(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力された映像信号における少なくとも第1及び第2のフレーム内の画素に基づいて画像の動きベクトルを検出し、前記動きベクトルの信頼度を示す信頼度データを生成する動きベクトル検出部と、
前記第1及び第2のフレーム間に内挿される補間フレームを構成する各補間画素を生成するために、前記第1及び第2のフレーム内の画素より、前記動きベクトルに基づく動補間用の一対の画素と、静止補間用の一対の画素とを選択する画素選択部と、
前記信頼度データに基づいて、前記動補間用の一対の画素に基づいて生成される動補間の補間画素と、前記静止補間用の一対の画素に基づいて生成される静止補間の補間画素との混合比率を示す第1の混合比率を生成する第1の混合比率生成部と、
前記画素選択部によって選択された前記動補間用の一対の画素の差分値に基づいて、前記動補間の補間画素と前記静止補間の補間画素との混合比率を示す第2の混合比率を生成する第2の混合比率生成部と、
前記第1の混合比率と前記第2の混合比率とが異なるとき、前記第1の混合比率と前記第2の混合比率とのうち静止補間の補間画素の混合比率が少ない方の混合比率を選択したときよりも静止補間の補間画素の混合比率が多くなるように混合比率を調整して、第3の混合比率を生成する混合比率調整部と、
前記動補間の補間画素と前記静止補間の補間画素とを生成し、前記第3の混合比率に応じて前記動補間の補間画素と前記静止補間の補間画素とを適応的に混合して補間画素を生成する補間データ生成部と、
を備えることを特徴とする補間フレーム生成装置。
前記混合比率調整部は、前記第1の混合比率と前記第2の混合比率とのうち、静止補間の補間画素の混合比率が大きい方の混合比率を前記第3の混合比率とすることを特徴とする請求項1に記載の補間フレーム生成装置。
前記混合比率調整部は、前記第1の混合比率と前記第2の混合比率とを平均して前記第3の混合比率を生成することを特徴とする請求項1に記載の補間フレーム生成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動きベクトルを誤検出すると不適切な補間画素が生成され、視聴者に視覚的な違和感を与えてしまう。そこで、視覚的な違和感を軽減するために、動きベクトルに基づいて生成した動補間の補間画素と、動き0の静止補間の補間画素とを混合して補間画素を生成することがある。
【0005】
動補間の補間画素と静止補間の補間画素とを混合するときに、動補間の補間画素の比率を増やせば補間フレームにおける画像の動きが滑らかとなるが、動きベクトルを誤検出したときの視覚的な違和感が増大しやすい。一方、静止補間の補間画素の比率を増やせば動きベクトルを誤検出しても視覚的な違和感を少なくすることができるが、画像の動きの滑らさが必要以上に失われることがある。
【0006】
本発明は、動きベクトルを誤検出したときの視覚的な違和感を少なくし、画像の動きの滑らさが必要以上に失われることなく、補間フレームを生成することができる補間フレーム生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、入力された映像信号における少なくとも第1及び第2のフレーム内の画素に基づいて画像の動きベクトルを検出し、前記動きベクトルの信頼度を示す信頼度データを生成する動きベクトル検出部と、前記第1及び第2のフレーム間に内挿される補間フレームを構成する各補間画素を生成するために、前記第1及び第2のフレーム内の画素より、前記動きベクトルに基づく動補間用の一対の画素と、静止補間用の一対の画素とを選択する画素選択部と、前記信頼度データに基づいて、前記動補間用の一対の画素に基づいて生成される動補間の補間画素と、前記静止補間用の一対の画素に基づいて生成される静止補間の補間画素との混合比率を示す第1の混合比率を生成する第1の混合比率生成部と、前記画素選択部によって選択された前記動補間用の一対の画素の差分値に基づいて、前記動補間の補間画素と前記静止補間の補間画素との混合比率を示す第2の混合比率を生成する第2の混合比率生成部と、前記第1の混合比率と前記第2の混合比率とが異なるとき、前記第1の混合比率と前記第2の混合比率とのうち静止補間の補間画素の混合比率が少ない方の混合比率を選択したときよりも静止補間の補間画素の混合比率が多くなるように混合比率を調整して、第3の混合比率を生成する混合比率調整部と、前記動補間の補間画素と前記静止補間の補間画素とを生成し、前記第3の混合比率に応じて前記動補間の補間画素と前記静止補間の補間画素とを適応的に混合して補間画素を生成する補間データ生成部とを備えることを特徴とする補間フレーム生成装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の補間フレーム生成装置によれば、動きベクトルを誤検出したときの視覚的な違和感を少なくし、画像の動きの滑らさが必要以上に失われることなく、補間フレームを生成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態の補間フレーム生成装置について、添付図面を参照して説明する。
図1に示すフレーム周波数変換装置は、本実施形態の補間フレーム生成装置を含んで構成されている。フレーム周波数変換装置の動作を説明しながら、補間フレーム生成装置の動作を説明する。
【0011】
図1において、フレーム周波数変換の対象となっている映像信号Sinの各フレームを構成する各画素位置の画素は、画素単位で順に、フレームメモリ1、動きベクトル検出部2、画素選択部3、及びフレーム周波数変換メモリ9に入力される。入力された映像信号Sinのフレームを現在フレームであるフレームF1であるとする。フレームF1は第1のフレームとしての実フレームである。映像信号Sinのフレーム周波数は60Hzであるとする。
【0012】
フレームメモリ1はフレームF1を1フレーム期間遅延して、1フレーム前のフレームF2を生成する。フレームF2は第2のフレームとしての実フレームである。フレームF2を構成する各画素位置の画素は、画素単位で順に、動きベクトル検出部2及び画素選択部4に入力される。
【0013】
動きベクトル検出部2は、フレームF1内の水平及び垂直方向の所定の範囲及びフレームF2内の水平及び垂直方向の所定の範囲から、様々な動きに対応した画素の組を抽出してその差分値を算出し、差分値の小さい方向に基づいて動きベクトルMVを検出する。なお、動きベクトル検出部2は、フレームF1内の複数の画素よりなるブロック及びフレームF2内の複数の画素よりなるブロックのブロック内の各画素において、様々な動きに対応した差分値を算出し、その差分値の絶対値の総和に基づいて動きベクトルMVを検出することもできる。
【0014】
動きベクトル検出部2は、フレームF1及びF2以外の、例えばフレームF1よりも未来のフレームと、フレームF2の1フレーム前の過去のフレームとの双方、またはいずれか一方のフレーム内の画素を参照して、動きベクトルMVを検出してもよい。このようにすれば、動きベクトルMVの検出精度が向上する。動きベクトル検出部2が動きベクトルMVを検出する際に比較するフレームは2フレームに限定されず、3フレーム以上であってもよい。動きベクトル検出部2は隣接する2フレームを比較することに限定されず、1フレームまたはそれ以上飛ばしたフレーム間で比較してもよい。
【0015】
動きベクトル検出部2は、フレームF1とフレームF2との間の水平及び垂直方向の所定の範囲のブロック間の動きベクトルMVを検出するために、入力された画素を水平方向に遅延する画素遅延器(フリップフロップ)及び垂直方向に遅延するラインメモリを備える。画素遅延器及びラインメモリは、動きベクトル検出部2の外部に設けられていてもよい。
【0016】
動きベクトル検出部2は、動きベクトルMVを検出するのに併せて、動きベクトルMVの信頼度データReを生成する。動きベクトル検出部2は、動きベクトルMVを検出したときの画素の差分値を信頼度データReとすることができる。動きベクトル検出部2は、差分値が小さいほど信頼度が高く、差分値が大きいほど信頼度が低い信頼度データReを生成する。
【0017】
動きベクトル検出部2は、動きベクトルMVを検出したときに、他の候補ベクトルの差分値が動きベクトルMVの差分値に対してどれだけ差があるかという基準で信頼度データReを生成してもよい。この場合、動きベクトル検出部2は、他の候補ベクトルの差分値が動きベクトルMVの差分値が大きいほど、信頼度が高い信頼度データReを生成する。
【0018】
動きベクトル検出部2は、動きベクトルMVを検出する過程で動きベクトルMVの信頼度データReを生成すればよく、信頼度データReの具体的な生成方法は限定されない。
