特許第6904073号(P6904073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904073
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】掃除具及び電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 5/30 20060101AFI20210701BHJP
   A47L 9/02 20060101ALI20210701BHJP
   A47L 9/08 20060101ALI20210701BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
   A47L5/30 B
   A47L9/02 D
   A47L9/08
   B08B5/02 A
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-112842(P2017-112842)
(22)【出願日】2017年6月7日
(65)【公開番号】特開2018-202349(P2018-202349A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2019年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 朋生
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 亮介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大介
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−035983(JP,U)
【文献】 実開平03−019584(JP,U)
【文献】 特開2007−125473(JP,A)
【文献】 実開平03−110068(JP,U)
【文献】 特開2014−094145(JP,A)
【文献】 実開平02−025961(JP,U)
【文献】 特開平04−343819(JP,A)
【文献】 特開2005−021468(JP,A)
【文献】 実開平01−175752(JP,U)
【文献】 特開2001−321305(JP,A)
【文献】 特開2004−344596(JP,A)
【文献】 米国特許第5054159(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/00 − 7/08
A47L 9/02 − 9/08
B08B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に開口が形成された中空筒状のノズル部と、
一端が前記ノズル部の外側面部又は前記開口の縁部に取り付けられた除塵体と、を備え、
前記除塵体は、
前記開口の全周の1/3の範囲を除く2/3の範囲にわたって設けられるとともに、
前記除塵体の周囲に一定以上の風速の気流がある時には、この気流の作用によりはためいて振動することができ、かつ、前記除塵体の周囲に一定以上の風速の気流がない時には、前記ノズル部の向きによらず中間で折れ曲がったり捻れたりせずに重力に抗して前記除塵体自身の形状を保つことができ、
前記除塵体の少なくとも一部は、前記ノズル部内から前記開口を通じて吹き出す気流の方向が予め設定された基準方向よりも上向きとなる向きに前記開口が向けられた状態で、前記開口から気流の吹き出しが開始された時に、前記開口から吹き出す気流の方向に沿うように配置される掃除具。
【請求項2】
前記開口は、開口面の形状が長手方向と短手方向とを有する請求項1に記載の掃除具。
【請求項3】
前記除塵体は、前記開口の縁部の前記長手方向に沿った部分に配置されるように、前記ノズル部の外側面部又は前記開口の縁部に取り付けられる請求項に記載の掃除具。
【請求項4】
前記除塵体は、前記一端の側よりも他端側が前記開口の開口面の中心側に配置されるように傾斜して設けられる請求項1から請求項のいずれか一項に記載の掃除具。
【請求項5】
前記開口から前記除塵体の他端までの距離を調節する調節手段をさらに備えた請求項1から請求項のいずれか一項に記載の掃除具。
【請求項6】
前記調節手段は、前記除塵体の他端を前記開口よりも前記ノズル部の根元側に位置させることが可能である請求項に記載の掃除具。
【請求項7】
全長が異なる複数の前記除塵体を備える請求項1から請求項のいずれか一項に記載の掃除具。
【請求項8】
前記除塵体は、マイクロファイバーを含む請求項1から請求項のいずれか一項に記載の掃除具。
【請求項9】
前記除塵体は、帯電防止処理を施した素材を備える請求項1から請求項のいずれか一項に記載の掃除具。
【請求項10】
前記除塵体は、抗菌処理を施した素材を備える請求項1から請求項のいずれか一項に記載の掃除具。
【請求項11】
前記ノズル部は、屈曲可能である請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の掃除具。
【請求項12】
前記ノズル部は、前記開口の開口面の向きを前記ノズル部内の前記気流の方向に平行な回転軸を中心にして回転可能である請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の掃除具。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の掃除具と、
