【実施例】
【0059】
以下に本発明の実施例及び比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0060】
実施例で用いる(B)アミノ樹脂、(C)水分散性アルミニウム顔料は下記の通りである。
[(B)アミノ樹脂]
・アミノ樹脂1:オルネクスジャパン株式会社製メラミン樹脂 サイメル232、有効成分100%。
[(C)水分散性アルミニウム顔料]
・水分散性アルミニウム顔料1:東洋アルミニウム株式会社製、WRA−5660。有効成分50%、表面はアクリル樹脂及び珪素系化合物からなるハイブリッド組成を含有する。鱗片状、ノンリーフィングタイプ。平均粒子径10μm。
・水分散性アルミニウム顔料2:東洋アルミニウム株式会社製、EMR−D5620、有効成分60%、表面は珪素系化合物を含有する。鱗片状、ノンリーフィングタイプ平均粒子径17μm。
・水分散性アルミニウム顔料3:東洋アルミニウム株式会社製、BP−6360J。有効成分50%、表面はアクリル樹脂を含有する。鱗片状、ノンリーフィングタイプ。平均粒子径10μm。
【0061】
<(A)水分散性ビニル系共重合体の製造>
[合成例1]
攪拌装置、還流冷却器及び窒素導入管を備えた3リットルの4つ口フラスコに下記原料を仕込み、90℃に昇温した。
イソプロパノール 12質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 8質量部
上記とは別に、下記原料の混合液を滴下ロートに仕込み、前記フラスコ内に120分かけて滴下した。ここで2,2′−アゾビスイソブチロニトリルは重合開始剤として作用する。
イソプロパノール 5質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 13質量部
アクリル酸 5質量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 15質量部
スチレン 10質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 10質量部
エチルアクリレート 10質量部
ブチルアクリレート 10質量部
メチルメタクリレート 40質量部
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 1質量部
上記の滴下が終了した後に、さらに、下記の混合物を30分毎に3回添加した。
イソプロパノール 0.4質量部
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 0.2質量部
そしてさらに、90℃で90分反応を続け、水分散性ビニル系共重合体溶液1(固形分72.2質量%、固形分の酸価38.3mgKOH。)を得た。
【0062】
[合成例2]
攪拌装置、還流冷却器及び窒素導入管を備えた3リットルの4つ口フラスコに下記を仕込み、90℃に昇温した。
イソプロパノール 12.0質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 8.0質量部
上記とは別に、下記の混合液を滴下ロートに仕込み、前記フラスコ内に120分かけて滴下した。
イソプロパノール 5質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 13質量部
アクリル酸 7質量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 15質量部
スチレン 10質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 10質量部
エチルアクリレート 10質量部
ブチルアクリレート 10質量部
メチルメタクリレート 38質量部
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 1質量部
滴下終了後、さらに下記の混合物を、30分毎に3回添加した。
イソプロパノール 0.4質量部
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 0.2質量部
そしてさらに、90℃で90分反応を続け、水分散性ビニル系共重合体溶液2(固形分72.2質量%、固形分の酸価53.6mgKOH。)を得た。
【0063】
[合成例3]
攪拌装置、還流冷却器及び窒素導入管を備えた3リットルの4つ口フラスコに下記を仕込み、90℃に昇温した。
イソプロパノール 12質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 8質量部
上記とは別に、下記の混合液を滴下ロートに仕込み、前記フラスコ内に120分かけて滴下した。
イソプロパノール 5質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 13質量部
アクリル酸 2質量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 15質量部
スチレン 10質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 10質量部
エチルアクリレート 10質量部
ブチルアクリレート 10質量部
メチルメタクリレート 43質量部
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 1質量部
滴下終了後、さらに下記の混合物を、30分毎に3回添加した。
イソプロパノール 0.4質量部
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 0.2質量部
さらに90℃で90分反応を続け、水分散性ビニル系共重合体溶液3(固形分72.2質量%、固形分の酸価15.3mgKOH。)を得た。
【0064】
[合成例4]
攪拌装置、還流冷却器及び窒素導入管を備えた3リットルの4つ口フラスコに下記を仕込み、90℃に昇温した。
イソプロパノール 12質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 8質量部
上記とは別に、下記の混合液を滴下ロートに仕込み、前記フラスコ内に120分かけて滴下した。
イソプロパノール 5質量部
エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル 13質量部
アクリル酸 14質量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 15質量部
スチレン 10質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 10質量部
エチルアクリレート 10質量部
ブチルアクリレート 10質量部
メチルメタクリレート 31質量部
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 1質量部
滴下終了後、さらに下記の混合物を、30分毎に3回添加した。
イソプロパノール 0.4質量部
2,2′−アゾビスイソブチロニトリル 0.2質量部
さらに90℃で90分反応を続け、水分散性ビニル系共重合体溶液4(固形分72.2質量%、固形分の酸価107.2mgKOH。)を得た。
【0065】
【表1】
【0066】
[実施例1]
(水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)の製造)
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液1を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.2質量部
脱イオン水 123.8質量部
ここで、原液1中の水分散性ビニル系共重合体1の濃度は、90×0.722/(90+35+1.2+123.8)×100=25.99質量%である。
また、原液1中のアミノ樹脂1の濃度は、35/(90+35+1.2+123.8)×100=14.00質量%である。
