(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水流通管は、前記水タンクと前記電磁弁との間に配置され、前記電磁弁から前記水タンクに向けた流体の流れを規制する規制部をさらに備えている請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による燃料電池システムの一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書においては説明の便宜上、
図1における上側および下側をそれぞれ燃料電池システム1の上方および下方とし、同じく左側および右側をそれぞれ燃料電池システム1の左方および右方として説明する。
【0010】
燃料電池システム1は、
図1に示すように、本体部10および貯湯槽21を備えている。本体部10は、筐体10a、燃料電池モジュール11(30)、熱交換器12、電力変換装置13、水タンク14、制御装置15を備えている。燃料電池モジュール11は、後述する燃料電池34を少なくとも含んで構成されるものである。
【0011】
熱交換器12は、燃料電池モジュール11から排気される燃焼排ガス(後述する)が供給されるとともに貯湯槽21からの貯湯水が供給され、燃焼排ガスと貯湯水とが熱交換する熱交換器である。
【0012】
熱交換器12は、燃料電池モジュール11からの排気管11dが接続(貫設)されている。熱交換器12は、後述する水タンク14に接続されている凝縮水供給管12aが接続されている。また、熱交換器12は、水タンク14より上方に配置されている。
【0013】
貯湯槽21は、貯湯水を貯湯するものであり、貯湯水が循環する(図にて矢印の方向に循環する)貯湯水循環ライン22が接続されている。貯湯水循環ライン22上には、下端から上端に向かって順番に貯湯水循環ポンプ22aおよび熱交換器12が配置されている。
【0014】
熱交換器12において、燃料電池モジュール11からの燃焼排ガスは、排気管11dを通って熱交換器12内に導入され、貯湯水との間で熱交換が行われて冷却されるとともに、燃焼排ガス中に含まれる水蒸気が凝縮される。冷却後の燃焼排ガスは排気管11dを通って外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、後述する水補給制御によって凝縮水供給管12aを通って後述する水タンク14に改質水として補給される。
【0015】
凝縮水供給管12aの一端(上端)が熱交換器12に接続され、凝縮水供給管12aの他端(下端)が水タンク14に接続されている。凝縮水供給管12aには、水精製部12a1および第一電磁弁12a2が配置されている。水精製部12a1は、凝縮水供給管12aに配置され、イオン交換樹脂によって水を純水化するものである。
【0016】
第一電磁弁12a2は、凝縮水供給管12aに配置され、開状態である場合に凝縮水の流れを許容し、閉状態である場合に凝縮水の流れを規制するものである。第一電磁弁12a2は、ノーマルクローズ型の電磁弁である。第一電磁弁12a2は、通電状態のとき開状態となり、非通電状態のとき閉状態となる。第一電磁弁12a2は、制御装置15からの制御指令によって通電状態と非通電状態とが切り替えられることにより、開状態と閉状態とが切り替えられる。
【0017】
上述した熱交換器12、貯湯槽21および貯湯水循環ライン22から、排熱回収システム20が構成されている。排熱回収システム20は、燃料電池モジュール11の排熱を貯湯水に回収して蓄える。
【0018】
さらに、電力変換装置13は、燃料電池34から出力される直流電圧を入力し所定の交流電圧に変換して、交流の系統電源16aおよび外部電力負荷16c(例えば電化製品)に接続されている電源ライン16bに出力する。
【0019】
また、電力変換装置13は、系統電源16aからの交流電圧を電源ライン16bを介して入力し所定の直流電圧に変換して、補機や制御装置15に出力する。
【0020】
制御装置15は、燃料電池34を少なくとも制御するものである。制御装置15は、補機(ポンプやブロワ)を駆動して、燃料電池システム1の運転を制御する。制御装置15は、燃料電池システム1の発電運転中において、燃料電池34の発電電力を外部電力負荷16cの消費電力となるように制御する(負荷追従運転)。
