特許第6903958号(P6903958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6903958-画像形成装置 図000002
  • 特許6903958-画像形成装置 図000003
  • 特許6903958-画像形成装置 図000004
  • 特許6903958-画像形成装置 図000005
  • 特許6903958-画像形成装置 図000006
  • 特許6903958-画像形成装置 図000007
  • 特許6903958-画像形成装置 図000008
  • 特許6903958-画像形成装置 図000009
  • 特許6903958-画像形成装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6903958
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20210701BHJP
【FI】
   G03G15/16 103
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-45914(P2017-45914)
(22)【出願日】2017年3月10日
(65)【公開番号】特開2018-151444(P2018-151444A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 豊
(72)【発明者】
【氏名】山浦 正彰
(72)【発明者】
【氏名】東村 昌代
【審査官】 堀川 あゆ美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−253131(JP,A)
【文献】 特開2016−177167(JP,A)
【文献】 特開2013−125099(JP,A)
【文献】 特開2017−021145(JP,A)
【文献】 特開2009−265604(JP,A)
【文献】 特開2000−066527(JP,A)
【文献】 特開2006−184644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体に形成されたトナー像が転写される無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトから前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、
前記転写手段の前記記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記トナー像が転写された前記記録媒体の前記中間転写ベルトに対する角度を変更する角度変更手段と、
を備え
前記角度変更手段は、前記記録媒体の体積抵抗率が大きい場合よりも小さい場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、
画像形成装置。
【請求項2】
前記角度変更手段は、体積抵抗率が大きいフィルム系の前記記録媒体よりも体積抵抗率が小さい紙系の前記記録媒体の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
像保持体に形成されたトナー像が転写される無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトから前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、
前記転写手段の前記記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記トナー像が転写された前記記録媒体の前記中間転写ベルトに対する角度を変更する角度変更手段と、
を備え、
前記角度変更手段は、前記トナー像に低帯電トナーが含まれていない場合よりも含まれている場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、
像形成装置。
【請求項4】
前記角度変更手段は、前記トナー像における低帯電トナーの比率が小さい場合よりも大きい場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記角度変更手段は、前記トナー像における低帯電トナーの単位面積当たりの量が小さい場合よりも大きい場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、
請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
像保持体に形成されたトナー像が転写される無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトから前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、
前記転写手段の前記記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記トナー像が転写された前記記録媒体の前記中間転写ベルトに対する角度を変更する角度変更手段と、
を備え、
前記角度変更手段は、前記トナー像に酸化チタンを含むトナーが含まれていない場合よりも含まれている場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、
像形成装置。
【請求項7】
