(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行中のコンベヤベルトの蛇行量を検知する蛇行検知装置と、この蛇行検知装置による検知データが入力される制御部と、この制御部により制御される蛇行抑制装置とを備えたコンベヤベルトのモニタリングシステムであって、
前記蛇行検知装置が、上方から前記コンベヤベルトの長手方向所定範囲を逐次撮影する撮影装置であり、この撮影装置により撮影された画像データが表示されるモニタを有して、前記画像データが前記検知データとして前記制御部に入力されて、この画像データに基づいて前記制御部が前記コンベヤベルトの蛇行量を小さくするように前記蛇行抑制装置を制御する構成にして、
前記蛇行量が許容範囲内の場合に前記コンベヤベルトが存在している正常領域と、前記蛇行量が許容範囲を超える場合に前記コンベヤベルトが存在している異常領域とが予め設定されて、この正常領域と異常領域の領域位置データが前記制御部に入力されていて、前記画像データにおいて前記コンベヤベルトが前記異常領域に存在すると前記制御部が判断した場合に、前記制御部が前記コンベヤベルトの蛇行量を小さくするように前記蛇行抑制装置を制御し、
前記画像データにおいて前記コンベヤベルトが所定時間継続して前記異常領域に存在していると前記制御部が判断した場合に、前記制御部が前記コンベヤベルトの走行を停止させる構成にしたことを特徴とするコンベヤベルトのモニタリングシステム。
走行中のコンベヤベルトの蛇行量を検知する蛇行検知装置と、この蛇行検知装置による検知データが入力される制御部と、この制御部により制御される蛇行抑制装置とを備えたコンベヤベルトのモニタリングシステムであって、
前記蛇行検知装置が、上方から前記コンベヤベルトの長手方向所定範囲を逐次撮影する撮影装置であり、この撮影装置により撮影された画像データが表示されるモニタを有して、前記画像データが前記検知データとして前記制御部に入力されて、この画像データに基づいて前記制御部が前記コンベヤベルトの蛇行量を小さくするように前記蛇行抑制装置を制御する構成にして、
前記蛇行量が許容範囲内の場合に前記コンベヤベルトが存在している正常領域と、前記蛇行量が許容範囲を超える場合に前記コンベヤベルトが存在している異常領域とが予め設定されて、この正常領域と異常領域の領域位置データが前記制御部に入力されていて、前記画像データにおいて前記コンベヤベルトが前記異常領域に存在すると前記制御部が判断した場合に、前記制御部が前記コンベヤベルトの蛇行量を小さくするように前記蛇行抑制装置を制御し、
前記撮影装置により撮影される前記コンベヤベルトの長手方向所定範囲が、走行中の前記コンベヤベルトに作用する張力の変動が最も大きい位置が含まれるように設定されていることを特徴とするコンベヤベルトのモニタリングシステム。
前記画像データにおいて前記コンベヤベルトが所定時間継続して前記異常領域に存在していると前記制御部が判断した場合に、前記制御部が前記コンベヤベルトの走行を停止させる構成にした請求項2に記載のコンベヤベルトのモニタリングシステム。
【背景技術】
【0002】
鉄鉱石や石灰石等の鉱物資源をはじめとして様々な物がコンベヤベルトによって搬送される。これらの搬送物はホッパや別のコンベヤベルトからコンベヤベルトの上カバーゴムの上に投入される。投入された搬送物の積載重量や積載位置の変化等によってコンベヤベルトに作用する張力は変動する。この張力が変動すると、コンベヤベルトが蛇行走行し易くなる。コンベヤベルトの蛇行量が過大になると搬送物が脱落したりコンベヤベルトが損傷する原因になるため、蛇行量を小さくすることが望ましい。
【0003】
コンベヤベルトの蛇行量は、例えば、プーリの側方に配置した超音波センサなどの非接触センサによって検知する方法が知られている(特許文献1の段落0002、
図8を参照)。しかしながら、この方法では、プーリにおけるコンベヤベルトの蛇行量を検知することになるので、プーリ間での蛇行量が最も大きくなる所望の位置での蛇行量を精度よく把握することができない。
【0004】