【0021】
燃料電池モジュール11(30)は、固体酸化物形の燃料電池モジュールである。燃料電池モジュール30は、ケーシング31、蒸発部32、改質部33および燃料電池34を備えている。ケーシング31は、断熱性材料で箱状に形成されている。
【0022】
燃料電池モジュール30は、蒸発部32に、一端が供給源Gsに接続されて改質用原料が供給される改質用原料供給管11aの他端が接続されている。改質用原料としては天然ガス(メタンガス)、都市ガス、LPG(液化石油ガス)などの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料がある。供給源Gsは、例えば都市ガスのガス供給管、LPガスのガスボンベである。改質用原料供給管11aは、原料ポンプ11a1が設けられている。原料ポンプ11a1は、改質用原料を送るポンプである。
【0023】
また、蒸発部32は、一端(上端)が水タンク14に接続されて改質水が供給される水流通管11bの他端が接続されている。
【0024】
水タンク14は、蒸発部32より上方に配置され、改質水を内部に貯留するものである。水タンク14は、後述する加圧装置14bによって内部を加圧されることにより、改質水を水流通管11bに導出するように設けられている。水タンク14は、具体的には、箱状に形成され、密閉状態にて改質水を貯留する。
【0025】
水流通管11bは、水タンク14と蒸発部32とを接続し、改質水が蒸発部32に向けて流れる管である。水タンク14の一端(上端)が水タンク14の底部に接続されている。水流通管11bの水タンク14との接続部の位置は、水流通管11bの蒸発部32との接続部の位置より上方に位置する。水流通管11bは、規制部11b1および第二電磁弁11b2(本発明の電磁弁に相当)が配置されている。
【0026】
規制部11b1は、水タンク14と第二電磁弁11b2との間に配置され、第二電磁弁11b2から水タンク14に向けた流体の流れを規制するものである。規制部11b1は、具体的には、水流通管11bが上方を開放するU字状に形成された部位である。規制部11b1の下部に改質水が溜まることにより、第二電磁弁11b2から水タンク14に向けた流体(例えば改質水、蒸発部32内の水蒸気や改質用原料)の流れが規制される。
【0027】
第二電磁弁11b2は、水流通管11bに配置され、開状態である場合に改質水の流れを許容し、閉状態である場合に改質水の流れを規制するものである。第二電磁弁11b2は、ノーマルクローズ型の電磁弁である。第二電磁弁11b2は、通電状態のとき開状態となり、非通電状態のとき閉状態となる。第二電磁弁11b2は、制御装置15からの制御指令によって通電状態と非通電状態とが切り替えられることにより、開状態と閉状態とが切り替えられる。
【0028】
また、水タンク14には、水位検出装置14aおよび加圧装置14bが配置されている。
水位検出装置14aは、水タンク14の水位を検出するものである。水位検出装置14aは、本実施形態において静電容量式の水位センサである。水位検出装置14aによって検出された水タンク14の水位は、検出信号として制御装置15に出力される。
【0029】
加圧装置14bは、水タンク14の内部に気体を送入して水タンク14の内部を加圧するものである。気体は、筐体10a内の空気である。加圧装置14bは、第一方向に回転駆動することにより空気を送出する加圧ポンプある。加圧装置14bと水タンク14とは、空気流通管14b1を介して接続されている。加圧装置14bが第一方向に回転駆動することにより、筐体10a内の空気が空気流通管14b1を介して水タンク14内に送入されて、水タンク14の内部の圧力が増加する。
【0030】
このように、水タンク14の内部が加圧されることにより、改質水が水流通管11bに蒸発部32に向けて導出される。また、水タンク14が蒸発部32より上方に配置されているため、水タンク14内の改質水の重量によって、改質水が水流通管11bに蒸発部32に向けて導出される(詳細は後述する)。
【0031】
また、加圧装置14bは、第一方向と反対方向の第二方向に回転駆動するように設けられている。加圧装置14bが第二方向に回転駆動した場合、水タンク14の内部の空気が空気流通管14b1を介して水タンク14の外部に導出されて、水タンク14の内部の圧力が減少する。
