(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、この発明の用紙後処理装置の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0032】
(用紙後処理装置の構成)
図1はコピー機などの画像形成装置に用紙後処理装置が結合された状態を示す図である。コピー機、プリンタ、複合機などの画像形成装置1には、装着脱装可能になるように用紙後処理装置102が設置され、この用紙後処理装置102は、用紙を搬送する搬送ユニット101と、コンパイルユニット104と、そのコンパイルユニット104の下部に構成されるスタッカートレー103などを含む。搬送ユニット101には、画像形成装置1より排出される画像が形成された用紙を搬送する用紙搬送手段Aが備えられ、用紙搬送手段Aはローラを含み、用紙が画像形成装置1から移送されてくれば、その移送されてくる用紙は、ローラを通じてコンパイルユニット104内に積載した後、ステイプラー107により後処理され、後処理された用紙束はスタッカートレー103に排出される。
【0033】
コンパイルユニット104は、ジョガー・スタック手段105、エジェクター106などで構成され、ジョガー・スタック手段105は、搬送される用紙を支持し、用紙の幅方向を揃えてスタックする。また、コンパイルユニット104の下側端部には、コンパイルユニット104に積載した用紙束を後処理することができるステイプラー107などの付加装置が設置される。また、搬送ユニット101の搬送路には、カール矯正手段Bが備えられ、カール矯正手段Bは、用紙搬送手段Aにより搬送される用紙のカールを矯正する。
【0034】
(第1の実施の形態のカール矯正手段の構成)
図2は搬送ユニットの前側から見た斜視図、
図3は搬送ユニットの奥側から見た斜視図、
図4は搬送ユニットの前側から見た側面図、
図5は進入側ローラ対の旋回を示す概略図である。
【0035】
カール矯正手段Bは、用紙の曲げ量を変化させて用紙のカールを矯正する構成であり、用紙をニップして搬送する排出側ローラ対10と、用紙をニップして搬送する進入側ローラ対20と、を含む。排出側ローラ対10は、弾性部材を用いた搬送ローラ11と加圧ローラ12から構成され、搬送ローラ11は、駆動軸13に設けられ、加圧ローラ12は、フリー軸14に設けられている。進入側ローラ対20は、弾性部材を用いた搬送ローラ21と加圧ローラ22から構成され、搬送ローラ21は、従動軸23に設けられ、加圧ローラ22は、フリー軸24に設けられている。
【0036】
駆動軸13の前側端部には、駆動ギヤ15が設けられ、従動軸23の前側端部には、従動ギヤ25が設けられている。駆動ギヤ15と従動ギヤ25が噛み合っており、駆動軸13を回転すると、駆動ギヤ15と従動ギヤ25を介して従動軸23が連動して回転する。駆動軸13の回転により搬送ローラ11が回転し、搬送ローラ11に連動して加圧ローラ12が回転し、同様に従動軸23の回転により搬送ローラ21が回転し、搬送ローラ21に連動して加圧ローラ22が回転し、排出側ローラ対10と進入側ローラ対20は連動して駆動可能に構成されている。
【0037】
駆動軸13の奥側端部には、駆動プーリ16が設けられ、この駆動プーリ16と駆動モータ17との間には、ガイドプーリ18a,18bを介して駆動ベルト19が掛け渡されている。駆動モータ17の駆動により駆動ベルト19を介して駆動プーリ16が回転し、この駆動プーリ16の回転により駆動軸13が回転し、駆動ギヤ15と従動ギヤ25を介して従動軸23が回転し、排出側ローラ対10を駆動すると共に進入側ローラ対20を駆動して用紙を搬送する。
【0038】
排出側ローラ対10の駆動軸13及びフリー軸14は、前側側板30と奥側側板31とに設けられ、進入側ローラ対20の駆動軸23及びフリー軸24は、前側旋回側板40と奥側旋回側板41とに設けられている。前側側板30と奥側側板31は、搬送ユニット101を構成しており、前側側板30と奥側側板31には、案内ガイド44と一対の通路ガイド45が設けられ、排出される用紙を案内する。
