【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は主に下記技術方案によって上記技術課題を解決する。
本発明は、化合物fを製造する方法であって、溶媒において、塩基の作用下で、化合物eに以下で示される環化反応をさせて化合物fを得る工程を含む方法を提供する。
【0014】
【化4】
【0015】
ただし、Aは任意に置換されたアリール基または任意に置換されたヘテロアリール基である。置換基はH、D、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン、アリール基、アリーロキシ基、アルキニル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アミノ基、アシル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、アシルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基またはハロアルキル基である。R
2はH、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基である。Xは脱離基で、好ましくはハロゲン(たとえばCl、BrまたはI)、メチルスルホニルオキシ基(−OSO
2CH
3)またはp−トルエンスルホニルオキシ基(−OTs)である。ここで、置換基の個数は1〜6、好ましくは1〜3である。置換基が2、3、4、5または6個の場合、置換基は同じでもよく、異なってもよい。)
【0016】
本発明の一つの好適な実施形態において、Aは下記Sub-1で表される基が好ましく、ここで、R
1、R
1a、R
1b、R
1cおよびR
1dは独立にH、D、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロゲン、アリール基、アリーロキシ基、アルキニル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アミノ基、アシル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基、アシルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基またはハロアルキル基で、R
2はH、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基で、R
1、R
1a、R
1b、R
1cおよびR
1dは独立にH、アルコキシ基またはハロゲンが好ましく、R
2はH、アルキル基またはヒドロキシ基である。
【0017】
【化5】
【0018】
本発明の一つの好適な実施形態において、Aは上記Sub-1で表される基で、R
1、R
1a、R
1bおよびR
1dはHで、R
1cはH、アルコキシ基またはハロゲン(たとえばH、メトキシ基またはF)で、R
2はH、アルキル基またはヒドロキシ基(たとえばH、メチル基またはヒドロキシ基)である。
本発明の一つの好適な実施形態において、R
1、R
1a、R
1b、R
1cおよびR
1dはHで、R
2はHである。
【0019】
前記の化合物fの製造方法では、前記の有機溶媒は本分野のこのような反応の通常の溶媒でもよいが、反応の進行に影響を与えなければよく、アミド類溶媒および/またはニトリル類溶媒が好ましく、たとえばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)および/またはアセトニトリルが挙げられる。前記の溶媒の使用量は具体的に限定されてよいが、反応の進行に影響しなければよい。前記の塩基はアルカリ金属炭酸塩が好ましく、たとえば炭酸カリウムが挙げられる。前記の塩基および前記化合物eの使用量は本分野のこのような反応の通常の使用量でもよいが、具体的に限定されず、反応の進行に影響しなければよく、過剰量の塩基、すなわち、前記の塩基と前記化合物eのモル比が1:1以上であることが好ましい。前記の環化反応の温度は本分野のこのような反応の通常の温度でもよいが、30〜50℃が好ましい。前記の反応の進行は本分野の通常の検出方法(たとえばTLC、HPLC、GCまたはHNMRなど)でモニタリングしてもよいが、化合物eが無くなる時点を反応の終点とすることが好ましい。
【0020】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記の化合物fの製造方法では、塩基と溶媒の混合溶液を、化合物eと溶媒の混合溶液と混合し、前記の反応を行う工程を含むことが好ましい。塩基と溶媒の混合溶液に化合物eと溶媒の混合溶液を入れることが好ましい。
【0021】
