(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記透明層が、更に、硬化性樹脂を硬化させることにより得られる樹脂、硬化性モノマーを硬化させることにより得られる樹脂、及び、含ケイ素化合物を用いて形成されたポリシロキサン構造を含む樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含む請求項1又は2記載の積層体。
更に、硬化性樹脂を硬化させることにより得られる樹脂、硬化性モノマーを硬化させることにより得られる樹脂、及び、含ケイ素化合物を用いて形成されたポリシロキサン構造を含む樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含む樹脂層を含む請求項1、2又は3記載の積層体。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の積層体は、加飾層、及び、透明層を含む。
【0021】
上記加飾層の材質としては、特に限定されず、木材、金属、皮革、熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、上記加飾層は、着色剤、顔料等を含むことができる。
【0022】
上記加飾層の模様は、特に限定されず、上記加飾層の材質そのものの模様であってもよいし、絵柄、文字等であってもよい。上記模様としては、木目、石目、布目、砂目、織目、皮目、幾何学模様、文字、タイル貼模様、煉瓦積模様、寄木模様、パッチワーク模様、ヘアライン模様、無垢、パターン模様、和紙模様等が挙げられる。
【0023】
上記加飾層の色は、特に限定されず、上記加飾層の材質そのものの色であってもよいし、着色剤による色であってもよい。上記色としては、黒色、白色、赤色、青色、緑色、黄色等の他、金属色、偏光色、構造色等が挙げられる。また、上記加飾層は、光沢や艶を有していてもよく、又は艶消しであってもよく、例えば、メタリック調、ピアノブラック調、カーボン調、サテン調、パール調等であってよい。
【0024】
上記加飾層の膜厚としては、0.5〜30μmであってよい。上記膜厚は、上記加飾層が印刷や蒸着により形成される場合の膜厚であってよい。上記加飾層の模様として、上記加飾層の材質そのものの模様を採用する場合は、上記加飾層として物品そのものを使用できるので、上記加飾層の膜厚(大きさ)は全く限定されない。
【0025】
上記加飾層は、例えば、印刷、塗布、メッキ、蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、成形、研磨、エッチング等の方法で形成できる。
【0026】
上記印刷の方法としては、オフセット印刷法、グラビア輪転印刷法、スクリーン印刷法、ロールコート法、スプレーコート法、フレキソグラフ印刷法等が挙げられる。上記印刷に用いる印刷インキとしては、バインダーに顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものを使用することができる。上記バインダーとしては、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル・アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの樹脂、及びこれらの樹脂組成物を使用することができる。
【0027】
上記加飾層は、上記透明層の片面に形成してもよいし、後述する樹脂層の片面に形成してもよいし、後述する透明基材層の片面に形成してもよいし、上記透明層又は上記樹脂層を配置する部品の表面に形成してもよい。
【0028】
本発明の積層体において、上記透明層が微細凹凸パターンを有することが好ましい。上記微細凹凸パターンを有することにより、上記積層体に反射性防止性を付与でき、上記加飾層の装飾をより一層鮮やかに視認できる効果が得られる。また、上記積層体の防汚性、撥水性及び撥油性が一層向上することが期待できる。
【0029】
また、上記積層体が、光沢や艶を有する上記加飾層を含む場合や、明るい色を有する上記加飾層を含む場合、上記積層体を車両のフロントガラス付近に設置すると、上記積層体が光を反射したり、上記積層体がフロントガラスに映り込んだりして、運転者の視界を妨げることがある。上記透明層が微細凹凸パターンを有するものであると、光沢、艶、明度等を適度に低下させることができ、意匠性と安全性とを両立できる。
【0030】
上記微細凹凸パターンは、上記積層体の表面に設けられていれば、上記透明層の表面に設けられていてもよいし、上記透明層及び後述する樹脂層の両方に設けられていてもよい。上記微細凹凸パターンが上記透明層の表面に設けられている場合、上記透明層の2つの面のうち、上記加飾層とは反対側の面に上記微細凹凸パターンが設けられる。
【0031】
上記「微細」という用語は、ナノメートルサイズを意味することが好ましく、パターンピッチが可視光の波長以下であることを意味することがより好ましい。上記可視光の波長は約780nmである。このような微細な構造を有する場合、上記積層体を光反射防止フィルム等の光学フィルムとして使用することが可能となる。
【0032】
上記微細凹凸パターンとしては、パターンピッチが1000〜1nmであるパターンが好ましく、780〜2nmであるパターンがより好ましく、500〜2nmであるパターンが更に好ましい。上記パターンピッチとは、隣接する凸部の頂部間の距離である。上記パターンピッチは、走査型電子顕微鏡観察により測定できる。
【0033】
上記微細凹凸パターンの深さは特に限定されないが、ナノメートルサイズであることが好ましく、可視光の波長以下であることがより好ましい。このような微細な構造を有する場合、上記積層体を光反射防止フィルム等の光学フィルムとして使用することが可能となる。
【0034】
上記微細凹凸パターンとしては、パターン深さが3000〜3nmであるパターンが好ましく、1000〜3nmであるパターンがより好ましい。上記パターン深さとは、凸部の頂部の高さと凹部の底部の高さとの差である。上記パターン深さは、走査型電子顕微鏡観察により測定できる。
【0035】
上記凸部の形状としては、特に限定されないが、略円錐形状、略角錐形状等が挙げられる。上記微細凹凸パターンは、モスアイパターン、ピラーパターン等であってよい。
【0036】
上記透明層は、上記積層体の最表層として配置されていることが好ましい。
【0037】
本発明の積層体は、上記透明層がパーフルオロ(ポリ)エーテル基を有する化合物を含むことを特徴とする。
【0038】
上記パーフルオロ(ポリ)エーテル基(PFPE)としては、
式:−(OC
4F
8)
a−(OC
3F
6)
b−(OC
2F
4)
c−(OCF
2)
d−
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0または1以上の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)で表される基が好ましい。
【0039】
好ましくは、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0以上200以下の整数、例えば1〜200の整数であり、より好ましくは、それぞれ独立して0以上100以下の整数である。また、好ましくは、a、b、cおよびdの和は5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。これら繰り返し単位のうち、−(OC
4F
8)−は、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3))−、−(OC(CF
3)
2CF
2)−、−(OCF
2C(CF
3)
2)−、−(OCF(CF
3)CF(CF
3))−、−(OCF(C
2F
5)CF
2)−および−(OCF
2CF(C
2F
5))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)−である。−(OC
3F
6)−は、−(OCF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2)−および−(OCF
2CF(CF
3))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2)−である。また、−(OC
2F
4)−は、−(OCF
2CF
2)−および−(OCF(CF
3))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2)−である。
【0040】
一の態様において、PFPEは、−(OC
3F
6)
b−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)であり、好ましくは、−(OCF
2CF
2CF
2)
b−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)または−(OCF(CF
3)CF
2)
b−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)であり、より好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2)
b−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)である。
【0041】
別の態様において、PFPEは、−(OC
4F
8)
a−(OC
3F
6)
b−(OC
2F
4)
c−(OCF
2)
d−(式中、aおよびbは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、cおよびdは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であり、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)
a−(OCF
2CF
2CF
2)
b−(OCF
2CF
2)
c−(OCF
2)
d−である。一の態様において、PFPEは、−(OC
2F
4)
c−(OCF
2)
d−(式中、cおよびdは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であってもよい。
【0042】
さらに別の態様において、PFPEは、−(R
19−R
18)
n”−で表される基である。式中、R
19は、OCF
2またはOC
2F
4であり、好ましくはOC
2F
4である。式中、R
18は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。好ましくは、R
18は、OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。n”は2〜100の整数である。好ましくは、かかるPFPEは、−(OC
2F
4−R
8)
f−で表される基である。式中、R
8は、OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば−OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
3F
6−、−OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
4F
8OC
2F
4OC
2F
4−等が挙げられる。上記fは、2〜100の整数、好ましくは2〜50の整数である。上記式中、OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8は、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、PFPEは、好ましくは、−(OC
2F
4−OC
3F
6)
f−または−(OC
2F
4−OC
4F
8)
f−である。
【0043】
上記化合物としては、
パーフルオロ(ポリ)エーテル基及び硬化性部位を有する化合物(F)を硬化させることにより得られる化合物、
パーフルオロ(ポリ)エーテル基及び加水分解可能な基を有する化合物(G)、及び、
式:R
111−PFPE−R
113
(式中、PFPEはパーフルオロ(ポリ)エーテル基、R
111及びR
113は、独立に、F、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、炭素数1〜16のフッ素化アルキル基、炭素数1〜16のフッ素化アルコキシ基、−R
114−X
111(R
114は単結合又は二価の有機基、X
111は−NH
2、−OH、−COOH、−CH=CH
2、−OCH
2CH=CH
2、ハロゲン、リン酸、リン酸エステル、カルボン酸エステル、チオール、チオエーテル、アルキルエーテル(フッ素で置換されていてもよい)、アリール、アリールエーテル又はアミド))で表される化合物(H)
からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0044】
上記化合物としては、なかでも、優れた耐久性を有する積層体が実現できることから、化合物(F)を硬化させることにより得られる化合物及び化合物(G)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、パーフルオロ(ポリ)エーテル基及び硬化性部位を有する化合物(F)を硬化させることにより得られる化合物が更に好ましい。
【0045】
化合物(F)は、パーフルオロ(ポリ)エーテル基及び硬化性部位を有する。
【0046】
上記硬化性部位としては、特に限定されるものではないが、例えば、アリル基、ケイヒ酸基、ソルビン酸基、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられる。
【0047】
化合物(F)としては、成分(A):ジイソシアネートの三量体であるポリイソシアネートと、成分(B):活性水素及びパーフルオロ(ポリ)エーテル基を有する化合物との反応物である炭素−炭素二重結合含有化合物(パーフルオロ(ポリ)エーテル系化合物)が好ましい。
【0048】
本明細書において、「活性水素」とは、イソシアネート基にプロトンとして供与され得る水素原子を意味する。
【0049】
成分(B)は、活性水素含有基を有することができる。本明細書中、「活性水素含有基」とは、上記活性水素を含有する基を指し、例えば、−OH基、−C(=O)H基、−SH基、−SO
3H基、−SO
2H基、−SOH基、−NH
2基、−NH−基、−SiH基等が挙げられる。
【0050】
成分(A)は、ジイソシアネートを三量体化することにより得ることができるポリイソシアネートである。ジイソシアネートの三量体であるポリイソシアネートは、これらが重合した重合体として存在していてもよい。
【0051】
成分(A)のジイソシアネートの三量体であるポリイソシアネートは、好ましくは、イソシアヌレート型ポリイソシアネートであり得る。イソシアヌレート型ポリイソシアネートは、これらが重合した重合体として存在していてもよい。すなわち、イソシアヌレート型ポリイソシアネートは、イソシアヌレート環を1つのみ有する単環式化合物であってもよく、この単環式化合物が重合して得られる多環式化合物であってもよく、これらの混合物であってもよい。イソシアヌレート型ポリイソシアネートのうち公知のものとしては、例えば、住友バイエルウレタン社製の「スミジュール(登録商標)N3300」が挙げられる。
【0052】
成分(A)のジイソシアネートの三量体であるポリイソシアネートを得るために用いられるジイソシアネートとしては、特に限定されないが、イソシアネート基が脂肪族基に結合したジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;イソシアネート基が芳香族基に結合したジイソシアネート、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートが挙げられる。
【0053】
成分(A)ジイソシアネートの三量体であるポリイソシアネートとしては、特に限定されるものではないが、下記の構造を有する化合物が挙げられる。
【0055】
上述したように、これらのポリイソシアネートは重合体として存在していてもよく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネートである場合、下記構造を有する重合体として存在していてもよい。
【0057】
成分(B)は、成分(B1):活性水素を有するパーフルオロ(ポリ)エーテルと、成分(B2):炭素−炭素二重結合を有する基及び活性水素を有するモノマーとを含む。
【0058】
成分(B1)は、下記式(B1−i)及び(B1−ii)のうちの一方で表される少なくとも1種の化合物である。
Rf−PFPE−Z−X (B1−i)
X−Z−PFPE−Z−X (B1−ii)
【0059】
上記式(B1−i)及び(B1−ii)中、Rfは、1つ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16の(例えば、直鎖状又は分枝鎖状の)アルキル基であり、好ましくは、1つ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜3の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基である。Rfは、直鎖状であることが好ましい。また、1つ以上のフッ素原子により置換されていてもよいアルキル基は、好ましくは、末端炭素原子がCF
2H−であり、かつ、他のすべての炭素原子がフッ素原子により全置換されているフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキル基であり、より好ましくはパーフルオロアルキル基であり、具体的には、−CF
3、−CF
2CF
3、又は、−CF
2CF
2CF
3である。
【0060】
上記式(B1−i)及び(B1−ii)中、PFPEは、上記したパーフルオロ(ポリ)エーテル基であり、式:−(OC
4F
8)
a−(OC
3F
6)
b−(OC
2F
4)
c−(OCF
2)
d−で表される基である。
【0061】
上記式(B1−i)及び(B1−ii)中、Zは、各々独立して、二価の有機基である。Zは、好ましくはR
1である。R
1は、各々独立して、下記式:
−(Y)
f−(CR
32)
j−
で表される基である。
【0062】
本明細書において、「二価の有機基」は、炭素を含有する二価の基を意味する。二価の有機基としては、特に限定されるものではないが、炭化水素基から更に1つの水素原子を脱離させた二価の基が挙げられる。
【0063】
本明細書中、炭化水素基は、炭素及び水素を含む基を意味する。炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1つ以上の置換基により置換されていてもよい、炭素数1〜20の炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分枝鎖状、及び、環状のうちのいずれであってもよく、飽和及び不飽和のうちのいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つ以上の環構造を含んでいてもよい。なお、炭化水素基は、その末端または分子鎖中に、1つ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有していてもよい。
【0064】
本明細書中、炭化水素基の置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、1つ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10の不飽和シクロアルキル基、5〜10員のヘテロシクリル基、5〜10員の不飽和ヘテロシクリル基、炭素数6〜10のアリール基、5〜10員のヘテロアリール基等が挙げられる。
【0065】
上記式中、Yは、二価の極性基であることが好ましい。二価の極性基としては、特に限定されないが、例えば、−COO−、−OCO−、−CONH−、−OCH
2CH(OH)CH
2−、−CH
2CH(OH)CH
2O−、−COS−、−SCO−、−O−等が挙げられ、好ましくは、−COO−、−CONH−、−CH
2CH(OH)CH
2O−、又は、−O−である。
【0066】
上記式中、R
3は、各出現において、各々独立して、水素原子又はフッ素原子である。
【0067】
上記式中、fは、0〜50の整数であり、好ましくは0〜20の整数(例えば、1〜20の整数)である。jは、0〜100の整数であり、好ましくは0〜40の整数(例えば、1〜40の整数)である。f及びjの和は、1以上である。f及びjを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、上記式中において任意である。
