特許第6904519号(P6904519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6904519抗腫瘍薬物ニラパリブの中間体を合成するための製造方法および中間体
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  • 特許6904519-抗腫瘍薬物ニラパリブの中間体を合成するための製造方法および中間体 図000048
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904519
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月14日
(54)【発明の名称】抗腫瘍薬物ニラパリブの中間体を合成するための製造方法および中間体
(51)【国際特許分類】
   C07D 211/76 20060101AFI20210701BHJP
   C07D 211/26 20060101ALN20210701BHJP
   C07D 401/10 20060101ALN20210701BHJP
【FI】
   C07D211/76
   !C07D211/26
   !C07D401/10
【請求項の数】19
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2020-521403(P2020-521403)
(86)(22)【出願日】2018年10月12日
(65)【公表番号】特表2020-536948(P2020-536948A)
(43)【公表日】2020年12月17日
(86)【国際出願番号】CN2018110025
(87)【国際公開番号】WO2019072237
(87)【国際公開日】20190418
【審査請求日】2020年4月10日
(31)【優先権主張番号】201710953949.7
(32)【優先日】2017年10月13日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520128587
【氏名又は名称】ザイ ラボ (シャンハイ) カンパニー、リミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ティアンハオ
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第106749181(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第106749180(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第106432058(CN,A)
【文献】 Organic Process Research & Development,2011年,15(4),P.831-840
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 211/00
C07D 401/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物fおよび化合物f1を含有する混合物と溶媒からなる混合液から固体を溶媒により析出させる工程を含み、
前記溶媒はニトリル類溶媒、エステル類溶媒、エーテル類溶媒、エーテル類溶媒とアルカン類溶媒との混合溶媒、ニトリル類溶媒とアルカン類溶媒との混合溶媒、あるいはエステル類溶媒とアルカン類溶媒との混合溶媒のうちの1種または複数であり、
化合物fおよび化合物f1を含有する混合物と前記溶媒とは0℃〜常圧における溶媒還流温度で混合され、
固体を析出させる温度は−5℃〜30℃である、化合物fの製造方法。
【化1】

(ただし、Aは任意に置換された〜C14アリール基であり、置換基はH、D、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン、アリール基、アリーロキシ基、アルキニル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アミノ基、アシル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、アシルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基またはハロアルキル基であり、RはH、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、ここで、置換基の個数は1〜6である。)
【請求項2】
前記ニトリル類溶媒はアセトニトリルであり、
および/または、前記エステル類溶媒は酢酸エチルであり、
および/または、前記エーテル溶媒はメチル−t−ブチルエーテルであり、
および/または、前記アルカン類溶媒はC5〜C8のアルカン類溶媒であり、
および/または、化合物fおよび化合物f1を含有する前記混合物は、化合物fと化合物f1からなり、あるいは化合物fおよび化合物f1のHPLCで求めた含有量が混合物の70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上または99%以上であり、
および/または、化合物fおよび化合物f1を含有する前記混合物と前記溶媒とは30℃〜常圧における溶媒還流温度で混合され、
および/または、前記固体を析出させる温度は−5℃〜5℃であり、
および/または、化合物fおよび化合物f1を含有する前記混合物と前記溶媒とは、気体の保護下で混合され、
および/または、Aは下記の置換基Sub-1で表される基であり、ここで、R、R1a、R1b、R1cおよびR1dは独立にH、D、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン、アリール基、アリーロキシ基、アルキニル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アミノ基、アシル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、アシルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基またはハロアルキル基であり、および/または、RはH、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基である
請求項1に記載の化合物fの製造方法。
【化2】
【請求項3】
化合物fおよび化合物f1を含有する前記混合物と前記溶媒とは30〜50℃で混合される、請求項2に記載の化合物fの製造方法。
【請求項4】
析出した前記固体に対してさらに再結晶の操作を行うことを含み、
前記の再結晶の溶媒はエーテル類溶媒、ニトリル類溶媒、エステル類溶媒、エーテル類溶媒とアルカン類溶媒との混合溶媒、ニトリル類溶媒とアルカン類溶媒との混合溶媒、あるいはエステル類溶媒とアルカン類溶媒との混合溶媒であり、前記の再結晶の温度は0℃〜常圧における溶媒還流温度であり、
および/または、Aは下記の置換基Sub-1で表される基であり、ここで、R、R1a、R1b、R1cおよびR1dは独立にH、アルコキシ基またはハロゲンであり、
および/または、RはH、アルキル基またはヒドロキシ基である
請求項1または請求項2に記載の化合物fの製造方法。
【化3】
【請求項5】
記の再結晶の溶媒は、メチルtert-ブチルエーテル、アセトニトリル、エチルアセテート、メチルtert-ブチルエーテルとC〜Cアルカン類との混合溶媒、アセトニトリルとC〜Cアルカン類との混合溶媒、あるいはエチルアセテートとC〜Cアルカン類の混合溶媒であり、前記の再結晶の温度は0〜60℃であり、前記の再結晶の回数は1〜5回であり、
および/または、Aは下記の置換基Sub-1で表される基であり、ここで、R、R1a、R1bおよびR1dはHであり、R1cはH、アルコキシ基またはハロゲンであり、RはH、アルキル基またはヒドロキシ基である
請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の化合物fの製造方法。
【化4】
【請求項6】
前記の再結晶の温度が30〜50℃である、請求項5に記載の化合物fの製造方法。
【請求項7】
合物fおよび合物f1を含有する前記混合物の製造方法は、溶媒において、塩基の作用下で、化合物eに以下で示される環化反応をさせる工程を含む請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の化合物fの製造方法。
【化5】


(AおよびRの定義はいずれも請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の通りであり、Xは脱離基である。)
【請求項8】
溶媒において、塩基の作用下で、化合物eに以下で示される環化反応をさせて化合物fを得る工程を含む、化合物fを製造する方法
【化6】


(ただし、AおよびRの定義はいずれも請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の通りであり、Xは脱離基である。)
【請求項9】
前記Xがハロゲン、メチルスルホニルオキシ基、又はp−トルエンスルホニルオキシ基である、請求項7又は8に記載の化合物fの製造方法。
【請求項10】
前記の環化反応が終了した後、さらに再結晶の操作を含み、前記の再結晶の溶媒はエーテル類溶媒、ニトリル類溶媒、エステル類溶媒、エーテル類溶媒とアルカン類溶媒との混合溶媒、ニトリル類溶媒とアルカン類溶媒との混合溶媒、あるいはエステル類溶媒とアルカン類溶媒との混合溶媒であり、
前記の再結晶の温度は0℃〜常圧における溶媒還流温度である、請求項7又は8に記載の化合物fの製造方法。
【請求項11】
さらに、溶媒において、縮合剤の作用下で、化合物cまたは化合物cの酸性塩に、化合物dと以下で示されるアミド化反応をさせ、前記化合物eを得る工程を含む請求項〜請求項10のいずれか一項に記載の化合物fの製造方法。
【化7】


(AおよびRの定義はいずれも請求項1〜のいずれか一項に記載の通りであり、Xは脱離基であり、Zは脱離基である。)
【請求項12】
前記Xがハロゲン、メチルスルホニルオキシ基、又はp−トルエンスルホニルオキシ基であり、
