特許第6903855号(P6903855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 森 昭平の特許一覧 ▶ 有限会社三光の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903855
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】シート材の綴じ込み機
(51)【国際特許分類】
   B42B 5/00 20060101AFI20210701BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   B42B5/00
   B65H37/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-67535(P2020-67535)
(22)【出願日】2020年4月3日
(65)【公開番号】特開2020-172107(P2020-172107A)
(43)【公開日】2020年10月22日
【審査請求日】2020年7月16日
(31)【優先権主張番号】特願2019-73127(P2019-73127)
(32)【優先日】2019年4月5日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年5月10日に、発明者の森昭平は国際紙パルプ商事株式会社に依頼して販売を行った。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000191537
【氏名又は名称】森 昭平
(73)【特許権者】
【識別番号】518080695
【氏名又は名称】有限会社三光
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(72)【発明者】
【氏名】森 昭平
(72)【発明者】
【氏名】浅村 奉眞
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6258686(JP,B2)
【文献】 特開2010−143107(JP,A)
【文献】 特開昭49−133039(JP,A)
【文献】 米国特許第02574421(US,A)
【文献】 独国特許発明第00623624(DE,C2)
【文献】 米国特許第01954965(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42B 2/00− 9/06
B42C 1/00−99/00
B65H 37/04
B31F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシート材を重ね合わせて一方の凹凸歯と他方の凹凸歯の間に挟持して、綴じられる凹凸痕を付与するシート材の綴じ込み機において、一方の凹凸歯が取り付けられる一方側躯体と、他方の凹凸歯が取り付けられる他方側躯体が接離可能に取り付けられるともに、前記一方の凹凸歯と他方の凹凸歯の間隔を調節する凹凸歯間隔調整用の弾性部材と、その調節に用いられる操作手段を押圧操作することによって、前記一方の凹凸歯と他方の凹凸歯との綴じ圧力を調整し、さらに前記一方側躯体と他方側躯体との間に躯体間調整用の弾性部材が配され、前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材の弾性力が前記躯体間調整用の弾性部材に抗して前記操作手段による押圧操作する構成とされ、前記押圧操作を解除するときには、前記操作手段による押圧操作を徐々に緩めることで前記躯体間調整用の弾性部材の弾性力が生じて前記一方側躯体と前記他方側躯体が離れることを特徴とするシート材の綴じ込み機。
【請求項2】
複数枚のシート材を重ね合わせて一方の凹凸歯と他方の凹凸歯の間に挟持して、綴じられる凹凸痕を付与するシート材の綴じ込み機において、一方の凹凸歯が取り付けられる一方側躯体が他方の凹凸歯が取り付けられる他方側躯体にスライド支柱に挟持されて接離可能に取り付けられるともに、前記一方の凹凸歯と他方の凹凸歯の間隔を調節する凹凸歯間隔調整用の弾性部材と、その調節に用いられる操作手段を押圧操作することによって、前記一方の凹凸歯と他方の凹凸歯との綴じ圧力を調整し、さらに前記一方側躯体と他方側躯体との間に躯体間調整用の弾性部材が配され、前記操作手段に連結される固定用部材をスライド支柱に掛け渡し、前記固定用部材は、その押え力を解除及び/又は、調整する支持解除部材を備えて、前記スライド支柱に架け渡した一方を支点、他方を解除可能とし、前記操作手段による押圧操作を緩めることなく、前記固定用部材の押さえ力を解除及び/又は、調整することで、前記躯体間調整用の弾性部材の弾性力が生じて前記一方側躯体と前記他方側躯体が離れることを特徴とするシート材の綴じ込み機。
【請求項3】
前記一方の凹凸歯が取り付けられる一方側躯体と前記他方の凹凸歯が取り付けられる他方側躯体を備えるとともに、これらの躯体の一方側躯体又は、いずれもがスライド支柱に沿って移動可能に構成され、前記スライド支柱間に配された押し下げ部材を介して前記操作手段により前記一方側躯体を他方側躯体に対して接離することを特徴とする請求項1または2に記載のシート材の綴じ込み機。
【請求項4】
前記複数枚のシート材を搬送する搬送用テーブルと、搬送用テーブルに沿うように配されてシート材を案内するガイド部と、前記ガイド部に沿って供給と排出が行われる複数枚のシート材を平坦に揃えるためのシート厚み調整手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシート材の綴じ込み機。
【請求項5】
前記ガイド部は、コ字状又は逆L字状部材により構成されて、前記ガイド部に沿ってシート材を平坦に揃えるためのシート厚み調整手段により前記ガイド部が押圧されることを特徴とする請求項4に記載のシート材の綴じ込み機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の綴じ針や糊等を使用しないで、複数枚のシート材(紙、合成樹脂フィルム、金属フィルムなどや、薬袋や食品包装材を含む。)を綴じ込むことができるシート材の綴じ込み機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冊子や帳票等の多くが金属製の綴じ針や糊等で綴じられて作成されている。また、薬袋や食品包装材では、複数の袋を一つに綴じて、同時に収納したり、展示したりすること等も行われている。しかし、金属製の綴じ針は、その綴じ針が突き出す状態が生じると危険である。また、冊子や帳票等が不要になり破棄する場合、必要に応じてシュレッダーにより裁断し、焼却処分、あるいは省資源といった観点から再生紙として再利用することが行われており、金属製の綴じ針で綴じられたものは、シュレッダーの刃の損傷を避けるため、金属製の綴じ針を外す必要があり、その処分も難しいのが実情である。一方、糊等で綴じられたものは、その糊がホットメルト等の樹脂系糊である場合、焼却の際、有毒ガスが発生する問題を有する。
