(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904510
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】耐塩性多孔質媒体
(51)【国際特許分類】
B01J 39/20 20060101AFI20210701BHJP
B01D 71/40 20060101ALI20210701BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20210701BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20210701BHJP
B01J 39/07 20170101ALI20210701BHJP
B01J 39/05 20170101ALI20210701BHJP
B01J 47/12 20170101ALI20210701BHJP
B01J 47/127 20170101ALI20210701BHJP
C08F 220/60 20060101ALI20210701BHJP
C08J 9/36 20060101ALI20210701BHJP
C08J 5/22 20060101ALI20210701BHJP
【FI】
B01J39/20
B01D71/40
B01D69/12
B01D69/10
B01J39/07
B01J39/05
B01J47/12
B01J47/127
C08F220/60
C08J9/36
C08J5/22 101
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-143896(P2019-143896)
(22)【出願日】2019年8月5日
(65)【公開番号】特開2020-37099(P2020-37099A)
(43)【公開日】2020年3月12日
【審査請求日】2019年8月5日
(31)【優先権主張番号】16/119,590
(32)【優先日】2018年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】フランク オニーマウワ
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン アイット−ハドゥ
【審査官】
富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0252091(US,A1)
【文献】
特開平01−310744(JP,A)
【文献】
特表2006−519273(JP,A)
【文献】
特開2013−189427(JP,A)
【文献】
特表2016−510005(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0238935(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0292244(US,A1)
【文献】
特開2020−037100(JP,A)
【文献】
米国特許第09022227(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00−71/82
C02F 1/28
C02F 1/42− 1/44
B01J 39/00−49/90
C08F 220/60
C08J 5/22
C08J 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質担体及び架橋ポリマーコーティングを含む多孔質媒体であって、
架橋ポリマーコーティングが、少なくとも1種のモノマー(A)、少なくとも1種のモノマー(B)、少なくとも1種のモノマー(C)及び架橋剤を含むモノマー混合物を重合することにより調製され、
モノマー(A)が式:
CH2=C(R1)−C(=O)−NH−(CH2)n−N’R2R3
〔式中、nは1〜6である〕
を有し、
モノマー(B)が式:
CH2=C(R4)−C(=O)−NR5R6
を有し、
モノマー(C)が式:
CH2=C(R8)−C(=O)−NH−C(R7)2−(CH2)m−X
〔式中、mは1〜3であり、XはSO3H又はCOOHである〕
を有し、
〔これらの式中、R1、R4、及びR8は独立にH又はC1〜C6アルキルであり、
R2、R3、R5、R6、及びR7は独立にH、C1〜C6アルキル、C6〜C10アリール、C1〜CアルコキシC1〜Cアルキル、又はトリフェニルメチルである〕、
前記架橋剤が、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリルトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエステル、ジアルデヒド、ジハライド、ジアシルクロリド、ジスルホニルクロリド、及びこれらの任意の組合せからなる群より選択される、
多孔質媒体。
【請求項2】
R1がC1〜C6アルキルであり、R4がHである、請求項1に記載の多孔質媒体。
【請求項3】
R1がメチルである、請求項1又は2に記載の多孔質媒体。
【請求項4】
R2及びR3がHであり、R5及びR6が独立にC1〜C6アルキルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質媒体。
【請求項5】
R2及びR3がHであり、R5及びR6がメチルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質媒体。
【請求項6】
R2、R3、R5及びR6が独立にH、メチル、フェニル、メトキシメチル又はトリフェニルメチルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質媒体。
