特許6903866IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

血液、特には末梢血由来の単球の増殖誘導方法に関する。本発明はまた、該増殖誘導方法を用いた単球の大量作製方法に関する。本発明はさらには、免疫療法に用いることができる単球由来樹状細胞を提供する方法であり、また、それらの樹状細胞を用いた免疫療法

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明の目的は、本発明者らにより報告されている従来の方法の改良方法を提供することである。より具体的には、より効率の良い、改善された末梢血由来の単球の増殖誘導方法を提供することである。そのような方法は、例えば、ドナー依存性が改善された末梢血由来の単球の増殖誘導方法である。
本発明の目的はまた、増殖能を持つ単球より抗原提示が可能な樹状細胞を提供することであり、さらには、そのような樹状細胞を含む医薬品を提供することである。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明者らは、課題を解決するために、本発明者らの従来の方法の効率化及び改善を試みた結果、単球にcMYCとBMI1と共に、BCL2又はLYL1を導入することが非常に有利であることが判り、本発明を完成した。さらに本発明者らは、特定の抗原性ペプチドを用いて、或いは、遺伝子改変技術を用いて、抗原提示樹状細胞の作製にも成功した。
【発明の効果】
本発明の改良法を用いることにより、細胞ドナーの身体的負荷を伴うことなく、増殖能を有する単球(以下、増殖性単球という場合がある)を大量に、かつ、安定して供給することが可能になる。また本発明によれば、健常者やがん患者を含む様々なサンプルから増殖性単球を得ることができる。さらに、本発明の方法を用いて樹立した増殖性単球胞(本明細書では、CD14−MLという)は、機能的に成熟した樹状細胞へと分化できる(CD14−MLを分化誘導して作製した樹状細胞を、本明細書では、CD14−ML−DCという)。よって、本発明の方法によれば、例えば、ワクチン治療などに必要な十分な数の単球及び/又は樹状細胞を、少量の末梢血から作製できる。 また、本発明の方法に従って作製した増殖性単球(CD−14−ML)や樹状細胞(CD−14−ML−DC)の一部のものは、その目的に応じ、これに限定されないが、例えば、以下のように利用することができる。例えば、任意の抗原性ペプチドを負荷すれば抗原提示樹状細胞を作製できる。例えば、がん抗原由来ペプチドを負荷すればがん抗原提示CD14−ML−DCを作製でき、さらには、それを用いてインビトロにて末梢血T細胞を刺激すると、そのペプチドを認識するCD4+セルラインやCD8+ Tセルラインが樹立できる。また、CD14−MLは1ヵ月以上にわたり増殖するので、遺伝子改変も容易に行うことができる。例えば、抗原をコードする遺伝子を導入して抗原提示樹状細胞を作製することもできる。
さらには、本発明の一部の態様の方法によれば、T細胞エピトープに関する情報がなくても抗原提示樹状細胞を作製することが可能となる。このことは、T細胞エピトープに関する情報が、がん抗原提示CD14−ML−DCを用いたワクチン法において不必要となり、従って、HLAタイプに関係なくすべての患者に対して、本発明を用いた抗がん治療が有用となる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】図1は、実施例で用いた末梢血単球が由来するドナー(健常者ドナー10人、がん患者ドナー2人)の年齢、性別、及びヒト白血球抗原(HLA)血清型、並びに増殖性CD14−MLの作製の結果を示した図である。”NT”=Not Tested。

【図2】本発明の方法により作製したCD14ML及びCD14−ML−DCの形態観察の結果である。位相差顕微鏡画像(A及びB,C:左図)及びMay-Grunwald Giemsa 染色像(B,C:右図)を示している。(A):本発明の方法(MYC、BMI1、及びLYL1を導入)で作製したCD14−MLの形態である。(B)及び(C):本発明の方法(MYC、BMI1、及びBCL2を導入)で作製したCD14−MLの形態である。(B)ヒト単球及びヒト単球由来ミエロイドセルライン(CD14−ML)の形態を示している。(C)OK432で刺激したmo−DCs及びCD14−ML−DCsの形態を示している。

【図3】CD14−ML−DCsの細胞表面分子とCD14−ML−DCによるIL−12p70の生産の結果である。(A)OK432による処置の前後のCD14−ML−DCについて、CD40、CD80、CD83、CD86、HLAクラスI及びHLAクラスIIの発現について分析した結果である。コントロールとして、OK432で刺激したmo−DC(単球由来DC)の分析の結果を示した。特定のmAb(太線で示す)及びアイソタイプがマッチしたコントロールmAb(影領域)の染色プロファイルを示している。(B)CD14−ML−DCs及びmo−DCsの60時間後の培地上清中のIL−12p70の濃度をELISAで測定した結果である。データは、2回の実験の結果である。

【図4】CD14−ML−DCsによるT細胞刺激と抗原提示を示している。(A)CD14−ML(菱形)、IL−4(正方形)又はOK432(三角形)で刺激した結果である。(B)示した数のCD−14−ML−DCsを、GAD65111-131ペプチド(菱形)で負荷し、或いはそのまま負荷しなかった(正方形)場合の、T細胞の増殖反応を、最後の16時間の培養での[3H]−メチルチミジンの取り込みで測定した結果である。実験は、2人の異なるドナー由来のCD14−MLで行った。(C)CD14−ML−DCsを、組み換えGST融合GAD65タンパク質又はGSTタンパク質で16時間パルスした場合のT細胞の増殖反応を分析した結果である。実験は、2人の異なるドナー由来のCD14−MLで行った。