前記気流を発生させるための送風機と、を備えたことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、掃除具及び電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
掃除具においては、被塗装物の除塵装置として、エアノズルの噴出口の口縁に帯状をなす多数の除塵布の基端を取り付けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平04−040770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような掃除具においては、エアノズル(ノズル部)の噴出口(開口)は、下方向で固定されている。このため、壁面、家具の表面等の多様な向き及び形状の被清掃面に対して予めノズル部の開口を被清掃面に向けた後に送風を開始する場合に関しては全く考慮されていない。
【0005】
したがって、予めノズル部の開口を目的とする被清掃面に向けた場合に、除塵布(除塵体)が重力で垂れ下がり、開口から吹き出す気流の影響範囲から除塵体が外れてしまうおそれがある。そうすると、開口から吹き出す気流で除塵体を振動させることができず、壁面、家具の表面等の多様な向き及び形状の被清掃面について、気流及び除塵体による相乗的な塵埃除去効果を得ることが困難である。
【0006】
または、被清掃面にノズル部の開口を向ける前に、予め特定の方向にノズル部の開口を向けて送風を開始して除塵体を振動させた後、目的とする被清掃面にノズル部の開口を向け直す必要が生じ、利便性が著しく低下してしまう。
【0007】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、壁面、家具の表面等の多様な向き及び形状の被清掃面に対して気流及び除塵体による相乗的な塵埃除去効果を容易に得ることができ、その際の利便性の低下の抑制も可能である掃除具及び電気掃除機を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る掃除具は、端部に開口が形成された中空筒状のノズル部と、一端が前記ノズル部の外側面部又は前記開口の縁部に取り付けられた除塵体と、を備え、前記除塵体は、前記開口の全周の1/3の範囲を除く2/3の範囲にわたって設けられるとともに、前記除塵体の周囲に一定以上の風速の気流がある時には、この気流の作用によりはためいて振動することができ、かつ、前記除塵体の周囲に一定以上の風速の気流がない時には、前記ノズル部の向きによらず中間で折れ曲がったり捻れたりせずに重力に抗して前記除塵体自身の形状を保つことができ、前記除塵体の少なくとも一部は、前記ノズル部内から前記開口を通じて吹き出す気流の方向が予め設定された基準方向よりも上向きとなる向きに前記開口が向けられた状態で、前記開口から気流の吹き出しが開始された時に、前記開口から吹き出す気流の方向に沿うように配置される。
【0009】
また、この発明に係る電気掃除機は、上述のように構成された掃除具と、前記気流を発生させるための送風機と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る掃除具及び電気掃除機によれば、壁面、家具の表面等の多様な向き及び形状の被清掃面に対して気流及び除塵体による相乗的な塵埃除去効果を容易に得ることができ、その際の利便性の低下の抑制も可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の実施の形態1に係る掃除具を備えた電気掃除機の全体外観を示す斜視図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る掃除具の斜視図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る掃除具の被清掃面での掃除動作を説明する側面図である。
図4】この発明の実施の形態2に係る掃除具の斜視図である。
図5】この発明の実施の形態2に係る掃除具の除塵体を収納した状態の斜視図である。
図6】この発明の実施の形態3に係る掃除具のノズル部を屈曲させた状態の斜視図である。
図7】この発明の実施の形態3に係る掃除具のノズル部を屈曲させた状態の側方断面図である。
図8】この発明の実施の形態3に係る掃除具のノズル先端部の向きを変えた状態での動作時の斜視図である。
図9】この発明の実施の形態4に係る掃除具のノズル部を屈曲させた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0013】
以下の説明では、塵埃及びその他のゴミを総称して単に「塵埃」と呼ぶ場合がある。また、塵埃が混じった空気を「含塵空気」と呼ぶ場合がある。そして、塵埃が取り除かれた空気を「清浄空気」と呼ぶ場合がある。
【0014】
実施の形態1.
図1から図3は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は掃除具を備えた電気掃除機の全体外観を示す斜視図、図2は掃除具の斜視図、図3は掃除具の被清掃面での掃除動作を説明する側面図である。
【0015】
