【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなパワー半導体デバイスの駆動回路は、誤動作が発生して異常なタイミングで点火をしてしまい、当該駆動回路と接続する内燃機関等に不具合等を発生させてしまうことがある。したがって、当該駆動回路は、オン信号が入力された場合、パワー半導体デバイスを遮断しない機能を有することが望まれている。
【0005】
図5は、従来技術に係る点火装置1000の構成例を示す図である。点火装置1000は、自動車等の内燃機関等に用いられる点火プラグを点火する。ここでは、点火装置1000が自動車のエンジンに搭載される例を説明する。点火装置1000は、制御信号発生部10と、点火プラグ20と、点火コイル30と、電源40と、半導体装置100と、を備える。
【0006】
制御信号発生部10は、半導体装置100のオンおよびオフの切り換えを制御するスイッチング制御信号を発生する。制御信号発生部10は、例えば、点火装置1000が搭載される自動車のエンジンコントロールユニット(ECU:Engine Control Unit)の一部または全部である。制御信号発生部10は、発生した制御信号を、半導体装置100に供給する。制御信号発生部10が制御信号を半導体装置100に供給することにより、点火装置1000は点火プラグ20の点火動作を開始する。
【0007】
点火プラグ20は、放電により電気的に火花を発生させる。点火プラグ20は、例えば、10kV程度以上の印加電圧により放電する。点火プラグ20は、一例として、内燃機関に設けられ、この場合、燃焼室の混合気等の燃焼ガスを点火する。点火プラグ20は、例えば、シリンダの外部からシリンダ内部の燃焼室まで貫通する貫通孔に設けられ、当該貫通孔を封止するように固定される。この場合、点火プラグ20の一端は燃焼室内に露出され、他端はシリンダ外部から電気信号を受け取る。
【0008】
点火コイル30は、点火プラグ20に電気信号を供給する。点火コイル30は、点火プラグ20を放電させる高電圧を電気信号として供給する。点火コイル30は、変圧器として機能してよく、例えば、一次コイル32および二次コイル34を有するイグニッションコイルである。一次コイル32および二次コイル34の一端は、電気的に接続される。一次コイル32は、二次コイル34よりも巻き線数が少なく、二次コイル34とコアを共有する。二次コイル34は、一次コイル32に発生する起電力に応じて、起電力(相互誘導起電力)を発生させる。二次コイル34は、他端が点火プラグ20と接続され、発生させた起電力を点火プラグ20に供給して放電させる。
【0009】
電源40は、点火コイル30に電圧を供給する。電源40は、例えば、一次コイル32および二次コイル34の一端に予め定められた定電圧Vb(一例として、14V)を供給する。電源40は、一例として、自動車のバッテリーである。
【0010】
半導体装置100は、制御信号発生部10から供給される制御信号に応じて、点火コイル30の一次コイル32の他端および基準電位の間の導通(オン)および非導通(オフ)を切り換える。半導体装置100は、例えば、制御信号がハイ電位(オン電位)であることに応じて、一次コイル32および基準電位の間を導通させ、ロー電位(オフ電位)であることに応じて、一次コイル32および基準電位の間を非導通にさせる。
【0011】
ここで、基準電位は、自動車の制御システムにおける基準電位でよく、また、自動車内における半導体装置100に対応する基準電位でもよい。基準電位は、半導体装置100をオフにするロー電位でもよく、一例として、0Vである。半導体装置100は、制御端子102と、第1端子104と、第2端子106と、パワー半導体素子110と、第1ゲート制御部120と、抵抗150と、抵抗160と、ツェナーダイオード170と、ワイヤ180と、を備える。
【0012】
制御端子102は、パワー半導体素子110を制御する制御信号を入力する。制御端子102は、制御信号発生部10に接続され、制御信号を受け取る。第1端子104は、点火コイル30を介して電源40に接続される。第2端子106は、基準電位に接続される。即ち、第1端子104は、第2端子106と比較して高電位側の端子であり、第2端子106は、第1端子104と比較して低電位側の端子である。
【0013】
