(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。ただし、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための光照射装置を例示するものであって、以下に限定するものではない。図面に示す光照射装置の部材および被処理体である媒体は、説明を明確にするために、大きさや位置関係等を誇張していることがあり、また、形状を単純化していることがある。また、以下の説明において、同一のまたは同質の部材については、同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0012】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る光照射装置の構成について、
図1および
図2を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る光照射装置の要部の構成を示す側面に平行な断面図である。
図2は、実施形態に係る光照射装置による媒体の搬送を説明するモデルであって、(a)は
図1の要部に相当し、(b)、(c)は(a)の部分拡大図である。本明細書において、光照射装置とは、加熱されることによって膨張する層を備えたシート状の媒体である熱膨張性シートを被処理体とし、光を照射して、前記層を膨張させて立体画像を製造する装置である。
【0013】
(光照射装置)
図1に示すように、本実施形態に係る光照射装置10は、熱膨張性シート(媒体)9に光を照射する光照射部(光照射手段)2、熱膨張性シート9を白抜き矢印で示す一方向(図中、右方向)に搬送する駆動ローラ51〜55およびシート押さえ板56からなるシートローダ(搬送手段)50、放熱ローラ46、案内板61〜64、および光照射部2近傍を冷却する冷却器3を筐体11(前面と後面の一部を示す)の内部に備える。光照射装置10はさらに、光照射部2の温度を検知する温度センサ42、主駆動ローラ55の温度を検知する温度センサ45、熱膨張性シート9の裏面に付されたバーコード類を読み取る読取り機43およびミラー44、光照射装置10の動作を制御する制御回路(図示省略)、ならびに、筐体11の外側に設けられた、熱膨張性シート9を載置する供給トレイ12、光照射後の熱膨張性シート9(立体画像)が排出されるための排出トレイ13、運転操作のためのスイッチ類や表示パネル(図示省略)等を備える。本実施形態に係る光照射装置10は、熱膨張性シート9を水平にして搬送しながら、上面に光を照射する構造である。なお、本明細書においては、別途記載のない限り、
図1、
図2およびその他の断面図における上下を同じく上下として説明する。ここで、
図2(b)を参照して、熱膨張性シートについて説明する。
【0014】
(熱膨張性シート)
熱膨張性シート9は、基材92と、その一方の面上に一定の厚さに積層された熱膨張層91とを備える。熱膨張層91は、熱可塑性樹脂をバインダとして熱膨張性のマイクロカプセルを含有する。マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂で形成され、揮発性溶媒を内包し、膨張温度域、具体的には前記熱可塑性樹脂や揮発性溶媒の種類にもよるが約80℃以上に加熱されると、加熱温度、さらには加熱時間に応じた大きさに膨張する。熱膨張層91の膨張温度域における最小値(前記約80℃)を、膨張開始温度T
sと称する。膨張温度域での加熱により、熱膨張層91は、最大で膨張前の10倍程度の厚さに膨張させることができる。そのため、熱膨張性シート9は、部分的に加熱されることで、この部分で熱膨張層91が発泡、膨張して厚さが増大して、熱膨張層91を設けた側の表面に凹凸が形成される。基材92は、表面で熱膨張層91を支持して、熱膨張層91が部分的に膨張したときに熱膨張性シート9が皺を生じたり大きく波打ったりしない程度の強度(剛性)を有し、かつ、裏面に形成された光熱変換層93(
図2(b)参照)が放出した熱を表面側の熱膨張層91へ十分に伝播させることのできる材料および厚さで形成される。具体的には、基材92は、厚口の紙等からなる。このような基材92を備えることにより、熱膨張性シート9は、可撓性と剛性とを有する。
【0015】
熱膨張性シート9は、所望の領域に限定して、かつ所望の高さの凸状に形成するために、光照射装置10での処理前に、熱膨張層91側の表面または基材92側の表面(以下、裏面)、あるいは両面に、特定の波長域の光、例えば近赤外線(波長780nm〜2.5μm)を熱に変換する材料を付着される。具体的にはカーボンブラックを含有する一般的な印刷用の黒色インクで、前記領域の形状で濃淡を有する2次元パターンである光熱変換層93を印刷されている。黒色インクの濃い、より黒く、すなわちカーボンブラックの濃度の高い領域ほど光を照射されたときの発熱温度が高く、その結果、この領域における熱膨張層91がより大きく膨張して高い凸状の表面に形成される。熱膨張性シート9は、凹凸によらない画像が表面に付された立体画像とするために、光照射装置10での処理前にさらに、表面、すなわち熱膨張層91の表面に、黒色インクを含まない色インクで所望の画像パターン(図示せず)を印刷されていてもよい。なお、画像パターンにおける黒色は、色インクの混色で表現する。画像パターンは、光熱変換層93と同様に、一般的な印刷機を使用して印刷することができる。以下、光照射装置に戻り、各部材の構成について、詳細に説明する。
【0016】
(光照射部)
光照射部2は、光照射装置10における主要部材であり、水平に搬送される熱膨張性シート9の上面に光を照射するように、熱膨張性シート9の搬送経路の上方に設けられる。光照射部2は、熱に変換される近赤外線を含む光を放射する光源21、および反射板22を備え、熱膨張性シート9の、搬送方向での所定長さの範囲において、搬送幅方向(搬送方向に直交する方向)における全体(全幅)に光を照射する。この、光照射部2から光を照射される範囲を光照射領域1i(
図2参照)と称する。光源21は、例えばハロゲンランプであり、熱膨張性シート9へその全幅にわたって設けられる。反射板22は、光源21から熱膨張性シート9へ光を効率的に照射するために設けられ、略半円柱の柱面形状の曲面に形成されて内側に鏡面を有し、光源21の熱膨張性シート9と対向する側の反対側、すなわち上側を覆う。光照射領域1iは光照射部2の直下であり、搬送方向においては、反射板22の内面の両端間(始端から終端まで)である。
【0017】
(シートローダ)
シートローダ50は光照射装置10における搬送機構であり、熱膨張性シート9を、光照射領域1iを通過するように水平に搬送する。なお、
図1、
図2、および以降の断面図において、搬送方向は右向きに示され、すなわち図中右側が前である。シートローダ50は、搬入側駆動ローラ51,52、搬出側駆動ローラ53,54、主駆動ローラ55、およびシート押さえ板56を備える。一対の搬入側駆動ローラ51,52は、熱膨張性シート9を、光照射領域1iの後方(搬入側)において上下面から挟持するように配置される。別の一対の搬出側駆動ローラ53,54は、熱膨張性シート9を、光照射領域1iの前方(搬出側)において上下面から挟持するように配置される。主駆動ローラ55およびシート押さえ板56は、搬入側駆動ローラ51,52と搬出側駆動ローラ53,54の間において、熱膨張性シート9を両面から挟持するように配置される。シートローダ50はさらに、モータ、およびプーリやギア等を備える(図示省略)。
【0018】