前記角度変更手段は、前記トナー像における酸化チタンを含むトナーの比率が小さい場合よりも大きい場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記角度変更手段は、前記トナー像における酸化チタンを含むトナーの単位面積当たりの量が小さい場合よりも大きい場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、
請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記酸化チタンを含むトナーは、白色トナーである、
請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記角度変更手段は、累積の画像形成時間が少ないときよりも多いときの前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
像保持体に形成されたトナー像が転写される無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトから前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、
前記転写手段の前記記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記トナー像が転写された前記記録媒体の前記中間転写ベルトに対する角度を変更する角度変更手段と、
を備え、
前記角度変更手段は、累積の画像形成時間が少ないときよりも多いときの前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トナー像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転写する転写手段に関する技術が開示されている。この先行技術では、転写部における導電性ベルトと連続紙との接触ニップ領域幅が、用紙とトナー像担持体との接触ニップ領域幅よりも狭くなるように、導電性ゴムローラと導電性ベルトの構成(厚み、ゴム硬度等)、導電性ゴムローラの用紙、トナー像担持体への圧接力の適正化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4939815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
中間転写ベルトから記録媒体へのトナー像の転写では、転写効率に影響を与える条件が変化すると、転写効率が低下することがある。
【0005】
本発明は、トナー像が転写された記録媒体の中間転写ベルトに対する角度を固定する場合と比較し、転写効率に影響を与える条件が変化しても、画像欠陥の発生を抑制しつつ、転写効率の低下を抑制することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様は、像保持体に形成されたトナー像が転写される無端状の中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトから前記トナー像を記録媒体に転写させる転写手段と、前記転写手段の前記記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記トナー像が転写された前記記録媒体の前記中間転写ベルトに対する角度を変更する角度変更手段と、を備えた画像形成装置である
【0007】
第二態様は、前記角度変更手段は、前記記録媒体の体積抵抗率が大きい場合よりも小さい場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、第一態様に記載の画像形成装置である。
【0008】
第三態様は、前記角度変更手段は、前記トナー像に低帯電トナーが含まれていない場合よりも含まれている場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、第一態様又は第二態様に記載の画像形成装置である。
【0009】
第四態様は、前記角度変更手段は、前記トナー像における低帯電トナーの比率が小さい場合よりも大きい場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、第三態様に記載の画像形成装置である。
【0010】
第五態様は、前記角度変更手段は、前記トナー像における低帯電トナーの単位面積当たりの量が小さい場合よりも大きい場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、第三態様又は第四態様に記載の画像形成装置である。
【0011】
第六態様は、前記角度変更手段は、前記トナー像に酸化チタンを含むトナーが含まれていない場合よりも含まれている場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、第一態様1又は第二態様に記載の画像形成装置である。
【0012】
第七態様は、前記角度変更手段は、前記トナー像における酸化チタンを含むトナーの比率が小さい場合よりも大きい場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、第六態様に記載の画像形成装置である。
【0013】
第八態様は、前記角度変更手段は、前記トナー像における酸化チタンを含むトナーの単位面積当たりの量が小さい場合よりも大きい場合の前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、第六態様又は第七態様に記載の画像形成装置である。
【0014】
第九態様は、前記酸化チタンを含むトナーは、白色トナーである、第一態様第八態様のいずれか一態様に記載の画像形成装置である。