【請求項7】
R2及びR3がHであり、R5及びR6が独立にメチル、フェニル、メトキシメチル又はトリフェニルメチルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質媒体。
【請求項8】
R7がアルキルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質媒体。
【請求項9】
R7がメチルである、請求項8に記載の多孔質媒体。
【請求項10】
前記モノマー混合物が1種のモノマー(A)、1種のモノマー(B)及び1種のモノマー(C)を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の多孔質媒体。
【請求項11】
前記モノマー混合物が1種のモノマー(A)、1種のモノマー(B)及び2種の異なるモノマー(C)を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の多孔質媒体。
【請求項12】
重合モノマー(C)のうちの一方中のXがSO3Hであり、他方の重合モノマー(C)中のXがCOOHである、請求項11に記載の多孔質媒体。
【請求項13】
多孔質膜である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多孔質媒体。
【請求項14】
ビーズ又は繊維である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多孔質媒体。
【請求項15】
前記架橋剤が、グリセリルトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリコールジメシレートエステル、グリコールジメソイルクロリド、ジトシレートエステル及びその任意の組合せから選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の多孔質媒体。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の多孔質媒体を生産する方法であって、
(i) 前記モノマー(A)、(B)及び(C)のそれぞれ1種以上の混合物を重合させて、ターポリマーを得るステップ、及び
(ii) (i)で得た前記ポリマーを前記架橋剤とともに多孔質担体にコーティングし、in situで架橋させて多孔質担体に配置された前記架橋ポリマーコーティングを得るステップ
を含む、方法。
【請求項17】
前記架橋剤が、グリセリルトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリコールジメシレートエステル、グリコールジメソイルクロリド、ジトシレートエステル及びその任意の組合せから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
所望のタンパク質及び1種又は複数の不純物を含む流体を処理する方法であって、流体を請求項1〜15のいずれか一項に記載の多孔質媒体と接触させるステップ、及び不純物の濃度が低下した所望のタンパク質を回収するステップを含む、方法。
【請求項19】
所望のタンパク質が抗体である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
所望のタンパク質が生物学的製剤である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
微量金属を含む流体を処理する方法であって、流体を請求項1〜15のいずれか一項に記載の多孔質媒体と接触させるステップ、及び濃度が低下した微量金属を含む流体を回収するステップを含む、微量金属を含む流体を処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[0001]モノクローナル抗体(mAb)の生産及びその精製には、この方法が高コストであることにより、問題が生じ続けている。高コストに寄与しているのは、単離中に生体分子が経る必要があるいくつかの精製工程である。たとえば、精製工程のうちの1つは、高い選択性で、また薬物分子の活性領域であるFab領域とは最小の相互作用で、ブドウ球菌タンパク質Aがサブクラス1、2及び4のIgG分子と結合する、タンパク質Aアフィニティークロマトグラフィーである。バイオテクノロジー市場が急速に成長するにしたがい、生物学的製剤を適時な空間に、コストを抑えて市場へ送り出すに当たり、これらの精製工程における改良がより望ましく、より重要になりつつある。
【0002】
[0002]タンパク質精製中、イオン交換媒体による最終精製工程には、媒体が不純物に選択的であるだけでなく、塩導電率が高く、たとえば15mS/cmまで又はそれ以上の原料に耐えることも必要である。
【0003】
[0003]上記には、不純物に選択的であるだけでなく、塩導電率が高い原料にも耐えるイオン交換媒体に、満たされていないニーズの存在することが示されている。
【0004】
[0004]加えて、マイクロエレクトロニクス産業における使用のための、マイクロエレクトロニクスウェットエッチング化学薬品(WEC)から微量金属イオンを効果的に除去することができる、またリソグラフィー法で用いることができる、イオン交換媒体に、満たされていないニーズが存在する。
【0005】
