(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された前記冷媒を凝縮する凝縮器と、凝縮された前記冷媒を膨張する膨張手段と、膨張された前記冷媒を蒸発する蒸発器と、を有し、貯蔵室に送風される空気を冷却する冷凍サイクルと、
前記蒸発器に付着した霜を融解することで発生する除霜水が貯留される露受皿と、
前記露受皿および前記蒸発器を加熱する加熱手段と、を具備し、
前記加熱手段は、前記露受皿の下方から前記蒸発器の側方まで形成され、
前記貯蔵室は、外箱、内箱および両者の間隙に充填された断熱材から構成される断熱箱体の内部に形成され、前記蒸発器および前記露受皿は前記内箱の内部に配置され、前記加熱手段は前記内箱の外側に配置され、
前記加熱手段は、前記内箱の外側面の近傍に配置された伝熱板と、前記伝熱板の外側面の近傍に配置された電熱線と、を有し、
前記伝熱板の上端部は、前記蒸発器の上端部よりも、上方側に配置され、
前記電熱線の前記伝熱板と接触する部分の上端部は、前記蒸発器の上端部よりも、上方側に配置され、
前記蒸発器は、放熱フィンと、伝熱管と、を有し、
前記蒸発器の前記伝熱管と、前記加熱手段の前記電熱線とは、略同等の高さに配置され、
前記伝熱板の左方側端部は前記蒸発器の左方側端部よりも左方まで延在し、前記伝熱板の右方側端部は前記蒸発器の右方側端部よりも右方まで延在することを特徴とする冷蔵庫。
前記凝縮器は、鉛直方向に蛇行させた冷媒配管から成る第1蛇行部と、前記第1蛇行部よりも後方側で鉛直方向に蛇行させた前記冷媒配管から成る第2蛇行部と、を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
前記凝縮器は、前記断熱箱体の後面を前方に向かって窪ませた凹状領域に配置され、開口部が形成されたカバーで後方から覆われることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した構成の冷蔵庫では、露受皿が蒸発器の直近に設けられていた為、露受皿に一旦流入した除霜水が凍結してしまい、露受皿から蒸発皿に除霜水が良好に移送されない恐れがあった。また、蒸発器から氷塊の状態の霜が露受皿に落ちると、その氷塊で露受皿から蒸発皿への除霜水の流動が阻害されてしまう恐れがあった。また、かかる問題を解決するために、露受皿を加熱する専用の加熱ヒータを備えると、冷蔵庫の構成が複雑になるとともに、製造コストが高くなってしまう恐れがあった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蒸発器の除霜および露受皿の加熱を簡易な構成で実現できる冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の冷蔵庫は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された前記冷媒を凝縮する凝縮器と、凝縮された前記冷媒を膨張する膨張手段と、膨張された前記冷媒を蒸発する蒸発器と、を有し、貯蔵室に送風される空気を冷却する冷凍サイクルと、前記蒸発器に付着した霜を融解することで発生する除霜水が貯留される露受皿と、前記露受皿および前記蒸発器を加熱する加熱手段と、を具備し、前記加熱手段は、前記露受皿の下方から前記蒸発器の側方まで形成され、前記貯蔵室は、外箱、内箱および両者の間隙に充填された断熱材から構成される断熱箱体の内部に形成され、前記蒸発器および前記露受皿は前記内箱の内部に配置され、前記加熱手段は前記内箱の外側に配置され、前記加熱手段は、前記内箱の外側面の近傍に配置された伝熱板と、前記伝熱板の外側面の近傍に配置された電熱線と、を有し、前記伝熱板の上端部は、前記蒸発器の上端部よりも、上方側に配置され、前記電熱線の前記伝熱板と接触する部分の上端部は、前記蒸発器の上端部よりも、上方側に配置され、