【0015】
第十態様は、前記角度変更手段は、累積の画像形成時間が少ないときよりも多いときの前記角度を予め定められた角度を下回らない範囲で小さくする、第一態様第九態様のいずれか一態様に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
第一態様の画像形成装置によれば、トナー像が転写された記録媒体の中間転写ベルトに対する角度を固定する場合と比較し、転写効率に影響を与える条件が変化しても、画像欠陥の発生を抑制しつつ、転写効率の低下を抑制することができる。
【0017】
第二態様の画像形成装置によれば、トナー像が転写された記録媒体の中間転写ベルトに対する角度を固定する場合と比較し、記録媒体の体積抵抗率が変化しても、画像欠陥の発生を抑制しつつ、転写効率の低下を抑制することができる。
【0018】
第三態様の画像形成装置によれば、トナー像が転写された記録媒体の中間転写ベルトに対する角度を固定する場合と比較し、トナー像に低帯電トナーが含まれていても、画像欠陥の発生を抑制しつつ、転写効率の低下を抑制することができる。
【0019】
第四態様の画像形成装置によれば、トナー像が転写された記録媒体の中間転写ベルトに対する角度を固定する場合と比較し、トナー像における低帯電トナーの比率が変化しても、画像欠陥の発生を抑制しつつ、転写効率の低下を抑制することができる。
【0020】
第五態様の画像形成装置によれば、トナー像が転写された記録媒体の中間転写ベルトに対する角度を固定する場合と比較し、トナー像における低帯電トナーの単位面積当たりの量が変化しても、画像欠陥の発生を抑制しつつ、転写効率の低下を抑制することができる。
【0021】
第六態様の画像形成装置によれば、トナー像が転写された記録媒体の中間転写ベルトに対する角度を固定する場合と比較し、トナー像に酸化チタンを含むトナーが含まれていても、画像欠陥の発生を抑制しつつ、転写効率の低下を抑制することができる。
【0022】
第七態様の画像形成装置によれば、トナー像が転写された記録媒体の中間転写ベルトに対する角度を固定する場合と比較し、トナー像における酸化チタンを含むトナーの比率が変化しても、画像欠陥の発生を抑制しつつ、転写効率の低下を抑制することができる。
【0023】
第八態様の画像形成装置によれば、トナー像が転写された記録媒体の中間転写ベルトに対する角度を固定する場合と比較し、トナー像における酸化チタンを含むトナーの単位面積当たりの量の比率が変化しても、画像欠陥の発生を抑制しつつ、転写効率の低下を抑制することができる。
【0024】
第九態様の画像形成装置によれば、トナー像が転写された記録媒体の中間転写ベルトに対する角度を固定する場合と比較し、白色トナーの比率又は単位面積当たりの量が変化しても、画像欠陥の発生を抑制しつつ、転写効率の低下を抑制することができる。
【0025】
第十態様の画像形成装置によれば、トナー像が転写された記録媒体の中間転写ベルトに対する角度を固定する場合と比較し、累積の画像形成時間が変化しても、画像欠陥の発生を抑制しつつ、転写効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略側面図である。
図2図1の画像形成装置の作像装置の要部の構成を示す概略側面図である。
図3図1の画像形成装置の二次転写位置における要部の構成を示す概略側面図である。
図4図1の画像形成装置の要部のブロック図である。
図5図1の画像形成装置の移動装置の構成を示す概略側面図である。
図6】ラップ角と転写効率との関係を示すグラフである。
図7】紙種とラップ角と画像欠陥との関係を示す表である。
図8】紙種と体積抵抗率との関係を示す表である。
図9】印字枚数と転写効率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<全体構成>
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例について説明する。
【0028】
[画像形成装置の全体構成]
図1に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、記録媒体の一例としての連続した長尺の連続紙Pを給紙する給紙装置12と、給紙装置12から給紙された連続紙Pに画像を形成する画像形成部14と、画像形成部14によって画像が形成された連続紙Pを収容する収容装置16と、操作表示部19と、これら給紙装置12、画像形成部14、収容装置16及び操作表示部19を制御する制御装置18と、を備えている。
【0029】
給紙装置12には、連続紙Pがロール状に巻き取られた給紙ロール20が設けられている。給紙ロール20は、図示しない駆動手段によって回転駆動され、搬送ロール対80を介し連続紙Pが画像形成部14へ供給される。なお、図1中の矢印Bで示される方向は、連続紙Pの供給方向を示している。また、給紙装置12の内部には、給紙ロール20の径を検知する給紙ロールセンサ84が設けられている。
【0030】
なお、連続紙Pは、便宜上、「紙」の文字を使用しているが、植物等の繊維を主成分とする紙(例えば、上質紙)に特定されるものではない。例えば、合成樹脂からなるフィルムも使用可能である。
【0031】
収容装置16には、連続紙Pに張力を付与する張力付与ロール82を介して、画像形成された連続紙Pがロール状に巻き取られる収容ロール22が設けられている。
【0032】