【0003】
これらの問題点に対応するため、金属製の針や糊を使用しないで、紙を綴じ込むことができるものとして、例えば、シート材(コピー用紙や帳票等)の複数枚を綴じ込む場合、一枚一枚の紙に水分を供給し、凹凸が連なった綴じ部材で上下から圧力を掛けて綴じ込む装置が記載されている(例えば、特許文献1と2)。
【0004】
しかし、これらでは、水分等を含ませるので、簡易に綴じることができず、構造も大掛かりなものとなるので、図8に示すように、本願出願人は、その発明者として、ハンディタイプの綴じ込み機を開発した(特許文献3)。この特許文献3の綴込み機によれば、ハンディタイプであることに加えて、一方の凹凸歯が配される一方側躯体(固定ブロック)と他方の凹凸歯が配される他方側躯体(固定ブロック)とにより隙間(シート材が通過する隙間)を設けるので、その構造も簡単な構造にできる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3481300号公報
【特許文献2】特許第3502204号公報
【特許文献3】特許第6258686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の綴じ込み機(特許文献1〜3を含む。)には、一枚でも多く綴じ込みたい要請がある。上記従来の綴じ込み機でもその要請は高く、現在のところ、普通紙で多くて3〜5枚程度、薄い合成フィルムで4〜6枚程度であるが、これよりも一枚でも多く綴じるためには更なる改良が必要である。また、シート材としては、紙製シートや合成樹脂シートやセロファンなどの種類があり、薬袋や食品袋を綴じたりする必要があり、できるだけ綺麗に綴じる要請が高いものがある。このため、その種類に応じて適宜綴じ代部の圧力をかける必要がある。
他方、使用される一方の凹凸歯と他方の凹凸歯の大きさや種類(鋼鉄製の歯の先鋭さ等)などによって、重ね合わせ枚数が異なったり、或いは、これら歯の噛み合わせが適正ではなくなったり、シート材損傷させるなどの問題も有していた。すなわち、一方の凹凸歯と他方の凹凸歯との間の隙間の適正な設定は、そもそも難しいことに加えて(搬送用ステージに対する設定も難しい)、シート材の枚数が多くなると、互いの凹凸歯がシート材を噛み込んでしまう事態(紙詰まり)を生じさせている。そして、歯の間隔が一度狂ってしまうと元の適切な間隔に戻すことは難しくなる。
さらに、複数枚のシートを一対の凹凸歯で綴じたとしても、その反動で複数枚のシートがめく上がる現象が生じることがあり、その対策が必要である。そして、これらの現象を抑制して、複数枚のシート材を綴じなければならない。
なお、特許文献3では、凹凸歯の切り欠き平面部30により、紙詰まりした場合に紙類を排除することができるが、連続して搬送する場合においては、柔軟に紙詰まりを修正しなければならず、これのみでは、十分ではなかった。
【0007】
ここで、特許文献1や2では、複数枚のシート材を重ね合わせて送ると(枚数を多くすると)、搬送するときにスリップが生じたり、互いに凹凸歯の噛み合わせが十分に正確にできず、容易に剥がれる現象が生じる題点を有する。上記スリップが生じると、シート材にテカリが生じたり、凹凸歯痕が線を引くように生じたりして、シート材の美感を害することになる問題も有していた。このため、このような現象を解決しなければならない。
また、特許文献1や2では、その装置構成が複雑であり、高価なものになっていたが、特に、シート材が通過する間隔の設定が難しいという問題も有していた。すなわち、上記従来例では、シート材を供給する隙間を別途設けたり(躯体の外側に配置するなどして)、そこに案内するガイド部が必要になり、凹凸歯の種類等に応じて前記隙間に対する突出度合い(隙間の間隔の調整)が難しいことが問題になっていた。
【0008】
そこで本発明の目的は、一方の凹凸歯と他方の凹凸歯の間隔を適切に調整可能にして、複数枚のシート材に応じた綴じ圧力にできるとともに、凹凸歯の噛み合わせに不都合が生じたような場合(紙詰まり等)には、これに即座に対応するとともに、搬送用ステージに対する設定が容易で、前記適正な綴じ圧力を解除しないで対応することができるシート材の綴じ込み機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明は、上記課題を解決するために、複数枚のシート材を重ね合わせて一方の凹凸歯と他方の凹凸歯の間に挟持して、綴じられる凹凸痕を付与するシート材の綴じ込み機において、一方の凹凸歯が取り付けられる一方側躯体が他方の凹凸歯が取り付けられる他方側躯体に切離可能に取り付けられるとともに、前記一方の凹凸歯と他方の凹凸歯の間隔を調節する凹凸歯間隔調整用の弾性部材(第1の調整手段;第1の弾性部材)と、その調節に用いられる操作手段を押圧操作することによって、前記一方の凹凸歯と他方の凹凸歯との綴じ圧力を調整することを特徴とする。
本発明によれば、操作手段によって一方の凹凸歯が配される一方側躯体と他方の凹凸歯が配される他方側躯体との間隔を調節することにより、一方の凹凸歯と他方の凹凸歯との綴じ圧力の調整が可能になり、このため、互いに凹凸歯の噛み合わせが十分に正確にできない場合等には、一方の凹凸歯と他方の凹凸歯との間隔を広げるなどの調整することができるので(凹凸歯間隔調整用の弾性部材により自動的に調節ができるので)、シート材に対して凹凸歯同士の噛み合わせにより、適切な綴込みができる。尚、凹凸歯同士の間隔が過度に狭く、シート材に負荷がかかっても、凹凸歯間隔調整用の弾性部材によって負荷が吸収されることとなり、シート材の破れを防止し、適宜な綴込みができる。また、複数枚のシート材を重ね合わせて搬送するときにスリップを防止することができる。