[0005]本発明は、負の電荷を有する架橋ポリマーを含む、多孔質媒体、たとえば、ビーズ、繊維及び膜を提供する。この媒体は耐塩性特性及び生物学的製剤、抗体及び/又はタンパク質、たとえばIgGに対する、流速10CV/分で170mg/mLまでの高い動的結合容量(DBC)をもっている。また、この多孔質媒体は、有機溶剤、たとえばマイクロエレクトロニクス産業で使用される有機溶剤に存在する金属を除去する能力も高い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態による多孔質媒体、たとえば膜の調製を図式的に示す図である。
【
図2】本発明の別の実施形態による多孔質媒体、たとえば膜の調製を図式的に示す図である。
【
図3】ポリ(アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート−co−(アミノプロピル)メタクリルアミド−co−N,N−ジメチルアクリルアミド)試料の注入に対する三重検出溶出プロファイルを示す図であり、図中、1は屈折率(RI)を示し、3は粘度を示し、2は相対角度レーザー光散乱(RALS)データを示し、4はlog MWを示す。
【
図4】本発明の一実施形態による、ポリ(アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート−co−(アミノプロピル)メタクリルアミド−co−N,N−ジメチルアクリルアミド)試料の注入から得られる、MW分布プロットの重ね合わせを示す図であり、図中1は正規化重量分率(WF/dlog MW)を示し、2は累積重量分率を示し、3はマルク−ホウインク−桜田プロット(log(〔η〕)対log(M))を示す。
【
図5】実施例8による多孔質膜の、様々な塩濃度での10%ブレークスルーでのIgGに対するDBCを示す図である。
【
図6】
図5(黒塗り棒グラフ)に例示した多孔質膜の10%ブレークスルーでのIgGに対するDBCと市販の膜(灰色棒グラフ)Natrix Sb−HDのブレークスルー性能との関係を示す図である。
【
図7】実施例8の多孔質膜の微量金属除去効率を示す図である。
【0007】
[0013]本発明は、多孔質担体及び架橋ポリマーコーティングを含む耐塩性多孔質媒体であって、架橋ポリマーコーティングが重合モノマー(A)のうちの少なくとも1種、重合モノマー(B)のうちの少なくとも1種及び重合モノマー(C)のうちの少なくとも1種を含み、
モノマー(A)が式:
CH
2=C(R
1)−C(=O)−NH−(CH
2)
n−N’R
2R
3
〔式中、nは1〜6である〕
を有し、
モノマー(B)が式:
CH
2=C(R
4)−C(=O)−NR
5R
6
を有し、
モノマー(C)が式:
CH
2=C(R
8)−C(=O)−NH−C(R
7)
2−(CH
2)
m−X
〔式中、mは1〜3であり、XはSO
3H又はCOOHである〕
を有する
〔これらの式中、
R
1、R
4及びR
8は独立にH又はC
1〜C
6アルキルであり、
R
2、R
3、R
5、R
6及びR
7は独立にH、C
1〜C
6アルキル、C
6〜C
10アリール、C
1〜CアルコキシC
1〜Cアルキル、又はトリフェニルメチルである〕、
耐塩性多孔質媒体を提供する。
【0008】
[0014]一実施形態では、R
1はC
1〜C
6アルキルであり、R
4はHである。他の実施形態では、R
1はC
1〜C
6アルキルであり、R
4はHであり、R
8はHである。
【0009】
[0015]本願を通じてC
1〜C
6アルキル基は1個、2個、3個、4個、5個又は6個の炭素原子を有することができ、そのアルキル基は直鎖又は分枝であることができる。アルキル基の例にはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル及び3−メチルペンチルが含まれる。
【0010】
[0016]本発明の一実施形態では、R
1はメチルである。
【0011】
[0017]上記の実施形態のうちのいずれについても、R
2及びR
3はHであり、R
5及びR
6は独立にC
1〜C
6アルキルである。
【0012】
[0018]上記の実施形態のうちのいずれについても、R
2及びR
3はHであり、R
5及びR
6はメチルである。
【0013】
[0019]上記の実施形態のうちのいずれについても、R
2、R
3、R
5及びR
6は独立にH、メチル、フェニル、メトキシメチル、又はトリフェニルメチルである。
【0014】
[0020]特定の実施形態では、R
2及びR
3はHであり、R
5及びR
6は独立にメチル、フェニル、メトキシメチル又はトリフェニルメチルである。
【0015】
[0021]上記の実施形態のうちのいずれについても、R
7はアルキル、好ましくはメチルである。
【0016】
[0022]上記の実施形態のうちのいずれについても、コポリマーは1種の重合モノマー(A)、1種の重合モノマー(B)及び1種の重合モノマー(C)を含む。
【0017】
[0023]上記の実施形態のうちのいずれについても、コポリマーは1種の重合モノマー(A)、1種の重合モノマー(B)及び2種の異なる重合モノマー(C)を含む。
【0018】
[0024]上記の実施形態のうちのいずれについても、重合モノマー(C)のうちの一方中のXはSO
3Hであり、他方の重合モノマー(C)中のXはCOOHである。
【0019】
[0025]一実施形態では、媒体は多孔質膜である。
【0020】
[0026]他の実施形態では、媒体はビーズ又は繊維である。
【0021】
[0027]多孔質媒体中で使用するイオン交換ポリマーは、モノマーの任意の適切な組合せ、たとえば、