主駆動ローラ55は、熱膨張性シート9の、光を照射される側の反対側、すなわち下側に配置され、上側に配置されたシート押さえ板56と共に、熱膨張性シート9を両面から挟持した状態で回転駆動する。詳しくは、主駆動ローラ55は、熱膨張性シート9を、シート押さえ板56に押さえ付けて摺動させながら当該主駆動ローラ55単独で搬送する。そのため、主駆動ローラ55は、シート押さえ板56と共に熱膨張性シート9を全幅にわたって両面から挟持することができるように、搬送幅方向すなわち軸方向において、熱膨張性シート9の長さ(幅)以上に形成されることが好ましい。主駆動ローラ55は、このような搬送幅方向長さとすることにより、熱膨張性シート9との接触面積を広くして、接触面でスリップさせ難くすることができる。また、主駆動ローラ55が、熱膨張性シート9の全幅にわたって均一に接触するので、熱膨張性シート9に搬送幅方向における温度ムラを生じさせない。また、詳しくは後記するように、主駆動ローラ55は、可撓性とある程度の剛性とを有する熱膨張性シート9を、水平な平板状のシート押さえ板56の下面に下から押し付けて、接触部分(
図2(b)に示す接触領域1c)において平坦かつ水平に保持する。これにより、熱膨張性シート9を、前記接触部分の前側において、把持されていなくても垂れ下がり難くして、主駆動ローラ55に接触させないようにしている。主駆動ローラ55が熱膨張性シート9の全幅にわたって設けられることで、保持面積(接触部分)を広くして、前記効果を高くすることができる。また、このような主駆動ローラ55により、搬送幅方向において、主駆動ローラ55の長さ以下であれば熱膨張性シート9の寸法が限定されず、同条件で処理することができる。言い換えれば、光照射装置10は、被処理体とする最大寸法の熱膨張性シート9に合わせて、主駆動ローラ55や光照射部2等が設計される。
【0019】
主駆動ローラ55は、他の駆動ローラ51〜54に対して、光照射領域1iに最も近い位置で熱膨張性シート9を挟持し、好ましくは光照射領域1i内で挟持するように配置される。そのため、主駆動ローラ55は、外周面(熱膨張性シート9との接触面)に、耐熱ゴム等の耐熱性で、さらに熱伝導性の低い部材(表面部材)55oを備えることが好ましい。主駆動ローラ55は、熱伝導性が高いと、近傍に配置された光照射部2から熱を伝達されて熱せられ易く、特に光照射領域1iに配置されていると、シート押さえ板56および熱膨張性シート9を介して光照射部2から光を照射されていっそう高温になり易い。その結果、主駆動ローラ55の表面温度を一定の温度範囲に維持しながら運転することが困難になって、複数枚の熱膨張性シート9の連続処理、さらには1枚が前端から後端まで処理される間の熱膨張性シート9の温度が変化して膨張高さが不均一になる。さらには主駆動ローラ55が過剰に高温になって、接触した熱膨張性シート9を不要に膨張させる虞がある。なお、本明細書において、耐熱性とは、光照射部2によって加熱されたその周辺部材や熱膨張性シート9の最高温度、すなわち熱膨張層91を膨張させるための加熱温度に対する耐熱性を指す。
【0020】
また、主駆動ローラ55は、外周面、すなわち表面部材55oの表面が適度な摩擦を有することが好ましい。前記したように、主駆動ローラ55は、熱膨張性シート9をシート押さえ板56に押さえ付けて摺動させながら搬送するために、熱膨張性シート9をスリップさせないような摩擦を有するものとする。また、主駆動ローラ55は、表面部材55oが弾性を有することが好ましく、さらに、熱膨張性シート9の熱膨張層91と同等以上に軟質であることがより好ましい。具体的には、表面部材55oが、ゴム硬度で30°〜70°に相当する軟質性を有することが好ましい。主駆動ローラ55は、表面部材55oが弾性を有することにより、熱膨張性シート9を、弾性のないシート押さえ板56に部分的に浮き上がらない程度に強く押圧して挟持することができ、また、表面部材55oが軟質性を有することにより、外周面の摩擦と併せて熱膨張性シート9をスリップさせることなく搬送することができる。そのために、主駆動ローラ55は、シート押さえ板56との間隙が、熱膨張性シート9の厚さよりも僅かに小さくするように配置される。なお、熱膨張性シート9の厚さとは、記載のない限り、熱膨張層91が膨張する前における厚さを指すものとする。さらに主駆動ローラ55は、表面部材55oが軟質であることにより、処理した熱膨張性シート9の表面(熱膨張層91)に跡を付け難い。さらに主駆動ローラ55は、弾性を有する軟質な表面部材55oにより、熱膨張性シート9を、水平な平板状のシート押さえ板56の下面に下から押し付けて、接触部分で搬送方向にある程度の長さを有して平坦かつ水平に保持する。ただし、主駆動ローラ55の表面部材55oが軟らか過ぎると、熱膨張性シート9をシート押さえ板56に押し付ける力が弱くなって、熱膨張性シート9が平坦に保持され難くなり、さらには搬送に不具合を生じる虞がある。熱膨張性シート9が主駆動ローラ55とシート押さえ板56の両方に接触して挟持されている接触部分を、接触領域1c(
図2(b)参照)と称する。
【0021】
主駆動ローラ55は、熱膨張性シート9を、光照射領域1i内でシート押さえ板56と共に挟持するように配置されることが好ましく、具体的には、搬送方向において、接触領域1cの少なくとも一部が光照射領域1i内に位置することを指す。主駆動ローラ55がこのような位置に配置されて、熱膨張性シート9が光照射領域1i内で挟持されることにより、光照射領域1iにおいて、熱膨張性シート9の上下位置のずれ、すなわち光照射部2からの距離のずれが抑制されるので、熱膨張性シート9に到達する光の強度が安定する。また、主駆動ローラ55は、少なくとも一部が光照射領域1iに含まれるので、光照射部2から光を照射されることによって加熱され、後記するように熱膨張性シート9の予備加熱手段とすることができる。主駆動ローラ55は、接触領域1c中心すなわち軸が光照射領域1i内に配置されることがより好ましく、接触領域1cの全体が光照射領域1i内に位置するように配置されることがさらに好ましい。本実施形態に係る光照射装置10においては、主駆動ローラ55は、光照射領域1iの中心を接触領域1cの中心すなわち主駆動ローラ55の軸の位置として熱膨張性シート9に接触するように配置されて、接触領域1cの全体が光照射領域1iに内包されている。接触領域1cの光照射領域1i内における位置によるその他の作用効果については、後記の光照射装置の動作にて説明する。
【0022】
本実施形態において、主駆動ローラ55は、熱膨張性シート9の搬送機構(シートローダ50)の要部であると共に、熱膨張性シート9の予備加熱手段である。光照射装置10によれば、熱膨張性シート9が、光照射領域1iにおける光照射部2から照射される光による光熱変換層93の発熱に加えて、接触領域1cで接触した主駆動ローラ55からの熱の伝導によっても加熱される。熱膨張性シート9が搬送されて、接触領域1cで主駆動ローラ55に接触して、主駆動ローラ55から離間した後、すなわち接触領域1cを通過した後、引き続き光照射領域1iにおいて光を照射されて一定の時間を経てから熱膨張層91の膨張が開始される。光源21の出力の効率上、前記一定の時間が短いことが好ましく、そのために、主駆動ローラ55の外周面の温度(表面温度)T
roは、熱膨張層91の膨張開始温度T
sよりも低い範囲においてより高いことが好ましい。一方で、表面温度T
roが膨張開始温度T
sに近過ぎると、光熱変換層93の濃度に基づいた膨張高さに制御することが困難になる場合がある。さらには、熱膨張性シート9が、接触領域1cを通過した直後の主駆動ローラ55に近接した状態や接触領域1c内を進行している間に膨張開始温度T
sに達して、熱膨張層91が主駆動ローラ55に膨張した箇所で接触したり押し潰された状態で膨張しようとすることになる。その結果、熱膨張層91が光熱変換層93に基づいた膨張高さとならない。具体的には、主駆動ローラ55の表面温度T
roは、膨張開始温度T