【0019】
動きベクトルMVは、画素選択部3及び4に供給され、信頼度データReは混合比率生成部5に供給される。混合比率生成部5は、信頼度データReに基づいて、後述する動補間の補間画素と静止補間の補間画素とを混合する第1の混合比率Mr1を生成して、混合比率調整部7に供給する。第1の混合比率Mr1は、動補間の補間画素と静止補間の補間画素との合計を1としたときの両者の混合比率を示す。
【0020】
画素選択部3は、動きベクトルMVに基づいてフレームF1内の画素P1を選択し、併せて、生成しようとする補間画素と同じ画素位置の画素P10を選択して、補間データ生成部8に供給する。画素選択部4は、動きベクトルMVに基づいてフレームF2内の画素P2を選択し、併せて、生成しようとする補間画素と同じ画素位置の画素P20を選択して、補間データ生成部8に供給する。
【0021】
画素P1及びP2は動補間用の一対の画素であり、画素P10及びP20は静止補間用の一対の画素である。
【0022】
画素選択部3及び4は、それぞれ、動きベクトルMVに基づいてフレームF1及びF2内の画素P1及びP2、生成しようとする補間画素と同じ画素位置の画素P10及びP20を選択するために、入力された画素を水平方向に遅延する画素遅延器及び垂直方向に遅延するラインメモリを備える。動きベクトル検出部2と画素選択部3及び4とで画素遅延器及びラインメモリの少なくとも一部が共通化されていてもよい。画素遅延器及びラインメモリは、画素選択部3及び4の外部に設けられていてもよい。
【0023】
図2は、画素選択部3及び4が動きベクトルMVに基づいて画素P1及びP2を選択して、フレームF1とフレームF2との間に内挿する補間フレームF21の補間画素P21を生成する動作を概念的に示している。ここでは簡略化のため、水平方向の画素のみを示している。
【0024】
動きベクトルMVは、画像が水平方向左側に4画素分移動したことを示す。このとき、仮に動きベクトルMVのみに基づく動補間によって補間画素P21を生成するとすれば、補間画素P21に対して左側に2画素ずれた位置の画素P1と、右側に2画素ずれた位置の画素P2とを加算して2で除算すれば、補間画素P21が生成される。
【0025】
しかしながら、画像の動きを全く誤検出することなく検出することは極めて困難であり、動きベクトルMVが完全に正しいとは限らない。そこで、画素選択部3及び4は、それぞれ、画素P1及びP2に加えて、
図2に示す補間画素P21と同じ画素位置の画素P10及びP20を選択する。後述するように、補間画素P21は、画素P1及びP2と画素P10及びP20とに基づいて生成されることがある。
【0026】
図1に戻り、画素選択部3が選択した画素P1と、画素選択部4が選択した画素P2は、混合比率生成部6にも供給される。混合比率生成部6は、動きベクトルMVに基づいて選択された画素P1と画素P2との差分値に基づいて、動補間の補間画素と静止補間の補間画素とを混合する第2の混合比率Mr2を生成して、混合比率調整部7に供給する。第2の混合比率Mr2も、動補間の補間画素と静止補間の補間画素との合計を1としたときの両者の混合比率を示す。
【0027】
混合比率調整部7は、第1の混合比率Mr1と第2の混合比率Mr2とに基づいて最終的な第3の混合比率Mr3を生成する。第1の例として、混合比率調整部7は、第1の混合比率Mr1と第2の混合比率Mr2とのうち、静止補間の補間画素の比率が大きい方の混合比率を選択して、第3の混合比率Mr3とする。
【0028】
例えば、第1の混合比率Mr1が、動補間の補間画素と静止補間の補間画素との混合比率が0.7:0.3であることを示し、第2の混合比率Mr2が、動補間の補間画素と静止補間の補間画素との混合比率が0.6:0.4であることを示すとする。このとき、混合比率調整部7は、第2の混合比率Mr2を第3の混合比率Mr3とする。
【0029】
第2の例として、混合比率調整部7は、第1の混合比率Mr1と第2の混合比率Mr2とを平均して、第3の混合比率Mr3を生成する。例えば、第1の混合比率Mr1が0.7:0.3であることを示し、第2の混合比率Mr2が0.6:0.4であることを示すとき、混合比率調整部7は、両者を平均して第3の混合比率Mr3を0.65:0.35とする。
【0030】
