1つ以上を、1つ以上の薬学的に受容可能な担体と組み合わせて含む医薬組成物を包含する。本発明の組成物の製造において、活性成分は、典型的には、賦形剤と混合され、賦形剤によって希釈されるか、または例えばカプセル、小袋(sachet)、紙または他の容器の形態でこのような担体内に封入される。賦形剤が希釈剤として働く場合、それは、有効成分のためのビヒクル、担体または媒体として作用する、固体、半固体または液体物質であり得る。従って、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、トローチ剤、サシェ剤(sachet)、カシェ剤(cachet)、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアロゾル剤(固体として、または液体の媒体中に)、例えば最高10重量%の活性化合物を含む軟膏剤、軟質及び硬質ゼラチンカプセル剤、坐剤、滅菌注射溶液及び滅菌包装粉末を含む。
【0159】
製剤の調製において、活性化合物は、他の成分と組み合わせる前に、粉砕して適切な粒径にすることができる。活性化合物が実質的に不溶性である場合、それは200メッシュ未満の粒径に粉砕することができる。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒径は、製剤中で実質的に均一な分布を得るために粉砕することにより調整することができる(例えば、約40メッシュ)。
【0160】
適当な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが挙げられる。製剤はさらに、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱油等の潤滑剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁剤;メチル−及びプロピルヒドロキシ−ベンゾエート等の防腐剤;甘味剤;及び香味剤を含むことができる。本発明の組成物は、当該分野で公知の手順を用いて患者に投与した後に活性成分の迅速、持続的または遅延放出が得られるように製剤化することができる。
【0161】
組成物は、単位用量形態で製剤化することができ、各用量は、約5〜約100mg、より通常では約10〜約30mgの活性成分を含有する。用語「単位剤形」は、ヒト被験体及び他の哺乳動物のための単位用量として適当である物理的に個別の単位を指し、各単位は適当な薬学的賦形剤と関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を含有する。
【0162】
活性化合物は、広い投与量範囲にわたって有効であり得、一般に、薬学的に有効な量で投与される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、通常、処置すべき状態、選択された投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、 体重、及び応答、患者の症状の重篤度等の関連する状況に応じて医師が決定することと理解されるであろう。
【0163】
錠剤のような固体組成物を調製するために、主な有効成分を薬学的賦形剤と混合して、本発明の化合物の均質な混合物を含む固体の予備製剤組成物を形成する。これらの予備製剤組成物を均質とみなす場合、活性成分は、典型的には、組成物が錠剤、丸剤及びカプセル等の均一に有効な単位剤形に容易に細分されるように、組成物全体にわたって均一に分散されている。次いで、この固体予備製剤を、本発明の活性成分を例えば0.1〜約500mg含有する上記タイプの単位剤形に細分する。
【0164】
本発明の錠剤または丸薬は、長期作用の利点を有する剤形を提供するために、被覆または他の方法で配合することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内部用量成分及び外部用量成分を含むことができ、後者は、前者の外被の形態である。2つの成分は、胃内での崩壊に抵抗し、内部成分が十二指腸に無傷で通過するか、または放出が遅れることを担う腸溶層によって分離することができる。このような腸溶性層またはコーティングには、様々な材料を使用することができ、そのような材料としては、多数のポリマー酸、及びポリマー酸とシェラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロース等の材料との混合物を挙げることができる。
【0165】
本発明の化合物及び組成物を経口または注射により投与するために組み込むことができる液体形態としては、水溶液、適切に風味づけされたシロップ、水性または油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ココナッツ油、またはピーナッツ油等の食用油で風味づけされた乳濁液、並びにエリキシル剤及び類似の製薬用ビヒクルが挙げられる。
【0166】
吸入または吹送のための組成物としては、薬学的に受容可能な水性または有機溶媒またはその混合物の溶液及び懸濁液、及び粉末が挙げられる。液体または固体組成物は、上記のような適当な薬学的に受容可能な賦形剤を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は、局所的または全身的効果のために、経口または鼻の呼吸経路によって投与される。組成物は、不活性ガスの使用によって噴霧することができる。噴霧された溶液は、噴霧装置から直接呼吸されてもよく、あるいは噴霧装置を、顔面マスクテントまたは間欠的陽圧呼吸装置に取り付けてもよい。溶液、懸濁液または粉末組成物は、適切なやり方で製剤を送達するデバイスから経口的または経鼻的に投与することができる。
【0167】
患者に投与される化合物または組成物の量は、何が投与されているか、予防または治療等の投与の目的、患者の状態、投与の様式等に応じて変わる。治療用途では、疾患の症状及びその合併症を治癒または少なくとも部分的に阻止するために十分な量の組成物を、既に疾患に罹患している患者に投与することができる。効果的な用量は、治療される疾患状態、ならびに疾患の重篤度、患者の年齢、体重及び全身状態等の因子に応じてなされる担当臨床医の判断に依存して変化する。
【0168】
患者に投与される組成物は、上記の医薬組成物の形態であり得る。これらの組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌することができ、または滅菌濾過されてもよい。水溶液は、そのまま使用するために包装してもよく、または凍結乾燥してもよく、凍結乾燥製剤を投与前に滅菌水性担体と組み合わせてもよい。化合物製剤のpHは、一般には3〜11、より好ましくは5〜9、最も好ましくは7〜8である。上記の賦形剤、担体または安定剤の内特定のものを使用すると、 医薬品塩の形成をもたらすと理解されるであろう。
【0169】
本発明の化合物の治療的投与量は、例えば、治療が行われる特定の用途、化合物の投与様式、患者の健康及び状態、及び処方する医師の判断に依存して変化し得る。医薬組成物中の本発明の化合物の割合または濃度は、投与量、化学的特性(例えば、疎水性)及び投与経路等の多くの要因に依存して変化し得る。例えば、本発明の化合物は、非経口投与のために約0.1〜約10%w/vの化合物を含有する水性生理学的緩衝溶液中に提供することができる。いくつかの典型的な用量範囲は、約1μg/kg〜約1g/kg体重/日である。いくつかの実施形態において、用量範囲は、約0.01mg/kg〜約100mg/kg体重/日である。投与量は、疾患または障害の進行のタイプ及び程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択される化合物の相対的生物学的有効性、賦形剤の処方及びその投与経路等の変数に依存する傾向がある。有効量は、インビトロまたは動物モデル試験系から誘導された用量反応曲線から外挿することができる。
【0170】
本発明の化合物はまた、抗ウイルス剤、ワクチン、抗体、免疫増強剤、免疫抑制剤、抗炎症剤等のような任意の医薬品を含むことができる1つ以上の追加の有効成分と組み合わせて製剤化することもできる.