画像形成部14は、画像情報に基づいて、第一ホワイト色(W1)、第二ホワイト色(W2)イエロー色(Y)、マゼンタ色(M)、シアン色(C)及びブラック色(K)の各色トナーを用いた画像を連続紙Pに形成する。なお、第一ホワイト色(W1)と第二ホワイト色(W2)とは、同じホワイト色であるので区別する必要がない場合は、ホワイト色(W)(又は白色(W))と記す場合がある。
【0033】
なお、ホワイト色(W)は、顔料として酸化チタンが用いられている。また、ブラック色(K)は、顔料としてカーボンブラックが用いられている。
【0034】
この画像形成部14には、現像剤を構成する各色トナーで現像されたトナー像を形成する作像装置24と、作像装置24で形成されるトナー像をそれぞれ保持して最終的に連続紙Pに二次転写する二次転写位置NTまで搬送する中間転写装置26と、中間転写装置26の中間転写ベルト44で搬送されたトナー像を連続紙Pに二次転写する二次転写装置46と、二次転写装置46で二次転写された連続紙P上のトナー像を定着させる定着装置28等を備えている。
【0035】
作像装置24は、W1、W2、Y、M、C、Kの各色のトナー像をそれぞれ専用に形成する六つの作像装置24W1、24Y、24M、24C、24K、24W2を含んで構成されている。
【0036】
次に、作像装置24W1、24Y、24M、24C、24K、24W2について説明するが、トナーの種類以外は、同様の構成であるので、区別しないで説明する。
【0037】
図2に示すように、各作像装置24は、回転する像保持体の一例としての感光体ドラム30を各々備えている。感光体ドラム30の周囲には、後述する帯電装置32、露光装置34、現像装置36、一次転写装置38及び清掃装置40等が設けられている。
【0038】
感光体ドラム30は、接地処理された円筒状又は円柱状の基材の外周面(表面)に感光材料を含む光導電性層(感光層)(図示省略)を有する像保持面が形成されている。また、感光体ドラム30は、図示しない駆動装置によって動力が伝達されて回転するように支持されている。
【0039】
帯電装置32は、感光体ドラム30に接触した状態で配置される接触型の帯電ロール32Aを含んで構成され、感光体ドラム30の像形成がなされる表面を帯電させる。帯電装置32には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置36が反転現像を行うものである場合、その現像装置36から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧が印加される。本実施の形態では、トナーの帯電極性は負極性とされ、感光体ドラム30の表面は負極性に帯電されるものとする。
【0040】
露光装置34は、帯電された感光体ドラム30の表面に画像情報に基づく光を照射して感光体ドラム30の表面に静電潜像を形成する。
【0041】
現像装置36は、露光装置34によって感光体ドラム30の表面に形成された静電潜像を各々対応する色の現像剤のトナーで現像してトナー像を生成する。現像装置36は、図示は省略するが、現像剤を感光体ドラム30と向き合う現像領域まで搬送する現像ロールと、現像剤を攪拌しながら現像ロールに供給するように搬送するスクリューオーガー等の攪拌搬送部材と、現像ロールに保持される現像剤の量を規制する層厚規制部材などを配置して構成されている。この現像装置36には、現像ロールと感光体ドラム30との間に現像用のバイアス電圧が印加されるようになっている。また、現像ロールや攪拌搬送部材は、図示しない回転駆動装置からの動力が伝達されて予め定められた方向に回転する。なお、現像剤としては、例えば、非磁性トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を使用してもよい。また、現像装置36に供給されるトナーは、各色のトナーを含む現像剤を収容したトナーカートリッジ90(図1参照)から供給される。
【0042】
一次転写装置38は、感光体ドラム30の表面に中間転写ベルト44を介し接触して回転すると共に、一次転写用電圧が供給される一次転写ロール38Aを備えた接触型の転写装置とされている。一次転写ロール38Aに一次転写用電圧が供給されることにより、感光体ドラム30に形成された各色のトナー像が中間転写装置26の中間転写ベルト44に転写される。本実施の形態では、一次転写用電圧はトナーの帯電極性と逆の極性の直流電圧とされ、該直流電圧が一次転写ロール38Aに印加される。
【0043】
また、清掃装置40は、一次転写後における感光体ドラム30の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃する。本実施の形態では、清掃装置40には、感光体ドラム30に接触するブレード42が設けられており、このブレード42によって感光体ドラム30の表面に付着した付着物が取り除かれるようになっている。
【0044】
図1に示すように、中間転写装置26は、各作像装置24(24W1、24Y、24M、24C、24K、24W2)の下方位置に配置されている。中間転写装置26は、本実施の形態では、感光体ドラム30と一次転写装置38の間となる一次転写位置を通過しながら同図中の矢印Aの方向に回転する中間転写ベルト44と、中間転写ベルト44を回転自在に支持する複数のベルト支持ローラ26A、26Bと、バックアップロール72と、を主に備えている。また、中間転写装置26は、図示は省略するが、二次転写装置46を通過した後に中間転写ベルト44の外周面に残留して付着するトナーや、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置を備えている。なお、二次転写装置46におけるバックアップロール72は、中間転写装置26におけるベルト支持ローラとを兼用している。
【0045】