【0068】
上記式で表されるR
1は、好ましくは、各々独立して、下記式で表される基である。
−(Y)
f−(CF
2)
g−(CH
2)
h−
【0069】
上記式中、Y及びfは、上記のとおりである。g及びhは、各々独立して、0〜50の整数であり、好ましくは0〜20の整数(例えば、1〜20の整数)である。f、g、及び、hの和は、1以上であり、好ましくは1〜10である。f、g、及び、hは、0〜2の整数であることがより好ましく、f=0又は1、g=2、h=0又は1であることが更に好ましい。また、f、g、及び、hを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、上記式中において任意である。
【0070】
上記式(B1−i)及び(B1−ii)中、Xは、活性水素含有基である。Xは、好ましくは、各々独立して、−OH基、−C(=O)H基、−SH基、−SO
3H基、−SO
2H基、−SOH基、−NH
2基、−NH−基、又は、−SiH基であり、より好ましくは、−OH基、又は、−NH
2基であり、更に好ましくは、−OH基である。
【0071】
成分(B1)は、好ましくは、下記式(B1−i’)及び(B1−ii’)のうちの一方で表される少なくとも1種の化合物であり、より好ましくは、下記式(B1−i’)で表される少なくとも1種の化合物である。成分(B1)が下記式(B1−i’)で表される少なくとも1種の化合物である場合、PFPEは、好ましくは、下記式(D1)で表される基である。
Rf−PFPE−R−CH
2OH (B1−i’)
HOCH
2−R
1−PFPE−R
1−CH
2OH (B1−ii’)
【0072】
上記式中、Rf、PFPE、及び、R
1は、上記のとおりである。
【0073】
成分(B1)の活性水素を有するパーフルオロ(ポリ)エーテルは、パーフルオロ(ポリ)エーテル基に加えて、1つの分子末端に1つの活性水素含有基(例えば、水酸基)を有する、又は、2つの分子末端の各々に1つの活性水素含有基水酸基を有する化合物である。
【0074】
成分(B1)の活性水素を有するパーフルオロ(ポリ)エーテルの数平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは500〜12000であり、より好ましくは1000〜10000であり、更に好ましくは1500〜8000である。
【0075】
上記数平均分子量は、
19F−NMRにより測定する。
【0076】
成分(B2)の炭素−炭素二重結合を有する基及び活性水素を有するモノマーは、その分子末端に少なくとも1つ(好ましくは1つ)の活性水素含有基(好ましくは水酸基)を有する。
【0077】
成分(B2)の炭素−炭素二重結合を有する基及び活性水素を有するモノマーは、好ましくは、炭素−炭素二重結合を有する基として、下記式で表される基を有する。
−OC(O)−CR
2=CH
2
【0078】
上記式中、R
2は、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基であり、好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基である。ここで、R
2が水素原子又はメチル基である基、すなわち、−OC(O)−CH=CH
2、又は、−OC(O)−CCH
3=CH
2は、総称して「(メタ)アクリレート基」とも称される。
【0079】
成分(B2)としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記の化合物:
HO(CH
2CH
2)
iOCO(R)C=CH
2
(上記式中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。iは、2〜10の整数である。)、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート;
CH
3CH(OH)CH
2OCO(R)C=CH
2
(上記式中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。)、例えば、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;
CH
3CH
2CH(OH)CH
2OCO(R)C=CH
2
(上記式中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。)、例えば、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート;
C
6H
5OCH
2CH(OH)CH
2OCO(R)C=CH
2
(上記式中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。)、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート;
HOCH
2C(CH
2OCO(R)C=CH
2)
3
(上記式中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。)、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート;
C(CH
2OCO(R)C=CH
2)
3CH
2OCH
2C(CH
2OCO(R)C=CH
2)
2CH
2OH
(上記式中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。)、例えば、ジペンタエリスリトールポリアクリレート;
HOCH
2CH
2OCOC
6H
5OCOCH
2CH
2OCO(R)C=CH
2
(上記式中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。)、例えば、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸;
H(OCH
2CH
2)
nOCO(R)C=CH
2
(上記式中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。nは、1〜30の整数である。)、例えば、ポリ(エチレングリコール)アクリレート;
H(OCH(CH
3)CH
2)
nOCO(R)C=CH
2
(上記式中、Rは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又は、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。nは、1〜30の整数である。)、例えば、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート;
アリルアルコール;
HO(CH
2)
kCH=CH
2
(上記式中、kは2〜20の整数である。);
(CH
3)
3SiCH(OH)CH=CH
2;及び、
スチリルフェノール
が挙げられる。
【0080】
一態様において、成分(B)は、成分(B1)及び成分(B2)からなっていてもよい。
【0081】
化合物(F)に含まれる炭素−炭素二重結合含有化合物は、一分子のトリイソシアネートに、異なる種類の成分(B1)由来の基を有していてもよい。また、一分子のトリイソシアネートに、異なる種類の(例えば、異なる数の炭素−炭素二重結合を有する)成分(B2)由来の基を有していてもよい。
【0082】
化合物(F)は、1種以上の炭素−炭素二重結合含有化合物を含んでいてもよい。例えば、化合物(F)は、成分(A)と、成分(B1)としての化合物B1及び成分(B2)としての化合物B2とを反応させた化合物、並びに、成分(A)と、成分(B1)としての化合物B1’及び成分(B2)としての化合物B2’とを反応させた化合物の混合物であってもよい。これらの化合物は同時に合成されてもよく、別個に合成され、その後混合してもよい。
【0083】
化合物(F)のうち公知のものとしては、例えば、ダイキン工業社製の「オプツール(登録商標)DAC」及び「オプツールDAC−HP」、信越化学工業社製の「KY−1203」及び「KNS5300」、DIC社製の「メガファック(登録商標)RS−75」、「メガファックRS−72−K」、「メガファックRS−76−E」、「メガファックRS−76−NS」、「メガファックRS−90」、「ディフェンサ(登録商標)TF3028」、「ディフェンサTF3001」、及び、「ディフェンサTF3000」、新中村化学工業社製の「SUA1900L10」及び「SUA1900L6」、ソルベイ社製の「フルオロリンク(登録商標)P56」、「フルオロリンクP54」、「フルオロリンクF10」、「フルオロリンクA10P」、「フルオロリンクAD1700」、「フルオロリンクMD700」、及び、「フルオロリンクE10H」等が挙げられる。
【0084】
化合物(G)は、パーフルオロ(ポリ)エーテル基及び加水分解可能な基を有する。
【0085】
上記「加水分解可能な基」とは、本明細書において用いられる場合、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、−OR、−OCOR、−O−N=CR
2、−NR
2、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは−OR(即ち、アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0086】
化合物(G)は、下記式:
−SiR
1n1R
23−n1
(式中、R
1は、加水分解可能な基を表し;
R
2は、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
n1は、1〜3の整数である。)
で表される基を有することが好ましい。
【0087】
化合物(G)は、下記式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2):
【化3】
【0088】
[式中:
PFPEは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
−(OC
4F
8)
a−(OC
3F
6)
b−(OC
2F
4)
c−(OCF
2)
d−
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
R
1は、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基を表し;
R
2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
R
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
R
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
n1は、(−SiR
1n1R
23−n1)単位毎に独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(A1)、(A2)、(B1)および(B2)において、少なくとも1つのn1が、1〜3の整数であり;
X
1は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
X
2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表し;
tは、各出現においてそれぞれ独立して、1〜10の整数であり;
αは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
α’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
X
5は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
βは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
β’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
X
7は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
γは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
γ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
R
aは、各出現においてそれぞれ独立して、−Z
1−SiR
71p1R
72q1R
73r1を表し;
Z
1は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
R
71は、各出現においてそれぞれ独立して、R
a’を表し;
R
a’は、R
aと同意義であり;
R
a中、Z
1基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
R
72は、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基を表し;
R
73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(C1)および(C2)において、少なくとも1つのq1が1〜3の整数であり;
R
bは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基を表し;
R
cは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
ただし、γを付して括弧でくくられた単位において、k1、l1およびm1の和は3であり;
X
9は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
δは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
δ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
R
dは、各出現においてそれぞれ独立して、−Z
2−CR
81p2R
82q2R
83r2を表し;
Z
2は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表し;
R
81は、各出現においてそれぞれ独立して、R
d’を表し;
R
d’は、R
dと同意義であり;
R
d中、Z
2基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個であり;
R
82は、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR
85n2R
863−n2を表し;
Yは、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表し;
R
85は、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基を表し;
R
86は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
n2は、(−Y−SiR
85n2R
863−n2)単位毎に独立して、1〜3の整数を表し;
ただし、式(C1)および(C2)において、少なくとも1つのn2は1〜3の整数であり;
R
83は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
R
eは、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR
85n2R
863−n2を表し;
R
fは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;
ただし、式(D1)および(D2)において、少なくとも1つのq2は2または3であるか、あるいは、少なくとも1つのl2は2または3である。ただし、k2、l2およびm2の和は3である。]
のいずれかで表される少なくとも1種のパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物が好ましい。
【0089】
以下、上記式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物について説明する。
【0090】
式(A1)および(A2):
【化4】
【0091】
上記式中、PFPEは、−(OC
4F
8)
a−(OC
3F
6)
b−(OC
2F
4)
c−(OCF
2)
d−であり、パーフルオロ(ポリ)エーテル基に該当する。ここに、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0または1以上の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1である。好ましくは、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して0以上200以下の整数、例えば1〜200の整数であり、より好ましくは、それぞれ独立して0以上100以下の整数である。また、好ましくは、a、b、cおよびdの和は5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。また、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、−(OC
4F
8)−は、−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2CF
2)−、−(OCF
2CF(CF
3)CF
2)−、−(OCF
2CF
2CF(CF
3))−、−(OC(CF
3)
2CF
2)−、−(OCF
2C(CF
3)
2)−、−(OCF(CF
3)CF(CF
3))−、−(OCF(C
2F
5)CF
2)−および−(OCF
2CF(C
2F
5))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)−である。−(OC
3F
6)−は、−(OCF
2CF
2CF
2)−、−(OCF(CF
3)CF
2)−および−(OCF
2CF(CF
3))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2)−である。また、−(OC
2F
4)−は、−(OCF
2CF
2)−および−(OCF(CF
3))−のいずれであってもよいが、好ましくは−(OCF
2CF
2)−である。
【0092】
一の態様において、PFPEは、−(OC
3F
6)
b−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)であり、好ましくは、−(OCF
2CF
2CF
2)
b−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)または−(OCF(CF
3)CF
2)
b−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)であり、より好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2)
b−(式中、bは1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数である)である。
【0093】
別の態様において、PFPEは、−(OC
4F
8)
a−(OC
3F
6)
b−(OC
2F
4)
c−(OCF
2)
d−(式中、aおよびbは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、cおよびdは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であり、好ましくは−(OCF
2CF
2CF
2CF
2)
a−(OCF
2CF
2CF
2)
b−(OCF
2CF
2)
c−(OCF
2)
d−である。一の態様において、PFPEは、−(OC
2F
4)
c−(OCF
2)
d−(式中、cおよびdは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)であってもよい。
【0094】
さらに別の態様において、PFPEは、−(OC
2F
4−R
8)
f−で表される基である。式中、R
