(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904410
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20210701BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
F04B39/00 106D
F04C29/00 T
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-226097(P2019-226097)
(22)【出願日】2019年12月16日
(62)【分割の表示】特願2019-59904(P2019-59904)の分割
【原出願日】2019年3月27日
(65)【公開番号】特開2020-37946(P2020-37946A)
(43)【公開日】2020年3月12日
【審査請求日】2019年12月16日
(31)【優先権主張番号】特願2018-83147(P2018-83147)
(32)【優先日】2018年4月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】出口 良平
【審査官】
松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−218411(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0107151(US,A1)
【文献】
国際公開第2013/157281(WO,A1)
【文献】
中国特許出願公開第106014930(CN,A)
【文献】
国際公開第2012/026081(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04C 29/00
F04C 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端面(E1)及び第2端面(E2)を持つとともに回転軸心に対して回転するロータ(132)を有するモータ(30)と、
前記第1端面及び前記第2端面のうちの一方に設けられるバランスウェイト(133a)と、
前記一方に設けられる仕切り(133b)と、
前記仕切りの周縁に設けられた仕切り壁(133s)と、
を備え、
前記ロータには前記第1端面から前記第2端面まで貫通する貫通穴(132p)が形成されており、
前記仕切り及び前記仕切り壁は、前記ロータの回転方向(R)における前記バランスウェイトの前縁(133c)の前側にある前側領域(Q1)、及び、前記ロータの前記回転方向における前記バランスウェイトの後縁(133d)より後ろ側にある後側領域(Q2)、の両方を前記貫通穴から仕切り、
前記ロータは第1円筒部と、前記第1円筒部よりも外周側に位置する第2円筒部を有し、
前記貫通穴は前記第1円筒部に設けられており、
前記仕切りは、前記一方において前記第1円筒部を覆うとともに前記第2円筒部を覆わないものであり、
前記バランスウェイトは前記第2円筒部に設けられており、
前記回転軸心が延びる方向についての前記仕切り壁の厚さは、前記回転軸心が延びる方向についての前記バランスウェイトの厚さと同じである、
圧縮機(10)。
【請求項2】
前記仕切りは、前記バランスウェイトと一体である、
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記仕切り壁は、前記バランスウェイトと一体である、
請求項1又は請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記貫通穴は、前記仕切りに設けられた穴(133p)に連通している、
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記貫通穴を覆う多孔質材(161)、
をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記バランスウェイト又は前記ロータに固定され、前記バランスウェイトを覆い、円筒形状を有するカバー(134)、
をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項7】
ロータリー型、又はスクロール型圧縮機である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷凍機械等に用いられる圧縮機。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特許5025556号公報)の圧縮機は、電動機を有する。電動機の回転子には、複数の回転子貫通穴が設けられている。さらに、回転子にはバランスウェイトが配置されている。バランスウェイトの回転方向の先端部及び後端部には、動作圧に対してそれぞれ正圧及び負圧になる領域が生じる。その結果、回転子貫通穴の一部には上昇流が生じ、他の一部には下降流が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