【0032】
蒸発部32は、改質水から水蒸気を生成するものである。蒸発部32は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、改質水を蒸発させて水蒸気(改質用水蒸気)を生成する。また、蒸発部32は、改質用原料を予熱するものである。蒸発部32は、凝縮水を蒸発させて生成された水蒸気(改質用水蒸気)と予熱された改質用原料を混合して改質部33へ導出する。
【0033】
改質部33は、水蒸気および改質用原料から燃料を生成し、燃料を燃料電池34に供給するものである。燃料は、改質用原料が改質された改質ガスである。改質部33は、具体的には、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部32から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出する。
【0034】
改質部33内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素などを含んだ改質ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応である。
【0035】
燃料電池34は、燃料(改質ガス)と酸化剤ガスにより発電するものである。燃料電池34は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなる複数のセル34aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池34は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。
【0036】
燃料電池34の燃料極には、燃料として改質ガス(水素、一酸化炭素、メタンガスなど)が供給される。セル34aの燃料極側には、燃料(改質ガス)が流通する燃料流路34bが形成されている。セル34aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路34cが形成されている。燃料電池34は、比較的高温の動作温度(およそ700℃)にて発電が行われる。
【0037】
燃料電池34は、マニホールド35上に設けられている。マニホールド35には、改質部33からの改質ガスが改質ガス供給管38を介して供給される。燃料流路34bは、その下端(一端)がマニホールド35の燃料導出口(図示なし)に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。
【0038】
筐体10a内の空気が、酸化剤ガス(カソードエア)として、カソードエア供給管11cを介してカソードエアブロワ11c1によって送出されることにより、燃料電池モジュール30内に供給される。この酸化剤ガスが空気流路34cの下端から導入され上端から導出される。
【0039】
また、燃料電池34と蒸発部32および改質部33との間には、燃焼部36が設けられている。燃焼部36は、燃料電池34からのアノードオフガス(燃料オフガス)と燃料電池34からのカソードオフガス(酸化剤オフガス)とが燃焼されて燃焼ガス(火炎37)が発生している。その燃焼ガスが蒸発部32および改質部33を加熱する。
【0040】
燃焼部36では、アノードオフガスが燃焼されて、比較的高温の燃焼排ガスが発生している。比較的高温の燃焼排ガスは、熱交換器12に導出される。また、燃焼部36は、燃料電池モジュール30内の温度を燃料電池34の動作温度にする。
【0041】
また、燃料電池システム1は、電流検出装置40、温度センサ50および計測装置60をさらに備えている。
【0042】
電流検出装置40は、燃料電池34から出力された電力の電流値を検出するものである。電流検出装置40は、電力変換装置13に配置されている。電流検出装置40によって検出された電流値である検出電流値は、制御装置15に出力される。
【0043】
温度センサ50は、加圧装置14bの温度を検出するものである。温度センサ50は、加圧装置14bの外郭の所定位置に配置されている。温度センサ50は、所定位置の温度を検出する。所定位置は、加圧装置14bにおける回転駆動する駆動部(図示なし)の温度を検出可能な位置である。温度センサ50によって検出された温度である検出温度は、制御装置15に出力される。