本発明としては、前記一方側躯体と他方側躯体との間に躯体間調整用の弾性部材が配され、前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材の弾性力が前記躯体間調整用の弾性部材に抗して前記操作手段による押圧操作する構成とされ、前記押圧操作を解除するときには、前記操作手段による押圧操作を徐々に緩めることで前記躯体間調整用の弾性部材の弾性力が発揮されて前記押圧操作を解除することを特徴とする。
本発明によれば、複数枚のシート材に応じて一方の凹凸歯と他方の凹凸歯による歯跡により綴じ込むときに、枚数に応じて凹凸歯の間隔を調整して綴じ込むことができる。また、躯体間調整用の弾性部材によって、紙詰まりを解消することができる
【0010】
また、本発明は、複数枚のシート材を重ね合わせて一方の凹凸歯と他方の凹凸歯の間に挟持して、綴じられる凹凸痕を付与するシート材の綴じ込み機において、一方の凹凸歯が取り付けられる一方側躯体が他方の凹凸歯が取り付けられる他方側躯体に接離可能に取り付けられるともに、前記一方側躯体と他方側躯体との間に躯体間調整用の弾性部材(第2の調整手段;第2の弾性部材)が配されていることを特徴とする。
本発明によれば、互いに凹凸歯の噛み合わせが十分に正確にできない場合や、噛み込みが生じた場合等には、操作手段によって凹凸歯間隔調整用の弾性部材を介して間隔を調整すれば、自動的に躯体間調整用の弾性部材により、一方の凹凸歯と他方の凹凸歯との間隔を広がるので、シート材を取り外すことができる(シート材に対する凹凸歯の噛み込みや紙詰まりを解除することできる)。
本発明としては、前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材の弾性力が前記躯体間調整用の弾性部材に抗して前記操作手段による押圧操作する構成とされ、前記押圧操作を解除するときには、前記操作手段による押圧操作を徐々に緩めることで前記躯体間調整用の弾性部材の弾性力が発揮されて前記押圧操作を解除することを特徴とする。
本発明によれば、躯体間調整用の弾性部材を介して前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材(第1の弾性部材)の弾性力が前記操作手段による押圧操作ができるので、シート材の枚数に応じた綴じ圧力の調整ができるとともに、前記押圧操作を解除するときには、前記躯体間隔調整用の弾性部材の弾性力が発揮されて前記押圧操作を解除することで、徐々にその解除ができる(精密な解除が可能になる)。
【0011】
本発明としては、前記一方の凹凸歯が取り付けられる一方側躯体と前記他方の凹凸歯が取り付けられる他方側躯体を備えるとともに、これらの躯体のいずれもがスライド支柱に沿って移動可能に構成され、前記操作手段に連結される固定用部材をスライド支柱に掛け渡すように取り付け、掛け渡した一方を支点として他方を解除可能にスライド支柱に連結するとともに、前記固定用部材の押え力を解除したり調整したりする支持解除部材を備えて、前記一方の凹凸歯と他方の凹凸歯との綴じ圧力を保持したまま状態で、及び/又は、前記一方側と他方側の躯体の間隔を保持したままの状態で、前記操作手段による押圧制御を解除することを特徴とする。
本発明によれば、前記一方の凹凸歯と他方の凹凸歯との綴じ圧力を一定に保持したまま状態で、前記操作手段による押圧制御を解除することができるので、前記第1の調整手段(第1の弾性部材)と組み合わせたり、前記第2の調整手段(第2の弾性部材)と組み合わせたりして、凹凸歯やシート材にかかる圧力を調整可能である。すなわち、前記一方の凹凸歯と他方の凹凸歯との綴じ圧力を一定に保持したままの状態で、前記第2の調整手段(第2の弾性部材)の弾性力を調整したり、前記一方側と他方側の躯体の間隔を一定に保持したままの状態で、前記第1の調整手段(第1の弾性部材)の弾性力を調整したりすることができる。
また、前記一方の凹凸歯が取り付けられる一方側躯体と前記他方の凹凸歯が取り付けられる他方側躯体を備えるとともに、これらの躯体のいずれもがスライド支柱に沿って移動可能に構成され、前記スライド支柱間に配された押し下げ部材を介して前記操作手段により前記一方側躯体を他方側躯体に対して接離することを特徴とする。
本発明によれば、前記一方側躯体に対する前記操作手段による押圧力が掛かったままの状態で(シート材に対する綴じ圧力を一定にした状態のまま)、前記操作手段による押圧力を解除することができるので、紙詰まりしても、操作手段による押圧力を変えないで、紙詰まりを除去して、元の押圧力に戻すことができる。また、搬送用テーブルに対する凹凸歯の位置の設定が精密に行うことができる。
本発明としては、前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材と前記躯体間調整用の弾性部材とは対向配置されて連係動作する構造であり、通常の稼働時は前記躯体間調整用の弾性部材よりも前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材の方が、弾性力が強いが、前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材の弾性力を解除した時には、前記躯体間調整用の弾性部材の弾性力により、一方側躯体と他方側躯体との間隔が広がることを特徴とする。
ここで、弾性力とは、一方側と他方側の躯体が上下配置構造の場合には、上方からの押圧力(付勢力)、伸縮力或いは圧迫力であるが、上下配置構造に限らず適用可能である。
本発明によれば、前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材と前記躯体間調整用の弾性部材とは対向配置に配されて連係動作するものであることから(上下配置に限られない)、互いの付勢力を調整することができる。前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材により一方側躯体と他方側躯体との間隔を予め設定すれば、後は前記躯体間調整用の弾性部材の弾性力の強弱による僅かな調整により、一方側躯体と他方側躯体との間隔を調節することが可能になる。
また、本発明としては、シート材を搬送する搬送用テーブルと、搬送用テーブルに沿うように配されてシート材を案内するガイド部と、前記ガイド部に沿って供給と排出が行われる複数枚のシート材を平坦に揃えるためのシート厚み調整手段を備えることを特徴とする。また、シート材を搬送する搬送用テーブルと、搬送用テーブルに沿うように配されてシート材を案内するガイド部を備え、前記ガイド部はコ字状部材又は逆L字状部材により構成されて、シート材を平坦に揃えるためのシート厚み調整手段により押圧されることを特徴とする。