冷媒と共に潤滑油が圧縮機から排出される油上がりという現象は、圧縮機の性能に影響する。油上がりを抑制するためには、冷媒の上昇流が通過する断面積を確保するのが好ましいとされる。これに対し、特許文献1の圧縮機では、回転子貫通穴の一部が下降流で占められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の圧縮機は、モータと、バランスウェイトと、仕切りと、を備える。モータは、第1端面及び第2端面を持つロータを有する。バランスウェイトは、第1端面又は第2端面に設けられる。仕切りは、第1端面又は第2端面に設けられる。ロータには第1端面から第2端面まで貫通する貫通穴が形成されている。仕切りは、ロータの回転方向におけるバランスウェイトの前縁の前側にある前側領域、及び、ロータの回転方向におけるバランスウェイトの後縁より後ろ側にある後側領域、の少なくとも一方を貫通穴から仕切る。ロータは第1円筒部と、第1円筒部よりも外周側に位置する第2円筒部を有する。貫通穴は第1円筒部に設けられる。仕切りは、第1端面又は第2端面において第1円筒部を覆う。バランスウェイトは第2円筒部に設けられる。圧縮機は、仕切りの周縁に設けられた仕切り壁をさらに備える。仕切り壁の厚さは、バランスウェイトの厚さと同じである。
【0005】
この構成によれば、前側領域及び後側領域の両方が、仕切りによって貫通穴から仕切られる。したがって、貫通穴の冷媒は正圧と負圧のいずれからも影響を受けにくい。
【0006】
第2観点の圧縮機は、第1観点の圧縮機であって、仕切りが、バランスウェイトと一体である。
【0007】
この構成によれば、仕切りがバランスウェイトと一体である。したがって、モータの組み立てが容易である。
【0008】
第3観点の圧縮機は、第1観点又は第2観点の圧縮機であって、貫通穴が、仕切りに設けられた穴に連通している。
【0009】
この構成によれば、貫通穴は仕切りに設けられた穴に連通している。仕切りはクランク軸とバランスウェイトの間に配置される。したがって、貫通穴はクランク軸に近いので、ロータの外縁における電磁鋼板の磁界の流れが貫通穴によって阻害されるおそれが少ない。
【0010】
第4観点の圧縮機は、第1観点から第3観点のいずれか1つの圧縮機であって、貫通穴を覆う多孔質材、をさらに備える。
【0011】
この構成によれば、貫通穴は多孔質材によって覆われる。したがって、冷媒と共に多孔質材を通過する冷凍機油が多孔質材に捕捉されるので、油上がりをより低減できる。
【0012】
第5観点の圧縮機は、第1観点から第4観点のいずれか1つの圧縮機であって、カバーをさらに備える。カバーは、バランスウェイト又はロータに固定され、バランスウェイトを覆い、円筒形状を有する。
【0013】
この構成によれば、カバーがバランスウェイトを覆い、円筒形状を有する。したがって、バランスウェイトの非対称な形状がカバーによって隠されるので、バランスウェイトによる冷媒及び冷凍機油の攪拌が抑制される。
【0014】
第6観点の圧縮機は、第1観点から第5観点のいずれか1つの圧縮機であって、ロータリー型、又はスクロール型圧縮機である。
【0015】
この構成によれば、圧縮機はロータリー型又はスクロール型である。したがって、ロータリー型又はスクロール型の圧縮機において、油上がりを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る圧縮機10の断面図である。
【
図2】上側バランスウェイト38を示す断面図である。
【
図3】ケーシング20の内部における冷媒の流れを示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る圧縮機10の下側バランスウェイト33a周辺を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る圧縮機10の下側バランスウェイト33a周辺を示す断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る圧縮機10の下側バランスウェイト33a周辺を示す底面図である。
【
図7】第2実施形態に係る圧縮機10の下側バランスウェイト133a周辺を示す斜視図である。
【
図8】第2実施形態に係る圧縮機10の下側バランスウェイト133a周辺を示す断面図である。
【
図9】第2実施形態の変形例2Aに係る圧縮機10の下側バランスウェイト133a周辺を示す斜視図である。
【
図10】第2実施形態の変形例2Aに係る圧縮機10の下側バランスウェイト133a周辺を示す断面図である。
【
