【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明が採用する技術ソリューションは下記の通りである。
【0007】
並列コンバータシステムの制御方法であって、前記並列コンバータシステムは少なくとも2つの並列電圧源コンバータを含み、これらのコンバータが同じまたは接続された交流母線に並列接続され、前記並列コンバータシステムは、離島制御モードで動作するコンバータを少なくとも1つ含み、前記システム方法は、
周波数参照値F
refに基づいてシステム電圧位相参照値θ
refを計算するステップ1と、
交流母線上の母線電圧を収集するステップ2と、
収集された母線電圧を処理して、母線電圧有効値参照値とシステム電圧位相参照値θ
refによって一意に決定される、有効電流参照値I
drefと無効電流参照値I
qrefを得るステップ3と、
有効電流参照値I
dref、無効電流参照値I
qrefおよびシステム電圧位相参照値θ
refをコンバータ制御信号として各離島制御モードのコンバータに出力するステップ4と、
いずれかの離島制御モードのコンバータに対して、受信された制御信号に基づいて、このコンバータの有効電流が有効電流参照値I
drefに従い、かつ無効電流が無効電流参照値I
qrefに従うように制御するステップ5を含み、
前記離島制御モードのコンバータの制御目標は、交流母線電圧の振幅と周波数を制御することとする。
【0008】
上記並列コンバータシステムの制御方法であって、前記周波数参照値F
refはシステムの定格周波数F
nであり、またはF
ref=F
n+K
f(P
ref-P)であり、前記K
fは比例係数であり、値の範囲は-100から100までであり、P
refは並列コンバータの総有効電力参照値であり、Pは実際の並列コンバータの総有効電力である。
【0009】
上記並列コンバータシステムの制御方法であって、ステップ4の前記コンバータ制御信号がi番目の離島制御モードのコンバータに出力される前に、有効電流参照値I
drefに有効割当係数K
diを乗じ、i番目の離島制御モードのコンバータの有効電流参照値I
drefiが得られ、無効電流参照値I
qrefに無効割当係数K
qiを乗じ、i番目の離島制御モードのコンバータの無効電流参照値I
qrefiが得られ、0≦K
di≦1、0≦K
qi≦1、iの値の範囲は1から離島制御モードのコンバータの数までであり、各コンバータの有効割当係数K
d、または無効割当係数K
qは同じでもよいし、異なってもよい。
【0010】
上記並列コンバータシステムの制御方法であって、ステップ5の前記いずれかの離島制御モードのコンバータは電流ベクトル制御を採用する。
【0011】
上記並列コンバータシステムの制御方法であって、前記各コンバータのいずれかのコンバータは、コンバータの有効電力を制限する必要がある場合、有効電流参照値の大きさを有効電流制限値I
dlim以下に制限し、前記各コンバータのいずれかのコンバータは、コンバータの無効電力を制限する必要がある場合、無効電流参照値の大きさを無効電流制限値I
qlim以下に制限し、
前記有効電流制限値I
dlimは、下記2つの方式の1つによって生成され、
i)前記有効電流制限値I
dlimは予め設定された値であり、値の範囲は0からコンバータの最大有効電流までであり、
ii)前記有効電流制限値I
dlimは、このコンバータの有効電力制限値と実際の有効との偏差がPIコントローラによって変調された値であり、
前記無効電流制限値I
qlimは、下記2つの方式の1つによって生成され、
i)前記無効電流制限値I
qlimは予め設定された値であり、値の範囲は0からコンバータの最大無効電流までであり、
ii)前記無効電流制限値I
qlimは、このコンバータの無効電力制限値と実際の無効との偏差がPIコントローラによって変調された値である。
【0012】
並列コンバータシステムの制御システムであって、前記並列コンバータシステムは少なくとも2つの並列電圧源コンバータを含み、これらのコンバータが同じまたは接続された交流母線に並列接続され、前記制御システムは、共通の交流電圧コントローラと各コンバータ独自の電流コントローラとを含み、前記交流電圧コントローラは、
周波数参照値F
refに基づいて、システム電圧位相参照値θ
refを計算する参照位相生成手段と、
交流母線上の母線電圧を収集する交流電圧のサンプリング手段と、
収集された母線電圧を処理して、有効電流参照値I
drefと無効電流参照値I
qrefを得、有効電流参照値I
drefと無効電流参照値I
qrefが母線電圧有効値参照値とシステム電圧位相参照値θ
refによって一意に決定される、電流参照値計算手段と、を含み、
前記交流電圧コントローラは有効電流参照値I
dref、無効電流参照値I