そこで、コンベヤベルトの蛇行状態を精度よく把握するためのモニタリングシステムが提案されている(特許文献1の段落0007〜0017等を参照)。この文献で提案されているモニタリングシステムでは、コンベヤベルトに埋設された磁石からの磁場を磁界検出手段により検出する。そして、この磁界検出手段による磁場の検出に基づいてコンベヤベルトの蛇行状態を把握する。そのため、コンベヤベルトには磁石を埋設する必要があり、既存のコンベヤベルトに適用することができないモニタリングシステムになっている。また、磁界検出手段をコンベヤベルトに埋設された磁石に近接させて対置させるので、搬送物が載置されていないコンベヤベルトのリータン側で蛇行状態を検知することになる。それ故、コンベヤベルトの長手方向所望の位置での蛇行状態を精度よく把握することはできない。また、コンベヤベルトに載置された搬送物の状態を把握することもできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、コンベヤベルトの長手方向の所望の位置での走行状態および搬送物の状態を逐次把握しつつ、蛇行量を精度よく抑制できる汎用性が高いモニタリングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明のコンベヤベルトのモニタリングシステムは、走行中のコンベヤベルトの蛇行量を検知する蛇行検知装置と、この蛇行検知装置による検知データが入力される制御部と、この制御部により制御される蛇行抑制装置とを備えたコンベヤベルトのモニタリングシステムであって、前記蛇行検知装置が、上方から前記コンベヤベルトの長手方向所定範囲を逐次撮影する撮影装置であり、この撮影装置により撮影された画像データが表示されるモニタを有して、前記画像データが前記検知データとして前記制御部に入力されて、この画像データに基づいて前記制御部が前記コンベヤベルトの蛇行量を小さくするように前記蛇行抑制装置を制御する構成にして、前記蛇行量が許容範囲内の場合に前記コンベヤベルトが存在している正常領域と、前記蛇行量が許容範囲を超える場合に前記コンベヤベルトが存在している異常領域とが予め設定されて、この正常領域と異常領域の領域位置データが前記制御部に入力されていて、前記画像データにおいて前記コンベヤベルトが前記異常領域に存在すると前記制御部が判断した場合に、前記制御部が前記コンベヤベルトの蛇行量を小さくするように前記蛇行抑制装置を制御し、前記画像データにおいて前記コンベヤベルトが所定時間継続して前記異常領域に存在していると前記制御部が判断した場合に、前記制御部が前記コンベヤベルトの走行を停止させる構成にしたことを特徴とする。
また、本発明の別のコンベヤベルトのモニタリングシステムは、走行中のコンベヤベルトの蛇行量を検知する蛇行検知装置と、この蛇行検知装置による検知データが入力される制御部と、この制御部により制御される蛇行抑制装置とを備えたコンベヤベルトのモニタリングシステムであって、前記蛇行検知装置が、上方から前記コンベヤベルトの長手方向所定範囲を逐次撮影する撮影装置であり、この撮影装置により撮影された画像データが表示されるモニタを有して、前記画像データが前記検知データとして前記制御部に入力されて、この画像データに基づいて前記制御部が前記コンベヤベルトの蛇行量を小さくするように前記蛇行抑制装置を制御する構成にして、
前記蛇行量が許容範囲内の場合に前記コンベヤベルトが存在している正常領域と、前記蛇行量が許容範囲を超える場合に前記コンベヤベルトが存在している異常領域とが予め設定されて、この正常領域と異常領域の領域位置データが前記制御部に入力されていて、前記画像データにおいて前記コンベヤベルトが前記異常領域に存在すると前記制御部が判断した場合に、前記制御部が前記コンベヤベルトの蛇行量を小さくするように前記蛇行抑制装置を制御し、前記撮影装置により撮影される前記コンベヤベルトの長手方向所定範囲が、走行中の前記コンベヤベルトに作用する張力の変動が最も大きい位置が含まれるように設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蛇行検知装置として上方からコンベヤベルトの長手方向所定範囲を逐次撮影する撮影装置を用いて、撮影した画像データをモニタに表示する。そのため、コンベヤベルトの長手方向の所望の位置での走行状態および搬送物の状態をモニタに表示された画像データによって逐次把握することができる。
【0009】
制御部は、画像データに基づいてコンベヤベルトの蛇行量を小さくするように蛇行抑制装置を制御する。そのため、本発明ではコンベヤベルトに対しては特別な加工をする必要がなく、既存のコンベヤベルトに対しても容易に適用することができる極めて汎用性が高いモニタリングシステムになっている。加えて、コンベヤベルトの長手方向の所望の位置での蛇行量を把握してこの蛇行量を小さくするので、精度よく蛇行量を抑制するには有利になっている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のコンベヤベルトのモニタリングシステムを図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図1に例示する本発明のコンベヤベルトのモニタリングシステム1(以下、システム1という)は、実際のコンベヤベルトラインのコンベヤベルト11に適用される。このシステム