【0044】
計測装置60は、加圧装置14bの駆動時間を計測するものである。計測装置60は、電力変換装置13から加圧装置14bを駆動する電力が加圧装置14bに供給された時間を、加圧装置14bの駆動時間として計測する。加圧装置14bの駆動時間は、燃料電池システム1が設置された時点をゼロとして計測される。計測装置60は、電力変換装置13に配置されている。計測装置60によって計測された駆動時間である計測駆動時間は、制御装置15に出力される。
【0045】
また、制御装置15は、
図2に示すように、水供給制御部15aおよび水補給制御部15bを備えている。水供給制御部15aは、燃料電池システム1の発電運転中において、改質水を水タンク14から蒸発部32に供給する水供給制御を実行するものである(詳細は後述する)。水補給制御部15bは、凝縮水を改質水として水タンク14に補給する水補給制御を実行するものである(詳細は後述する)。
【0046】
水供給制御部15aは、設定部15a1、導出部15a2、補正部15a3、記憶部15a4および改質水供給部15a5を備えている。
【0047】
設定部15a1は、改質水の目標とする流量である目標流量を設定するものである。設定部15a1は、燃料電池34が発電を行う燃料電池システム1の発電運転中において、燃料電池34の発電量に応じて目標流量を設定する。
【0048】
設定部15a1は、具体的には、第一マップ(図示なし)を使用して、電流検出装置40によって検出された検出電流値に対応した目標流量を設定する。第一マップは、検出電流値が増加するにしたがって改質水の目標流量が増加する相関関係を示したものである。
【0049】
導出部15a2は、燃料電池34の発電量に応じて加圧装置14bの第一駆動量(本発明の駆動量に相当)を導出するものである。第一駆動量は、加圧装置14bが第一方向に回転駆動する場合の駆動量である。導出部15a2は、具体的には、第二マップ(図示なし)を使用して、設定部15a1によって設定された目標流量に対応した第一駆動量を導出する。第二マップは、目標流量が増加するにしたがって第一駆動量が増加する相関関係を示したものである。
【0050】
補正部15a3は、水位検出装置14aによって検出された水タンク14の水位(以下、検出水位ともいう。)を使用して、導出部15a2によって導出された加圧装置14bの第一駆動量を補正するものである。補正部15a3は、具体的には、導出部15a2によって導出された加圧装置14bの第一駆動量に、第一補正係数C1を乗じることにより補正する。
【0051】
補正部15a3は、第三マップM3(
図3参照)を使用して導出部15a2によって導出された加圧装置14bの第一駆動量に対応する第一補正係数C1を導出する。第三マップM3は、検出水位が増加するにしたがって、第一補正係数C1が減少する相関関係を示すものである。第一補正係数C1は、検出水位が基準水位H0(本実施形態においてはゼロ)である場合に「1」となるように設定されている。
【0052】
上述したように、加圧装置14bの駆動および水タンク14内の改質水の重量によって、水タンク14内の改質水が水流通管11bに導出される。水タンク14の水位が高くなるにしたがって、水タンク14内の改質水の重量が増加するため、水タンク14内の改質水の重量によって水流通管11bに導出する改質水の流量が増加する。これに対して、導出部15a2によって導出された加圧装置14bの第一駆動量を、水タンク14内の改質水の重量によって水タンク14から水流通管11bに導出する改質水の流量に相当する分だけ減少させるように、第一補正係数C1が設定されている。
【0053】
また、補正部15a3は、温度センサ50によって検出された温度(以下、検出温度ともいう。)および計測装置60によって計測された駆動時間(以下、計測駆動時間ともいう。)を使用して、導出部15a2によって導出された加圧装置14bの第一駆動量をさらに補正するものである。補正部15a3は、具体的には、導出部15a2によって導出された第一駆動量に、第一補正係数C1だけでなく、第二補正係数C2および第三補正係数C3を、さらに乗じることにより補正する。
【0054】
補正部15a3は、第四マップM4(