前記の化合物fの製造方法では、前記の環化反応が終了した後、さらに後処理の操作を含んでもよい。前記の後処理の方法および条件は本分野の後処理の通常の方法および条件でもよいが、たとえば再結晶が挙げられる。前記の再結晶の溶媒はエーテル類溶媒(好ましくはMTBE)、ニトリル類溶媒(たとえばアセトニトリル)、エステル類溶媒(好ましくは酢酸エチル)、エーテル類とアルカン類の混合溶媒、ニトリル類溶媒とアルカン類の混合溶媒、あるいはエステル類溶媒とアルカン類の混合溶媒が好ましい。前記のアルカン類溶媒は本分野の通常のアルカン類溶媒でもよいが、たとえばC
5−C
8のアルカン類溶媒が挙げられる。前記の再結晶の温度は0〜60℃(たとえば30〜50℃)が好ましい。再結晶の温度は、通常、熱量を提供し、物質の溶解速度を加速させ、そして物質の溶媒における溶解度を向上させるためのもので、実際の操作に応じて選択することができる。前記の再結晶の溶媒の使用量は具体的に限定されなくてもよいが、実際の操作に応じて選択することができる。前記の再結晶の回数は必要によって選択することができるが、1〜5回でもよい。
【0022】
再結晶の操作を行う前、反応溶媒によって、前記の環化反応終了後の反応液に対してろ過または抽出の操作を行ってもよい。たとえば、反応溶媒がアミド類溶媒の場合、再結晶の操作を行う前、前記の環化反応終了後の反応液に対して抽出の操作を行ってもよい。反応溶媒がニトリル類溶媒の場合、再結晶の操作を行う前、前記の環化反応終了後の反応液に対してろ過の操作を行ってもよい。
【0023】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記抽出操作では、抽出有機溶媒は本分野の通常の有機溶媒、たとえばハロゲン化炭化水素類溶媒(好ましくはジクロロメタン)、エーテル類溶媒(好ましくはMTBE)あるいはエステル類溶媒(好ましくは酢酸エチル)である。
前記の環化反応終了後の抽出の操作を経て得られた有機層は、減圧で濃縮して一部の抽出有機溶媒を除去するか、減圧で溶媒がなくなるまで濃縮し、さらに再結晶の操作を行ってもよい。
【0024】
本発明は、以下の工程を含むことが好ましい:
(a)環化反応終了後の反応液に対して抽出操作を行った後、有機層を得、有機層から一部の有機溶媒を除去し、混合溶液Aを得る工程で、ここで、抽出用有機溶媒はハロゲン化炭化水素類溶媒(好ましくはジクロロメタン)、エーテル類溶媒(好ましくはMTBE)あるいはエステル類溶媒(好ましくは酢酸エチル)が好ましく、前記の混合溶液Aと化合物eの体積質量比は1 mL/gが好ましい;
(b)工程(a)で得られた混合溶液Aを有機溶媒と混合し、再結晶させ、ろ過する工程で、ここで、前記有機溶媒は前記再結晶の溶媒と同様であることが好ましい。
本発明の一つの好適な実施形態において、工程(b)は気体(たとえば窒素ガス)の保護下で行われることが好ましい。
【0025】
前記の化合物fの製造方法における後処理の操作は、さらに以下の工程を含むことが好ましい:
(1)環化反応終了後の反応液を水と混合し(好ましくは水に注ぎ)、有機溶媒(たとえばエーテル類溶媒、好ましくはMTBE、またはエステル類溶媒、好ましくは酢酸エチル)で抽出し、有機層を食塩水で洗浄し、乾燥し(たとえば無水硫酸ナトリウム)、1V(たとえば化合物e=100gであれば、1V=100mLで、すなわち、1Vとは混合液Aと化合物eの体積質量比が1 mL/gであることをいう)になるまで有機層を減圧で濃縮し、混合溶液Aを得る;(2)気体(たとえば窒素ガス)の保護下で、工程(1)で得られた混合溶液A与を有機溶媒(たとえばエーテル類溶媒またはエーテル類とアルカン類の混合溶媒、好ましくはMTBE)と混合し、ろ過し、ケーキを有機溶媒で洗浄し(たとえばエーテル類溶媒またはエーテル類とアルカン類の混合溶媒、好ましくはMTBEで洗浄し)、乾燥(たとえば真空乾燥)する。ここで、前記の混合の温度は0〜60℃(たとえば30〜50℃)が好ましい。前記のろ過の温度は−5〜5℃、たとえば0〜5℃が好ましい。
【0026】
本発明の一つの好適な実施形態において、化合物fの製造方法では、同時に化合物fの異性体である化合物f1を得、すなわち、化合物f1の製造方法は化合物fと同様で、ここで、化合物f1の構造は以下の通りである。
【0027】
【化6】
【0028】
ただし、AおよびR
2の定義はいずれも前記の通りである。
本発明において、化合物fと化合物f1は物理的性質の差が大きく、エタノール、アセトンなどの溶媒では結晶できず、結晶性に差がない。しかし、特定の溶媒では、化合物fは溶解度が化合物f1よりも低く、よって固体として析出する。また、本願の発明者らは、さらに、化合物fと化合物f1の混合物において、化合物fが析出し続けると、動的平衡になるように、化合物f1は化合物fに変換し続ける。もちろん、化合物fが析出した後、そのままろ過の操作を行うことによって、化合物fを得、化合物f1は母液に残ってもよい。本発明の一つの好適な実施形態において、母液における化合物f1は本分野の通常の異性化方法(たとえば、酸の作用または塩基の作用などで、ここで、前記の酸および前記の塩基は有機合成分野の異性化方法における通常の酸または塩基でもよいが、化合物f1を異性化させることができればよい)によって部分的に化合物fに変換してもよい。化合物fと化合物f1のモル比が1:1の場合、混合物は化合物ffで表示してもよい。化合物fと化合物f1の混合物は環化反応の後処理の操作によって、さらに化合物fを得ることができる。化合物f1の全部または大半が化合物fに変換するまで繰り返すことによって、合計収率はさらに向上する。ここで、化合物ffの構造は以下の通りである。