前記蒸発器は、放熱フィンと、伝熱管と、を有し、前記蒸発器の前記伝熱管と、前記加熱手段の前記電熱線とは、略同等の高さに配置され、前記伝熱板の左方側端部は前記蒸発器の左方側端部よりも左方まで延在し、前記伝熱板の右方側端部は前記蒸発器の右方側端部よりも右方まで延在することを特徴とする。
【0010】
本発明の冷蔵庫では、
前記露受皿から前記除霜水が移送される蒸発皿と、前記蒸発皿および前記圧縮機が収納される機械室と、送風機と、前記貯蔵室の後方側に配置され、前記凝縮器が収納される収納領域と、前記収納領域を後方から覆うカバーを開口して形成した開口部と、を更に具備し、前記送風機は、空気を斜め上方に向かって送風し、前記送風された空気は前記凝縮器を冷却した後に、前記開口部を経由して外部に放出されることを特徴とする。
【0011】
本発明の冷蔵庫では、前記凝縮器は、鉛直方向に蛇行させた冷媒配管から成る第1蛇行部と、前記第1蛇行部よりも後方側で鉛直方向に蛇行させた前記冷媒配管から成る第2蛇行部と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の冷蔵庫では、前記凝縮器は、前記断熱箱体の後面を前方に向かって窪ませた凹状領域に配置され、開口部が形成されたカバーで後方から覆われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の冷蔵庫は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された前記冷媒を凝縮する凝縮器と、凝縮された前記冷媒を膨張する膨張手段と、膨張された前記冷媒を蒸発する蒸発器と、を有し、貯蔵室に送風される空気を冷却する冷凍サイクルと、前記蒸発器に付着した霜を融解することで発生する除霜水が貯留される露受皿と、前記露受皿および前記蒸発器を加熱する加熱手段と、を具備し、前記加熱手段は、前記露受皿の下方から前記蒸発器の側方まで形成され、前記貯蔵室は、外箱、内箱および両者の間隙に充填された断熱材から構成される断熱箱体の内部に形成され、前記蒸発器および前記露受皿は前記内箱の内部に配置され、前記加熱手段は前記内箱の外側に配置され、前記加熱手段は、前記内箱の外側面の近傍に配置された伝熱板と、前記伝熱板の外側面の近傍に配置された電熱線と、を有し、前記伝熱板の上端部は、前記蒸発器の上端部よりも、上方側に配置され、前記電熱線の前記伝熱板と接触する部分の上端部は、前記蒸発器の上端部よりも、上方側に配置され、
前記蒸発器は、放熱フィンと、伝熱管と、を有し、前記蒸発器の前記伝熱管と、前記加熱手段の前記電熱線とは、略同等の高さに配置され、前記伝熱板の左方側端部は前記蒸発器の左方側端部よりも左方まで延在し、前記伝熱板の右方側端部は前記蒸発器の右方側端部よりも右方まで延在することを特徴とする。従って、蒸発器の着霜を除去する除霜工程では、加熱手段で蒸発器を加熱することで霜を溶融して除去すると同時に、露受皿を加熱することで露受皿に滴下した溶融水が凍結してしまうことを防止することができる。更に、除霜行程の際には、1つの加熱手段で露受皿および蒸発器の両方を加熱することができるので、除霜装置の構成を簡素化することができる。
【0018】
また、本発明の冷蔵庫では、前記凝縮器は、鉛直方向に蛇行させた冷媒配管から成る第1蛇行部と、前記第1蛇行部よりも後方側で鉛直方向に蛇行させた冷媒配管から成る第2蛇行部と、を有することを特徴とする。従って、凝縮器を、前後方向に配列された第1蛇行部および第2蛇行部から構成することで、限られた空間で凝縮器による凝縮熱量を大きく確保することができる。
【0019】
また、本発明の冷蔵庫では、前記凝縮器は、断熱箱体の後面を前方に向かって窪ませた凹状領域に配置され、開口部が形成されたカバーで後方から覆われることを特徴とする。従って、凝縮器を凹状領域に収納することでその後方への突出量を少なくし、凝縮器を後方からカバーで覆うことで後方部分の意匠性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では上下前後左右の各方向を適宜用いるが、左右とは冷蔵庫10を正面から見た場合の左右である。
