(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6904462
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】粒状物検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20210701BHJP
G01N 21/85 20060101ALI20210701BHJP
G01N 15/14 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
G01N21/27 A
G01N21/85 A
G01N15/14 D
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-98555(P2020-98555)
(22)【出願日】2020年6月5日
【審査請求日】2021年1月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】河村 陽一
【審査官】
横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−525575(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/051432(WO,A1)
【文献】
特表平03−500208(JP,A)
【文献】
特開2014−157121(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0237519(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第107660266(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2019/0301996(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/61
G01N 15/00−15/14
G01N 33/00−33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送される粒状物の配管に設けられるとともに該粒状物の品質検査を行うことが可能な粒状物検査装置であって、
外郭を形成する管状部材と、前記管状部材の中心部に固定配置されて該管状部材の内周面との間に前記粒状物の通路を形成するとともに該通路を流下する前記粒状物を撮影可能な撮像装置と、を有し、
前記撮像装置は、
円環状に形成されるとともに円環の中心方向に傾斜する外側面に鏡面を有する円環状ミラーと、前記円環状ミラーの下方に配置されて該円環状ミラーに映り込む前記粒状物の鏡像を撮影可能なカメラと、を備え、
前記管状部材は、前記粒状物の撮影位置周辺において透明又は半透明で形成されるとともに、該撮影位置周辺の外周部に、流下する前記粒状物に透過光を照射可能な透過光源が設けられ、
前記撮像装置は円環状の前記通路を流下する複数の前記粒状物を同時に撮影可能である ことを特徴とする粒状物検査装置。
【請求項2】
前記管状部材の内周面と前記撮像装置との間に形成される円環状の前記通路の幅は、前記粒状物が1粒通過できるほどの幅寸法であり、
前記円環状ミラーの前記鏡面の幅は、流下する前記粒状物の一部が映り込むほどの幅寸法である
ことを特徴とする請求項1に記載の粒状物検査装置。
【請求項3】
前記撮像装置の周囲に形成される前記通路には、該通路を複数の通過エリアで仕切る不透光の通過エリア仕切り部材が設けられ、前記通過エリアごとに複数種類の品質検査が可能である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粒状物検査装置。
【請求項4】
前記複数の通過エリアのうち一部の通過エリアは、前記品質検査の対象外の粒状物が流下可能な非検査領域である
ことを特徴とする請求項3に記載の粒状物検査装置。
【請求項5】
前記通路の幅寸法が、前記複数の通過エリアで異なる
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の粒状物検査装置。
【請求項6】
前記管状部材及び前記撮像装置は傾斜して設けられ、前記複数の通過エリアのうち前記非検査領域は上方側に配置される
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の粒状物検査装置。
【請求項7】
前記管状部材は、前記粒状物の撮影位置の外周部に前記粒状物に透過光を照射可能なバックグランド光源が設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の粒状物検査装置。
【請求項8】