【0171】
標識化合物及びアッセイ方法
本発明の別の態様は、本発明の蛍光色素、スピン標識、重金属または放射性標識化合物に関するものであり、これらは、ヒトを含む組織サンプルにおけるFGFR酵素を局在化及び定量するために、及び標識された化合物の結合を阻害することによってFGFR酵素リガンドを同定するために、インビトロ及びインビボの両方で、画像化のみならずアッセイにおいても有用である。従って、本発明は、このような標識化合物を含むFGFR酵素アッセイを含む。
【0172】
本発明は、さらに本発明の同位体標識化合物を含む。「同位体的」または「放射標識された」化合物は、1つまたは複数の原子が、自然界に通常見られる(即ち、自然発生)原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子により交換または置換されている本発明の化合物である。本発明の化合物に組み込むことができる好適な放射性核種としては、限定されないが、H(重水素についてはDとも記される)、H(トリチウムについてはTとも記される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125I及び131Iが挙げられる。即時放射性標識化合物に組み込まれる放射性核種は、その放射性標識化合物の特定の用途に依存する。例えば、インビトロFGFR酵素標識及び競合アッセイについては、H、14C、82Br、125I、131Iまたは35Sを組み込む化合物が一般に最も有用である。 ラジオイメージング用途では、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Brまたは77Brが一般に最も有用である。
【0173】
「放射標識」または「標識化合物」は、少なくとも1つの放射性核種を取り込んだ化合物であると理解される。いくつかの実施形態では、放射性核種は、H、14C、125I、35S及び82Brからなる群から選択される。放射性同位体を有機化合物に組み込むための合成方法は、本発明の化合物に適用可能であり、当技術分野で周知である。
【0174】
本発明の放射性標識化合物は、化合物を同定/評価するためのスクリーニングアッセイに使用することができる。一般に、新たに合成または同定された化合物(即ち、試験化合物)は、FGFR4酵素に対する本発明の放射性標識化合物の結合を低下させる能力について評価することができる。従って、FGFR4酵素に対する結合について、放射性標識化合物と競合する試験化合物の能力は、その結合親和性と直接相関する。
【0175】
キット
本発明はまた、例えば、FGFR関連疾患または障害、肥満、糖尿病及び本明細書で言及される他の疾患の治療または予防に有用であって、治療有効量の本発明の化合物を含有する医薬組成物を含む1つ以上の容器を含む医薬キットを含む。このようなキットには、必要に応じて、例えば、当業者には容易に明らかであろう、1つ以上の薬学的に受容可能な担体を有する容器、追加の容器等の様々な従来の医薬キット構成要素の1つ以上が含まれ得る。投与されるべき成分の量、投与のためのガイドライン、及び/または成分を混合するためのガイドラインを示す挿入物(inserts)またはラベルのいずれかの指示書も、キットに含めることができる。
【0176】
本発明を、具体的な実施例によってより詳細に記載する。以下の実施例は、例示のために示されるもので、本発明を限定するものではない。当業者は、実質的に同じ結果を生じるように変更または修飾することができる様々な重要でないパラメータを容易に認識するであろう。実施例の化合物は、以下に記載するように、1つ以上のFGFRの阻害剤であることが見出された。
【実施例】
【0177】
本発明の化合物の実験手順を以下に示す。すべての出発物質は、市販されているか、または当該分野で公知の手順に従って容易に合成される。調製された化合物のいくつかの予備LC−MS精製を、Waters質量分析分画システムで行った。これらのシステムの動作のための基本的な装置セットアップ、プロトコル、及び制御ソフトウェアは、文献に詳細に記載されている。例えば、“Two−Pump At Column Dilution Configuration for Preparative LC−MS ”,K. Blom,J. Combi.Chem.,4,295(2002);“Optimizing Preparative LC−MS Configurations and Methods for Parallel Synthesis Purification”,K.Blom,R.Sparks,J.Doughty,G.Everlof,T.Haque,A.Combs,J.Combi.Chem.,5,670(2003);及び“Preparative LC−MS Purification: Improved Compound Specific Method Optimization”,K.Blom、B. Glass,R.Sparks,A.Combs,J.Combbi.Chem.,6,874−883(2004)を参照。分離された化合物は、典型的には、以下の条件下で純度を確認するために分析液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)に付された。 装置:Agilent 1100シリーズ、LC/MSD、カラム:Waters Sunfire(商標)C185μm粒径、2.1×5.0mm、緩衝液:移動相A:水中0.025%TFA及び移動相B:アセトニトリル;流速2.0mL/分において3分間でBの2%〜80%の勾配。
【0178】
調製された化合物のいくつかはまた、実施例に示されるように、MS検出器またはフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)を用いた逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によって分取スケールで分離された。典型的な分取逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)カラム条件は以下の通りである:
pH=2精製:移動相A:0.1%TFA(トリフルオロ酢酸)水及び移動相B:アセトニトリルで溶出する、Waters Sunfire(商標)C185μm粒径、19×100mmカラム;流速は30mL/分であり、分離勾配は、文献に記載されているような化合物特定方法最適化プロトコルを用いて各化合物について最適化された[“Preparative LCMS Purification: Improved Compound Specific Method Optimization”,K.Blom、B.Glass,R.Sparks,A.Combs,J.Comb.Chem.,6,874−883(2004)を参照]。典型的には、30×100mmカラムで使用される流速は60mL/分であった。
pH=10精製:移動相A:0.15%NHOH水及び移動相B:アセトニトリルで溶出するWaters XBridge C185μm粒径、19×100mmカラム;流速は30mL/分であり、分離勾配は、文献に記載されているような化合物特定方法最適化プロトコルを用いて各化合物について最適化された[“Preparative LCMS Purification: Improved Compound Specific Method Optimization”,K.Blom、B.Glass,R.Sparks,A.Combs,J.Comb.Chem.,6,874−883(2004)を参照]。典型的には、30×100mmカラムで使用される流速は60mL/分であった。
【0179】
実施例1
N−{[2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−3’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン] −6’−イル]メチル}アクリルアミド
【化17】
工程1:4,6−ジクロロニコチンアルデヒド
【化18】
塩化メチレン(100.0mL)中の2,4−ジクロロ−5−カルベトキシピリジン(10.0g、45.4mmol)の撹拌溶液に、塩化メチレン中の水素化ジイソブチルアルミニウム(50.0mL、1.0M、50.0mmol)を−78℃で滴下した。2時間後、ロッシェル塩の飽和溶液で反応を停止させた。12時間攪拌した後、水溶液をDCM(3×150mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、粗アルデヒド(7.51g、42.9mmol)を得、これをさらに精製することなく次の工程で直接使用した。CClNO[M+H]m/zのLCMS計算値:176.0;実測値176.0。
【0180】
工程2:N−[(4,6−ジクロロピリジン−3−イル)メチル]−2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン
【化19】
塩化メチレン(60mL)/トリフルオロ酢酸(30mL)中の2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(9.03g、47.7mmol)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(38.0g、180mmol)の撹拌溶液に、室温で少量ずつ、4,6−ジクロロニコチンアルデヒド(8.00g、45.5mmol)を加えた。1時間後、揮発性物質を真空除去し、飽和NaHCO水溶液(200mL)を加えた。得られた混合物をDCM(3×150mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル(ヘキサン中の0〜0−40%EtOAcで溶出)で精製して、所望の生成物(15.0g)を得た。C1413Cl[M+H]m/zのLC−MS計算値:349.0;実測値349.1。
【0181】
工程3:エチル3−[[(4,6−ジクロロピリジン−3−イル)メチル](2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)アミノ]−3−オキソプロパノエート
【化20】
テトラヒドロフラン(20mL)中のN−[(4,6−ジクロロピリジン−3−イル)メチル]−2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(3.50g、10.0mmol)の撹拌溶液に、NaH(鉱油中60%w/w、421mg、10.5mmol)を室温で添加した。10分後、塩化エチルマロニル(1.92mL、15.0mmol)を滴下した。 さらに1時間後、NHCl飽和水溶液で反応を停止し、DCM(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル(ヘキサン中0〜0−35%EtOAcで溶出)で精製して、所望の生成物(4.20g、9.1mmol)を得た。C1919Cl[M+H]m/zのLC−MS計算値:463.1;実測値463.1。
【0182】
工程4:エチル6−クロロ−2−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2,7−ナフチリジン−4−カルボキシレート
【化21】