図1に示すように、この発明の実施の形態1に係る掃除具5が用いられる電気掃除機1は、例えば、掃除機本体2、ホース3及び接続パイプ4を備えている。掃除機本体2は、含塵空気から塵埃を分離して清浄空気を送出するものである。掃除機本体2には、集塵部2aと電動送風機2bとが備えられている。集塵部2aは、掃除機本体2へと流入した含塵空気中の塵埃を捕捉して集める。電動送風機2bは、掃除機本体2の集塵部2aへと含塵空気を吸引し、清浄空気を送出する気流を作り出すためのものである。
【0016】
掃除機本体2には、吸気口2c及び排気口2dが設けられている。吸気口2cは掃除機本体2の前端部に配置されている。吸気口2cは掃除機本体2に含塵空気を吸引するための開口である。排気口2dは掃除機本体2の後端部に配置されている。排気口2dは掃除機本体2から清浄空気を送出するための開口である。
【0017】
ホース3は、蛇腹により可撓性を備えた筒状の部材からなる。このホース3の一端部は、吸気口2c及び排気口2dのいずれにも接続可能に構成されている。ホース3の一端部を吸気口2cに接続すると、ホース3の他端部から空気を吸い込むことができる。ホース3の一端部を排気口2dに接続すると、ホース3の他端部から空気を吹き出すことができる。この実施の形態1に係る掃除具5を使用する際には、図1に示すように、ホース3の一端部を排気口2dに接続する。
【0018】
ホース3の他端部には、接続パイプ4の一端部が接続される。この接続パイプ4は、途中で折れ曲がった中空円筒状の部材からなる。接続パイプ4には、ハンドル4aが設けられている。ハンドル4aは、電気掃除機1の使用者が持って操作するためのものである。ハンドル4aには、電気掃除機1の運転を制御するための操作スイッチが設けられている。
【0019】
接続パイプ4の他端部には、掃除具5が接続される。この掃除具5は、掃除機本体2の排気口2dからホース3を経由して送られる清浄空気を送出する。そして、掃除具5から吹き出す気流で被清掃面の塵埃を吹き飛ばして除去する送風清掃を行うためのものである。
【0020】
図2を参照しながら、この発明の実施の形態1に係る掃除具5の構成について説明する。同図に示すように、掃除具5は、ノズル部6及び除塵体7を備えている。ノズル部6は、例えば樹脂からなる中空の筒体である。ノズル部6の一端部は円筒状に構成されている。ノズル部6のこの一端部は、接続パイプ4に着脱可能に接続される。以下においては、この一端部の側をノズル部6の「根元側」と呼ぶ場合がある。
【0021】
ノズル部6の他端部には、開口10が形成されている。開口10の開口面の形状は、長手方向と短手方向とを有する。具体的に例えば、開口10の開口面の形状は、縦40ミリメートル、横20ミリメートルの角に丸みを有する矩形状である。このように、ノズル部6は、端部に開口10が形成された中空筒状を呈する。そして、ここでは、開口10の開口面が長手方向と短手方向とを有する形状である。
【0022】
この実施の形態1においては、除塵体7は、第1の除塵体7aと第2の除塵体7bとを備えている。以下においては、第1の除塵体7aと第2の除塵体7bとを区別せず総称する場合に除塵体7という。すなわち、掃除具5は、複数の除塵体7を備えている。
【0023】
第1の除塵体7aと第2の除塵体7bは、いずれも矩形状を呈する薄板状のシート体からなる。第1の除塵体7aの形状と第2の除塵体7bの形状とは、この例では同じである。それぞれの除塵体7の各種サイズは、具体的に例えば、幅36ミリメートル、長さ200ミリメートル、厚み0.5ミリメートルである。
【0024】
各除塵体7の一端は、ノズル部6の外側面部又は開口10の縁部に取り付けられる。この実施の形態1では、除塵体7の一端はノズル部6の外側面部に取り付けられている。また、各除塵体7の他端から長さ80ミリメートルの範囲は、幅18ミリメートルのサイズに2分割されている。
【0025】
前述したように、ノズル部6の開口10は、開口面の形状が長手方向と短手方向とを有する略矩形状である。そして、除塵体7は、開口10の縁部の長手方向に沿った部分に配置されるように、ノズル部6の外側面部又は開口10の縁部に取り付けられる。開口10の開口面は長手方向と短手方向とを有する略矩形状であるため、開口10の縁部の長手方向に沿った部分は2箇所存在する。この実施の形態1では、これら2箇所の開口10の縁部の長手方向に沿った部分のうち、一方に第1の除塵体7aが配置され、他方に第2の除塵体7bが配置されるようになっている。
【0026】
各除塵体7の最大面積を有する表裏両面は、ノズル部6の矩形断面の長手方向と平行に配置される。つまり、各除塵体7の表裏両面は、ノズル部6の先端を構成する左右の外周面と平行に配置されている。したがって、第1の除塵体7aと第2の除塵体7bとは、それぞれの最大面積を有する面が平行になるように配置されている。
【0027】
除塵体7は、一定の柔軟性を備えた素材からなる。除塵体7の素材の柔軟性の程度は、除塵体7の周囲に一定以上の風速の気流がある時には、この気流の作用によりはためいて振動することができ、かつ、除塵体7の周囲に一定以上の風速の気流がない時には、ノズル部6の向きによらず、中間で折れ曲がったり捻れたりせずに、重力に抗して除塵体7自身の形状を保つことができる程度に調整されている。このような素材としては、具体的に例えば、発泡ポリエチレン等を用いることができる。
【0028】