【0029】
【化7】
【0030】
ただし、AおよびR
2の定義はいずれも前記の通りである。
また、本発明は、化合物fの製造方法であって、化合物fおよび化合物f1を含有する混合物と溶媒からなる混合液から固体を析出させる工程を含む方法を提供する。前記の溶媒はニトリル類溶媒、エステル類溶媒、エーテル類溶媒、エーテル類とアルカン類の混合溶媒、ニトリル類溶媒とアルカン類の混合溶媒、あるいはエステル類溶媒とアルカン類の混合溶媒のうちの1種または複数である。ここで、前記のニトリル類溶媒は有機合成分野の通常のニトリル類溶媒でもよいが、アセトニトリルが好ましい。前記のエステル類溶媒は有機合成分野の通常のエステル類溶媒でもよいが、酢酸エチルが好ましい。前記のエーテル類溶媒は有機合成分野の通常のエーテル類溶媒でもよいが、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)が好ましい。前記のアルカン類溶媒は本分野の通常のアルカン類溶媒、たとえばC
5〜C
8のアルカン類溶媒でもよい。
【0031】
【化8】
【0032】
ただし、AおよびR
2の定義はいずれも前記の通りである。
ここで、前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物における化合物fと化合物f1のモル比は任意の比率で存在してもよいが、1:2〜2:1が好ましく、HPLCやTLCなどの通常の検出方法によって両者のモル比を確認することができる。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物は、化合物fと化合物f1からなるもの、あるいは化合物fおよび化合物f1のHPLC含有量が70%以上(たとえば75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、99%以上)のものでもよい。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物がほかの物質を含有する場合、当該物質が化合物fの溶媒における固体の析出に影響しなければよい。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物と溶媒は0℃〜常圧における溶媒還流温度、好ましくは30℃〜常圧における溶媒還流温度、より好ましくは30℃〜50℃の温度で混合することが好ましい。前記固体を析出させる温度は氷浴から室温の条件(たとえば−5℃〜30℃)が好ましく、−5℃〜5℃がより好ましい。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物と溶媒を混合する時間は、具体的に限定されなくてもよい。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物と溶媒は、気体、たとえば窒素ガスの保護下で混合することが好ましい。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物と溶媒の混合液において、前記の溶媒の使用量は、具体的に限定されなくてもよいが、化合物fを氷浴から室温の条件下で固体として析出させることができればよい。溶媒の使用量が多すぎると、有機合成分野の通常の溶媒を除去する方法、たとえば減圧で蒸留し、一部の溶媒を除去することによって、化合物fが氷浴から室温の条件下で固体として析出できるようにすればよい。
【0033】
前記の化合物fの製造方法は、終了後、さらに後処理の操作を含んでもよい。前記の後処理の操作は本分野の通常の操作でもよいが、反応終了後の反応液をろ過し(好ましくは0℃〜室温の温度でろ過し)、ケーキを洗浄することが好ましい(洗浄用溶媒は固体を析出させる時に使用される溶媒が好ましい)。
前記の化合物fの製造方法は、終了後、析出した固体に対してさらに再結晶の操作を行ってもよい。前記の化合物fおよび化合物f1を含有する混合物の製造方法および条件は前記化合物fの製造方法および条件と同様である。前記の再結晶の溶媒はエーテル類溶媒(好ましくはMTBE)、ニトリル類溶媒(たとえばアセトニトリル)、エステル類溶媒(好ましくは酢酸エチル)、エーテル類とアルカン類の混合溶媒、ニトリル類溶媒とアルカン類の混合溶媒、あるいはエステル類溶媒とアルカン類の混合溶媒が好ましい。前記のアルカン類溶媒は分野の通常のアルカン類溶媒でもよいが、たとえばC
5〜C