qrefおよびシステム電圧位相参照値θ
refをコンバータ制御信号として、通信により各離島制御モードのコンバータの電流コントローラに送信することにより、各コンバータが出力した有効電流が有効電流参照値I
drefに従い、かつ無効電流が無効電流参照値I
qrefに従うように制御し、
前記交流電圧コントローラの配置は、下記2つの方式の1つを採用し、
i)前記交流電圧コントローラとコンバータの電流コントローラは、同じ制御装置に配置されていること、
ii)前記交流電圧コントローラとコンバータの電流コントローラは、異なる制御装置に配置されていること、
複数の制御装置に交流電圧コントローラが配置されている場合、同じタイミングで、全てのコンバータの電流コントローラは、設定された優先度に応じて、その中の1つの交流電圧コントローラが出力したコンバータ制御信号のみを採用する。
【0013】
上記並列コンバータシステムの制御システムであって、前記交流電圧コントローラは、比例積分コントローラ、スライディングモードコントローラ、デッドビートコントローラおよび非線形コントローラの1つを採用し、前記電流コントローラは、比例積分コントローラ、スライディングモードコントローラ、デッドビートコントローラおよび非線形コントローラの1つを採用する。
【0014】
上記並列コンバータシステムの制御システムであって、交流電圧コントローラはさらに電力割当手段を含み、i番目の離島制御モードのコンバータに対して、有効電流参照値I
drefに有効割当係数K
diを乗じ、i番目の離島制御モードのコンバータの有効電流参照値I
drefiが得られ、無効電流参照値I
qrefに無効割当係数K
qiを乗じ、i番目の離島制御モードのコンバータの無効電流参照値I
qrefiが得られ、0≦K
di≦1、0≦K
qi≦1、iの値の範囲は1から離島制御モードのコンバータの数までであり、各コンバータの有効割当係数K
dまたは無効割当係数K
qは同じでもよいし、異なってもよい。
【0015】
上記並列コンバータシステムの制御システムであって、前記コンバータの電流コントローラはさらに電力制限手段を含み、有効電流参照値の大きさを有効電流制限値I
dlim以下に制限し、無効電流参照値の大きさを無効電流制限値I
qlim以下に制限する。
前記有効電流制限値I
dlimは、次の2つの方式の1つによって生成され、
i)前記有効電流制限値I
dlimは予め設定された値であり、値の範囲は0からコンバータの最大有効電流までであり、
ii)前記有効電流制限値I
dlimは、このコンバータ有効電力制限値と実際の有効との偏差がPIコントローラによって変調された値であり、
前記無効電流制限値I
qlimは、次の2つの方式の1つによって生成され、
i)前記無効電流制限値I
qlimは予め設定された値であり、値の範囲は0からコンバータの最大無効電流までであり、
ii)前記無効電流制限値I
qlimは、このコンバータの無効電力制限値と実際の無効との偏差がPIコントローラによって変調された値である。
【0016】
上記並列コンバータシステムの制御システムであって、交流電圧コントローラと電流コントローラが同じ制御装置にある場合は、バックプレートバスを介して参照信号を伝送し、異なる装置にある場合は、IEC60044−8プロトコル、イーサネット(登録商標)プロトコル、またはTDMプロトコルという標準プロトコルの一つを介して通信する。
【発明の効果】
【0017】
上記ソリューションを採用すると、本発明の有益な効果は下記の通りである。
【0018】
(1)本発明に係る並列コンバータシステムの制御方法およびシステムは、上位交流電圧制御コントローラと複数の下位コンバータの電流コントローラとを組み合わせて、機能的にデカップリングし、オブジェクト向けの設計要件を満たし、信頼性が高い。
【0019】
(2)本発明に係る並列コンバータシステムの制御方法およびシステムは、システム電圧位相が共通の上位交流電圧制御コントローラによって生成され、複数のコンバータの同期を効果的に保証することができる。
【0020】
(3)本発明に係る並列コンバータシステムの制御方法およびシステムは、並列コンバータ間の電力割当能力を備えており、必要に応じて、複数の並列コンバータの電力バランス制御またはアンバランス制御を実現することができる。
【0021】
(4)本発明に係る並列コンバータシステムの制御方法およびシステムは、電力制限機能を備えており、下す指令がコンバータ電力の限界を超えるような状況の発生を避ける。
【0022】
(5)本発明に係る並列コンバータシステムの制御方法およびシステムは、電力制限機能が電流指令を制限する方后で実現され、交流が障害を起こす時には電流指令が制限された後、コンバータが定電流制御に移行し、交流システムのフォールトライドスルーを実現することができる。