DMF(15.mL)中のエチル3−[[(4,6−ジクロロピリジン−3−イル)メチル](2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)アミノ]−3−オキソプロパノエート(1.50g、3.24mmol)の撹拌溶液に、NaH(鉱油中60%w/w、337mg、8.42mmol)を室温で添加した。次いで、得られた混合物を110℃まで温めた。5時間後、反応物を室温に冷却し、飽和NHCl水溶液(50mL)を加えて沈殿を生成させた。濾過後、固体を真空中で乾燥して、粗環化生成物(0.95g、2.23mmol)を得た。C1918ClF[M+H]m/zのLC−MS計算値:427.1;実測値427.0。
【0183】
工程5:6−クロロ−2−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1,2−ジヒドロ−2,7−ナフチリジン−3(4H)−オン
【化22】
1,4−ジオキサン(5mL)中のエチル6−クロロ−2−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2,7−ナフチリジン−4−カルボキシレート(0.95g、2.23mmol)の撹拌溶液に、塩化水素(ジオキサン中4.0M、2mL、8mmol)を室温で添加した。得られた混合物を100℃まで温めた。4時間後、反応物を周囲温度に冷却し、飽和NaHCO水溶液で反応を停止し、DCM(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルで精製し(DCM中0〜0−30%EtOAcで溶出)、所望の生成物(0.75g、2.12mmol)を得た。C1614ClF[M+H]m/zのLC−MS計算値:355.1;実測値355.1。
【0184】
工程6:6’−クロロ−2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1’,2’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−3’−オン
【化23】
DMF(10mL)中の6−クロロ−2−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1,4−ジヒドロ−2,7−ナフチリジン−3(2H)−オン(1.50g、4.23mmol)の撹拌溶液に、炭酸セシウム(3.03g、9.30mmol)と1−ブロモ−2−クロロ−エタン(701μL、8.46mmol)を室温で順次加えた。5時間後、飽和NHCl水溶液で反応を停止し、DCM(3×75mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル(ヘキサン中0〜0−50%EtOAcで溶出)で精製して、所望の生成物(1.20g、3.15mmol)を得た。C1816ClF[M+H]m/zのLC−MS計算値:381.1;実測値381.1。
【0185】
工程7:2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−3’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−6’−カルボニトリル
【化24】
N,N−ジメチルホルムアミド(6.9mL)中の、6’−クロロ−2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1’,2’−ジヒドロ−3‘H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−3’−オン(0.40g、1.0mmol)、シアン化亜鉛(0.12g、1.0mmol)及びジクロロメタン(86mg、0.10mmol)で錯体化された[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1:1)の反応混合物を、130℃でN雰囲気下にて6時間撹拌した。飽和NaHCO水溶液で反応を停止し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルで精製し(DCM中0〜0−20%EtOAcで溶出)、所望の生成物(0.28g)を得た。C1916[M+H]m/zのLC−MS計算値:372.1;実測値372.1。
【0186】
工程8:6’−(アミノメチル)−2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1’,2’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−3’−オン
【化25】
THF(5mL)中の2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−3’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−6’−カルボニトリル(99.9mg、0.269mmol)の撹拌溶液に、水素化ジイソブチルアルミニウム(トルエン中1.0M、0.54mL、0.54mmol)を−78℃で添加した。2時間後、反応混合物を飽和NHCl水溶液で反応停止し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)で精製して、所望の生成物(15mg)をそのTFA塩として得た。C1920[M+H]m/zのLC−MS計算値:376.2;実測値376.1。
【0187】
工程9:N−{[2’−(2,6−ジフルオロ−3,5-ジメトキシフェニル)−3’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−6’−イル]メチル}アクリルアミド
塩化メチレン(4.0mL)中の6’−(アミノメチル)−2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1’,2’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−3’−オン(25.5mg、0.068mmol)の撹拌溶液に、N、N−ジイソプロピルエチルアミン(46μL,0.27mmol)及び塩化2−プロペノイル(5.8μL,0.072mmol)を室温で順次添加した。3分後、反応物を飽和NHCl水溶液でクエンチし、塩化メチレンで抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮乾固した。粗生成物を分取HPLC(pH=2、アセトニトリル/水+TFA)で精製して、そのTFA塩として所望の生成物(15mg)を得た。C2222 [M+H]m/zのLCMS計算値:430.2; 実測値:430.1。H NMR (500 MHz, DMSO−d): δ8.63 (t, J=5.6 Hz,1H), 8.40 (s,1H), 7.07(t, J=8.2 Hz,1H), 6.97(s, 1H), 6.31(dd, J=17.1, 10.2 Hz,1H),6.11 (dd, J=17.1,2.1 Hz,1H),5.62 (dd,J=10.2,2.1 Hz,1H),4.95(s,2H),4.43(d,J=5.8 Hz,2H),3.89(s, 6H),1.76 (q, J=3.9 Hz, 2H),1.46(q,J=4.0 Hz,2H)。
【0188】
実施例2
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化26】
工程1:7−クロロ−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【化27】
0℃で、トリホスゲン(344mg、1.16mmol)のCHCl(12mL、190mmol)溶液に、まずピリジン(0.250mL、3.09mmol)を加えた。 次いで、反応混合物を0℃で10分間撹拌し、続いてN−[(4,6−ジクロロピリジン−3−イル)メチル]−2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(実施例1、工程2のようにして調製、900mg、2.58mmol)のCHCl(8.0mL)溶液に加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、THF中のエチルアミン(2.0M、6.4mL、13mmol)を反応混合物に添加し、続いてN、N−ジイソプロピルエチルアミン(920μL、5.3mmol)を添加した。次いで、得られた混合物を室温まで温め、一晩撹拌し、飽和NaHCO(水溶液)で反応停止し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濃縮して粗中間体1−((4,6−ジクロロピリジン−3−イル)メチル)−1−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−3−エチル尿素を得た。粗中間体を最初にDMF(20mL)に溶解し、続いてCsCO(1.70g、5.2mmol)を添加した。次いで、反応混合物を95℃で5時間、完了するまで撹拌し、室温に冷却し、水で反応停止し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせNaSOで乾燥し、濃縮した。得られた物質をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中25%〜55%EtOAc)により精製して、わずかに黄色の固体として生成物を得た。C1717ClF[M+H]m/zのLC−MS計算値:384.1;実測値384.1。
【0189】
工程2:3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−7−ビニル−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【化28】
1,4−ジオキサン(12mL)と水(4.3mL)中の7−クロロ−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2(1H)−オン(460mg、1.20mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−2−ビニル−1,3,2−ジオキサボロラン(240μL、1.4mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.08g、0.07mmol)及び炭酸カリウム(0.66g、4.8mmol)の混合物を120℃で一晩撹拌した。飽和NaHCO水溶液で反応を停止し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル(ヘキサン中0〜0−40%EtOAcで溶出)で精製して、所望の生成物を得た。 C1920[M+H]m/zのLC−MS計算値:376.1;実測値376.1。
【0190】
工程3:3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−カルバルデヒド
【化29】
1,4−ジオキサン(10mL)と水(5mL)中の3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−7−ビニル−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2(1H)−オン(0.32g、0.85mmol)の溶液に、室温で、四酸化オスミウム(0.81mL、4%w/w、0.13mmol)を加えた。反応混合物を5分間撹拌し、その後過ヨウ素酸ナトリウム(0.547g、2.56mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで水で希釈し、EtOAcで抽出した。抽出物を合わせ水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。 残渣をさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0191】