N,N−ジメチルアクリルアミド、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びN−イソプロピルアクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びtert−ブチルアクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びエチルアクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びフェニルアクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びジエチルアクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びN−(イソブトキシメチル)アクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びN−(トリフェニルメチル)アクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びN,N−ジメチルアクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド及びN−イソプロピルアクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド及びtertブチルアクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド及びフェニルアクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド及びジエチルアクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド及びエチルアクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド及びN−(イソブトキシメチル)メタクリルアミド、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド及びN−(トリフェニルメチル)アクリルアミド、及び
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(2−アミノエチル)メタクリルアミド及びN,N−ジメチルアクリルアミド
から調製することができる。
【0022】
[0028]本発明は、実施形態中で、以下:
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びN−ジメチルアクリルアミドを含むターポリマー、
アクリル酸、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びN−ジメチルアクリルアミドを含むターポリマー、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びN−ジメチルアクリルアミドを含むターポリマーであって、このターポリマーの第一級アミン部分を使用して媒体に架橋されるターポリマー、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、1種のアミノアルキルメタクリルアミド及びN−ジメチルアクリルアミドを含むターポリマーであって、このターポリマーの第一級アミン部分を使用して媒体に架橋されるターポリマー、
アクリル酸、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びN−ジメチルアクリルアミドを含むターポリマーであって、このターポリマーの第一級アミン部分により媒体に架橋されるターポリマー、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド又は任意のアルキルアクリルアミドたとえば、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ジエチルメタクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)メタクリルアミド及びN−(トリフェニルメチル)メタクリルアミドを含むターポリマーであって、このターポリマーの第一級アミン部分を使用して媒体に架橋されるターポリマー、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド又は任意のアルキルアクリルアミドたとえば、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)メタクリルアミド及びN−(トリフェニルメチル)メタクリルアミドを含むターポリマーに由来し、このターポリマーの第一級アミン部分を使用して媒体に架橋される耐塩性イオン交換多孔質膜であって、たとえば、モノクローナル抗体の回収、モノクローナル抗体の最終精製又はウイルスベクター精製に有利に使用することができる、耐塩性イオン交換多孔質膜、
多孔質膜にコーティングしたターポリマーの耐塩性特性がポリマーのアルキルアクリルアミド部分により有利に付与される、耐塩性イオン交換多孔質膜、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド又は任意のアルキルアクリルアミドたとえば、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)メタクリルアミド及びN−(トリフェニルメチル)メタクリルアミドを含むターポリマーであって、第一級アミン部分を使用して媒体に架橋されてカチオン交換多孔質膜を形成し、このカチオン交換多孔質膜は、たとえば、マイクロE溶剤中の微量金属汚染物質の回収に有利に使用することができる、ターポリマー、
アクリル酸、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びN−ジメチルアクリルアミドを含むターポリマー、