前記撮像装置には、前記粒状物に反射光を照射可能な反射光源が設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の粒状物検査装置。
【請求項9】
前記粒状物が玄米の場合は、前記撮像装置によって撮影された玄米の撮影画像により、たんぱく質量、水分量、白度、着色の状態、シラタの状態をそれぞれ同時に検査可能である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の粒状物検査装置。
【請求項10】
前記粒状物が白米の場合は、前記撮像装置によって撮影された白米の撮影画像により、たんぱく質量、水分量、白度、着色の状態、シラタの状態をそれぞれ同時に検査可能である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の粒状物検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管内で移送される粒状物を検査することが可能な粒状物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カントリエレベータ、ライスセンタ及び精米工場などで荷受けした原料の品質検査は、自主検査装置を利用して行われていた。すなわち、サンプリングした原料の外観品質は穀粒判別機、内部品質は食味計(登録商標)などを使用して品質測定が行われる。
【0003】
また、配管内の粒状物の品質を測定する方法として、特許文献1には、傾斜のある配管下部に窓を設け、連続的に流れる粒状物のRGBの反射光データを取得して、品質の測定を行う装置が開示されている。さらに、特許文献2には、配管を分岐させ、分岐部分で粒状物を滞留させて配管外側に配置したセンサによって湿度又はたんぱく含有量決定のためのデータを取得する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2012−525575号公報
【特許文献2】特表平03−500208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した自主検査装置は建屋内に大掛かりな装置が必要であり、荷受けした原料のサンプル毎に、各測定器で測定する必要がある。さらに、前述した配管に設置した測定装置で品質データを取得する場合も、一つの測定装置で取得できるデータは限られており、複数のデータを取得するには各種測定装置をそれぞれ設置する必要がある。加えて、特許文献2のように配管を分岐する方法にあっては、別途分岐スペースが必要になるなど、多くの問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、粒状物が移送される配管に設けられ、通過する粒状物の品質を検査可能な粒状物検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に係る発明は、移送される粒状物の配管に設けられる粒状物検査装置であって、外郭を形成する管状部材と、該管状部材の内側に前記粒状物の通路を形成するとともに、流下する前記粒状物を撮影可能な撮像装置と、を有し、前記撮像装置は、当該撮像装置の全周囲に形成される前記通路を同時に撮影可能であることを特徴とする粒状物検査装置である。
【0008】
本願請求項2に係る発明は、前記撮像装置は、円環状に形成されるとともに、円環の中心部に傾斜した外側面に鏡面を有する円環状ミラーと、該円環状ミラーに映り込んだ前記粒状物の鏡像を撮影可能なカメラと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の粒状物検査装置である。
【0009】
本願請求項3に係る発明は、前記撮像装置の全周囲に形成される前記通路には、該通路を複数の通過エリアで仕切る不透光の通過エリア仕切り部材が設けられ、前記通過エリアごとに複数種類の品質検査が可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粒状物検査装置である。
【0010】
本願請求項4に係る発明は、前記複数の通過エリアのうち一部の通過エリアは、前記品質検査の対象外の粒状物が流下可能な非検査領域であることを特徴とする請求項3に記載の粒状物検査装置である。
【0011】
本願請求項5に係る発明は、前記通路における前記撮像装置と前記管状部材との離間距離が、前記複数の通過エリアで異なることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の粒状物検査装置である。
【0012】
本願請求項6に係る発明は、前記管状部材及び前記撮像装置は傾斜して設けられ、前記複数の通過エリアのうち前記非検査領域は上方側に配置されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の粒状物検査装置である。