工程4:(E)−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−カルバルデヒドオキシム
【化30】
ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.21g、3.0mmol)を、メタノール(6mL)中の粗3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−カルバルデヒド(0.31g、0.80mmol)及び炭酸カリウム(0.12g、0.85mmol)のスラリーに室温で添加した。得られた混合物を70℃で1時間攪拌した。揮発性物質を除去し、残留物を酢酸エチル(20mL)で希釈した。有機層を飽和NaHCO水溶液、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を次の工程で直接使用した。C1819[M+H]m/zのLC−MS計算値:393.1;実測値393.1。
【0192】
工程5:7−(アミノメチル)−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2(1H)−オン
【化31】
粗(E)−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−カルバルデヒドオキシム(0.30g、0.76mmol)の酢酸(3mL)溶液に、室温にて亜鉛(440mg、6.8mmol)を数回に分けて添加した。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した。飽和NaHCO水溶液で反応を停止し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣に塩化水素(0.54mL、1,4−ジオキサン中4.0M、2.2mmol)を加えた。混合物を減圧濃縮して、HCl塩としての粗生成物(0.30g)を得た。C1821[M+H]m/zのLC−MS計算値:379.2;実測値379.1。
【0193】
工程6:N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
粗7−(アミノメチル)−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2(1H)− オン(0.28、0.74mmol及びトリエチルアミン(350μL、2.5mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液に、室温で2−プロペノイルクロリド(70μL、0.86mmol)を加えた。30分後、反応混合物をMeOHで希釈し、RP−HPLC(pH=2)で精製して、所望の生成物をそのTFA塩として得た。C2123[M+H]m/zのLC−MS計算値:433.2;実測値433.1。H NMR(500MHz,DMSO−d):δ8.87(s,1H),8.38(s,1H),7.33(s,1H),7.08(t,J=8.2Hz、1H),6.32(dd,J=17.1,10.2Hz,1H),6.15(dd、J=17.1,2.0Hz,1H),5.68(dd,J=10.2,2.0Hz,1H),4.84(s,2H)、4.57(d,J=5.6Hz,2H),3.92(q,J=5.0Hz,2H),3.89(s,6H),1.18(t,J=7.0Hz,3H)。
【0194】
実施例3
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−(ピリジン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d] ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化32】
工程1:N−((4−クロロ−6−ビニルピリジン−3−イル)メチル)−2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン
【化33】
1,4−ジオキサン(10mL)と水(2.0mL)中のN−[(4,6−ジクロロピリジン−3−イル)メチル]−2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(実施例1、工程2と同様にして調製、2.00g、5.73mmol)、 4,4,5,5−テトラメチル−2−ビニル−1,3,2−ジオキサボロラン(0.98mL、5.8mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.4g、0.3mmol)及び炭酸カリウム(3.2g、23ミリモル)の混合物を120℃で一晩撹拌した。反応混合物を飽和水性NaHCOで反応停止し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル(ヘキサン中0〜0−25%EtOAcで溶出)で精製して、所望の生成物(1.3g)を得た。C1616ClF[M+H]m/zのLC−MS計算値:341.1;実測値341.1。
【0195】
工程2:3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−(ピリジン−3−イル)−7−ビニル−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2(1H)−1−オン
【化34】
1,4−ジオキサン(6mL,80mmol)中の、N−[(4−クロロ−6−ビニルピリジン−3−イル)メチル]−2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(100.0mg、0.2935mmol)、酢酸パラジウム(6.6mg、0.029mmol)、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(18mg、0.029mmol)及び炭酸セシウム(290mg、0.89mmol)の撹拌溶液に、3−ピリジンアミン(39mg、0.41mmol)を添加した。得られた混合物を130℃でN雰囲気下にて一晩撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗N−(5−(((2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)アミノ)メチル)−2−ビニルピリジン−4−イル)ピリジン−3−アミンを、さらに精製することなく使用した。C2121[M+H]m/zのLC−MS計算値:399.2; 実測値399.2。
【0196】
トリホスゲン(87mg、0.29mmol)を、粗N−(5−(((2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)アミノ)メチル)−2−ビニルピリジン−4−イル)ピリジン−3−アミン及びN、N−ジイソプロピルエチルアミン(310μL、1.8mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液に0℃で加えた。15分後、飽和NaHCO水溶液で反応を停止させ、EtOAcで希釈した。有機層を分離し、水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して所望の生成物を得、これをさらに精製することなく次の工程で直接使用した。C2219[M+H]m/zのLCMS計算値:425.2; 実測値425.2。
【0197】
工程3:N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−(ピリジン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
標題化合物を、実施例2、工程3〜6について記載した手順と類似の手順を用い、工程3の3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−7−ビニル−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2(1H)−オンに代えて3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−(ピリジン−3−イル)−7−ビニル−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2(1H)−オンを用いて調製した。C2422[M+H]m/zのLC−MS計算値:482.2; 実測値:482.2。
【0198】
実施例4
N−((6’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−7’−オキソ−6’,7’−ジヒドロ−5H−スピロ[シクロプロパン−1,8’−ピリド[4,3−d]ピリミジン]−2’−イル)メチル)アクリルアミド
【化35】
工程1:2,4−ジクロロ−5−(クロロメチル)ピリミジン
【化36】
塩化ホスホリル(25mL、270mmol)及びトルエン(6.0mL)中の5−(ヒドロキシメチル)ウラシル(5.0g、35mmol)の撹拌溶液に、N、N−ジイソプロピルエチルアミン(26mL、150mmol) を室温で滴下した。得られた溶液を110℃で一晩加熱した。 室温に冷却した後、反応混合物を減圧下で濃縮し、1N HCl(100mL)及び水(200mL)で希釈し、DCMで抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルで精製し(DCM中0〜40%EtOAcで溶出)、所望の生成物6.4gを得た。CCl[M+H]m/zのLCMS計算値:196.9;実測値:197.0。
【0199】
工程2:2,4−ジクロロ−5−(ヨードメチル)ピリミジン
【化37】
アセトン(10mL)中の2,4−ジクロロ−5−(クロロメチル)ピリミジン(1.50g、7.60mmol)の撹拌溶液に、ヨウ化ナトリウム(1.20g、7.98mmol)を室温で添加した。5時間撹拌した後、反応混合物を濾過し、固体をアセトンで洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、濃縮した。残渣をシリカゲルで精製し(ヘキサン中の0〜40%EtOAcで溶出)、1.5gの所望の生成物を得た。CClIN[M+H]m/zのLCMS計算値:288.9; 実測値:288.8。
【0200】
工程3:N−[(2,4−ジクロロピリミジン−5−イル)メチル]−2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン
【化38】
N、N−ジイソプロピルエチルアミン(4mL)中の2,4−ジクロロ−5−(ヨードメチル)ピリミジン(1.50g、5.19mmol)、2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(1.08g、5.71mmol)の混合物を80℃で2時間攪拌した。室温に冷却した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。 残渣をシリカゲルで精製し(DCM中の0〜40%EtOAcで溶出)、所望の生成物1.70gを得た。C1312Cl[M+H]m/zのLCMS計算値:350.0;実測値:350.0。