8は、OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば−OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
3F
6−、−OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
3F
6OC
2F
4−、および−OC
4F
8OC
2F
4OC
2F
4−等が挙げられる。上記fは、2〜100の整数、好ましくは2〜50の整数である。上記式中、OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8は、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、PFPEは、好ましくは、−(OC
2F
4−OC
3F
6)
f−または−(OC
2F
4−OC
4F
8)
f−である。
【0095】
上記式中、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表す。
【0096】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基における「炭素数1〜16のアルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素数1〜6、特に炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素数1〜3のアルキル基である。
【0097】
上記Rfは、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されている炭素数1〜16のアルキル基であり、より好ましくはCF
2H−C
1−15フルオロアルキレン基であり、さらに好ましくは炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基である。
【0098】
該炭素数1〜16のパーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖の炭素数1〜6、特に炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖の炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、具体的には−CF
3、−CF
2CF
3、または−CF
2CF
2CF
3である。
【0099】
上記式中、R
1は、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基を表す。
【0100】
上記式中、R
2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0101】
上記「加水分解可能な基」とは、本明細書において用いられる場合、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、−OR、−OCOR、−O−N=CR
2、−NR
2、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは−OR(即ち、アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0102】
上記式中、R
11は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子またはフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
【0103】
上記式中、R
12は、各出現において、それぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0104】
上記式中、n1は、(−SiR
1n1R
23−n1)単位毎に独立して、0〜3の整数であり、好ましくは1〜3であり、より好ましくは3である。ただし、式中、すべてのn1が同時に0になることはない。換言すれば、式中、少なくとも1つはR
1が存在する。
【0105】
上記式中、X
1は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該X
1は、式(A1)および(A2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロ(ポリ)エーテル部(即ち、Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(即ち、αを付して括弧でくくられた基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該X
1は、式(A1)および(A2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0106】
上記式中、αは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり、α’は、それぞれ独立して、1〜9の整数である。これらαおよびα’は、X
1の価数に応じて変化し得る。式(A1)においては、αおよびα’の和は、X
1の価数と同じである。例えば、X
1が10価の有機基である場合、αおよびα’の和は10であり、例えばαが9かつα’が1、αが5かつα’が5、またはαが1かつα’が9となり得る。また、X
1が2価の有機基である場合、αおよびα’は1である。式(A2)においては、αはX
1の価数から1を引いた値である。
【0107】
上記X
1は、好ましくは2〜7価であり、より好ましくは2〜4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0108】
一の態様において、X
1は2〜4価の有機基であり、αは1〜3であり、α’は1である。
【0109】
別の態様において、X
1は2価の有機基であり、αは1であり、α’は1である。この場合、式(A1)および(A2)は、下記式(A1’)および(A2’)で表される。
【化5】
【0110】
上記X
1の例としては、特に限定するものではないが、例えば、下記式:
−(R
31)
p’−(X
a)
q’−
[式中:
R
31は、単結合、−(CH
2)
s’−またはo−、m−もしくはp−フェニレン基を表し、好ましくは−(CH
2)
s’−であり、
s’は、1〜20の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数、さらにより好ましくは1または2であり、
X
aは、−(X
b)
l’−を表し、
X
bは、各出現においてそれぞれ独立して、−O−、−S−、o−、m−もしくはp−フェニレン基、−C(O)O−、−Si(R
33)
2−、−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−、−CONR
34−、−O−CONR
34−、−NR
34−および−(CH
2)
n’−からなる群から選択される基を表し、
R
33は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C
1−6アルキル基またはC
1−6アルコキシ基を表し、好ましくはフェニル基またはC
1−6アルキル基であり、より好ましくはメチル基であり、
R
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC
1−6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、
m’は、各出現において、それぞれ独立して、1〜100の整数、好ましくは1〜20の整数であり、
n’は、各出現において、それぞれ独立して、1〜20の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜3の整数であり、
l’は、1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、より好ましくは1〜3の整数であり、
p’は、0、1または2であり、
q’は、0または1であり、
ここに、p’およびq’の少なくとも一方は1であり、p’またはq’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である]
で表される2価の基が挙げられる。ここに、R
31およびX
a(典型的にはR
31およびX
aの水素原子)は、フッ素原子、C
1−3アルキル基およびC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0111】
好ましくは、上記X
1は、−(R
31)
p’−(X
a)
q’−R
32−である。R
32は、単結合、−(CH
2)
t’−またはo−、m−もしくはp−フェニレン基を表し、好ましくは−(CH
2)
t’−である。t’は、1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。ここに、R
32(典型的にはR
32の水素原子)は、フッ素原子、C
1−3アルキル基およびC
1−3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0112】
好ましくは、上記X
1は、
C
1−20アルキレン基、
−R
31−X
c−R
32−、または
−X
d−R
32−
[式中、R
31およびR
32は、上記と同意義である。]
であり得る。
【0113】
より好ましくは、上記X
1は、
C
1−20アルキレン基、
−(CH
2)
s’−X
c−、
−(CH
2)
s’−X
c−(CH
2)
t’−
−X
d−、または
−X
d−(CH
2)
t’−
[式中、s’およびt’は、上記と同意義である。]
である。
【0114】
上記式中、X
cは、
−O−、
−S−、
−C(O)O−、
−CONR
34−、
−O−CONR
34−、
−Si(R
33)
2−、
−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−、
−O−(CH
2)
u’−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−、
−O−(CH
2)
u’−Si(R
33)
2−O−Si(R
33)
2−CH
2CH
2−Si(R
33)
2−O−Si(R
33)
2−、
−O−(CH
2)
u’−Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2−、
−CONR
34−(CH
2)
u’−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−、
−CONR
34−(CH
2)
u’−N(R
34)−、または
−CONR
34−(o−、m−またはp−フェニレン)−Si(R
33)
2−
[式中、R
33、R
34およびm’は、上記と同意義であり、
u’は1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。]を表す。X
cは、好ましくは−O−である。
【0115】
上記式中、X
dは、
−S−、
−C(O)O−、
−CONR
34−、
−CONR
34−(CH
2)
u’−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−、
−CONR
34−(CH
2)
u’−N(R
34)−、または
−CONR
34−(o−、m−またはp−フェニレン)−Si(R
33)
2−
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
を表す。
【0116】
より好ましくは、上記X
1は、
C
1−20アルキレン基、
−(CH
2)
s’−X
c−(CH
2)
t’−、または
−X
d−(CH
2)
t’−
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
であり得る。
【0117】
さらにより好ましくは、上記X
1は、
C
1−20アルキレン基、
−(CH
2)
s’−O−(CH
2)
t’−、
−(CH
2)
s’−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−(CH
2)
t’−、
−(CH
2)
s’−O−(CH
2)
u’−(Si(R
33)
2O)
m’−Si(R
33)
2−(CH
2)
t’−、または
−(CH
2)
s’−O−(CH
2)
t’−Si(R
33)
2 −(CH
2)
u’−Si(R
33)
2−(C
vH
2v)−
[式中、R
33、m’、s’、t’およびu’は、上記と同意義であり、vは1〜20の整数、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2〜3の整数である。]
である。
【0118】
上記式中、−(C
vH
2v)−は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、例えば、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)−、−CH(CH
3)CH
2−であり得る。
【0119】
上記X
1基は、フッ素原子、C
1−3アルキル基およびC
1−3フルオロアルキル基(好ましくは、C
1−3パーフルオロアルキル基)から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0120】
別の態様において、X
1基としては、例えば下記の基が挙げられる:
【化6】
【0122】
[式中、R
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基、またはC
1−6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
Dは、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CF
2O(CH
2)
3−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−CONH−(CH
2)
3−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、および
【0124】
(式中、R
42は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−6のアルキル基またはC
1−6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。)
から選択される基であり、
Eは、−(CH
2)
n−(nは2〜6の整数)であり、
Dは、分子主鎖のPFPEに結合し、Eは、PFPEと反対の基に結合する。]
【0125】
上記X
1の具体的な例としては、例えば:
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2(CH
2)
7CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−(CH
2)
5−、
−(CH
2)
6−、
−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH
2)
6−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−CONH−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
6−、
−S−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
2S(CH
2)
3−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−C(O)O−(CH
2)
3−、
−C(O)O−(CH
2)
6−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
3−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−CH
2−、
−OCH
2−、
−O(CH
2)
3−、
−OCFHCF
2−、
【0127】
さらに別の態様において、X
1は、式:−(R
16)
x−(CFR
17)
y−(CH
2)
z−で表される基である。式中、x、yおよびzは、それぞれ独立して、0〜10の整数であり、x、yおよびzの和は1以上であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0128】
上記式中、R
16は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、−NR
26−(式中、R
26は、水素原子または有機基を表す)または2価の有機基である。好ましくは、R
16は、酸素原子または2価の極性基である。
【0129】
上記「2価の極性基」としては、特に限定されないが、−C(O)−、−C(=NR
27)−、および−C(O)NR
27−(これらの式中、R
27は、水素原子または低級アルキル基を表す)が挙げられる。当該「低級アルキル基」は、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピルであり、これらは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
【0130】
上記式中、R
17は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または低級フルオロアルキル基であり、好ましくはフッ素原子である。当該「低級フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0131】
この態様において、X
1は、好ましくは、式:−(O)
x−(CF
2)
y−(CH
2)
z−(式中、x、yおよびzは、上記と同意義であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である)で表される基である。
【0132】
上記式:−(O)
x−(CF
2)
y−(CH
2)
z−で表される基としては、例えば、−(O)
x’−(CH
2)
z”−O−[(CH
2)
z’’’−O−]
z””、および−(O)
x’−(CF
2)
y”−(CH
2)
z”−O−[(CH
2)
z’’’−O−]
z””(式中、x’は0または1であり、y”、z”およびz’’’は、それぞれ独立して、1〜10の整数であり、z””は、0または1である)で表される基が挙げられる。なお、これらの基は左端がPFPE側に結合する。
【0133】
別の好ましい態様において、X
1は、−O−CFR
13−(CF
2)
e−である。
【0134】
上記R
13は、それぞれ独立して、フッ素原子または低級フルオロアルキル基を表す。低級フルオロアルキル基は、例えば炭素数1〜3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0135】
上記eは、それぞれ独立して、0または1である。
【0136】
一の具体例において、R
13はフッ素原子であり、eは1である。
【0137】
さらに別の態様において、X
1基の例として、下記の基が挙げられる:
【化10】
【0138】
[式中、
R
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基、またはC
1−6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり;
各X
1基において、Tのうち任意のいくつかは、分子主鎖のPFPEに結合する以下の基:
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CF
2O(CH
2)
3−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−CONH−(CH
2)
3−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、または
【0140】
[式中、R
42は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−6のアルキル基またはC
1−6のアルコキシ基、好ましくはメチル基またはメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。]