パワー半導体素子110は、制御信号に応じてゲート電位が制御される。パワー半導体素子110は、ゲート端子(Gate)、コレクタ端子(Collector)、およびエミッタ(Emitter)端子を含み、ゲート端子に入力する制御信号に応じて、コレクタ端子およびエミッタ端子の間を電気的に接続または切断する。パワー半導体素子110は、高電位側の第1端子104および低電位側の第2端子106の間に接続され、ゲート電位に応じてオンまたはオフに制御される。パワー半導体素子110は、一例として、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)である。また、パワー半導体素子110は、絶縁ゲート型電解効果トランジスタ(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよい。
【0014】
パワー半導体素子110は、一例として、数百Vに至る耐圧を有する。パワー半導体素子110は、例えば、基板の第1面側にコレクタ電極が形成され、第1面とは反対側の第2面側にゲート電極およびエミッタ電極が形成される縦型デバイスである。また、パワー半導体素子110は、縦型MOSFETでもよい。一例として、パワー半導体素子110のエミッタ端子は、基準電位と接続される。また、コレクタ端子は、一次コイル32の他端に接続される。なお、本従来例において、パワー半導体素子110は、制御信号がオン電位となることに応じて、コレクタ端子およびエミッタ端子の間を電気的に接続するnチャネル型のIGBTである例について説明する。
【0015】
第1ゲート制御部120は、制御端子102から入力され、パワー半導体素子110を制御する制御信号が、予め定められた遮断条件を満たすか否かを検出して、パワー半導体素子110のゲート電位を制御する。第1ゲート制御部120は、遮断条件検出部130と、第1スイッチ素子140と、を有する。
【0016】
第1スイッチ素子140は、パワー半導体素子110のゲート端子および基準電位の間に接続される。第1スイッチ素子140は、一例として、ゲート電位に応じてドレイン端子およびソース端子の間をオンまたはオフに制御されるFETである。第1スイッチ素子140は、ドレイン端子がパワー半導体素子110のゲート端子に接続され、ソース端子が基準電位に接続され、制御端子102から入力する制御信号をパワー半導体素子110のゲート端子に供給するか否かを切り換える。
【0017】
言い換えると、第1スイッチ素子140は、ドレイン端子がパワー半導体素子110のゲート端子に接続され、ソース端子がパワー半導体素子110のエミッタ端子に接続され、パワー半導体素子110のゲート端子およびエミッタ端子を電気的に接続して、パワー半導体素子110のゲートをオフ電位にするか否かを切り換える。第1スイッチ素子140は、一例として、ゲート端子がハイ電位となることに応じて、ドレイン端子およびソース端子の間を電気的に接続する、ノーマリーオフ(normally off)のスイッチ素子である。この場合、第1スイッチ素子140は、nチャネル型のMOSFETであることが望ましい。
【0018】
遮断条件検出部130は、制御端子102から入力され、パワー半導体素子110を制御する制御信号が、予め定められた遮断条件を満たすか否かを検出する。遮断条件検出部130は、制御信号が予め定められた閾値を用いて、遮断条件を満たすか否かを検出してよい。遮断条件検出部130は、検出部132aと、信号出力部134と、を有する。
【0019】
検出部132aは、制御信号が予め定められた閾値を超えたか否かを検出する。検出部132aは、例えば、パワー半導体素子110をオンさせる制御信号Vinが閾値Vthin(一例として、2V)より小さくなったことに応じて、遮断条件が満たされたとする。検出部132aは、検出結果を信号出力部134に供給する。
【0020】
信号出力部134は、検出部132aの検出結果に応じて、第1スイッチ素子140を制御する信号を出力する。信号出力部134は、制御信号が遮断条件を満たしたことを検出した検出結果に応じて、第1スイッチ素子140をオンにする制御信号を出力する。また、信号出力部134は、制御信号が遮断条件を満たしていない検出結果に応じて、第1スイッチ素子140をオフにする制御信号を出力する。
【0021】
信号出力部134は、一例として、インバータである。信号出力部134は、第1端子104から入力する電気信号を電源として動作し、検出部132aの検出結果を反転出力する。信号出力部134は、第1スイッチ素子140に接続され、制御信号を当該第1スイッチ素子140に供給する。即ち、第1スイッチ素子140は、遮断条件検出部130が遮断条件を満たすことを検出したことに応じて、パワー半導体素子110のゲート電位をオフ電位に制御する。
【0022】