本発明によれば、一方と他方の凹凸歯によりシート材を綴じるときに、シート材がスリップしたり、皺が寄ったりすることを防止するとともに、複数枚のシート材を平坦に揃えることとなる。
【0012】
本発明としては、前記一方側躯体と他方側躯体とは、上下に分離して配置されることによりその分離した隙間に前記一方の凹凸歯と他方の凹凸歯のうちの少なくとも一方の凹凸歯が突出して配されるか、及び/又は、左右に分離して配置されることによりその分離した隙間に前記一方の凹凸歯と他方の凹凸歯のうちの少なくとも一方の凹凸歯が突出して配されることを特徴とする。ここで、凹凸歯としては、回転歯に限らず、直線状の凹凸歯、すなわち直線状に対向配置されてプレス機等により上下の型として押圧されるものでも良い。
従来の綴込み機では、上下配置の一方側躯体と他方側躯体の間の隙間を設けるしかなかった。これに対して、本発明によれば、凹凸歯間隔調整用の弾性部材が押し下げ部材と一方側躯体との間に配されるので、凹凸歯間隔調整用の弾性部材に抗して操作手段による押し下げ部材を介した押し下げができ、シート材の枚数に応じた押し下げができる(綴じ圧力が得られる)こととなる。そのため、上下配置に限らず前記一方側躯体と他方側躯体の隙間において突出する凹凸歯によりシート材を挟持させることができる。また、一方側躯体と他方側躯体とを上下の他、左右の2分割とすれば、上下の隙間と左右の隙間のどの位置でも凹凸歯間隔調整用の弾性部材の付勢力(弾性力)を発揮させる隙間を設定することができ、シート材を横方向のみならず、上下方向から差し込んで綴じることが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数枚のシート材を重ね合わせて一方の凹凸歯が配される一方側躯体と他方の凹凸歯が配される他方側躯体との間に挟持すると、前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材を介して複数枚のシート材に凹凸痕が付与されるので、剥がれ難くなる凹凸痕(シート材の材質に応じて良好な凹凸痕)を付けることができる。また、従来よりも重ね合わす枚数を多くし、また、スリップが防止されて搬送(供給と送り出し)も良好になる。
また、凹凸歯間調整用の弾性部材により一方側躯体と他方側躯体との間の隙間の調節が綴じる枚数や種類に応じ適切な間隔に調整することができる。そして、凹凸歯の損傷を防止して、凹凸歯の長寿命化を図ることができるとともに、シート材が噛み込んだ場合押圧部材の押し圧を緩めることにより、躯体間調整用の弾性部材を介して対向する凹凸歯同士の間隔が自動的に広がり、シート材を外すことができる。凹凸歯の突出度合い(一方側躯体と他方側躯体の間の隙間に突出させる回転歯の設定)が容易になる。
また、前記一方の凹凸歯が取り付けられる一方側躯体と前記他方の凹凸歯が取り付けられる他方側躯体を備えるとともに、これらの躯体のいずれもがスライド支柱に沿って移動可能に構成されるので、搬送用テーブルに対する凹凸歯の位置や凹凸歯の切り欠き平面部の位置合わせが正確に行うことができるようになる。
さらに、上下動するガイド部やその上方から押圧するシート厚み調整用の弾性部材により、一対の凹凸歯による綴込みが終了した直後に生じるようなシートのめくれ上がりや、しわを防止することができるので、綺麗な仕上がりになる。尚、弾性部材としては、弾性スプリング、ばね板の他、ゴム、シリコンなどの樹脂でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るシート材の綴じ込み機の第1の実施の形態を示す斜視図である。
図2】上記実施の形態の斜視図である。
図3】上記実施の形態の斜視図である。
図4】上記実施の形態の断面図である。
図5】上記実施の形態の断面図である。
図6】本発明のシート材の綴じ込み機の使用例を説明する斜視図である。
図7】本発明のシート材の綴じ込み機の他の例(第2の例)の実施の形態を説明する図である。
図8】本発明のシート材の綴じ込み機の他の例(第3の例)の実施の形態を説明する図である。
図9】本発明のシート材の綴じ込み機の他の例(第4の例)の実施の形態を説明する図である。
図10】本発明のシート材の綴じ込み機の他の例(第5の例)の実施の形態を説明する図である。
図11】本発明に係るシート材の綴じ込み機の実施の形態を示す斜視図である。
図12】本発明に係るシート材の綴じ込み機の実施の形態を示す斜視図である。
図13】上記実施の形態の斜視図である。
図14】上記実施の形態の断面図である。
図15】上記実施の形態の断面図である。
図16】本発明のシート材の綴じ込み機の使用例を説明する斜視図である。
図17】本発明のシート材の綴じ込み機の他の例(第2の例)の実施の形態を説明する図である。
図18】本発明のシート材の綴じ込み機の他の例(第3の例)の実施の形態を説明する図である。
図19】本発明のシート材の綴じ込み機の他の例(第4の例)の実施の形態を説明する図である。
図20】本発明の凹凸歯を示す斜視図である。
図21】本発明に係るシート材の綴じ込み機の第3の実施の形態を示す斜視図である。
図22】上記実施の形態の斜視図である。
図23】上記実施の形態の斜視図である。
図24】上記実施の形態の斜視図である。
図25】上記実施の形態の断面図である。
図26】上記実施の形態の斜視図である。
図27】上記実施の形態の断面図である。
図28】本発明に係るシート材の綴じ込み機の第4の実施の形態を示す斜視図である。
図29】本発明に係るシート材の綴じ込み機の第4の実施の形態を示す斜視図である。
図30】本発明に係るシート材の綴じ込み機の第4の実施の形態を示す斜視図である。
図31】本発明に係るシート材の綴じ込み機の第4の実施の形態を示す斜視図である。
図32】本発明に係るシート材の綴じ込み機の第5の実施の形態を示す斜視図である。
図33】従来のシート材の綴じ込み機を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るシート材の綴じ込み機の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