図4参照)を使用して検出温度に対応する第二補正係数C2を導出する。第四マップM4は、検出温度が高くなるにしたがって第二補正係数C2が小さくなる相関関係を示すものである。第二補正係数C2は、検出温度が基準温度Th0(例えば20℃)である場合に「1」となるように設定されている。
【0055】
加圧装置14bの温度が高くなるにしたがって、加圧装置14bの潤滑剤(例えばグリス)によって生じる加圧装置14bの駆動に対する抵抗が低下するため、導出部15a2によって導出された第一駆動量に相当する加圧装置14bの実際の駆動量が増加する。
【0056】
これに対して、導出部15a2によって導出された第一駆動量を、基準温度Th0からの温度変化による加圧装置14bの実際の駆動量の変動に相当する分だけ増加または減少させるように、第二補正係数C2が設定されている。換言すれば、加圧装置14bの実際の駆動量が、検出温度が基準温度Th0である場合に相当する駆動量となるように、第一駆動量が第二補正係数C2によって補正される。
【0057】
補正部15a3は、第五マップM5(
図5参照)を使用して計測駆動時間に対応する第三補正係数C3を導出する。第五マップM5は、計測駆動時間が長くなるにしたがって第三補正係数C3が大きくなる相関関係を示すものである。第三補正係数C3は、計測駆動時間が基準計測駆動時間Tm0(本実施形態においてはゼロ)である場合に「1」となるように設定されている。
【0058】
加圧装置14bの駆動時間が長くなるにしたがって、加圧装置14bの経年変化が進行するため、導出部15a2によって導出された第一駆動量に相当する加圧装置14bの実際の駆動量が減少する。これに対して、導出部15a2によって導出された第一駆動量を、加圧装置14bの経年変化による加圧装置14bの実際の駆動量の減少に相当する分だけ増加させるように、第三補正係数C3が設定されている。換言すれば、加圧装置14bの実際の駆動量が、加圧装置14bの駆動時間がゼロである場合に相当する駆動量となるように、第一駆動量が第三補正係数C3によって補正される。
【0059】
記憶部15a4は、プログラムを実行する際に用いられるデータ等を記憶するものである。記憶部15a4は、第一マップ〜第五マップM5を記憶する。第一マップ〜第五マップM5は、予め実験によって実測されて導出されている。なお、この実験が行われる場合の環境温度は、基準温度Th0である。
【0060】
改質水供給部15a5は、補正部15a3によって補正された加圧装置14bの第一駆動量にて加圧装置14bを駆動し、かつ、第二電磁弁11b2を開状態にすることにより、改質水を水タンク14から蒸発部32に供給するものである。改質水供給部15a5は、補正部15a3によって補正された第一駆動量を制御指令値として加圧装置14bに出力する。また、改質水供給部15a5は、第二電磁弁11b2を開状態とする制御指令値を第二電磁弁11b2に出力する。
【0061】
水補給制御部15bは、水位判定部15b1および改質水補給部15b2を備えている。
水位判定部15b1は、水位検出装置14aによって検出された水タンク14の水位を使用して、水タンク14の水位が第一所定水位以下であるか否かを判定するものである。第一所定水位は、水タンク14の内部の改質水の量が所定量である場合の水タンク14の水位に設定されている。所定量は、燃料電池34の発電が所定時間(例えば24時間)継続するために必要な改質水の量である。水位判定部15b1の判定結果は、改質水補給部15b2に出力される。
【0062】
また、水位判定部15b1は、水位検出装置14aによって検出された水タンク14の水位を使用して、水タンク14の水位が第二所定水位以上であるか否かを判定するものである。第二所定水位は、第一所定水位より高い水タンク14の水位である。第二所定水位は、具体的には、水タンク14内の上面より若干低い位置に設定されている。
【0063】
改質水補給部15b2は、水位判定部15b1によって水タンク14の水位が第一所定水位以下であると判定された場合、水タンク14に改質水を補給するものである。この場合、改質水補給部15b2は、具体的には、第一電磁弁12a2を開状態とする制御指令値を第一電磁弁12a2に出力する。
【0064】