抵抗150は、第1端子104と、信号出力部134の高電位側の電源端子との間に設けられ、第1端子104から入力する電気信号を信号出力部134に電源として供給する。なお、第1端子104から入力する電気信号は、パワー半導体素子110のオンまたはオフ状態に応じて変動する。そこで、抵抗150は、第1端子104側から信号出力部134に入力する電流を制限する。例えば、抵抗150は、パワー半導体素子110のコレクタ電圧が400V程度に上昇した場合でも、当該第1端子104側から信号出力部134に入力する電流を予め定められた電流値以下に低減させる保護抵抗として動作する。
【0023】
抵抗160は、制御端子102およびパワー半導体素子110のゲート端子の間に接続される。抵抗160は、第1スイッチ素子140がオフ状態の場合、制御信号をパワー半導体素子110のゲート端子に伝達する。抵抗160は、第1スイッチ素子140がオン状態で制御信号を基準電位へと流す場合、当該制御信号を電圧降下させる。即ち、パワー半導体素子110のゲート端子には基準電位が供給されることになる。
【0024】
ツェナーダイオード170は、抵抗150および基準電位の間に接続される。ツェナーダイオード170は、第1端子104から信号出力部134の定格を超える電圧が入力することを防止する。例えば、ツェナーダイオード170は、パワー半導体素子110のコレクタ電圧が400V程度に上昇した場合でも、当該第1端子104側から信号出力部134に入力する電圧を予め定められた電圧値にクランプする。ツェナーダイオード170は、一例として、6Vから16V程度にクランプする。
【0025】
ワイヤ180は、半導体装置100の低電位側電極を第2端子に接続するボンディングワイヤである。
【0026】
以上の従来技術に係る半導体装置100は、制御信号がハイ電位になると、パワー半導体素子110がオン状態となる。これにより、電源40から点火コイル30の一次コイル32を介してコレクタ電流Icが流れる。なお、コレクタ電流Icの時間変化dIc/dtは、一次コイル32のインダクタンスおよび電源40の供給電圧に応じて定まり、予め定められた(または設定された)電流値まで増加する。例えば、コレクタ電流Icは、数A、十数A、または数十A程度まで増加する。
【0027】
そして、制御信号がロー電位となると、パワー半導体素子110はオフ状態となり、コレクタ電流は急激に減少する。コレクタ電流の急激な減少により、一次コイル32の両端電圧は、自己誘導起電力により急激に増加し、二次コイル34の両端電圧に数十kV程度に至る誘導起電力を発生させる。点火装置1000は、このような二次コイル34の電圧を点火プラグ20に供給することにより、点火プラグ20を放電させて燃焼ガスを点火することができる。
【0028】
図6A、6Bは、従来技術に係る半導体装置100の各部の動作波形の一例を示す図である。
図6A、6Bは、横軸を時間、縦軸を電圧値または電流値とする。また、
図6A、6Bは、制御端子102から入力する制御信号を「Vin」、パワー半導体素子110のコレクタ・エミッタ間電流(コレクタ電流とする)を「Ic」、ワイヤ180の両端電圧を「Vw」、として、それぞれの時間波形を示す。
【0029】
図6Aは、制御端子102に入力する制御信号Vinが、時刻t1において0Vから検出部132aの閾値Vthinを超える電圧に立ち上がり、その後、時刻t3において閾値Vthinを超える電圧から0Vに立ち下がる例を示す。
【0030】
パワー半導体素子110は、
図6Aの例において、時刻t1から時刻t3において、オン状態となり、時刻t1までの期間および時刻t3を超えた期間は、オフ状態となる。
【0031】
即ち、パワー半導体素子110のコレクタ電流Icは、制御信号Vinが検出部132aの閾値Vthinを超えるまでは略零となり(オフ)、制御信号Vinが検出部132aの閾値Vthinを超えた電位であることに応じて流れ(オン)、その最大値は(Vb−Vbi)/(Rl+Ron)である。ここでVbは電源40が供給する定電圧、Vbiはパワー半導体素子110の内蔵電位、Rlは一次コイル32の抵抗、Ronはパワー半導体110のオン抵抗である。コレクタ電流Icの時間変化dIc/dtは、一次コイル32のインダクタンスおよび電源40の供給電圧に応じて定まり、予め定められた(または設定された)電流値まで増加する。
【0032】
ここで、