次に、図3を参照しながら、掃除具5の使用時の動作について説明する。まず、使用者がハンドル4aの操作スイッチを操作すること等により電動送風機2bが動作を開始すると、掃除機本体2の排気口2dから送出された清浄空気は、ホース3、接続パイプ4を通ってノズル部6内に流入し、開口10から吹き出される。この際の気流を図3では、矢印Aで示す。以下においては、この気流を気流Aと呼ぶ。気流Aは、ノズル部6内から開口10を通じて吹き出す気流である。
【0029】
気流Aが存在する時に、開口10から吹き出す気流Aの影響を受け得る範囲内に除塵体7の一部が配置されていれば、気流Aの影響を受けた除塵体7は、はためいて振動する。この実施の形態1においては、開口10の縁部から、気流Aの方向に沿って除塵体7が配置されている。このため、開口10から吹き出した気流Aは、除塵体7の開口10側の面に沿って流れる。
【0030】
すると、除塵体7の面の表側と裏側に気圧の差が生じる。除塵体7は柔軟性を有するシート体であるため、この気圧差により力を受けた除塵体7は、気流Aに誘引されて開口10側に引き寄せられる。また、除塵体7は、開口10側に引き寄せられながらも、気流Aに吹かれて開口10から離間する方向にも力を受ける。この気流Aの誘引する力と離間させる力が除塵体7に連続的に作用することにより、除塵体7は高い周波数で自励振動する。この際の除塵体7の自励振動の方向は、主に開口10の短手方向、すなわち、除塵体7の最大面積を有する面に垂直な方向となる。
【0031】
ここで、気流Aの吹き出しの開始前であって、すなわち、気流Aが存在せず、かつ、ノズル部6の向きが、もし気流Aがあるとすれば開口10から気流Aが図3中に示す基準方向Bよりも上向きに吹き出されるような向きである状態を考える。基準方向Bは、例えば、鉛直下向きから一定角度θだけ上向きの方向として、予め設定されている。このような状態でも、前述したように、除塵体7は、中間で折れ曲がったり捻れたりせずに、重力に抗して除塵体7自身の形状を保つことができる。
【0032】
したがって、除塵体7の少なくとも一部は、この状態で気流Aの吹き出しが開始されれば、開口10の縁部から気流Aの方向に沿うように配置されることになる。すなわち、除塵体7の少なくとも一部は、この状態から気流Aの吹き出しが開始された時に、気流Aの影響を受け得る範囲内に配置される。
【0033】
このように、除塵体7の少なくとも一部は、ノズル部6内から開口10を通じて吹き出す気流Aの方向が予め設定された基準方向Bよりも上向きとなる向きに開口10が向けられた状態で、気流Aの吹き出しが開始された時に、気流Aの影響を受け得る範囲内に配置されている。このため、例えば、図3に例示するような垂直な被清掃面Fに対して、基準方向Bよりも上向きに気流Aを吹き出すように予めノズル部6を向けた上で、気流Aの吹き出しを開始した場合であっても、除塵体7は気流Aによって振動を開始することができる。
【0034】
図3は、掃除具5を使用して被清掃面Fに付着した塵埃を除去する送風清掃を行う例を示している。以上のようにして、気流Aの影響を受けた除塵体7が振動している状態で、除塵体7の先端を被清掃面Fに当てると、除塵体7が被清掃面Fに繰り返し強く接触する。そして、被清掃面Fに付着した塵埃は、除塵体7による摩擦力と気流Aの風圧とにより引き剥がされる。
【0035】
開口10から送出された気流Aは、被清掃面Fに当たると向きを変える。この際、気流Aは被清掃面Fに沿って全方向に拡散する。拡散する気流は、除塵体7のない開口10の短手方向に多く流れる。ただし、除塵体7の先端側は前述したように分割されているため、気流は、この分割された間からも抜けて流れる。除塵体7は自励振動しているため、除塵体7の先端部は、分割された間を抜ける気流になびくことなく複雑に動き回る。したがって、除塵体7は被清掃面Fで気流Aの流れの方向が変わる場所においても、被清掃面Fへの接触を強く維持し、塵埃の除去効果を発揮することができる。
【0036】
前述したように、第1の除塵体7a及び第2の除塵体7bのいずれも、最大面積を有する表裏両面が、開口10の長手方向と平行に配置されている。このため、第1の除塵体7aと第2の除塵体7bの自励振動の方向は、主に開口10の短手方向になる。したがって、第1の除塵体7aと第2の除塵体7bが互いに干渉することがない。つまり、第1の除塵体7aと第2の除塵体7bがお互いの振動を弱め合うことなく独立に振動することができる。そして、複数の除塵体7を備えることにより、被清掃面Fへの除塵体7の接触回数が増加するため、塵埃の除去効果を向上することが可能である。
【0037】
また、第1の除塵体7aと第2の除塵体7bとは、開口10を挟んだ両側に対向して配置されている。したがって、これらの第1の除塵体7aと第2の除塵体7bとの間に気流Aが流れることにより、除塵体7が風路の一部として機能する。開口10から送出される気流Aは、除塵体7が設けられていない開口10の短手方向においては拡散する。一方、除塵体7が設けられている開口10の長手方向においては、気流Aは拡散することなく除塵体7の先端まで流れる。このため、除塵体7が開口10の周囲を囲む部分が多いほど、除塵体7の先端まで送出される気流の流量が多くなる。そこで、除塵体7を開口10の外周長(全周)の半分以上の範囲にわたって配置するようにするとよい。このようにすることで、除塵体7の先端における気流の流量を多くし、除塵体7の先端における塵埃の除去効果を高めることができる。
【0038】