また、この場合、改質水補給部15b2は、加圧装置14bの第二駆動量を制御指令値として加圧装置14bに出力する。第二駆動量は、加圧装置14bが第二方向に回転駆動する場合の加圧装置14bの駆動量である。第二駆動量の回転数は、所定回転数にて一定となるように設定されている。所定回転数は、水タンク14の内部を大気圧に対して負圧にするために必要な回転数である。
【0065】
また、改質水補給部15b2は、水位判定部15b1によって水タンク14の水位が第二所定水位以上であると判定された場合、水タンク14への改質水の補給を停止する。この場合、改質水補給部15b2は、具体的には、第一電磁弁12a2を閉状態とする制御指令値を第一電磁弁12a2に出力する。また、この場合、改質水補給部15b2は、加圧装置14bの第二駆動量をゼロとする制御指令値を加圧装置14bに出力する。
【0066】
次に、制御装置15が実行する水供給制御について
図6に示すフローチャートを用いて説明する。水供給制御は、燃料電池システム1が発電運転中である場合に実行される。
【0067】
制御装置15は、ステップS102にて、燃料電池34の発電量に応じて目標流量を設定する(設定部15a1)。続けて、制御装置15は、ステップS104にて目標流量に相当する加圧装置14bの第一駆動量を導出する(導出部15a2)。
【0068】
そして、制御装置15は、ステップS106にて、検出水位を使用して加圧装置14bの第一駆動量を補正する(補正部15a3)。これにより、第一駆動量は、水タンク14内の改質水の重量によって水タンク14から水流通管11bに導出する改質水の流量に相当する分だけ減少するように補正される。
【0069】
さらに、制御装置15は、ステップS108にて検出温度を使用して加圧装置14bの第一駆動量を補正する(補正部15a3)。これにより、第一駆動量は、基準温度Th0からの温度変化による加圧装置14bの実際の駆動量の変動に相当する分だけ増加または減少するように補正される。
【0070】
また、制御装置15は、ステップS110にて計測駆動時間を使用して加圧装置14bの第一駆動量を補正する(補正部15a3)。これにより、第一駆動量は、加圧装置14bの経年変化による加圧装置14bの実際の駆動量の減少に相当する分だけ増加するように補正される。
【0071】
そして、制御装置15は、ステップS112にて、補正された第一駆動量にて加圧装置14bを駆動する(改質水供給部15a5)。また、制御装置15は、ステップS114にて第二電磁弁11b2を開状態にする(改質水供給部15a5)。このとき、加圧装置14bの駆動および水タンク14内の改質水の重量によって、改質水が水タンク14から水流通管11bに導出されて、水流通管11bを通って蒸発部32に供給される。
【0072】
また、このとき、蒸発部32に供給される改質水の第一流量Q1は、補正された第一駆動量に相当する改質水の第二流量Q2と、水タンク14内の改質水の重量によって水流通管11bに導出される改質水の第三流量Q3とを合わせた流量である(Q1=Q2+Q3)。
【0073】
ここで、補正された駆動量に相当する改質水の第二流量Q2は、補正される前の駆動量に相当する改質水の目標流量から、水タンク14内の改質水の重量によって水流通管11bに導出される改質水の第三流量Q3だけ減少した流量である(Q2=目標流量−Q3)。よって、蒸発部32に供給される改質水の第一流量Q1は、目標流量に相当する(Q1=Q2+Q3=(目標流量−Q3)+Q3=目標流量)。
【0074】
次に、制御装置15が実行する水補給制御について、
図7に示すフローチャートを用いて説明する。水補給制御は、燃料電池システム1が起動されている場合に実行される。
【0075】
制御装置15は、ステップS202にて、検出水位が第一所定水位以下であるか否かを判定する(水位判定部15b1)。水タンク14の水位が比較的高いことにより場合、検出水位が第一所定水位より高い場合、制御装置15は、ステップS202にて「NO」と判定し、ステップS202を繰り返し実行する。
【0076】
一方、水タンク14内の改質水が発電に使用されることにより、水タンク14の水位が低下して、検出水位が第一所定水位以下となった場合、制御装置15は、ステップS202にて「YES」と判定し、プログラムをステップS204に進める。
【0077】