および/または、前記Zはヒドロキシ基、ハロゲン、アルコキシ基、N−オキシスクシンイミド基、N−オキシフタルイミド基、又は1−オキシベンゾトリアゾール基である、
請求項11に記載の化合物fの製造方法。
【請求項13】
前記化合物eの製造方法では、前記の溶媒はハロアルカン類溶媒および/またはエステル類溶媒であり、および/または、前記の縮合剤はN,N’−カルボニルジイミダゾールまたは2−(7−アザベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートである、請求項11又は12に記載の化合物fの製造方法。
【請求項14】
前記化合物eの製造方法において、前記の溶媒がジクロロメタンおよび/または酢酸イソプロピルである、請求項13に記載の化合物fの製造方法。
【請求項15】
前記化合物eの製造方法は、−5〜50℃で、前記化合物cまたは前記化合物cの酸性塩、前記化合物dおよび溶媒の混合溶液を、縮合剤および溶媒の混合溶液と混合し、前記の反応を行う工程を含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載の化合物fの製造方法。
【請求項16】
前記化合物cまたは前記化合物cの酸性塩、前記化合物dおよび溶媒の混合溶液に縮合剤および溶液の混合溶液を滴下する、請求項15に記載の化合物fの製造方法。
【請求項17】
さらに、溶媒において、化合物aと化合物bに、以下で示される置換反応をさせ化合物cを得る工程を含む、請求項11〜16のうちのいずれか一項に記載の化合物fの製造方法。
【化8】


(AおよびRの定義はいずれも請求項1〜のいずれか一項に記載の通りであり、XおよびYは脱離基で、ここで、YはXよりも脱離しやす。)
【請求項18】
化合物e、化合物f、化合物f1または化合物ff。
【化9】


(ただし、X、AおよびRの定義はいずれも請求項1〜のいずれか一項に記載の通りであり、Xの定義は請求項7〜9のいずれか一項に記載の通りである。)
【請求項19】
【化10】


【化11】


請求項18に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は出願日が2017年10月13日の中国特許出願CN201710953949.7の優先権を要求する。本願は上記中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
本発明は、抗腫瘍薬物ニラパリブの中間体を合成するための製造方法およびその中間体に関する。具体的に、本発明は抗腫瘍薬物ニラパリブの中間体である(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンと(S)−3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルを合成するための製造方法およびその中間体に関する。
【背景技術】
【0003】
ニラパリブ(Niraparib、CAS:1038915−60−4)はTesaro社によって開発された新型のPARP遺伝子に対する標的阻害剤で、主にBRCA1/2遺伝子の突然変異による癌、たとえば卵巣癌や乳癌を治療するために使用される。2017年3月にFDAによってニラパリブの市販が許可され、白金系薬物による治療を受けた後、完全にまたは部分的に応答したが、疾患が再発した成人上皮性卵巣癌、卵管癌および原発性腹膜癌の患者の維持治療(腫瘍成長の遅延)に使用される。その臨床データは患者の無増悪生存期間の中央値を280%延長させ、22ヶ月に達する。そのため、当該薬物は癌治療の面で大いに応用されている。
ニラパリブの化学名は2−[4−((3S)−3−ピペリジル)フェニル]−2H−インダゾール−7−カルボアミドで、具体的な構造は式(I)で表される。
【0004】
【化1】
【0005】
現在、ニラパリブの製造経路について、既にいくつかの合成経路が報告されたが、これらの合成経路において、(S)−3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルは重要な中間体で、具体的な構造は式(II)で表される。
【0006】
【化2】
【0007】
文献(Organic Process Research & Development 2011, 15, 831−840)では、(S)−3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルを合成する方法であって、ピリジン−3−ボロン酸を原料とし、まず4−ニトロブロモベンゼンとカップリングさせて3−(4−ニトロフェニル)ピリジンを得、さらに酸化白金で触媒還元し、4−(ピペリジン−3−イル)アニリンを得、Boc酸無水物でアミノ基を保護した後、メタノールにおいて、L−ジベンゾイル酒石酸を分割剤とし、3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルを分割し、(S)−3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルを得る方法が報告されている。合成経路は以下の通りである。
【0008】
【化3】
【0009】
文献(Organic Process Research & Development 2014, 18, 215−227)では、3−(4−ニトロフェニル)ピリジンを原料とし、酸化白金で触媒還元し、4−(ピペリジン−3−イル)アニリンを得、Boc酸無水物でアミノ基を保護した後、キラルHPLCによって分割して(S)−3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルを得る方法が報告されている。
【0010】
【化4】
【0011】
CN106432056Aでは、D−フェニルグリシン誘導体を分割剤とし、3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルのラセミ体を原料として分割し、分離して分割によって塩になった産物を得、さらに加水分解してニラパリブの中間体である(S)−3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルを得る製造方法が報告されている。
CN106432057Aでは、(R)−(−)−リン酸水素1,1’−ビナフチル−2,2’−ジイルを分割試薬とし、3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルのラセミ体を分割し、ニラパリブの中間体である(S)−3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルを得る製造方法が報告されている。
(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンおよび(S)−3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルを製造する過程において、既存技術のこれらの方法は貴金属触媒による還元およびキラル分割を使用する工程が多く、設備に対する要求が高く、操作が複雑で、工業化生産に不利で、コストが高く、そして産物のee値が高くないといった問題が存在する。
本発明の製造方法は貴金属触媒による還元または貴金属によるカップリングおよびキラル分割を使用する工程がなく、設備に対する要求が低く、操作が簡単で、工業化生産に有利で、重金属やリンを含有する廃液の発生が避けられ、コストが低く、そして産物のee値が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の解決しようとする技術課題は、既存技術における(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンおよび(S)−3−(4−アミノフェニル)ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルを製造する方法は、貴金属触媒による還元または貴金属によるカップリングおよびキラル分割の工程があることで、設備に対する要求が高く、操作が複雑で、工業化生産に不利で、重金属やリンを含有する廃液が発生することがあり、コストが高く、そして産物のee値が高くないといった問題が存在することを克服し、抗腫瘍薬物ニラパリブの中間体を合成するための製造方法およびその中間体を提供することである。本発明の製造方法は貴金属触媒による還元または貴金属によるカップリングおよびキラル分割を使用する工程がなく、設備に対する要求が低く、操作が簡単で、工業化生産に有利で、重金属やリンを含有する廃液の発生が避けられ、コストが低く、そして産物のee値が高い。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は主に下記技術方案によって上記技術課題を解決する。
本発明は、化合物fを製造する方法であって、溶媒において、塩基の作用下で、化合物eに以下で示される環化反応をさせて化合物fを得る工程を含む方法を提供する。
【0014】
【化4】
【0015】
ただし、Aは任意に置換されたアリール基または任意に置換されたヘテロアリール基である。置換基はH、D、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン、アリール基、アリーロキシ基、アルキニル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アミノ基、アシル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、アシルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基またはハロアルキル基である。RはH、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基である。Xは脱離基で、好ましくはハロゲン(たとえばCl、BrまたはI)、メチルスルホニルオキシ基(−OSOCH)またはp−トルエンスルホニルオキシ基(−OTs)である。ここで、置換基の個数は1〜6、好ましくは1〜3である。置換基が2、3、4、5または6個の場合、置換基は同じでもよく、異なってもよい。)