sよりも10〜30℃程度低い、所定の温度に制御されることが好ましい。主駆動ローラ55は、このような表面温度T
roに、前記したように、熱膨張性シート9を介して光照射部2から光を照射されることによって加熱され、さらに、放熱ローラ46に接触させることによって、所定の温度を超えて高くなることがないように制御される。
【0023】
本実施形態に係る光照射装置10において、主駆動ローラ55は、径が大きいことが好ましい。径が大きいほど外周面が平面に近付くので、熱膨張性シート9をシート押さえ板56に押し付けて水平に保持する接触領域1cを、搬送方向に長く(広く)設けることができる。これにより、可撓性を有する熱膨張性シート9が、その前端が接触領域1cを通過した後、搬出側駆動ローラ53,54間に挟持される前において、自重により垂れ下がることを遅らせて、少なくとも光照射領域1iを通過するまで、上下方向の位置、すなわち光照射部2からの距離のずれを抑制する。なお、熱膨張性シート9は、主に基材92によりある程度の剛性を有しているので、この剛性(撓み難さ)によって、接触領域1c外においてある程度、主駆動ローラ55の外周面から離間して浮き上がるように水平またはそれに近い状態を保持する。したがって、本実施形態に係る光照射装置10は、原則として、熱膨張性シート9が、接触領域1cを通過した後には主駆動ローラ55と接触しない構成とする。ただし、不具合で熱膨張性シート9が下に垂れ下がっても、前方へ大きく張り出した主駆動ローラ55で受け止められるのでそれよりも下へ落ちず、設計上の搬送経路から大きく外れ難く、例えば紙詰まりのような重度の異常に至らない。一方で、主駆動ローラ55は、径が大き過ぎると、熱膨張性シート9が接触領域1cを通過した後に不規則に接触し易くなる。特に、熱膨張性シート9は、熱膨張層91が膨張すると、この熱膨張層91の側(表面)を内側にして丸まるように変形する傾向があるため、裏面を上に向けて光を照射されると、主駆動ローラ55の外周面に沿う形状に湾曲し易い。そして、表面(熱膨張層91)が局所的に主駆動ローラ55に接触すると、温度が変化して膨張高さにばらつきが生じる虞がある。また、熱膨張性シート9との接触面(接触領域1c)が過剰に広くなり、これにより、主駆動ローラ55とシート押さえ板56の間で蓄熱して、熱膨張性シート9が過剰に高温になって熱膨張層91が異常に膨張する虞がある。また、熱膨張性シート9のシート押さえ板56に押さえ付けられている面積が広くなるので、摺動における摩擦が増大する等、搬送に不具合を生じる虞がある。さらには、主駆動ローラ55は、径が大きいほど、光照射部2で所定の表面温度T
roに加熱することが困難になる。これらのことに基づいて、主駆動ローラ55は適切な径に設計される。
【0024】
シート押さえ板56は、熱膨張性シート9の光を照射される側、すなわち上側に配置されて、主駆動ローラ55と共に熱膨張性シート9を挟持する板状の部材であり、熱膨張性シート9を接触面で摺動させて、主駆動ローラ55のみの回転駆動によって搬送させる。シート押さえ板56は、熱膨張性シート9を搬送幅方向において均一に押圧して主駆動ローラ55に接触させるために、主駆動ローラ55と同様、搬送幅方向において熱膨張性シート9の長さ(幅)以上に形成されることが好ましい。また、シート押さえ板56は、少なくとも熱膨張性シート9に接触する部分(接触領域1c)において、この接触面が平坦で、かつ水平にして配置され、摩擦が小さいことが好ましい。さらに本実施形態においては、シート押さえ板56は、主駆動ローラ55と共に光照射領域1i内に設けられるため、十分な耐熱性と、光照射部2が照射する光、特に近赤外線に対するできるだけ高い透過性とを有する材料で形成されることが好ましい。このような材料として、例えばガラス板が適用される。シート押さえ板56は、このような透過性の高い材料で形成されるので、熱膨張性シート9に到達する光の減衰が少なく、光源21の出力の効率の低下が抑制され、また、光照射部2が照射する光を吸収し難く、発熱して高温になることがない。
【0025】
シート押さえ板56は、搬送方向において、搬送されてくる熱膨張性シート9の前端を主駆動ローラ55との間に挿入させ易くするために、少なくとも、接触領域1cの全体およびその後方(搬入側)へある程度張り出して配置されることが好ましい。本実施形態に係る光照射装置10においては、シート押さえ板56は、この最小長さとし、搬送幅方向に細長い長方形の平板形状で板面を水平にして配置される。搬送方向に短いシート押さえ板56とすることにより、熱膨張性シート9がシート押さえ板56と主駆動ローラ55に間隙なくまたは狭い間隙で挟まれた領域を短くして、熱膨張性シート9に発生した熱が逃げずに蓄熱されることを抑制する。このような構成により、複数枚の熱膨張性シート9の連続処理、さらには1枚が前端から後端まで処理される間の熱膨張性シート9の温度を管理し易く、均一に(光熱変換層93の濃度等に基づく設定どおりに)膨張させることができる。また、光照射部2から照射された光の光照射領域1iの終盤における一部がシート押さえ板56を透過せずに直接に熱膨張性シート9に到達するため、光照射部2による加熱が高効率になる。また、熱膨張性シート9が接触領域1cを通過した直後にその上側が空くので、熱膨張層91の側(表面)に光を照射しても(
図2(c)参照)、熱膨張層91の膨張が妨げられず、またシート押さえ板56に接触しないので温度のばらつきがない。
【0026】
搬入側駆動ローラ51,52および搬出側駆動ローラ53,54は、主駆動ローラ55とシート押さえ板56による熱膨張性シート9の搬送を補助するために設けられる。これらの駆動ローラ51〜54は、熱膨張性シート9に接触しても熱膨張層91の膨張に影響を与えないように、搬入側駆動ローラ51,52は主駆動ローラ55の表面温度T
ro以上に加熱されないように、搬出側駆動ローラ53,54は熱膨張層91の膨張開始温度T
s以上に加熱されないように、それぞれ光照射部2から十分に距離を空けて配置される。ただし、搬入側駆動ローラ51,52および搬出側駆動ローラ53,54は、主駆動ローラ55(接触領域1c)との間隔が長いと、熱膨張性シート9を光照射領域1iにおいて平坦な状態を保持して搬送することが困難になるため、前記各温度に加熱されない程度に主駆動ローラ55に近い位置に配置されることが好ましい。
【0027】
搬入側駆動ローラ51,52は、熱膨張性シート9を挟持する上下位置を、
図2(a)に示すようにその前方の搬入案内板62による熱膨張性シート9の支持位置と同じ、またはそれよりも少しだけ上方になるように配置されることが好ましい。このような構造により、搬入側駆動ローラ51,52間を通過した熱膨張性シート9の前端が、搬入案内板62の上面から浮き上がらずに摺動して搬送されるので、シート押さえ板56の水平な接触面(下面)に対して間隙を有する高さ位置に搬送され、主駆動ローラ55とシート押さえ板56の間に不具合なく進入して挟持される。一方、搬出側駆動ローラ53,54は、熱膨張性シート9を挟持する上下位置を、主駆動ローラ55とシート押さえ板56による挟持位置と同じになるように配置されることが好ましい。このような構造により、熱膨張性シート9は、主駆動ローラ55とシート押さえ板56、および搬出側駆動ローラ53,54によって前後で水平に挟持される。
【0028】
搬入側駆動ローラ51,52および搬出側駆動ローラ53,54は、搬送幅方向における熱膨張性シート9を挟持する位置や範囲を規定されない。ただし、熱膨張性シート9を搬送幅方向に傾かせないように、搬入側駆動ローラ51,52および搬出側駆動ローラ53,54は、それぞれ搬送幅方向に広がって、または2箇所以上に分散して挟持することが好ましい。また、前記したように、本実施形態に係る光照射装置10は、主駆動ローラ55およびシート押さえ板56の全幅(光照射部2から光を照射される範囲)以下であれば、熱膨張性シート9の搬送幅方向の寸法が限定されない。そこで、本実施形態に係る光照射装置10では、駆動ローラ51〜54がそれぞれ搬送幅方向の両端(両縁)近傍の2箇所を含む4箇所に等間隔に設けられ、すなわち1本の軸に4個ずつ設けられる。このような構成により、光照射装置10は、熱膨張性シート9がその搬送幅方向に短くても、少なくとも2箇所で挟持される長さ(全幅の約1/3)であれば、傾かせずに搬送して処理することができる。