であり、別のTのいくつかは、分子主鎖のPFPEと反対の基(即ち、式(A1)、(A2)、(D1)および(D2)においては炭素原子、また、下記する式(B1)、(B2)、(C1)および(C2)においてはSi原子)に結合する−(CH
2)
n”−(n”は2〜6の整数)であり、存在する場合、残りは、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基、C
1−6アルコキシ基またはラジカル捕捉基もしくは紫外線吸収基であり得る。
【0141】
ラジカル捕捉基は、光照射で生じるラジカルを捕捉できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、安息香酸エステル類、サリチル酸フェニル類、クロトン酸類、マロン酸エステル類、オルガノアクリレート類、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、またはトリアジン類の残基が挙げられる。
【0142】
紫外線吸収基は、紫外線を吸収できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾトリアゾール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、置換および未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル類、アクリレートまたはアルコキシシンナメート類、オキサミド類、オキサニリド類、ベンゾキサジノン類、ベンゾキサゾール類の残基が挙げられる。
【0143】
好ましい態様において、好ましいラジカル捕捉基または紫外線吸収基としては、
【化12】
が挙げられる。
【0144】
この態様において、X
1は、それぞれ独立して、3〜10価の有機基であり得る。
【0145】
上記式中、tは、それぞれ独立して、1〜10の整数である。好ましい態様において、tは1〜6の整数である。別の好ましい態様において、tは2〜10の整数であり、好ましくは2〜6の整数である。
【0146】
上記式中、X
2は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基を表す。X
2は、好ましくは、炭素数1〜20のアルキレン基であり、より好ましくは、−(CH
2)
u−(式中、uは、0〜2の整数である)である。
【0147】
好ましい式(A1)および(A2)で示される化合物は、下記式(A1’)および(A2’):
【0149】
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OC
4F
8)
a−(OC
3F
6)
b−(OC
2F
4)
c−(OCF
2)
d−
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
R
1は、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基を表し;
R
2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
R
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を表し;
R
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
n1は、1〜3の整数であり、好ましくは3であり;
X
1は、−O−CFR
13−(CF
2)
e−であり;
R
13は、フッ素原子または低級フルオロアルキル基であり;
eは、0または1であり;
X
2は、−(CH
2)
u−であり;
uは、0〜2の整数であり(uが0の場合X
2は単結合である);
tは、1〜10の整数である。]
で表される化合物である。
【0150】
上記式(A1)および(A2)で表される化合物は、例えば、Rf−PFPE−部分に対応するパーフルオロ(ポリ)エーテル誘導体を原料として、末端にヨウ素を導入した後、−CH
2CR
12(X
2−SiR
1n1R
23−n1)−に対応するビニルモノマーを反応させることにより得ることができる。
【0151】
式(B1)および(B2):
【化14】
【0152】
上記式(B1)および(B2)中、Rf、PFPE、R
1、R
2およびn1は、上記式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
【0153】
上記式中、X
5は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該X
5は、式(B1)および(B2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロ(ポリ)エーテル部(Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(具体的には、−SiR
1n1R
23−n1)とを連結するリンカーと解される。従って、当該X
5は、式(B1)および(B2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0154】
上記式中のβは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり、β’は、それぞれ独立して、1〜9の整数である。これらβおよびβ’は、X
3の価数に応じて決定され、式(B1)において、βおよびβ’の和は、X
5の価数と同じである。例えば、X
5が10価の有機基である場合、βおよびβ’の和は10であり、例えばβが9かつβ’が1、βが5かつβ’が5、またはβが1かつβ’が9となり得る。また、X
5が2価の有機基である場合、βおよびβ’は1である。式(B2)において、βはX
5の価数の値から1を引いた値である。
【0155】
上記X
5は、好ましくは2〜7価、より好ましくは2〜4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0156】
一の態様において、X
5は2〜4価の有機基であり、βは1〜3であり、β’は1である。
【0157】
別の態様において、X
5は2価の有機基であり、βは1であり、β’は1である。この場合、式(B1)および(B2)は、下記式(B1’)および(B2’)で表される。
【化15】
【0158】
上記X
5の例としては、特に限定するものではないが、例えば、X
1に関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0159】
中でも、好ましい具体的なX
5は、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2(CH
2)
7CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−(CH
2)
5−、
−(CH
2)
6−、
−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH
2)
6−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−CONH−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
6−、
−S−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
2S(CH
2)
3−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−C(O)O−(CH
2)
3−、
−C(O)O−(CH
2)
6−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
3−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−CH
2−、
−OCH
2−、
−O(CH
2)
3−、
−OCFHCF
2−、
【0161】
好ましい式(B1)および(B2)で示される化合物は、下記式(B1’)および(B2’):
【化17】
【0162】
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OC
4F
8)
a−(OC
3F
6)
b−(OC
2F
4)
c−(OCF
2)
d−
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
R
1は、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基を表し;
R
2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基を表し;
n1は、1〜3の整数であり、好ましくは3であり;
X
5は、−CH
2O(CH
2)
2−、−CH
2O(CH
2)
3−または−CH
2O(CH
2)
6−である]
で表される化合物である。
【0163】
上記式(B1)および(B2)で表される化合物は、公知の方法、例えば特許文献1に記載の方法またはその改良方法により製造することができる。例えば、式(B1)および(B2)で表される化合物は、下記式(B1−4)または(B2−4):
【0165】
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OC
4F
8)
a−(OC
3F
6)
b−(OC
2F
4)
c−(OCF
2)
d−
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
X
5’は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
βは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
β’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
R
92は、単結合または2価の有機基である。]
で表される化合物を、HSiM
3(式中、Mは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、R
1またはR
2であり、R
1は、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基であり、R
2は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜22のアルキル基である)と反応させて、必要に応じて、上記ハロゲン原子を、R
1またはR
2に変換して、式(B1”)または(B2”):
【0167】
[式中、PFPE、Rf、X
5’、β、β’およびR
92は、上記と同意義であり;
n1は、0〜3の整数である。]
で表される化合物として得ることができる。
【0168】
式(B1”)または(B2”)において、X
5’からR
92−CH
2CH
2−までの部分が、式(B1)または(B2)におけるX
5に対応する。
【0169】
式(C1)および(C2):
【化20】
【0170】
上記式(C1)および(C2)中、RfおよびPFPEは、上記式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
【0171】
上記式中、X
7は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該X
7は、式(C1)および(C2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロ(ポリ)エーテル部(Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供するシラン部(具体的には、−SiR
ak1R
bl1R
cm1基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該X
7は、式(C1)および(C2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0172】
上記式中のγは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり、γ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数である。これらγおよびγ’は、X
7の価数に応じて決定され、式(C1)において、γおよびγ’の和は、X
7の価数と同じである。例えば、X
7が10価の有機基である場合、γおよびγ’の和は10であり、例えばγが9かつγ’が1、γが5かつγ’が5、またはγが1かつγ’が9となり得る。また、X
7が2価の有機基である場合、γおよびγ’は1である。式(C1)において、γはX
7の価数の値から1を引いた値である。
【0173】
上記X
7は、好ましくは2〜7価、より好ましくは2〜4価、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0174】
一の態様において、X
7は2〜4価の有機基であり、γは1〜3であり、γ’は1である。
【0175】
別の態様において、X
7は2価の有機基であり、γは1であり、γ’は1である。この場合、式(C1)および(C2)は、下記式(C1’)および(C2’)で表される。
【化21】
【0176】
上記X
7の例としては、特に限定するものではないが、例えば、X
1に関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0177】
中でも、好ましい具体的なX
7は、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2(CH
2)
7CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−(CH
2)
5−、
−(CH
2)
6−、
−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH
2)
6−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−CONH−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
6−、
−S−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
2S(CH
2)
3−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−C(O)O−(CH
2)
3−、
−C(O)O−(CH
2)
6−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
3−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−CH
2−、
−OCH
2−、
−O(CH
2)
3−、
−OCFHCF
2−、
【0179】
上記式中、R
aは、各出現においてそれぞれ独立して、−Z
1−SiR
71p1R
72q1R
73r1を表す。
【0180】
式中、Z
1は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表す。
【0181】
上記Z
1は、好ましくは、2価の有機基であり、式(C1)または式(C2)における分子主鎖の末端のSi原子(R
aが結合しているSi原子)とシロキサン結合を形成するものを含まない。
【0182】
上記Z
1は、好ましくは、C
1−6アルキレン基、−(CH
2)
g−O−(CH
2)
h−(式中、gは、1〜6の整数であり、hは、1〜6の整数である)または、−フェニレン−(CH
2)
i−(式中、iは、0〜6の整数である)であり、より好ましくはC
1−3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、およびC
2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0183】
式中、R
71は、各出現においてそれぞれ独立して、R
a’を表す。R
a’は、R
aと同意義である。
【0184】
R
a中、Z
1基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個である。即ち、上記R
aにおいて、R
71が少なくとも1つ存在する場合、R
a中にZ
1基を介して直鎖状に連結されるSi原子が2個以上存在するが、かかるZ
1基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は最大で5個である。なお、「R
a中のZ
1基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」とは、R
a中において直鎖状に連結される−Z
1−Si−の繰り返し数と等しくなる。
【0185】
例えば、下記にR
a中においてZ
1基(下記では単に「Z」と示す)を介してSi原子が連結された一例を示す。
【化23】
【0186】
上記式において、*は、主鎖のSiに結合する部位を意味し、…は、ZSi以外の所定の基が結合していること、即ち、Si原子の3本の結合手がすべて…である場合、ZSiの繰り返しの終了箇所を意味する。また、Siの右肩の数字は、*から数えたZ基を介して直鎖状に連結されたSiの出現数を意味する。即ち、Si
2でZSi繰り返しが終了している鎖は「R
a中のZ
1基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が2個であり、同様に、Si
3、Si
4およびSi
5でZSi繰り返しが終了している鎖は、それぞれ、「R
a中のZ
1基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」が3、4および5個である。なお、上記の式から明らかなように、R
a中には、ZSi鎖が複数存在するが、これらはすべて同じ長さである必要はなく、それぞれ任意の長さであってもよい。
【0187】
好ましい態様において、下記に示すように、「R
a中のZ
1基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数」は、すべての鎖において、1個(左式)または2個(右式)である。
【化24】
【0188】
一の態様において、R
a中のZ
1基を介して直鎖状に連結されるSi原子の数は1個または2個、好ましくは1個である。
【0189】
式中、R
72は、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基を表す。
【0190】
上記「加水分解可能な基」とは、本明細書において用いられる場合、加水分解反応を受け得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、−OR、−OCOR、−O−N=C(R)
2、−N(R)
2、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは−OR(アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0191】
好ましくは、R
72は、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC
1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
【0192】
式中、R
73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0193】
式中、p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;q1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、p1、q1およびr1の和は3である。
【0194】
好ましい態様において、R
a中の末端のR
a’(R
a’が存在しない場合、R
a)において、上記q1は、好ましくは2以上、例えば2または3であり、より好ましくは3である。
【0195】
好ましい態様において、R
aの末端部の少なくとも1つは、−Si(−Z
1−SiR
72qR
73r)
2または−Si(−Z
1−SiR
72qR
73r)
3、好ましくは−Si(−Z
1−SiR
72qR
73r)
3であり得る。式中、(−Z
1−SiR
72qR
73r)の単位は、好ましくは(−Z
1−SiR
723)である。さらに好ましい態様において、R