【0016】
本発明の一つの好適な実施形態において、Aは下記Sub-1で表される基が好ましく、ここで、R、R1a、R1b、R1cおよびR1dは独立にH、D、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン、アリール基、アリーロキシ基、アルキニル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アミノ基、アシル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、アシルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基またはハロアルキル基で、RはH、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基で、R、R1a、R1b、R1cおよびR1dは独立にH、アルコキシ基またはハロゲンが好ましく、RはH、アルキル基またはヒドロキシ基である。
【0017】
【化5】
【0018】
本発明の一つの好適な実施形態において、Aは上記Sub-1で表される基で、R、R1a、R1bおよびR1dはHで、R1cはH、アルコキシ基またはハロゲン(たとえばH、メトキシ基またはF)で、RはH、アルキル基またはヒドロキシ基(たとえばH、メチル基またはヒドロキシ基)である。
本発明の一つの好適な実施形態において、R、R1a、R1b、R1cおよびR1dはHで、RはHである。
【0019】
前記の化合物fの製造方法では、前記の有機溶媒は本分野のこのような反応の通常の溶媒でもよいが、反応の進行に影響を与えなければよく、アミド類溶媒および/またはニトリル類溶媒が好ましく、たとえばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)および/またはアセトニトリルが挙げられる。前記の溶媒の使用量は具体的に限定されてよいが、反応の進行に影響しなければよい。前記の塩基はアルカリ金属炭酸塩が好ましく、たとえば炭酸カリウムが挙げられる。前記の塩基および前記化合物eの使用量は本分野のこのような反応の通常の使用量でもよいが、具体的に限定されず、反応の進行に影響しなければよく、過剰量の塩基、すなわち、前記の塩基と前記化合物eのモル比が1:1以上であることが好ましい。前記の環化反応の温度は本分野のこのような反応の通常の温度でもよいが、30〜50℃が好ましい。前記の反応の進行は本分野の通常の検出方法(たとえばTLC、HPLC、GCまたはHNMRなど)でモニタリングしてもよいが、化合物eが無くなる時点を反応の終点とすることが好ましい。
【0020】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記の化合物fの製造方法では、塩基と溶媒の混合溶液を、化合物eと溶媒の混合溶液と混合し、前記の反応を行う工程を含むことが好ましい。塩基と溶媒の混合溶液に化合物eと溶媒の混合溶液を入れることが好ましい。
【0021】
前記の化合物fの製造方法では、前記の環化反応が終了した後、さらに後処理の操作を含んでもよい。前記の後処理の方法および条件は本分野の後処理の通常の方法および条件でもよいが、たとえば再結晶が挙げられる。前記の再結晶の溶媒はエーテル類溶媒(好ましくはMTBE)、ニトリル類溶媒(たとえばアセトニトリル)、エステル類溶媒(好ましくは酢酸エチル)、エーテル類とアルカン類の混合溶媒、ニトリル類溶媒とアルカン類の混合溶媒、あるいはエステル類溶媒とアルカン類の混合溶媒が好ましい。前記のアルカン類溶媒は本分野の通常のアルカン類溶媒でもよいが、たとえばC−Cのアルカン類溶媒が挙げられる。前記の再結晶の温度は0〜60℃(たとえば30〜50℃)が好ましい。再結晶の温度は、通常、熱量を提供し、物質の溶解速度を加速させ、そして物質の溶媒における溶解度を向上させるためのもので、実際の操作に応じて選択することができる。前記の再結晶の溶媒の使用量は具体的に限定されなくてもよいが、実際の操作に応じて選択することができる。前記の再結晶の回数は必要によって選択することができるが、1〜5回でもよい。
【0022】
再結晶の操作を行う前、反応溶媒によって、前記の環化反応終了後の反応液に対してろ過または抽出の操作を行ってもよい。たとえば、反応溶媒がアミド類溶媒の場合、再結晶の操作を行う前、前記の環化反応終了後の反応液に対して抽出の操作を行ってもよい。反応溶媒がニトリル類溶媒の場合、再結晶の操作を行う前、前記の環化反応終了後の反応液に対してろ過の操作を行ってもよい。
【0023】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記抽出操作では、抽出有機溶媒は本分野の通常の有機溶媒、たとえばハロゲン化炭化水素類溶媒(好ましくはジクロロメタン)、エーテル類溶媒(好ましくはMTBE)あるいはエステル類溶媒(好ましくは酢酸エチル)である。
前記の環化反応終了後の抽出の操作を経て得られた有機層は、減圧で濃縮して一部の抽出有機溶媒を除去するか、減圧で溶媒がなくなるまで濃縮し、さらに再結晶の操作を行ってもよい。
【0024】
本発明は、以下の工程を含むことが好ましい:
(a)環化反応終了後の反応液に対して抽出操作を行った後、有機層を得、有機層から一部の有機溶媒を除去し、混合溶液Aを得る工程で、ここで、抽出用有機溶媒はハロゲン化炭化水素類溶媒(好ましくはジクロロメタン)、エーテル類溶媒(好ましくはMTBE)あるいはエステル類溶媒(好ましくは酢酸エチル)が好ましく、前記の混合溶液Aと化合物eの体積質量比は1 mL/gが好ましい;
(b)工程(a)で得られた混合溶液Aを有機溶媒と混合し、再結晶させ、ろ過する工程で、ここで、前記有機溶媒は前記再結晶の溶媒と同様であることが好ましい。
本発明の一つの好適な実施形態において、工程(b)は気体(たとえば窒素ガス)の保護下で行われることが好ましい。
【0025】
前記の化合物fの製造方法における後処理の操作は、さらに以下の工程を含むことが好ましい:
(1)環化反応終了後の反応液を水と混合し(好ましくは水に注ぎ)、有機溶媒(たとえばエーテル類溶媒、好ましくはMTBE、またはエステル類溶媒、好ましくは酢酸エチル)で抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、乾燥し(たとえば無水硫酸ナトリウム)、1V(たとえば化合物e=100gであれば、1V=100mLで、すなわち、1Vとは混合液Aと化合物eの体積質量比が1 mL/gであることをいう)になるまで有機層を減圧で濃縮し、混合溶液Aを得る;(2)気体(たとえば窒素ガス)の保護下で、工程(1)で得られた混合溶液A与を有機溶媒(たとえばエーテル類溶媒またはエーテル類とアルカン類の混合溶媒、好ましくはMTBE)と混合し、ろ過し、ケーキを有機溶媒で洗浄し(たとえばエーテル類溶媒またはエーテル類とアルカン類の混合溶媒、好ましくはMTBEで洗浄し)、乾燥(たとえば真空乾燥)する。ここで、前記の混合の温度は0〜60℃(たとえば30〜50℃)が好ましい。前記のろ過の温度は−5〜5℃、たとえば0〜5℃が好ましい。
【0026】
本発明の一つの好適な実施形態において、化合物fの製造方法では、同時に化合物fの異性体である化合物f1を得、すなわち、化合物f1の製造方法は化合物fと同様で、ここで、化合物f1の構造は以下の通りである。
【0027】
【化6】
【0028】
ただし、AおよびRの定義はいずれも前記の通りである。
本発明において、化合物fと化合物f1は物理的性質の差が大きく、エタノール、アセトンなどの溶媒では結晶できず、結晶性に差がない。しかし、特定の溶媒では、化合物fは溶解度が化合物f1よりも低く、よって固体として析出する。また、本願の発明者らは、さらに、化合物fと化合物f1の混合物において、化合物fが析出し続けると、動的平衡になるように、化合物f1は化合物fに変換し続ける。もちろん、化合物fが析出した後、そのままろ過の操作を行うことによって、化合物fを得、化合物f1は母液に残ってもよい。本発明の一つの好適な実施形態において、母液における化合物f1は本分野の通常の異性化方法(たとえば、酸の作用または塩基の作用などで、ここで、前記の酸および前記の塩基は有機合成分野の異性化方法における通常の酸または塩基でもよいが、化合物f1を異性化させることができればよい)によって部分的に化合物fに変換してもよい。化合物fと化合物f1のモル比が1:1の場合、混合物は化合物ffで表示してもよい。化合物fと化合物f1の混合物は環化反応の後処理の操作によって、さらに化合物fを得ることができる。化合物f1の全部または大半が化合物fに変換するまで繰り返すことによって、合計収率はさらに向上する。ここで、化合物ffの構造は以下の通りである。
【0029】
【化7】
【0030】
ただし、AおよびRの定義はいずれも前記の通りである。
また、本発明は、化合物fの製造方法であって、化合物fおよび化合物f1を含有する混合物と溶媒からなる混合液から固体を析出させる工程を含む方法を提供する。前記の溶媒はニトリル類溶媒、エステル類溶媒、エーテル類溶媒、エーテル類とアルカン類の混合溶媒、ニトリル類溶媒とアルカン類の混合溶媒、あるいはエステル類溶媒とアルカン類の混合溶媒のうちの1種または複数である。ここで、前記のニトリル類溶媒は有機合成分野の通常のニトリル類溶媒でもよいが、アセトニトリルが好ましい。前記のエステル類溶媒は有機合成分野の通常のエステル類溶媒でもよいが、酢酸エチルが好ましい。前記のエーテル類溶媒は有機合成分野の通常のエーテル類溶媒でもよいが、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)が好ましい。前記のアルカン類溶媒は本分野の通常のアルカン類溶媒、たとえばC〜Cのアルカン類溶媒でもよい。
【0031】
【化8】
【0032】
ただし、AおよびRの定義はいずれも前記の通りである。