【0029】
駆動ローラ51〜54は、主駆動ローラ55と同様に弾性を有し、かつ熱膨張性シート9の熱膨張層91と同等以上に軟質な(ゴム硬度で30°〜70°に相当する)部材を外周面に備えることが好ましい。また、搬入側駆動ローラ51,52および搬出側駆動ローラ53,54は、熱膨張性シート9を押圧して挟持する力が、主駆動ローラ55、シート押さえ板56と同等以下であることが好ましい。特に搬出側駆動ローラ53,54は、膨張した熱膨張層91を押し潰さないように、搬送に不具合を生じない程度に軟らかい表面部材と抑制した力で熱膨張性シート9を押圧して挟持することが好ましい。そして、搬入側駆動ローラ51,52および搬出側駆動ローラ53,54は、接触面積や軟質性等と併せて、熱膨張性シート9を挟持して両面でスリップさせずに搬送することができる摩擦を外周面に有し、ただし、主駆動ローラ55を超えてスリップさせ難くならないことが好ましい。
【0030】
主駆動ローラ55、搬入側駆動ローラ51,52、および搬出側駆動ローラ53,54は、モータからその回転をプーリやギア等によって伝達され、周速度を一致させて回転する。あるいは、搬出側駆動ローラ53,54を最も高速に、以下、主駆動ローラ55、搬入側駆動ローラ51,52の順で、周速度をわずかに変えて、熱膨張性シート9を前後に引っ張りながら搬送してもよい。また、搬入側駆動ローラ51,52、搬出側駆動ローラ53,54の各一方のみを駆動させ、他方を回転可能に軸支してもよい。
【0031】
(放熱ローラ)
放熱ローラ46は、主駆動ローラ55の温度を調整するために、主駆動ローラ55の外周面に接触させて回転可能に軸支される。放熱ローラ46は、主駆動ローラ55に対して光照射部2から距離を空けつつ主駆動ローラ55の外周面に接触し、かつ筐体11に設けた通気口に対向するように配置され、主駆動ローラ55と共に回転し、主駆動ローラ55の熱を外部へ放熱して、主駆動ローラ55の温度の光照射部2による過剰な上昇を抑制する。そのために、放熱ローラ46は、幅方向長さ(軸長さ)が主駆動ローラ55と同等以上で、熱伝導性の高い材料で形成され、例えば金属製である。また、放熱ローラ46は、外気によらずに、冷媒を内部に循環させて冷却する構造としてもよい。また、放熱ローラ46は、軸が移動可能に設けられてもよく、主駆動ローラ55との接触、非接触を切り替えて、主駆動ローラ55の温度をいっそう適切に調整することができる。
【0032】
(搬入案内板)
搬入案内板61は、供給トレイ12上に載置された熱膨張性シート9を支持して搬入側駆動ローラ51,52間に案内するために、筐体11の入口に設けられた水平な平板状の部材である。搬入案内板61は、例えばアルミニウムやステンレス等の金属で形成され、軽量化等のために小径の孔が多数空けられている。搬入案内板62は、熱膨張性シート9を搬入側駆動ローラ51,52間から主駆動ローラ55とシート押さえ板56の間に案内するために、これらの間に設けられ、搬入側駆動ローラ52に合わせた上下位置として、シート押さえ板56との間隙が熱膨張性シート9の厚さに対してマージンのあるように配置される。搬入案内板62は、搬入側駆動ローラ52および主駆動ローラ55の各外周面に合わせて、前後の端面を斜めに切断されている。搬入案内板62は、主駆動ローラ55の位置に合わせて、光照射領域1iの後方(搬入側)近傍に配置される。そのため、搬入案内板62は、ガラスや樹脂等の加熱され難い耐熱性の材料で形成されることが好ましく、例えばシート押さえ板56と同じ材料で形成されてもよい。また、搬入案内板62は、熱膨張性シート9を支持する上下位置が、主駆動ローラ55とシート押さえ板56による挟持位置よりもある程度下方になるように配置されることが好ましい。このような構造により、搬入案内板62の上面を摺動して搬送された熱膨張性シート9の前端が、前記したように、シート押さえ板56の水平な接触面(下面)に対して間隙を有する高さ位置に搬送されるので、主駆動ローラ55とシート押さえ板56の間に不具合なく進入して挟持される。
【0033】
(搬出案内板)
搬出案内板63,64は、熱膨張層91の膨張の進行が完了した(
図2に示す熱膨張領域1fを通過した)熱膨張性シート9を排出トレイ13上へ案内するために、主駆動ローラ55およびシート押さえ板56の前方(搬出側)から筐体11の出口にわたって、熱膨張性シート9を両面から挟むように設けられる。本実施形態では、搬出案内板63,64は、熱膨張性シート9の前端がある程度垂れ下がっていても、または反対に浮き上がっていても、間に挟まれて位置を矯正しつつ案内するように、光照射領域1i側(搬入側)の端が上下に広がるように折り曲げられた板状に形成されている。あるいは、搬出案内板63,64は、前方の水平部分と光照射領域1i側の傾斜部分とが分離した構造であってもよい。また、上側の搬出案内板63は、搬出側駆動ローラ53,54の前側において、下面の上下位置を、搬出側駆動ローラ53,54により挟持される熱膨張性シート9の上面よりも僅かに上方になるように配置されることが好ましい。このような構造により、熱膨張性シート9は、後端が接触領域1cを通過した後、前方が搬出側駆動ローラ53,54間と搬出案内板63の下面とによって支持されていることにより、後端が上に大きく跳ね上がって反射板22に接触したり、反対に、下へ大きく垂れ下がることを抑制される。また、搬出案内板63,64は、搬出側駆動ローラ53,54が配置されている部分に矩形の切込み(図示せず)や孔が形成されている。このような搬出案内板63,64は、搬入案内板61と同様に、小径の孔が多数空けられた金属板で形成される。そのため、搬出案内板63,64は、熱膨張層91の膨張開始温度T
s以上に加熱されないように、光照射部2から十分に距離を空けて配置される。
【0034】
(冷却器)
冷却器3は、光照射部2による光照射装置10の過剰な温度上昇を防止するために、光照射部2の近傍に設けられ、例えばプリンタやパーソナルコンピュータ等に内蔵される一般的な水冷式のラジエータを適用することができる。
【0035】
(その他の部材)
温度センサ42は、反射板22の表面温度を計測して、制御回路に伝達する。同様に、温度センサ45は、主駆動ローラ55の表面温度を計測して、制御回路に伝達する。温度センサ42,45は、接触式、非接触式のいずれでもよく、また、温度自体を計測するものでなくてもよく、熱電対のように、設定した温度範囲に対して高いか低いかを検知するものでよい。読取り機43は、筐体11の入口近傍に設けられて、供給トレイ12上に載置された被処理体が熱膨張性シート9のような専用の媒体であるかを判別する。読取り機43は、例えば、熱膨張性シート9の裏面に付されたバーコード類を読み取るバーコードリーダ、QRコード(登録商標)リーダ、OCR(Optical character recognition)リーダであり、さらに、熱膨張性シート9が表裏いずれの面を上にして供給トレイ12に載置されても読み取るように、ミラー44を備える。制御回路は、例えばCPUおよびメモリを備え、外部からの操作やセンサ類の信号等を受けて、光照射装置10を統括制御する。具体的には、例えば、光源21のON/OFF、シートローダ50の搬送開始と停止、搬送速度の切替え、温度センサ42,45からの反射板22、主駆動ローラ55の温度や読取り機43からの信号による、運転可能か等の判定を行う。