aの末端部は、すべて−Si(−Z
1−SiR
72qR
73r)
3、好ましくは−Si(−Z
1−SiR
723)
3であり得る。
【0196】
上記式(C1)および(C2)においては、少なくとも1つのR
72が存在する。
【0197】
上記式中、R
bは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基を表す。
【0198】
上記R
bは、好ましくは、−OR、−OCOR、−O−N=C(R)
2、−N(R)
2、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)であり、好ましくは−ORである。Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。より好ましくは、R
bは、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC
1−3アルキル基、より好ましくはメチル基を表す)である。
【0199】
上記式中、R
cは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0200】
式中、k1は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数であり;l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数である。ただし、k1、l1およびm1の和は、3である。
【0201】
上記式(C1)および(C2)で表される化合物は、例えば、Rf−PFPE−部分に対応するパーフルオロ(ポリ)エーテル誘導体を原料として、末端に水酸基を導入した後、末端に不飽和結合を有する基を導入し、この不飽和結合を有する基とハロゲン原子を有するシリル誘導体とを反応させ、さらにこのシリル基に末端に水酸基を導入し、導入した不飽和結合を有する基とシリル誘導体とを反応させることにより得ることができる。例えば、以下のようにして得ることができる。
【0202】
好ましい式(C1)および(C2)で示される化合物は、下記式(C1”)および(C2”):
【化25】
【0203】
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OC
4F
8)
a−(OC
3F
6)
b−(OC
2F
4)
c−(OCF
2)
d−
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
X
7は、−CH
2O(CH
2)
2−、−CH
2O(CH
2)
3−または−CH
2O(CH
2)
6−を表し;
R
aは、各出現においてそれぞれ独立して、−Z
1−SiR
71p1R
72q1R
73r1を表し;
Z
1は、C
1−6アルキレン基を表し;
R
71は、各出現においてそれぞれ独立して、R
a’を表し;
R
a’は、R
aと同意義であり;
R
a中、Z
1基を介して直鎖状に連結されるSiは最大で5個であり;
R
72は、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基を表し;
R
73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し;
p1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数、好ましくは3であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数であり;
ただし、一のR
aにおいて、p1、q1およびr1の和は3である。]
で表される化合物である。
【0204】
上記式(C1)および(C2)で表される化合物は、例えば以下のようにして製造することができる。下記式(C1−4)または(C2−4):
【化26】
【0205】
[式中:
PFPEは、それぞれ独立して、式:
−(OC
4F
8)
a−(OC
3F
6)
b−(OC
2F
4)
c−(OCF
2)
d−
(式中、a、b、cおよびdは、それぞれ独立して、0〜200の整数であって、a、b、cおよびdの和は少なくとも1であり、添字a、b、cまたはdを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基であり;
Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1〜16のアルキル基を表し;
X
7’は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表し;
γは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
γ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数であり;
R
92は、単結合または2価の有機基である。]
で表される化合物を、HSiR
93k1R
bl1R
cm1(式中、R
93はハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子、好ましくは塩素原子であり、R
bは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基を表し、R
cは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表し、k1は1〜3の整数であり、l1およびm1は、それぞれ独立して、0〜2の整数であり、k1、l1およびm1の和は3である。)で表される化合物と反応させて、式(C1−5)または(C2−5):
【0206】
【化27】
[式中、Rf、PFPE、R
92、R
93、R
b、R
c、γ、γ’、X
7’、k1、l1およびm1は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。
【0207】
得られた式(C1−5)または(C2−5)で表される化合物を、Hal−J−R
94−CH=CH
2(式中、Halはハロゲン原子(例えば、I、Br、Cl、F等)を表し、Jは、Mg、Cu、PdまたはZnを表し、R
94は単結合または2価の有機基を表す。)で表される化合物と反応させて、式(C1−6)または(C2−6):
【0208】
【化28】
[式中、Rf、PFPE、R
92、R
94、R
b、R
c、γ、γ’、X
7’、k1、l1およびm1は、上記と同意義である。]
で表される化合物を得る。
【0209】
得られた式(C1−6)または(C2−6)で表される化合物を、HSiM
3(式中、Mは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、R
72またはR
73であり、R
72は、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基を表し、R
73は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。)と反応させて、必要に応じて、上記ハロゲン原子を、R
72またはR
73に変換して、式(C1’’’)または(C2’’’):
【0211】
[式中、Rf、PFPE、R
72、R
73、R
92、R
94、R
b、R
c、γ、γ’、X
7’、k1、l1およびm1は、上記と同意義であり;
q1は、各出現においてそれぞれ独立して、1〜3の整数であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜2の整数である。]
で表される化合物を得ることができる。
【0212】
式(C1’’’)または(C2’’’)において、X
7’からR
92−CH
2CH
2−までの部分が、式(C1)または(C2)におけるX
7に対応し、−R
94−CH
2CH
2−が式(C1)または(C2)におけるZに対応する。
【0215】
上記式(D1)および(D2)中、RfおよびPFPEは、上記式(A1)および(A2)に関する記載と同意義である。
【0216】
上記式中、X
9は、それぞれ独立して、単結合または2〜10価の有機基を表す。当該X
9は、式(D1)および(D2)で表される化合物において、主に撥水性および表面滑り性等を提供するパーフルオロ(ポリ)エーテル部(即ち、Rf−PFPE部または−PFPE−部)と、基材との結合能を提供する部(即ち、δを付して括弧でくくられた基)とを連結するリンカーと解される。従って、当該X
9は、式(D1)および(D2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、いずれの有機基であってもよい。
【0217】
上記式中、δは、それぞれ独立して、1〜9の整数であり、δ’は、それぞれ独立して、1〜9の整数である。これらδおよびδ’は、X
9の価数に応じて変化し得る。式(D1)においては、δおよびδ’の和は、X
9の価数と同じである。例えば、X
9が10価の有機基である場合、δおよびδ’の和は10であり、例えばδが9かつδ’が1、δが5かつδ’が5、またはδが1かつδ’が9となり得る。また、X
9が2価の有機基である場合、δおよびδ’は1である。式(D2)においては、δはX
9の価数から1を引いた値である。
【0218】
上記X
9は、好ましくは2〜7価であり、より好ましくは2〜4価であり、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0219】
一の態様において、X
9は2〜4価の有機基であり、δは1〜3であり、δ’は1である。
【0220】
別の態様において、X
9は2価の有機基であり、δは1であり、δ’は1である。この場合、式(D1)および(D2)は、下記式(D1’)および(D2’)で表される。
【化31】
【0221】
上記X
9の例としては、特に限定するものではないが、例えば、X
1に関して記載したものと同様のものが挙げられる。
【0222】
中でも、好ましい具体的なX
9は、
−CH
2O(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3−、
−CH
2O(CH
2)
6−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2O(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2−、
−CH
2OCF
2CHFOCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2CHFCF
2OCF(CF
3)CF
2OCF
2CF
2CF
2−、
−CH
2OCH
2(CH
2)
7CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
3−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
2OSi(OCH
3)
2(CH
2)
2−、
−CH
2OCH
2CH
2CH
2Si(OCH
2CH
3)
2OSi(OCH
2CH
3)
2(CH
2)
2−、
−(CH
2)
2−、
−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
4−、
−(CH
2)
5−、
−(CH
2)
6−、
−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
3−、
−CON(Ph)−(CH
2)
3−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH
2)
6−、
−CON(CH
3)−(CH
2)
6−、
−CON(Ph)−(CH
2)
6−(式中、Phはフェニルを意味する)、
−CONH−(CH
2)
2NH(CH
2)
3−、
−CONH−(CH
2)
6NH(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
3−、
−CH
2O−CONH−(CH
2)
6−、
−S−(CH
2)
3−、
−(CH
2)
2S(CH
2)
3−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2OSi(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
2Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
3Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
10Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−CONH−(CH
2)
3Si(CH
3)
2O(Si(CH
3)
2O)
20Si(CH
3)
2(CH
2)
2−、
−C(O)O−(CH
2)
3−、
−C(O)O−(CH
2)
6−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−(CH
2)
3−、
−CH
2−O−(CH
2)
3−Si(CH
3)
2−(CH
2)
2−Si(CH
3)
2−CH(CH
3)−CH
2−、
−OCH
2−、
−O(CH
2)
3−、
−OCFHCF
2−、
【0224】
上記式中、R
dは、各出現においてそれぞれ独立して、−Z
2−CR
81p2R
82q2R
83r2を表す。
【0225】
式中、Z
2は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基を表す。
【0226】
上記Z
2は、好ましくは、C
1−6アルキレン基、−(CH
2)
g−O−(CH
2)
h−(式中、gは、0〜6の整数、例えば1〜6の整数であり、hは、0〜6の整数、例えば1〜6の整数である)または、−フェニレン−(CH
2)
i−(式中、iは、0〜6の整数である)であり、より好ましくはC
1−3アルキレン基である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、およびC
2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0227】
式中、R
81は、各出現においてそれぞれ独立して、R
d’を表す。R
d’は、R
dと同意義である。
【0228】
R
d中、Z
2基を介して直鎖状に連結されるCは最大で5個である。即ち、上記R
dにおいて、R
81が少なくとも1つ存在する場合、R
d中にZ
2基を介して直鎖状に連結されるSi原子が2個以上存在するが、かかるZ
2基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は最大で5個である。なお、「R
d中のZ
2基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」とは、R
d中において直鎖状に連結される−Z
2−C−の繰り返し数と等しくなる。これは、式(C1)および(C2)におけるR
aに関する記載と同様である。
【0229】
好ましい態様において、「R
d中のZ
2基を介して直鎖状に連結されるC原子の数」は、すべての鎖において、1個または2個である。
【0230】
一の態様において、R
d中のZ
2基を介して直鎖状に連結されるC原子の数は1個または2個、好ましくは1個である。
【0231】
式中、R
82は、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR
85n2R
863−n2を表す。
【0232】
Yは、各出現においてそれぞれ独立して、2価の有機基を表す。
【0233】
好ましい態様において、Yは、C
1−6アルキレン基、−(CH
2)
g’−O−(CH
2)
h’−(式中、g’は、0〜6の整数、例えば1〜6の整数であり、h’は、0〜6の整数、例えば1〜6の整数である)、または−フェニレン−(CH
2)
i’−(式中、i’は、0〜6の整数である)である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C
1−6アルキル基、C
2−6アルケニル基、およびC
2−6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0234】
一の態様において、Yは、C
1−6アルキレン基、−O−(CH
2)
h’−または−フェニレン−(CH
2)
i’−であり得る。Yが上記の基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0235】
上記R
85は、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基を表す。
【0236】
上記「加水分解可能な基」とは、本明細書において用いられる場合、加水分解反応を受け得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、−OR、−OCOR、−O−N=C(R)
2、−N(R)
2、−NHR、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは−OR(アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0237】
好ましくは、R
85は、−OR(式中、Rは、置換または非置換のC
1−3アルキル基、より好ましくはエチル基またはメチル基、特にメチル基を表す)である。
【0238】
上記R
86は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0239】
n2は、(−Y−SiR
85n2R
863−n2)単位毎に独立して、1〜3の整数を表し、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
【0240】
上記R
83は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0241】
式中、p2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;q2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、p2、q2およびr2の和は3である。
【0242】
好ましい態様において、R
d中の末端のR
d’(R
d’が存在しない場合、R
d)において、上記q2は、好ましくは2以上、例えば2または3であり、より好ましくは3である。
【0243】
好ましい態様において、R
dの末端部の少なくとも1つは、−C(−Y−SiR
85q2R
86r2)
2または−C(−Y−SiR
85q2R
86r2)
3、好ましくは−C(−Y−SiR
85q2R
86r2)
3であり得る。式中、(−Y−SiR
85q2R
86r2)の単位は、好ましくは(−Y−SiR
853)である。さらに好ましい態様において、R
dの末端部は、すべて−C(−Y−SiR
85q2R
86r2)
3、好ましくは−C(−Y−SiR
853)
3であり得る。
【0244】
上記式中、R
eは、各出現においてそれぞれ独立して、−Y−SiR
85n2R
863−n2を表す。ここに、Y、R
85、R
86およびn2は、上記R
82における記載と同意義である。
【0245】
上記式中、R
fは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または低級アルキル基を表す。該低級アルキル基は、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0246】
式中、k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数であり;m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0〜3の整数である。ただし、k2、l2およびm2の和は3である。
【0247】
一の態様において、少なくとも1つのk2は2または3であり、好ましくは3である。
【0248】
一の態様において、k2は2または3であり、好ましくは3である。
【0249】
一の態様において、l2は2または3であり、好ましくは3である。
【0250】
上記式(D1)および(D2)中、少なくとも1つのq2は2または3であるか、あるいは、少なくとも1つのl2は2または3である。即ち、式中、少なくとも2つの−Y−SiR
85n2R
863−n2基が存在する。
【0251】