1では、コンベヤベルト11の長手方向の所望の位置での走行状態および搬送物Cの状態を逐次把握しつつ、蛇行量Zを抑制する。蛇行量Zとは、コンベヤベルト11の幅方向へのずれ量である。コンベヤベルトラインの幅方向中心にベルト幅方向中心を一致させて真直ぐに延在している状態(正規の状態)のコンベヤベルト11を基準にして、幅方向にどの程度ずれているかを示す数値である。
【0013】
このシステム1の監視対象となるコンベヤベルト11は
図2に例示するように、帆布またはスチールコードで構成される心体層12と、心体層12を上下に挟む上カバーゴム13と下カバーゴム14とにより構成されている。心体層12は、コンベヤベルト11を張設するためのテンションを負担する。コンベヤベルト11はその他、適宜、必要な部材を付加して構成される。図中、コンベヤベルト11の幅方向中心線を一点鎖線CLで示し、コンベヤベルトラインの幅方向中心線を一点鎖線Mで示している。
【0014】
コンベヤベルト11は、駆動プーリ7aと従動プーリ7bとの間に架け渡されていて所定のテンションで張設されている。駆動プーリ7aと従動プーリ7bとの間ではコンベヤベルト11は、ベルト長手方向に適宜の間隔で配置された支持ローラ9によって支持される。
【0015】
コンベヤベルト11のキャリア側では下カバーゴム14が、コンベヤベルト11の長手方向に間隔をあけた所定位置に配置された支持ローラ9により支持されている。コンベヤベルト11のリターン側では上カバーゴム13が、コンベヤベルト11の長手方向に間隔をあけた所定位置に配置された支持ローラ9により支持されている。
【0016】
キャリア側では、コンベヤベルト11の長手方向に間隔をあけたそれぞれの所定位置には、3つの支持ローラ9がベルト幅方向に並んで配置されていて、これらの支持ローラ9によってコンベヤベルト11は所定のトラフ角度で凹状に支持されている。
【0017】
駆動プーリ7aは駆動モータ8により回転駆動され、駆動プーリ7aの回転によりコンベヤベルト11が長手方向一方向に走行する。テークアップ機構10は従動プーリ7bを移動させて、駆動プーリ7aと従動プーリ7bとの間隔を変化させてコンベヤベルト11(心体層12)に張力を作用させる。
【0018】
この実施形態では、コンベヤベルト11が駆動プーリ7aから従動プーリ7bまで走行する途中で一度下方傾斜してから
上方傾斜した形態になっている。即ち、コンベヤベルトラインの途中が最下点になっている。本発明はこのような形態のコンベヤベルトラインに限らず、様々な形態に適用することができる。例えば、一様に下方傾斜、または、上方傾斜、或いは、平坦になっているコンベヤベルトラインにも適用することができる。
【0019】
このシステム1は、走行中のコンベヤベルト11の蛇行量を検知する蛇行検知装置として、デジタルビデオカメラなどの撮影装置2を有している。このシステム1はその他に、制御部3と、モニタ4と、蛇行抑制装置5とを有している。さらに、この実施形態のシステム1は警告装置6を有している。警告装置6としては警告灯や警報機などを例示できる。
【0020】
制御部3にはコンピュータ等が使用される。この制御部3は、撮影装置2、モニタ4、蛇行抑制装置5、警告装置6および駆動モータ8と、有線または無線により接続されている。蛇行抑制装置5、警告装置6および駆動モータ8の動作は制御部3により制御される。
【0021】
撮影装置2は、上方からコンベヤベルト11の長手方向所定範囲を逐次撮影する。この実施形態の撮影装置2はすべて、コンベヤベルト11のキャリア側に配置されている。具体的には、コンベヤベルト11に搬送物Cが
投入される位置、コンベヤベルト11の張力変動が最も大きくなるコンベヤベルトラインの最も低い位置、従動プーリ7bの近傍位置の
それぞれに撮影装置2が配置されている。撮影装置2により撮影された画像データは、検知データとして制御部3に逐次入力される。また、この画像データはモニタ4に逐次表示される。
【0022】
