特許第6904060号(P6904060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904060
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】フロントアンダーランプロテクタ
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/56 20060101AFI20210701BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   B60R19/56
   B62D25/20 C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-103023(P2017-103023)
(22)【出願日】2017年5月24日
(65)【公開番号】特開2018-197082(P2018-197082A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2020年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 尚宜
(72)【発明者】
【氏名】山田 章司
(72)【発明者】
【氏名】徳武 将也
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4307824(JP,B2)
【文献】 特開2004−243831(JP,A)
【文献】 特開2010−241247(JP,A)
【文献】 特開2013−203129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/56
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装着された場合に、前記車両の車幅方向において延伸する前側部と、
前記前側部よりも前記車両の前後方向における後方側に設けられている後側部と、
前記後側部に固定される補強部材と、
を有し、
前記補強部材の長手方向における前記車両の外側の一端には、凹部が形成されており、
前記補強部材の長手方向における他端には、前記一端に形成されている前記凹部が有する輪郭線と同一形状の輪郭線を有する凸部が形成されており、
前記後側部は、上面、後面及び下面を有するコ字形状をしており、
前記補強部材は、前記補強部材が前記後側部に固定された状態において、全ての領域で前記後側部の上面と接する補強部上面と、全ての領域で前記後側部の下面と接する補強部下面と、全ての領域で前記後側部の後面と接する補強部後面と、を有し、
前記凹部及び前記凸部は、前記補強部後面に形成されていることを特徴とするフロントアンダーランプロテクタ。
【請求項2】
前記凹部及び前記凸部は、曲線状の輪郭線を有することを特徴とする、
請求項1に記載のフロントアンダーランプロテクタ。
【請求項3】
前記凹部及び前記凸部は、円弧状であることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のフロントアンダーランプロテクタ。
【請求項4】
前記凹部は、前記補強部材の前記車両の車幅方向における外側の一端に形成されており、
前記凸部は、前記補強部材の前記車両の車幅方向における内側の一端に形成されていることを特徴とする、
請求項1からのいずれか一項に記載のフロントアンダーランプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントアンダーランプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車両の前方下部にフロントアンダーランプロテクタが取付けられている。特許文献1には、長手方向の両端部に凹部が形成されている補強部材が設けられているフロントアンダーランプロテクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−243831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すように、フロントアンダーランプロテクタに設けられている補強部材の長手方向における両端部に凹部が形成されている場合、材料として用いる1枚の金属板から補強部材を切り出す際に、材料の無駄が発生してしまうという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、材料の無駄が発生しづらくなる補強部材を備えるフロントアンダーランプロテクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、車両に装着された場合に、前記車両の車幅方向において延伸する前側部と、前記前側部よりも前記車両の前後方向における後方側に設けられている後側部と、前記後側部に固定される補強部材と、を有し、前記補強部材の長手方向における一端には、凹部が形成されており、前記補強部材の長手方向における他端には、前記一端に形成されている前記凹部が有する輪郭線と同一形状の輪郭線を有する凸部が形成されていることを特徴とするフロントアンダーランプロテクタを提供する。
【0007】
また、前記凹部及び前記凸部は、曲線状の輪郭線を有していてもよい。また、前記凹部及び前記凸部は、円弧状であってもよい。また、前記後側部は、上面、後面及び下面を有するコ字形状をしており、前記補強部材は、前記後側部の上面と接する補強部上面と、前記後側部の下面と接する補強部下面と、前記後側部の後面と接する補強部後面と、を有し、前記凹部及び前記凸部は、前記補強部後面に形成されていてもよい。
【0008】