中間転写ベルト44としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルト等が使用される。また、中間転写ベルト44は、後述するバックアップロール72と、支持ローラ26A及び支持ローラ26Bで支持され、バックアップロール72の軸方向視で、二次転写位置NTを頂点とする逆三角形状に配置されている。
【0046】
二次転写装置46は、中間転写装置26におけるバックアップロール72に支持されている中間転写ベルト44の二次転写位置NTにおいて、中間転写ベルト44の外周面に連続紙Pを介し接触して回転する二次転写ロール74を備えた接触型の転写装置とされている。また、二次転写ロール74又は中間転写装置26のバックアップロール72には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性の直流電圧が二次転写用電圧として印加される。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10では、トナーの帯電極性は負極性とされ、トナーの帯電極性と同極性である負極性の直流電圧が、二次転写用電圧としてバックアップロール72に印加されている。
【0047】
また、中間転写ベルト44の上部には、中間転写ベルト44に転写されたトナー像の濃度を検出するための濃度センサ48が設けられており、濃度センサ48の濃度検出結果に基づいて、トナーの供給量が制御されるようになっている。
【0048】
定着装置28は、表面温度が予め定められた温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール状(又はベルト状)の加熱用回転体28Aと、この加熱用回転体28Aに予め定められた圧力で連続紙Pを介し接触して回転するロール状(又はベルト状)の加圧用回転体28Bなどを配置して構成されている。定着装置28では、二次転写装置46によって連続紙Pに転写されたトナー像が加熱及び加圧されることにより、定着処理が行われる。
【0049】
図1及び図3に示すように、本実施形態においては、二次転写装置46の二次転写ロール74の連続紙Pの搬送方向の下流側で、定着装置28の上流側には、角度変更機構100を構成するポストロール110が設けられている。角度変更機構100は、ポストロール110を上下方向であるZ方向に移動させる移動装置112(図4参照)を有している。図4に示すように、移動装置112(ポストロール110(図3参照))は、制御装置18によって制御されている。
【0050】
なお、図3に示すポストロール110を上下方向(Z方向)に移動させる移動装置112(図4参照)は、どのような機構の装置であってもよい。
【0051】
一例として図5に示す移動装置112が挙げられる。図5の移動装置112は、アーム114とステッピングモータ116とを含んで構成されている。アーム114の一端114Aには、ポストロール110に軸部110Aが回転可能に支持されている。アーム114の他端部114Bにはステッピングモータ116の軸部116Aが固定されている。ステッピングモータ116は、制御装置18によって制御されている。制御装置18の制御によって、ステッピングモータ116の軸部116Aが制御に応じた角度だけ回転する。そして、アーム114の一端114Aに回転可能に支持されたポストロール110が、角度に応じた移動量だけZ方向に移動する。
【0052】
図3に示すように、連続紙Pは、ポストロール110によって案内され、定着装置28に搬送される。そして、ポストロール110が上下(Z方向)に移動することで、トナー像が転写された連続紙Pの中間転写ベルト44に対するラップ角θが変更される。
【0053】
ラップ角θを、本実施形態に沿って、より具体的に説明すると、バックアップロール72の軸方向視で、連続紙Pにおける二次転写ロール74とポストロール110との間の直線部分PAと、中間転写ベルト44におけるバックアップロール72と支持ローラ26B(図1参照)の間の直線部分44Aと、が成す角である。言い換えると、バックアップロール72の軸方向視で、連続紙Pにおける直線部分PAの中間転写ベルト44における直線部分44Aに対する角度である。
【0054】
なお、移動装置112によるポストロール110の移動、つまりラップ角θの制御装置18による制御に関する詳細は後述する。
【0055】
操作表示部19は、各種プログラムによって操作指示の受け付けを実現する表示ボタンや各種情報が表示されるタッチパネル式の図示しないディスプレイ、及び、テンキーやスタートボタンなどの図示しないハードウェアキー等を含んで構成されている。また、連続紙Pの紙種が入力される。
【0056】
制御装置18は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ及びI/O等を含んで構成されており、これら各部はバスを介して各々接続されている。なお、I/Oは、画像形成部14等と制御装置18とが相互にデータの授受を行うためのインタフェースである。
【0057】
<画像形成装置の基本的な動作>
続いて、画像形成装置10による基本的な画像形成動作について説明する。
【0058】
図1に示す画像形成装置10は、画像形成動作(印刷動作)の要求を受け付けると、六つの作像装置(24W1、24Y、24M、24C、24K、24W2)24、中間転写装置26、二次転写装置46、及び定着装置28等が始動する。
【0059】
そして、各作像装置24においては、まず各感光体ドラム30が回転されて、各帯電装置32によって各感光体ドラム30の表面が予め定められた極性及び電位にそれぞれ帯電される。続いて、各露光装置34によって、帯電後の各感光体ドラム30の表面に対し、