本例のシート材の綴じ込み機1は、上下に対向して配置され、対向する外周面に互いに噛み合う複数の凹凸歯1A,1Bをそれぞれ有する一対の歯車1A,1Bを有し、上下の歯車1A,1B間に複数枚のシート材4を送り込み、上下の歯車1A,1Bを回転させることにより噛み合った凹凸歯1A,1B間で複数枚のシート材4を圧縮して綴じるものであって、上下の歯車1A,1Bは躯体5に上下方向に平行に組み込まれた一対の回転軸6,7に対向する凹凸歯1A,1Bが噛み合うように位置決めして固定され、前記一対の回転軸6,7は前記躯体10,11に、それぞれ回転可能に組み込みされている(図1図4)。
上記躯体(固定ブロック)5は、上側躯体10と、下側躯体11とからなり、上側躯体10と、下側躯体11は、さらに左右に分割され、左上側躯体10a、右上側躯体10bと、左下側躯体11a、右下側躯体11bとで構成されており、上側躯体10と下側躯体11はボルト(スライド支柱)22により着脱可能に固定されており、また、左上側躯体10aと右上側躯体10bとは、また左下側躯体11aと右下側躯体11bとは、それぞれ圧縮バネ51,52,53で着脱可能に連結されている。
また、上側躯体10と下側躯体11との間に位置するように、透明な搬送用テーブル61が配置されており、搬送用テーブル61の端部のガイド部60に沿ってシート材4が搬送される。すなわち、搬送用テーブル61の奥の凹凸歯1A,1Bの噛み合う奥の位置にはガイド部(コ字状部材)60が配置され、そのコ字状の空間部(上方の板60aと側板60bとで形成されL字状の空間)にシート材4の端部が位置決めされて搬送される。ガイド部60は、搬送用テーブル61にネジ止めされているが、その先端側60aは、上下動可能に構成することが可能である(図12図16)。このガイド部60は、一方の凹凸歯1Aの位置においても配置されて、上方から上部挟持板71bを介して複数のシート材4を平坦にする。
図1ないし図3において、符号1Eは、凹凸歯1A,1Bの駆動制御する制御部であり、符号63は、押圧式のコントローラであり、符号62は、透明プラスチックである。符号59は、隙間調整部材60の回転軸であり、駆動手段Mと連結されている(図3)。また、図5図6においては、スライド支柱80が配置されており、このスライド支柱80に押圧部材58が取り付けられて、上方の躯体10を下方の躯体11に対して接離する動作が可能になっている。すなわち、操作手段である操作手段50を回転させると、操作手段55を介して押圧部材を下降させて、上方の躯体10を下方の躯体11に対して接離動作させる。
【0017】
左上側躯体10aと右上側躯体10bには、上側の回転軸6を回転自在に挿通する挿通孔12a,12bが設けられ、左上側躯体10aと右上側躯体10bとの間には、上側の回転軸6の中程に固定された上側の歯車2を収容し、上側の歯車2の凹凸歯1Aを上側躯体10の下面から突出させる空間部13が形成されている。
また、左下側躯体11aと右下側躯体11bには、下側の回転軸7を回転自在に挿通する挿通孔14a,14bが設けられ、左下側躯体11aと右下側躯体11bとの間には、下側の回転軸7の中程に固定された下側の歯車3を収容し、下側の歯車3の凹凸歯1Bを下側躯体11の上面から突出させ、下側の歯車3の凹凸歯1Bを上側躯体10の下面から突出している上側の歯車2の凹凸歯1Aと噛み合わせる隙間Sが形成されている。
【0018】
そして、上側躯体10への上側の歯車2を固定した上側の回転軸6の組み込みは、上側の回転軸6の一端側を左上側躯体10aの挿通孔12aに、空間部13の形成面側から挿通し、端部を左上側躯体10aから突出させ、また、上側の回転軸6の他端側を右上側躯体10bの挿通孔12bに、空間部13の形成面側から挿通し、端部を右上側躯体10bから突出させ、左上側躯体10aと右上側躯体10bとをボルト(スライド支柱)22で固定する(図3)。
【0019】
このようにして上側の歯車2を固定した上側の回転軸6を組み込んだ上側躯体10と下側の歯車3を固定した下側の回転軸7を組み込んだ下側躯体11との間には、複数枚重ねたシート材4を上側の歯車2と下側の歯車3の間に送り込む隙間Sが形成されている。
また、本実施例では、対向する凹凸歯1A,1Bのうち下方側の凹凸歯1Bが駆動軸59とされ、駆動源と連結されている。前記駆動軸59はカップリング59aを介して駆動手段Mと連結されている(図5)。上方側の凹凸歯1Aは従動軸により回転する構造である。なお、上記凹凸歯の駆動軸59と従動軸との関係を逆にしたり、いずれにも駆動手段Mを配置したりすることも可能である。
【0020】
本発明では、複数枚のシート材4を重ね合わせて一方の凹凸歯1Aと他方の凹凸歯1Bの間に送り込み挟持するが、一方側躯体10と他方側躯体11との間にこれらの間の隙間Sにより複数枚のシート材4を弾力性を持って挟持する凹凸歯間隔調整用の弾性部材51が配されている。凹凸歯間隔調整用の弾性部材51は、一方側躯体10と他方側躯体11との間に形成される収納穴51aに配置されて連結されている。なお、前記スライド支柱22に沿って巻き付けるように取り付けることも可能である。また、前記収納穴51aにゴム材等を配置することで、更に弾力性を発揮させることも可能である。
【0021】
また、前記一方側躯体10と他方側躯体11との間隔Sを調節する操作手段としての操作手段50を備えている。操作手段50は、押し下げ部材58を備えて、この押し下げ部材58と躯体間調整用の弾性部材52を介して前記上方側の躯体(固定ブロック)10と躯体11が連係動作する構造である。すなわち、上方側躯体10に固定用部材57が内蔵されており、この固定用部材57に躯体間調整用の弾性部材52が弾性力を発揮するように取り付けられている。そして、上方の操作手段50を回転させると、押し下げ部材58が押し下げられ、一方の凹凸歯1Aと他方の凹凸歯1Bの間隔を調節することができるが、本実施の形態によれば、躯体間調整用の弾性部材52の弾力性を持って隙間Sも調整することができる。
【0022】
そして、前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材51と前記躯体間調整用の弾性部材52とは上下に配されて連係動作するものであり、前記躯体間調整用の弾性部材52よりも前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材51の方が上方に配されて付勢力(上方からの押圧力)や弾性力が強くして配されている。すなわち、前記凹凸歯間隔調整用の部材51と前記躯体間調整用の弾性部材52は、バネが使用されているが、躯体間調整用の弾性部材52は凹凸歯間隔調整用の弾性部材51よりも長くて付勢力や弾性力が弱いものが使用されている。なお、後述する第3の弾性部材53は、躯体間調整用の弾性部材52と同じく、凹凸歯間隔調整用の弾性部材51よりも短くて付勢力(弾性力)が強いものが使用されている。