図11】第3実施形態に係る圧縮機10の下側バランスウェイト233a周辺を示す斜視図である。
【
図12】第3実施形態に係る圧縮機10の下側バランスウェイト233a周辺を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
(1)全体構成
図1は、第1実施形態に係る圧縮機10の断面図である。圧縮機10は、スクロール型圧縮機である。圧縮機10は、ケーシング20、モータ30、クランク軸35、圧縮機構40、第1支持部材27、第2支持部材28、吸入管51、吐出管52を有する。
【0018】
(2)詳細構成
(2−1)ケーシング20
ケーシング20は、圧縮機10の構成部品及び冷媒を収容し、冷媒の高圧に耐えうる強度を有する。ケーシング20は、互いに接合された円筒部21、上部22、下部23を有する。ケーシング20の内部の下方には油貯留部20sが設けられている。油貯留部20sには冷凍機油Lが貯留されている。
【0019】
(2−2)モータ30
モータ30は、電力の供給を受けて、圧縮機構40のための動力を発生させるものである。モータ30は、ステータ31とロータ32を有する。ステータ31は、ケーシング20に直接的又は間接的に固定されている。ロータ32は、ステータ31と磁気的な相互作用を行うことによって、回転することができる。
【0020】
ステータ31の外周にはコアカット部31aが設けられている。コアカット部31aにより、ケーシング20とステータ31の間に隙間が生じる。この隙間は冷媒の通路として機能する。
【0021】
ロータ32は上側の第1端面E1及び下側の第2端面E2を有する。ロータ32には貫通穴32pが設けられている。貫通穴32pは、ロータ32の回転軸心が延びる方向に第1端面E1から第2端面E2までロータ32を貫通する。貫通穴32pもまた、冷媒の通路として機能する。
【0022】
ロータ32の第2端面E2には下側バランスウェイト33aが設けられている。下側バランスウェイト33aは、ロータ32の回転軸心に対して非対称な形状を持つ。下側バランスウェイト33aは、ロータ32及びクランク軸35の重心の位置を調節し、回転を安定させるためのものである。
【0023】
下側バランスウェイト33aには下側カバー34が固定されている。下側カバー34は、下側バランスウェイト33aの非対称な形状を覆うことにより、ロータ32の回転時に下側バランスウェイト33aによる冷媒の攪拌を抑制する。下側カバー34には、複数の穴34p(
図4)が設けられている。
【0024】
(2−3)クランク軸35
クランク軸35は、モータ30が発生させた動力を圧縮機構40に伝達するものである。クランク軸35はロータ32と共に回転する。クランク軸35は主軸部36と偏心部37を有している。主軸部36はロータ32に固定されており、ロータ32と回転軸心を共有する。偏心部37は主軸部36から偏心しており、圧縮機構40に連結している。クランク軸35が回転することによって、偏心部37が公転する。
【0025】
主軸部36におけるロータ32の第1端面E1の近傍には、上側バランスウェイト38が形成されている。上側バランスウェイト38は、ロータ32及びクランク軸35の重心の位置を調節し、回転を安定させるためのものである。
図2に示すように、上側バランスウェイト38は、クランク軸35の回転軸心に対して非対称な形状を持つ。上側バランスウェイト38の下部には円板部38aが設けられている。円板部38aを含む上側バランスウェイト38には上側カバー39が設けられている。上側カバー39は、上側バランスウェイト38の非対称な形状を覆うことにより、クランク軸35の回転時に上側バランスウェイト38による冷媒の攪拌を抑制する。
【0026】
(2−4)圧縮機構40
図1に戻り、圧縮機構40は、流体であるガス冷媒を圧縮する。圧縮機構40は、固定スクロール41及び可動スクロール42を有する。固定スクロール41はケーシング20に直接的又は間接的に固定されている。可動スクロール42は固定スクロール41に対して公転可能である。固定スクロール41と可動スクロール42によって圧縮室43が規定されている。偏心部37の公転に追従して、可動スクロール42が公転運動をする。これによって圧縮室43の容積が変動し、ガス冷媒が圧縮される。圧縮工程を経た高圧ガス冷媒は、固定スクロール41に設けられた吐出口44から圧縮機構40の外へ出て、ケーシング20の内部空間に充満する。
【0027】
(2−5)第1支持部材27、第2支持部材28
第1支持部材27はクランク軸35の主軸部36を回転可能に支持する。第1支持部材27は、ケーシング20に直接的又は間接的に固定されている。第1支持部材27は、固定スクロール41を直接的又は間接的に支持してもよい。
【0028】
第2支持部材28はクランク軸35の主軸部36を回転可能に支持する。第2支持部材28は、ケーシング20に直接的又は間接的に固定されている。