【0013】
本願請求項7に係る発明は、前記管状部材には、前記粒状物に透過光を照射可能な透過光源及び/又はバックグランド光源が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の粒状物検査装置である。
【0014】
本願請求項8に係る発明は、前記撮像装置には、前記粒状物に反射光を照射可能な反射光源が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の粒状物検査装置である。
【0015】
本願請求項9に係る発明は、前記粒状物が玄米の場合は、前記撮像装置によって撮影された玄米の撮影画像により、たんぱく質量、水分量、白度、着色の状態、シラタの状態をそれぞれ同時に検査可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の粒状物検査装置である。
【0016】
本願請求項10に係る発明は、前記粒状物が白米の場合は、前記撮像装置によって撮影された白米の撮影画像により、たんぱく質量、水分量、白度、着色の状態、シラタの状態をそれぞれ同時に検査可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の粒状物検査装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、粒状物検査装置は、外郭を形成する管状部材と、該管状部材の内側に粒状物の通路を形成するとともに、流下する粒状物を撮影可能な撮像装置とを有し、撮像装置は、当該撮像装置の全周囲に形成される粒状物の通路を同時に撮影できるように構成されている。このような構成によれば、撮像装置の全周囲を通過する粒状物を同時に撮影することが可能になり、平面的に粒状物を撮影するよりも多くの粒状物を撮影することができる。さらに、粒状物検査装置は、
図1に示されるように移送される粒状物の配管に設けられるため、粒状物の移送中に効率的に当該粒状物の品質検査を行うことが可能となる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、撮像装置には、円環状に形成されるとともに、円環の中心部に傾斜した外側面に鏡面を有する円環状ミラーが設けられている。これにより、
図6に示されるように、円環状ミラーに映り込んだ粒状物の鏡像を、エリアカメラによって撮影することが可能となる。また、複数のレンズを配置する手間が無く、より安価に粒状物検査装置1を製造することができる。さらに、RGB画像とNIR画像を同時に取得する場合、円環状ミラーを使用することにより、波長の違いによる屈折率の影響を抑えることが可能となり、粒状物のほぼ同じ部分のRGB画像とNIR画像を同時に取得することが可能となる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、撮像装置の全周囲に形成される通路を、
図5に示されるように、不透光の通過エリア仕切り部材によって複数の通過エリアに仕切ることが可能となり、通過エリアごとに複数種類の品質検査を行うことが可能となる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、例えば、
図5の通過エリアa6のように、複数の通過エリアのうち一部の通過エリアを、品質検査の対象外の粒状物が流下可能な非検査領域とすることで、検査対象外の粒状物を、スムーズに流下させることが可能となる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、通路における撮像装置と管状部材との離間距離を、複数の通過エリアで異ならせることが可能となっている。すなわち、粒状物を1粒ごとに検査する必要があれば、通路における撮像装置と管状部材との離間距離を1粒の粒状物が通過できる程度とし、粒状物が重なっていても必要な検査が可能であれば、通路における撮像装置と管状部材との離間距離を広くすることが可能である。これにより、配管の移送効率(必要な流量)が低下することを抑制することができる。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、管状部材及び撮像装置を傾斜させて粒状物検査装置1自体を斜めにして設置し、複数の通過エリアのうち通過する粒状物の検査を行わない非検査領域を上方側に配置している。これにより、粒状物の流量が少ない場合でも検査を行うことが可能となる。一方、比較的に流量が多い場合は、検査対象とならない粒状物の余剰分を、上方側の非検査領域を介して流下させることが可能となるので、粒状物の移送効率を向上させることが可能となる。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、管状部材に、粒状物に透過光を照射可能な透過光源及び/又はバックグランド光源が設けられることにより、エリアカメラによって粒状物からの透過光を撮影し、粒状物の品質検査を行うことが可能となる。