【0023】
図1を参照して、本形態の冷蔵庫10の概略構成を説明する。
図1(A)は冷蔵庫10を前方から見た斜視図であり、
図1(B)は冷蔵庫10を後方から見た斜視図である。
【0024】
図1(A)を参照して、冷蔵庫10は、その容量が例えば100リットル程度の比較的小型のものであり、例えばリビングや寝室に配置して補助的に使用されるものである。冷蔵庫10は断熱箱体11を有し、断熱箱体11の内部には上段からワイン室20および冷蔵室21が形成されている。ワイン室20は、被貯蔵物としてのワインを倒した状態で複数本収納できる容積を有しており、ワインやワイン以外の食品等が保存され、0℃以上20℃以下に冷却される。冷蔵室21は、ワイン以外のビール等の飲料や食品等が保存され、例えば0℃以上10℃以下に冷却される。
【0025】
ワイン室20の前方開口は、断熱性を有する引き出し式の断熱扉12で閉鎖されており、断熱扉12を前方に引き出すことで、倒されている状態のワインを前方に取り出すことができる。
【0026】
冷蔵室21の前方開口は、引き出し式の断熱扉13で閉鎖されており、断熱扉13を引き出して開くことで、冷蔵室21の前方開口から食品等の出し入れを行うことができる。
【0027】
本形態では、冷蔵庫10の上面を、透明な部材から成る透明板材14で構成している。透明板材14は、断熱箱体11の上面に形成された開口部を上方から閉鎖し、可視光を透過させるガラスや合成樹脂から成る。また、透明板材14とワイン室20との間には遮光性材料である断熱発泡体が充填されていない。従って、透明板材14を透過してワイン室20に貯蔵されたワインを上方から視認することができる。
【0028】
図1(B)に示すように、冷蔵庫10の後面側は鋼板からなるカバー17で覆われており、カバー17の上方部分を開口することで複数の開口部18が形成されており、カバー17の下方部分を開口することで複数の開口部16が形成されている。後述するように、下方の開口部16からは冷凍サイクルの凝縮器等を冷却するための外気が取入れられ、上方の開口部18からは凝縮器等により加熱された暖気が外部に放出される。
【0029】
図2の側方断面図を参照して、本形態の冷蔵庫10の構造を更に説明する。冷蔵庫10の本体である断熱箱体11は、鋼板等の板材料から成る外箱24と、外箱24の内側に配置された合成樹脂板から成る内箱23と、外箱24と内箱23との間に形成される間隙に充填された硬質ウレタン等から成る断熱材25と、から構成されている。
【0030】
内箱23の上面部には開口部が形成されており、外箱24の上面も開口部が形成されており、これらの開口部は、上方から透明板材14等で閉鎖されている。また、この開口部は、下方から、透明板材33、スペーサ枠部27、透明板材32、スペーサ枠部28が配設される。透明板材32、33は、可視光線を透過させるガラスまたは透明合成樹脂からなる。スペーサ枠部27、28は、平面視で透明板材32、33と同等の大きさの合成樹脂などから成る枠状の部材であり、透明板材32、33同士の間に間隙を確保するための部材である。透明板材32、33同士の間に間隙を確保することで、この間隙に存在する空気が断熱材の如く機能し、上記したワイン室20を外部雰囲気から断熱することができる。
【0031】
ワイン室20の内部には、断熱扉12と共に引き出しされる収納容器50が配設されている。収納容器50の下方には、図示しない発光装置が配置されている。発光装置でワイン54を下方から照らすことで、使用者は、透明板材14等を介してワイン室20に収納されたワイン54の銘柄等を視認することができる。
【0032】
また、内箱23の内部空間として形成される貯蔵室は、上段のワイン室20と下段の冷蔵室21に分割されており、ワイン室20と冷蔵室21とは断熱仕切体38で仕切られている。
【0033】
冷蔵室21には、前方に向かって引き出し可能な収納容器51、52が配置されている。冷蔵室21の室内温度は、上記したワイン室20よりも低温であるため、収納容器51、52には、ビールなどの飲料や食品等を収納することができる。