式(D1)または式(D2)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物は、公知の方法を組み合わせることにより製造することができる。例えば、Xが2価である式(D1’)で表される化合物は、限定するものではないが、以下のようにして製造することができる。
【0252】
HO−X−C(YOH)
3(式中、XおよびYは、それぞれ独立して、2価の有機基である。)で表される多価アルコールに、二重結合を含有する基(好ましくはアリル)、およびハロゲン(好ましくはブロモ)を導入して、Hal−X−C(Y−O−R−CH=CH
2)
3(式中、Halはハロゲン、例えばBrであり、Rは二価の有機基、例えばアルキレン基である。)で表される二重結合含有ハロゲン化物を得る。次いで、末端のハロゲンと、R
PFPE−OH(式中、R
PFPEは、パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有基である。)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有アルコールとを反応させて、R
PFPE−O−X−C(Y−O−R−CH=CH
2)
3を得る。次いで、末端の−CH=CH
2と、HSiCl
3およびアルコールまたはHSiR
853と反応させて、R
PFPE−O−X−C(Y−O−R−CH
2−CH
2−SiR
853)
3を得ることができる。
【0253】
上記式(A1)、(A2)、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)および(D2)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物は、特に限定されるものではないが、5×10
2〜1×10
5の数平均分子量を有し得る。上記数平均分子量は、好ましくは2,000〜30,000、より好ましくは3,000〜10,000、さらに好ましくは3,000〜8,000であり得る。
【0254】
上記数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)分析により測定する。
【0255】
上記パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物におけるPFPE部分の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、好ましくは1,500〜30,000、より好ましくは2,500〜10,000、さらに好ましくは3,000〜8,000であり得る。
【0256】
化合物(H)は、式:R
111−PFPE−R
113
(式中、PFPEはパーフルオロ(ポリ)エーテル基、R
111及びR
113は、独立に、F、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、炭素数1〜16のフッ素化アルキル基、炭素数1〜16のフッ素化アルコキシ基、−R
114−X
111(R
114は単結合又は二価の有機基、X
111は−NH
2、−OH、−COOH、−CH=CH
2、−OCH
2CH=CH
2、ハロゲン、リン酸、リン酸エステル、カルボン酸エステル、チオール、チオエーテル、アルキルエーテル(フッ素で置換されていてもよい)、アリール、アリールエーテル又はアミド))で表される。
X
111としては、−OH、−COOH、チオール(−SH)、−CH=CH
2及び−OCH
2CH=CH
2からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。上記二価の有機基としては、アルキレン基、フッ素化アルキレン基、又は、それらの末端に酸素原子が結合した基等が挙げられる。上記二価の有機基の炭素数は特に限定されないが、例えば、1〜16であってよい。
【0257】
R
111及びR
113としては、独立に、F、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のフッ素化アルキル基又は−R
114−X
111(R
114及びX
111は上述のとおり)が好ましく、F、炭素数1〜3の完全フッ素化アルキル基又は−R
114−X
111(R
114及びX
111は上述のとおり)がより好ましい。
【0258】
PFPEとしては、例えば、
式:−(CX
1122CF
2CF
2O)
n111(CF(CF
3)CF
2O)
n112(CF
2CF
2O)
n113(CF
2O)
n114(C
4F
8O)
n115−
(n111、n112、n113、n114及びn115は、独立に、0又は1以上の整数、X
112はH、F又はCl、各繰り返し単位の存在順序は任意である)で表されるもの、
式:−(OC
2F
4−R
118)
f−
(R
118は、OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から選択される基であり、fは、2〜100の整数である)で表されるもの
等が挙げられる。
【0259】
n111〜n115は、それぞれ、0〜200の整数であることが好ましい。n111〜n115は、合計で、1以上であることが好ましく、5〜300であることがより好ましく、10〜200であることが更に好ましく、10〜100であることが特に好ましい。
【0260】
R
118は、OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせである。OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8から独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば−OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
4F
8−、−OC
4F
8OC
3F
6−、−OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
2F
4OC
4F
8−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
2F
4−、−OC
2F
4OC
3F
6OC
3F
6−、−OC
2F
4OC
4F
8OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
2F
4−、−OC
3F
6OC
2F
4OC
3F
6−、−OC
3F
6OC
3F
6OC
2F
4−、および−OC
4F
8OC
2F
4OC
2F
4−等が挙げられる。上記fは、2〜100の整数、好ましくは2〜50の整数である。上記式中、OC
2F
4、OC
3F
6およびOC
4F
8は、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、式:−(OC
2F
4−R
118)
f−は、好ましくは、式:−(OC
2F
4−OC
3F
6)
f−または式:−(OC
2F
4−OC
4F
8)
f−である。
【0261】
化合物(H)は、重量平均分子量が500〜100000であることが好ましく、50000以下がより好ましく、10000以下が更に好ましく、6000以下が特に好ましい。上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、測定することができる。
【0262】
市販されている化合物(H)としては、商品名デムナム(ダイキン工業社製)、フォンブリン(ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン社製)、バリエルタ(NOKクリューバー社製)、クライトックス(デュポン社製)などが挙げられる。
【0263】
本発明の積層体において、上記透明層が、更に、硬化性樹脂を硬化させることにより得られる樹脂、硬化性モノマーを硬化させることにより得られる樹脂、及び、含ケイ素化合物を用いて形成されたポリシロキサン構造を含む樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含むことも、好適な態様の一つである。
【0264】
これらの樹脂を用いることにより、上記透明層を比較的容易に形成できる。また、得られる透明層の機械的強度や硬度が高く、耐擦傷性等が高いので、上記積層体の耐久性を高められる。
【0265】
本発明の積層体が、更に、硬化性樹脂を硬化させることにより得られる樹脂、硬化性モノマーを硬化させることにより得られる樹脂、及び、含ケイ素化合物を用いて形成されたポリシロキサン構造を含む樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含む樹脂層を含むことも、好適な態様の一つである。
【0266】
上記積層体が上記樹脂層を含む場合、層構成が若干複雑になるものの、上記樹脂層が有する特性と、上記透明層が有する特性とが、それぞれ十分に発揮される。上記樹脂層が有する特性としては、透明性、低散乱性、低反射性、耐擦傷性、可撓性等が挙げられる。
【0267】
上記樹脂層を構成する樹脂は、JIS K5600−5−4に基づく鉛筆硬度試験を行ったときの硬度が1H以上であることが好ましい。
【0268】
上記硬化性樹脂は、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、耐熱性、強度を有する樹脂であれば特に制限されないが、光硬化性樹脂が好ましく、紫外線硬化性樹脂がより好ましい。
【0269】
上記硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、環状ポリオレフィン系ポリマー、含フッ素ポリオレフィン系ポリマー(PTFE等)、含フッ素環状非結晶性ポリマー(サイトップ(登録商標)、テフロン(登録商標)AF等)などが挙げられる。
【0270】
上記硬化性樹脂又は上記硬化性樹脂を構成するモノマーとして具体的には、例えば、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、酢酸ビニル、ビニルピバレート、各種(メタ)アクリレート類:フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロール、プロパントリアクリレート、ペンタアエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、ジメチルアミノエチルメタクリレートシリコン系のアクリレート、無水マレイン酸、ビニレンカーボネート、鎖状側鎖ポリアクリレート、環状側鎖ポリアクリレートポリノルボルネン、ポリノルボルナジエン、ポリカーボネート、ポリスルホン酸アミド、含フッ素環状非結晶性ポリマー(サイトップ(登録商標)、テフロン(登録商標)AF等)等が挙げられる。
【0271】
上記硬化性モノマーは、光硬化性モノマー、熱硬化性モノマーのいずれであってもよいが、紫外線硬化性モノマーが好ましい。
上記硬化性モノマーとしては、例えば、(a)ウレタン(メタ)アクリレート、(b)エポキシ(メタ)アクリレート、(c)ポリエステル(メタ)アクリレート、(d)ポリエーテル(メタ)アクリレート、(e)シリコン(メタ)アクリレート、(f)(メタ)アクリレートモノマーなどが挙げられる。
【0272】
上記硬化性モノマーとして具体的には、以下の例が挙げられる。
(a)ウレタン(メタ)アクリレートとしては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートに代表されるポリ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕イソシアヌレートが挙げられる。
(b)エポキシ(メタ)アクリレートはエポキシ基に(メタ)アクリロイル基を付加したものであり、出発原料としてビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、脂環化合物を用いたものが一般的である。
(c)ポリエステル(メタ)アクリレートのポリエステル部を構成する多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられ、多塩基酸としては、フタル酸、アジピン酸、マレイン酸、トリメリット酸、イタコン酸、コハク酸、テレフタル酸、アルケニルコハク酸などが挙げられる。
(d)ポリエーテル(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(e)シリコン(メタ)アクリレートは、分子量1,000〜10,000のジメチルポリシロキサンの片末端、あるいは、両末端を(メタ)アクリロイル基で変性したものであり、例えば、以下の化合物などが例示される。
【0274】
(f)(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、3−メチルブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチル−n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどが例示される。
【0275】
上記硬化性樹脂及び硬化性モノマーの内、市場から入手可能で好ましいものとしては以下のものが挙げられる。
【0276】
上記硬化性樹脂としては、シリコン樹脂類、PAK−01、PAK−02(東洋合成化学社製)、ナノインプリント樹脂NIFシリーズ(旭硝子社製)、ナノインプリント樹脂OCNLシリーズ(東京応化工業社製)、NIAC2310(ダイセル化学工業社製)、エポキシアクリレート樹脂類EH−1001、ES−4004、EX−C101、EX−C106、EX−C300、EX−C501、EX−0202、EX−0205、EX−5000など(共栄社化学社製)、ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート類、スミジュールN−75、スミジュールN3200、スミジュールHT、スミジュールN3300、スミジュールN3500(住友バイエルンウレタン社製)などが挙げられる。
【0277】
上記硬化性モノマーの内、シリコンアクリレート系樹脂類としては、サイラプレーンFM−0611、サイラプレーンFM−0621、サイラプレーンFM−0625、両末端型(メタ)アクリル系のサイラプレーンFM−7711、サイラプレーンFM−7721及びサイラプレーンFM−7725等、サイラプレーンFM−0411、サイラプレーンFM−0421、サイラプレーンFM−0428、サイラプレーンFM−DA11、サイラプレーンFM−DA21、サイラプレーン−DA25、片末端型(メタ)アクリル系のサイラプレーンFM−0711、サイラプレーンFM−0721、サイラプレーンFM−0725、サイラプレーンTM−0701及びサイラプレーンTM−0701T(JCN社製)等が挙げられる。
多官能アクリレート類としては、A−9300、A−9300−1CL、A−GLY−9E、A−GLY−20E、A−TMM−3、A−TMM−3L、A−TMM−3LM−N、A−TMPT、A−TMMT(新中村工業社製)等が挙げられる。
多官能メタクリレート類としてTMPT(新中村工業社製)等が挙げられる。
アルコキシシラン基含有(メタ)アクリレートとしては、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン(別名(トリイソプロポキシシリル)プロピルメタクリレート(略称:TISMA)および(トリイソプロポキシシリル)プロピルアクリレート)、3−(メタ)アクリルオキシイソブチルトリクロロシラン、3−(メタ)アクリルオキシイソブチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシイソブチルトリイソプロポキ3−(メタ)アクリルオキシイソブチルトリメトキシシランシシラン等が挙げられる。
【0278】
上記樹脂としては、透明性、耐擦傷性に優れることから、アクリル系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリイミド系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、環状ポリオレフィン系ポリマー等の樹脂を硬化させることにより得られる樹脂、多官能(メタ)アクリレート類、シリコン(メタ)アクリレート類、エポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類等の硬化性モノマーを硬化させることにより得られる樹脂が好ましい。
【0279】
上記樹脂は、硬化性樹脂及び架橋触媒を含む組成物を硬化させることにより得られる樹脂、並びに、硬化性モノマー及び架橋触媒を含む組成物を硬化させることにより得られる樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
上記架橋触媒としては、ラジカル重合開始剤、酸発生剤等が例示される。
上記ラジカル重合開始剤は、熱や光によりラジカルを発生する化合物であり、ラジカル熱重合開始剤、ラジカル光重合開始剤が挙げられる。本発明においては、上記ラジカル光重合開始剤が好ましい。
【0280】
上記ラジカル熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類等のパーオキシド化合物、並びに、アゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等が挙げられる。
【0281】
上記ラジカル光重合開始剤としては、紫外光域に吸収波長をもつ開始剤であっても、可視光域に吸収波長をもつ開始剤であっても、両方に吸収波長をもつ開始剤であってもよく、例えば、ベンジル、ジアセチル等の−ジケトン類、ベンゾイン等のアシロイン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン類、アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミノ安息香酸類、フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン等のハロゲン化合物、アシルホスフィンオキシド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。
【0282】
上記ラジカル光重合開始剤の市販品としては、以下のものが例示される。
IRGACURE 651:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、
IRGACURE 184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、
IRGACURE 2959:1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、
IRGACURE 127:2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、
IRGACURE 907:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、
IRGACURE 369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、
IRGACURE 379:2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、
IRGACURE 819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、
IRGACURE 784:ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、
IRGACURE OXE 01:1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、
IRGACURE OXE 02:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、
IRGACURE261、IRGACURE369、IRGACURE500、
DAROCUR 1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、
DAROCUR TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、
DAROCUR1116、DAROCUR2959、DAROCUR1664、DAROCUR4043、
IRGACURE 754 オキシフェニル酢酸:2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、