【0039】
前側旋回側板40及び奥側旋回側板41は、排出側ローラ対10の駆動軸13を支点に旋回可能に設けられ、前側旋回側板40及び奥側旋回側板41は、スプリング42,43により初期位置に復帰するように付勢されている。前側旋回側板40及び奥側旋回側板41には、一対の案内ガイド46が設けられ、搬入される用紙を案内する。
【0040】
前側旋回側板40には、支持軸50が設けられ、この支持軸50に回転ローラ51が回転可能に設けられている。同様に、奥側旋回側板41には、支持軸52が設けられ、この支持軸52に回転ローラ53が回転可能に設けられている。排出側ローラ対10の駆動に連動するカム機構Cが備えられ、このカム機構Cを構成するカム軸60は、前側旋回側板40と奥側旋回側板41の間に掛け渡されており、カム軸60の両端にはカム61,62が設けられている。カム軸60の奥側端部には、カム駆動プーリ63が設けられ、また、駆動軸13の奥側端部には、カム駆動プーリ64が設けられ、カム駆動プーリ63とカム駆動プーリ64にカム駆動ベルト65が掛け渡されている。
【0041】
駆動軸13の回転によりカム駆動プーリ64が回転し、カム駆動ベルト65を介してカム駆動プーリ63が回転し、これによりカム軸60が回転する。前側旋回側板40及び奥側旋回側板41は、スプリング42,43により初期位置に復帰するように付勢され、回転ローラ51,53がカム軸60のカム61,62に加圧されており、カム軸60の回転によりカム61,62が回転し、カム61,62のカム部61a,62aが回転ローラ51及び回転ローラ53を介して前側旋回側板40及び奥側旋回側板41が旋回する。これにより、前側旋回側板40及び奥側旋回側板41に設けられた進入側ローラ対20が、駆動軸13を支点にして旋回する。
【0042】
(カール矯正手段の作動)
この実施の形態では、駆動モータ17の駆動により駆動ベルト19を介して駆動プーリ16が回転し、この駆動プーリ16の回転により駆動軸13が回転し、駆動ギヤ15と従動ギヤ25を介して従動軸23が回転し、排出側ローラ対10を駆動すると共に進入側ローラ対20を駆動し、
図5に示すように、排出側ローラ対10と進入側ローラ対20が用紙Pをニップして搬送する。搬送される用紙Pは、定着時に受ける熱および圧力などによって上向きにカールしている。
【0043】
排出側ローラ対10のニップ位置に対して進入側ローラ対20のニップ位置が下方に偏移しており、搬送される用紙Pは進入側ローラ対20の搬送ローラ21の下側に巻き付き曲げられて排出側ローラ対10へ搬送される。この進入側ローラ対20から搬送される用紙Pは、排出側ローラ対10の搬送ローラ11の上側に巻き付き曲げられて搬送され、進入側ローラ対20による用紙Pの曲げを、排出側ローラ対10による用紙Pの曲げが逆方向であり、用紙Pのカールを矯正しながら用紙Pを搬送する。
【0044】
この駆動モータ17の駆動により排出側ローラ対10を駆動すると共に進入側ローラ対20を駆動し、かつ駆動軸13の回転によりカム駆動プーリ64が回転し、カム駆動ベルト65を介してカム駆動プーリ63が回転し、これによりカム軸60が回転する。このカム軸60の回転によりカム61,62が回転し、カム61,62のカム部61a,62aが回転ローラ51及び回転ローラ53を介して前側旋回側板40及び奥側旋回側板41に設けられた進入側ローラ対20を、駆動軸13を支点にして旋回させる。
【0045】
進入側ローラ対20の旋回によって、
図5に示すように、用紙Pが実線で示す位置と二点鎖線で示す位置間で変化し、進入側ローラ対20は駆動軸13を支点にして旋回するから、用紙Pが搬送ローラ21に巻き付く角度がθ21とθ22間で殆ど変化することなくほぼ一定であるが、排出側ローラ対10の搬送ローラ11に用紙Pが巻き付く角度は、θ11とθ12間で変化する。横軸を時間(t)、縦軸を曲げ量(w)とし、巻き付く角度がθ11とθ12間で変化することで用紙Pの曲げ量が変化する。このように、用紙Pが搬送ローラ11に巻き付く角度がθ11とθ12間で変化しており、用紙Pのカールの向きとは反対方向で、かつ用紙Pの曲げ量を変化させることで、用紙Pのカールを効果的に矯正することができる。