【0023】
したがって、第1の実施の形態の綴じ込み機1を使用して、前記躯体10,11の隙間Sにシート材4を供給すると、一方の凹凸歯と他方の凹凸歯の間で挟持され凹凸痕が付与される。前記躯体10,11の隙間Sは、凹凸歯間隔調整用の弾性部材51であるばねの伸縮力が働いて、複数枚のシート材4を剥離がし難くして綴じ込むことができる。なお、一枚ごとに分離する場合は、凹凸痕のみであり、針や接着剤などを使用していないので、簡単に一枚ごとに外すことも可能である。
また、凹凸歯間隔調整用の弾性部材51と躯体間調整用の弾性部材52とは上下に配されて連係動作するものであることから、互いの付勢力(押圧力)を調整することができる。例えば、前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材51よりも前記躯体間調整用の弾性部材52の方が上方に配されて付勢力を強くすることで、前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材51が配される一方側躯体10と他方側躯体11との間隔Sがいたずらに開きすぎないように調節することができる。
そして、シート材4が合成樹脂製フィルムや金属製フィルム等であるときは、それに合わせて操作手段50により、その隙間Sの間隔を調整するが、操作手段50による調整と前記躯体10と躯体11による隙間Sが凹凸歯間隔調整用の弾性部材51によって調整され連係作動させることができるので、シート材4に種類や、硬さ、柔らかさに応じて調節できるとともに、一方の凹凸歯1Aと他方の凹凸歯1Bとの間隔を調整することができる。また、操作手段50を緩めることにより、前記躯体10と躯体11との間隔が広がり、前記躯体間調整用の弾性部材52によって自動的に躯体10が押し上げられ、凹凸歯1Aと凹凸歯2Aと間隔が広がることから、シート材4が噛み込んだ場合など容易にシート材4を取り外すことができる。シート材4としては、合成樹脂製のフィルム、厚紙、薄紙、段ボールや、薬が入った薬袋やティーパックの袋などの周囲がシート状態で中央が所定厚みのあるシート状の袋(食品用袋や薬袋等)のシート状端部を綴じるときにも使用することができる。
【0024】
図6(a)(b)(c)は、一回服用の薬用袋4を上下方向に重ね合わせて綴じる状態を説明するものである。合成樹脂フィルムの薬用袋4を複数枚重ね合わせて同時に凹凸歯1A,1Bで綴じることで、凹凸痕が付与されて複数枚を綴じることができる。
また、図7図10の第2の例〜第4の例では、互いに回転歯を使用したもののほか、回転歯と直線状の凹凸歯1A,1Bを対向配置させたものや(図9)、直線状の凹凸歯を対向配置させたもの(図10)の例であり、いずれも一方側躯体と他方側躯体との間に躯体間調整用の弾性部材51等が配置されるので、これらのどのような組み合わせでも、前記隙間Sの間隔を、複数枚のシート材4に対応して適切に綴じることができるようになる。また、一方の凹凸歯1Aや他方の凹凸歯1Bは、前記一方側躯体10と他方側躯体11の隙間Sに及ぶ側の先端に沿うような位置に配されるので、その位置合わせも容易である。
また、上下の凹凸歯1A,1Bには、凹凸歯がない平坦部6cが設けられている(図7)。この平坦部6cの存在により、凹凸痕の付与を中止したいときに、その途中でシート材4を取り出すことができる。また、図20(a)(b)に示すように、歯車1A,1Bのうち、上側の歯車1Aに凹凸歯を有する周囲の一部に切り欠き平面部30が形成されており、上側の歯車1Aの切り欠き平面部30と下側の歯車1Bの凹凸歯との間に紙類挿入間隙31が形成されるようにしても良い。この紙類挿入間隙31の間隔は、複数枚重ねた紙類4が挿入できる間隔となるように設定されている。本例では、上側の歯車1Aの凹凸歯を有する周囲の両側に平行な切り欠き平面部30が形成されている(図20(a)(b))。切欠きは一つであってもよく、数は問わなく角度も適宜でよい。尚、対向する凹凸歯は、同軸ギアで同期に回転することにより、噛み合せがスムーズに行える。
【0025】
(第2の実施の形態)
図7図11は本発明に係るシート材の綴じ込み機1の第2の実施形態を示す断面図である。
本実施の形態の例は、前記躯体10,11と、前記第1〜第3の弾性部材51,52,53との関係を示す、本実施形態の原理構成を示すものでる。
本発明では、前記躯体10,11を左右に配置して、これらの隙間Sに上方からシート材4を供給するものである。上方側の凹凸歯間隔調整用の弾性部材51の代わりに、第3の弾性部材53を図7の右側の躯体(固定ブロック)に配置したものである。なお、前記第1と第2の弾性部材51,52に加えて、本実施形態の第3の弾性部材53を配置することも可能である。
本実施の形態によれば、凹凸歯間隔調整用の弾性部材(第1の弾性部材)51や第3の弾性部材53を配置しているので、前記躯体10,11を左右に配置しても(或いは斜めに配置しても)、隙間Sに供給されるシート材4に対して凹凸痕を付けて綴じることができ、綴じる枚数も増やすことができ、綺麗な仕上がりの綴じ込みが可能であり、出来上がり後も剥離がし難いものになる。そして、図7に示す構造では、前記躯体10,11の左右への動きを均一にして調整できるので、隙間Sに上方から差し込まれる複数枚のシート材4を左右の膨らみを均一にしながら凹凸痕を凹凸歯1A,1Bで綺麗に付与することができる。すなわち、凹凸歯間隔調整用の弾性部材51を介して配される左右の弾性部材52,53の押圧力(付勢力)を同じにすることで、上方から供給される複数のシート材4の左右への膨らみを同じ厚みにして複数のシート材4を重ね合わせの均衡のとれた綴じ込みが可能になる。
【0026】
ここで、前記スライド支柱80に沿うようにして弾性部材51,52を配することも可能である。下方側躯体(固定ブロック)10と上方側躯体(固定ブロック)11とをスライド支柱80に沿って弾性部材(圧縮バネ)51が取り付けられることで、弾性力が安定して発揮されるようになる(図7参照)。
【0027】
(第3の実施の形態)