IRGACURE 500:IRGACURE 184とベンゾフェノンとの混合物(1:1)、
IRGACURE 1300:IRGACURE 369とIRGACURE 651との混合物(3:7)、
IRGACURE 1800:CGI403とIRGACURE 184との混合物(1:3)、
IRGACURE 1870:CGI403とIRGACURE 184との混合物(7:3)、
DAROCUR 4265:DAROCUR TPOとDAROCUR 1173との混合物(1:1)。
なお、IRGACUREはチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製であり、DAROCURはメルクジャパン社製である。
【0283】
また、上記架橋触媒としてラジカル光重合開始剤を用いる場合には、増感剤として、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどを併用することもでき、重合促進剤として、DAROCUR EDB(エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート)、DAROCUR EHA(2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート)などを併用しても良い。
【0284】
上記増感剤を用いる場合の増感剤の配合量としては、上記硬化性樹脂若しくは上記硬化性モノマー100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜2質量部である。
また、上記重合促進剤を用いる場合の重合促進剤の配合量としては、上記硬化性樹脂若しくは上記硬化性モノマー100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜2質量部である。
【0285】
上記酸発生剤は、熱や光を加えることによって酸を発生する材料であり、熱酸発生剤、光酸発生剤が挙げられる。本発明においては、光酸発生剤が好ましい。
上記熱酸発生剤としては、例えば、ベンゾイントシレート、ニトロベンジルトシレート(特に、4−ニトロベンジルトシレート)、他の有機スルホン酸のアルキルエステル等が挙げられる。
【0286】
上記光酸発生剤は、光を吸収する発色団と分解後に酸となる酸前駆体とにより構成されており、このような構造の光酸発生剤に特定波長の光を照射することで、光酸発生剤が励起し酸前駆体部分から酸が発生する。
上記光酸発生剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、CF
3SO
3、p−CH
3PhSO
3、p−NO
2PhSO
3(ただし、Phはフェニル基)等の塩、有機ハロゲン化合物、オルトキノン−ジアジドスルホニルクロリド、またはスルホン酸エステル等が挙げられる。その他、光酸発生剤として、2−ハロメチル−5−ビニル−1,3,4−オキサジアゾール化合物、2−トリハロメチル−5−アリール−1,3,4−オキサジアゾール化合物、2−トリハロメチル−5−ヒドロキシフェニル−1,3,4−オキサジアゾール化合物なども挙げられる。
なお、上記有機ハロゲン化合物は、ハロゲン化水素酸(例えば、塩化水素)を形成する化合物である。
【0287】
上記光酸発生剤の市販品として以下のものが例示される。
和光純薬工業社製のWPAG−145[ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン]、WPAG−170[ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン]、WPAG−199[ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン]、WPAG−281[トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート]、WPAG−336[ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート]、WPAG−367[ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム p−トルエンスルホネート]、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のIRGACURE PAG103[(5−プロピルスルホニルオキシミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル]、IRGACURE PAG108[(5−オクチルスルホニルオキシミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル)]、IRGACURE PAG121[(5−p−トルエンスルホニルオキシミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル]、IRGACURE PAG203、CGI725、三和ケミカル社製のTFE−トリアジン[2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン]、TME−トリアジン[2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリ−クロロメチル)−s−トリアジン]MP−トリアジン[2−(メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン]、ジメトキシ[2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリ−クロロメチル)−s−トリアジン]。
【0288】
上記架橋触媒の配合量としては、上記硬化性樹脂若しくは上記硬化性モノマー100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。このような範囲であると、充分な硬化体が得られる。上記架橋触媒の配合量としてより好ましくは、0.3〜5質量部であり、更に好ましくは、0.5〜2質量部である。
【0289】
また、上記架橋触媒として上記酸発生剤を用いる場合には、必要に応じて酸捕捉剤を添加することにより、上記酸発生剤から発生する酸の拡散を制御してもよい。
上記酸捕捉剤としては、特に制限されないが、アミン(特に、有機アミン)、塩基性のアンモニウム塩、塩基性のスルホニウム塩などの塩基性化合物が好ましい。これらの酸捕捉剤の中でも、有機アミンが、画像性能が優れる点でより好ましい。
【0290】
上記酸捕捉剤としては、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ピリジニウムp−トルエンスルホナート、2,4,6−トリメチルピリジニウムp−トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウムp−トルエンスルホナート、及びテトラブチルアンモニウムラクテート、トリエチルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。これらの中でも、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン、1−ナフチルアミン、ピペリジン、ヘキサメチレンテトラミン、イミダゾール類、ヒドロキシピリジン類、ピリジン類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の有機アミンが好ましい。
【0291】
上記酸捕捉剤の配合量は、上記酸発生剤100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部であり、更に好ましくは0.5〜5質量部である。
【0292】
上記含ケイ素化合物としては、反応により、好ましくはゾル−ゲル反応により、ポリシロキサン構造を形成することができる含ケイ素化合物が好ましい。
【0293】
一の態様において、上記含ケイ素化合物は、炭素とケイ素を含む有機ケイ素化合物であり得る。
【0294】
上記有機ケイ素化合物としては、Si−H結合を有するSi−H化合物;アミノシラン化合物、シラザン、シリルアセトアミド、シリルイミダゾール等のSi−N結合を有するSi−N化合物;モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、シロキサン、シリルエステル、シラノール等のSi−O結合を有するSi−O化合物;モノクロロシラン、ジクロロシラン、トリクロロシラン、テトラクロロシラン等のSi−Cl結合を有するSi−Cl化合物等のハロゲノシラン、Si−(C)4化合物、Si−Si結合を有するSi−Si化合物、ビニルシラン、アリルシラン、エチニルシラン等が挙げられる。すなわち、有機ケイ素化合物は、Si−H化合物、Si−N化合物、ハロゲノシラン、Si−(C)
4化合物、Si−Si化合物、ビニルシラン、アリルシラン、およびエチニルシランからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。上記有機ケイ素化合物としては、Siに、水素、酸素およびハロゲンからなる群より選択される少なくとも1種の原子が結合した化合物がより好ましい。
【0295】
以下に、上記有機ケイ素化合物の具体例を示す。
〔Si−H化合物〕
【0315】
〔ハロゲノシラン〕
Si−Cl化合物:
【化53】
【0319】
Si−Cl化合物以外のハロゲノシラン:
【化57】
【0320】
〔Si−(C)
4化合物〕
【化58】
【0327】
〔ビニルシラン、アリルシラン、およびエチニルシラン〕
【化65】
【0330】
上記有機ケイ素化合物は、下記式(2):
{Si(R
a1)
s(R
b1)
t(R
c1)
u(R
d1)
v(R
e1)
w}
x (2)
[式中、R
a1、R
b1、R
c1およびR
d1は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルコキシル基、炭素数1〜10のアミノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数3〜10のアリル基、または炭素数3〜10のグリシジル基である。R
e1は、それぞれ独立して、−O−、−NH−、−C≡C−、または、シラン結合である。s、t、uおよびvは、それぞれ独立して、0または1であり、wは0〜4の整数であり、xは1〜20である。xが1である場合、s+t+u+vは4であり、wは0である。xが2〜20である場合、s+t+u+vは、それぞれ独立して、0〜4であり、wは、それぞれ独立して、0〜4であり、wが1以上の整数である場合、少なくとも2個のSiはR
e1を介して、直鎖、梯子型、環状、または複環状に結合している。)で表される化合物であることがより好ましい。R
a1、R
b1、R
c1、およびR
d1は、Siに結合している1価の基である。R
e1は、2個のSiに結合している2価の基である。
【0331】
式(2)中、R
a1、R
b1、R
c1およびR
d1は、それぞれ独立して、少なくとも1つは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、または炭素数1〜10のアミノ基であり、それ以外は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数3〜10のアリル基、または炭素数3〜10のグリシジル基であることが好ましい。xが2〜20である場合、s+t+u+vは、それぞれ独立して、1〜3であり、wは1〜3であることが好ましい。
【0332】
式(2)中、R
a1、R
b1、R
c1およびR
d1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または、炭素数1〜6のアミノ基であることが好ましく、さらに好ましくは、炭素数1〜4のアルコキシ基である。
【0333】
上記R
a1、R
b1、R
c1およびR
d1において、アルキル基の炭素数は、1〜5であることが好ましい。上記アルキル基は鎖状でも、環状でも、分岐していてもよい。また、水素原子がフッ素原子等に置換されていてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられるが、例えば、R
a1、R
b1、R
c1またはR
d1としては、それぞれ、メチル基、エチル基、プロピル基、またはイソプロピル基であることが好ましい。より好ましくは、メチル基、エチル基であり得る。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、またはジメチルフェニル基であることが好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素が好ましく、特に塩素が好ましい。
【0334】
上記R
a1、R
b1、R
c1およびR
d1において、アルコキシ基の炭素数は、1〜5であることが好ましい。上記アルコキシ基は鎖状でも、環状でも、分岐していてもよい。また、水素原子がフッ素原子等に置換されていてもよい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピロキシ基、またはブトキシ基が好ましく、より好ましくは、メトキシ基、またはエトキシ基である。
【0335】
R
e1は、それぞれ独立して、−O−、−NH−、−C≡C−、または、シラン結合である。R
e1としては、−O−、−NH−、または、−C≡C−が好ましい。R
e1は、2個のSiに結合している2価の基であり、R
e1によって2以上のケイ素原子がR
e1を介して、直鎖、梯子型、環状、または複環状に結合することができる。xが2以上の整数である場合、ケイ素原子同士で結合していてもよい。好ましい含ケイ素化合物の具体例としては、上述したSi−H化合物、Si−N化合物、ハロゲノシラン、Si−(C)
4化合物、Si−Si化合物、ビニルシラン、アリルシラン、エチニルシラン等のSiを1個または2個以上含む化合物が挙げられる。
【0336】
一の態様において、上記含ケイ素化合物は、式(3):
SiR
54 (3)
または式(4):
Si
yO
zR
64y−2z (4)
で表される化合物である。
【0337】
上記式(3)中、R
5は、それぞれ独立して、ハロゲン原子または加水分解可能な基を表す。
【0338】
上記式(4)中、R
6は、それぞれ独立して、ハロゲン原子または加水分解可能な基を表す。yは2以上であり、zは1以上であり、4y−2zは0より大きい。
【0339】
本発明の積層体が、更に、接着剤層を含むことも、好適な態様の一つである。上記接着剤層を、上記加飾層と上記透明層との間に配置すれば、上記加飾層と上記透明層とを強固に接着できる。また、本発明の積層体が上記加飾層と上記透明層との間に上記樹脂層を有する場合は、上記樹脂層と上記加飾層との間、又は、上記樹脂層と上記透明層との間に配置して、上記樹脂層及び上記加飾層又は上記樹脂層及び上記透明層を強固に接着できる。
【0340】
上記接着剤層に用いる接着剤としては、透明な層が形成できるものが好ましく、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリエステル系接着剤等が挙げられる。膜厚は、通常5〜300μmとすることが、コストや透明性が良好な点から好ましい。より好ましくは10〜100μm、更に好ましくは10〜50μmである。
【0341】
本発明が、更に、透明基材層を含むことも、好適な態様の一つである。上記透明基材層は、上記加飾層と上記透明層との間に配置することが好ましい(態様1)。また、本発明の積層体が上記加飾層と上記透明層との間に上記樹脂層を有する場合に、上記透明基材層を上記樹脂層と上記加飾層との間に配置することも好ましい(態様2)。また、本発明の積層体が上記加飾層と上記透明層との間に上記接着剤層を有する場合に、上記透明基材層を上記透明層と上記接着剤層との間に配置することも好ましい(態様3)。また、本発明の積層体が上記加飾層と上記透明層との間に上記樹脂層を有し、かつ上記加飾層と上記樹脂層との間に上記接着剤層を有する場合に、上記透明基材層を上記樹脂層と上記接着剤層との間に配置することも好ましい(態様4)。
上述した態様3及び4がより好ましく、態様3が更に好ましい。
【0342】
上記透明基材層を構成する材料としては、透明であれば特に限定されず、合成樹脂、ガラス、セラミック等が挙げられる。
【0343】
上記合成樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエチレン、ポロプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリトリメチルペンテン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、アイオノマー、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルホン、ポリスルホン、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン系樹脂等、又はこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。なかでも、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース、ポリエーテルサルホン、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリトリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリ(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
【0344】
上記透明基材層は、成形等の方法で形成できる。
【0345】
本発明の積層体において、上記加飾層の上に、上記透明層が配置されていることが、好適な態様の一つである。
図1は本発明の積層体の一実施態様を示す断面図である。
図1に示す積層体10は、加飾層11と、加飾層11上に配置された透明層12とを含む。透明層12は、パーフルオロ(ポリ)エーテル基を有する化合物のみを含むものであってもよいし、パーフルオロ(ポリ)エーテル基を有する化合物及びその他の樹脂を含むものであってもよい。その他の樹脂としては、硬化性樹脂を硬化させることにより得られる樹脂、硬化性モノマーを硬化させることにより得られる樹脂、及び、含ケイ素化合物を用いて形成されたポリシロキサン構造を含む樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂が好ましい。
【0346】
本発明の積層体において、上記加飾層の上に、上記樹脂層が配置されており、上記樹脂層の上に、上記透明層が配置されていることも、好適な態様の一つである。
図2は本発明の積層体の一実施態様を示す断面図である。
図2に示す積層体20は、加飾層21と、加飾層21上に配置された樹脂層22と、樹脂層22上に配置された透明層23とを含む。透明層23は、パーフルオロ(ポリ)エーテル基を有する化合物のみを含むものであってもよいし、パーフルオロ(ポリ)エーテル基を有する化合物及びその他の樹脂を含むものであってもよい。
【0347】
積層体20において、樹脂層22が硬化性樹脂を硬化させることにより得られる樹脂、硬化性モノマーを硬化させることにより得られる樹脂、及び、含ケイ素化合物を用いて形成されたポリシロキサン構造を含む樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含み、透明層23がパーフルオロ(ポリ)エーテル基を有する化合物を含むことが好ましい。この態様においては、上記透明層を薄く形成することができ、上記樹脂層及び上記透明層のいずれもが上記微細凹凸構造を有することができる。
図2に示す積層体20では、樹脂層22の上に、比較的薄い透明層23が配置されており、樹脂層22及び透明性23の両方に微細凹凸パターンが設けられている。
【0348】
本発明の積層体において、上記加飾層の上に、上記接着剤層が配置されており、上記接着剤層の上に、上記透明層が配置されていることが、好適な態様の一つである。
図3は本発明の積層体の一実施態様を示す断面図である。
図3に示す積層体30は、加飾層31と、加飾層31上に配置された接着剤層32と、接着剤層32上に配置された透明層33とを含む。
【0349】
本発明の積層体において、上記加飾層の上に、上記接着剤層が配置されており、上記接着剤層の上に、上記樹脂層が配置されており、上記樹脂層の上に、上記透明層が配置されていることも、好適な態様の一つである。