ここで、前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物における化合物fと化合物f1のモル比は任意の比率で存在してもよいが、1:2〜2:1が好ましく、HPLCやTLCなどの通常の検出方法によって両者のモル比を確認することができる。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物は、化合物fと化合物f1からなるもの、あるいは化合物fおよび化合物f1のHPLC含有量が70%以上(たとえば75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、99%以上)のものでもよい。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物がほかの物質を含有する場合、当該物質が化合物fの溶媒における固体の析出に影響しなければよい。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物と溶媒は0℃〜常圧における溶媒還流温度、好ましくは30℃〜常圧における溶媒還流温度、より好ましくは30℃〜50℃の温度で混合することが好ましい。前記固体を析出させる温度は氷浴から室温の条件(たとえば−5℃〜30℃)が好ましく、−5℃〜5℃がより好ましい。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物と溶媒を混合する時間は、具体的に限定されなくてもよい。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物と溶媒は、気体、たとえば窒素ガスの保護下で混合することが好ましい。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物と溶媒の混合液において、前記の溶媒の使用量は、具体的に限定されなくてもよいが、化合物fを氷浴から室温の条件下で固体として析出させることができればよい。溶媒の使用量が多すぎると、有機合成分野の通常の溶媒を除去する方法、たとえば減圧で蒸留し、一部の溶媒を除去することによって、化合物fが氷浴から室温の条件下で固体として析出できるようにすればよい。
【0033】
前記の化合物fの製造方法は、終了後、さらに後処理の操作を含んでもよい。前記の後処理の操作は本分野の通常の操作でもよいが、反応終了後の反応液をろ過し(好ましくは0℃〜室温の温度でろ過し)、ケーキを洗浄することが好ましい(洗浄用溶媒は固体を析出させる時に使用される溶媒が好ましい)。
前記の化合物fの製造方法は、終了後、析出した固体に対してさらに再結晶の操作を行ってもよい。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物の製造方法および条件は前記化合物fの製造方法および条件と同様である。前記の再結晶の溶媒はエーテル類溶媒(好ましくはMTBE)、ニトリル類溶媒(たとえばアセトニトリル)、エステル類溶媒(好ましくは酢酸エチル)、エーテル類とアルカン類の混合溶媒、ニトリル類溶媒とアルカン類の混合溶媒、あるいはエステル類溶媒とアルカン類の混合溶媒が好ましい。前記のアルカン類溶媒は分野の通常のアルカン類溶媒でもよいが、たとえばC〜Cのアルカン類溶媒が挙げられる。前記の再結晶の温度は0℃〜常圧における溶媒還流温度が好ましく、0℃〜60℃(たとえば30℃〜50℃)がより好ましい。再結晶の温度は、通常、熱量を提供し、物質の溶解速度を加速させ、そして物質の溶媒における溶解度を向上させるためのもので、実際の操作に応じて選択することができる。前記の再結晶の溶媒の使用量は具体的に限定されなくてもよいが、実際の操作に応じて選択することができる。前記の再結晶の回数は必要によって選択することができるが、1〜5回でもよい。
【0034】
本発明の一つの好適な形態において、前記の化合物fの製造方法では、固体を析出させる溶媒および再結晶の溶媒がエーテル類とアルカン類の混合溶媒、ニトリル類溶媒とアルカン類の混合溶媒、あるいはエステル類溶媒とアルカン類の混合溶媒である場合、前記の混合溶媒において、各溶媒の使用量は具体的に限定されなくてもよいが、実際の必要に応じ、化合物fが氷浴から室温の条件下(たとえば−5℃〜30℃、好ましくは−5℃〜5℃)で固体として析出できるようにすればよい。
前記の化合物fの製造方法は、さらに、溶媒において、縮合剤の作用下で、化合物cまたは化合物cの酸性塩に、化合物dと以下で示されるアミド化反応をさせ、前記の化合物eを得る工程を含んでもよい。
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】
AおよびRの定義はいずれも前記の通りである。Xは脱離基で、ハロゲン(たとえばCl、BrまたはI)、メチルスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基が好ましい。Zは脱離基で、ヒドロキシ基、ハロゲン(たとえばF、Cl、BrまたはI)、アルコキシ基、N−オキシスクシンイミド基、N−オキシフタルイミド基または1−オキシベンゾトリアゾール基が好ましい。
【0038】
【化11】
【0039】
前記の化合物eの製造方法では、前記の溶媒は本分野のこのような反応の通常の溶媒でもよいが、ハロアルカン類溶媒および/またはエステル類溶媒が好ましく、たとえばジクロロメタン(DCM)および/または酢酸イソプロピルが挙げられる。前記の溶媒の使用量は具体的に限定されてよいが、反応の進行に影響しなければよい。前記の縮合剤は、本分野のこのような反応の縮合剤でもよいが、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)または2−(7−アザベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)が好ましい。前記の縮合剤および前記化合物cの使用量は本分野のこのような反応の通常の使用量でもよいが、具体的に限定されず、反応の進行に影響しなければよい。前記の化合物cと化合物d、または前記の化合物cの酸性塩と化合物dの使用量は本分野のこのような反応の通常の使用量でもよいが、具体的に限定されず、反応の進行に影響しなければよい。前記のアミド化反応の温度は本分野のこのような反応の通常の温度でもよいが、−5〜50℃、たとえば0℃〜5℃が好ましい。前記の反応の進行は本分野の通常の検出方法(たとえばTLC、HPLC、GCまたはHNMRなど)でモニタリングしてもよいが、化合物cが無くなる時点を反応の終点とすることが好ましい。
【0040】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記の化合物eの製造方法では、−5〜50℃、たとえば0℃〜5℃で、化合物cまたは前記の化合物cの酸性塩、化合物dおよび溶媒の混合溶液を、縮合剤および溶媒の混合溶液と混合し、前記の反応を行う工程を含むことが好ましい。化合物cまたは前記の化合物cの酸性塩、化合物dおよび溶媒の混合溶液に縮合剤および溶媒の混合溶液を滴下することが好ましい。
【0041】
前記の化合物eの製造方法では、前記のアミド化反応が終了した後、さらに後処理の操作を含んでもよい。前記の後処理の方法および条件は本分野の後処理の通常の方法および条件でもよい。本発明は、pH値=1になるようにアミド化反応終了後の反応液を調整し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウムおよび水で洗浄し、有機層を減圧で溶媒がなくなるまで濃縮する工程を含むことが好ましい。
前記の化合物fの製造方法は、さらに、溶媒において、化合物aと化合物bに、以下で示される置換反応をさせ、前記の化合物cを得る工程を含んでもよい。
【0042】
【化12】
【0043】
AおよびRの定義はいずれも前記の通りである。XおよびYは脱離基で、それぞれ独立にハロゲン(たとえばCl、BrまたはI)、メチルスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基が好ましい。中では、YはXよりも脱離しやすい。
本発明において、化合物cは文献Journal of Organic Chemistry, 77(16),7028−7045, 2012における方法を参照して製造することができる。
また、本発明は、化合物e、化合物f、化合物g、化合物f1または化合物ffを提供する。
【0044】
【化13】
【0045】
ただし、X、AおよびRの定義はいずれも前記の通りである。
【0046】
【化13】
【0047】
【化14】
【0048】
【化15】
【0049】
また、本発明は、(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンを製造する方法であって、溶媒において、パラジウム/炭素および水素ガスの作用下で、化合物gに以下で示される脱保護・水素化還元の反応をさせ、(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンを得る工程を含む方法を提供する。
【0050】
【化16】
【0051】
AおよびRの定義はいずれも前記の通りである。
前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンの製造方法では、前記の溶媒は本分野のこのような反応の通常の溶媒でもよいが、アルコール類溶媒が好ましい。前記のアルコール類溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールおよびt−ブタノールのうちの1種または複数が好ましく、メタノールがより好ましい。前記の溶媒の使用量は具体的に限定されてよいが、反応の進行に影響しなければよい。前記のパラジウム/炭素は水酸化パラジウム炭素が好ましく、20%の水酸化パラジウム炭素がより好ましく、ここで、百分率とは水酸化パラジウム炭素の全質量におけるパラジウムの質量が占める百分率をいう。前記のパラジウム/炭素が水酸化パラジウム炭素である場合、前記の反応は酢酸の作用下で行われることが好ましい。前記の反応の圧力は本分野のこのような反応の通常の圧力でもよいが、1.0 MPa〜1.5 MPaが好ましい。前記の反応の温度は本分野のこのような反応の通常の温度でもよいが、45〜50℃が好ましい。前記の反応の進行は本分野の通常の検出方法(たとえばTLC、HPLC、GCまたはHNMRなど)でモニタリングしてもよいが、化合物gが無くなる時点を反応の終点とすることが好ましい。
【0052】