【0046】
駆動モータ17の単一の駆動源により排出側ローラ対10を駆動すると共に進入側ローラ対20を駆動して用紙Pを搬送し、かつ、排出側ローラ対20を駆動してカム機構Cにより進入側ローラ対20を旋回させており、簡単な構成で用紙Pの搬送と共に進入側ローラ対20を旋回させることができる。
【0047】
また、進入側ローラ対20を旋回によって、用紙Pを搬送する排出側ローラ対10と進入側ローラ対20の搬送ローラ11,21に巻き付く角度が変化し、この巻き付く角度の変化によって用紙Pの曲げ量を変化させる簡単な構造で、用紙Pのカールを矯正することができる。このカールが矯正された用紙Pが排出側ローラ対10からトレイ上に搬送され、用紙Pの積載姿勢が改善でき、用紙Pの収容量が増加し、生産性が向上する。
【0048】
(加熱ローラ)
この実施の形態の排出側ローラ対10は、搬送ローラ11と加圧ローラ12で構成し、進入側ローラ対20は、搬送ローラ21と加圧ローラ22で構成し、この構成する搬送ローラ11、加圧ローラ12、搬送ローラ21、加圧ローラ22であるローラの少なくとも1つを加熱ローラとする。例えば、搬送ローラ11、加圧ローラ12、搬送ローラ21、加圧ローラ22のすべてのローラを加熱ローラとしてもよく、搬送ローラ11と加圧ローラ12の少なく一方を加熱ローラとし、また搬送ローラ21と加圧ローラ22の少なく一方を加熱ローラとしてもよい。このように、構成するローラの少なくとも1つを加熱ローラとすることで、加熱ローラによって用紙に熱が与えられる。この熱によって用紙が軟化し、高速処理において用紙のカールを矯正することができる。加熱ローラは、例えば内部にヒータを収納し、このヒータを所定の温度に制御する構成である。
【0049】
(第2の実施の形態のカール矯正手段の構成)
第2の実施の形態のカール矯正手段は、第1の実施の形態と同様に進入側ローラ対を旋回させ、用紙を搬送する排出側ローラ対と進入側ローラ対とにより用紙の曲げ量を変化させる構成であるが、用紙の下向きのカールを矯正させるものであり、
図6は進入側ローラ対の旋回を示す概略図である。
【0050】
カール矯正手段Bは、用紙をニップして搬送する排出側ローラ対10と、用紙をニップして搬送する進入側ローラ対20と、を含み、排出側ローラ対10は、弾性部材を用いた搬送ローラ11が加圧ローラ12の上側に配置され、進入側ローラ対20は、弾性部材を用いた搬送ローラ21が加圧ローラ22の下側に配置される。
【0051】
この実施の形態では、排出側ローラ対10と進入側ローラ対20が用紙Pをニップして搬送し、搬送される用紙Pは、定着時に受ける熱および圧力などによって下向きにカールしている。
【0052】
排出側ローラ対10のニップ位置に対して進入側ローラ対20のニップ位置が上方に偏移しており、搬送される用紙Pは進入側ローラ対20の搬送ローラ21の上側に巻き付き曲げられて排出側ローラ対10へ搬送される。この進入側ローラ対20から搬送される用紙Pは、排出側ローラ対10の搬送ローラ11の下側に巻き付き曲げられて搬送され、進入側ローラ対20による用紙Pの曲げを、排出側ローラ対10による用紙Pの曲げが逆方向であり、用紙Pのカールを矯正しながら用紙Pを搬送する。
【0053】
進入側ローラ対20の旋回によって、
図6に示すように、用紙Pが実線で示す位置と二点鎖線で示す位置間で変化し、進入側ローラ対20は駆動軸13を支点にして旋回するから、用紙Pが搬送ローラ21に巻き付く角度がθ41とθ42間で殆ど変化することなくほぼ一定であるが、排出側ローラ対10の搬送ローラ11に用紙Pが巻き付く角度は、θ31とθ32間で変化する。このように、用紙Pが搬送ローラ11に巻き付く角度がθ31とθ32間で変化しており、用紙Pのカールの向きとは反対方向で、かつ用紙Pの曲げ量を変化させることで、用紙Pのカールを効果的に矯正することができる。