【0034】
上記した各貯蔵室の奥側には、合成樹脂板からなる仕切板45、46で仕切られた送風室41および冷却室40が形成されている。冷却室40には、各貯蔵室に送風される冷気を冷却するための蒸発器30が内蔵されている。
【0035】
蒸発器30は、圧縮機31、凝縮器としてのコンデンサパイプ63、図示しない膨張手段と冷媒配管を介して接続されることで、蒸気圧縮式冷凍サイクルを形成している。ここで、圧縮機31は冷媒を圧縮し、コンデンサパイプ63は圧縮された冷媒を凝縮し、膨張手段は凝縮された冷媒を膨張し、蒸発器30は膨張された冷媒を蒸発させる。また、図示しない制御装置により、蒸気圧縮式冷凍サイクルの動作は制御されている。送風室41は、冷却室40で冷却されて各貯蔵室に送風される冷気が一旦流入し、送風路として機能している。
【0036】
冷却室40を前方で区切る仕切板46には、冷却室40の内部で冷却された冷気を送風する送風機47が取り付けられている。また、送風室41の前方を仕切る仕切板45には、吹出ダクト42、吹出口44および帰還口43が形成されている。吹出ダクト42からはワイン室20に向けて冷気が吹き出され、吹出口44からは冷蔵室21に向けて冷気が吹き出される。冷蔵室21を冷却した冷気は、帰還口43から冷却室40に帰還する。ワイン室20を冷却した冷気は、ここでは図示しない帰還口を経由して、冷却室40に帰還する。
【0037】
上記構成の冷蔵庫10の動作は次のとおりである。各貯蔵室の温度を計測している温度センサの出力に基づき制御装置が圧縮機31を運転すると、蒸発器30が冷却室40内部の空気を冷却する。冷却室40の内部で冷却された冷気は、制御装置の指示に基づいて回転する送風機47で、各貯蔵室に送風される。具体的には、送風機47で送風された冷気は、冷却室40の前方に形成された送風室41に送風された後に、吹出ダクト42を経由してワイン室20に送風される。ワイン室20を冷却した冷気は、ここでは図示しない帰還口を経由して、冷却室40に帰還する。送風室41に流入した冷気の一部は、吹出口44から冷蔵室21に送風される。冷蔵室21を冷却した冷気は、帰還口43を経由して冷却室40に帰還する。このような経路により、各貯蔵室を冷気が循環することで、各貯蔵室の室内温度が所定の温度に達したら、制御装置は圧縮機31および送風機47の運転を停止する。
【0038】
図2を参照して、断熱箱体11の後方には、断熱箱体11の外箱24とカバー17とで挟まれる空間である収納領域64が形成されている。収納領域64には蛇行形状に曲折加工されたコンデンサパイプ63が配置される。収納領域64におけるコンデンサパイプ63の下方には、送風機62が配置されている。上記したように、カバー17の上方部分および下方部分には、開口部18および開口部16が形成されている。
【0039】
このように、カバー17で覆われる収納領域64にコンデンサパイプ63を配置することにより、蛇行形状に形成されたコンデンサパイプ63が外観意匠に現れないので、冷蔵庫10全体としての意匠性を向上することが出来る。
【0040】
図3および
図4を参照して、蒸発器30およびその近傍の構成を詳述する。
図3は蒸発器30等を示す側方断面図であり、
図4はコンデンサパイプ63等を後方から見た構造を示す背面図である。
【0041】
図3を参照して、蒸発器30は、冷蔵庫10の幅方向に沿って積層配置された複数の金属板から成る放熱フィン55と、放熱フィン55を貫通するように配置されてその内部を冷媒が流通する伝熱管56と、から構成されている。伝熱管56は、放熱フィン55の前端部分と後端部分に並列配置され、更に、上下方向に沿って複数段が配置されている。
【0042】
放熱フィン55の前後方向の幅は、冷却室40の前後方向の幅と、同一かまたは略同一とされる。よって、放熱フィン55の後方側辺は、断熱箱体11の内箱23の前面に当接するかその直近に配置され、放熱フィン55の前方側辺は仕切板46の後面に当接するかその直近に配置される。