【0201】
工程4:エチル3−(((2,4−ジクロロピリミジン−5−イル)メチル)(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)アミノ)−3−オキソプロパノエート
【化39】
標題化合物を、実施例1、工程3について記載した手順と類似の手順を用い、N−[(4,6−ジクロロピリジン−3−イル)メチル]−2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリンに代えてN−[(2,4−ジクロロピリミジン−5−イル)メチル]−2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリンを用いて調製した。C1818Cl[M+H]m/zのLCMS計算値:464.1; 実測値:464.0。
【0202】
工程5:エチル2−クロロ−6−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−8−カルボキシレート
【化40】
塩化メチレン(6mL)中のエチル3−[[(2,4−ジクロロピリミジン−5−イル)メチル](2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)アミノ]−3−オキソプロパノエート(1.2g、2.6mmol)及び2−(tert−ブチルイミノ)−N,N−ジエチル−1,3−ジメチル−1,3,2λ(5)− ジアザホスフィナン−2−アミン(1.5mL、5.17mmol)の混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルで精製し(DCM中の0〜40%EtOAcで溶出)、0.88gの所望の生成物を得た。C1817ClF[M+H]m/zのLCMS計算値:428.1;実測値:428.0。
【0203】
工程6:2−クロロ−6−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−5,8−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7(6H)−オン
【化41】
標題の化合物を、実施例1、工程5について記載されたものと類似の手順を用い、6−クロロ−2−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2,7−ナフチリジン−4−カルボキシレートの代わりにエチル2−クロロ−6−(2,6-ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−8−カルボキシレートを用いて調整した。C1513ClF[M+H]m/zのLCMS計算値:356.1;実測値:356.1。
【0204】
工程7:2’−クロロ−6’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−5’,6’−ジヒドロ−7’H−スピロ[シクロプロパン−1,8’−ピリド[4,3−d]ピリミジン]−7’−オン
【化42】
標題の化合物を、実施例1、工程6について記載されたものと類似の手順を用い、6−クロロ−2−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1,4−ジヒドロ−2,7−ナフチリジン−3(2H)−オンの代わりに2−クロロ−6−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−5,8−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7(6H)−オンを用いて調整した。C1715ClF[M+H]m/zのLCMS計算値:382.1;実測値:382.0。
【0205】
工程8:N−((6’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−7’−オキソ−6’,7’−ジヒドロ−5’H−スピロ[シクロプロパン−1,8’−ピリド[4,3−d]ピリミジン]−2’−イル)メチル)アクリルアミド
標題の化合物を、実施例2、工程2〜6について記載されたものと類似の手順を用い、工程2の7−クロロ−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2(1H)−オンの代わりに2’−クロロ−6’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−5’,6’−ジヒドロ−7’H−スピロ[シクロプロパン−1,8’−ピリド[4,3−d]ピリミジン]−7’オンを用いて調整した。C2121[M+H]m/zのLCMS計算値:431.2;実測値:431.1。
【0206】
実施例5
N−((2’−(2,6−ジフルオロ−3,5-ジメトキシフェニル)−3’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−6’−イル)メチル)アクリルアミド
【化43】
工程1:6’−クロロ−2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−[2,7]ナフチリジン−3’(2’H)−オン
【化44】
表題の化合物を、実施例1、工程6について記載した手順と類似の手順を用い、1−ブロモ−2−クロロ−エタンの代わりに1,4−ジブロモブタンを用いて調製した。C2020ClF[M+H]m/zのLCMS計算値:409.1; 実測値:409.1.
【0207】
工程2:N−((2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−3’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−6’−イル)メチル)アクリルアミド
表題の化合物を、実施例2、工程2〜6について記載した手順と類似の手順を用い7−クロロ−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2(1H)−オンの代わりに6’−クロロ−2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1’H−スピロ[シクロペンタン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−3’(2’H)− オンを用いて調製した。C2426[M+H]m/zのLCMS計算値:458.2;実測値:458.2。H NMR(600MHz,DMSO)δ8.74(t,J=5.7Hz,1H),8.50(s,1H),7.36(s,1H),7.07(t,J=8.1Hz,1H),6.34(dd,J=17.1,10.3Hz,1H),6.15(dd,J=17.1,2.0Hz,1H),5.65(dd,J=10.3,2.0Hz,1H),4.87(s,2H),4.51(d,J=5.9Hz,2H),3.90(s,6H),2.38(dt,J=14.4,7.4Hz,2H),1.98(dt,J=12.3,6.4Hz,2H),1.87−1.73(m,4H)。
【0208】
実施例6
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化45】
標題化合物は、実施例3について記載したものと同様の手順を用い、工程2において3−ピリジンアミンの代わりにアニリンを用いて調製した。C2523[M+H]m/zのLCMS計算値:481.2; 実測値:481.2。
【0209】
実施例7
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化46】
標題化合物は、実施例3について記載したものと類似の手順を用い、工程2において3−ピリジンアミンの代わりに1−メチル−1H−ピラゾール−3−アミンを使用して調製した。C2323[M+H]m/zのLCMS計算値:485.2;実測値:485.2。
【0210】
実施例8
(S)−N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−(テトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化47】
標題化合物は、実施例3について記載したものと類似の手順を用い、工程2において3−ピリジンアミンの代わりに(S)−テトラヒドロフラン−3−アミンを用いて調製した。C2325[M+H]m/zのLCMS計算値:475.2;実測値:475.1。
【0211】
実施例9
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−(3,3−ジフルオロシクロブチル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化48】
標題化合物を、実施例3に記載の手順と類似の手順を用い、工程2で3−ピリジンアミンの代わりに3,3−ジフルオロシクロブタンアミンを用いて調製した。C2323[M+H]m/zのLCMS計算値:495.2;実測値:495.2。
【0212】
実施例10
N−((1−シクロプロピル−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,4-テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル) メチル)アクリルアミド
【化49】
表題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1でエチルアミンに代えてシクロプロパンアミンを用いて調製した。C2223[M+H]m/zのLCMS計算値:445.2; 実測値:445.2。
【0213】
実施例11
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d] ピリジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化50】
標題化合物を、実施例2について記載した手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりに2−メトキシエタンアミンを用いて調製した。C2225[M+H]m/zのLCMS計算値:463.2; 実測値:463.2。H NMR(500MHz,DMSO−d):δ8.83(t,J=5.7Hz,1H),8.35(s,1H),7.36(s,1H),7.07(t,J=8.2Hz,1H),6.33(dd,J=17.1,10.2Hz,1H),6.15(dd,J=17.1,2.0Hz,1H),5.68(dd,J=10.2,2.0Hz,1H),4.82(s,2H),4.52(d,J=5.8Hz,2H),4.06(t,J=5.6Hz,2H),3.89(s,6H),3.55(t,J=5.6Hz,2H),3.22(s,3H)。
【0214】
実施例12
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル) メチル)アクリルアミド