8のアルカン類溶媒が挙げられる。前記の再結晶の温度は0℃〜常圧における溶媒還流温度が好ましく、0℃〜60℃(たとえば30℃〜50℃)がより好ましい。再結晶の温度は、通常、熱量を提供し、物質の溶解速度を加速させ、そして物質の溶媒における溶解度を向上させるためのもので、実際の操作に応じて選択することができる。前記の再結晶の溶媒の使用量は具体的に限定されなくてもよいが、実際の操作に応じて選択することができる。前記の再結晶の回数は必要によって選択することができるが、1〜5回でもよい。
【0034】
本発明の一つの好適な形態において、前記の化合物fの製造方法では、固体を析出させる溶媒および再結晶の溶媒がエーテル類とアルカン類の混合溶媒、ニトリル類溶媒とアルカン類の混合溶媒、あるいはエステル類溶媒とアルカン類の混合溶媒である場合、前記の混合溶媒において、各溶媒の使用量は具体的に限定されなくてもよいが、実際の必要に応じ、化合物fが氷浴から室温の条件下(たとえば−5℃〜30℃、好ましくは−5℃〜5℃)で固体として析出できるようにすればよい。
前記の化合物fの製造方法は、さらに、溶媒において、縮合剤の作用下で、化合物cまたは化合物cの酸性塩に、化合物dと以下で示されるアミド化反応をさせ、前記の化合物eを得る工程を含んでもよい。
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】
AおよびR
2の定義はいずれも前記の通りである。Xは脱離基で、ハロゲン(たとえばCl、BrまたはI)、メチルスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基が好ましい。Zは脱離基で、ヒドロキシ基、ハロゲン(たとえばF、Cl、BrまたはI)、アルコキシ基、N−オキシスクシンイミド基、N−オキシフタルイミド基または1−オキシベンゾトリアゾール基が好ましい。
【0038】
【化11】
【0039】
前記の化合物eの製造方法では、前記の溶媒は本分野のこのような反応の通常の溶媒でもよいが、ハロアルカン類溶媒および/またはエステル類溶媒が好ましく、たとえばジクロロメタン(DCM)および/または酢酸イソプロピルが挙げられる。前記の溶媒の使用量は具体的に限定されてよいが、反応の進行に影響しなければよい。前記の縮合剤は、本分野のこのような反応の縮合剤でもよいが、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)または2−(7−アザベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)が好ましい。前記の縮合剤および前記化合物cの使用量は本分野のこのような反応の通常の使用量でもよいが、具体的に限定されず、反応の進行に影響しなければよい。前記の化合物cと化合物d、または前記の化合物cの酸性塩と化合物dの使用量は本分野のこのような反応の通常の使用量でもよいが、具体的に限定されず、反応の進行に影響しなければよい。前記のアミド化反応の温度は本分野のこのような反応の通常の温度でもよいが、−5〜50℃、たとえば0℃〜5℃が好ましい。前記の反応の進行は本分野の通常の検出方法(たとえばTLC、HPLC、GCまたはHNMRなど)でモニタリングしてもよいが、化合物cが無くなる時点を反応の終点とすることが好ましい。
【0040】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記の化合物eの製造方法では、−5〜50℃、たとえば0℃〜5℃で、化合物cまたは前記の化合物cの酸性塩、化合物dおよび溶媒の混合溶液を、縮合剤および溶媒の混合溶液と混合し、前記の反応を行う工程を含むことが好ましい。化合物cまたは前記の化合物cの酸性塩、化合物dおよび溶媒の混合溶液に縮合剤および溶媒の混合溶液を滴下することが好ましい。
【0041】
前記の化合物eの製造方法では、前記のアミド化反応が終了した後、さらに後処理の操作を含んでもよい。前記の後処理の方法および条件は本分野の後処理の通常の方法および条件でもよい。本発明は、pH値=1になるようにアミド化反応終了後の反応液を調整し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウムおよび水で洗浄し、有機層を減圧で溶媒がなくなるまで濃縮する工程を含むことが好ましい。
前記の化合物fの製造方法は、さらに、溶媒において、化合物aと化合物bに、以下で示される置換反応をさせ、前記の化合物cを得る工程を含んでもよい。
【0042】
【化12】
【0043】
AおよびR
2の定義はいずれも前記の通りである。XおよびYは脱離基で、それぞれ独立にハロゲン(たとえばCl、BrまたはI)、メチルスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基が好ましい。中では、YはXよりも脱離しやすい。
本発明において、化合物cは文献Journal of Organic Chemistry, 77(16),7028−7045, 2012における方法を参照して製造することができる。
また、本発明は、化合物e、化合物f、化合物g、化合物f1または化合物ffを提供する。