そしてさらに、90℃で90分反応を続け、水分散性ビニル系共重合体溶液1(固形分72.2質量%、固形分の酸価38.3mgKOH。)を得た。
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液1を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液1(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液1 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
ここで、原液1中の水分散性ビニル系共重合体1の濃度は、200×0.2599/(789.4+200+10+0.6)×100=5.20質量%である。
また、原液1中のアミノ樹脂1の濃度は、200×0.14/(789.4+200+10+0.6)×100=2.80質量%である。
得られた電着塗料用希釈液1と水分散性アルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)1を得た。
電着塗料用希釈液1 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
ここで、水性樹脂組成物中の水分散性ビニル系共重合体1/アミノ樹脂1/水分散性アルミニウム顔料1、の質量比は、5.20/2.80/1×0.5であることから、下記
の質量比が算出される。
水分散性ビニル系共重合体1/アミノ樹脂1=5.20/2.80=65.0/35.0。
水分散性アルミニウム顔料1/(水分散性ビニル系共重合体1+アミノ樹脂1)=6.3/100.0
また、水性樹脂組成物の固形分中の各々の質量%は、下記の通りに算出される。
水分散性ビニル系共重合体1:5.20/(5.20+2.80+0.5)×100=61.2質量%。
アミノ樹脂1:2.80/(5.20+2.80+0.5)×100=32.9質量%。
水分散性アルミニウム顔料1:0.5/(5.20+2.80+0.5)×100=5.9質量%。
【0067】
(塗膜の形成)
水性樹脂組成物1と下記の被塗装物及び陰極を用いて、下記条件の定電流法にて両極間に電圧印加して、定電圧法アニオン電着塗装を行った。印加電圧は、下記範囲の電流密度を維持できるように、初期では低い電圧を印加し、塗膜の電気抵抗の上昇に応じて高い電圧が印加した。
被塗装物:アルカリ脱脂後に酸洗処理された厚さ1mmのA1100板材をコの字状に曲げて、上面部、側面部、下面部を有する形状にした。
陰極:18−8ステンレス鋼板
浴温:20℃
電流密度:3.0mA/cm
2
通電時間:10秒
次いで、電着塗装された被塗装物を取り出して充分に水洗したのちに、170℃の温度で20分間加熱して、電着塗膜を乾燥及び硬化(焼付乾燥)させて、金属調の外観を有する電着塗膜を得た。
そして、各種評価を行い、上記の算出結果と各種評価結果を表2に示した。
【0068】
[実施例2]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液2とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液2を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液2 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.7質量部
脱イオン水 123.3質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液2を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液2(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.1質量部
原液2 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.9質量部
得られた電着塗料用希釈液2と水分散性アルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)2を得た。
電着塗料用希釈液2 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)2を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0069】
[実施例3]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液2とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液3を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液2 83.1質量部
アミノ樹脂1 40.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.5質量部
脱イオン水 125.4質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液3を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液3(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.2質量部
原液3 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.8質量部
得られた電着塗料用希釈液3と水分散性アルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)3を得た。
電着塗料用希釈液3 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)3を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0070】
[実施例4]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液4を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液 1 66.4質量部
アミノ樹脂1 58.6質量部
ジメチルアミノエタノール 0.9質量部
脱イオン水 124.1質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液4(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液4 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
得られた電着塗料用希釈液4と水分散性アルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)4を得た。
電着塗料用希釈液4 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)2を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0071】
[実施例5]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液5を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.2質量部
脱イオン水 123.8質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液5を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液5(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液4 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