そして、制御装置15は、ステップS204にて加圧装置14bを第二駆動量にて駆動し(改質水補給部15b2)、ステップS206にて第一電磁弁12a2を開状態にする(改質水補給部15b2)。このとき、水タンク14の内部の圧力が負圧になるため、凝縮水が熱交換器から凝縮水供給管12aを通って自重にて落下して、改質水として水タンク14に補給される。これにより、水タンク14の水位が上昇する。
【0078】
続けて、制御装置15は、ステップS208にて、検出水位が第二所定水位以上であるか否かを判定する(水位判定部15b1)。水タンク14への改質水の補給が開始されて比較的短時間しか経過していないために水タンク14の水位が比較的低い場合、検出水位が第二所定水位より低い。この場合、制御装置15は、ステップS208にて「NO」と判定し、ステップS208を繰り返し実行する。
【0079】
一方、水タンク14の水位が上昇して、検出水位が第二所定水位以上となった場合、制御装置15は、ステップS208にて「YES」と判定し、プログラムをステップS210に進める。制御装置15は、ステップS210にて加圧装置14bの駆動を停止し、ステップS212にて第一電磁弁12a2を閉状態にする(改質水補給部15b2)。これにより、改質水の補給が停止される。
【0080】
本実施形態によれば、燃料電池システム1は、燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池34と、改質水から水蒸気を生成する蒸発部32と、水蒸気と改質用原料とから燃料を生成し、燃料を燃料電池34に供給する改質部と、蒸発部32より上方に配置され、改質水を内部に貯留する水タンク14と、水タンク14と蒸発部32とを接続し、改質水が蒸発部32に向けて流れる水流通管11bと、水タンク14の内部に気体を送入して水タンク14の内部を加圧することにより、改質水を水流通管11bに導出する加圧装置14bと、水流通管11bに配置され、開状態である場合に改質水の流れを許容し、閉状態である場合に改質水の流れを規制する第二電磁弁11b2と、水タンク14の水位を検出する水位検出装置14aと、燃料電池34を少なくとも制御する制御装置15と、を備えている。制御装置15は、燃料電池34の発電量に応じて、加圧装置14bの第一駆動量を導出する導出部15a2と、水位検出装置14aによって検出された水タンク14の水位を使用して、導出部15a2によって導出された加圧装置14bの第一駆動量を補正する補正部15a3と、補正部15a3によって補正された加圧装置14bの第一駆動量にて加圧装置14bを駆動し、かつ、第二電磁弁11b2を開状態にすることにより、改質水を水タンク14から蒸発部32に供給する改質水供給部15a5と、を備えている。
【0081】
これによれば、第二電磁弁11b2が開状態となり、かつ、加圧装置14bによって水タンク14の内部に気体が送入されることにより、改質水が水流通管11bを介して蒸発部32に供給される。すなわち、本発明の改質水を供給する装置は、第二電磁弁11b2および気体を送出可能に設けられた加圧装置14bよって構成されている。よって、本発明の改質水を供給する装置は、従来技術のプランジャポンプに比べて構成を簡素化することができるため、部品点数を抑制することができる。したがって、改質水を供給する装置ひいては燃料電池システム1の低コスト化を図ることができる。
【0082】
また、改質水は、加圧装置14bの駆動および水タンク14内の改質水の重量によって水タンク14から水流通管11bに導出される。そして、水タンク14の水位が高くなるにしたがって、水タンク14内の改質水の重量により水タンク14から水流通管11bに導出される改質水の流量が増加する。これに対して、制御装置15は、水位検出装置14aによって検出された改質水の水位が高くなるにしたがって、すなわち水タンク14内の改質水の重量が増加するにしたがって、加圧装置14bの第一駆動量を小さくするように補正する。よって、燃料電池システム1は、改質水の流量の高精度化を図ることができる。したがって、蒸発部32に供給される改質水の流量の高精度化および加圧装置14bの低コスト化の両立を図ることができる。
【0083】
また、燃料電池システム1は、加圧装置14bの温度を検出する温度センサ50、および、加圧装置14bの駆動時間を計測する計測装置60をさらに備えている。補正部15a3は、温度センサ50によって検出された温度および計測装置60によって駆動された駆動時間を使用して、導出部15a2によって導出された加圧装置14bの第一駆動量をさらに補正する。