なお、以上で説明した例では、複数の除塵体7の全長を等しくしたものであった。しかし、これに限られず、複数の除塵体7の全長を異なるものとしてもよい。具体的に例えば、第1の除塵体7aの全長は第2の除塵体7bの全長より短くする。このようにすると、第1の除塵体7aは第2の除塵体7bよりも高速で振動する。一方、第2の除塵体7bは第1の除塵体7aよりも広範囲に変位できる。このため、多様な被清掃面及び塵埃の種類に対して除去効果を高めることが可能である。
【0039】
以上のように構成された掃除具5及び電気掃除機1は、気流の力を利用して高い除塵効果を得ることができる。また、電気的な駆動源を必要としないため、掃除具5の小型化、軽量化を図ることが可能である。ここで、気流の作用によって生じる除塵体7の振動の強度つまり自励振動のエネルギー量は、気流の風量、風速、ノズル部6の開口10の形状、サイズ、除塵体7の質量、柔軟性、長さ、幅、厚み等の要素によって変化する。このため、これらの要素を調節することにより、様々な被清掃面の状態、塵埃付着の度合い等に適した構成にすることができる。
【0040】
そして、この際、気流Aの送出開始前に前もってノズル部6の向きを開口10から気流Aが予め設定された基準方向Bよりも上向きに吹き出されるようにしても、除塵体7の少なくとも一部は、この状態から気流Aの吹き出しが開始された時に、気流Aの影響を受け得る範囲内に配置される。そして、この状態から気流Aの吹き出しが開始すれば、除塵体7を安定的に振動させることができるように、除塵体7の質量、柔軟性、形状等が調整されている。このため、例えば壁面等の垂直な被清掃面を清掃する際にも、容易かつ確実に気流Aにより除塵体7を振動させることが可能である。
【0041】
すなわち、壁面、家具の表面等の多様な向き及び形状の被清掃面に対して気流A及び除塵体7による相乗的な塵埃除去効果を容易に得ることができる。また、その際、予めノズル部6の開口10を目的とする被清掃面に向けた後に、送風を開始しても気流Aにより除塵体7を振動させることができるため、利便性も良好である。
【0042】
ここで、除塵体7を、ノズル部6に取り付けられる一端の側よりも他端側が開口10の開口面の中心側に配置されるように傾斜して設けるようにしてもよい。このようにすることで、気流により除塵体7に作用する誘引効果をより強くすることができ、除塵体7を安定的に振動させることが可能である。
【0043】
除塵体7の素材は、除塵体7の周囲に一定以上の風速の気流がない時には、ノズル部6の向きによらず、中間で折れ曲がったり捻れたりせずに、重力に抗して除塵体7自身の形状を保つことができる程度に調整されることが望ましい。しかし、除塵体7が中間で折れ曲がったり捻れたりした状態であっても、除塵体7の少なくとも一部が開口10の外側周辺すなわち気流Aの影響を受け得る範囲内に差し掛かっていれば、除塵体7は気流Aを受けて振動を開始することができる。
【0044】
なお、除塵体7は、帯電防止処理を施した素材を備えるようにしてもよい。具体的に例えば、除塵体7をカーボン等の帯電防止剤を添加した材料によって構成する。カーボンは繊維状でも構わない。また、アニオン系、カチオン系又はノニオン系の界面活性剤といった有機化合物からなる帯電防止剤を除塵体7に添加してもよい。あるいは、前述したような有機化合物からなる帯電防止剤を塗布した材料によって除塵体7を構成してもよい。このようにすることで、除塵体7と被清掃面との摩擦によって発生する静電気を低減できる。したがって、被清掃面及び塵埃の帯電を抑制し、清掃後の被清掃面への塵埃の付着を低減することが可能である。
【0045】
また、除塵体7及びノズル部6の内面の一方又は両方は、抗菌処理を施した素材を備えるようにしてもよい。このようにすることで、除塵体7及びノズル部6の内面の一方又は両方に付着した雑菌の増殖を抑制することができる。
【0046】
また、除塵体7の先端の一部にマイクロファイバーからなる繊維シートを貼り付けるようにしてもよい。すなわち、除塵体7はマイクロファイバーを含むようにしてもよい。このようにすることで、除塵体7による微細な塵埃の除去効果を向上することができる。
【0047】
なお、以上においては、ノズル部6の開口10の開口面の形状が、縦40ミリメートル、横20ミリメートルの角に丸みを有する矩形の場合について説明したが、これに限るものではない。除塵体7が自励振動する形状であれば、開口10の開口面の形状は、楕円、円又は縦横が同じ長さの矩形等でもよい。
【0048】
実施の形態2.
図4及び図5は、この発明の実施の形態2に係るもので、図4は掃除具の斜視図、図5は掃除具の除塵体を収納した状態の斜視図である。
【0049】
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、ノズル部6の開口10から除塵体7の先端までの距離を調節する調節手段をさらに備えるようにしたものである。以下、この実施の形態2に係る掃除具及び電気掃除機について、実施の形態1の構成を元にした場合を例に挙げ、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0050】
この発明の実施の形態2に係る掃除具5は、図4に示すように、ノズル部6、除塵体7及び除塵体調節部材8を備えている。ノズル部6は、樹脂からなる中空円筒状の部材である。ノズル部6の端部に形成された開口10の開口面は、この実施の形態2で説明する例では、直径30ミリメートルの円形を呈する。
【0051】