【0054】
(加熱ローラ)
この実施の形態の排出側ローラ対10は、搬送ローラ11と加圧ローラ12で構成し、進入側ローラ対20は、搬送ローラ21と加圧ローラ22で構成し、この構成する搬送ローラ11、加圧ローラ12、搬送ローラ21、加圧ローラ22であるローラの少なくとも1つを加熱ローラとする。例えば、搬送ローラ11、加圧ローラ12、搬送ローラ21、加圧ローラ22のすべてのローラを加熱ローラとしてもよく、搬送ローラ11と加圧ローラ12の少なく一方を加熱ローラとし、また搬送ローラ21と加圧ローラ22の少なく一方を加熱ローラとしてもよい。このように、構成するローラの少なくとも1つを加熱ローラとすることで、加熱ローラによって用紙に熱が与えられる。この熱によって用紙が軟化し、高速処理において用紙のカールを矯正することができる。加熱ローラは、例えば内部にヒータを収納し、このヒータを所定の温度に制御する構成である。
【0055】
(第3の実施の形態のカール矯正手段の構成)
第3の実施の形態のカール矯正手段Bは、第1の実施の形態と異なり排出側ローラ対を旋回させ、用紙を搬送する排出側ローラ対と進入側ローラ対とにより用紙の曲げ量を変化させ、用紙の上向きのカールを矯正させるものであり、
図7は排出側ローラ対の旋回を示す概略図である。
【0056】
カール矯正手段Bは、用紙をニップして搬送する排出側ローラ対10と、用紙をニップして搬送する進入側ローラ対20と、を含み、排出側ローラ対10は、弾性部材を用いた搬送ローラ11が加圧ローラ12の上側に配置され、進入側ローラ対20は、弾性部材を用いた搬送ローラ21が加圧ローラ22の下側に配置される。
【0057】
この実施の形態では、排出側ローラ対10と進入側ローラ対20が用紙Pをニップして搬送し、搬送される用紙Pは、定着時に受ける熱および圧力などによって上向きにカールしている。
【0058】
排出側ローラ対10のニップ位置に対して進入側ローラ対20のニップ位置が上方に偏移しており、搬送される用紙Pは進入側ローラ対20の搬送ローラ21の上側に巻き付き曲げられて排出側ローラ対10へ搬送される。この進入側ローラ対20から搬送される用紙Pは、排出側ローラ対10の搬送ローラ11の下側に巻き付き曲げられて搬送され、進入側ローラ対20による用紙Pの曲げを、排出側ローラ対10による用紙Pの曲げが逆方向であり、用紙Pのカールを矯正しながら用紙Pを搬送する。
【0059】
排出側ローラ対10を旋回する構成は、第1の実施の形態の進入側ローラ対20の旋回する構成と同様であり、排出側ローラ対10を旋回することによって、
図7に示すように、用紙Pが実線で示す位置と二点鎖線で示す位置間で変化し、排出側ローラ対10は駆動軸23を支点にして旋回するから、用紙Pが搬送ローラ11に巻き付く角度がθ61とθ62間で殆ど変化することなくほぼ一定であるが、進入側ローラ対20の搬送ローラ21に用紙Pが巻き付く角度は、θ51とθ52間で変化する。このように、用紙Pが搬送ローラ21に巻き付く角度がθ51とθ52間で変化しており、用紙Pのカールの向きとは反対方向で、かつ用紙Pの曲げ量を変化させることで、用紙Pのカールを効果的に矯正することができる。
【0060】
(加熱ローラ)
この実施の形態の排出側ローラ対10は、搬送ローラ11と加圧ローラ12で構成し、進入側ローラ対20は、搬送ローラ21と加圧ローラ22で構成し、この構成する搬送ローラ11、加圧ローラ12、搬送ローラ21、加圧ローラ22であるローラの少なくとも1つを加熱ローラとする。例えば、搬送ローラ11、加圧ローラ12、搬送ローラ21、加圧ローラ22のすべてのローラを加熱ローラとしてもよく、搬送ローラ11と加圧ローラ12の少なく一方を加熱ローラとし、また搬送ローラ21と加圧ローラ22の少なく一方を加熱ローラとしてもよい。このように、構成するローラの少なくとも1つを加熱ローラとすることで、加熱ローラによって用紙に熱が与えられる。この熱によって用紙が軟化し、高速処理において用紙のカールを矯正することができる。加熱ローラは、例えば内部にヒータを収納し、このヒータを所定の温度に制御する構成である。