本例のシート材の綴じ込み機1は、上下に対向して配置され、対向する外周面に互いに噛み合う複数の凹凸歯1A,1Bをそれぞれ有する一対の歯車1A,1Bを有し、上下の歯車1A,1B間に複数枚のシート材4を送り込み、上下の歯車1A,1Bを回転させることにより噛み合った凹凸歯1A,1B間で複数枚のシート材4を圧縮して綴じるものであって、スライド支柱80に沿って、上側躯体10と下側躯体11が接離する構造である(図21図27)。
また、搬送用テーブル61の端部のガイド部60に沿ってシート材4が搬送される。すなわち、搬送用テーブル61の奥の凹凸歯1A,1Bの噛み合う奥の位置にはガイド部(L字状部材)60が配置され、そのL字状の空間部にシート材4の端部が位置決めされて搬送される。上記上方挟持板71aには、上方の凹凸歯1Aに対する穴が形成されて、上方の凹凸歯の位置においても挟持板71bの押圧が可能になっている(図27)。このガイド部材60は、シート厚み調整手段70により押圧されると、その逆L字状の上部板60aが下降動作する(図21図27)。
ここで、上部挟持板71bで、複数枚のシート材4を直接押圧する構造にすることも可能である。
【0028】
(ガイド部とシート厚さ調整部材)
図12図13は、搬送用テーブル61とガイド部60と、搬送されるシート材4との関係を示す平面図である。また、図14ないし図17は、本実施の形態のシート厚さ調整手段70を説明する図である。
シート厚さ調整手段70は、複数枚のシート材4を平坦に揃える部材であり、特に上下の凹凸歯1A,1Bにより凹凸痕を付与した後において、搬送用テーブル61の送り出し側に配置され、断面L字状のシート搬送路63の送り出し側において、下方を平坦部71aと上部挟持板71bを押圧するシート厚さ調整手段70として構成され、凹凸痕が付与されたシート材(薬袋)4が上方にめくり上がらないように上方から抑え込む。このシート厚さ調整手段70は、固定部材72を介して本体上部1Dに横付けされ、ばね73の弾力性を利用して、下方側の平坦部71aを降下させて、ガイド部60を介してシート材4を上方から抑え込む機構である。
上記シート厚さ調整手段70としては、上方カバー1Dの左右に各々配置しても良い。すなわち、供給側にも配置して、両方で上方から押圧するものでも良い(図15)。このように押圧することで、綴じ込むシート材4の枚数を増加せることも可能である。
また、ガイド部60にシート材4を上方から押さえる上部挟持板71bを備え、前記シート厚さ調整手段70が前記上部挟持板71bを介して押圧する構造でも良い。前記ガイド部60は、第1の実施の形態では、コ字形状を呈しているが(図5)、上記上方挟持板65を有する逆L字形状のものであってもよく、このようなガイド部60の上方から前記シート厚さ調整手段70で押圧すると、複数枚のシート材4を平坦に揃えて供給したり排出したりする。ここで、中央の上下の凹凸歯1A,1Bを中心にして、その凹凸歯1A,1Bの位置までを供給側として、凹凸歯1A,1Bによりシート材4の綴込みが行われた後から取り出すまでの工程を排出側として説明する。
シート厚さ調整手段70は、シート材4に上下の凹凸歯1A,1Bにより凹凸痕を付与した後において、搬送用テーブル61の送り出し側に配置され、断面L字状のシート搬送路63の送り出し側において、下方を平坦部71bとして、軸71に配されるばね73の弾力性を利用して、下方側の平坦部71bを降下させて、シート材4を上方から抑え込むので、凹凸痕跡が付与されたシート材4がめくり上がる事態を有効に防止するとともに、凹凸歯によるシート材の歯跡の皺(しわ)を防止することができる。本実施形態では、シート厚さ調整手段70は、凹凸歯間隔調整用の弾性部材51との関係でその力が調整されるものであり、本実施の形態では凹凸歯間隔調整用の弾性部材51の力よりも強い力で押圧する設定である。
ここで、搬送用テーブル61には、下方の回転歯1Bのための開口S2が形成されており、また、ガイド部60を駆動するための開口S3が形成されている(図12)。したがって、シート厚さ調整手段70によりガイド部60を押圧すると、ガイド部60が下降してシート材4を平坦に揃えることができる。
【0029】
(第4の実施形態)
図28図29は、本発明に係るシート材の綴じ込み機の第4の実施の形態を示す斜視図である。本実施の形態は、綴じ込み機1を簡素化し、小型化した装置である。
第4の実施の形態の綴じ込み機1は、上下に対向して配置され、対向する外周面に互いに噛み合う複数の凹凸歯1A,1Bをそれぞれ有する一対の歯車2,3を有し、上下の歯車1A,1B間に複数枚のシート材4を送り込み、上下の歯車1A,1Bを回転させることにより噛み合った凹凸歯1A,1B間で複数枚のシート材4を圧縮して綴じるものであって、先端にワンウェイクラッチ91を取り付けたハンドル92によって回転軸6,7を直接操作し、手動で歯車2,3を回転させるものである。
【0030】
また、本実施形態の綴じ込み機1は、前記操作手段55に連結される固定用部材57を左右のスライド支柱80に掛け渡すように取り付けるとともに、掛け渡した一方を支点として他方を解除可能に左右のスライド支柱80に連結している(スライド支柱80に連結される上方側の支柱81に連結されている。)。前記固定用部材57は、円筒形状であり、固定用部材57の解除可能な一端部57aを支持解除部材90で押さえている。支持解除部材90は、中央部分が断面半円形状になっており、平坦部90aを有し、通常時には、押さえ軸90の平坦部90aが上向きになり、円形部分で固定用部材57を押さえているが、操作ハンドル92で支持解除部材90を回転させると、前記平坦部90aが下面になると、前記固定用部材57に対する押え力が解除され(図28図29において、矢印F1の方向に移動する。)、その結果、前記押圧部材58の押え力が解除される。すなわち、ワンウェイクラッチ91の嵌合部91aを支持解除部材(第3の調整部材;角度調節部材)90に嵌合部して回転させると、前記操作手段50による押圧制御を解除することができる。
歯車2,3の複数の凹凸歯1A,1Bにシート材が噛み込んだ際等は、図29に示すように、操作手段92で支持解除部材90を回転させて、支持解除部材90の平坦部90aが下向きになるようにすると、支持解除部材90によって押さえられていた固定用部材57の一端部が上昇し、それによって固定用部材57の中央部に固定された操作手段55が上昇する。操作手段55を介して、上側躯体10に組み込まれた軸6と軸6に固定された歯車2を接離動作させる。すなわち、上方側躯体10に対する操作手段55の押え力をそのままにして、中心の軸6を有する上方側躯体10の押圧力を解除することができる。この動作により、凹凸歯1A,1Bの間隔を調節することができ、噛み込んだシート材4を外すことができる。このため、噛み込んだシート材4を除去した後は、操作手段92により支持解除部材90を元の位置に戻すと(平坦部90aを上側にすると)、凹凸歯1A,1Bの間隔を調節したり設定を変えたり必要がなく、簡単に間隔の調節ができる。このため、上方側躯体10に対する操作手段55の押え力をそのままの元の押さえ付けた状態のままロックが掛かることになる。