【0044】
【化13】
【0045】
ただし、X、AおよびR
2の定義はいずれも前記の通りである。
【0046】
【化13】
【0047】
【化14】
【0048】
【化15】
【0049】
また、本発明は、(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンを製造する方法であって、溶媒において、パラジウム/炭素および水素ガスの作用下で、化合物gに以下で示される脱保護・水素化還元の反応をさせ、(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンを得る工程を含む方法を提供する。
【0050】
【化16】
【0051】
AおよびR
2の定義はいずれも前記の通りである。
前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンの製造方法では、前記の溶媒は本分野のこのような反応の通常の溶媒でもよいが、アルコール類溶媒が好ましい。前記のアルコール類溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールおよびt−ブタノールのうちの1種または複数が好ましく、メタノールがより好ましい。前記の溶媒の使用量は具体的に限定されてよいが、反応の進行に影響しなければよい。前記のパラジウム/炭素は水酸化パラジウム炭素が好ましく、20%の水酸化パラジウム炭素がより好ましく、ここで、百分率とは水酸化パラジウム炭素の全質量におけるパラジウムの質量が占める百分率をいう。前記のパラジウム/炭素が水酸化パラジウム炭素である場合、前記の反応は酢酸の作用下で行われることが好ましい。前記の反応の圧力は本分野のこのような反応の通常の圧力でもよいが、1.0 MPa〜1.5 MPaが好ましい。前記の反応の温度は本分野のこのような反応の通常の温度でもよいが、45〜50℃が好ましい。前記の反応の進行は本分野の通常の検出方法(たとえばTLC、HPLC、GCまたはHNMRなど)でモニタリングしてもよいが、化合物gが無くなる時点を反応の終点とすることが好ましい。
【0052】
前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンの製造方法では、反応を行う前、反応装置を水素ガスで置換し(たとえば3回)、そして圧力を負荷する(たとえば1.0 MPa〜1.5 MPaになるように圧力を負荷する)ことが好ましい。
前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンの製造方法は、化合物gを溶媒と混合した後、パラジウム/炭素を入れ、さらに水素ガスで反応装置を置換して圧力を負荷し、前記の触媒水素化反応を行う工程を含むことが好ましい。
前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンの製造方法では、前記の反応が終了した後、さらに後処理の操作を含んでもよい。前記の後処理の方法および条件は本分野の後処理の通常の方法および条件でもよい。本発明は、前記反応終了後の反応液を固液分離し(たとえばろ過し)、ろ液における溶媒を除去し(たとえば減圧で濃縮し)、産物1を得る工程と、得られた産物1を水と混合し、pH値=10になるように調整し(たとえば30%のアルカリ水溶液で)、さらに有機溶媒(たとえば酢酸エチル)で抽出し(抽出の回数は1〜2回でもよい)、有機層を食塩水で洗浄し、有機層の溶媒を除去し(たとえば減圧で濃縮し)、産物2を得る工程と、前記産物2を再結晶させ(再結晶の溶媒は酢酸エチル−n−ヘプタンが好ましい)、得られた固体を乾燥(たとえば真空乾燥)する工程とを含むことが好ましい。
前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンの製造方法は、さらに、気体の保護下で、溶媒において、ルイス酸の存在下で、化合物fにアルカリ金属ホウ水素化物の還元剤の作用下で以下で示される還元反応をさせ、前記の化合物gを得る工程を含んでもよい。
【0053】
【化17】
【0054】
AおよびR
2の定義はいずれも前記の通りである。
本発明の一つの好適な実施形態において、前記の化合物fは前記方法によって製造されたものが好ましい。
前記の化合物gの製造方法では、前記の気体の保護における気体は反応装置の空気を置換することができ、かつ反応に関与しないものであればよいが、窒素ガスが好ましい。前記の溶媒は本分野のこのような反応の通常の溶媒でもよいが、エーテル系溶媒が好ましい。前記のエーテル系溶媒はテトラヒドロフランが好ましい。前記の溶媒の使用量は具体的に限定されてよいが、反応の進行に影響しなければよい。前記のルイス酸は三塩化アルミニウムが好ましい。前記の還元剤は水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。前記のルイス酸および前記の還元剤の使用量は本分野のこのような反応の通常の使用量でもよいが、具体的に限定されず、反応の進行に影響しなければよい。前記の化合物fと前記の還元剤の使用量は本分野のこのような反応の通常の使用量でもよいが、具体的に限定されず、反応の進行に影響しなければよい。前記の反応の温度は本分野のこのような反応の通常の温度でもよいが、0〜30℃(たとえば氷浴)が好ましい。前記の反応の進行は本分野の通常の検出方法(たとえばTLC、HPLC、GCまたはHNMRなど)でモニタリングしてもよいが、化合物fが無くなる時点を反応の終点とすることが好ましい。