【化51】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりにプロパン−1−アミンを用いて調製した。C2225[M+H]m/zのLCMS計算値:447.2;実測値:447.2。
【0215】
実施例13
N−((1−(シクロプロピルメチル)−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)ピリジン−3−イル)メチル)アクリルアミド
【化52】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりにシクロプロピルメタンアミンを用いて調製した。C2325[M+H]m/zのLCMS計算値:459.2;実測値:459.1。
【0216】
実施例14
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−(2,2−ジフルオロエチル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化53】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりに2,2−ジフルオロエタンアミンを用いて調製した。C2121[M+H]m/zのLCMS計算値:469.2;実測値:469.1。
【0217】
実施例15
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−イソプロピル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化54】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりにプロパン−2−アミンを用いて調製した。C2225[M+H]m/zのLCMS計算値:447.2;実測値:447.2。
【0218】
実施例16
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−(3−フルオロベンジル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化55】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりに(3−フルオロフェニル)メタンアミンを用いて調製した。C2624[M+H]m/zのLCMS計算値:513.2;実測値:513.2。
【0219】
実施例17
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−(ピリジン−3−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化56】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりにピリジン−3−イルメタンアミンを用いて調製した。C2524[M+H]m/zのLCMS計算値:496.2;実測値:496.2。
【0220】
実施例18
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−((1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化57】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりにピリジン−3−イルメタンアミンを用いて調製した。C2425[M+H]m/zのLCMS計算値:499.2;実測値:499.2。
【0221】
実施例19
(R)−N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−((テトラヒドロフラン−3−イル)メチル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化58】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりに(R)−(テトラヒドロフラン−3−イル)メタンアミンを用いて調製した。C2427[M+H]m/zのLCMS計算値:489.2;実測値:489.2。
【0222】
実施例20
N−((1−(シアノメチル)−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化59】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりに2−アミノアセトニトリルを用いて調製した。C2120[M+H]m/zのLCMS計算値:444.2;実測値:444.2。
【0223】
実施例21
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化60】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりに2,2,2−トリフルオロエタンアミンを用いて調製した。C2120[M+H]m/zのLCMS計算値:487.1;実測値:487.1。
【0224】
実施例22
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−メチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化61】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりにメチルアミンを用いて調製した。C2021[M+H]m/zのLCMS計算値:419.2;実測値:419.1。
【0225】
実施例23
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化62】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりにテトラヒドロ−2H−ピラン−4−アミンを用いて調製した。C2427[M+H]m/zのLCMS計算値:489.2;実測値:489.2。
【0226】
実施例24
N−((7−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−5,5−ジメチル−6−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−2,7−ナフチリジン−3−イル)メチル)アクリルアミド
【化63】
標題化合物を、実施例1に記載の手順と類似の手順を用い、工程6において1−ブロモ−2−クロロ−エタンの代わりにヨウ化メチルを用いて調製した。C2224[M+H]m/zのLCMS計算値:432.2;実測値:432.2。
【0227】
実施例25
N−((1−シクロブチル−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化64】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりにシクロブチルアミンを用いて調製した。C2325[M+H]m/zのLCMS計算値:459.2;実測値:459.1。H NMR(500MHz,dmso)δ8.82(t,J=5.8Hz,1H),8.38(s,1H),7.05(t,J=8.1Hz,1H),6.98(s,1H),6.33(dd,J=17.1,10.2 Hz,1H),6.14(dd,J=17.1,2.0Hz,1H),5.67(dd,J=10.2,2.0Hz,1H),4.73(s,2H),4.50(d,J=5.9Hz,2H),4.45−4.38(m,1H),3.88(s,6H),2.49(m,2H),2.18−2.05(m,2H),1.77−1.69(m,2H)。
【0228】
実施例26
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−(ピリジン−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化65】
標題化合物を、実施例3に記載の手順と類似の手順を用い、工程2において3−ピリジンアミンの代わりに4−アミノピリジンを用いて調製した。C2422[M+H]m/zのLCMS計算値:482.2;実測値:482.1。
【0229】
実施例27
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−(2−フルオロエチル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化66】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンに代えて2−フルオロエチルアミン塩酸塩を用いて調製した。C2122[M+H]m/zのLCMS計算値:451.2;実測値:451.1。
【0230】
実施例28
N−((1−シクロペンチル−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化67】
標題化合物を、実施例3に記載の手順と類似の手順を用い、工程2において3−ピリジンアミンの代わりにシクロペンチルアミンを用いて調製した。C2427[M+H]m/zのLCMS計算値:473.2;実測値:473.1。
【0231】
実施例29
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化68】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンに代えて2−メチルプロパン−1−アミンを用いて調製した。C2327[M+H]m/zのLCMS計算値:461.2;実測値:461.2。
【0232】
実施例30
N−((1−(シクロブチルメチル)−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化69】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりにシクロブチルメタンアミンを用いて調製した。C2427[M+H]m/zのLCMS計算値:473.2;実測値:473.2。
【0233】
実施例31
(S)−N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−((テトラヒドロフラン−3−イル)メチル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化70】
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1においてエチルアミンの代わりに(S)−(テトラヒドロフラン−3−イル)メタンアミンを用いて調製した。C2427[M+H]m/zのLCMS計算値:489.2;実測値:489.2。
【0234】
実施例32
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−((1−メチルピペリジン−4−イル)メチル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化71】
工程1:4−クロロ−5−((2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニルアミノ)メチル)ピコリノニトリル
【化72】