アクリル酸、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びN,N−ジメチルアクリルアミドを含むターポリマーであって、このターポリマーの第一級アミン部分を使用して媒体に架橋される、ターポリマー、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びN−tert−ブチルアクリルアミドを含むテトラポリマー、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びスチレンスルホネートを含むテトラポリマー、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びN−tert−ブチルアクリルアミドを含むテトラポリマーであって、このテトラポリマーの第一級アミン部分を使用して媒体に架橋される、テトラポリマー、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びスチレンスルホネートを含むテトラポリマーであって、このテトラポリマーの第一級アミン部分を使用して媒体に架橋される、テトラポリマー、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びアクリル酸を含むテトラポリマー、及び
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びアクリル酸を含むテトラポリマーであって、このテトラポリマーの第一級アミン部分を使用して媒体に架橋される、テトラポリマー
のうちの1種又は複数を提供する。
【0023】
[0029]コポリマーの分子量の範囲は任意の適切な範囲、たとえば、50〜4000kD、100〜3500kD、又は200〜1500kD、50〜3126kDであることができる。もっとも好ましい分子量の範囲は、207kD〜1270kDであり、実施形態中では、50〜3126kD、好ましくは207kD〜1270kDであり、分子量は三重検出分析GPCにより判定される。
【0024】
[0030]コモノマーはコポリマー中に任意の適切なモル比で、たとえば、クロマトグラフィー適用の際、高い耐塩性を提供するモノマー組合せの範囲で存在することができ、特に2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及びジメチルアクリルアミドを含むターポリマーは、モル比1:0.1:1〜モル比5:0.5:2である。
【0025】
[0031]実施形態では、マイクロエレクトロニクス溶剤の利用における金属イオン除去のために、大きなイオン交換容量を提供するモノマーの組合せの範囲、特に2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及び任意のアルキルアクリルアミド(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)メタクリルアミド、アクリルアミド及びN−(トリフェニルメチル)メタクリルアミド等)を含むモノマーの組合せの範囲は、モル比1:0.1:1〜モル比5:0.5:2である。
【0026】
[0032]実施形態では、膜に利用するために、クロマトグラフィー適用の際、耐塩性に影響を与えながら、なおもタンパク質の効率的な回収ができるモノマーの組合せの範囲は、モル比1:0.25:2〜モル比2:0.5:1である。この範囲は特に2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド及び任意のアルキルアクリルアミド(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)メタクリルアミド、アクリルアミド及びN−(トリフェニルメチル)メタクリルアミド等)を含むターモノマーを使用して膜に架橋されるポリマーを形成する場合に適用できる。
【0027】
[0033]実施形態では、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネートと、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドと、N,N−ジメチルアクリルアミドとのターモノマーを使用して、タンパク質精製のための、膜に架橋されるポリマーを形成する場合、高い耐塩性を付与しながら、同時に最大でIgGに対し200mg/mlの高い動的結合容量を提供するポリマー濃度の範囲は、1重量%〜10重量%である。
【0028】
[0034]本発明は、多孔質媒体を生産する方法であって、その方法が:
(i) モノマー(A)、モノマー(B)及びモノマー(C)の混合物を重合させてターポリマーを得るステップ、及び
(ii) (i)で得たターポリマーを多孔質担体にコーティングし、in situ架橋させて多孔質担体に配置されたコポリマーコーティングを得るステップ
を含む、方法をさらに提供する。
【0029】
[0035]モノマーの重合は適切な開始剤−遊離基、カチオン性、又はアニオン性開始剤、特に遊離基開始剤、たとえば、アゾ化合物、過硫酸塩、過酸化物、過酸、過酢酸及び有機金属等の熱活性化遊離基開始剤を使用して実施することができる。遊離基開始剤の例には、AIBN、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、ベンゾイルペルオキシド、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、ジクミルペルオキシ、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−アミルペルオキシベンゾエート、及び過硫酸カリウムが含まれる。