前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンの製造方法では、反応を行う前、反応装置を水素ガスで置換し(たとえば3回)、そして圧力を負荷する(たとえば1.0 MPa〜1.5 MPaになるように圧力を負荷する)ことが好ましい。
前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンの製造方法は、化合物gを溶媒と混合した後、パラジウム/炭素を入れ、さらに水素ガスで反応装置を置換して圧力を負荷し、前記の触媒水素化反応を行う工程を含むことが好ましい。
前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンの製造方法では、前記の反応が終了した後、さらに後処理の操作を含んでもよい。前記の後処理の方法および条件は本分野の後処理の通常の方法および条件でもよい。本発明は、前記反応終了後の反応液を固液分離し(たとえばろ過し)、ろ液における溶媒を除去し(たとえば減圧で濃縮し)、産物1を得る工程と、得られた産物1を水と混合し、pH値=10になるように調整し(たとえば30%のアルカリ水溶液で)、さらに有機溶媒(たとえば酢酸エチル)で抽出し(抽出の回数は1〜2回でもよい)、有機層を食塩水で洗浄し、有機層の溶媒を除去し(たとえば減圧で濃縮し)、産物2を得る工程と、前記産物2を再結晶させ(再結晶の溶媒は酢酸エチル−n−ヘプタンが好ましい)、得られた固体を乾燥(たとえば真空乾燥)する工程とを含むことが好ましい。
前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンの製造方法は、さらに、気体の保護下で、溶媒において、ルイス酸の存在下で、化合物fにアルカリ金属ホウ水素化物の還元剤の作用下で以下で示される還元反応をさせ、前記の化合物gを得る工程を含んでもよい。
【0053】
【化17】
【0054】
AおよびRの定義はいずれも前記の通りである。
本発明の一つの好適な実施形態において、前記の化合物fは前記方法によって製造されたものが好ましい。
前記の化合物gの製造方法では、前記の気体の保護における気体は反応装置の空気を置換することができ、かつ反応に関与しないものであればよいが、窒素ガスが好ましい。前記の溶媒は本分野のこのような反応の通常の溶媒でもよいが、エーテル系溶媒が好ましい。前記のエーテル系溶媒はテトラヒドロフランが好ましい。前記の溶媒の使用量は具体的に限定されてよいが、反応の進行に影響しなければよい。前記のルイス酸は三塩化アルミニウムが好ましい。前記の還元剤は水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。前記のルイス酸および前記の還元剤の使用量は本分野のこのような反応の通常の使用量でもよいが、具体的に限定されず、反応の進行に影響しなければよい。前記の化合物fと前記の還元剤の使用量は本分野のこのような反応の通常の使用量でもよいが、具体的に限定されず、反応の進行に影響しなければよい。前記の反応の温度は本分野のこのような反応の通常の温度でもよいが、0〜30℃(たとえば氷浴)が好ましい。前記の反応の進行は本分野の通常の検出方法(たとえばTLC、HPLC、GCまたはHNMRなど)でモニタリングしてもよいが、化合物fが無くなる時点を反応の終点とすることが好ましい。
【0055】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記の化合物gの製造方法では、気体の保護下で、−5〜5℃(たとえば0℃)で、溶媒、ルイス酸および還元剤の混合溶液を、化合物fおよび溶媒の混合溶液と混合し、前記の反応を行う工程を含むことが好ましい。化合物fおよび溶媒の混合溶液を溶媒、ルイス酸および還元剤の混合溶液に滴下することが好ましい。ここで、前記の溶媒、ルイス酸および還元剤の混合溶液は−5〜5℃(たとえば0℃)で、溶媒にルイス酸を分けて入れ、そして−5〜10℃(たとえば0℃)で、窒素ガスの保護下で還元剤を分けて入れることが好ましい。
【0056】
前記の化合物gの製造方法では、前記の還元反応が終了した後、さらに後処理の操作を含んでもよい。前記の後処理の方法および条件は本分野の後処理の通常の方法および条件でもよい。本発明は、−5〜5℃(たとえば0〜5℃)で、前記の還元反応終了後の反応液を塩酸水溶液(塩酸水溶液の調製方法は、たとえば、400 gの水を235 gの濃塩酸に入れてなる)と混合し、水を入れ、pH値=11〜12になるように系を調整し(たとえば30%のアルカリ水溶液で)、さらに混合物を有機溶媒で抽出し(たとえば酢酸エチルで2回抽出し)、有機層を食塩水で洗浄し、減圧で濃縮する工程とを含むことが好ましい。
【0057】
また、本発明は、化合物hを製造する方法であって、溶媒において、前記製造方法によって製造された(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンにアミノ基保護試薬と以下で示される反応をさせ、化合物hを得る工程を含む方法を提供する。
【0058】
【化18】
【0059】
ただし、Mは本分野の通常のアミノ保護基、たとえばアルコキシカルボニル系アミノ保護基(通常の基として、たとえばBoc、Cbz、Fmoc、Alloc、Teoc、メトキシカルボニル基やエトキシカルボニル基)やアシル系アミノ保護基(通常の基として、たとえばPht、TosやTfa)である。
【0060】
前記の化合物hの製造方法では、前記の溶媒は本分野のこのような反応の通常の溶媒でもよいが、ハロアルカン類溶媒が好ましく、たとえばジクロロメタン(DCM)が挙げられる。前記の溶媒の使用量は具体的に限定されてよいが、反応の進行に影響しなければよい。前記のアミノ基保護試薬は本分野のこのような反応の通常のアミノ基保護試薬でもよいが、BocOが好ましい。前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンおよびアミノ基保護試薬の使用量は本分野のこのような反応の通常の使用量でもよいが、具体的に限定されず、反応の進行に影響しなければよい。前記の反応の温度は本分野のこのような反応の通常の温度でもよいが、−5〜5℃(たとえば0℃)が好ましい。前記の反応の進行は本分野の通常の検出方法(たとえばTLC、HPLC、GCまたはHNMRなど)でモニタリングしてもよいが、(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンが無くなる時点を反応の終点とすることが好ましい。
【0061】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記の化合物hの製造方法では、−5〜5℃(たとえば0℃)で、(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンおよび還元剤の混合溶液を、アミノ基保護試薬および溶媒の混合溶液と混合し、前記の反応を行う工程を含むことが好ましい。(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンおよび溶媒の混合溶液にアミノ基保護試薬およびと溶媒の混合溶液を入れることが好ましい。
前記の化合物hの製造方法では、前記の反応が終了した後、さらに後処理の操作を含んでもよい。前記の後処理の方法および条件は本分野の後処理の通常の方法および条件でもよい。本発明は、反応終了後の反応液を水と混合し、撹拌して15〜25℃に昇温させ、静置して分液し、1V(たとえば(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリン=100 gの場合、1V=100 mL)になるように有機層を減圧で濃縮し(たとえば減圧で濃縮する温度は45〜50℃である)、濃縮液1を得る工程と、気体(たとえば窒素ガス)の保護下で、得られた濃縮液1をアルコール類溶媒(たとえばイソプロパノール)と混合し、溶液が清澄になるまで撹拌し(たとえば55〜60℃で撹拌し)、混合溶液を得る工程と、得られた混合溶液を水と混合し、撹拌し(まず55〜60℃で撹拌し、さらに−5〜5℃、たとえば0℃で撹拌し)、ろ過し(−5〜5℃、たとえば0℃でろ過し)、ケーキを水/アルコール類溶媒(たとえばイソプロパノール)で洗浄し、乾燥(たとえば真空乾燥)する工程とを含むことが好ましい。
本発明において、前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンの製造方法の経路は、以下のものが好ましい。
【0062】
【化19】
【0063】
本発明において、用語のアルキル基は、C−Cアルキル基が好ましく、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基やt−ブチル基が挙げられる。
本発明において、用語のアルコキシ基は、C−Cアルコキシ基が好ましく、たとえばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基やt−ブトキシ基が挙げられる。
本発明において、特別に説明しない限り、前記のハロゲンはCl、BrまはたIが好ましい。
【0064】
本発明において、用語のアリール基は、C6〜C20アリール基が好ましく、C6〜C14アリール基がより好ましい。ここで、前記のアリール基とは、通常、任意の安定した各環に多くとも7個の原子があってもよい単環式または二環式の炭素環で、そのうちの少なとも1つの環は芳香環である。上記アリール基の実例はフェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基、2,3−インダニル基、ビフェニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基やアセナフチル基(acenaphthyl)を含む。もちろん、アリール置換基が二環式置換基で、かつその1つの環が非芳香環の場合、連結は芳香環を介するものである。
【0065】
本発明において、用語のヘテロアリール基は、ヘテロ原子がO、NおよびSから選ばれ、ヘテロ原子数が1〜4個のC〜C10ヘテロアリール基が好ましく、ヘテロ原子がO、NおよびSから選ばれ、ヘテロ原子数が1〜4個のC〜Cヘテロアリール基がより好ましい。前記のヘテロアリール基とは、通常、各環に多くとも7個の原子があってもよい安定した単環または二環で、その少なくとも1つの環は芳香環でO、N、およびSから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する。