コンベヤベルト11の上カバーゴム13の表面に対して撮影装置2の撮影方向がなす角度aは、例えば30°以上90°以下に設定される。この実施形態では、この角度aが45°程度に設定されている。
【0023】
蛇行抑制装置5は、コンベヤベルト11の蛇行量Zを小さくするように機能する。この実施形態の蛇行抑制装置5は、コンベヤベルト11のキャリア側でコンベヤベルト11の長手方向に間隔をあけて配置された連続する3か所の支持ローラ9の下方に設置されている。
【0024】
この蛇行抑制装置5は
図3に例示するように、キャリア側の支持ローラ9を平面視でコンベヤベルト11の幅方向に対して傾斜させる可動台により構成されている。図中、支持ローラ9の軸心線を一点鎖線WLにより示している。この軸心線WLとコンベヤラインの幅方向中心線Mとの交点Pを中心として蛇行抑制装置5を回動させることにより、それぞれの支持ローラ9を平面視でコンベヤベルト11の幅方向に対して傾斜させる。
【0025】
図4に例示するように、交点Pを中心として蛇行抑制装置5を時計回りに回動させると、それぞれの支持ローラ9は平面視でコンベヤベルト11の幅方向に対して、左側が前方になるように傾斜する。これに伴い、走行しているコンベヤベルト11には走行方向に対して右側に偏らせる外力が付与される。そのため、コンベヤベルト11が走行方向に対して左側に蛇行している場合は、このように蛇行抑制装置5を制御すると蛇行量Zを小さくできる。
【0026】
コンベヤベルト11が走行方向に対して右側に蛇行している場合は、交点Pを中心として蛇行抑制装置5を反時計回りに回動させる。これにより、それぞれの支持ローラ9を平面視でコンベヤベルト11の幅方向に対して、右側が前方になるように傾斜させる。この結果、走行しているコンベヤベルト11には走行方向に対して左側に偏らせる外力が付与されるので蛇行量Zを小さくできる。
【0027】
この実施形態では、ベルト幅方向に並んだ3つのすべての支持ローラ9が平面視でコンベヤベルト11の幅方向に対して傾斜させることができる構造になっているが、この構造に限らない。例えば、ベルト幅方向両端に配置されたそれぞれ1つ支持ローラ9のみを蛇行抑制装置5によって、平面視でコンベヤベルト11の幅方向に対して傾斜させる構造にすることもできる。
【0028】
次に、このシステム1によって走行しているコンベヤベルト11を監視する方法を説明する。
【0029】
コンベヤベルトラインでは、コンベヤベルト11を走行させつつ、例えば、ホッパ等を通じて搬送物Cが上カバーゴム13の上に投入される。それぞれの撮影装置2は、通過するコンベヤベルト11の長手方向所定範囲を上方から逐次撮影し、撮影された画像データが制御部3に入力される。
【0030】
図5、
図6に例示するように、モニタ4にはそれぞれの撮影装置2により撮影された画像データがリアルタイムで表示される。図中の矢印はコンベヤベルト11の走行方向を示している。また、制御部3には
図7に例示する画像データが記憶される。
図5〜
図7にはコンベヤベルト11の幅方向両側の外側に、コンベヤベルト11の長手方向に延在する第1警告ラインL1、第2警告ラインL2が表示されている。これらラインL1、L2は、コンベヤベルトラインの幅方向中心線Mから幅方向に予め設定された距離だけ離間した位置に設定されている。
【0031】
コンベヤベルト11の上カバーゴム13の表面に対する撮影装置2の撮影方向がなす角度aを小さくすると、撮影できる長手方向所定範囲は広くなるが、撮影されたコンベヤベルト11は、
図5、6に例示するように先細の画像になる。そのため、この角度aは30°以上90°以下、より好ましくは45°以上90°以下に設定する。
【0032】
コンベヤベルト11が第1警告ラインL1どうしの間の領域に存在している場合は、蛇行量Zが小さいと言えるので、この領域は蛇行量の正常範囲Sとして制御部3に記憶されている。コンベヤベルト11が正常範囲Sよりも外側の領域に存在している場合は、蛇行量Zが大きいと言えるので、この領域は蛇行量の異常範囲Dとして制御部3に記憶されている。
【0033】
図5に例示する画像データでは、コンベヤベルト11の幅方向中心線CLがコンベヤベルトラインの幅方向中心線Mとほぼ一致した位置にあって蛇行量Zがゼロに近い状態になっている。即ち、コンベヤベルト11は、正常範囲Sに存在しているので、制御部3は蛇行量Zが小さくて正常な状態であると判断する。そのため制御部3は、
図3に例示したように蛇行抑制装置5を作動させることがなく、支持ローラ9の軸心方向WLをコンベヤベルト11の幅方向中心線CLに対して直交させた状態を維持する。