【0030】
[0036]本方法によれば、架橋剤は2種以上の基、たとえば、2種、3種、4種以上の架橋官能基、たとえば、ジエポキシド、ジアルデヒド、ジハライド及びジエステルから選択される架橋剤を含む。たとえば、架橋剤はエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリルトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリコールジメシレートエステル及びジトシレートエステル及びその任意の組合せから選択される。
【0031】
[0037]本発明は、微量金属を含有する流体を処理する方法であって、その方法が、上記のように流体を媒体又は多孔質膜と接触させるステップ、及び濃度が低下した微量金属を含有する流体を回収するステップを含む方法をさらに提供する。
【0032】
[0038]本発明の一実施形態によれば、多孔質膜はナノ多孔性膜、たとえば、直径が1nm〜100nmの間の細孔を有する膜、又は微孔膜、たとえば、直径が0.005μm〜10μmの間の細孔を有する膜であることができる。
【0033】
[0039]コーティングが設けられる多孔質担体は、任意の適切な材料、たとえば、ポリマー、金属性材料、又はセラミック性材料、並びに特にポリマー、たとえばポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリフェニレンエーテルスルホン(PPES)、ポリフェニレン酸化物(PPO)、ポリカーボネート(PC)、ポリ(フタラジノンエーテルスルホンケトン)(PPESK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルイミド(PEI)及びそのブレンドであることができる。
【0034】
[0040]一実施形態では、コポリマーは多孔質高密度ポリエチレン膜、ポリエーテルスルホン膜、ポリフッ化ビニリデン膜、ポリテトラフルオロエチレン膜、ポリフェニルスルホン膜、ポリフェニル硫化物膜、ポリエチレン及びポリプロピレン膜、ポリエステル膜、メルトブローンポリエステル膜、メルトブローンポリプロピレン膜、セルロース膜、ナイロン膜及びポリ塩化ビニル/アクリロニトリルにコーティングされ、架橋されて、多孔質媒体又は膜を生産する。
【0035】
[0041]本発明の実施形態による多孔質媒体は、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備え、入口と出口との間に少なくとも1つの流体流路を画定するハウジングに配置することができ、このハウジング中で少なくとも1つの本発明の膜、又は少なくとも1つの本発明の膜を備えるフィルターが流体流路を横切って、濾過装置又は濾過モジュールを提供する。一実施形態では、入口及び第1の出口を備え、入口と第1の出口との間に第1の流体流路を画定するハウジング、並びに第1の流体流路を横切ってハウジングに配置される、少なくとも1つの本発明の膜、又は少なくとも1つの本発明の膜を備えるフィルターを備える濾過装置を提供する。
【0036】
[0042]クロスフロー用途の場合、一実施形態では、少なくとも1つの入口及び少なくとも2つの出口を備え、入口と第1の出口との間に少なくとも第1の流体流路及び入口と第2の出口との間の第2の流体流路を画定するハウジング内に、第1の流体流路を横切っている少なくとも1つの本発明の多孔質膜、又は少なくとも1つの本発明の膜を備えるフィルターが配置されて、濾過装置又は濾過モジュールを提供する。例示的な一実施形態では、濾過装置はクロスフロー濾過モジュールを備え、このハウジングは、入口、濃縮液出口を備える第1の出口、及び浸透出口を備える第2の出口を備え、入口と第1の出口との間に第1の流体流路及び入口と第2の出口との間に第2の流体流路を画定しており、少なくとも1つの本発明の膜、又は少なくとも1つの本発明の膜を備えるフィルターが、第1の流体流路を横切って配置されている。
【0037】
[0043]濾過装置又はモジュールは滅菌可能であることができる。適切な形状で、入口及び1つ又は複数の出口を備える任意のハウジングを採用することができる。
【0038】
[0044]ハウジングは、任意の不浸透性熱可塑性材料を含み、処理する流体と適合性がある、任意の適切な硬質の不浸透性材料から作製することができる。たとえば、ハウジングはステンレス鋼等の金属、又はポリマー、たとえば、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリカーボネート樹脂等の透明な又は半透明なポリマーから作製することができる。
【0039】
[0045]以下の例は本発明をさらに例示するが、当然ながら、多少なりとも本発明の範囲を限定するものと解釈するべきではない。
【0040】
実施例1
[0046]本例は、本発明の一実施形態による、ターポリマー溶液の調製方法を例示する。
【0041】
[0047]ターポリマー、ポリ(アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート−co−(アミノプロピル)メタクリルアミド−co−N,N−ジメチルアクリルアミド)の10%溶液の調製:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート(15.6g、75mM)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(4.5g、25mM)及びN,N−ジメチルアクリルアミド(10g、100mM)をDI水(260g)及び8MのNaOH(17.1g)と混合し、この混合物を5分間脱気し、過硫酸アンモニウム(0.690g、3mM)を添加し、混合した。この反応混合物を窒素ガス下60℃で2時間撹拌し、室温まで冷却してターポリマー溶液を得た。