【0061】
(第4の実施の形態のカール矯正手段の構成) 第4の実施の形態のカール矯正手段Bは、第1の実施の形態と異なり排出側ローラ対を旋回させ、用紙を搬送する排出側ローラ対と進入側ローラ対とにより用紙の曲げ量を変化させ、用紙の下向きのカールを矯正させるものであり、
図8は排出側ローラ対の旋回を示す概略図である。
【0062】
カール矯正手段Bは、用紙をニップして搬送する排出側ローラ対10と、用紙をニップして搬送する進入側ローラ対20と、を含み、排出側ローラ対10は、弾性部材を用いた搬送ローラ11が加圧ローラ12の下側に配置され、進入側ローラ対20は、弾性部材を用いた搬送ローラ21が加圧ローラ22の上側に配置される。
【0063】
この実施の形態では、排出側ローラ対10と進入側ローラ対20が用紙Pをニップして搬送し、搬送される用紙Pは、定着時に受ける熱および圧力などによって下向きにカールしている。
【0064】
排出側ローラ対10のニップ位置に対して進入側ローラ対20のニップ位置が下方に偏移しており、搬送される用紙Pは進入側ローラ対20の搬送ローラ21の下側に巻き付き曲げられて排出側ローラ対10へ搬送される。この進入側ローラ対20から搬送される用紙Pは、排出側ローラ対10の搬送ローラ11の上側に巻き付き曲げられて搬送され、進入側ローラ対20による用紙Pの曲げが、排出側ローラ対10による用紙Pの曲げが逆方向であり、用紙Pのカールを矯正しながら用紙Pを搬送する。
【0065】
排出側ローラ対10を旋回する構成は、第1の実施の形態の進入側ローラ対20の旋回する構成と同様であり、排出側ローラ対10を旋回することによって、
図8に示すように、用紙Pが実線で示す位置と二点鎖線で示す位置間で変化し、排出側ローラ対10は駆動軸23を支点にして旋回するから、用紙Pが搬送ローラ11に巻き付く角度がθ81とθ82間で殆ど変化することなくほぼ一定であるが、進入側ローラ対20の搬送ローラ21に用紙Pが巻き付く角度は、θ71とθ72間で変化する。このように、用紙Pが搬送ローラ21に巻き付く角度がθ71とθ72間で変化しており、用紙Pのカールの向きとは反対方向で、かつ用紙Pの曲げ量を変化させることで、用紙Pのカールを効果的に矯正することができる。
【0066】
(加熱ローラ)
この実施の形態の排出側ローラ対10は、搬送ローラ11と加圧ローラ12で構成し、進入側ローラ対20は、搬送ローラ21と加圧ローラ22で構成し、この構成する搬送ローラ11、加圧ローラ12、搬送ローラ21、加圧ローラ22であるローラの少なくとも1つを加熱ローラとする。例えば、搬送ローラ11、加圧ローラ12、搬送ローラ21、加圧ローラ22のすべてのローラを加熱ローラとしてもよく、搬送ローラ11と加圧ローラ12の少なく一方を加熱ローラとし、また搬送ローラ21と加圧ローラ22の少なく一方を加熱ローラとしてもよい。このように、構成するローラの少なくとも1つを加熱ローラとすることで、加熱ローラによって用紙に熱が与えられる。この熱によって用紙が軟化し、高速処理において用紙のカールを矯正することができる。加熱ローラは、例えば内部にヒータを収納し、このヒータを所定の温度に制御する構成である。
【0067】
(第5の実施の形態のカール矯正手段の構成)
この実施の形態のカール矯正手段Bを、
図9及び
図10に基づいて説明する。
図9はカール矯正手段の概略構成を示し、
図10はカール矯正手段の作動を示す図である。この実施の形態のカール矯正手段Bは、用紙をニップして搬送する排出側ローラ対10と、用紙をニップして搬送する進入側ローラ対20と、を含み、進入側ローラ対20の用紙進入方向と排出側ローラ対10の用紙排出方向が変位するように進入側ローラ対20と排出側ローラ対10を配置し、進入側ローラ対20より排出側ローラ対10が上方に位置している。
【0068】