本発明において、前記の「任意に置換された」とは、前記のアリール基または前記のヘテロアリール基に置換基が含まれているか、あるいは含まれていないということで、置換基が含まれている場合、置換基の個数は置換可能な位置によって調整すればよい。
【0066】
用語「アリーロキシ基」は酸素橋によって連結された前記炭素原子数を有するアリール基を表す。よって、「アリーロキシ基」は以上のアリール基の定義を含む。
用語「シクロアルキル基」とは、全炭素の単環または多環の基であって、各環に1つまたは複数の二重結合が含まれているが、完全共役のπ電子系を有する環がない基を指す。前記のシクロアルキル基は3〜20個の炭素からなる1〜3個の環を有するシクロアルキル基が好ましく、3〜10個の炭素がより好ましい。前記のシクロアルキル基の実例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基やシクロヘキセニル基を含むが、これらに限定されない。本発明において、前記シクロアルキル基は、重水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリール基、アリーロキシ基、シクロアルキル基、アシルアミノ基、オキシ、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基およびメルカプト基のうちの任意の1〜4種の置換基で置換された。置換基が2、3または4個の場合、置換基は同じでもよく、異なってもよい。
【0067】
用語「シクロアルケニル基」とは、全炭素の単環または多環の基であって、各環に1つまたは複数の二重結合が含まれているが、完全共役のπ電子系を有する環がない基を指す。前記のシクロアルケニル基は3〜20個の炭素からなる1〜3個の環を有するシクロアルケニル基が好ましく、3〜10個の炭素がより好ましい。前記のシクロアルケニル基は、たとえば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基やシクロドデセニル基でもよい。前記のシクロアルケニル基は、重水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリール基、アリーロキシ基、シクロアルキル基、アシルアミノ基、オキシ、カルボニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基およびメルカプト基のうちの任意の1種または複数(好ましくは1〜4種)の本発明で定義された置換基で置換された。シクロアルケニル基の置換基で炭素−炭素二重結合が置換され、かつ二重結合が飽和になると、シクロアルキル基になる。
【0068】
用語「ヘテロシクロアルキル基」とは、本明細書で単独でまたは別の基の一部として使用される場合、1〜4個のヘテロ原子(たとえば窒素、酸素および硫黄のうちの1種または複数)を含む、4〜12員の単環または多環の基であって、各環に1つまたは複数の二重結合が含まれているが、完全共役のπ電子系を有する環がない基を指す。前記ヘテロシクロアルキル基は1〜4個の置換基、たとえばアルキル基、ハロゲンやオキソ基を含んでもよい。また、任意のヘテロシクロアルキル基の環はシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基の環に縮合してもよい。本明細書で定義された範囲内にあるヘテロシクロアルキル基は、オキセタニル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、アゼチジル基、1,4−ジオキサニル基、ヘキサヒドロアゼピニル基、ピペラジル基、ピペリジル基、ピロリジル基、モルホリル基、チオモルホリル基、ジヒドロフリル基、ジヒドロイミダゾリル基、ジヒドロインドリル基、ジヒドロイソオキサゾリル基、ジヒドロイソチアゾリル基、ジヒドロオキサジアゾリル基、ジヒドロオキサゾリル基、ジヒドロピラジニル基、ジヒドロピラゾリル基、ジヒドロピリジル基、ジヒドロピリミジニル基、ジヒドロピロリル基、ジヒドロテトラゾリル基、ジヒドロチアジアゾリル基、ジヒドロチアゾリル基、ジヒドロチエニル基、ジヒドロトリアゾリル基、ジヒドロアゼチジル基、テトラヒドロフリル基やテトラヒドロチエニル基およびそのN−オキシドを含むが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキル基は、その中の炭素原子またはヘテロ原子を介してほかの基と連結してもよい。
【0069】
用語「アルケニル基」とは指定の数の炭素原子と少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する直鎖、分岐鎖または環状の非芳香族炭化水素基をいう。好ましくは1個の炭素−炭素二重結合が存在し、かつ多くとも4個の非芳香族炭素−炭素二重結合が存在してもよい。本発明において、用語のアルケニル基とはC2−12アルケニル基で、C2−6アルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、2−メチルブテニル基やヘキセニル基を含む。アルケニル基の直鎖、分岐鎖または環の部分に二重結合を含んでもよく、かつ置換アルケニル基と表示する場合、置換基は独立にアルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリール基、アリーロキシ基、シクロアルキル基、アシルアミノ基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基およびメルカプト基から選ばれる1種または複数(好ましくは1〜4種)以下の基でもよい。置換基が2、3または4個の場合、置換基は同じでもよく、異なってもよい。
用語「アルキニル基」とは指定の数の炭素原子と少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含有する直鎖、分岐鎖または環状の炭化水素基をいう。多くとも3個の炭素−炭素三重結合が存在してもよい。本発明において、用語のアルキニル基はC2−12アルキニル基が好ましく、C2−6アルキニル基がより好ましく、エチニル基、プロパギル基、ブチニル基や3−メチルブチニル基などを含む。
【0070】
【化20】
【0071】
用語「ハロアルキル基」はハロゲンで任意の位置に置換されたアルキル基を表す。よって、「ハロアルキル基」は以上のハロゲンおよびアルキル基の定義を含む。
本分野の常識に反しないことを前提に、上記各好適な条件を任意に組み合わせれば、本発明の各好適な実例が得られる。
【0072】
本発明で用いられる試薬および原料はいずれも市販品として得られる。
本発明において、常圧における溶媒還流温度とは、1標準大気圧における溶媒の還流温度である。
本発明において、室温とは10〜30℃、好ましくは25℃をいう。氷浴とは−5〜5℃、好ましくは0℃をいう。一晩とは8〜16時間、好ましくは12時間をいう。
本発明の積極的な進歩効果は以下の通りである。
本発明の製造方法は貴金属触媒による還元または貴金属によるカップリングおよびキラル分割を使用する工程がなく、設備に対する要求が低く、操作が簡単で、工業化生産に有利で、重金属やリンを含有する廃液の発生が避けられ、コストが低く、そして産物のee値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】実施例2の方法1における各段階のTLCプレートによる検出の蛍光画像である。図1a、は反応開始前の反応液のTLCプレートの蛍光画像である。図1bは、反応が完了した時の反応液のTLCプレートの蛍光画像である。図1cは、最後に得られた黄色の固体であるNIR30AのTLCプレートの蛍光画像である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
下記実施例において、室温とは10〜30℃、好ましくは25℃をいう。氷浴とは−5〜5℃、好ましくは0℃をいう。一晩とは8〜16時間、好ましくは12時間をいう。
【0075】
[実施例1]
【化21】
【0076】
NIR05Aは文献の方法(Journal of Organic Chemistry, 77(16),7028−7045, 2012)に従って製造された。
反応瓶に順にNIR05A(23.4g)、NIR01(18.1g)およびジクロロメタン100mLを投入し、撹拌して氷浴で冷却した。
混合物にN,N’−カルボニルジイミダゾール(17.0g)のジクロロメタン溶液を滴下し、反応が完了した後、pH=1になるように希塩酸を入れて調整し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液および水で洗浄した。有機層を分離し、減圧で溶媒がなくなるまで濃縮し、赤色の油状物としてNIR10Aを32.5g得たが、収率は90.0%であった。
NIR10A: H NMR (400MHz, in CDCl, 298K, δ in ppm) δ 1.53, 1.59 (3H, d, d, H−8); 1.47−1.54, 1.84−1.91 (2H, m, m, H10); 3.14−3.50 (4H, m, H9,11); 3.87, 3.92 (2H, s, s, H13); 5.14, 6.03 (1H, t, t, H7); 7.15−7.50 (7H, m, H2,3,4,5,15,19); 8.18−8.20 (2H, m, H16,18). 13C NMR (100MHz, in CDCl, 298K, δ in ppm) δ 16.7, 18.6 (C8); 31.6, 33.4 (C10); 40.5, 41.0 (C13); 41.7, 42.4, 43.2 (C9,11); 51.7, 56.2 (C7); 123.9 (C16,18); 126.7, 127.7, 127.9, 128.1, 128.7, 129.1 (C2−6); 130.2 (C15,19); 139.9, 140.5 (C1); 142.8, 142.9 (C14); 147.1 (C17); 169.8 (C12). MS: 361.1 (M+H).