【図5】CD14−ML−DCsによるガン抗原反応性CD8+Tセルラインの誘導の結果である。(A)CD14−ML−DCsによるガン抗原特異的CD8+T細胞の誘導プロトコルを示している。(B)21日目に、CD8+T細胞を生産しているIFN−γの数をELISPOTアッセイにより分析した結果である(Day 21)。刺激培養前のT細胞の結果もまた示す(Day 0)。(C)21日目に、T細胞を回収し、抗CD8 mAb、及びHLA−A*24:02/CDCA156-64又はHLA−A*24:02/LY6K177-186 tetramerで染色した結果である。図中の数は、HLA−ペプチド複合体のtetramerで染色されたCD8+T細胞のパーセンテージを示している(Day 21:右図)。刺激培養前のT細胞の結果もまた示す(Day 0:左図)。

【図6】CD14−ML−DCsによるガン抗原反応性CD8+Tセルラインの誘導の結果である。(A)CD8+T細胞を生産しているIFN−γの数をELISPOTアッセイにより分析した結果である。(B)T細胞を回収し、抗CD8 mAb、及びHLA−A*02:01/MART126-35 dextramer、HLA−A*02:01/CDCA1351-359 tetramer、又はHLA−A*02:01/IMP3515-523 tetramerで染色した結果である。図中の数は、HLA−ペプチド複合体のdextramer又はtetramerで染色されたCD8+T細胞のパーセンテージを示している(右図)。刺激培養前のT細胞の結果もまた示す(Day 0:左図)

【図7】CD14−ML−DCsによるがん抗原反応性CD4+Tセルラインの誘導を結果である。(A)CD14−ML−DCsによるガン抗原特異的CD4+T細胞の誘導プロトコルを示している。(B,C)刺激後(3回より多く)、各ペプチドに反応するCD4+T細胞の数をIFN−γELISPOTアッセイで分析した結果である(Day 28)。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0)。ジメチルスルホキシドをコントロールとして用いた。健常者ドナー3(B)及びドナー2(C)の結果を示す。

【図8】HNC患者から得られたCD14−ML−DCsによるがん抗原反応性CD8+Tセルラインの誘導の結果である。(A、C)、21日目に、ペプチドに反応するCD8+T細胞の数をIFN−γ ELISPOTアッセイにより分析した結果である。HIVペプチドをコントロールペプチドとして用いた。(B,D)21日目に、T細胞を回収し、抗CD8 mAb、及びHLA−A*24:02/CDCA156-64、HLA−A*24:02/KIF20A66-75又はHLA−A*24:02/LY6K177-186 tetramerで染色した結果である。図中の数は、HLA−ペプチド複合体のtetramerで染色されたCD8+細胞のパーセンテージを示している。がん患者1(A、B)とがん患者2(C、D)の結果を示す。

【図9】HNC患者から得たCD14−ML−DCsによるがん抗原反応性CD4+Tセルラインの誘導の結果である。刺激後(3回より多く)、各ペプチドに反応したCD4+T細胞の数をELISPOTアッセイにより分析した結果を示す。がん患者1(A)とがん患者2(B)の結果を示す。

【図10】抗原性タンパク質を発現するCD14−ML−DCsによるがん抗原反応性CD8+Tセルラインの誘導の結果である。(A)CMVpp65(EF−CMV−IP)及びMART1(EF−MART1−IP)のレンチウイルス構築物を示す。(B)CD14−ML/CMVによるCMVpp65の発現をフローサイトメトリーで分析した結果である。特定のmAb(太線で示す)とアイソタイプがマッチしたコントロールmAb(影領域)の染色プロフェイルを示す。(C)9日目に、CMVpp65341-349ペプチドに反応性のT細胞の数をELISPOTアッセイにより分析した結果を示す。HIVペプチドをコントロールペプチドとして用いた。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0)。(D)9日目に、T細胞を回収し、抗CD8 mAb及びHLA−A*24:02/CMVpp65341-349複合体のtetramerで染色した結果を示す。図中の数は、HLA−ペプチド複合体のtetramerで染色されたCD8+T細胞のパーセンテージを示している(Day 9:右図)。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0:左図)。(E)9日目のCD8+T細胞を生産するIFN−γの数をELISPOTアッセイにより分析した結果である。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0)。

【図11】MART1/Melan−A提示CD14−ML−DCsの作製の結果である。(A)CD14−ML/MART1によるMART1の発現をフローサイトメトリー分析した結果である。特定のmAb(太線で示す)とアイソタイプがマッチしたコントロールmAb(影領域)の染色プロファイルを示す。(B)HLA−A*02:01ポジティブな健常者ドナーから得られたCD8+T細胞を同一ドナー由来のCD14−ML−DC−MART1と共培養し、21日目に、MART126-35に反応するCD8+T細胞の頻度をELISPOTアッセイにより分析した結果である。HIVペプチドをコントロールペプチドとして用いた。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0)。(C)21日目に、抗CD8 mAb及びHLA−A*02:01/MART126-35 dextramerで染色した結果を示す。図中の数は、HLA−ペプチド複合体のdextramerで染色されたCD8+T細胞のパーセンテージを示している(Day 21:右図)。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0:左図)。(D)MART1に反応性のCD8+T細胞の頻度を、刺激物質としてCD14−ML−DC及びCD14−ML−DC/MART1を用いてELISPOTアッセイにより分析した結果である。刺激培養前のT細胞の結果も示す(Day 0)。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

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