【0043】
冷却室40の下底部分を凹状にすることで露受皿60が形成されている。露受皿60には、蒸発器30に付着した霜を溶かすことで発生した除霜水が暫定的に貯留される。また、露受皿60には、氷塊の状態の霜が蒸発器30から落下することもある。露受皿60に貯留した除霜水は、排水管71を介して蒸発皿61に導かれる。
【0044】
本形態では、蒸発器30および露受皿60の近傍に加熱手段としての伝熱板68および電熱線69を配置している。伝熱板68は、例えばアルミニウム等の金属から成る板状または箔状の熱伝導体である。伝熱板68は、断熱箱体11の内箱23の後面に密着している。冷却室40側から見たら、伝熱板68は冷却室40の外側に形成され、断熱箱体11側から見たら、伝熱板68は断熱箱体11の内側に形成されている。また、伝熱板68は、内箱23の垂直方向に伸びて冷却室40を区画する部分から、内箱23の水平方向に伸びて露受皿60を構成する部分まで連続して延在している。伝熱板68の上方側の端部は蒸発器30の上端よりも上方に配置される。ここでは図示していないが、伝熱板68の左方側端部は蒸発器30の左方側端部よりも左方まで延在し、伝熱板68の右方側端部は蒸発器30の右方側端部よりも右方まで延在している。このようにすることで、伝熱板68を介して蒸発器30を全体的に加熱することができ、蒸発器30の除霜を効率的に行うことが出来る。
【0045】
伝熱板68の下方側の端部は、露受皿60よりも前方まで伸びている。このようにすることで、露受皿60を全体的に加熱し、露受皿60に貯留された除霜水が凍結することを抑止し、露受皿60に落下した氷塊を溶融することが出来る。伝熱板68は、一枚の金属箔から構成されても良いし、複数枚の金属箔から構成されても良い。
【0046】
伝熱板68の後方側主面には、蛇行形状に成形された電熱線69が接触している。電熱線69は、電気抵抗の高い伝導体から成り、通電されることで発熱する。上下方向において、蒸発器30の伝熱管56の位置と、電熱線69の位置とは一致している。即ち、正面視において、伝熱管56と電熱線69とは少なくとも一部が上下方向において一致している。このようにすることで、伝熱管56の着霜を電熱線69から発せられる熱で効率的に除霜することができる。また、後述するように、除霜運転時に電熱線69から発せられる熱は、伝熱板68全体に広がった後に内箱23を経由して、蒸発器30および露受皿60に伝導する。
【0047】
露受皿60の底面には、露受皿60に暫定的に貯留した除霜水を蒸発皿61に導くための排水管71が配置されている。排水管71は、露受皿60の下方部分の断熱箱体11を貫通する管状部材であり、排水管71を経由して、露受皿60から蒸発皿61に除霜水は移送される。
【0048】
露受皿60の下方には蒸発皿61が配置されている。蒸発皿61は、露受皿60から流入する除霜水を受け入れることを可能とする容量を有する皿状の容器であり、
図4に示すように圧縮機31等と共に機械室34に収納される。蒸発皿61は、圧縮機31や凝縮器の近傍に配置され、圧縮機31や凝縮器から発せられる熱が蒸発皿61に伝導することで、蒸発皿61に貯留された除霜水は蒸発して外部に放出される。
【0049】
上記した加熱手段としての伝熱板68および電熱線69を用いた除霜行程を説明する。上記のように蒸発器30による冷気の冷却を続けると、蒸発器30で着霜が進行し、着霜により熱交換および送風の効率が低下するので、制御装置の指示に基づいて定期的に除霜行程を行っている。即ち、一定の時間が経過したことを示すタイマの出力等に基づいて、制御装置は、冷凍サイクルの圧縮機31および送風機47を停止し、除霜行程を開始する。
【0050】