得られた電着塗料用希釈液5と水分散性アルミニウム顔料2とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)5を得た。
電着塗料用希釈液5 100質量部
アルミニウム顔料2 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)5を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0072】
[実施例6]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液6を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.2質量部
脱イオン水 123.8質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液6を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液6(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液5 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
得られた電着塗料用希釈液6とアルミニウム顔料3とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)6を得た。
電着塗料用希釈液6 100質量部
水分散性アルミニウム顔料3 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)6を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0073】
[実施例7]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液7を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.2質量部
脱イオン水 123.8質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液7を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液7(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液6 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
得られた電着塗料用希釈液7とアルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)7を得た。
電着塗料用希釈液7 100.0質量部
アルミニウム顔料1 1.8質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)7を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0074】
[比較例1]
下記の割合で、ビニル系共重合体溶液3とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液8を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液3 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.5質量部
脱イオン水 124.5質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液8を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液8(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.7質量部
原液8 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.3質量部
得られた電着塗料用希釈液8と水分散性アルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)8を得た。
電着塗料用希釈液8 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)8を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0075】
[比較例2]
下記の割合で、ビニル系共重合体溶液4とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液9を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液4 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 3.4質量部
脱イオン水 121.6質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液9を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液9(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 788.2質量部
原液9 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.8質量部
得られた電着塗料用希釈液9とアルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)9を得た。
電着塗料用希釈液9 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)9を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0076】
[比較例3]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液10を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 90.0質量部
アミノ樹脂1 35.0質量部
ジメチルアミノエタノール 1.2質量部
脱イオン水を 123.8質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液10を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液10(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液10 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
得られた電着塗料用希釈液10とアルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)10を得た。
電着塗料用希釈液10 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 0.01質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)10を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0077】
[比較例4]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液11を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 90質量部