図5に示す半導体装置100は、時刻t1においてパワー半導体素子110がオンし、コレクタ電流Icは、徐々に増加する。コレクタ電流Icの増加に伴いワイヤ180の両端電圧Vwも増加する。ワイヤ180の両端電圧Vwはワイヤ180の抵抗Rwとコレクタ電流Icと、で決まりVw=Rw×Icとなる。時刻t2においてコレクタ電流Icが最大値に達すると、コレクタ電流Icは一定値を保持し、時刻t3において制御信号Vinが0Vになると、パワー半導体素子110はオフする。
【0033】
図6Bは、
図6Aと同様に、制御端子102に入力する制御信号Vinが、時刻t1において0Vから検出部132aの閾値Vthinを超える電圧に立ち上がり、その後、時刻t3において閾値Vthinを超える電圧から0Vに立ち下がる例を示す。
【0034】
図6Bと、
図6Aとの違いは、時刻t1から時刻t3までの制御信号Vinが小さいことである。このため、時刻t2aにおいて制御信号Vinとワイヤ180の両端電圧Vwの差Vin−Vwは検出部132aの閾値Vthin以下となり、パワー半導体素子110はオフする。その結果、ワイヤ180の両端電圧Vwは0Vとなり、パワー半導体素子110は再びオンし、時刻t2bにおいて、時刻t2aで発生した現象を繰り返す。
【0035】
パワー半導体素子110がオフする動作の詳細を以下に示す。
図7は、従来技術に係る半導体装置100の検出部132aの構成例を示す図である。検出部132aは、制御信号入力部402、検出信号出力部404、基準電位入力部406、抵抗410、抵抗420、インバータ430、およびインバータ440を含む。
【0036】
制御信号入力部402は、制御端子102から入力される制御信号を入力する。検出部132aは、当該制御信号を電源として動作する。検出信号出力部404は、検出部132aの検出結果を出力する。検出信号出力部404は、一例として、信号出力部134に接続され、制御信号の検出結果として、制御信号と同じ論理の電位を出力する。基準電位入力部406は、基準電位に接続される。
【0037】
抵抗410および抵抗420は、制御信号入力部402および基準電位入力部406の間に直列に接続され、制御信号入力部402から入力する制御信号Vinを分圧する。抵抗410の抵抗値をR1、抵抗420の抵抗値をR2とすると、分圧電位は、
Vin×R2/(R1+R2) (式1)
となる。一例として、制御信号が過渡的にオフ電位(一例として、0V)からオン電位(一例として、5V)にリニアに立ち上がる場合、分圧電位も、0Vから5×R2/(R1+R2)までリニアに立ち上がる。
【0038】
インバータ430は、抵抗410および抵抗420の間に入力端子が接続され、分圧電位を受け取って出力端子から論理を反転した信号を出力する。インバータ440は、インバータ430の出力を受け取って反転出力する。つまり、検出部132aの閾値Vthinの分圧電位がインバータ430の閾値Vthinvであり、Vthinv=Vthin×R2/(R1+R2)である。
【0039】
パワー半導体素子110がオン状態となり、ワイヤ180の両端電圧Vwが発生すると、インバータ430に入力される分圧電位と基準電位406の電位差は(Vin−Vw)×R2/(R1+R2)となり、パワー半導体素子110がオフ状態の場合より小さくなる。このため、パワー半導体素子110がオンした後、ワイヤ180の両端電圧Vwが発生し、(Vin−Vw)×R2/(R1+R2)がVthinvより小さくなると、制御信号Vinが検出部132aの閾値Vthinより大きくてもパワー半導体素子110がオフしてしまう。
【0040】
以上のように、半導体装置100は、制御信号Vinと検出部132aの閾値Vthinの差が小さく、コレクタ電流Icが大きいとき、制御信号Vinが導通条件を満たしても、パワー半導体素子110をオフしてしまう場合があることがわかる。この場合、本来は時刻t3において点火しなければならないのに、時刻t2aおよび時刻t2bにおいても点火してしまうため、内燃機関等にまで不具合等を発生させてしまうこともある。
【0041】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、半導体装置にパワー半導体デバイスを導通する制御信号が入力された場合に、パワー半導体素子を確実に導通して誤動作を防止する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0042】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。半導体装置は、高電位側の第1端子および低電位側の第2端子の間に接続され、ゲート電位に応じてオンまたはオフに制御されるパワー半導体素子を備える。また、制御端子から入力され、前記パワー半導体素子を制御する制御信号が、予め定められた遮断条件を満たすか否かを検出する遮断条件検出部を備える。また、前記遮断条件検出部が前記遮断条件を満たすことを検出したことに応じて、前記パワー半導体素子の前記ゲート電位をオフ電位に制御する第1スイッチ素子を備える。前記遮断条件検出部は、前記