【0024】
請求項8に係る発明によれば、撮像装置に、粒状物に反射光を照射可能な反射光源が設けることにより、エリアカメラによって粒状物からの反射光を撮影し、粒状物の品質検査を行うことが可能となる。
【0025】
請求項9及び請求項10に係る発明によれば、粒状物検査装置を玄米や白米が移送される配管に装着することで、撮影画像により、玄米や白米のたんぱく質量、水分量、白度、着色の状態、シラタの状態をそれぞれ同時に検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の粒状物検査装置の設置態様を説明する概略図である。
【
図2】本発明の粒状物検査装置の一実施形態を示す外観斜視図である。
【
図3】本発明の粒状物検査装置の一実施形態を示す縦方向の断面斜視図である。
【
図4】本発明の粒状物検査装置の一実施形態を示す縦方向の断面図である。
【
図6】エリアカメラによる撮影画像を模式的に示した図面であって、(a)から(d)にかけて落下中の粒状物の撮影態様が示されている。
【
図7】
図6に示した粒状物の撮影箇所を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の粒状物検査装置は、例えば、精米機や選別機などの各種装置に接続され、粒状物が移送される配管に装着されるインライン型の装置であり、
図1にはその装着態様の概略が図示されている。すなわち、これら任意の各種装置へ流入する粒状物G、または、各種装置から流出する粒状物Gの品質検査を、配管2に装着された粒状物検査装置1によって行うものである。なお、品質検査の対象となる粒状物Gとしては、米などの穀粒の他、種々の粒状物Gを検査対象として品質検査することが可能である。
【0028】
図2には、粒状物検査装置1の外観斜視図が、
図3には、粒状物検査装置1の縦方向の断面斜視図が、
図4には、粒状物検査装置1の縦方向の断面図がそれぞれ図示されている。図示されるように、本実施形態における粒状物検査装置1は、外郭を形成する管状部材20と、当該管状部材20の中心部に固定配置される撮像装置10とから主に構成されている。
【0029】
撮像装置10の内部には、エリアカメラ110とレンズ111とが設けられており、不透光の筒状遮光部材112によって囲われている。筒状遮光部材112の上部には、円環状で、円環の中心部に傾斜した外側面に鏡面を有する円環状ミラー113と、当該円環状ミラー113の上部に接続された不透光の上部筒状遮光部材114が設けられている。そして、上記円環状ミラー113に映り込んだ粒状物Gの鏡像を撮影可能に構成されている。すなわち、
図3及び
図4の断面図に示されるように、撮影位置(破線矢印の始点位置)を通過中の粒状物Gの鏡像が円環状ミラー113に映り込み、映り込んだ粒状物Gの鏡像が、レンズ111を介してエリアカメラ110によって撮影されることとなる。本実施形態では、円環状ミラー113の傾斜した鏡面は、少なくとも落下する粒状物Gの長手方向長さの少なくとも4分割した程度の高さを有している。
【0030】
上記したような円環状ミラー113を備えることにより、複数のレンズを配置する手間が無く、より安価に粒状物検査装置1を製造することができる。また、後述するが、魚眼レンズなどを使ってエリアカメラ110によってRGB画像とNIR画像を同時に取得しようとすると、通常、波長によって屈折率が変わるので、粒状物の同じ部分の画像データを取得できない。しかし、本発明の円環状ミラー113は反射を利用しているので、屈折率の影響がない。また、レンズ111はレンズであるので屈折率の違いによる影響を受ける。そこで、可視光から近赤外光まで収差の少ないレンズ111を使用することで、粒状物のRGB画像とNIR画像を同時に取得することが可能となる。
【0031】
本実施形態におけるエリアカメラ110は、グローバルシャッター機能を搭載したCMOSイメージセンサを使用しており、さらに、当該CMOSイメージセンサは、RGB画像及びNIR画像を同時に撮影することが可能となっている。また、近赤外域の撮影には、より広い波長域のNIR画像を取得可能なセンサを適宜選択して使用することが可能である。このような機能を有するエリアカメラ110によれば、高速で移動する粒状物Gを確実に撮影できるとともに、RGB画像とNIR画像とが撮影されることにより、様々な品質検査を行うことが可能となる。
【0032】
図5には、
図4のA−A断面における俯瞰図が図示されているが、撮像装置10の周囲には、当該撮像装置10と管状部材20との間で粒状物Gが通過可能な通路30が形成されており、撮像装置10と管状部材20との離間距離は粒状物Gが1粒通過できるほどの距離となっている。したがって、エリアカメラ110は、