【0042】
実施例2
[0048]本例は、本発明の別の実施形態によるターポリマー溶液の調製方法を例示する。
【0043】
[0049]ポリ(スチレンスルホネート−co−(アミノプロピル)メタクリルアミド−co−N,N−ジメチルアクリルアミド)の10%溶液の調製:ナトリウム4−ビニルベンゼンスルホネート(15.46g、75mM)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(4.5g、25mM)及びN,N−ジメチルアクリルアミド(10g、100mM)をDI水(260g)及び8MのNaOH(17.1g)と混合し、この混合物を5分間脱気し、過硫酸アンモニウム(0.690g、3mM)を添加した。反応混合物を窒素ガス下60℃で2時間撹拌し、室温まで冷却してターポリマー溶液を得た。
【0044】
実施例3
[0050]本例は、本発明の別の実施形態によるテトラポリマー溶液の調製方法を例示する。
【0045】
[0051]ポリ(アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート−co−(アミノプロピル)メタクリルアミド−co−N,N−ジメチルアクリルアミド−co−tert−ブチルアクリルアミド)の調製、9.5%溶液:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート(10.45g、50mM)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(2.24g、12.5mM)、N,N−ジメチルアクリルアミド(5g、50mM)及びtert−ブチルアクリルアミド[1.6g、IPA(9g)中12.6mM]をDI水(164.7g)及び8MのNaOH(10g)と混合し、この混合物を5分間脱気し、過硫酸アンモニウム(0.431g、1.9mM)を添加した。この反応混合物を窒素ガス下60℃で2時間撹拌し、室温まで冷却して上記のテトラポリマー溶液を得た。
【0046】
実施例4
[0052]本例は、本発明のさらに別の実施形態によるテトラポリマー溶液の調製方法を例示する。
【0047】
[0053]ポリ(アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート−co−(アミノプロピル)メタクリルアミド−co−N,N−ジメチルアクリルアミド−co−アクリル酸)の調製、10%溶液:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート(7.3g、35.3mM)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(2.52g、14.1mM)、N,N−ジメチルアクリルアミド(7g、70.6mM)及びアクリル酸[2.54g、35.3mM及びIPA(9g)]をDI水(155g)及び8MのNaOH(10g)中で混合し、この混合物を5分間脱気し、過硫酸アンモニウム(0.532g、2.3mM)を添加した。この反応混合物を窒素ガス下60℃で2時間撹拌し、室温まで冷却して上記のテトラポリマー溶液を得た。
【0048】
実施例5
[0054]本例は、本発明のさらなる実施形態によるテトラポリマー溶液の調製方法を例示する。
【0049】
[0055]ポリ(アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート−co−(アミノプロピル)メタクリルアミド−co−N,N−ジメチルアクリルアミド−co−スチレンスルホネート)の調製、8%溶液:ナトリウム4−ビニルベンゼンスルホネート(4.16g、20mM)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(1.8g、10mM)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート(4.18g、20mM)及びN,N−ジメチルアクリルアミド(4g、40mM)をDI水(156.34g)中で8MのNaOH(17.1g)と混合し、5分間脱気し、次いで過硫酸アンモニウム(0.690g、3mM)を添加した。この反応混合物を窒素ガス下60℃で2時間撹拌し、室温まで冷却して上記のポリマー溶液を得た。
【0050】
実施例6
[0056]本例は、本発明の一実施形態による多孔質膜の調製方法を例示する。
【0051】
[0057]5%スルホン化ポリマーコーティング(100g混合物):実施例1からの10%スルホン化ポリマー(50g)を水(49g)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(150mg)及びトリトンX−100(850mg)と混合し、溶解するまで撹拌した。この溶液のpHを水性NaOHで10に調整して、コーティング溶液を得た。細孔直径3μmのHDPE膜をディップコーティングにより、このコーティング溶液でコーティングした。このコーティングした膜を2つのピペット間にはさみ、上部から下部に向けて削って、HDPE膜上に薄いコーティングを得た。膜上のコーティングを65℃で1時間又は室温で一晩架橋させた。得られた膜を24時間冷水中に浸出させ、乾燥させた。
【0052】
実施例7
[0058]本例は、本発明の別の実施形態による多孔質膜の調製方法を例示する。
【0053】