【0077】
[実施例2]
【化22】
【0078】
方法1:三口反応瓶に炭酸カリウム(7.7g)およびDMF(20mL)を入れ、温度を50度に維持し、撹拌しながらNIR10A(10g)のDMF溶液(20mL)を入れた。反応完了後、水に入れて撹拌し、さらにMTBE(30mL)を入れて撹拌し、3回抽出し、静置して上層の有機相を取った。有機相を合併し、食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧で有機相を1V(すなわち10mL)になるように濃縮した。40mLのMTBEを入れ、窒素ガスの保護下で、50度に昇温させて撹拌し、さらにすこしずつ0℃に降温させ、ろ過し、ケーキを5mLのMTBEで2回洗浄した。ケーキを真空乾燥し、黄色の固体としてNIR30Aを2.7g得たが、収率は30%で、de>98%であった。TLCによって化合物NIR10Aを検出し、反応しなくなる時点を反応完了の終点とした。TLCのビヒクルはn−ヘプタン:酢酸エチル=3:1(V:V)であった。各段階のTLCプレートによる検出の蛍光画像は図1を参照する。ここで、図1aは反応開始前の反応液のTLCプレートの蛍光画像で、図1bは反応が完了した時の反応液のTLCプレートの蛍光画像で、図1cは最後に得られた黄色の固体であるNIR30AのTLCプレートの蛍光画像である。
【0079】
方法2:反応瓶にNIR10A(2.0g)、炭酸カリウム(1.53g)およびDMF(15mL)を入れ、温度を50度に維持し、18時間撹拌した。反応完了後、30mLの水に入れて撹拌し、さらに酢酸エチルで2回抽出した(30mL×2)。有機相を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過で乾燥剤を除去したろ液を減圧で濃縮した。得られた粗製品をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=2/1)によって精製し、NIR30A(370mg,29%)およびNIR30B(343mg,26%)を得た。ここで、化合物NIR30Bの構造は以下の通りである。
【0080】
【化23】
【0081】
方法3:反応瓶に炭酸カリウム(24.9g)、アセトニトリル(60mL)を入れ、50度に昇温させ、撹拌しながらNIR10A(32.5g)のアセトニトリル溶液(65mL)を入れた。反応終了後、室温に冷却し、ろ過し、ケーキをアセトニトリルで洗浄した。ろ液を収集し、合併した後、減圧で溶媒がなくなるまで濃縮した。残留物に酢酸エチル(230mL)を入れ、残留物が溶解するまで50度に加熱し、室温に冷却し、ろ過してケーキを得た。ケーキをさらにMTBE(65mL)で1回再結晶させ(方法1における工程と同様である)、NIR30Aを10.4g得たが、収率は35%で、de>98%であった。
NIR30A: H NMR (400MHz, in CDCl, 298K, δ in ppm) δ 1.59 (3H, d); 1.65−1.76 (1H, m); 1.84−1.98 (2H, m); 2.15−2.23 (1H, m); 2.97 (1H, m), 3.29 (1H, m), 3.84 (1H, dd), 6.18 (1H, q), 7.29−7.38 (5H, m), 7.41 (2H, d), 8.20 (2H, d). MS: 325.1 (M+H). [α]25 −166.1° (c 1.0, CHCl).
NIR30B: H NMR (400MHz, in CDCl, 298K, δ in ppm) δ 1.58 (3H, d); 1.74−1.91 (3H, m); 2.15−2.23 (1H, m); 2.92 (1H, m), 3.24 (1H, m), 3.84 (1H, dd), 6.18 (1H, q), 7.31−7.41 (7H, m), 8.19 (2H, d). MS: 325.1 (M+H).
【0082】
[実施例3]
【化23】
【0083】
氷浴において、反応瓶に600gのテトラヒドロフランを入れ、窒素ガスの保護下で、135.9gの無水三塩化アルミニウムを分けて入れた。温度を0〜10℃に制御し、窒素ガスの保護下で35gの水素化ホウ素ナトリウムを分けて入れ、そして1時間撹拌した。氷浴で冷却しながら、NIR30A(100g)を300gのTHFに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、完全に反応するまで室温で撹拌した。
別の反応瓶に400gの水および236gの濃塩酸を入れ、撹拌して0〜5℃に冷却し、上記反応液を滴下し、滴下終了後、続いて撹拌して1h反応させた。反応瓶に水を500mL入れ、反応液を30% NaOH水溶液でpH=11〜12になるように調整した。酢酸エチルを入れて2回抽出し、上層の有機層を取った。有機層を合併し、食塩水で洗浄し、減圧で溶媒がなくなるまで濃縮してNIR40Aを得た。
NIR40A: H NMR (400MHz, in CDCl, 298K, δ in ppm) δ 1.40 (3H, d), 1.62−1.85 (3H, m), 1.89 (1H, d), 1.96−2.10 (2H, m), 2.83−2.94 (2H, m), 3.03 (1H, d), 3.52 (1H, q), 7.20−7.40 (7H, m), 8.09 (2H, d). MS: 311.2 (M+H).
【0084】
NIR40Aをメタノール1100gで溶解させた後、オートクレーブに入れ、20%水酸化パラジウム炭素10gおよび酢酸10gを入れた。水素ガスでオートクレーブを3回置換した後、水素ガスで1.0〜1.5MPaになるように加圧した。45〜50℃に昇温させ、1.0〜1.5MPaで完全に反応するまで撹拌した。ろ過し、ろ液を減圧で溶媒がなくなるまで濃縮した。
濃縮物に水200gを入れ、撹拌しながら30%アルカリ液でpH=10になるように調整した後、酢酸エチルを入れて2回抽出し、有機層を合併し、食塩水で洗浄した。有機層を減圧で溶媒がなくなるまで濃縮した。
濃縮物を酢酸エチル−n−ヘプタンで再結晶させ、真空乾燥した後、NIR60Aを30g得たが、2つの工程の収率は55%で、HPLC純度は97%で、ee=98.5%であった。
NIR60A: H NMR (400MHz, in CDCl, 298K, δ in ppm) δ 1.52−1.59 (2H, m), 1.74−1.78 (1H, m), 1.94−1.96 (1H, m), 2.54−2.63 (3H, m), 3.06−3.12 (2H, m), 6.62 (2H, d), 7.00 (2H, d). MS: 177.2 (M+H).
【0085】
[実施例4]
【化24】
【0086】
氷浴において、NIR60(50g)のジクロロメタン(750mL)溶液にBocO(59.47g)のジクロロメタン溶液(500mL)を入れ、反応完了後、水(500 mL)を入れて撹拌し、そして15〜25℃に昇温させた。静置して分液し、減圧で(45〜50℃)画分が顕著に減少する(約1体積)まで濃縮した。200 mLのイソプロパノールを入れ、窒素ガスで置換し、55〜60℃に昇温させ、溶液が清澄になるまで半時間撹拌し、続いて2時間撹拌した。ゆっくり400mLの水を滴下し、続いて温度を維持しながら5時間撹拌した。少しずつ0度に降温させ、続いて撹拌した。0度でろ過し、ケーキを水/イソプロパノール(3/1=V:V)で2回洗浄した。真空乾燥してピンク色の固体としてNIR70を66.6g得たが、収率は85%で、HPLC純度は98%で、ee=98.4%であった。
NIR70: H NMR (400MHz, in CDCl, 298K, δ in ppm) δ 1.46 (9H, s), 1.53−1.58 (2H, m), 1.72−1.76 (1H, d), 1.95−1.98 (1H, m), 2.55−2.69 (3H, m), 3.60 (2H, s), 4.13 (2H, m), 6.64 (2H, d), 7.01 (2H, d). MS: 221.1 (M−C+H). [α]25 −72.7° (c 1.0, CHCl).
【0087】
[実施例5]
【化25】
【0088】
NIR05Bは文献の方法(Journal of Organic Chemistry,77(16),7028−7045,2012)に従って製造された。
反応瓶にNIR05B(19g,84mmol)、NIR01(18.2g,100mmol)、トリエチルアミン(17g,168mmol)および200 mLのジクロロメタンを投入した。撹拌しながら、HATU(33.5g,88mmol)を分けて入れた。反応系を室温で18時間撹拌した。反応完了後、200mLの水を入れた後、4Nの塩酸でpH=1になるように調整した。混合物を300mLのジクロロメタンで抽出した。抽出液を順に100mLの飽和炭酸水素ナトリウム、100mLの水で洗浄し、有機相を減圧で濃縮した。得られた粗製品をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:ジクロロメタン=2:1(V:V))によって精製し、NIR30Bを得たが、赤色の油状物(29g,収率:89%)であった。
NIR10B: H NMR (400MHz, in CDCl, δ in ppm) δ 1.49, 1.54 (3H, d, d); 1.75−1.89 (2H, m); 3.16−3.48 (4H, m); 3.81 (3H, s); 3.86, 3.93 (2H, s, s); 5.09, 5.98 (1H, t, t); 6.84−6.88 (2H, m); 7.05−7.24 (2H, d, d); 7.43−7.51 (2H, d, d); 8.19 (2H, d). MS: 391 (M+H).
【0089】
[実施例6]
【化26】
【0090】
反応瓶にNIR10B(13.5g,34.6mmol)、無水炭酸カリウム(9.6g,69.2mmol)および130mLのDMFを投入した。反応系を窒素ガスの保護下で50℃に昇温させ、温度を維持しながら一晩撹拌した。反応系を室温に降温させた後、500mLの水を入れ、さらに酢酸エチルで2回抽出した(300mL×2)。有機相を減圧で濃縮してNIR30Bの粗製品を得、粗製品を60℃の加熱条件で18mLのMTBEに溶解させた。溶液をゆっくり撹拌しながら、ゆっくり室温に降温させ、一晩撹拌し、ろ過し、ケーキを8mLのMTBEで2回洗浄した。乾燥してNIR30Bの精製品を得たが、黄色の固体(2.7g、収率:22%)で、de=100%(HNMR)であった。
NIR30B: H NMR (400MHz, in CDCl, δ in ppm) δ 1.58 (3H, d); 1.65−1.73 (1H, m); 1.83−1.97 (2H, m); 2.12−2.21 (1H, m); 2.97 (1H, m), 3.27 (1H, m), 3.78−3.85 (1H, m), 3.80 (3H, s), 6.13 (1H, q), 6.88 (2H, d), 7.27 (2H, d), 7.38 (2H, d), 8.21 (2H, d). MS: 354.9 (M+H).