図6に示されるように、通路30を通過して円環状ミラー113に映り込んだ粒状物Gを全て撮影することが可能となる。
【0033】
また、
図3〜
図5等に示されるように、少なくとも、粒状物Gの撮影位置周辺の管状部材20を透明又は半透明で構成し、当該箇所に透過光源201とバックグランド光源202が設けられている。上記透過光源201については、撮影位置(
図3及び
図4の破線矢印の始点位置)を挟んで上下2か所に透過光源201を設置して、粒状物Gの表面に影が生じ難くなるようにしている。
【0034】
さらに、撮像装置10には、
図3〜
図5等に示されるように、少なくとも、粒状物Gの撮影位置周辺の撮像装置10を透明又は半透明で構成するとともに、当該箇所に反射光源101が設けられている。本実施形態では、撮影位置(
図3及び
図4の破線矢印の始点位置)を挟んで上下2か所に反射光源101を設置し、粒状物Gの表面に影が生じ難くなるようにしている。なお、透過光源201及びバックグランド光源202、反射光源101は、例えば、白色のLED素子のほか、単色のLED素子(R、G、Bなど)、RGBLED素子、近赤外LED素子を、検査項目に応じて使用することができる。
【0035】
前述したように、本実施形態の粒状物検査装置1は、撮像装置10の周囲に、管状部材20との間で粒状物Gが通過する通路30が形成されており、エリアカメラ110による一度の撮影で、撮像装置10の全周囲を通過する複数の粒状物Gを同時に撮影することが可能である。さらに、
図3及び
図5に示されるように、遮光性(不透光)を有し、撮像装置10の全周囲をエリアごとに仕切る6つの通過エリア仕切り部材31が設けられており、隣接する通路30及び透過光源201、バックグランド光源202、反射光源101も当該通過エリア仕切り部材31によって仕切られている。もちろん、隣接する通過エリアで、同じ種類の光源を使用するような場合は、各光源を通過エリア仕切り部材31によって仕切らないようにすることも可能である。なお、通過エリア仕切り部材31は、管状部材20と撮像装置10とを連結して、撮像装置10を管状部材20の内部に固定するステーの機能も有している。
【0036】
このような構成によって、
図5に示されるように、通過エリア仕切り部材31によって仕切られた粒状物Gの通過エリアa1〜a6ごとに、それぞれ異なる測定項目を設定し、複数種類の品質検査を同時に実施することが可能となる。例えば、図示しない籾摺り装置から排出された摺落米を粒状物Gとし、粒状物検査装置1を通過させた場合、通過エリアa1ではたんぱく質量を、通過エリアa2では水分量を、通過エリアa3では白度を、通過エリアa4では着色の状態を、通過エリアa5ではシラタの状態を、それぞれエリアカメラ110の撮影画像から測定又は判定することが可能となる。
【0037】
なお、本実施形態の通過エリアa6は、非検査領域とし、検査対象となる通過エリアa1〜a5を通過する粒状物G以外の粒状物が通過できるように構成されている。これにより、検査対象外の粒状物Gをスムーズに流下させることが可能となり、本来的に配管2に求められる移送効率(必要な流量)が低下することを抑制することができる。
【0038】
また、各通過エリアa1〜a6に配置されている透過光源201及び反射光源101は、測定項目に応じて光源の波長を異ならせ、さらに、バックグランド光源202を含め、発光・消灯の制御を行うことにより、外観品質だけでなく、複数種類の内部品質検査が可能となる。なお、本実施形態では
図5に示されるように、非検査領域である通過エリアa6にも光源を設けているが、これにより、他の通過エリアa1〜a5で不具合が生じた場合に予備の検査領域として機能させることが可能となる。
【0039】
続いて、
図6には、エリアカメラ110によって、流下する一粒の摺落米を経時的に撮影した模擬撮影画像が図示されている。すなわち、円環状の円環状ミラー113に映り込んだ摺落米が、流下途中に(a)→(b)→(c)→(d)と、順次エリアカメラ110によって撮影される。したがって、上記(a)〜(d)の撮影画像は、
図7に示されるように、流下方向の摺落米の先端部から順次摺落米が撮影されることとなる。なお、
図6及び
図7では、分かりやすく説明するために摺落米を4分割した撮影画像を示しているが、実際に着色粒を判別する際は、判別精度が要求されるため、摺落米を20〜30分割して撮影を行う。ただし、水分量やたんぱく質量などは平均値により検査するので上記した分割数よりも少ない分割数で撮影することが可能である。
【0040】
粒状物検査装置1によって撮影された撮影画像データは、不図示の内蔵される信号処理基板へ送られ、前述した外観品質や内部品質の検査結果が計算された後に、有線又は無線によって不図示のモニタリング制御PCに送信される。なお、これらの各品質データは、ネットワークサーバを介して精米機などの各種装置の制御部とデータ共有することも可能であり、このように構成することで、各品質データに基づいて各種装置の運転制御が可能となる。