また、前記凹部は、前記補強部材の前記車両の車幅方向における外側の一端に形成されており、前記凸部は、前記補強部材の前記車両の車幅方向における内側の一端に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フロントアンダーランプロテクタの補強部材において、材料の無駄が発生しづらくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るフロントアンダーランプロテクタが車両に取付けられている状態を示す。
図2図1に示す本実施形態に係るフロントアンダーランプロテクタにおける補強部材付近を車両後方側から見た構成を示す。
図3】本実施形態に係るフロントアンダーランプロテクタの構成を示す。
図4】金属板から補強部材を切り出す状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本実施形態>
[フロントアンダーランプロテクタ1の構成]
図1は、本実施形態に係るフロントアンダーランプロテクタ1が車両に取付けられている状態を示す図である。図2は、図1に示す本実施形態に係るフロントアンダーランプロテクタ1における補強部材15付近を車両後方側から見た構成を示す図である。図3は、本実施形態に係るフロントアンダーランプロテクタ1の構成を示す図である。図4は、金属板4から補強部材15を切り出す状態を示す図である。
【0012】
フロントアンダーランプロテクタ1は、車両に対する前方からの衝突時に衝撃を吸収し、車両に対する影響を低減するための部材である。フロントアンダーランプロテクタ1は、車両の車幅方向において延伸しており、車両の前方下部に設けられている。具体的には、図1に示すように、フロントアンダーランプロテクタ1は、ブラケット3を介して車両のサイドフレーム2に固定されている。サイドフレーム2は、車両の前後方向に延伸している複数の部材である。
【0013】
フロントアンダーランプロテクタ1には、2つの補強部材15が設けられており、フロントアンダーランプロテクタ1は、補強部材15が設けられている位置において、ブラケット3を介してサイドフレーム2に固定されている。
【0014】
フロントアンダーランプロテクタ1は、前側部11、後側部12、及び補強部材15を有する。フロントアンダーランプロテクタ1は、断面コ字形状を有する前側部11と断面コ字形状を有する後側部12とが接続されることで形成されており、内部に空間を有している。前側部11は、車両に装着された場合に、車両の車幅方向において延伸している。前側部11は、車両の後方側に向かって開放している断面コ字形状を有し、フロントアンダーランプロテクタ1の車両の前後方向における前方側の部材である。
【0015】
前側部11は、前面板部111、上面板部112、及び下面板部113を有する。前面板部111、上面板部112、及び下面板部113は、それぞれ長方形状の板である。前面板部111の長手方向は、車両の車幅方向と同じ方向である。上面板部112の長手方向は、車両の車幅方向と同じ方向である。上面板部112は、前面板部111の車両の高さ方向における上端から車両の前後方向における後方に向かって延伸している。上面板部112は、前面板部111に対して直交して形成されている。
【0016】
下面板部113の長手方向は、車両の車幅方向と同じ方向である。下面板部113は、前面板部111の車両の高さ方向における下端から車両の前後方向における後方に向かって延伸している。下面板部113は、前面板部111に対して直交して形成されている。
【0017】
後側部12は、車両の車幅方向において延伸しており、前側部11よりも車両の前後方向における後方側に設けられている。後側部12は、車両の前方側に向かって開放している断面コ字形状を有する。
【0018】
後側部12は、後面板部121、上面板部122、及び下面板部123を有する。後面板部121、上面板部122、及び下面板部123は、それぞれ長方形状の板である。後面板部121の長手方向は、車両の車幅方向と同じ方向である。上面板部122の長手方向は、車両の車幅方向と同じ方向である。上面板部122は、後面板部121の車両の高さ方向における上端から車両の前後方向における前方に向かって延伸している。上面板部122は、後面板部121に対して直交して形成されている。
【0019】
下面板部123の長手方向は、車両の車幅方向と同じ方向である。下面板部123は、後面板部121の車両の高さ方向における下端から車両の前後方向における前方に向かって延伸している。下面板部123は、後面板部121に対して直交して形成されている。
【0020】
前側部11の上面板部112と後側部12の上面板部122とは溶接によって接続されている。また、前側部11の下面板部113と後側部12の下面板部123とは溶接によって接続されている。
【0021】
[補強部材15の構成]
補強部材15は、フロントアンダーランプロテクタ1の強度を向上させるための部材である。図1図3に示すように、補強部材15は、後側部12に固定されている。図2に示すように、補強部材15は、車両の前方に向かって開放している断面コ字形状を有する。補強部材15は、後面板部151、上面板部152、下面板部153、凹部154、及び凸部155を有する。
【0022】
後面板部151の長手方向は、車両の車幅方向と同じ方向である。上面板部152の長手方向は、車両の車幅方向と同じ方向である。上面板部152は、後面板部151の車両の高さ方向における上端から車両の前後方向における前方に向かって延伸している。上面板部152は、後面板部151に対して直交して形成されている。
【0023】
下面板部153の長手方向は、車両の車幅方向と同じ方向である。下面板部153は、後面板部151の車両の高さ方向における下端から車両の前後方向における前方に向かって延伸している。下面板部153は、後面板部151に対して直交して形成されている。補強部材15の後面板部151は、後側部12の後面板部121と接している。また、補強部材15の上面板部152は、後側部12の上面板部122と接している。また、補強部材15の下面板部153は、後側部12の下面板部123と接している。