【0034】
一方、
図6に例示する画像データでは、コンベヤベルト11の幅方向中心線CLがコンベヤベルトラインの幅方向中心線Mに対して左側に大きく移動していて蛇行量Zが大きい状態になっている。即ち、コンベヤベルト11は、異常範囲Dに存在しているので、制御部3は蛇行量Zが大きくて異常な状態であると判断する。そのため制御部3は、
図4に例示したように蛇行抑制装置5を作動させて支持ローラ9の軸心方向WLをコンベヤベルト11の幅方向中心線CLに対して傾斜させた状態にする。これにより、コンベヤベルト11を右側に移動させて蛇行量Zを小さくする。
【0035】
図7には、蛇行量Zの経時変化が示されている。このグラフ図の下端が走行しているコンベヤベルト11の最新の状態(蛇行量Z)であり、図の上側になる程、過去の状態を示している。モニタ4には、
図7に例示するような蛇行量Zの経時変化を表示することもできる。
【0036】
本発明では上述したように、撮影装置2が撮影した画像データに基づいて制御部3が蛇行量Zを小さくするように蛇行抑制装置5を制御する。尚、蛇行抑制装置5によって蛇行量Zを小さくするには、上述した制御方法だけでなくその他の方法も採用する
ことができる。例えば、コンベヤベルトランの幅方向中心線Mとコンベヤベルト11の幅方向中心線CLとを常に一致させるように、蛇行抑制装置5の動作を制御することもできる。
【0037】
本発明のシステム1を用いることで、現場の管理者等は、モニタ4に表示された画像データを目視することによって、所望の位置でのコンベヤベルト11の走行状態および搬送物Cの状態を逐次把握することができる。そのため、蛇行量Zが大きくなっている原因が、搬送物Cの積載位置の偏りに起因している等と、推定することができる。
【0038】
また、本発明では、コンベヤベルト11に対しては磁石を埋設するなどの特別な加工をする必要がないので、既存のコンベヤベルトに対しても容易に適用することができる。したがって、極めて汎用性が高いモニタリングシステムになっている。
【0039】
加えて、本発明のシステム1では、撮影装置2により撮影する長手方向所定範囲を、所望の位置に設定できる。そのため、コンベヤベルト11の長手方向の所望の位置での蛇行量Zを把握してこの蛇行量Zを小さくできる。即ち、コンベヤベルトラインで蛇行量Zが最大になる位置のコンベヤベルト11の状態を監視して、その位置での蛇行量Zを精度よく抑制することが可能になっている。
【0040】
撮影装置2により撮影されるコンベヤベルト11の長手方向所定範囲は、例えば、走行中のコンベヤベルト11に作用する張力の変化の大きさに基づいて設定される。この場合、事前に走行中のコンベヤベルト11に作用する張力を、コンベヤベルト11の長手方向位置を異ならせた複数の位置で測定しておく。そして、測定した位置の中で、張力の変動が最も大きい位置が含まれるように、撮影される範囲を設定する。この張力の変動が最も大きい位置は、蛇行量Zが最も大きくなる傾向にある。そのため、撮影装置2により撮影される範囲をこのように設定することで、蛇行量Zが最大になる位置でのコンベヤベルト11の画像データを撮影することが可能になる。
【0041】
この実施形態では、制御部3がコンベヤベルト11が異常範囲Dに存在していると判断すると、制御部3が警告装置6作動させてコンベヤベルト11の蛇行量Zが大きくなっていることを現場の管理者等に知らせる構成になっている。ここで、例えば、異常範囲Dを、第2警告ラインL2どうしの間の領域(初期警告領域)と、第2警告ラインL2どうしの間の領域よりも外側の領域(重大警告領域)とに区別することもできる。コンベヤベルト11が重大警告領域に存在している場合は、初期警告領域に存在している場合に比して蛇行量Zが大きいと言える。そこで、前者の場合と後者の場合とで警告装置6よる警告の方法(種類)を異ならせる。例えば、コンベヤベルト11が重大警告領域に存在している場合は、初期警告領域に存在している場合よりも警告音の音量を大きくして管理者等により強く注意喚起をする。
【0042】
画像データにおいてコンベヤベルト11が所定時間継続して異常領域Dに存在していると制御部3が判断した場合には、制御部3がコンベヤベルト11の走行を停止させる構成にすることもできる。制御部3がこのように判断した場合、蛇行抑制装置5による蛇行量Zの抑制が十分に機能していないと考えられるので、コンベヤベルト11を停止させて、コンベヤベルトラインを詳細に点検する。