除霜行程では、制御装置の指示に基づいて、電熱線69に通電して発熱させる。そうすると、電熱線69から発せられた熱は、伝熱板68で周囲に広がった後に内箱23を経由して、蒸発器30の放熱フィン55に伝導する。内箱23は厚みが1mmないし2mm程度であり、更に放熱フィン55の後方側面は、内箱23に当接している。従って、電熱線69から発せられた熱は、伝熱板68および内箱23を介して、良好に蒸発器30に全体的に伝導し、蒸発器30に付着した霜を効果的且つ短時間で溶融することが出来る。除霜により生じた除霜水は、蒸発器30の下方に形成された露受皿60に一旦貯留した後に、蒸発皿61に流入して蒸発する。
【0051】
また、上記したように、伝熱板68および電熱線69は露受皿60の下面まで形成されている。従って、露受皿60に貯留された除霜水は、伝熱板68および電熱線69で加熱されることで、凍結することが抑止されている。また、氷塊の状態の霜が露受皿60に落下したとしても、その氷塊は電熱線69から発せられる熱で溶融されて除霜水と成り、蒸発皿61まで導かれる。よって、この氷塊状の霜で、排水管71が閉塞してしまうことも抑止されている。
【0052】
除霜行程が終了したら、制御装置は、電熱線69への電流の供給を停止し、各貯蔵室の庫内温度が一定の温度帯域となるように、冷凍サイクルの圧縮機31を起動する。ここで、制御装置は、予め決められた時間が経過するまで、または冷却室40の室内温度が所定温度に達するまで、除霜行程を続行する。
【0053】
上記のように本形態では、蒸発器30の直近に配置した電熱線69から発せられる熱で、蒸発器30に付着した霜を溶融するので、効率的に除霜を行うことが出来る。また、蒸発器30の下方に、除霜ヒータを配置する必要が無いことから、蒸発器30の上下方向の大きさを確保し、蒸発器30の熱容量を大きくすることが出来る。更には、除霜ヒータを排除することで、蒸発器30の下方における冷気の流れを良好にし、装置全体の構成を簡略化出来る。
【0054】
また、
図3に示すように、本形態ではアキュムレータ59を、冷却室40に配設するのではなく、断熱箱体11の内部、即ち断熱材25の内部に配置している。このようにすることで、アキュムレータ59が冷気に接触しないことから、アキュムレータ59に着霜が生じることを抑止することができる。更には、冷却室40に、アキュムレータ59を収納するための空間を確保する必要が無いので、冷却室40の省スペース化を実現できる。また、アキュムレータ59は、蒸発器30の上方側の近傍に配置されている。そのようにすることで、アキュムレータ59と蒸発器30とを接近させることができる。
【0055】
上記したように、断熱箱体11の後方には凝縮器としてのコンデンサパイプ63が配置されている。コンデンサパイプ63は、
図4に示すように、上下方向に蛇行する蛇行形状を呈することで、その配管長を長くして交換される熱量を大きく確保している。
図3を参照して、コンデンサパイプ63は、前方で蛇行形状に形成された第1蛇行部66と、後方で蛇行形状に成形された第2蛇行部67とから構成されている。
【0056】
第1蛇行部66および第2蛇行部67は、上下方向に伸びる金属製の支持ワイヤ65で機械的に支持されている。ここでは構成を明示するために、第1蛇行部66と第2蛇行部67とを前後方向に離して示しているが、実際は、第1蛇行部66と第2蛇行部67は前後方向において密着してもよい。
【0057】
このように、コンデンサパイプ63を複数の蛇行部から構成することで、限られた空間に十分な長さのコンデンサパイプ63を形成し、十分な熱量を確保することができる。特に本形態の冷蔵庫10は、補助的に用いられる容量が小さいものであるため、その高さにも制限があるが、上記のようにコンデンサパイプ63を構成することで、十分な熱量を確保することができる。
【0058】
ここで、コンデンサパイプ63の一部を、
図2に示す断熱箱体11の前方に形成される前方開口部まで引き回しても良い。このようにすることで、コンデンサパイプ63から放出される熱量を更に大きく確保すると共に、断熱箱体11の開口部の周辺を温めて結露を抑止することができる。
【0059】
図5および
図6を参照して、コンデンサパイプ63が収納される構成等を説明する。