【0029】
(2−6)吸入管51、吐出管52
吸入管51及び吐出管52は、ケーシング20の内部と外部との間で冷媒を移動させるために、ケーシング20に設けられている。
【0030】
吸入管51は、低圧ガス冷媒を吸入して圧縮室43へ導入するためのものである。吸入管51は、上部22に設けられている。
【0031】
吐出管52は、吐出口44から吐出されてケーシング20の内部空間に充満している高圧ガス冷媒を、ケーシング20の外部へ吐出するためのものである。吐出管52は、円筒部21に設けられている。
【0032】
(3)冷媒の流れ
圧縮機構40において圧縮された冷媒は、吐出口44から出る。その後、
図3に示すように、冷媒はコアカット部31aの隙間を通過して下降する。次いで、冷媒は、ロータ32に設けられた貫通穴32pを通過して上昇する。その後、冷媒は円板部38aを含む上側バランスウェイト38を迂回する。最後に、冷媒は吐出管52からケーシング20の外部へ出る。
【0033】
(4)下側バランスウェイト33a周辺の詳細構造
図4、
図5、及び
図6は下側バランスウェイト33a周辺の構造を示す。下側バランスウェイト33aは、仕切り33bと一体に構成されている。下側バランスウェイト33aは、クランク軸35の回転軸心に対して非対称な形状をなし、具体的には円弧状である。下側バランスウェイト33aは、ロータ32の回転により、軌跡として軌跡空間Tを形成する。下側バランスウェイト33aがロータ32の回転軸と交差しないので、軌跡空間Tの形状はドーナツ形である。仕切り33bは、軌跡空間Tを貫通穴32pから仕切る。仕切り33bはクランク軸35と下側バランスウェイト33aの間に配置される。本実施形態において仕切り33bは、複数の穴33pを有する。それぞれの穴33pは、1つの貫通穴32pと連通する。
【0034】
図4に示すように、下側カバー34には、複数の穴34pが設けられている。それぞれの穴34pは、1つの穴33p及び1つの貫通穴32pと連通している。
【0035】
図6に示すように、下側バランスウェイト33aは、ロータ32の回転方向Rを基準として、前縁33c及び後縁33dを有する。前縁33cより前側にある前側領域Q1には、正圧が生じる。後縁33dより後ろ側にある後側領域Q2には、負圧が生じる。下側カバー34は、軌跡空間Tを覆う。下側カバー34は、下側バランスウェイト33a又はロータ32に固定され、下側バランスウェイト33aを覆い、円筒形状を有する。
【0036】
仕切り33bは、前側領域Q1及び後側領域Q2の両方を、貫通穴32pから仕切る。したがって、貫通穴32pを流れる冷媒流は、前側領域Q1の正圧及び後側領域Q2の負圧の影響を受けにくい。
【0037】
(5)特徴
(5−1)
仮に仕切り33bが存在しなかった場合、貫通穴32pを流れる冷媒流は、正圧及び負圧の影響を受ける。すなわち、正圧は、貫通穴32pの中の上昇流の速度を増加させる。負圧は、貫通穴32pの中の上昇流の速度を減少させるか、又は当該上昇流を下降流に変える。
【0038】
しかし、本実施形態に係る構成によれば、前側領域Q1及び後側領域Q2の両方が、仕切り33bによって貫通穴32pから仕切られる。したがって、前側領域Q1又は後側領域Q2の正圧又は負圧が貫通穴32pの冷媒流に与える影響が抑制される。すなわち、すべての貫通穴32pが、冷媒の上昇流を通過させる。したがって、上昇流の流路断面積を確保できるので、油上がりを抑制できる。
【0039】
(5−2)
仕切り33bが下側バランスウェイト33aと一体である。したがって、モータ30の組み立てが容易である。
【0040】
(5−3)
貫通穴32pは仕切り33bに設けられた穴33pに連通している。仕切り33bはクランク軸35と下側バランスウェイト33aの間に配置される。したがって、貫通穴32pがクランク軸35に近いので、ロータ32の外縁における電磁鋼板の磁界の流れが貫通穴32pによって阻害されるおそれが少ない。
【0041】
(5−4)
下側カバー34が下側バランスウェイト33aを覆い、円筒形状を有する。したがって、下側バランスウェイト33aの非対称な形状が下側カバー34によって隠されるので、下側バランスウェイト33aによる冷媒及び冷凍機油Lの攪拌が抑制される。
【0042】
(6)変形例
(6−1)変形例1A
上記実施形態では、仕切り33sは、前側領域Q1及び後側領域Q2の両方を貫通穴32pから隔離する。これに代えて、仕切り33sは、後側領域Q2のみを貫通穴32pから隔離してもよい。
【0043】
この構成によれば、後側領域Q2の負圧が貫通穴32pに影響しにくいので、ロータ冷媒の上昇流が下降流に変えられるおそれが少ない。
【0044】
(6−2)変形例1B