混合比率調整部7は、第1の混合比率Mr1と第2の混合比率Mr2とが同じであれば、第1の混合比率Mr1と第2の混合比率Mr2とが示す動補間の補間画素と静止補間の補間画素との混合比率をそのまま第3の混合比率Mr3とする。
【0031】
混合比率調整部7は、第1の混合比率Mr1と第2の混合比率Mr2とが異なれば、静止補間の補間画素の混合比率が少ない方の混合比率を選択したときよりも、静止補間の補間画素の混合比率が多くなるように混合比率を調整した第3の混合比率Mr3を生成すればよい。
【0032】
上述した第1の例では、混合比率調整部7は、第1の混合比率Mr1と第2の混合比率Mr2とのうち、静止補間の補間画素の比率が大きい方の混合比率を選択して、第3の混合比率Mr3とすればよいので、第2の例よりも構成が簡略化されるので好ましい。
【0033】
混合比率調整部7は、第3の例として、次のように第3の混合比率Mr3を生成してもよい。混合比率生成部5は、信頼度データReに基づいて第1の混合比率Mr1の信頼度を生成する。信頼度の生成の仕方は特に限定されないが、信頼度データReが示す信頼度が高いほど高く、低いほど低い信頼度を生成すればよい。混合比率生成部5は、信頼度データReが示す信頼度をそのまま第1の混合比率Mr1の信頼度としてもよい。
【0034】
混合比率生成部6は、画素P1と画素P2との差分値に基づいて第2の混合比率Mr2の信頼度を生成する。混合比率生成部6は、差分値が小さいほど高く、差分値が大きいほど低い信頼度を生成すればよい。
【0035】
混合比率調整部7は、混合比率生成部5が生成した第1の混合比率Mr1の信頼度と、混合比率生成部6が生成した第2の混合比率Mr2の信頼度とのうち、より信頼度が高い方の混合比率を第3の混合比率Mr3とする。
【0036】
補間データ生成部8は、画素P1及びP2に基づいて生成される動補間の補間画素と、画素P10及びP20に基づいて生成される静止補間の補間画素とを、第3の混合比率Mr3が示す混合比率に応じて適応的に混合する。
【0037】
図3に示すように、補間データ生成部8は、動補間部81と、静止補間部82と、混合部83とを有する。動補間部81は、画素P1と画素P2とを加算して2で除算して動補間の補間画素P12を生成する。静止補間部82は、画素P10と画素P20とを加算して2で除算して静止補間の補間画素P120を生成する。混合部83は、第3の混合比率Mr3が示す混合比率に応じて、動補間の補間画素P12と静止補間の補間画素P120を適応的に混合して、最終的な補間画素P21を生成する。
【0038】
図4は、動補間の補間画素P12と静止補間の補間画素P120を適応的に混合して、補間画素P21を生成する状態を示している。
図2は、第3の混合比率Mr3が、動補間の補間画素と静止補間の補間画素との混合比率が1:0であることを示すときの補間データ生成部8の動作に相当する。第3の混合比率Mr3は、動補間の補間画素と静止補間の補間画素との混合比率を1:0〜0:1の範囲で決定すればよい。
【0039】
図1に戻り、補間フレームF21を構成する各画素位置の補間画素P21は、画素単位で順にフレーム周波数変換メモリ9に供給される。フレーム周波数変換メモリ9は、フレームF1及び補間フレームF21を書き込む。フレーム周波数変換メモリ9は、書き込まれたフレームF1と補間フレームF21とを、映像信号Sinのフレーム周波数の2倍である120Hzで交互に読み出すことにより、フレーム周波数120Hzの映像信号Soutを生成して出力する。
【0040】
以上のようにして、本実施形態の補間フレーム生成装置によれば、動きベクトルMVを誤検出したときの視覚的な違和感を少なくし、画像の動きの滑らさが必要以上に失われることがなく、補間フレームF21を生成することができる。本実施形態の補間フレーム生成装置を備えるフレーム周波数変換装置によれば、動きベクトルMVを誤検出したときの視覚的な違和感が少なく、画像の動きの滑らさが必要以上に失われることなく、フレーム周波数が変換された映像信号Soutを生成することができる。
【0041】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。補間フレーム生成装置は、フレーム周波数を4倍に変換するフレーム周波数変換装置で用いられる、隣接する2つの実フレーム間に内挿する3つの補間フレームを生成する補間フレーム生成装置であってもよい。