【0041】
(その他の実施形態)
以上、本発明の粒状物検査装置の一実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に必ずしも限定されるものではなく、例えば以下のような変形例も含まれる。
【0042】
例えば、前述の実施形態では、撮像装置10の全周囲を通過エリア仕切り部材31によって6つの通過エリアに仕切ったが、必ずしもこのような実施形態に限られず、品質検査項目に応じて任意の数で通過エリアを仕切るようにしてもよい。
【0043】
また、前述の実施形態では、管状部材20及び撮像装置10を共に同心の円形形状としたが、必ずしもこのような形態に限定されるものではなく、例えば、
図5の非検査領域(通過エリアa6)の通路30における撮像装置10と管状部材20との離間距離を、他の通過エリアにおける離間距離よりも大きくすることも可能である。このように構成することで、非検査領域(通過エリアa6)の通路30の有効断面積が大きくなることから、検査対象外の粒状物Gを、スムーズに流下させることが可能となり、本来的に配管2に求められる移送効率(必要な流量)が低下することを抑制することができる。
【0044】
さらに、通過エリアa1〜a6ごとに、通路30における撮像装置10と管状部材20との離間距離を適宜異ならせることも可能である。例えば、摺落米におけるシラタや着色の状態を検査するためには、粒ごとに検査が必要であるため、通路30における撮像装置10と管状部材20との離間距離を摺落米が重ならない程度とすることが好ましいが、一方、白度、水分量やたんぱく質量は、摺落米が重なっても検査結果に影響を及ぼさないので、摺落米が複数重なるような離間距離としてもよい。これにより、本来的に配管2に求められる移送効率(必要な流量)が低下することを抑制することができる。
【0045】
また、前述の実施形態における円環状ミラー113は、
図3及び
図4にも示されるように、鏡面を母線が直線である円錐の部分面としたが、必ずしもこれに限られるものではなく、上記母線が曲線となるような形状としてもよい。
【0046】
本実施形態では、通過エリア仕切り部材31は、撮像装置10を管状部材20の内部に固定するステーの機能を有するものであったが、このような機能を備えるものでなくても良い。例えば、通過エリア仕切り部材31とは別のステーを設け、管状部材20内に撮像装置10を固定しても良い。
【0047】
また、前述の実施形態では、
図1に示されるように、垂直に配置された配管2に粒状物検査装置1を設置しているが、必ずしもこのような形態に限定されるものではなく、例えば、斜め45度に傾斜して配置されている配管2に対して、その途中で曲管継ぎ手を配置し、少なくとも、粒状物検査装置1を垂直に設置することにより、粒状物Gを粒状物検査装置1内で落下させることが可能である。
【0048】
また、前述の実施形態では、
図1に示されるように、粒状物検査装置1を垂直に設置しているが、必ずしもこのような形態に限定されるものではなく、例えば、接続される配管2とともに傾斜させて粒状物検査装置1を設置することも可能である。その際に、上方側の通過エリアを非検査領域とし、下方側に検査が行われる通過エリアを配置することにより、粒状物Gの流量が少ない場合でも検査を行うことが可能となる。一方、比較的に流量が多い場合は、検査対象とならない粒状物Gの余剰分を、上方側の非検査領域を介して流下させることが可能となる。
【0049】
また、前述の実施形態では、撮像装置10内にエリアカメラ110を搭載して、RGB画像及びNIR画像を撮影するように構成したが、必ずしもこのようなカメラに限定されるものではなく、光ファイバーなどのラインセンサを利用することも可能である。同様に、カメラの種類を変更することによって、NUV画像(近紫外画像)を撮影することも可能である。
【0050】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 粒状物検査装置
2 配管
10 撮像装置
20 管状部材
30 通路
31 通過エリア仕切り部材
101 反射光源
110 エリアカメラ
111 レンズ
112 筒状遮光部材
113 円環状ミラー
114 上部筒状遮光部材
201 透過光源
202 バックグランド光源
【要約】
【課題】粒状物が移送される配管に設けられ、通過する粒状物の品質を検査可能な粒状物検査装置を提供すること。
【解決手段】移送される粒状物の配管に設けられる粒状物検査装置であって、外郭を形成する管状部材と、該管状部材の内側に前記粒状物の通路を形成するとともに、流下する前記粒状物を撮影可能な撮像装置と、を有し、前記撮像装置は、当該撮像装置の全周囲に形成される前記通路を同時に撮影可能であることを特徴とする。
【選択図】
図3