【0036】
(光照射装置の動作)
本発明の実施形態に係る光照射装置の動作について、
図1および
図2(a)、(b)を参照して説明する。ここでは、裏面(基材92側)に光熱変換層93を印刷した熱膨張性シート9に、光を照射する。
【0037】
光照射装置10の主電源をONにし、光照射部2が光NIRの照射を開始すると共に、主駆動ローラ55が回転する。この時点では光照射装置10は待機状態で、駆動ローラ51〜54は停止していて、ユーザの操作による処理開始命令は無視される。時間の経過にしたがい光NIRによって主駆動ローラ55の表面温度が上昇し、所定の温度T
ro(例えば60±5℃)に到達したことが温度センサ45によって検知されると、光照射装置10は処理可能となり、処理開始命令によって、駆動ローラ51〜54が回転し、供給トレイ12に載置した熱膨張性シート9に対して処理を開始する。
【0038】
熱膨張性シート9は、表面(熱膨張層91側)を下に向けた状態で、供給トレイ12から搬入側駆動ローラ51,52によって搬入案内板62上からシート押さえ板56との間へ搬入され、前端が光照射領域1iに進入し、引き続いてシート押さえ板56と主駆動ローラ55との間に前端が挟持される。熱膨張性シート9は、光照射領域1iに進入すると、シート押さえ板56を透過した光NIRによって光熱変換層93の温度が上昇し始め、それに伴い、光熱変換層93の形成されている領域において基材92および熱膨張層91の温度が上昇する。そして、熱膨張性シート9は、接触領域1cに到達して主駆動ローラ55に接触すると、光熱変換層93の有無によらず主駆動ローラ55の表面温度T
ro近傍に急速に加熱され、加えて、光熱変換層93の形成されている領域が光NIRによってさらに加熱される。なお、熱膨張性シート9が、接触領域1cに到達する前に光NIRによって温度T
roを超えていた場合は、接触領域1cに到達したときに温度がいったん降下する。そして、熱膨張性シート9は、発熱した光熱変換層93から伝播した熱によって、熱膨張層91が膨張開始温度T
sに到達すると膨張を開始する。なお、
図2(b)に示すように、熱膨張性シート9が基材92側に光熱変換層93を形成されている場合、一般に、光熱変換層93が発熱してから熱膨張層91が膨張を開始するまでに、時間の遅れを生じる。引き続いてさらに、光照射領域1i内を進行する時間の経過すなわち搬送に伴い、熱膨張層91の膨張高さが増大する。熱膨張性シート9は、光照射領域1iを通過した後、温度が降下するが、熱膨張層91の温度が膨張開始温度T
s未満に到達するまでは熱膨張層91の膨張が進行する。この熱膨張層の膨張が進行している範囲を、熱膨張領域1fと称する。
【0039】
熱膨張性シート9は、熱膨張層91の膨張がある程度進行すると、下に向けられた熱膨張層91の側(表面)を内側にして基材92ごと丸まるように変形する傾向があり、そのため、前端が接触領域1cを通過した後、主駆動ローラ55の外周面に沿うように湾曲する。ただし、湾曲を開始する位置が接触領域1cからある程度距離があり、また、主駆動ローラ55の径が大き過ぎないように設計されていることで、主駆動ローラ55に接触しない。そして、熱膨張性シート9は、前端が熱膨張領域1fを通過して搬出案内板64の上面(傾斜面)に当接すると、この傾斜面に摺動されながら搬送されることにより、前端の位置が上方へ移行されて、搬出側駆動ローラ53,54に挟持されるため、それ以上に下へ垂れ下がらず、さらに水平に矯正されて搬送が進行する。一方、熱膨張性シート9は、後端が接触領域1cを通過しても、前方が搬出側駆動ローラ53,54および搬出案内板63,64によって支持されているので、後端が主駆動ローラ55の外周面を摺動して大きく下へ落ちることなく、主駆動ローラ55の回転にしたがい搬送される。
【0040】
ここで、光照射装置10によって、熱膨張性シート9の熱膨張層91が光熱変換層93に基づいた膨張高さに膨張するように、接触領域1cに到達して主駆動ローラ55の表面温度T
ro近傍に加熱されてから光照射領域1iを通過するまでの、すなわちPc
S−Pi
E間を進行するのに必要な時間に基づいて、搬送速度が設定される。また、光熱変換層93の濃度の最も高い領域で熱膨張層91が膨張開始温度T
sに加熱された時点で、熱膨張性シート9が接触領域1cを通過して、さらに主駆動ローラ55の外周面との間隙に熱膨張層91が膨張するための空間が含まれている位置に到達しているように、搬送速度が設定される。また、熱膨張性シート9が接触領域1cに到達する以前(始点Pc
S以前)で、光NIRによって熱膨張層91が膨張開始温度T
s以上に加熱されていることのないように、搬送速度が設定される。熱膨張性シート9は、熱膨張層91が膨張を開始した後に、すなわち膨張が進行している状態で、シート押さえ板56と主駆動ローラ55との間に挟持されると、熱膨張層91が押し潰されて光熱変換層93に基づいた膨張高さとならない。さらに、光NIRによる熱膨張性シート9(光熱変換層93)の加熱が非効率にならないために、接触領域1cに到達する以前における熱膨張性シート9の最高温度が、主駆動ローラ55の表面温度T
ro以下であることが好ましい。
【0041】
これらの要件をすべて満足するように、光照射部2および主駆動ローラ55の搬送方向における配置が設計され、主駆動ローラ55の表面温度T
roおよび搬送速度が設定される。具体的には、熱膨張性シート9が接触領域1cに到達してから光照射領域1iを通過するまでの距離Pc
S−Pi
E間が長いことが好ましく、接触領域1cを通過した後に光照射領域1iを通過するまでの距離Pc
E−Pi
E間が長いことがより好ましい。反対に、熱膨張性シート9が光照射領域1iに進入してから接触領域1cに到達するまでの距離Pi
S−Pc
S間が長過ぎないことが好ましい。したがって、接触領域1cが光照射領域1i内における後方(搬入側)寄りであることが好ましい。具体的には、接触領域1cは、終点Pc
Eが光照射領域1iの終点Pi
Eよりも後方であることが好ましく、始点Pc
Sが光照射領域1iの中心以後であることがより好ましく、接触領域1c中心すなわち主駆動ローラ55の軸が光照射領域1iの中心以後であることがさらに好ましい。
【0042】
一方で、接触領域1cが後方(搬入側)に寄り過ぎると、熱膨張性シート9の前端や後端が接触領域1cを通過して主駆動ローラ55とシート押さえ板56による挟持から外れた後において、光照射領域1iを進行する距離Pc
E−Pi
E間や搬出案内板63,64に到達するまでの距離が過剰に長くなって、熱膨張性シート9の前端、後端近傍の上下位置のずれや搬送不具合等を生じ易くなる。そのため、距離Pc
E−Pi
E間について、前記の熱膨張のための要件を満足する程度の長さとし、過剰に長くしないことが好ましい。また、熱膨張性シート9の前端や後端が大きく垂れ下がることのないように、主駆動ローラ55が光照射領域1iの前側へはみ出していることが好ましい。
【0043】
このように、本実施形態に係る光照射装置10は、熱膨張性シート9を、光照射領域1i内において弾性を有する主駆動ローラ55と水平なシート押さえ板56によってある程度の面積(接触領域1c)で挟持し、さらに光照射領域1iの前後の適切な位置で搬入側駆動ローラ51,52および搬出側駆動ローラ53,54等で挟持、支持して搬送することにより、熱膨張性シート9の全面に均一に光を照射することができる。
【0044】
(光照射装置の動作の変形例)
光照射装置10は、表面(熱膨張層91側)に光熱変換層93を印刷した熱膨張性シート9(9A)に対しても、全面に光を照射して、熱膨張層91を膨張させることができる。このような熱膨張性シート9Aは、光照射装置10において、