【0055】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記の化合物gの製造方法では、気体の保護下で、−5〜5℃(たとえば0℃)で、溶媒、ルイス酸および還元剤の混合溶液を、化合物fおよび溶媒の混合溶液と混合し、前記の反応を行う工程を含むことが好ましい。化合物fおよび溶媒の混合溶液を溶媒、ルイス酸および還元剤の混合溶液に滴下することが好ましい。ここで、前記の溶媒、ルイス酸および還元剤の混合溶液は−5〜5℃(たとえば0℃)で、溶媒にルイス酸を分けて入れ、そして−5〜10℃(たとえば0℃)で、窒素ガスの保護下で還元剤を分けて入れることが好ましい。
【0056】
前記の化合物gの製造方法では、前記の還元反応が終了した後、さらに後処理の操作を含んでもよい。前記の後処理の方法および条件は本分野の後処理の通常の方法および条件でもよい。本発明は、−5〜5℃(たとえば0〜5℃)で、前記の還元反応終了後の反応液を塩酸水溶液(塩酸水溶液の調製方法は、たとえば、400 gの水を235 gの濃塩酸に入れてなる)と混合し、水を入れ、pH値=11〜12になるように系を調整し(たとえば30%のアルカリ水溶液で)、さらに混合物を有機溶媒で抽出し(たとえば酢酸エチルで2回抽出し)、有機層を食塩水で洗浄し、減圧で濃縮する工程とを含むことが好ましい。
【0057】
また、本発明は、化合物hを製造する方法であって、溶媒において、前記製造方法によって製造された(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンにアミノ基保護試薬と以下で示される反応をさせ、化合物hを得る工程を含む方法を提供する。
【0058】
【化18】
【0059】
ただし、Mは本分野の通常のアミノ保護基、たとえばアルコキシカルボニル系アミノ保護基(通常の基として、たとえばBoc、Cbz、Fmoc、Alloc、Teoc、メトキシカルボニル基やエトキシカルボニル基)やアシル系アミノ保護基(通常の基として、たとえばPht、TosやTfa)である。
【0060】
前記の化合物hの製造方法では、前記の溶媒は本分野のこのような反応の通常の溶媒でもよいが、ハロアルカン類溶媒が好ましく、たとえばジクロロメタン(DCM)が挙げられる。前記の溶媒の使用量は具体的に限定されてよいが、反応の進行に影響しなければよい。前記のアミノ基保護試薬は本分野のこのような反応の通常のアミノ基保護試薬でもよいが、Boc
2Oが好ましい。前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンおよびアミノ基保護試薬の使用量は本分野のこのような反応の通常の使用量でもよいが、具体的に限定されず、反応の進行に影響しなければよい。前記の反応の温度は本分野のこのような反応の通常の温度でもよいが、−5〜5℃(たとえば0℃)が好ましい。前記の反応の進行は本分野の通常の検出方法(たとえばTLC、HPLC、GCまたはHNMRなど)でモニタリングしてもよいが、(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンが無くなる時点を反応の終点とすることが好ましい。
【0061】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記の化合物hの製造方法では、−5〜5℃(たとえば0℃)で、(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンおよび還元剤の混合溶液を、アミノ基保護試薬および溶媒の混合溶液と混合し、前記の反応を行う工程を含むことが好ましい。(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンおよび溶媒の混合溶液にアミノ基保護試薬およびと溶媒の混合溶液を入れることが好ましい。
前記の化合物hの製造方法では、前記の反応が終了した後、さらに後処理の操作を含んでもよい。前記の後処理の方法および条件は本分野の後処理の通常の方法および条件でもよい。本発明は、反応終了後の反応液を水と混合し、撹拌して15〜25℃に昇温させ、静置して分液し、1V(たとえば(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリン=100 gの場合、1V=100 mL)になるように有機層を減圧で濃縮し(たとえば減圧で濃縮する温度は45〜50℃である)、濃縮液1を得る工程と、気体(たとえば窒素ガス)の保護下で、得られた濃縮液1をアルコール類溶媒(たとえばイソプロパノール)と混合し、溶液が清澄になるまで撹拌し(たとえば55〜60℃で撹拌し)、混合溶液を得る工程と、得られた混合溶液を水と混合し、撹拌し(まず55〜60℃で撹拌し、さらに−5〜5℃、たとえば0℃で撹拌し)、ろ過し(−5〜5℃、たとえば0℃でろ過し)、ケーキを水/アルコール類溶媒(たとえばイソプロパノール)で洗浄し、乾燥(たとえば真空乾燥)する工程とを含むことが好ましい。