N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中の、N−[(4,6−ジクロロピリジン−3−イル)メチル]−2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(実施例1、工程2と同様にして調製、3.50g、10.0mmol)、シアン化亜鉛(0.79g、6.7mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.92g、1.0mmol)及びジクロロメタンで錯体化された[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.82g、1.0mmol)(1:1)の撹拌混合物をN雰囲気下で125〜130℃で1.5時間加熱した。次いで、反応混合物を室温に冷却し、飽和NaHCO水溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルで精製し(ヘキサン中の0−25%EtOAcで溶出)、2.57gの所望の生成物を得た。C1513ClF[M+H]m/zのLCMS計算値:340.1;実測値:340.0。
【0235】
工程2:tert−ブチル4−{[7−シアノ−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボキシレート
【化73】
1,4−ジオキサン(10mL)中の、4−クロロ−5−{[(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)アミノ]メチル}ピリジン−2−カルボニトリル(200mg、0.6mmol)、tert−ブチル4−(アミノメチル) ピペリジンカルボキシレート(170μL、0.82mmol)、酢酸パラジウム(13mg、0.059mmol)、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(37mg、0.059mmol)、及び炭酸セシウム(580mg、1.8mmol)の撹拌混合物を110℃にてN雰囲気下で5時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をさらに精製することなく次の工程で直接使用した。
【0236】
テトラヒドロフラン(8mL)中の上記残渣の撹拌溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(620μL、3.5mmol)及びトリホスゲン(170mg、0.59mmol)に、室温で順次添加した。30分後、NaOH(水中2N、2mL)を添加した。得られた混合物を30℃で1時間攪拌した。飽和NaHCO水溶液で反応を停止し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルで精製し(ヘキサン中0−45%EtOAcで溶出)、所望の生成物0.20gを得た。C2731NaO[M+Na]m/zのLCMS計算値:566.2;実測値:566.2。
【0237】
工程3:tert−ブチル4−((7−(アミノメチル)−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリニジン−1(2H)−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【化74】
tert−ブチル4−{[7−シアノ−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル]メチル}ピペリジン−1−カルボキシレート(200mg、0.4mmol)のメタノール(5.0mL)溶液に、HCl(水中1.0M、680μL、0.68mmol)及びPd/C(10%w/w)、20mg)を室温で順次加えた。得られた混合物を室温でH雰囲気下にて2時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、HCl塩として粗生成物を得た。C2736[M+H]m/zのLCMS計算値:548.3;実測値:548.3。
【0238】
工程4:tert−ブチル4−((7−(アクリルアミドメチル)−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)イル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【化75】
アセトニトリル(2mL)中のtert−ブチル4−((7−(アミノメチル)−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)イル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(186mg、0.34mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(160μL、1.1mmol)及び2−プロペノイルクロリド(27μL、0.34mmol)を室温で順次添加した。30分後、反応を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層を合わせブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲル(DCM中0−100%EtOAcで溶出)で精製して、0.09gの所望の生成物を得た。C3038[M+H]m/zのLCMS計算値:602.3;実測値:602.2。
【0239】
工程5:N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化76】
DCM(1mL)中のtert−ブチル4−((7−(アクリルアミドメチル)−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d] ピリミジン−1(2H)−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(90mg、0.15mmol)の撹拌溶液に、TFA(1mL)を室温で加えた。1時間後、揮発性物質を減圧下で除去して、TFA塩として所望の生成物を得た。C2530[M+H]m/zのLCMS計算値:502.2;実測値:502.2。
【0240】
工程6:N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−((1−メチルピペリジン−4−イル)メチル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
テトラヒドロフラン(1mL)中のN−{[3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル]メチル}アクリルアミド2,2,2−トリフルオロアセテート(15mg、0.030mmol)の撹拌溶液に、ホルムアルデヒド(水中の10.0M、6.2μL、0.062mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(14μL、0.082mmol)を室温で順次加えた。5分後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(13mg、0.062mmol)を加えた。さらに2時間後、反応混合物をMeOHで希釈し、RP−HPLC(pH=10、アセトニトリル/水+NHOH)で精製して、所望の生成物を得た。C2632[M+H]m/zのLCMS計算値:516.2;実測値:516.2。
【0241】
実施例33
メチル4−((7−(アクリルアミドメチル)−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート
【化77】
テトラヒドロフラン(1.0mL)中の、N−{[3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1−(ピペリジン−4−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル]メチル}アクリルアミド2,2,2−トリフルオロアセテート(実施例32、工程5のように調製、15mg、0.030mmol)の撹拌溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(14μL、0.082mmol)及びメチルクロロホルメート(2.4μL、0.031mmol)を室温で連続的に添加した。30分後、反応混合物をMeOHで希釈し、RP−HPLC(pH=10、アセトニトリル/水+NHOH)で精製して、所望の生成物を得た。C2732[M+H]m/zのLCMS計算値:560.2;実測値:560.3。
【0242】
実施例34
4−((7−(アクリルアミドメチル)−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H) −イル)メチル)−N−イソプロピルピペリジン−1−カルボキサミド
【化78】
標題化合物を、実施例33に記載の手順と類似の手順を用い、メチルクロロホルメートの代わりに2−イソシアナトプロパンを用いて調製した。C2937[M+H]m/zのLCMS計算値:587.3;実測値:587.2。
【0243】
実施例35
N−((3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−((1−(メチルスルホニル)ピペリジン−4−イル)メチル)−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化79】
標題化合物を、実施例33に記載の手順と類似の手順を用い、メチルクロロホルメートの代わりにメタンスルホニルクロリドを用いて調製した。C2632S[M+H]m/zのLCMS計算値:580.2;実測値:580.1。
【0244】
実施例36
N−((3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
【化80】
工程1:N−(3,5−ジメトキシフェニル)アセトアミド
【化81】
トルエン(200mL)中の3,5−ジメトキシアニリン(15.0g、97.9mmol)の撹拌溶液に、無水酢酸(10.2mL、108mmol)を滴下した。3時間後、反応混合物を100mLのヘキサンで希釈し、濾過し、そして固体をトルエン/ヘキサン(2:1,30mL)、次いでヘキサンで洗浄した。固体を減圧下で乾燥して、所望の化合物(18.9g)を得た。C1014NO[M+H]m/zのLCMS計算値:196.1;実測値:196.2。
【0245】
工程2:N−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシフェニル)アセトアミド
【化82】
アセトニトリル(200mL)中のN−(3,5−ジメトキシフェニル)アセトアミド(16.0g、82.0mmol)の撹拌懸濁液に、塩化スルフリル(13.0mL、160mmol)を0℃で5分間かけて滴下した。30分後、NaHCO飽和水溶液(125mL)で反応停止し、濾過し、そして固体を水及びヘキサンで洗浄して、所望の生成物(8.5g)を得た。濾液を100mLの飽和NaHCO水溶液で希釈し、次いでEtOAcで抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。 残留物をシリカゲル(ヘキサン中の0〜40%EtOAcで溶出)で精製して、さらに10.0gの所望の生成物を得た。C1012ClNO[M+H]m/zのLCMS計算値:264.0;実測値:263.9。