図2(c)に示すように、表面(熱膨張層91側)を上に向けた状態で搬送される。光照射装置10は、シート押さえ板56が接触領域1cの終端(終点Pc
E)のすぐ前まで設けられて、その前方は熱膨張性シート9Aの上側が空いているので、熱膨張層91の膨張が妨げられず、また、表面の膨張した箇所等がシート押さえ板56に接触しないので熱膨張層91の温度が局所的に変化させられず、均一に(光熱変換層93に基づいて)膨張させることができる。なお、熱膨張性シート9Aの表面への光照射においては、熱膨張層91の表面に直接に光熱変換層93を形成されているため、
図2(b)に示す裏面への光照射と比較して、早期に熱膨張層91の膨張が開始され、搬送速度が同一であれば、熱膨張領域1fの始点が接触領域1cにより近付くことになる。一方で、主駆動ローラ55は、基材92に接触するので、表面温度T
roが熱膨張層91に伝達し難い。
【0045】
また、熱膨張性シート9Aは、熱膨張性シート9と同様、熱膨張層91の膨張の進行に伴い、熱膨張層91の側(表面)を内側にして丸まるように変形する傾向がある。光照射装置10において、熱膨張性シート9Aは表面を上に向けて処理されるので、接触領域1cを通過した前端が上方の光照射部2に近付くように湾曲する。その一方、接触領域1cの長さ(接触面積)や熱膨張性シート9Aの基材92の剛性等にもよるが、熱膨張性シート9Aは、
図2(c)に示すように、前端が接触領域1cを通過してある程度進行すると、自重によって垂れ下がり始める。そこで、主駆動ローラ55の表面温度T
roを低く設定したり搬送速度を高速にする等の調整により、熱膨張性シート9Aの湾曲の開始位置をより前方として接触領域1cの終点Pc
Eからある程度空けることが好ましい。これにより、熱膨張性シート9Aは、熱膨張層91の膨張による湾曲と自重による垂れ下がりとがある程度相殺されて、接触領域1cを通過した前端や後端が反射板22に接触することを防止することができ、また、上下位置をずれ難くすることができる。
【0046】
(変形例)
本実施形態に係る光照射装置10は、全体が平板状のシート押さえ板56を水平にして備えるが、接触領域1cおよびその近傍のみを水平として、その後側(搬入側)を上方へ傾斜させた形状としてもよい。この場合、搬入案内板62による熱膨張性シート9を支持する上下位置を、主駆動ローラ55と水平なシート押さえ板56による挟持位置に合わせた構造としても、シート押さえ板56の搬入側の端と搬入案内板62との間隙にマージンがある配置となる。これに伴い、搬入側駆動ローラ51,52および搬入案内板61による熱膨張性シート9を挟持、支持する上下位置も主駆動ローラ55と水平なシート押さえ板56による挟持位置に合わせて、熱膨張性シート9を水平に搬送する構造とする。また、シート押さえ板56は、接触領域1cの前側を上方へ傾斜させて延伸させてもよい。特に、シート押さえ板56が、反射板22の直下全体(光照射領域1i)を内包するように設けられることによって、熱膨張性シート9(9A)が上方へ浮き上がっても反射板22に接触することがなく、安全性が向上する。この場合、シート押さえ板56は、熱膨張性シート9Aの熱膨張層91側(表面)に光を照射して熱膨張層91を膨張させたときに(
図2(c)参照)、熱膨張性シート9Aの上方への湾曲も含めて、膨張した熱膨張層91に接触されないような形状とする。さらに、シート押さえ板56は、前記と同様に上方へ傾斜させて熱膨張領域1fの終端まで延伸させてもよく、このような構成とすることで、冷却器3に空冷式の冷却ファンを適用して、風除けとすることができる(後記の
図3(a)を参照して説明する別の実施形態参照)。
【0047】
また、光照射装置10は、搬入案内板61,62および搬出案内板63,64のそれぞれに沿った両縁に、搬送方向に延設したレール状の案内板を設けてもよい。熱膨張性シート9を、その両縁の一方の端面がこの案内板に摺動して搬送されるように供給トレイ12に載置することで、搬入側駆動ローラ51,52および搬出側駆動ローラ53,54にそれぞれ1箇所のみで挟持されても、傾かせずに搬送することができ、搬送幅方向にさらに短い熱膨張性シート9を処理することができる。あるいは光照射装置10は、搬入側駆動ローラ51,52および搬出側駆動ローラ53,54が、それぞれ1本の軸に2個ずつ、軸に沿って移動可能に設けられていてもよい。運転前に、熱膨張性シート9の搬送幅方向長さに合わせて駆動ローラ51〜54を手動等で移動させることにより、搬送幅方向に短い熱膨張性シート9を処理することができる。このような光照射装置10においては、搬出案内板63,64を、搬出側駆動ローラ53,54の前後で分離した構造として、搬出側駆動ローラ53,54の移動を妨げないようにする。
【0048】
また、光照射装置10は、主駆動ローラ55を放熱ローラ46によって冷却する構成としているが、放熱ローラ46に代えて、金属板を主駆動ローラ55の外周面に摺動させるように設けてもよい。また、放熱ローラ46を備えずに、主駆動ローラ55を、筐体11の通気口に対向させて、直接空冷する構成としてもよい。また、主駆動ローラ55は、ヒータを内蔵してもよく、光照射部2からの光照射のみによらずに所定の温度に加熱することができる。特に、本実施形態に係る光照射装置10においては、主駆動ローラ55が、径が大きくて、光照射領域1iの前後両方にはみ出して配置されているので、光照射部2からの光NIRのみで所定の表面温度T
roに加熱することが困難な場合には、このようなヒータを備えることが好ましい。
【0049】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る光照射装置は、熱膨張性シートの下面に光を照射する構造であってもよい。以下、別の実施形態に係る光照射装置の構成について、
図3を参照して説明する。
【0050】
(光照射装置)
図3(a)に示すように、本実施形態に係る光照射装置10Aは、
図1および
図2に示す光照射装置10の、主駆動ローラ55と、シート押さえ板56、光照射部2との天地を入れ替えた構造である。さらに光照射装置10Aは、光照射装置10と比較して、径の小さな主駆動ローラ55A、搬送方向に伸張したシート押さえ板56Aを備え、また、主駆動ローラ55Aの後方、熱膨張性シート9の上側に、搬入案内板62Aを備える。また、放熱ローラ46(
図1参照)は、主駆動ローラ55Aの外周面に接触させるように、上側に配置されている。また、光照射装置10Aは、冷却器3に代えて冷却器3Aを、光照射部2(反射板22)の下方近傍に備える。光照射装置10Aのその他の構成は、
図1を参照して説明した光照射装置10と同様である。以下、各部材の構成の、光照射装置10と相違するものについて詳細に説明する。
【0051】
シート押さえ板56Aは、熱膨張性シート9の光を照射される側、すなわち本実施形態では下側に配置されて、主駆動ローラ55Aと共に熱膨張性シート9を挟持する。さらに本実施形態においては、主駆動ローラ55に代わって熱膨張性シート9を支持する。そのために、シート押さえ板56Aは、光照射領域1i全体、さらにその前方に延伸した搬送方向に長い平板形状とする。
図3(a)では、シート押さえ板56Aは、搬出案内板63,64の始端の近傍まで延設されている。シート押さえ板56Aは、光照射領域1iの前方へ張り出した長さは特に規定されないが、熱膨張性シート9の前端や後端が垂れ下がって搬出案内板63,64間に進入しないことのないような位置まで設けられていればよい。また、シート押さえ板56Aは、熱膨張性シート9に対する冷却器3Aからの送風(冷風CB)除けとするために、熱膨張領域1fを通過する位置まで延設されていることが好ましい。シート押さえ板56Aは、形状以外はシート押さえ板56と同様の構造である。
【0052】
本実施形態ではさらに、シート押さえ板56Aは、光照射装置10における搬入案内板62(