【0060】
画像情報に基づく光が照射されることにより、各感光体ドラム30の表面に各色成分の静電潜像が形成される。
【0061】
続いて、各現像装置36によって、各感光体ドラム30に形成された各色成分の静電潜像に、予め定められた極性に帯電された対応する色(W1、Y、M、C、K、W2)のトナーがそれぞれ供給されて静電的に付着され、静電潜像が現像される。これにより、各感光体ドラム30に形成された各色成分の静電潜像が、対応する色のトナーでそれぞれ現像された各色(W1、Y、M、C、K、W2)のトナー像として顕像化される。
【0062】
続いて、各作像装置24の感光体ドラム30上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置38によって、各色のトナー像が回転する中間転写ベルト44に対して順番に重ね合わされて一次転写される。
【0063】
また、一次転写が終了した各作像装置24では、清掃装置40によって感光体ドラム30の表面に残留するトナー等の付着物が除去されて感光体ドラム30の表面が清掃される。これにより、各作像装置24は次の作像動作がなされる状態となる。
【0064】
続いて、中間転写装置26では、中間転写ベルト44に一次転写されたトナー像が保持されて二次転写位置NTまで搬送される。一方、給紙装置12では、作像動作に先立って連続紙Pが給紙ロール20から予め定められた搬送経路に沿って二次転写位置NTまで供給される。
【0065】
二次転写位置NTにおいては、二次転写装置46によって、中間転写ベルト44上のトナー像が連続紙Pに一括して二次転写される。また、二次転写が終了した中間転写装置26では、図示しないベルト清掃装置によって、二次転写後の中間転写ベルト44の表面に残留したトナー等の付着物が除去される。
【0066】
続いて、トナー像が二次転写された連続紙Pは、角度変更機構100のポストロール110によって案内されて定着装置28に搬送され、定着装置28によって定着処理が行われることにより連続紙Pにトナー像が定着される。そして、最後に、定着が終了した後の連続紙Pは、画像形成部14から排出されて、収容装置16の収容ロール22に巻き取られる。
【0067】
以上の動作により、各色のトナー像の組み合わせによるフルカラー画像が形成された連続紙Pが得られる
【0068】
<ラップ角θの制御についての詳細>
次に制御装置18によるポストロール110の移動の制御(移動装置112の制御)、つまりラップ角θの制御に関する詳細について説明する。
【0069】
[連続紙Pの体積抵抗率(Ω・cm)による制御]
制御装置18は、連続紙Pの体積抵抗率が小さい場合は、大きい場合よりもラップ角θが小さくなるように、ポストロール110を上方に移動させる。
【0070】
ここで、連続紙Pの体積抵抗率は、紙種によって異なることが判っている。具体的には、植物等の繊維を主成分とする所謂紙は、合成樹脂からなるフィルムよりも体積抵抗が小さいことが判っている。そして、操作表示部19から連続紙Pの紙種が入力されるので、制御装置18は、入力された紙種の情報に基づいて、ラップ角θ(ポストロール110の位置)を制御する。
【0071】
本実施形態では、連続紙Pが体積抵抗率の小さい紙系の場合はラップ角θを40°に設定されているが、連続紙Pが体積抵抗率の大きいフィルム系の場合はラップ角θが5°大きくなるように、制御装置18は、ポストロール110を下方に移動させる。なお、上記の「紙系」及び「フィルム系」については後述する。
【0072】
[低帯電トナーの有無等による制御]
制御装置18は、トナー像に低帯電トナーが含まれている場合は、含まれていない場合よりもラップ角θが小さくなるように、ポストロール110を上方に移動させる。
【0073】
低帯電トナーとは、トナーが低抵抗となる材料が含まれ帯電量が他のトナーよりも低くなる虞があるトナーである。本実施形態では、顔料として酸化チタンが用いられているホワイト色(W)及び顔料としてカーボンブラックが用いられているブラック色(K)が、これらが含まれていないイエロー色(Y)、マゼンタ色(M)及びシアン色(C)よりも低帯電となる低帯電トナーである。
【0074】
よって、本実施形態では、ホワイト色(W)のトナー又はブラック色(K)のトナーが含まれている場合は、制御装置18はラップ角θが小さくなるように、ポストロール110を上方に移動させる。
【0075】
その際、低帯電トナー(ホワイト色(W)のトナー又はブラック色(K)のトナー)がトナー像全体に占める比率が大きいほど、ラップ角θをより小さくする。或いは、低帯電トナー(ホワイト色(W)のトナー又はブラック色(K))の単位面積当たりの量が大きいほどラップ角θを小さくする。
【0076】
なお、比率と単位面積当たりの量とのいずれか一方のみに基づいてラップ角θを小さくしてもよいし、両方を考慮してラップ角θを小さくしてもよい。両方を考慮するとは、例えは、まず比率によってラップ角θを変更し、次に単位面積当たりの量が大きいほどラップ角θを小さくする等である。つまり、同じ比率であっても単位面積当たりの量が大きいほどラップ角θを小さくする等である。
【0077】
なお、「トナー像における低帯電トナーの比率」とは、低帯電トナーと非低帯電トナーとからなる(あるいは低帯電トナーおよび非低帯電トナーの一方のみからなる)トナー像全体に対する、低帯電トナーの質量の割合又は体積の割合である。また、「単位面積当たりの量」は、トナー像における低帯電トナーの単位面積当たり質量又は単位面積当たりの体積である。
【0078】