ここで、上記支持解除部材90は、上記平坦部90aのほかに湾曲部90bを設けることで(断面で楕円形状にしても良い)、前記凹凸歯間隔調整用の弾性部材(第1の調整手段;第1の弾性部材)51や前記躯体間調整用の弾性部材(第1の調整手段;第2の弾性部材)52との調整を図ることができる(図30(a)(b)(c)、図31(a)(b)(c))。すなわち、前記支持解除部材90の湾曲部90bを回転させることで、固定用部材57の片側の傾斜角度θを変えることができ、前記第1の弾性部材51との関係の操作制御や前記第2の弾性部材52との操作制御を行うことができ、シート材4の枚数に応じた加圧力を調節したり、スリップ防止の調整を更に細かく調整したりすることができ、前記一方の凹凸歯と他方の凹凸歯との綴じ圧力を一定に保持したままの状態で、前記第2の調整手段(第2の弾性部材)52の弾性力を調整したり、前記一方側と他方側の躯体10,11の間隔を一定に保持したままの状態で、前記第1の調整手段(第1の弾性部材)51の弾性力を調整したりすることができる。
【0031】
(第5の実施形態)
図32(a)(b)(c)は、本発明に係るシート材の綴じ込み機の第5の実施形態を示す斜視図である。
第5の実施形態の綴じ込み機1は、小型の装置であり、複数枚のシート材4の角隅部を綴じたり、ワンウェイクラッチ91を用いて、所定長さに応じて綴じ代を作成する装置である、上下の歯車2,3が対向して配置され、対向する外周面に互いに噛み合う複数の凹凸歯1A,1Bをそれぞれ有する一対の歯車2,3を有し、上下の歯車2,3間に複数枚のシート材4を送り込み、上下の歯車2,3を回転させることにより噛み合った凹凸歯1A,1B間で複数枚のシート材4を圧縮して綴じるものであって、上下の歯車2,3は躯体5に上下方向に平行に組み込まれた一対の回転軸6,7に対向する凹凸歯1A,1Bが噛み合うように位置決めして固定され、前記一対の回転軸6,7は前記躯体10,11に、それぞれ回転可能に組み込みされている。前記一対の回転軸6,7には、先端にワンウェイクラッチ91を取り付けたハンドル92によって回転軸6,7を直接操作し手動で歯車2,3を回転させるものである。なお、スライド支柱80が配置されており、このスライド支柱80に押圧部材58が取り付けられて、操作手段50である操作手段50を回転させると、操作手段55nを介して押圧部材58を下降させて、上方の躯体10を下方の躯体11に対して接離動作させる。図32(a)(b)は、上方の回転軸6に対してハンドル操作するタイプであり、図32(c)は、下方の回転軸7に対してハンドル操作するタイプであり、各凹凸歯に平行な切り欠き平面部30が形成されている。
また、本実施形態の綴じ込み機1は、凹凸歯間隔調整用の弾性部材(第1の弾性部材)51を備えているが、躯体間調整用の弾性部材(第2の弾性部材)52を備えていないものである。
躯体間調整用の弾性部材52を備えている場合、操作手段55を緩めることにより、前記躯体10と躯体11との間隔が広がり、躯体間調整用の弾性部材52によって自動的に躯体10が押し上げられ、凹凸歯1Aと凹凸歯2Aと間隔が広がることから、シート材4が噛み込んだ場合など容易にシート材4を取り外すことができるが、本実施形態のように躯体間調整用の弾性部材52を省略した場合でも、歯車に凹凸歯を有する周囲の一部に切り欠き平面部30が形成することで、シート材4が噛み込んだ場合でも、紙詰まりしたシート材4を上記切り欠き平面部30を利用して取り外すことができる。本例では、上側の歯車2の凹凸歯を有する周囲の両側に平行な切り欠き平面部30が形成されている。シート材4が噛み込んだ場合、上側の歯車2の切り欠き部30と搬送用テーブル61が平行になるように歯車を回転させ、上側の歯車2の切り欠き平面部30と下側の歯車3の凹凸歯1Bとの間に間隙を形成することでシート材を取り外すことができる。
【0032】
以上、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば本願出願人が権利者である特許6258686号のハンディタイプの紙類の綴じ込み機にも適用可能である。また、本実施の形態では、回転歯1Aと1Bの実施形態で説明したが、特許6258686号のようにストロークタイプ(所定間隔で押圧力を付与するタイプ)にも本願発明を適用可能である。そして、本発明によれば、紙製や合成樹脂フィルム等の同じ種類のシート材を重ね合わせて綴じる場合のみならず、種類の違うものを重ねて綴じる場合にも弾力性を持って綴じることが可能になる。
【符号の説明】
【0033】
1A 一方の凹凸歯、1B 他方の凹凸歯、1c 平坦部、
2,3 歯車、
4 シート材
5 躯体(固定ブロック)、
6,7 回転軸、6c 凹凸歯がない平坦部(シート排除部)、
10 上側躯体(上側固定ブロック)、10a 左上側躯体、10b 右上側躯体、
11 下側躯体(下側固定ブロック)、11a 左下側躯体、11b 右下側躯体、
30 凹凸歯がない平坦部(シート排除部)、
50 操作手段(回転式の操作手段)、
51 凹凸歯間隔調整用の弾性部材(第1の調整手段;第1の弾性部材)、51a ばね収納部、
52 躯体間調整用の弾性部材(第2の調整手段;第2の弾性部材)、52a ばね収納部、
53 第3の弾性部材、53a ばね収納部、
54 第4の弾性部材、54a ばね収納部、
57 固定用部材、
58 押し下げ部材(押圧部材)、
60 ガイド部(コ字状部材、L字状部材)、60a 上部、60b 側板、
61 搬送用テーブル、
70 シート厚み調整手段、71 軸、71a 平坦部、71b 上部挟持板、
73 シート厚み調整用の弾性部材、
80 スライド支柱、
90 支持解除部材(第3の調整部材;角度調節部材)、90a 平坦部、90b 湾曲部、
91 ワンウェイクラッチ、91a 嵌合部、92 ハンドル、
M 駆動手段、
S 隙間(シート材の搬送路)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33