本発明において、前記の(S)−4−(ピペリジン−3−イル)アニリンの製造方法の経路は、以下のものが好ましい。
【0062】
【化19】
【0063】
本発明において、用語のアルキル基は、C
1−C
4アルキル基が好ましく、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基やt−ブチル基が挙げられる。
本発明において、用語のアルコキシ基は、C
1−C
4アルコキシ基が好ましく、たとえばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基やt−ブトキシ基が挙げられる。
本発明において、特別に説明しない限り、前記のハロゲンはCl、BrまはたIが好ましい。
【0064】
本発明において、用語のアリール基は、C6〜C20アリール基が好ましく、C6〜C14アリール基がより好ましい。ここで、前記のアリール基とは、通常、任意の安定した各環に多くとも7個の原子があってもよい単環式または二環式の炭素環で、そのうちの少なとも1つの環は芳香環である。上記アリール基の実例はフェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基、2,3−インダニル基、ビフェニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基やアセナフチル基(acenaphthyl)を含む。もちろん、アリール置換基が二環式置換基で、かつその1つの環が非芳香環の場合、連結は芳香環を介するものである。
【0065】
本発明において、用語のヘテロアリール基は、ヘテロ原子がO、NおよびSから選ばれ、ヘテロ原子数が1〜4個のC
2〜C
10ヘテロアリール基が好ましく、ヘテロ原子がO、NおよびSから選ばれ、ヘテロ原子数が1〜4個のC
2〜C
6ヘテロアリール基がより好ましい。前記のヘテロアリール基とは、通常、各環に多くとも7個の原子があってもよい安定した単環または二環で、その少なくとも1つの環は芳香環でO、N、およびSから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する。
本発明において、前記の「任意に置換された」とは、前記のアリール基または前記のヘテロアリール基に置換基が含まれているか、あるいは含まれていないということで、置換基が含まれている場合、置換基の個数は置換可能な位置によって調整すればよい。
【0066】
用語「アリーロキシ基」は酸素橋によって連結された前記炭素原子数を有するアリール基を表す。よって、「アリーロキシ基」は以上のアリール基の定義を含む。
用語「シクロアルキル基」とは、全炭素の単環または多環の基であって、各環に1つまたは複数の二重結合が含まれているが、完全共役のπ電子系を有する環がない基を指す。前記のシクロアルキル基は3〜20個の炭素からなる1〜3個の環を有するシクロアルキル基が好ましく、3〜10個の炭素がより好ましい。前記のシクロアルキル基の実例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基やシクロヘキセニル基を含むが、これらに限定されない。本発明において、前記シクロアルキル基は、重水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリール基、アリーロキシ基、シクロアルキル基、アシルアミノ基、オキシ、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基およびメルカプト基のうちの任意の1〜4種の置換基で置換された。置換基が2、3または4個の場合、置換基は同じでもよく、異なってもよい。
【0067】
用語「シクロアルケニル基」とは、全炭素の単環または多環の基であって、各環に1つまたは複数の二重結合が含まれているが、完全共役のπ電子系を有する環がない基を指す。前記のシクロアルケニル基は3〜20個の炭素からなる1〜3個の環を有するシクロアルケニル基が好ましく、3〜10個の炭素がより好ましい。前記のシクロアルケニル基は、たとえば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロデセニル基やシクロドデセニル基でもよい。前記のシクロアルケニル基は、重水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリール基、アリーロキシ基、シクロアルキル基、アシルアミノ基、オキシ、カルボニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基およびメルカプト基のうちの任意の1種または複数(好ましくは1〜4種)の本発明で定義された置換基で置換された。シクロアルケニル基の置換基で炭素−炭素二重結合が置換され、かつ二重結合が飽和になると、シクロアルキル基になる。