また、酸化チタンは、カーボンブラックよりもトナーを低帯電化させる。つまり、ホワイト色(W)のトナーは、ブラック色(K)のトナーよりも低帯電となる虞がある。
【0079】
よって、ホワイト色(W)のトナーが含まれている場合は、制御装置18はラップ角θをより小さくする。その際、ホワイト色(W)トナーのトナー像全体に占める比率が大きいほど、ラップ角θを小さくする。或いは、ホワイト色(W)のトナー単位面積当たりの量が大きいほど、ラップ角θを小さくする。なお、比率と単位面積当たりの量とのいずれか一方のみに基づいてラップ角θを小さくしてもよいし、両方を考慮してラップ角θを小さくしてもよい。
【0080】
本実施形態では、制御装置18は、ホワイト色(W)のトナー又はブラック色(K)のトナーが含まれている場合は、含まれていない場合に比べ、ラップ角θを、最大で3°小さくする。
【0081】
また、制御装置18は、低帯電トナーの比率、低帯電トナーの単位面積当たりの量、ホワイト色(W)のトナーの比率、及びホワイト色(W)のトナー単位面積当たりの量の少なくとも一つに応じて、ラップ角θを3°以内の範囲で適宜変更する。
【0082】
なお、低帯電トナーの比率及び単位面積当たりの量やホワイト色(W)のトナーの比率及び単位面積当たりの量は、画像データ等の情報から制御装置18が適宜算出して求める。
【0083】
[累積の画像形成時間による制御]
制御装置18は、累積の画像形成時間が長くなるほど、ラップ角θを小さくするために、ポストロール110を上方に移動させる。なお、本実施形態では、累積の画像形成時間に応じて、初期値に対して、最大で3°小さくする。また、例えは、ラップ角θを連続的に徐々に小さくてもよいし、予め定めた時間経過毎に予め定めた角度ずつ小さくしてもよい。
【0084】
[まとめ]
上記のように、本実施形態では、基準となるラップ角θは40°であるが、連続紙Pの体積抵抗率(紙種)と、ホワイト色(W)のトナー又はブラック色(K)のトナーの有無・比率・単位面積当たりの量と、累積の画像形成時間と、に応じて、制御装置18が、適宜ポストロール110を上下方に移動させラップ角を変更する。
【0085】
<作用及び効果>
次に本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0086】
先ずトナー像が転写された連続紙Pと中間転写ベルト44とのラップ角θと、二次転写における転写効率及び画像欠陥と、の関係について説明する。
【0087】
図6は、イエロー色(Y)、マゼンタ色(M)及びシアン色(C)の各色トナーのラップ角θと転写効率との関係を示すグラフである。そして、このグラフをみると判るように、ラップ角θが小さくなるほど、転写効率が向上する。
【0088】
図7の表は、連続紙Pの紙種の違いによるラップ角θと画像欠陥との関係、具体的には紙系とフィルム系とにおけるラップ角θと画像欠陥との関係を示している。画像欠陥とは、連続紙Pが中間転写ベルト44に近接すると、両者間で電圧リークが発生し、トナー像が飛ばされて白点が発生する現象である。そして、体積抵抗率の高い連続紙Pでは、二次転写によって高帯電化するため、両者間で電圧リークが発生しやすく、画像欠陥が発生しやすい。
【0089】
図7の表を見ると判るように、体積抵抗率が低い紙系の連続紙Pは、ラップ角θが32.5°でも画像欠陥が実質的に発生しない(表では「○(OK)」と記載されている)が、体積抵抗率が高いフィルム系の連続紙Pは、画像欠陥が発生する(表では「×(NG)」と記載されている)。
【0090】
ここで、連続紙Pにおける紙系及びフィルム系について説明する。
【0091】
紙は植物等の繊維を主成分とし、フィルムは合成樹脂を主成分としている。「紙系」とは、上質紙及び中質紙等の所謂紙に加え、表面に白色顔料及び接着剤等を混ぜた塗料を塗って平滑性をもたせたコート紙等が含まれる。「フィルム系」とは、合成樹脂を主成分とするフィルムに加え、紙にフィルムを被覆した合成紙等が含まれる。
【0092】
図8に示す表におけるラベルHG及びNキャストは、上質紙及びコート紙であり、紙系である。また、同表におけるPET50及びユポ80は、PETを主成分とするフィルム及びPPを主成分とする合成紙であり、フィルム系である。紙系の体積抵抗率は、10の12乗(Ω・cm)程度であり、フィルム系は10の15乗(Ω・cm)程度であり、3桁程度の差がある。
【0093】
本実施形態では、12乗(Ω・cm)程度の体積抵抗率が小さい紙系の連続紙Pではラップ角θは40°に設定されているが、10の12乗(Ω・cm)程度の体積抵抗率が大きいフィルム系の連続紙Pではラップ角θが5°大きくなるように、制御装置18は、ポストロール110を下方に移動させる。
【0094】
よって、連続紙Pの中間転写ベルト44に対するラップ角θを固定する場合と比較し、連続紙Pが紙系からフィルム系に変わっても、画像欠陥の発生が抑制される。また、ラップ角θがフィルム系で画像欠陥が抑制される角度に固定する場合と比較し、連続紙Pが紙系の場合の転写効率の低下が抑制される。
【0095】
なお、体積抵抗率が低い紙系の連続紙Pは、ラップ角θが32.5°でも画像欠陥が発生せず、体積抵抗率が高いフィルム系の連続紙Pは、ラップ角θが37.5°でも画像欠陥が発生しない。しかし、本実施形態では、各種ばらつき及び余裕度(マージン)等を考慮し、体積抵抗率が小さい紙系の連続紙Pではラップ角θは40°に設定し、体積抵抗率が大きいフィルム系の連続紙Pではラップ角θが5°大きくなるように設定している。
【0096】
次に低帯電トナーと二次転写における転写効率との関係について説明する。
【0097】