【0024】
また、図1及び図3に示すように、補強部材15は、フロントアンダーランプロテクタ1に2つ設けられている。補強部材15は、車両の車幅方向においてサイドフレーム2及びブラケット3に対応する位置に設けられている。補強部材15の後面板部151には、ブラケット3が接続されている。
【0025】
凹部154は、補強部材15の長手方向における一端に形成されている凹部である。具体的には、凹部154は、後面板部151の長手方向における一端に形成されている。より具体的には、図2及び図3に示すように、凹部154は、補強部材15の車両の車幅方向における外側の一端に形成されている。
【0026】
また、凸部155は、補強部材15の長手方向における他端に形成されており、凹部154が有する輪郭線と同一形状の輪郭線を有する凸部である。具体的には、凸部155は、後面板部151の長手方向における凹部154が形成されている側の一端とは反対側の他端に形成されている。より具体的には、図2及び図3に示すように、凸部155は、補強部材15の車両の車幅方向における内側の一端に形成されている。
【0027】
補強部材15は、補強部材15の長手方向における端部に、このように凹部154、及び凸部155を有するので、後側部12に接するようにして補強部材15を固定させた際に、補強部材15の長手方向における両端の輪郭線が、凹部154の輪郭線及び凸部155の輪郭線の形状となる。
【0028】
よって、フロントアンダーランプロテクタ1は、例えばフロントアンダーランプロテクタ1に車両前方から荷重がかかった際に、補強部材15の長手方向における両端が直線である場合に比べて、後側部12の変形範囲を広くすることができ、後側部12における補強部材15の長手方向の両端が位置する部分に生じる応力を分散させることができる。この結果、フロントアンダーランプロテクタ1は、強度が向上する。
【0029】
また、図2及び図3に示すように、凸部155が有する輪郭線の形状は、凹部154が有する輪郭線の形状と同一であるので、補強部材15は、例えば図4に示すように、1枚の金属板4から複数の補強部材15を隣接させて切り出すことができる。そして、金属板4から補強部材15を切り出した後に、上面板部152と下面板部153を、後面板部151に対して、直交するように折り曲げることで、図1及び図2に示す断面コ字形状の補強部材15を製造することができる。
【0030】
よって、補強部材15は、例えば、補強部材15の長手方向における両端に凹部が形成されている場合、または補強部材15の長手方向における両端に凸部が形成されている場合に比べて、1枚の金属板4から複数の補強部材15を切り出す際に、材料の無駄が発生しづらくなる。
【0031】
また、凹部154及び凸部155は、曲線状の輪郭線を有している。凹部154及び凸部155が、曲線状の輪郭線を有することで、凹部154及び凸部155が、直線状の輪郭線のみから構成される場合、例えば凹部154及び凸部155が三角形状である場合に比べて、フロントアンダーランプロテクタ1は、後側部12における補強部材15の長手方向の両端が位置する部分に生じる応力を分散させることができる。この結果、フロントアンダーランプロテクタ1は、強度が向上する。
【0032】
また、凹部154及び凸部155は、円弧状である。円弧状は、円又は楕円の弧の部分の形状である。凹部154及び凸部155が、円弧状であることで、後側部12における補強部材15の長手方向の両端が位置する部分に生じる応力を凹部154及び凸部155の輪郭線に沿って均等に分散させることができる。この結果、フロントアンダーランプロテクタ1は、さらに強度が向上する。
【0033】
[本実施形態に係るフロントアンダーランプロテクタ1による効果]
本実施形態に係るフロントアンダーランプロテクタ1は、車両に装着された場合に、車両の車幅方向において延伸する前側部11と、前側部11よりも車両の前後方向における後方側に設けられている後側部12と、後側部12に固定される補強部材15と、を有する。また、フロントアンダーランプロテクタ1は、補強部材15の長手方向における一端には、凹部154が形成されており、補強部材15の長手方向における他端には、一端に形成されている凹部154が有する輪郭線と同一形状の輪郭線を有する凸部155が形成されている。
【0034】
本実施形態に係るフロントアンダーランプロテクタ1は、このように補強部材15の長手方向における一端に凹部154が形成されており、補強部材15の長手方向における他端に凸部155が形成されている。よって、フロントアンダーランプロテクタ1は、フロントアンダーランプロテクタ1に、例えば車両の前方から荷重がかかった際に、補強部材15の両端が位置する部分に生じる応力を分散させることができる。この結果、フロントアンダーランプロテクタ1は強度が向上する。また、フロントアンダーランプロテクタ1は、補強部材15を、材料として用いる1枚の金属板4から切り出す際に、材料の無駄が発生しづらくなる。
【0035】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0036】
1・・・フロントアンダーランプロテクタ
11・・・前側部
111・・・前面板部
112・・・上面板部
113・・・下面板部
12・・・後側部
121・・・後面板部
122・・・上面板部
123・・・下面板部
15・・・補強部材
151・・・後面板部
152・・・上面板部
153・・・下面板部
154・・・凹部
155・・・凸部
2・・・サイドフレーム
3・・・ブラケット
4・・・金属板
図1
図2
図3
図4