【0084】
加圧装置14bの温度が高くなるにしたがって、加圧装置14bの潤滑剤によって生じる加圧装置14bの駆動に対する抵抗が低下するため、加圧装置14bの第一駆動量に対する加圧装置14bの実際の駆動量が増加する。また、加圧装置14bの駆動時間が増加するにしたがって、加圧装置14bの経年変化が進行するため、加圧装置14bの第一駆動量に対する加圧装置14bの実際の駆動量が減少する。これに対して、補正部15a3は、加圧装置14bの温度および加圧装置14bの駆動時間を使用して、加圧装置14bの第一駆動量を補正する。よって、燃料電池システム1は、蒸発部32に供給される改質水の流量の高精度化を、より図ることができる。
【0085】
また、水流通管11bは、水タンク14と第二電磁弁11b2との間に配置され、第二電磁弁11b2から水タンク14に向けた流体の流れを規制する規制部11b1をさらに備えている。
【0086】
これによれば、規制部11b1によって第二電磁弁11b2から水タンク14への流体の流れが規制されるため、改質水を蒸発部32に確実に供給することができる。よって、燃料電池システム1は、蒸発部32に供給される改質水の流量の高精度化を、さらに図ることができる。また、水蒸気や改質用原料が水タンク14へ流入することを規制することができる。
【0087】
また、規制部11b1には、改質水が溜まっているため、水タンク14からの改質水の供給が停止されている燃料電池システム1の停止時であっても、流体が蒸発部32(燃料電池モジュール11)から水タンク14へ逆流することが抑制される。さらに、規制部11b1は、水タンク14に比べて蒸発部32に近い位置に配置されている。このため、規制部11b1に溜められた改質水は、水タンク14内の改質水より、短時間にて蒸発部32に供給される。よって、燃料電池システム1の起動運転における改質水の供給するための準備の時間を短縮することができる。したがって、燃料電池システム1が停止状態から発電運転を開始するまでの時間の短縮化を図ることができる。
【0088】
なお、上述した実施形態において、燃料電池システムの一例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採用することもできる。例えば、上述した実施形態において、水タンク14の内部に送入される気体は、空気であるが、これに代えて、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを用いるようにしても良い。
【0089】
また、上述した実施形態において、水位検出装置14aは、静電容量式であるが、これに代えて、水位検出装置14aをフロート式にしても良い。
【0090】
また、上述した実施形態において、燃料電池システム1は、温度センサ50および計測装置60の両方を備えているが、これに代えて、温度センサ50および計測装置60の両方を備えないようにしても良い。この場合、補正部15a3は、検出水位のみを使用して、加圧装置14bの第一駆動量を補正する。
【0091】
また、上述した実施形態において、燃料電池システム1は、温度センサ50および計測装置60の両方を備えているが、これに代えて、温度センサ50および計測装置60の一方を備えるようにしても良い。この場合、補正部15a3は、検出温度および計測駆動時間の一方、並びに検出水位を使用して加圧装置14bの第一駆動量を補正する。
【0092】
また、上述した実施形態において、規制部11b1は、水流通管11bが上方を開放するU字形状に形成されることにより設けられているが、これに代えて、水流通管11bを水タンク14側から第二電磁弁11b2側に向かうにしたがって、上方から下方に向けて傾斜させて、規制部11b1を設けるようにしても良い。
【0093】
また、上述した実施形態において、燃料電池34は、固体酸化物形燃料電池であるが、これに代えて、固体高分子形燃料電池とするようにしても良い。
【0094】
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、水流通管11bおよび規制部11b1の形状、水タンク14および熱交換器12の配置位置、並びに、水位検出装置14aの種類を変更するようにしても良い。