【0091】
[実施例7]
【化27】
【0092】
NIR05Cは文献の方法(Journal of Organic Chemistry,77(16),7028−7045,2012)に従って製造された。
反応瓶にNIR05C(16g,74mmol)、NIR01(14.8g,82mmol)、トリエチルアミン(15g,148mmol)および170mLのジクロロメタンを投入した。撹拌しながら、HATU(29.5g,78mmol)を分けて入れた。反応系を室温で4時間撹拌した。反応完了後、200mLの水を入れた後、4Nの塩酸でpH=1になるように調整した。混合物を200mLのジクロロメタンで抽出した。抽出液を順に150mLの飽和炭酸水素ナトリウム、150mLの水で洗浄した。有機相を減圧で濃縮した。得られた粗製品をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:ジクロロメタン=2:1)によって精製し、NIR10Cを得たが、赤色の油状物(22.2g,収率:79%)であった。
NIR10C: H NMR (400MHz, in CDCl, δ in ppm) δ 1.51−1.64 (3H, m); 1.82−1.93 (2H, m); 3.11−3.51 (4H, m); 3.86, 3.92 (2H, s, s); 5.12, 5.99 (1H, t, t); 7.00−7.07 (2H, m); 7.08−7.30 (2H, m, m); 7.42−7.50 (2H, m); 8.19 (2H, d). MS: 378.9 (M+H).
【0093】
[実施例8]
【化28】
【0094】
反応瓶にNIR10C(10g,26.4mmol)およびDMF(100mL)を投入した。撹拌しながら、無水炭酸カリウム(7.3g,52.8mmol)を入れた。反応系を窒素ガスの保護下で50℃に昇温させ、温度を維持しながら一晩撹拌した。反応系を室温に降温させた後、300mLの水を入れ、さらに酢酸エチルで3回抽出した(300mL×3)。有機相を減圧で濃縮した。粗製品を60℃の加熱条件で15mLのMTBEに溶解させた。溶液をゆっくり撹拌しながら、ゆっくり室温に降温させ、一晩撹拌し、ろ過し、ケーキを5mLのMTBEで2回洗浄した。乾燥してNIR30Cを得たが、黄色の固体(2.5g、収率:28%)で、de=100%(HNMR)であった。
NIR30C: H NMR (400MHz, in CDCl, δ in ppm) δ 1.57 (3H, d); 1.65−1.74 (1H, m); 1.85−1.97 (2H, m); 2.18 (1H, m); 2.96 (1H, m), 3.29 (1H, m), 3.81 (1H, m), 3.80 (3H, s), 6.15 (1H, q), 7.04 (2H, m), 7.31 (2H, m), 6.40 (2H, m), 8.21 (2H, d). MS: 342.9 (M+H).
【0095】
[実施例9]
【化29】
【0096】
NIR05Dは文献の方法(Journal of Organic Chemistry,77(16),7028−7045,2012)に従って製造された。
反応瓶にNIR05D(6.25g,29.5mmol)、NIR01(5.3g, 29.5mmol)、トリエチルアミン(6.0g,59mmol)および60mLのジクロロメタンを投入した。撹拌しながら、HATU(1.8g,31mmol)を分けて入れた。反応系を室温で16時間撹拌した。反応完了後、150mLの水を入れた後、1Nの塩酸でpH=1になるように調整した。混合物をジクロロメタンで2回抽出した(150mL×2)。抽出液を順に100mLの飽和炭酸水素ナトリウム、30mLの水で洗浄した。有機相を減圧で濃縮した。得られた粗製品をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:ジクロロメタン=3:1(V:V))によって精製し、赤色の油状物としてNIR30Dを得た(9.5g,収率:86%)。
NIR10D: H NMR (400MHz, in CDCl, δ in ppm) δ 0.83−1.02 (3H, m); 1.35−2.20 (4H, m); 3.15−3.43 (4H, m); 3.87, 3.99 (2H, d, s); 4.85, 5.80 (1H, t, t); 7.15−7.36 (5H, m); 7.49 (2H, m); 8.20 (2H, m). MS: 374.9 (M+H).
【0097】
[実施例10]
【化30】
【0098】
反応瓶に無水炭酸カリウム(6.8g,49.6mmol)および30mLのDMFを投入した。撹拌しながら、NIR10D(9.3g,24.8mmol)のDMF(4mL)溶液を滴下した。反応系を窒素ガスの保護下で50℃に昇温させ、温度を維持しながら6時間撹拌した。反応系を室温に降温させた後、600mLの水を入れ、さらに酢酸エチルで3回抽出した(100mL×3)。有機相を減圧で濃縮した。8.3gの粗製品を得、14mLのMTBEを入れ、少しずつ昇温させ、温度が50℃に上がった時、粗製品が完全に溶解し、一旦室温に自然冷却し、さらに氷水で降温させ、ろ過し、ケーキを冷やしたMTBEで2回洗浄した。乾燥してNIR30Dを得たが、白色の固体(2.6g、収率:30%)で、de=100%(HNMR)であった。
NIR30D: H NMR (400MHz, in CDCl, δ in ppm) δ 1.05 (3H, d); 1.68 (1H, m); 1.86−2.19 (5H, m); 3.01 (1H, m), 3.24 (1H, m), 3.82 (1H, m), 5.95 (1H, q), 7.27−7.38 (5H, m), 7.40 (2H, d), 8.20 (2H, d). MS: 339.0 (M+H).
【0099】
[実施例11]
【化31】
【0100】
NIR05Eは文献の方法(Journal of Organic Chemistry,77(16),7028−7045,2012)に従って製造された。
反応瓶にNIR05E(11.45g,53.7mmol)、NIR01(12.65g,69.9mmol)、トリエチルアミン(10.85g,56.4mmol)および100mLのジクロロメタンを投入した。撹拌しながら、HATU(21.4g,56.4mmol)を分けて入れた。反応系を室温で16時間撹拌した。反応完了後、50mLの水を入れた後、4Nの塩酸でpH=1になるように調整した。混合物を50mLのジクロロメタンで抽出した。抽出液を順に70mLの飽和炭酸水素ナトリウム、50mLの水で洗浄した。有機相を減圧で濃縮した。得られた粗製品をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=4:1(V:V))によって精製し、赤色の油状物としてNIR30Eを得た(7g,収率:35%)。
NIR10E: H NMR (400MHz, in CDCl, δ in ppm) δ 1.66, 1.95 (2H, m, m); 3.27−3.46 (4H, m); 3.85−4.17 (4H, m); 5.14, 5.55 (1H, m, m); 7.04−7.37 (5H, m); 7.47 (2H, m); 8.19 (2H, m). MS: 377.0 (M+H).
【0101】
[実施例12]
【化32】
【0102】
反応瓶に無水炭酸カリウム(6.6g,47.8mmol)および50mLのDMFを投入した。撹拌しながら、NIR10E(9g,23.9mmol)のDMF(50mL)溶液を滴下した。反応系を窒素ガスの保護下で50℃に昇温させ、温度を維持しながら6時間撹拌した。反応系を室温に降温させた後、200mLの水を入れ、さらに酢酸エチルで3回抽出した(200mL×3)。有機相を減圧で濃縮した。粗製品を加熱条件(50℃)で14mLのMTBEに溶解させた。溶液をゆっくり撹拌しながら、ゆっくり室温に降温させ、一晩撹拌し、ろ過し、ケーキを10mLのMTBEで2回洗浄した。乾燥して白色の固体としてNIR30E(500mg、収率:6%)を得たが、de=100%(HNMR)であった。
NIR30E: H NMR (400MHz, in CDCl, δ in ppm) δ 1.76 (1H, m); 1.90 (2H, m); 2.21 (1H,m), 3.09 (1H, m), 3.37 (1H,m), 3.88 (1H,m), 4.21 (2H, m), 5.97 (1H, q), 7.28−7.40 (5H, m), 7.43 (2H, d), 8.20 (2H, d). MS: 340.9 (M+H).
【0103】
以上、本発明の具体的な実施形態を記述したが、当業者にとって、これらは例示の説明だけで、本発明の原理と実質に反しないという前提下において、これらの実施形態に対して様々な変更や修正をすることができる。そのため、本発明の保護範囲は添付の請求の範囲によって限定される。
図1