除塵体調節部材8は、円環状の部材である。除塵体調節部材8の円環形状の内径は、ノズル部6の円筒形状の外径に合わせて調整されている。ノズル部6は、除塵体調節部材8の内側に挿し通されている。そして、除塵体調節部材8は、ノズル部6の外側面に対してスライド可能に取り付けられている。
【0052】
除塵体7の一端は、除塵体調節部材8に固定されている。すなわち、除塵体7の一端は、除塵体調節部材8を介してノズル部6の外側面部に取り付けられている。除塵体7は、開口10の外周に沿って、開口10の外周長の約2/3にわたって設けられている。除塵体7の各種サイズは、具体的に例えば、幅64ミリメートル、長さ200ミリメートル、厚み0.5ミリメートルである。除塵体7の他端から長さ80ミリメートルの範囲は、幅16ミリメートルのサイズに4分割されている。
【0053】
除塵体調節部材8をノズル部6に対して移動させることで、ノズル部6に対して除塵体7の一端が取り付けられる位置も移動する。したがって、除塵体調節部材8をノズル部6に対して移動させると、開口10から除塵体7の他端までの距離が変化する。すなわち、除塵体調節部材8は、開口10から除塵体7の他端までの距離を調節する調節手段を構成している。
【0054】
以上のように構成された掃除具5において、除塵体7を開口10よりも突出させた状態で開口10から気流が吹き出すと、気流の影響を受けた除塵体7は、高い周波数で自励振動する。この際、除塵体7の特に4分割された先端の部分が、主に開口10の開口面形状の法線方向に振動する。したがって、除塵体7の4分割された先端部分のそれぞれは、互いに干渉することがない。つまり、除塵体7の4分割された先端部分のそれぞれは、お互いの振動を弱め合うことなく独立に振動することができる。そして、被清掃面への除塵体7の接触回数が増加するため、塵埃の除去効果を向上することが可能である。
【0055】
この実施の形態2においても実施の形態1と同様に、除塵体7の少なくとも一部は、ノズル部6内から開口10を通じて吹き出す気流の方向が予め設定された基準方向よりも上向きとなる向きに開口10が向けられた状態で、気流の吹き出しが開始された時に、当該気流の影響を受け得る範囲内に配置されている。
【0056】
以上のようにして、気流の影響を受けた除塵体7が振動している状態で、除塵体7の先端を被清掃面に当てると、除塵体7が被清掃面に繰り返し強く接触する。そして、被清掃面に付着した塵埃は、除塵体7による摩擦力と気流の風圧とにより引き剥がされる。
【0057】
開口10から送出された気流は、被清掃面に当たると向きを変える。この際、気流は被清掃面に沿って全方向に拡散する。拡散する気流は、除塵体7のない開口10外周の約1/3の範囲の方向に多く流れる。ただし、除塵体7の先端側は前述したように分割されているため、気流は、この分割された間からも抜けて流れる。この際、除塵体7は自励振動しているため、除塵体7の先端部は、分割された間を抜ける気流になびくことなく複雑に動き回る。したがって、除塵体7は被清掃面で気流の流れの方向が変わる場所においても、被清掃面への接触を強く維持し、塵埃の除去効果を発揮することができる。
【0058】
また、除塵体7は、開口10の全周の2/3の範囲にわたって配置されている。このため、除塵体7の内側を気流が流れることにより、除塵体7が風路の一部として機能する。開口10から送出される気流は、除塵体7が設けられていない開口10の全周の1/3の範囲においては拡散する。一方、除塵体7が設けられている開口10の全周の2/3の範囲においては、気流は拡散することなく除塵体7の先端まで流れる。このようにすることで、除塵体7の先端における気流の流量を多くし、除塵体7の先端における塵埃の除去効果を高めることができる。
【0059】
また、除塵体7の素材は、実施の形態1と同様に、除塵体7の周囲に一定以上の風速の気流がない時には、ノズル部6の向きによらず、中間で折れ曲がったり捻れたりせずに、重力に抗して除塵体7自身の形状を保つことができる程度に調整されることが望ましい。ただし、この実施の形態2では、除塵体7は、開口10の全周の2/3の範囲にわたって配置され、気流の影響を受ける面積が広い。このため、除塵体7の素材が柔らかく、中間で折れ曲がったり捻れたりした状態からでも、除塵体7は気流を受けて振動を開始することができる。
【0060】
なお、他の構成については実施の形態1と同様であり、ここでは、その説明を省略する。
【0061】
以上のように構成された掃除具及び電気掃除機においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。さらに、開口10から除塵体7の先端までの距離を調節可能とすることで、除塵体7の到達可能な範囲と除塵能力とを調節することができる。このため、ノズル部6から被清掃面までの距離、被清掃面の状態、塵埃付着の度合い等に応じて除塵体7の到達可能な範囲と除塵能力とを調節し、様々な被清掃面の状態、塵埃付着の度合い等に対応することが可能であり、使い勝手を向上させることができる。
【0062】
なお、この実施の形態2においては、図5に示すように、調節手段である除塵体調節部材8により、除塵体7の他端を開口10よりもノズル部6の根元側に位置させることができるようにしてもよい。このようにすることで、除塵体7を使用せずにノズル部6のみを用いた清掃を行う際に除塵体7が邪魔になることがなく、除塵体7未使用時の取り扱いを容易にすることができる。
【0063】
実施の形態3.