【0246】
工程3:2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシアニリン
【化83】
N−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシフェニル)アセトアミド(8.5g、32mmol)をエタノール(160mL)に溶解し、次いで水酸化カリウム(9.0g、160mmol)の水(80mL) 溶液を添加した。混合物を加熱還流し、48時間撹拌した。 反応を室温に冷却した後、濾過により白色沈殿物を集め、冷水で洗浄し、次いで乾燥して所望の生成物(6.0g)を得た。C10ClNO[M+H]m/zのLCMS計算値:222.0; 実測値:221.9。
【0247】
工程4:2,6−ジクロロ−N−((4,6−ジクロロピリジン−3−イル)メチル)−3,5−ジメトキシアニリン
【化84】
標題化合物を、実施例1、工程2に記載の手順と類似の手順を用い、2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリンの代わりに2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシアニリンを用いて調製した。C1413Cl[M+H]m/zのLCMS計算値:381.0;実測値:381.0。
【0248】
工程5:N−((3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−7−イル)メチル)アクリルアミド
標題化合物を、実施例2に記載の手順と類似の手順を用い、工程1において2,6−ジフルオロ−N−((4,6−ジクロロピリジン−3−イル)メチル)−3,5−ジメトキシアニリンの代わりに2,6−ジクロロ−N−((4,6−ジクロロピリジン−3−イル)メチル)−3,5−ジメトキシアニリン(工程4)を用いて調製した。C2123Cl[M+H]m/zのLCMS計算値:465.1;実測値:465.1。
【0249】
実施例37
N−((2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−5’−メチル−3’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−6’−イル)メチル)アクリルアミド
【化85】
工程1:(4,6−ジクロロ−5−メチルピリジン−3−イル)メタノール
【化86】
塩化メチレン(100mL)中のエチル4,6−ジクロロ−5−メチルニコチネート(6.70g、28.6mmol)の撹拌溶液に、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(トルエン中1.0M、60.mL、60.mmol)を −78℃で滴下した。1時間後、反応混合物を飽和酒石酸カリウムナトリウム水溶液(7mL)で反応停止し、次いで室温で一晩撹拌した。有機層を分離し、水層をDCMで抽出した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物(5.46g)を得た。CClNO[M+H]m/zのLCMS計算値:192.0;実測値:192.0。
【0250】
工程2:N−((4,6−ジクロロ−5−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン
【化87】
塩化メチレン(100mL)中の(4,6−ジクロロ−5−メチルピリジン−3−イル)メタノール(5.46g、28.4mmol)に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(9.90mL、56.9mmol)及びメタンスルホニル塩化物(2.9mL、37mmol)を0℃で順次添加した。さらに2時間後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液で反応停止し、DCM(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0251】
N,N−ジイソプロピルエチルアミン(24mL、140mmol)中の上記残留物に2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(7.5g、40.mmol)を加えた。得られた混合物を100℃で一晩撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、飽和NaHCO水溶液で反応停止し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルで精製し(ヘキサン中の0−25%EtOAcで溶出)、7.5gの所望の生成物を得た。C1515Cl[M+H]m/zのLCMS計算値:363.0; 実測値:363.0。
【0252】
工程3:6’−クロロ−2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−5’−メチル−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−3’(2’H)−オン
【化88】
標題化合物を、実施例1に記載の手順と類似の手順を用い、工程3においてN−((4,6−ジクロロピリジン−3−イル)メチル)−2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリンの代わりにN−((4,6−ジクロロ−5−メチルピリジン−3−イル)メチル)−2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(工程2)を用いて調製した。C1918ClF[M+H]m/zのLCMS計算値:395.1;実測値:395.1。
【0253】
工程4:N−((2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−5’−メチル−3’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン)−6’−イル)メチル)アクリルアミド
標題化合物を、実施例2、工程2〜6に記載の手順と類似の手順を用い、工程2において7−クロロ−3−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−エチル−3,4−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2(1H)−オンの代わりに6’−クロロ−2’−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−5’−メチル−1’H−スピロ[シクロプロパン−1,4’−[2,7]ナフチリジン]−3’(2’H)−オン(工程3)を用いて調製した。C2324[M+H]m/zのLCMS計算値:444.2;実測値:444.2。
【0254】
実施例A
FGFR酵素アッセイ
例示された化合物の阻害剤効力は、ペプチドリン酸化を、生成物形成を検出するためにFRET測定を用いて測定する酵素アッセイで測定された。阻害剤をDMSO中で連続的に希釈し、0.5μLの容量を384ウェルプレートのウェルに移した。FGFR3については、アッセイ緩衝液(50mM HEPES、10mM MgCl、1mM EGTA、0.01%Tween−20,5mM DTT、pH7.5)で希釈した10μL容量のFGFR3酵素(Millipore)をプレートに添加し、5〜10分から4時間以下の間予備培養(プレインキュベート)した。適切なコントロール(酵素ブランク及び阻害剤のない酵素)がプレートに盛り込まれた。アッセイ緩衝液中のビオチン化EQEDEPEGDYFEWLEペプチド基質(SEQ ID NO:1)及びATP(それぞれ最終濃度500nM及び140μM)を含む10μL溶液を、ウェルに添加することによってアッセイを開始した。プレートを25℃で1時間インキュベートした。反応を、10μL/ウェルのクエンチ溶液(50mM Tris、150mM NaCl、0.5mg/mL BSA、pH7.8;3.75nM Eu抗体PY20及び180nM APC−StreptavidinにおけるPerkin Elmer Lance Reagentを有する30mM EDTA)を添加して終了させた。プレートを約1時間平衡させた後、PheraStarプレートリーダー(BMG Labtech)でウェルをスキャンした。
【0255】
FGFR1、FGFR2及びFGFR4を、酵素及びATP濃度における以下の変化を有する等価条件下で測定する:FGFR1、それぞれ0.02nM及び210uM、FGFR2、それぞれ0.01nM及び100uM、及びFGFR4、それぞれ0.04nM及び600uM。酵素はMilliporeまたはInvitrogenから購入した。
【0256】
GraphPad prism3を使用してデータを分析した。IC50値は、可変スロープを有するシグモイド用量応答の式にデータを当てはめることによって誘導された。
Y=Bottom + (Top−Bottom)/(1+10^((LogIC50−X)HillSlope))
上式において、Xは濃度の対数であり、Yは応答である。1μM以下のIC50を有する化合物が活性であると考えられる。
【0257】
本発明の化合物は、FGFR酵素アッセイによるFGFR4の選択的阻害剤であることが見出された。表1は、アッセイ緩衝液中で希釈し、プレートに添加し、4時間プレインキュベートした後、FGFR酵素アッセイで分析した本発明の化合物のIC50データを示す。 記号「+」は10nM未満のIC50を示し、「++」は10nM以上30nM未満のIC50を示し、「+++」は30nM以上200nM未満のIC50を示し、「++++」は200nM以上のIC50を示す。
【表1】
【0258】
表2は、アッセイ緩衝液中で希釈し、プレートに添加し、5〜10分間予備培養した後にFGFR酵素アッセイで分析した本発明の化合物のIC50データを示す。記号「+」は10nM未満のIC50を示し、「++」は10nM以上30nM未満のIC50を示し、「+++」は30nM以上200nM未満のIC50を示し、「++++」は200nM以上のIC50を示す。
【表2】
【0259】
実施例B
FGFR4細胞及びインビボアッセイ
細胞、組織及び/または動物における例示化合物のFGFR4阻害活性は、当技術分野例えば、French et al.“Targeting FGFR4 Inihibits Hepatocellular Carcinoma in Preclinical Mouse Models (FGFR4の標的化は、前臨床マウスモデルにおける肝細胞癌を阻害する)”,PLoS ONE,May,2012,Vol.7,Issue 5,e36713(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)、に記載されている1つ以上のアッセイまたはモデルに従って、示すことができる。
【0260】
本発明の様々な改変は、本明細書に記載されたものに加えて、上記の記載から当業者には明らかであろう。そのような改変も、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図されている。本願に引用される全ての特許、特許出願、及び刊行物を含む各参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]