【0068】
用語「ヘテロシクロアルキル基」とは、本明細書で単独でまたは別の基の一部として使用される場合、1〜4個のヘテロ原子(たとえば窒素、酸素および硫黄のうちの1種または複数)を含む、4〜12員の単環または多環の基であって、各環に1つまたは複数の二重結合が含まれているが、完全共役のπ電子系を有する環がない基を指す。前記ヘテロシクロアルキル基は1〜4個の置換基、たとえばアルキル基、ハロゲンやオキソ基を含んでもよい。また、任意のヘテロシクロアルキル基の環はシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基またはヘテロシクロアルキル基の環に縮合してもよい。本明細書で定義された範囲内にあるヘテロシクロアルキル基は、オキセタニル基、ピラニル基、テトラヒドロピラニル基、アゼチジル基、1,4−ジオキサニル基、ヘキサヒドロアゼピニル基、ピペラジル基、ピペリジル基、ピロリジル基、モルホリル基、チオモルホリル基、ジヒドロフリル基、ジヒドロイミダゾリル基、ジヒドロインドリル基、ジヒドロイソオキサゾリル基、ジヒドロイソチアゾリル基、ジヒドロオキサジアゾリル基、ジヒドロオキサゾリル基、ジヒドロピラジニル基、ジヒドロピラゾリル基、ジヒドロピリジル基、ジヒドロピリミジニル基、ジヒドロピロリル基、ジヒドロテトラゾリル基、ジヒドロチアジアゾリル基、ジヒドロチアゾリル基、ジヒドロチエニル基、ジヒドロトリアゾリル基、ジヒドロアゼチジル基、テトラヒドロフリル基やテトラヒドロチエニル基およびそのN−オキシドを含むが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキル基は、その中の炭素原子またはヘテロ原子を介してほかの基と連結してもよい。
【0069】
用語「アルケニル基」とは指定の数の炭素原子と少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する直鎖、分岐鎖または環状の非芳香族炭化水素基をいう。好ましくは1個の炭素−炭素二重結合が存在し、かつ多くとも4個の非芳香族炭素−炭素二重結合が存在してもよい。本発明において、用語のアルケニル基とはC
2−12アルケニル基で、C
2−6アルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、2−メチルブテニル基やヘキセニル基を含む。アルケニル基の直鎖、分岐鎖または環の部分に二重結合を含んでもよく、かつ置換アルケニル基と表示する場合、置換基は独立にアルキル基、ハロゲン、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリール基、アリーロキシ基、シクロアルキル基、アシルアミノ基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基およびメルカプト基から選ばれる1種または複数(好ましくは1〜4種)以下の基でもよい。置換基が2、3または4個の場合、置換基は同じでもよく、異なってもよい。
用語「アルキニル基」とは指定の数の炭素原子と少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含有する直鎖、分岐鎖または環状の炭化水素基をいう。多くとも3個の炭素−炭素三重結合が存在してもよい。本発明において、用語のアルキニル基はC
2−12アルキニル基が好ましく、C
2−6アルキニル基がより好ましく、エチニル基、プロパギル基、ブチニル基や3−メチルブチニル基などを含む。
【0070】
【化20】
【0071】
用語「ハロアルキル基」はハロゲンで任意の位置に置換されたアルキル基を表す。よって、「ハロアルキル基」は以上のハロゲンおよびアルキル基の定義を含む。
本分野の常識に反しないことを前提に、上記各好適な条件を任意に組み合わせれば、本発明の各好適な実例が得られる。
【0072】
本発明で用いられる試薬および原料はいずれも市販品として得られる。
本発明において、常圧における溶媒還流温度とは、1標準大気圧における溶媒の還流温度である。
本発明において、室温とは10〜30℃、好ましくは25℃をいう。氷浴とは−5〜5℃、好ましくは0℃をいう。一晩とは8〜16時間、好ましくは12時間をいう。
本発明の積極的な進歩効果は以下の通りである。
本発明の製造方法は貴金属触媒による還元または貴金属によるカップリングおよびキラル分割を使用する工程がなく、設備に対する要求が低く、操作が簡単で、工業化生産に有利で、重金属やリンを含有する廃液の発生が避けられ、コストが低く、そして産物のee値が高い。