上記実施形態では、上側バランスウェイト38は、クランク軸35に設けられている。これに代えて、上側バランスウェイト38は、下側バランスウェイト33aと同様の構造を有し、ロータ32に設けられてもよい。加えて、上側バランスウェイト38に隣接する仕切りは、前側領域Q1のみを貫通穴32pから隔離していてもよい。
【0045】
この構造によれば、ロータ32の第1端面E1の前側領域Q1で生じる正圧が貫通穴32pに影響しにくいので、ロータ冷媒の上昇流が下降流に変えられるおそれが少ない。
【0046】
(6−3)変形例1C
上記実施形態では、ロータ32に設けられる仕切り33bは、下側バランスウェイト33aと一体に形成されている。これに代えて、仕切り33bは、下側バランスウェイト33aとは別体に形成されていてもよい。例えば、仕切り33bは、下側カバー34と一体でもよい。
【0047】
(6−4)変形例1D
上記実施形態では、下側カバー34は下側バランスウェイト33aに固定されている。これに変えて、下側カバー34は、ロータ32に固定されていてもよい。
【0048】
(6−5)変形例1E
上記実施形態では、圧縮機10はスクロール型圧縮機である。これに代えて、圧縮機10は、ロータリー型圧縮機であってもよい。
【0049】
<第2実施形態>
(1)構成
図7及び
図8は第2実施形態に係る圧縮機10における、下側バランスウェイト133a周辺の詳細構造を示す。
【0050】
本実施形態における下側バランスウェイト133aは、仕切り133b及び仕切り壁133sと一体である。下側バランスウェイト133aは、仕切り壁133sとは同じ高さである一方、仕切り133bとは段差を構成している。仕切り133bは、下側バランスウェイト133aと仕切り壁133sによって包囲されている。さらに、本実施形態における下側カバー134は、1つの穴134hを有している。クランク軸135は穴134hを通過している。クランク軸135と下側カバー134の隙間の面積は、貫通穴132pの総断面積よりも小さくなるように設定されている。
【0051】
(2)特徴
クランク軸135と下側カバー134の隙間の面積は、貫通穴132pの総断面積よりも小さい。これにより、冷媒の流量を下側カバー134の穴134hの大きさによって制限することができる。したがって、ロータ132の貫通穴132pの構造によらず、冷媒の流量を下側カバー134の形状によって制御できる。
【0052】
(3)変形例
(3−1)変形例2A
図9及び
図10は第2実施形態の変形例2Aに係る構造を示す。本変形例では、下側バランスウェイト133aと仕切り133bとが構成する段差に多孔質材161が設けられている。多孔質材161は、仕切り133bの穴133pを覆い、ひいては貫通穴132pを覆う。さらに、仕切り壁133sには、油排出溝133eと油排出穴133fが設けられている。
【0053】
この構成によれば、穴133pは多孔質材161によって覆われる。したがって、冷媒と共に多孔質材161を通過する冷凍機油Lが多孔質材161に捕捉されるので、油上がりをより低減できる。多孔質材161に捕捉された冷凍機油Lは、油排出溝133e及び油排出穴133fから排出された後、下側カバー134の穴134hを通って油貯留部20sへ戻る。
【0054】
(3−2)その他
第1実施形態の変形例を、本実施形態に適用してもよい。
【0055】
<第3実施形態>
(1)構成
図11及び
図12は第3実施形態に係る圧縮機10における、下側バランスウェイト233a周辺の詳細構造を示す。本実施形態は、ロータ232の貫通穴232pが露出している点において第2実施形態と異なっている。下側カバー234の構造は、第2実施形態における下側カバー134の構造と同じである。
【0056】
(2)特徴
ロータ232の貫通穴232pは露出している。したがって、下側バランスウェイト233aを製造するのに必要な材料が少ない。
【0057】
(3)変形例
第1実施形態又は第2実施形態の変形例を、本実施形態に適用してもよい。
【0058】
<むすび>
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0059】
10 :圧縮機
30 :モータ
32、132、232 :ロータ
32p、132p、232p :貫通穴
33a、133a、233a :下側バランスウェイト
33b、133b :仕切り
33c :前端
33d :後端
33p、133p :穴
133s、233s :仕切り壁
34、134、234 :下側カバー
134h、234h :穴
34p :穴
35、135、235 :クランク軸
38 :上側バランスウェイト
39 :上側カバー
40 :圧縮機構
161 :多孔質材
E1 :第1端面
E2 :第2端面
L :冷凍機油
Q1 :前側領域
Q2 :後側領域
R :回転方向
T :軌跡空間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特許5025556号公報