図2(a)参照)と一体化するように、光照射領域1iの後方へも延伸した形状とし、搬入側の端面が搬入側駆動ローラ52の外周面に合わせて斜めに切断されている。そのため、光照射装置10Aにおいては、搬入側駆動ローラ51,52は、熱膨張性シート9を挟持する上下位置が、
図3(a)に示すようにシート押さえ板56A上の熱膨張性シート9と同じ、またはそれよりも少しだけ上方になるように配置されることが好ましい。
【0053】
主駆動ローラ55Aは、光照射領域1i内において、熱膨張性シート9の、光を照射される側の反対側、すなわち本実施形態では上側に配置される。主駆動ローラ55Aは、配置および径以外は主駆動ローラ55と同様の構造であり、適度な弾性、軟質性、および摩擦を有する表面部材55o(
図1参照)を外周面に備え、また、光照射部2により所定の表面温度T
roとされて熱膨張性シート9を予備加熱する。
【0054】
本実施形態において、主駆動ローラ55Aは、径が小さいことが好ましい。光照射装置10Aにおいては、主駆動ローラ55Aは、熱膨張性シート9の上側に配置されるので、熱膨張性シート9を支持する必要がない。そして、光照射装置10Aは、熱膨張性シート9の下側に配置される平板状のシート押さえ板56Aが搬送方向に長く光照射領域1i全体にわたって設けられているため、熱膨張性シート9の下側が空いていない構造である。主駆動ローラ55Aの径が小さいことにより、熱膨張性シート9の上側(光を照射される側の反対側)を、接触面積を少なく、かつ空間を空けて、熱膨張性シート9に発生した熱を逃げ易くする。また、主駆動ローラ55Aの径が小さいほど、熱膨張性シート9が、主駆動ローラ55Aとの接触領域1c(
図2(b)参照)を通過した後、より短距離で主駆動ローラ55Aとの間隔が広く空くので、例えば表面温度T
roを高く設定されても、熱膨張層91の膨張が妨げられることがない。一方で、主駆動ローラ55Aの径が小さいと、表面部材55oの弾性等にもよるが、接触領域1cにおいて、熱膨張性シート9を押圧する力が搬送方向中心で強く偏るため、接触領域1cの前後で熱膨張性シート9がシート押さえ板56Aから浮き上がり易くなる場合がある。また、主駆動ローラ55Aの径が小さ過ぎると、搬送されてくる熱膨張性シート9の前端をシート押さえ板56Aとの間に挿入させ難くなるので、熱膨張性シート9の搬送等に支障がないように径を設計する。
【0055】
光照射装置10Aにおいて、主駆動ローラ55Aは、搬送方向における接触領域1cの位置、すなわち軸の位置については光照射装置10と同様の範囲とする。ただし、本実施形態では、シート押さえ板56Aにより、接触領域1cを通過した熱膨張性シート9の前端や後端が、垂れ下げって反射板22に接触したり搬送不具合等を生じることがない。したがって、熱膨張性シート9が接触領域1cを通過した後、光照射領域1iを通過するまで、大きく浮き上がって、光照射部2から離れ過ぎず、また、前端が搬出案内板63,64間に進入しないことのないような配置であればよい。
図3(a)では、主駆動ローラ55Aは、接触領域1cが光照射領域1i中心よりも後方になるように配置されている。
【0056】
搬入案内板62Aは、光照射装置10における搬入案内板62の天地を入れ替えた構造であり、ただし、シート押さえ板56A上の熱膨張性シート9に対してある程度間隙を有するように配置される。搬入案内板62Aは、搬入側駆動ローラ51,52間を通過した熱膨張性シート9の前端を、シート押さえ板56Aと主駆動ローラ55Aとに挟持させるために、シート押さえ板56Aから浮き上がらないように案内するために設けられ、搬送に支障がなければ設けられなくてよい。
【0057】
冷却器3Aは、冷却器3と同様に光照射部2による光照射装置10Aの過剰な温度上昇を防止するために設けられ、プリンタやパーソナルコンピュータ等に内蔵される一般的な空冷式の冷却ファンを適用することができる。冷却器3Aは、光照射部2(反射板22)の下方に、1つまたは搬送幅方向に2つ以上並べて設けられて、筐体11に形成された通風孔から外気を取り込んで光照射部2に向けて送風する。
【0058】
(光照射装置の動作)
本発明の実施形態に係る光照射装置の動作について、
図3(a)を参照して説明する。
図3(a)は、別の実施形態に係る光照射装置による媒体の処理を説明するモデルであって、
図1の要部に相当する。ここでは、
図2(a)、(b)を参照して説明した前記実施形態と同様、裏面(基材92側)に光熱変換層93を印刷した熱膨張性シート9に、光を照射する。したがって、熱膨張性シート9は、光照射装置10Aにおいて、表面(熱膨張層91側)を上に向けた状態で搬送される。
【0059】
前記実施形態と同様、熱膨張性シート9は、接触領域1cに到達すると、主駆動ローラ55Aの表面温度T
ro近傍に急速に加熱され、さらに光熱変換層93の形成されている領域がシート押さえ板56Aを透過した光NIRによってさらに加熱される。そして、熱膨張性シート9は、発熱した光熱変換層93から伝播した熱によって、熱膨張層91が膨張開始温度T
sに到達すると膨張を開始する。さらに、熱膨張性シート9は、熱膨張層91の膨張がある程度進行すると、上に向けられた熱膨張層91の側(表面)を内側にして丸まるように変形する傾向があるため、前端が接触領域1cを通過した後、シート押さえ板56Aから浮き上がるように湾曲する。そして、熱膨張性シート9は、前端が搬出案内板63の下面(傾斜面)に当接すると、この傾斜面に摺動されながら搬送されることにより、前端の位置が下方へ移行されて、搬出側駆動ローラ53,54に挟持される。
【0060】
前記したように、光照射装置10Aは、接触領域1cが光照射領域1i中心よりも後方になるように主駆動ローラ55Aを配置されていることにより、熱膨張性シート9が接触領域1cに到達してから光照射領域1iを通過するまでの距離Pc
S−Pi
E間(
図2(b)参照)が長い。したがって、光照射装置10Aは、搬送速度を高速に設定して処理能力を高くすることができる。そして、搬送速度が高速であることにより、主駆動ローラ55Aの表面温度T
roを高く設定されても、熱膨張性シート9が、接触領域1cを通過して主駆動ローラ55Aの外周面との間隙に熱膨張層91が膨張するための空間が含まれている位置に到達してから、熱膨張層91の膨張が開始される。さらに、熱膨張性シート9の湾曲がより前方で開始されるので、前端が搬出案内板63,64間に進入し易い。また、このように、熱膨張性シート9の湾曲による搬送不具合が生じないように搬送速度等が設定されることで、主駆動ローラ55Aは、前記距離Pc
S−Pi
E間が最長となる、接触領域1cの終端(終点Pc
E)が光照射領域1iの始端(始点Pi
S)に一致するまで後方に配置されてもよい。主駆動ローラ55Aは、いっそう後方に配置されることで、接触領域1cを広くするように径がある程度大きく設計されても、熱膨張性シート9の上側の、光照射領域1iの特に終盤における空間を広く空けて、熱膨張性シート9に発生した熱を逃げ易くすることができる。
【0061】
また、冷却器として空冷式の冷却器3Aが設けられているため、冷却器3Aから冷風CBがその上方の光照射部2に向けて送風される。冷風CBは、光照射部2の反射板22の外壁に沿って流れてさらにその上方の熱膨張性シート9に向かって流れるが、本実施形態においては、シート押さえ板56Aによって遮られる。冷却器3Aの構造にもよるが、冷風CBは搬送幅方向において均一に流れず、そのため、光照射領域1iの前方において熱膨張性シート9の下側に遮蔽する部材が設けられていないと、光照射領域1iを通過した直後の熱膨張性シート9に、不均一な強さで冷風CBが到達することになる。そして、熱膨張性シート9は、冷風CBによって速やかに冷却されて温度が降下し、熱膨張層91の膨張が意図せずに完了されるため、この部分で限定的に熱膨張領域1fが短くなる。その結果、光熱変換層93の濃度が同じであっても、熱膨張層91の膨張高さが搬送幅方向に不均一に形成される。すなわち光照射装置10Aは、シート押さえ板56Aを光照射領域1iの前方に十分な長さに延伸することにより、冷却器3Aからの冷風CBによる熱膨張性シート9の形状不良を防止することができる。