図6から図8は、この発明の実施の形態3に係るもので、図6は掃除具のノズル部を屈曲させた状態の斜視図、図7は掃除具のノズル部を屈曲させた状態の側方断面図、図8は掃除具のノズル先端部の向きを変えた状態での動作時の斜視図である。
【0064】
ここで説明する実施の形態3は、前述した実施の形態1又は実施の形態2の構成において、ノズル部6を屈曲可能にしたものである。以下、この実施の形態3に係る掃除具及び電気掃除機について、実施の形態1の構成を元にした場合を例に挙げ、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0065】
この発明の実施の形態3に係る掃除具5においては、図6に示すように、ノズル部6は、ノズル先端部6a、ノズル屈曲部6b及びノズル根元部6cを備えている。ノズル先端部6a及びノズル根元部6cは、それぞれ中空筒状の部材である。ノズル先端部6aの一端には、開口10が形成されている。ノズル根元部6cの一端は、電気掃除機1の接続パイプ4に着脱可能に取り付けられる。
【0066】
ノズル屈曲部6bは、ノズル先端部6aの他端とノズル根元部6cの他端とを接続している。ノズル屈曲部6bは、複数の管状部材が連結されて構成されている。ノズル屈曲部6bは、隣接する管状部材同士の角度が変更可能に構成されている。このため、ノズル屈曲部6bは、内部が中空な状態を保ったまま、屈曲させることができる。そして、ノズル屈曲部6bを屈曲させることで、ノズル先端部6aとノズル根元部6cとを連通する風路を形成しつつ、当該風路の形状を屈曲させることが可能である。
【0067】
なお、ノズル屈曲部6bは、一定以上の力が加わらない限り、隣接する管状部材同士の角度が維持されるように構成されている。具体的に例えば、隣接する管状部材の一方に凹状部が形成され、他方にはこの凹状部と係合可能な凸状部が形成されている。このようにして、ノズル屈曲部6bは、屈曲角度を維持することができる。
【0068】
ノズル先端部6aに形成された開口10の開口面の形状は、実施の形態1と同様である。この実施の形態3においては、ノズル先端部6aに除塵体7が取り付けられる。除塵体7は、第1の除塵体7a及び第2の除塵体7bを備えている。第1の除塵体7aと第2の除塵体7bは、いずれも矩形状を呈する薄板状のシート体からなる。第1の除塵体7aの形状と第2の除塵体7bの形状とは、この例では同じである。それぞれの除塵体7の各種サイズは、具体的に例えば、幅36ミリメートル、長さ120ミリメートル、厚み0.5ミリメートルである。
【0069】
各除塵体7の一端は、ノズル部6の外側面部又は開口10の縁部に取り付けられる。ここでは、除塵体7の一端はノズル部6のノズル先端部6aの外側面部に取り付けられている。また、各除塵体7の他端から長さ60ミリメートルの範囲は、幅18ミリメートルのサイズに2分割されている。
【0070】
前述したように、ノズル部6の開口10は、開口面の形状が長手方向と短手方向とを有する略矩形状である。そして、除塵体7は、開口10の縁部の長手方向に沿った部分に配置されるように、ノズル部6の外側面部又は開口10の縁部に取り付けられる。開口10の開口面は長手方向と短手方向とを有する略矩形状であるため、開口10の縁部の長手方向に沿った部分は2箇所存在する。そして、これら2箇所の開口10の縁部の長手方向に沿った部分のうち、一方に第1の除塵体7aが配置され、他方に第2の除塵体7bが配置されるようになっている。
【0071】
各除塵体7の最大面積を有する表裏両面は、ノズル先端部6aの矩形断面の長手方向と平行に配置される。つまり、各除塵体7の表裏両面は、ノズル先端部6aの先端を構成する左右の外周面と平行に配置されている。したがって、第1の除塵体7aと第2の除塵体7bとは、それぞれの最大面積を有する面が平行になるように配置されている。
【0072】
この実施の形態3においても実施の形態1等と同様に、除塵体7の少なくとも一部は、ノズル部6内から開口10を通じて吹き出す気流の方向が予め設定された基準方向よりも上向きとなる向きに開口10が向けられた状態で、気流の吹き出しが開始された時に、当該気流の影響を受け得る範囲内に配置されている。
【0073】
以上のように構成された掃除具5は、図6及び図7に示すように、ノズル屈曲部6bによってノズル部6を屈曲させた状態で使用することができる。図7に示すように、ノズル屈曲部6bを屈曲させると、隣接する管状部材同士の重なり代は、屈曲の内側で多くなり、屈曲の外側で少なくなる。また、ノズル部6を直線状にした状態で掃除具5を使用すれば、実施の形態1と同様の使い勝手を得ることもできる。
【0074】
なお、他の構成及び動作については実施の形態1と同様であり、ここでは、その説明を省略する。
【0075】
以上のように構成された掃除具及び電気掃除機においても、実施の形態1又は実施の形態2のいずれかと同様の効果を奏することができる。さらに、ノズル部6を屈曲させた状態でも使用することができるため、様々な向きの被清掃面に対して容易に除塵体7を当てることができ、清掃能力及び使い勝手を向上することが可能である。
【0076】
なお、ノズル先端部6aは、ノズル屈曲部6bに対して、気流の方向に平行な回転軸を中心にして、その向きを回転させて取り付けることができる。すなわち、ノズル部6は、開口10の開口面の向きを、ノズル部6内の気流の方向に平行な回転軸を中心にして回転させることができる。したがって、例えば、図8に示すように、開口10の開口面の短手方向が左右に配置されるようにノズル先端部6aをノズル屈曲部6bに対して回転した状態で取り付けることができる。前述したように、除塵体7の振動の方向は、主に開口10の短手方向である。このため、被清掃面の形状に合わせて振動の方向を切り替えることができ、掃除具5の使い勝手を向上させることが可能である。
【0077】
実施の形態4.