排出側ローラ対10は、軟材ローラ10aと硬材ローラ10bを有し、進入側ローラ対20は、軟材ローラ20aと硬材ローラ20bを有する。排出側ローラ対10の軟材ローラ10aと硬材ローラ10bのニップによる押付方式で用紙を湾曲させることで用紙カールが下方に向き、進入側ローラ対20の軟材ローラ20aと硬材ローラ20bのニップによる押付方式で用紙を湾曲させることで用紙カールが上方に向き、進入側ローラ対20のニップによる用紙カールと排出側ローラ対10のニップによる用紙カールを反対方向とする構成である。これにより受け入れる用紙のカール条件が、上方に向く用紙カール、または下方に向く用紙カールの条件に関係なく、進入側ローラ対20では必ず上方に向く用紙カールを形成するようにし、排出側ローラ対10で下方に向く用紙カールに矯正するようにする。
【0069】
進入側ローラ対20と排出側ローラ対10との間に、用紙を曲げながら搬送する搬送路70を形成する固定搬送ガイド71と可動搬送ガイド72を設けている。可動搬送ガイド72の排出側には、支持部72aが設けられ、この支持部72aは回転軸73に回動可能に支持されている。可動搬送ガイド72の支持部72aには、排出側ローラ対10の硬材ローラ10bが回動可能に支持され、可動搬送ガイド72はバネ74により硬材ローラ10bを軟材ローラ10aに所定の圧力で用紙をニップするように付勢している。
【0070】
この実施の形態では、排出側ローラ対10を軟材ローラ10aと硬材ローラ10bで構成し、可動搬送ガイド72と硬材ローラ10bを連動して可動可能としており、搬送路70を搬送する用紙の曲げ強さより可動搬送ガイド72が押されて回転軸73を支点にして回動する。この可動搬送ガイド72に硬材ローラ10bが連動して可動し、排出側ローラ対10のニップによる用紙カールの曲げ量を変化させる構成である。
【0071】
次に、この実施の形態のカール矯正手段Bの作動を、
図10に基づいて説明する。搬送されてくる用紙は、進入側ローラ対20が軟材ローラ20aと硬材ローラ20bによって構成されていることで、ニップによる用紙カールが上方に向きに形成される(
図10(a))。用紙カールが上方に向きに形成された後、用紙の先端から可動搬送ガイド72に当たり、用紙は、上方向へ案内されてカール量を増大させて、固定搬送ガイド71に当たり、搬送路70に沿って搬送される(
図10(b))。
【0072】
搬送路70に沿って搬送される用紙が排出側ローラ対10にニップされ、厚紙の場合は、用紙のコシが強いことにより用紙カールが下方に向きに形成されて可動搬送ガイド72を押すため、可動搬送ガイド72はバネ74の付勢力に抗して移動し、硬材ローラ10bの押付を弱くする。一方、薄紙の場合は、用紙のコシが弱いことにより可動搬送ガイド72を押す力が生ぜず、所定の押付量を確保するようにすることで厚紙、薄紙の押付量を適切に自動調整し、用紙カールの矯正を行う(
図10(c))。
【0073】
このように、搬送路70を搬送する用紙の曲げ強さより可動搬送ガイド72が押されて硬材ローラが連動して可動し、排出側ローラ対10のニップによる用紙カールの曲げ量を変化させ、用紙のカールを矯正することができる。この実施の形態では、進入側ローラ対20と排出側ローラ対10に用紙がニップし、コシの強い厚紙の場合にのみバネ74が負けて可動搬送ガイド72が下側方向に押されることで、排出側ローラ対10の硬材ローラ10bの押付けが弱くなり、厚紙と薄紙の押し付け量を自動的に調整する。
【0074】
(加熱ローラ)
この実施の形態の排出側ローラ対10は、軟材ローラ10aと硬材ローラ10bで構成し、進入側ローラ対20は、軟材ローラ20aと硬材ローラ20bで構成し、この構成する軟材ローラ10a、硬材ローラ10b、軟材ローラ20a、硬材ローラ20bであるローラの少なくとも1つを加熱ローラとする。例えば、軟材ローラ10a、硬材ローラ10b、軟材ローラ20a、硬材ローラ20bのすべてのローラを加熱ローラとしてもよく、軟材ローラ10aと硬材ローラ10bの少なく一方を加熱ローラとし、また軟材ローラ20aと硬材ローラ20bの少なく一方を加熱ローラとしてもよい。このように、構成するローラの少なくとも1つを加熱ローラとすることで、加熱ローラによって用紙に熱が与えられる。この熱によって用紙が軟化し、高速処理において用紙のカールを矯正することができる。加熱ローラは、例えば内部にヒータを収納し、このヒータを所定の温度に制御する構成である。この加熱ローラは、以下の実施の形態についても同様に適用される。