【0062】
(変形例)
本実施形態に係る光照射装置10Aは、水冷式の冷却器3を備えてもよく、この場合には、風除けが不要であるので、シート押さえ板56Aは、搬送不具合等がなければ、光照射領域1iの前方へ張り出して延伸しなくてよい。また、シート押さえ板56Aは、シート押さえ板56と同様、少なくとも接触領域1cにおいて平坦かつ水平であればよく、例えば
図3(b)に示すように、接触領域1cの前側(搬出側)に僅かに張り出すまでに短縮したシート押さえ板56Bとしてもよい。このような形状のシート押さえ板56Bを備えることにより、光照射装置10Bは、熱膨張性シート9が接触領域1cを通過した直後に下側が空くので、熱膨張性シート9だけでなく、下面が熱膨張する熱膨張性シート9A(
図2(c)参照)に対して光を照射することができる。以下、本発明の実施形態の変形例に係る光照射装置の動作について、
図3(b)を参照して説明する。
図3(b)は、別の実施形態の変形例に係る光照射装置による媒体の処理を説明するモデルであって、
図1の要部に相当する。
【0063】
本変形例に係る光照射装置10Bにおいて、熱膨張性シート9Aは、熱膨張層91の膨張の進行に伴って、下に向けられた熱膨張層91の側(表面)を内側にして丸まるように変形する傾向がある。さらに光照射装置10Bにおいては、光照射装置10Aと同様に主駆動ローラ55Aの径が小さく、接触領域1cの長さ(接触面積)が小さいため、熱膨張性シート9Aは、基材92の剛性等にもよるが、前端が接触領域1cを通過した直後から下方へ垂れ下がり易い傾向がある。そこで、光照射装置10Bは、シート押さえ板56Bの下方かつ後方に、下側搬出案内板65をさらに備える。下側搬出案内板65は、熱膨張性シート9Aの垂れ下がった前端や後端が反射板22に接触することがなく、前端が搬出案内板63,64間に進入することができ、また、熱膨張性シート9Aが、少なくとも光照射領域1iを通過するまで、好ましくは熱膨張領域1fを通過するまで接触しない位置に配置される。ここでは、下側搬出案内板65は、光照射領域1iの終盤から前方へ搬出案内板64の近傍にわたって設けられ、したがって、反射板22の終端の直上を覆うように配置されている。そのため、下側搬出案内板65は、耐熱性を有し、光NIRを透過させる材料で形成され、また摩擦が小さいことが好ましく、すなわちシート押さえ板56B(56)と同じ材料で形成されることが好ましい。このような構成によって、熱膨張性シート9Aは、前端が接触領域1cを通過した後、下方へ垂れ下がっても、この前端が下側搬出案内板65の上面に当接し、摺動しながら搬送されて、搬出案内板64の傾斜面上へ案内される。したがって、熱膨張性シート9Aの前端や後端が反射板22に接触することが防止され、また、表面(熱膨張層91)が局所的に下側搬出案内板65に接触して温度が変化することが抑制される。さらに、下側搬出案内板65によって、熱膨張性シート9Aへの冷却器3Aからの冷風CBが遮蔽される。
【0064】
なお、
図3(b)においては、下側搬出案内板65が、平板状で水平に設けられているが、これに限られず、例えば、搬出案内板64の傾斜面の延長上となるように傾斜させてもよい。また、光照射装置10Bは、下側搬出案内板65が、シート押さえ板56Bに対してその前方へ離間して設けられることにより、光照射領域1iの一部において光NIRが直接に熱膨張性シート9Aに照射される構成としている。あるいは、下側搬出案内板65がシート押さえ板56Bの終端の直下まで後方へ延伸されてもよい。シート押さえ板56Bと下側搬出案内板65が、搬送方向における間隙を狭く配置されるほど、反射板22に熱膨張性シート9Aの前端や後端がより接触し難くなって安全性が向上する。さらに、シート押さえ板56Bが段差や傾斜面を有して下側搬出案内板65に連結するように一体化した形状であってもよく、間隙がないことにより安全性がいっそう向上する。
【0065】
本実施形態およびその変形例に係る光照射装置10A,10Bにおいては、接触領域1cを通過した熱膨張性シート9(9A)の前端や後端がシート押さえ板56A,56Bや下側搬出案内板65によって支持される。したがって、接触領域1cを通過した後に光照射領域1iを通過するまでの距離(
図2(b)のPc
E−Pi
E間)を長くすることができるので、前記したように、主駆動ローラ55Aを後方(搬入側)寄りに配置することができ、さらに接触領域1cが光照射領域1iよりも後方になるように主駆動ローラ55Aが配置されてもよい。このように、接触領域1cが光照射領域1iの後方で重複しない(接触領域1cの終点Pc
Eが光照射領域1iの始点Pi
S以後)場合、主駆動ローラ55Aは、熱膨張性シート9の予備加熱手段とせず、放熱ローラ46等で表面温度T
roを低く制御してもよい。主駆動ローラ55Aは、表面温度T
roが低く、熱膨張性シート9との接触の有無で熱膨張層91の膨張高さが変化しないように設定されることにより、熱膨張性シート9の全幅にわたって均一に接触する構成でなくてもよい。このような主駆動ローラ55Aは、熱膨張性シート9をスリップさせないように、外周面の摩擦等と併せて十分な接触面積を確保しつつ、例えば駆動ローラ51〜54のように、搬送幅方向(軸方向)に短いものを2箇所以上に分散させた構成とすることができる。
【0066】
以上のように、本発明の実施形態によれば、熱膨張性シートの周縁を含めた全面に均一に光を照射することができる。
【0067】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能である。
【0068】
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
《請求項1》
シート状の媒体の一面に向けて所定の波長の光を含む光を照射する光照射手段と、
前記媒体を、前記一面側に設けた少なくとも前記所定の波長の光を透過させる押さえ部材と、他面側に設けた搬送ローラと、で挟持して搬送して、前記光照射手段から光を照射される光照射領域を通過させる搬送手段と、を備えることを特徴とする光照射装置。
《請求項2》
前記搬送手段は、前記媒体を、搬送直交方向における全体にわたって挟持することを特徴とする請求項1に記載の光照射装置。
《請求項3》
前記搬送手段は、前記媒体を、前記光照射領域内で挟持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光照射装置。
《請求項4》
前記搬送ローラは、表面に弾性部材を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の光照射装置。
《請求項5》
前記搬送ローラの表面温度を計測する温度計測手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の光照射装置。
《請求項6》
前記搬送ローラの表面温度を制御する搬送ローラ温度制御手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の光照射装置。
《請求項7》
前記搬送ローラ温度制御手段は、前記搬送ローラを加熱する加熱手段であることを特徴とする請求項6に記載の光照射装置。
《請求項8》
前記搬送ローラ温度制御手段は、前記搬送ローラを冷却する冷却手段であることを特徴とする請求項6に記載の光照射装置。