図9は、この発明の実施の形態4に係るもので、掃除具のノズル部を屈曲させた状態の斜視図である。
【0078】
ここで説明する実施の形態4は、前述した実施の形態1から実施の形態3のいずれかの構成において、除塵体7を、ノズル部6の開口10の全周を囲む筒状にしたものである。以下、この実施の形態4に係る掃除具及び電気掃除機について、実施の形態3の構成を元にした場合を例に挙げ、実施の形態3との相違点を中心に説明する。
【0079】
この発明の実施の形態4に係る掃除具及び電気掃除機においては、図9に示すように、除塵体7は、開口10の全周を囲む筒状に構成されている。除塵体7の長さは、具体的に例えば、120ミリメートルである。除塵体7の一端は、ノズル部6の外側面部又は開口10の縁部に取り付けられる。ここでは、除塵体7の一端は開口10の縁部に取り付けられている。また、除塵体7の他端から長さ60ミリメートルの範囲は、幅20ミリメートルのサイズに6分割されている。
【0080】
以上のように構成された掃除具5において、開口10から気流が吹き出すと、気流の影響を受けた除塵体7は、高い周波数で自励振動する。この際、除塵体7の特に6分割された先端の部分が、主に開口10の開口面形状の法線方向に振動する。したがって、除塵体7の6分割された先端部分は、開口10の短手方向に振動するものと長手方向に振動するものとが複数重なり合って振動する。このため、除塵体7の全体として複雑な振動となり、被清掃面への除塵体7の接触回数が増加するため、塵埃の除去効果を向上することが可能である。
【0081】
この実施の形態4においても実施の形態1等と同様に、除塵体7の少なくとも一部は、ノズル部6内から開口10を通じて吹き出す気流の方向が予め設定された基準方向よりも上向きとなる向きに開口10が向けられた状態で、気流の吹き出しが開始された時に、当該気流の影響を受け得る範囲内に配置されている。
【0082】
以上のようにして、気流の影響を受けた除塵体7が振動している状態で、除塵体7の先端を被清掃面に当てると、除塵体7が被清掃面に繰り返し強く接触する。そして、被清掃面に付着した塵埃は、除塵体7による摩擦力と気流の風圧とにより引き剥がされる。
【0083】
開口10から送出された気流は、被清掃面に当たると向きを変える。この際、気流は被清掃面に沿って全方向に拡散する。拡散する気流は、除塵体7のない開口10外周の約1/3の範囲の方向に多く流れる。ただし、除塵体7の先端側は前述したように分割されているため、気流は、この分割された間からも抜けて流れる。この際、除塵体7は自励振動しているため、除塵体7の先端部は、分割された間を抜ける気流になびくことなく複雑に動き回る。したがって、除塵体7は被清掃面で気流の流れの方向が変わる場所においても、被清掃面への接触を強く維持し、塵埃の除去効果を発揮することができる。
【0084】
また、除塵体7は、開口10の全周を囲うように配置されている。このため、除塵体7の内側を気流が流れることにより、除塵体7が風路の一部として機能する。開口10から送出される気流は、拡散することなく除塵体7の先端まで流れる。このようにすることで、除塵体7の先端における気流の流量を多くし、除塵体7の先端における塵埃の除去効果を高めることができる。
【0085】
なお、この実施の形態4の構成においては、除塵体7をマイクロファイバーからなる繊維シートで構成してもよい。すなわち、除塵体7はマイクロファイバーを含むようにしてもよい。このようにすることで、除塵体7で、被清掃面上の微細な塵埃を除去することができる。
【0086】
ここで、除塵体7をマイクロファイバーからなる繊維シートで構成した場合、除塵体7の柔軟性が高くなり、ノズル部6の向きによっては、重力を受けて中間で折れ曲がったり捻れたりして、除塵体7自身の形状を保つことができない可能性がある。しかしながら、この実施の形態4においては、除塵体7が開口10の全周を囲うように配置されている。このため、除塵体7が重力によって垂れ下がったとしても、除塵体7の一部は必ず開口10の上方側に配置されており、除塵体7の当該部分が開口10に被さるように配置される。したがって、このような場合であっても、除塵体7の少なくとも一部は、ノズル部6内から開口10を通じて吹き出す気流の方向が予め設定された基準方向よりも上向きとなる向きに開口10が向けられた状態で、気流の吹き出しが開始された時に、当該気流の影響を受け得る範囲内に配置されている。
【0087】
なお、他の構成及び動作については実施の形態3と同様であり、ここでは、その説明を省略する。
【0088】
以上のように構成された掃除具及び電気掃除機においても、実施の形態1から実施の形態3のいずれかと同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
2a 集塵部
2b 電動送風機
2c 吸気口
2d 排気口
3 ホース
4 接続パイプ
4a ハンドル
5 掃除具
6 ノズル部
6a ノズル先端部
6b ノズル屈曲部
6c ノズル根元部
7 除塵体
7a 第1の除塵体
7b 第2の除塵体
8 除塵体調節部材
10 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9