パワー半導体素子のコレクタ電流値を検出する電流検出部に接続される入力端子を有し、前記制御信号と前記パワー半導体素子の前記コレクタ電流値とを前記遮断条件に用いる。
【0043】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記遮断条件検出部は、前記制御信号が予め定められた閾値を超えたか否かを検出する検出部と、前記検出部の検出結果に応じて、前記第1スイッチ素子を制御する第1スイッチ素子制御信号を出力する信号出力部と、を有することを特徴とする。
【0044】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1スイッチ素子は、前記パワー半導体素子のゲートおよびエミッタを電気的に接続して、前記パワー半導体素子のゲートをオフ電位にすることを特徴とする。
【0045】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記パワー半導体素子のコレクタ電流に応じて、前記パワー半導体素子の前記ゲート
電位を制御する第2ゲート制御部を備えることを特徴とする。
【0046】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記パワー半導体素子は、IGBTまたは縦型MOSFETであることを特徴とする。
【0047】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、外部からの制御信号に
応じて点火コイルに流れる電流を制御するイグナイタであることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記検出部は、前記制御信号を入力する制御信号入力部と、前記コレクタ電流値に比例した電位を入力する電位入力部と、前記制御信号入力部と前記電位入力部との間に、前記制御信号を分圧する複数の抵抗を有することを特徴とする。上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。半導体装置は、高電位側の第1端子および低電位側の第2端子の間に接続され、ゲート電位に応じてオンまたはオフに制御されるパワー半導体素子を備える。また、前記パワー半導体素子のエミッタ端子と、前記エミッタ端子を分流させた第1センス端子と、前記エミッタ端子と前記第1センス端子との間に接続された抵抗を備える。また、制御端子から入力され、前記パワー半導体素子を制御する制御信号が、予め定められた遮断条件を満たすか否かを検出する遮断条件検出部を備える。また、前記遮断条件検出部が前記遮断条件を満たすことを検出したことに応じて、前記パワー半導体素子の前記ゲート電位をオフ電位に制御する第1スイッチ素子を備える。前記遮断条件検出部は、前記第1センス端子に接続される入力端子と、前記制御信号が予め定められた閾値を超えたか否かを検出する検出部と、前記検出部の検出結果に応じて、前記第1スイッチ素子を制御する第1スイッチ素子制御信号を出力する信号出力部と、を有する。前記検出部は、前記制御信号を入力する制御信号入力部と、前記第1センス端子と前記抵抗との間の電位を入力する電位入力部と、前記制御信号入力部と前記電位入力部との間に、前記制御信号を分圧する複数の抵抗を有する。
【0048】
上述した発明によれば、半導体装置は、コレクタ電流に比例したセンス電流を出力する第1センス端子を有し、センス電流に比例したセンス電圧を発生させる。これにより、パワー半導体素子がオン状態となっても分圧電位と基準電位入力部の電位差が変化しないようにすることができる。このため、半導体装置は、制御信号がオフからオンに切り換わり、パワー半導体素子のコレクタ電流が流れても、遮断条件検出部の遮断条件は変化せず、誤動作を防止できる。
【0049】
また、半導体装置は、パワー半導体素子のコレクタ電流に応じて、パワー半導体素子のゲート電流を制御する第2ゲート制御部を有する。これにより、半導体装置は、パワー半導体素子のコレクタ電流を閾値以下の電流値に制限し、過電流が流れることを防止する。また、第1ゲート制御部の誤動作も防止する。この2つの故障防止機能は、第1センス端子から共通に供給されるセンス電流を利用することにより、回路面積の増加を抑えられる。