【0075】
(第6の実施の形態のカール矯正手段の構成)
この実施の形態のカール矯正手段Bを、
図11乃至
図13に基づいて説明する。
図11はカール矯正手段の概略構成を示し、
図12はカール矯正手段の前側から視た斜視図、
図13はカール矯正手段の後側から視た斜視図である。この実施の形態のカール矯正手段Bは、用紙をニップして搬送する排出側ローラ対10と、用紙をニップして搬送する進入側ローラ対20と、を含み、進入側ローラ対20の用紙進入方向と排出側ローラ対10の用紙排出方向が変位するように進入側ローラ対20と排出側ローラ対10を配置し、進入側ローラ対20より排出側ローラ対10が上方に位置している。
【0076】
排出側ローラ対10は、軟材ローラ10aと硬材ローラ10bを有し、進入側ローラ対20は、軟材ローラ20aと硬材ローラ20bを有し、第5の実施の形態と同様に構成されているから詳細な説明は省略する。進入側ローラ対20と排出側ローラ対10との間に、用紙を曲げながら搬送する搬送路70を形成する一対の搬送ガイド81,82を設けている。また、進入側ローラ対20に用紙を導く一対の入側搬送ガイド83,84を設けている。
【0077】
軟材ローラ10aの軸10a1と硬材ローラ10bの軸10a1、軟材ローラ20aの軸20a1と硬材ローラ20bの軸20a1、一対の搬送ガイド81,82、一対の入側搬送ガイド83,84は、
図12(b)及び
図13(b)に示すように、左右の支持板85,86に保持されている。また、左右の支持板85,86には、中間軸87が設けられ、中間軸87の一端にスプロケット87aが設けられ、他端に連結ギヤ87bが設けられている。進入側ローラ対20は、軟材ローラ20aの軸20a1にスプロケット20a2が設けられ、スプロケット20a2とスプロケット87bにタイミングベルト88が掛け渡され、軟材ローラ20aに連動して中間軸87が回転するように構成されている。排出側ローラ対10は、軟材ローラ10aの軸10a1に駆動ギヤ10a2が設けられ、駆動ギヤ10a2と連結ギヤ87bが噛み合い、中間軸87に連動して軟材ローラ10aが回転するように構成されている。
【0078】
この実施の形態では、排出側ローラ対10を構成する軟材ローラ10aと硬材ローラ10bとを押圧させる弾性手段89を備える。この弾性手段89は、引っ張りバネで構成され、軟材ローラ10aの軸10a1と硬材ローラ10bの軸10b1との間に掛け渡され、軟材ローラ10aと硬材ローラ10bとが所定の押圧力になるように付勢している。
【0079】
搬送路70を搬送する用紙の曲げ強さより軟材ローラ10aと硬材ローラ0bとの押圧力が変化し、排出側ローラ対10のニップによる用紙カールの曲げ量を変化させる構成である。
【0080】
搬送路70に沿って搬送される用紙が排出側ローラ対10にニップされ、厚紙の場合は、用紙のコシが強いことにより用紙カールが下方に向きに形成されて硬材ローラ10bを押すため、硬材ローラ10bは弾性手段89の付勢力に抗して移動し、硬材ローラ10bの押付を弱くする。一方、薄紙の場合は、用紙のコシが弱いことにより硬材ローラ10bを押す力が生ぜず、所定の押付量を確保するようにすることで厚紙、薄紙の押付量を適切に自動調整し、用紙カールの矯正を行う。
【0081】
このように、軟材ローラ10aと硬材ローラ10bとを押圧させる弾性手段89を備え、搬送路70を搬送する用紙の曲げ強さより軟材ローラ10aと硬材ローラ10bとの押圧力が変化し、排出側ローラ対10のニップによる用紙カールの曲げ量を変化させ、用紙のカールを矯正することができる。