図4は本発明の積層体の一実施態様を示す断面図である。
図4に示す積層体40は、加飾層41と、加飾層41上に配置された接着剤層42と、接着剤層42上に配置された樹脂層43と、樹脂層43上に配置された透明層44とを含む。
【0350】
本発明の積層体において、上記加飾層の上に、上記接着剤層が配置されており、上記接着剤層の上に、上記透明基材層が配置されており、上記透明基材層の上に、上記透明層が配置されていることが、好適な態様の一つである。
図5は本発明の積層体の一実施態様を示す断面図である。
図5に示す積層体50は、加飾層31と、加飾層31上に配置された接着剤層32と、接着剤層32上に配置された透明基材層51と、透明基材層51上に配置された透明層33とを含む。すなわち、
図5に示す積層体50では、
図3に示す積層体の接着剤層32と透明層33との間に、透明基材層51が配置されている。
また、本発明の積層体において、上記加飾層の上に、上記接着剤層が配置されており、上記接着剤層の上に、上記透明基材層が配置されており、上記透明基材層の上に、上記樹脂層が配置されており、上記樹脂層の上に、上記透明層が配置されている(例えば、
図4に示す積層体の接着剤層42と樹脂層43との間に、上記透明基材層が配置されている)ことも、好適な態様の一つである。
また、
図1に示す積層体の加飾層11と透明層12との間、及び、
図2に示す積層体の加飾層21と樹脂層22との間に、上記透明基材層を配置してもよい。
【0351】
上述した各積層体において、上記加飾層の下に、上記接着剤層が配置されていることも、本発明の積層体を様々な用途に適用できることから、好ましい。一例として、上記加飾層の上に上記透明層が配置されている積層体において、当該加飾層の下に上記接着層が配置されている態様を説明する。
図6は本発明の積層体の一実施態様を示す断面図である。
図6に示す積層体60は、接着剤層61と、接着剤層61上に配置された加飾層11と、加飾層11上に配置された透明層12とを含む。すなわち、
図6に示す積層体60では、
図1に示す積層体の加飾層11の下に、接着剤層61が配置されている。
【0352】
本発明の積層体は、上記加飾層を形成する工程及び上記透明層を形成する工程を含む製造方法により製造できる。上記製造方法において、各工程の実施順序は限定されない。
【0353】
上記加飾層の形成方法は上述したとおりである。
【0354】
上記透明層の形成方法としては、上記パーフルオロ(ポリ)エーテル基を有する化合物を含む組成物を適用する方法が挙げられる。
【0355】
上記組成物は、更に、上述した硬化性樹脂、上述した硬化性モノマー及び上述した含ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことができる。この場合、上記適用の後、加熱又は光照射することにより、硬化性樹脂を硬化させることにより得られる樹脂、硬化性モノマーを硬化させることにより得られる樹脂、及び、含ケイ素化合物を用いて形成されたポリシロキサン構造を含む樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含む上記透明層を形成可能である。
【0356】
上記光としては、活性エネルギー線、例えば、350nm以下の波長領域の電磁波、つまり紫外光線、電子線、X線、γ線等が挙げられる。
【0357】
上記組成物は、溶剤を含むことが、上記組成物の適用が容易になることから好ましい。上記溶剤としては、炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(C
3F
7OCH
3)、パーフルオロブチルメチルエーテル(C
4F
9OCH
3)、パーフルオロブチルエチルエーテル(C
4F
9OC
2H
5)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(C
2F
5CF(OCH
3)C
3F
7)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい))、ハイドロクロロフルオロカーボン(アサヒクリンAK−225(商品名)等)、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶剤;ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、ヒドロフルオロエーテル、プロピレングリコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤が好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテル(C
4F
9OCH
3)および/またはパーフルオロブチルエチルエーテル(C
4F
9OC
2H
5)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールが特に好ましい。
【0358】
上記組成物は、上述した架橋触媒、上述した増感剤、上述した酸補足剤等を含むこともできる。
【0359】
上記組成物を適用する方法としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、バーコーティング、ダイコーティング、スクリーン印刷および類似の方法が挙げられる。
【0360】
上記透明層が上記微細凹凸パターンを有する場合には、上記透明層を形成する工程において、上記組成物を適用して上記透明層を形成した後、上記透明層にモールドを押し付けることによって、上記透明層に上記微細凹凸パターンを形成できる。
【0361】
上記モールドの押し付けは、上記組成物を適用した後であって、上記加熱又は上記光照射する前に実施することが好ましい。
【0362】
上記モールドの材質としては、目的、必要に応じて適宜選択することができるが、例えば、金属、金属酸化物、石英、シリコーン等の高分子樹脂、半導体、絶縁体、又はこれらの複合体などが挙げられる。
【0363】
上記モールドの形状は、特に限定されず、ロール状又は平板状であってよい。なかでも、外周面に微細凹凸構造が形成されたロール状が、長時間、連続的にナノインプリントフィルムを製造するロール・ツー・ロール法を行うことができるため、好ましい。
【0364】
上記透明層に上記微細凹凸パターンを形成する方法としては、上記モールドの押し付け以外に、例えば、熱プレス法(エンボス法)、射出成形法、ゾルゲル法等の複製法、微細凹凸賦形シートのラミネート法等が挙げられ、使用する材料等に応じて好適な方法を適宜選択することができる。
【0365】
本発明の積層体が上記透明基材層を含む場合は、上記透明層を形成する工程において、上記組成物を上記透明基材層上に適用することが好ましい。この態様においては、上記透明層を形成する工程の後、上記透明基材層の上記透明層と反対側の面に上記加飾層を配置することが好ましい。
【0366】
本発明の積層体が上記樹脂層を含む場合、上記加飾層を形成する工程、上記樹脂層を形成する工程及び上記透明層を形成する工程を含む製造方法により製造できる。上記製造方法において、各工程の実施順序は限定されない。
【0367】
上記加飾層の形成方法は上述したとおりである。
【0368】
上記樹脂層の形成方法としては、上述した硬化性樹脂、上述した硬化性モノマー及び上述した含ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含む組成物(a)を適用した後、加熱又は光照射する方法が挙げられる。
【0369】
上記組成物(a)は、溶剤を含むことが、上記組成物(a)の適用が容易になることから好ましい。上記溶剤としては、炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(C
3F
7OCH
3)、パーフルオロブチルメチルエーテル(C
4F
9OCH
3)、パーフルオロブチルエチルエーテル(C
4F
9OC
2H
5)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(C
2F
5CF(OCH
3)C
3F
7)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい))、ハイドロクロロフルオロカーボン(アサヒクリンAK−225(商品名)等)、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶剤;ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、ヒドロフルオロエーテル、プロピレングリコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤が好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテル(C
4F
9OCH
3)および/またはパーフルオロブチルエチルエーテル(C
4F
9OC
2H
5)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールが特に好ましい。
【0370】
上記組成物(a)は、上述した架橋触媒、上述した増感剤、上述した酸補足剤等を含むこともできる。
【0371】
上記組成物(a)を適用する方法としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、バーコーティング、ダイコーティング、スクリーン印刷および類似の方法が挙げられる。
【0372】
上記光としては、活性エネルギー線、例えば、350nm以下の波長領域の電磁波、つまり紫外光線、電子線、X線、γ線等が挙げられる。
【0373】
上記透明層の形成方法としては、上記パーフルオロ(ポリ)エーテル基を有する化合物を含む組成物(b)を適用する方法が挙げられる。
【0374】
上記組成物(b)は、溶剤を含むことが、上記組成物(b)の適用が容易になることから好ましい。上記溶剤としては、炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(C
3F
7OCH
3)、パーフルオロブチルメチルエーテル(C
4F
9OCH
3)、パーフルオロブチルエチルエーテル(C
4F
9OC
2H
5)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(C
2F
5CF(OCH
3)C
3F
7)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい))、ハイドロクロロフルオロカーボン(アサヒクリンAK−225(商品名)等)、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶剤;ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチルなどのエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、ヒドロフルオロエーテル、プロピレングリコール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤が好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテル(C
4F
9OCH
3)および/またはパーフルオロブチルエチルエーテル(C
4F
9OC
2H
5)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールが特に好ましい。
【0375】
上記組成物(b)を適用する方法としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、マイクログラビアコーティング、バーコーティング、ダイコーティング、スクリーン印刷および類似の方法が挙げられる。
【0376】
上記透明層が上記微細凹凸パターンを有する場合には、上記透明層を形成する工程において、上記樹脂層に上記組成物(b)を適用して上記透明層を形成した後、上記透明層にモールドを押し付けることによって、上記樹脂層及び上記透明層に上記微細凹凸パターンを形成できる。
【0377】
また、上記組成物(b)をモールドに適用した後、上記樹脂層にモールドを押し付けることによって、上記透明性を形成すると同時に、上記樹脂層及び上記透明層に上記微細凹凸パターンを形成してもよい。
【0378】
上記モールドの押し付けは、上記組成物(a)又は上記組成物(a)及び(b)を適用した後であって、上記加熱又は上記光照射する前に実施することが好ましい。
【0379】
上記モールドの材質としては、目的、必要に応じて適宜選択することができるが、例えば、金属、金属酸化物、石英、シリコーン等の高分子樹脂、半導体、絶縁体、又はこれらの複合体などが挙げられる。
【0380】
上記モールドの形状は、特に限定されず、ロール状又は平板状であってよい。なかでも、外周面に微細凹凸構造が形成されたロール状が、長時間、連続的にナノインプリントフィルムを製造するロール・ツー・ロール法を行うことができるため、好ましい。
【0381】
上記樹脂層及び上記透明層に上記微細凹凸パターンを形成する方法としては、上記モールドの押し付け以外に、例えば、熱プレス法(エンボス法)、射出成形法、ゾルゲル法等の複製法、微細凹凸賦形シートのラミネート法等が挙げられ、使用する材料等に応じて好適な方法を適宜選択することができる。
【0382】
本発明の積層体が上記透明基材層を含む場合は、上記樹脂層を形成する工程において、上記組成物(a)を上記透明基材層上に適用することが好ましい。この態様においては、上記樹脂層を形成する工程及び上記透明層を形成する工程の後、上記透明基材層の上記樹脂層と反対側の面に上記加飾層を配置することが好ましい。
【0383】
上述した製造方法は、いずれも、接着剤層を形成する工程を含むものであってもよい。例えば、
図3に示す積層体30の製造方法としては、上記透明層を形成する工程の後、上記接着剤を上記透明層又は上記加飾層に適用し、上記加飾層と上記透明層とを上記接着剤層を介して貼り合わせる方法が挙げられる。
【0384】
上記接着剤は、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアナイフコート、ダイコート等の方法により適用できる。上記接着剤を適用する際、必要に応じて任意の希釈溶剤、例えば1−メトキシ−2−プロパノール、酢酸nブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、アセトン等を使用することができる。
【0385】
本発明の積層体は、各種の部品の表面に配置することができ、例えば、自動車内装用部品として好適に利用可能である。例えば、次の用途に適用できる。
センターパネル、センタークラスター、センターコンソール周辺、車載タッチパネル、オーディオパネル・ナビ周り、ドア部に装着するオーナメント、座席周辺の小物パーツ、ホイールオーナメント、ヒーターコントロールパネル、ディスプレイカバー、インストルメントパネル(インパネ)、コンソールボックス、エアコン吹き出し口、カップホルダー、グラブボックス、シフトパネル、アッシュトレイ、ドアトリムオーナメント、ガーニッシュ、メータークラスター、センクラサイドパネル、メーターベゼル、オーナメントパネル、メーターカバー、ドアロックペゼル、ステアリングホイール、パワーウィンドゥスイッチベース、ダッシュボード
【0386】
また、本発明の積層体は、次の用途にも適用できる。
各種乗り物の内外装用部材:電車、航空機、船舶等
家具、家電:AV機器、家具製品等のフロントパネル、ボタン、エンブレム、表面化粧材等、携帯電話等のハウジング、表示窓、ボタン等
建材:家具用外装材、壁面、天井、床等の建築用内装材、サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の建築用外装材、窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居等の表面化粧材
その他:瓶、化粧品容器、小物入れ等の各種包装容器、包装材料、小物等の雑貨
【実施例】
【0387】
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0388】
実施例1
(金型の製造)
半径が約300mm、ロール幅が約1500mmの円筒形のニッケル(Ni)スリーブを用意した。このニッケルスリーブをアルカリ脱脂した後、純水を用いて水洗を行った(洗浄工程)。次に、ニッケルスリーブを電着液に浸漬させ、電着処理によりニッケルスリーブ表面に樹脂を成膜した(電着工程)。電圧は30〜40Vとし、300秒間、電着処理を行った結果、厚み7μmの電着膜(絶縁膜)が形成された。
続いて、スパッタコーティングにより、絶縁膜上に膜厚10μmのアルミニウム(Al)膜を成膜した。
次に、ニッケルスリーブを0.1mol/lのシュウ酸溶液に浸漬して18℃で35秒間電解した後、純水に浸漬させて水洗を行った(陽極酸化工程)。続いて、0.3mol/lのリン酸溶液に浸漬して18℃で19分間エッチングを行い、再度、純水に浸漬させて水洗を行った(エッチング工程)。
上記陽極酸化工程及びエッチング工程のサイクルを6回繰り返し、最後に陽極酸化工程を行って工程を終了させた。このような陽極酸化工程とエッチング工程との繰り返し工程を連続的に行うことで、異常成長粒子が形成され、隣り合う穴(凹部)の底点間の距離が380nm以下であり、かつアルミニウム膜の内部に向かって先細りの形状(テーパ形状)をもつ微小な穴を多数形成することができる。
これより、アルミナ(Al
2O
3)表面の円筒形の金型を完成させた。
【0389】
(防汚剤A(パーフルオロ(ポリ)エーテル基を有する化合物)の製造)
まず、反応器において、住友バイエルウレタン社製の「スミジュールN3300」(ヘキサメチレンジイソシアナートの環状三量体、NCO基の含有率:21.9%)57gを、日本ゼオン社製の「ゼオローラ(登録商標)H」1300gに溶解させ、和光純薬工業社製のジブチルスズジラウレート(一級試薬)0.1gを添加した。その後、室温で撹拌しながら、「CF
3CF
2O−(CF
2CF
2CF
2O)
11−CF
2CF
2CH
2OH」244gを滴下し、室温で終夜撹拌し続けた。その後、40℃に加温し、ヒドロキシエチルアクリレート24.4gを滴下して撹拌した。反応の終点は、IRによってNCOの吸収が完全に消失した時点とした。その結果、防汚剤Aが得られた。防汚剤A中の有効成分の含有率は、20重量%であった。
【0390】
(積層体の製造)
転写用樹脂として、新中村化学工業社製のウレタンアクリレート(製品名:UA−7100):31重量%、新中村化学工業社製の多官能アクリレート(製品名:ATM−35E):40重量%、新中村化学工業社製の多官能アクリレート(製品名:A−TMM−3LM−N):27.5重量%、BASF社製の光重合開始剤(製品名:IRGACURE819):1.5重量%を混合したモノマー混合物に、防汚剤Aを5%添加し、トリアセチルセルロース上にグラビアコート法で溶液の塗布を行った。作成した金型を用い、転写速度約5m/minでロール・ツー・ロール法にて微細凹凸構造を転写した後、600mJ/cm
2のUV照射にて樹脂を硬化させ、積層体フィルムを作製した。
こうして得られた積層体フィルムを、別途加飾層として作成した黒色フィルムの上に貼り合わせ、積層体Iを得た。
【0391】
比較例1
防汚剤Aを添加しない点以外は実施例1と同様の方法を用いて、積層体IIを得た。
【0392】
実施例及び比較例で得られた積層体の透明層側の接触角の測定、防汚性・意匠性の検証を以下の方法により実施した。結果を表1に示す。
【0393】
(接触角・防汚性)
接触角測定装置(協和界面科学社製 接触角計DM701)を用い、1μlの水又は2μlのn−ヘキサデカン(HD)を滴下した後、滴下の1秒後に接触角を測定した。測定後、それぞれの液滴をティッシュで拭き取り、拭き取り性を以下のように評価した。
○:液滴の跡が残らない。
△:液滴の跡が僅かに残る。
×:液滴の跡がはっきり残る。
【0394】
(意匠性)
蛍光灯の光の下での積層体の加飾層の黒色の見え方を目視により以下のように評価した。
○:蛍光灯の映り込みがほぼ無く、加飾層の黒色が漆黒に見える。
△:蛍光灯の映り込みがわずかにあり、加飾層の黒色は漆黒というほどではない。
×:蛍光灯の映り込みが激しく、加飾層の黒色は漆黒ではない。
【0395】
また、実施例及び比較例で得られた積層体の透明層側の最表面のフッ素含有量(F atomic conc.)を、株式会社島津製作所製X線光電子分析装置ESCA−3400による表面元素の測定で(深さ方向約10nm)求めた。結果を表1に示す。
【0396】
【表1】