アミノ樹脂1 35質量部
ジメチルアミノエタノール 1.2質量部
脱イオン水 123.8質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液11を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液11(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.4質量部
原液11 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
得られた電着塗料用希釈液11とアルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)11を得た。
電着塗料用希釈液11 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 3質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)11を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0078】
[比較例5]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて転相乳化を行ない、原液12を得た。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 124.7質量部
アミノ樹脂1 10質量部
ジメチルアミノエタノール 1.7質量部
脱イオン水 114.6質量部
そして、下記の割合で、別の容器に脱イオン水を仕込み、攪拌しながら上記で得た原液12を投入し、次にブチルセロソルブとジメチルアミノエタノールとを添加して均一化して、電着塗料用希釈液12(有効成分8%)を得た。
脱イオン水 789.1質量部
原液12 200.0質量部
ブチルセロソルブ 10.0質量部
ジメチルアミノエタノール 0.9質量部
得られた電着塗料用希釈液12とアルミニウム顔料1とを下記割合で混合、攪拌して、水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)12を得た。
電着塗料用希釈液12 100質量部
水分散性アルミニウム顔料1 1質量部
そして、水性樹脂組成物(水性電着樹脂ビニル系共重合体液)12を用いた以外は実施例1と同じ方法で電着塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0079】
[比較例6]
下記の割合で、水分散性ビニル系共重合体溶液1とアミノ樹脂1とを混合し、さらにジメチルアミノエタノールを添加混合した。攪拌を続けながら、脱イオン水を加えて原液13を得た。
しかしながら、原液13は、水溶化も転相乳化も生じず不均一であった為、以降の作業及び評価を中止した。
水分散性ビニル系共重合体溶液1 41.6質量部
アミノ樹脂1 70質量部
ジメチルアミノエタノール 0.6質量部
脱イオン水 137.8質量部
【0080】
[比較例7]
実施例1で得た水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)1を用いて、定電流法の代わりに定電圧法(250vで10秒間印加)を用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で電着塗装を行って、塗膜を形成して、同様に評価を行った。
【0081】
<電着塗膜の評価方法>
[メタリック感]
塗装物の電着塗膜のメタリック感(金属調外観)を、目視比較によって判定した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:メタリック感が良好で均一。
○:メタリック感がやや不足、または少々ムラ有り。
×:メタリック感が不足またはムラ多い。
【0082】
[膜厚均一性]
渦電流式膜厚計(Fisher製ISOSCOPE)を用いて、塗装物の上面部、側面部、下面部の電着塗膜の膜厚を測定して、σ(分散)を算出して判定した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:σが1.0μm未満。
○:σが1.0μm以上、2.0μm未満。
×:σが2.0μm以上。
【0083】
[光沢均一性]
塗装物の側面部、上面部、下面部の電着塗膜の光沢を、60°鏡面反射率を用いて測定して、σ(分散)を算出して判定した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:σが5%未満。
○:σが5%以上、10%未満。
×:σが10%以上。
【0084】
[色調均一性]
塗装物の側面部、上面部、下面部の電着塗膜の色調を、色彩色差計CR−400(コニカミノルタ製)を用いて測定し、側面部に対する上面部及び下面部の各々の色差ΔEを算出して、平均値で判定した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:ΔEが1未満。
○:ΔEが1以上2未満。
×:ΔEが2以上。
【0085】
[密着性]
JIS K 5600−5−6に従って、塗膜に5×5=25個の碁盤状の升目を刻み入れて、テープ貼り付け及び剥離操作によって、剥離や欠けを生じなかった升目の数を数えた。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:25個。
〇:24個以上、25個未満。
×:24個未満。
【0086】
[耐酸性]
内径32mm、高さ30mmのリングをワセリンで塗膜表面に接触させ、リング内に、リングの高さ1/2まで5%硫酸水溶液を入れ、24時間後の外観状態を評価した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:腐食や膨れが無い、または僅かである。
○:腐食と膨れが見られる。
×:著しい腐食または膨れが見られる。
【0087】
[耐アルカリ性]
内径32mm、高さ30mmのリングをワセリンで塗膜表面に接触させ、リング内に、リングの高さ1/2まで0.5%水酸化ナトリウム水溶液を入れ、24時間後の外観状態を評価した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:腐食や膨れが無い、または僅かである。
○:腐食と膨れが見られる。
×:著しい腐食または膨れが見られる。
【0088】
[耐溶剤性]
内径32mm、高さ30mmのリングをワセリンで塗膜表面に接触させ、リング内に、リングの高さ1/2までキシレンを入れ、24時間後の外観状態を評価した。表中の記号の意味は下記の通り。
◎:腐食や膨れが無い、または僅かである。
○:腐食と膨れが見られる。
×:著しい腐食または膨れが見られる。
【0089】
【表2】
【0090】
<結果のまとめ>
各実施例の水性樹脂組成物(水性電着樹脂液)及びそれを用いて定電流法で電着塗装された電着塗装膜は、水性溶媒を用いたことで低VOC性を有し、表面処理された水分散性アルミニウム顔料を用いたことで経時安定性に優れ、優れたメタリック感、膜厚均一性、
光沢均一性、色調均一性、密着性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性のバランスを示し、本発明の課題を解決するものであった。
一方、水分散性ビニル系共重合体の酸価が低すぎる比較例1は劣った耐アルカリ性及び耐溶剤性を示し、高すぎる比較例2は劣った密着性を示した。
水分散性アルミニウム顔料の含有量が低すぎる比較例3は劣ったメタリック感を示し、高すぎる比較例4は劣った耐アルカリ性を示した。
質量比(A)水分散性ビニル系共重合体/(B)アミノ樹脂が高すぎる比較例5は光沢均一性に劣り、低すぎる比較例6は水性液状樹脂組成物が水溶化も乳化転相もせず不均一であった為に、以降の評価を中断した。
定電圧法で電着塗装した比較例7はメタリック感、膜厚均一性、光沢均一性、色調均一性に劣った結果を示した。