顔料として酸化チタン及びカーボンブラックが用いられたホワイト色(W)トナー及びブラック色(K)トナーは、顔料がトナー母材の表面近傍に偏在すると、トナー間の電荷交換性が大きくなり、トナー同士の摩擦により低帯電トナーを発生させやすい。そして、低帯電トナーは、転写効率の低下を招くことが知られている。
【0098】
よって、本実施形態では、ホワイト色(W)のトナー又はブラック色(K)のトナーが含まれている場合は、制御装置18はラップ角θを、含まれていない場合よりも最大で3°小さくし、転写効率の低下を抑制する。また、本実施形態においては、制御装置18は、低帯電トナーの比率、低帯電トナーの単位面積当たりの量、ホワイト色(W)のトナーの比率、及びホワイト色(W)のトナーの単位面積当たりの量の少なくとも一つに応じて、ラップ角θを3°以内の範囲で適宜変更する。
【0099】
なお、体積抵抗率が大きいフィルム系の連続紙Pではラップ角θを5°大きくするが、そこから最大で3°小さくする。また、最大で3°小さくなっても42°であり、37.5°(予め定められた角度の一例)よりも大きいので画像欠陥が防止される。このように、連続紙Pの中間転写ベルト44に対するラップ角θを固定する場合と比較し、低帯電トナーが含まれていても、画像欠陥の発生を抑制しつつ、転写効率の低下が抑制される。
【0100】
次に、累積の画像形成時間と二次転写における転写効率との関係について説明する。
【0101】
中間転写ベルト44の表面離型性の低下等のため、二次転写における転写効率が徐々に低下することが判っている。
【0102】
図9のグラフは、印字枚数と二次転写における転写効率との関係を示している。なお、印字枚数は、累積の画像形成時間をA4用紙に換算した枚数である。そして、この図9のグラフを見ると判るように、二次転写における転写効率は、印字枚数の増加(すなわち累積の画像形成時間)が増加するに従って低下している。
【0103】
本実施形態では、制御装置18は、累積の画像形成時間に応じて最大で3°小さくすることで、転写効率の低下を抑制している。
【0104】
なお、体積抵抗率が大きいフィルム系の連続紙Pではラップ角θを5°を大きくするが、そこから最大で3°小さくする。また、最大で3°小さくなっても42°であり、37.5°よりも大きいので画像欠陥が防止される。
【0105】
また、低帯電トナーが含まれていた場合でも、ラップ角θを42°から更に3°小さくしても、39°であり、37.5°よりも大きいので画像欠陥が防止される。このように、連続紙Pの中間転写ベルト44に対するラップ角θを固定する場合と比較し、累積の画像形成時間が長くなっても、画像欠陥の発生を抑制しつつ、転写効率の低下が抑制される。
【0106】
なお、上記ラップ角θおよび予め定められた角度は、一例であって、これに限定されるものではない。画像形成装置の構成及び仕様等によって適宜設定すればよい。
【0107】
<その他>
尚、本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0108】
例えば、上記本実施形態では、連続紙Pの体積抵抗率(紙種)、ホワイト色(W)のトナー又はブラック色(K)のトナーの有無・比率・単位面積当たりの量及び累積の画像形成時間に応じて、制御装置18が、ラップ角θを変更したが、これに限定されない。例えば、人が画像形成装置10で形成された画像を確認しながら、制御装置18を操作(制御装置18に指示)して、ラップ角θを変更してもよい。
【0109】
連続紙Pの体積抵抗率(紙種)、ホワイト色(W)のトナー又はブラック色(K)のトナーの有無・比率・単位面積当たりの量及び累積の画像形成時間の少なくとも一つ以上に応じて、制御装置18がラップ角θを変更してもよい。
【0110】
更に、連続紙Pの体積抵抗率(紙種)、ホワイト色(W)のトナー又はブラック色(K)のトナーの有無・比率・単位面積当たりの量及び累積の画像形成時間以外の転写効率に影響を与える条件に基づいて、制御装置18がラップ角θを変更してもよい。
【0111】
また、例えば、上記実施形態では、酸化チタンを含むトナーは、酸化チタンが顔料として用いられたホワイト色(W)トナーであったが、これに限定されない。例えば、酸化チタンが顔料として用いられた金色トナー又は銀色トナーであってもよいし、酸化チタンを外添剤として用いたトナーであってもよい。
【0112】
また、連続紙Pの体積抵抗率は、紙種の情報で判断していたが、これに限定されない。例えば、連続紙Pの体積抵抗率を測定する測定器を設け、測定結果に応じて、ラップ角θを変更してもよい。
【0113】
また、角度変更機構100のポストロール110で連続紙Pを案内し、ラップ角θを調整したが、これに限定されない。例えば、板状の案内板で連続紙Pを案内し、ラップ角θを変更してもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、連続紙Pを用いたが、これに限定されない。カット紙を用いる画像形成装置にも本発明を適用することができる。
【0115】
画像形成装置の構成としては、上記実施形態の構成に限られず種々の構成とすることが可能である。
【0116】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0117】
10 画像形成装置
18 制御装置(角度変更手段の一例)
30 感光体(像保持体の一例)
44 中間転写ベルト
74 二次転写ロール(転写手段の一例)
100 角度変更機構(角度変更手段の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9