[0059]2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート(104.5g、504mmol)をN,N−ジメチルアクリルアミド(50g、504mmol)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドHCl(22.4g、126mmol)、及び170gのイソプロパノールを含むDI水(1.524kg)と混合した。この混合物のpHを8MのNaOH(100g)で9.6に調整した。この反応混合物を窒素ガスで15分間脱気し、過硫酸アンモニウム(3.88g、1.5mol%)を添加した。この混合物を60℃で2時間撹拌し、室温まで冷却して10%ポリマー溶液を得た。
【0054】
[0060]0.85%トリトンX100界面活性剤及び0.45%ジエポキシド架橋剤、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを用いて、上記の10%ポリマー溶液から4%ポリマーコーティング溶液を調製した。この溶液のpHを10に調整し、細孔直径3μmのHDPE膜を上記の溶液中でディップコーティングした。コーティングした膜を65℃で1時間熱架橋させ、一晩DI水中に浸出させ、65℃で一晩乾燥させた。
【0055】
実施例8
[0061]本例は、一実施形態による膜の微量金属を除去する能力を例示する。
【0056】
[0062]基準値:0.2μmの膜試料を100mLのIPA(10mL/分)、200mLのDIW、100mLの5%HCl、200mLのDI水及び200mLのIPAで洗い流した。100mLの試料を採取し、ICP−MSにより金属分析を実施した。
【0057】
[0063]金属曝露:実施例7からの0.2μmの膜試料をスパイクされたIPA(1ppbの金属)に7mL/分の溶出速度で曝露した。最初の10mLの溶出液を廃棄し、PFAボトルに次の10mLの溶出液を採取した。ICP−MSにより金属分析を実施した。この実験をn=2について繰り返した。
【0058】
[0064]出版物、特許出願及び特許を含む、本明細書で引用する全参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個別に及び具体的に示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
[0065]本発明を記載する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)「a」及び「an」及び「the」及び「少なくとも1つ(at least one)」及び同様の指示語の使用は、本明細書中に別に示さない限り又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含するように解釈するものとする。1つ又は複数の項目のリスト(たとえば、「A及びBのうちの少なくとも1つ(at least one of A and B)」)が続く用語「少なくとも1つ」の使用は、本明細書中に別に示さない限り又は文脈により明らかに矛盾しない限り、リスト記載の項目から選択される1つの項目(A又はB)又はリスト記載の項目のうちの2つ以上の任意の組合せ(A及びB)を意味すると解釈するものとする。用語「を含む/を備える(comprising)」、「を有する(having)」、「を含む(including)」及び「を含有する(containing)」は、別に示さない限りオープンエンドの用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない(including, but not limited to,)」を意味する)として解釈するものとする。本明細書中の値の範囲の記載は、本明細書中に別に示さない限り、その範囲内に含まれる各々の別々の値を個別に言及する略記方法として働くことを単に意図しており、各々の別々の値は本明細書中に個別に記載されているかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書中に別に示さない限り又は文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に提供されている任意の及び全ての例、又は例示的な文言(たとえば「等の」)の使用は、本発明をより良好に明らかにすることを単に意図しており、別に特許請求しない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書中のいかなる文言も、特許請求されていない任意の要素が本発明の実施に必須であることを示すと解釈するべきではない。
【0060】
[0066]本発明を実施するための本発明者らに知られている最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。それらの好ましい実施形態の変形形態は上記記載を読む際に当業者に明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を適宜採用することを予想し、本発明者らは本発明が本明細書で具体的に記載している以外の形式で実施されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法により認められる通りの、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載されている主題の全ての修正形態及び等価物を含む。さらに、本明細書中に別に示さない限り又は文脈により明らかに矛盾しない限り、その全ての可能な変形形態における上記要素のいかなる組合せも本発明に包含される。