図5は冷蔵庫10の後方側を示す側方断面図であり、
図6は冷蔵庫10の後方部分を示す上方断面図である。
【0060】
図5を参照して、コンデンサパイプ63は、断熱箱体11の後方側に形成された収納領域64に収納されている。収納領域64は、断熱箱体11の外箱24とカバー17とで挟まれる空間として規定されている。蛇行形状を呈するコンデンサパイプ63は、後方からカバー17で被覆されることで外観には現れないので、冷蔵庫10の後面部分の意匠性を向上することができる。
【0061】
カバー17は、鋼板からなる板状部材であり、その上方部分を開口することで複数の開口部18が形成されている。開口部18は、コンデンサパイプ63の上方部分またはそれよりも上方に、行列状に複数形成されている。これにより、コンデンサパイプ63と熱交換した暖気を、開口部18を経由して効率的に外部に放出することができる。
【0062】
カバー17の下方部分を開口することで、開口部16が形成されている。開口部16は、コンデンサパイプ63よりも下方に行列状に複数形成されている。これにより、開口部16から取り入れた低温の外気をコンデンサパイプ63に下方から供給し、コンデンサパイプ63を外気との熱交換を促進することができる。
【0063】
また、コンデンサパイプ63の下方には、送風機62が配置されている。送風機62は、コンデンサパイプ63に向かって空気を送風することで、コンデンサパイプ63に於ける冷媒と外部との熱交換を促進する。
【0064】
図6を参照して、断熱箱体11の後面を前方に向かって窪ませることで凹状領域58が形成されている。凹状領域58は、上下方向にダクト状に延在しており、凹状領域58を後方からカバー17で被覆することで、コンデンサパイプ63を収納する収納領域64が形成されている。コンデンサパイプ63の全部または一部は、凹状領域58に収納されている。また、コンデンサパイプ63は、取付具を介して、断熱箱体11に取り付けられている。また、凹状領域58を形成している断熱箱体11の後方端部は、断熱材25が充填されることで十分な強度を確保している。
【0065】
図5を参照して、冷凍サイクルを運転する際に、コンデンサパイプ63で冷媒と外部雰囲気とが熱交換される事項を説明する。冷凍サイクルの圧縮機31を運転すると、圧縮機31で圧縮された高温の冷媒が凝縮器であるコンデンサパイプ63に導入される。同時に、送風機62で上方に送風された空気がコンデンサパイプ63に吹き付けられる。コンデンサパイプ63を冷却する空気の流通経路を詳述すると、先ず、低温状態の外気は、カバー17の下方部分に形成された開口部16から冷蔵庫10の機械室34に取入れられる。更に機械室34には、冷蔵庫10の下方からも外気が進入する。機械室34に進入した空気は、圧縮機31および蒸発皿61に接触しつつ、送風機62に向かって吸い込まれる。この際、蒸発皿61に貯留された除霜水は加熱されて蒸発する。
【0066】
送風機62に吸い込まれた空気は、その送風作用で上方に向かって送風され、蛇行形状のコンデンサパイプ63から吸熱しつつ、ダクト形状の収納領域64の内部を上昇する。コンデンサパイプ63を冷却することで高温となった空気は、収納領域64を更に上昇して開口部18から外部に放出される。更に、良熱伝導体からなるカバー17がコンデンサパイプ63に接近または接触しているので、コンデンサパイプ63から発せられる熱の一部を、面積が大きいカバー17を経由して良好に外部に放出することができる。
【0067】
上記のことにより、開口部16から取り入れた空気を、収納領域64を流通させた後に、開口部18から外部に放出させることで、収納領域64に収納されるコンデンサパイプ63を良好に冷却してその凝縮効率を高め、更に、蒸発皿61にて除霜水を良好に蒸発させることができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態を示したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。