(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて図面に基づき説明する。なお、説明の便宜上、パチンコ遊技機に対して遊技者側を「前」または「表」と称し、パチンコ遊技機を挟んで遊技者とは反対側を「後」または「裏」と称す。
パチンコ遊技機1は、
図1に示すように、矩形状の機枠(外枠)2の一側(
図1中、左側)に前面枠(内枠)3を開閉可能な状態で軸着し、該前面枠3内には、発射装置(図示せず)により発射された遊技球が流下可能な遊技領域5が表面に区画形成された矩形状の遊技盤6(
図2参照)を収納可能としている。また、前面枠3の表面のうち機枠2への軸着側(
図1中、左側)には透明部材保持枠8を開閉可能に設け、該透明部材保持枠8に透視可能な透明部材9を保持し、透明部材9を通して遊技領域5をパチンコ遊技機1の前方から透視できるように構成している。さらに、透明部材保持枠8の上部の左右両側には、効果音を発する上スピーカ11を備え、透明部材保持枠8の下部には上皿ユニット13を備え、透明部材保持枠8の下方には下皿ユニット14を配置している。そして、透明部材保持枠8の一側縁(
図1中、右側縁)には、パチンコ遊技機1の機種名やメーカー名を表記する等して装飾を施した保持枠突出部8aを前方へ突設し、隣の席から当該パチンコ遊技機1の遊技進行が覗き見られることを保持枠突出部8aにより抑制するように構成されている。また、下皿ユニット14の一側方(
図1中、右側方)には、発射装置を操作するための発射操作ユニット(発射操作ハンドル)15を備え、下皿ユニット14の左右両側方には、効果音を発する下スピーカ16を備え、上皿ユニット13の前側には、遊技中に遊技者が操作するための遊技演出ボタン17を備えている。
【0010】
遊技盤6は、
図2および
図3に示すように、遊技板19の表面に、装飾模様が印刷された装飾用のセルシート20を貼付し、該セルシート20の上から透光可能な複数のサイドケース21を枠状に連結した状態で止着して当該遊技盤6の基部となる遊技ベースユニット22を構成し、サイドケース(区画部材)21により遊技領域5を区画形成している。また、遊技領域5の上寄りには、中央部分が開口されたセンターケース23を配設し、該センターケース23の左右両側には、遊技球が通過可能なケース球流下路(右側に位置する第1ケース球流下路26,左側に位置する第2ケース球流下路27)を備えている。さらに、第1ケース球流下路26の前側には流下路カバー26aを装着し、第1ケース球流下路26の下流側には普図始動ゲート28を配設し、普図始動ゲート28に入賞(通過)した遊技球をゲートスイッチ29により検出可能としている。そして、遊技球の普図始動ゲート28への入賞(詳しくは、ゲートスイッチ29による遊技球の検出)を始動条件(普図始動条件)として普図変動表示ゲームを実行可能としている。さらに、第1ケース球流下路26の下流部のうち普図始動ゲート28よりも上流側に位置する箇所の側方には大入賞口31を配設し、第1ケース球流下路26の上流部には一般入賞口32を配設している。なお、大入賞口31の構成については、後で詳細に説明する。
【0011】
さらに、センターケース23の中央部分の下方には、遊技盤6の左右方向の中央部分に位置する第1始動入賞口36を備え、該第1始動入賞口36よりも第1ケース球流下路26側(
図2中、右側)にずれた箇所には、普通電動役物(開閉部材)41aが備えられた第2始動入賞口41を配設し、第2ケース球流下路27側(
図2中、左側)にずれた箇所には一般入賞口42を配設している。また、第1始動入賞口36には、当該第1始動入賞口36に入賞した遊技球を検出可能な第1始動口スイッチ46を備え、第2始動入賞口41には、当該第2始動入賞口41に入賞した遊技球を検出可能な第2始動口スイッチ47を備えている。そして、第1始動入賞口36への遊技球の入賞(詳しくは、第1始動口スイッチ46による遊技球の検出)を始動条件として特
図1変動表示ゲームを実行可能とし、第2始動入賞口41への遊技球の入賞(詳しくは、第2始動口スイッチ47による遊技球の検出)を始動条件として特
図2変動表示ゲームを実行可能としている。さらに、特
図1変動表示ゲームの実行中に遊技球が第1始動入賞口36へ入賞した場合には、この入賞に基づく新たな特
図1変動表示ゲームの実行を特
図1始動記憶として予め設定された上限数(本実施形態では4つ)まで記憶して保留する。また、特
図2変動表示ゲームの実行中に遊技球が第2始動入賞口41へ入賞した場合には、この入賞に基づく新たな特
図2変動表示ゲームの実行を特
図2始動記憶として予め設定された上限数(本実施形態では4つ)まで記憶して保留する。
【0012】
さらに、第1始動入賞口36の下方に位置する遊技領域5の下端には、入賞せずに流下してきた遊技球を回収するアウト口49を開設し、遊技領域5のうち、センターケース23や始動入賞口36,41等の遊技用部材の取付部分を除いた箇所には風車50や複数の障害釘(図示せず)を植設している。そして、サイドケース21の一側の下部(
図2中、右下部)には一括表示装置51を備え、該一括表示装置51において普図変動表示ゲーム、特図変動表示ゲーム(特
図1変動表示ゲーム,特
図2変動表示ゲーム)、遊技状態の表示等を行うように構成されている。
【0013】
また、遊技ベースユニット22の裏面側には、
図3に示すように、中央部が透光性を有する制御ユニット(裏面構成体)54を装着し、該制御ユニット54の裏側には表示装置55を装着して制御ユニット54の中央部(透光部)およびセンターケース23の中央部から表示装置55の表示部55aを前方へ臨ませ(
図2参照)、複数の識別情報を変動表示させる飾り特図変動表示ゲーム(特
図1変動表示ゲームや特
図2変動表示ゲームに対応する演出表示)を表示部55aで表示可能としている。なお、表示装置55は、長方形の表示部55aを縦向き(上下寸法が左右寸法よりも長くなる姿勢)にして制御ユニット54に装着されている。さらに、
図2に示すように、制御ユニット54のうち表示部55aの上側部分の前方には、横長な仕切り板(仕切り材)57を配置して表示部55aを上下に仕切り、大きさが異なる2つの表示手段が装着されているかのように見せている。
【0014】
そして、制御ユニット54の下部には入賞球流路56を備え、該入賞球流路56を始動入賞口36,41等の入賞装置の後部へ接続し、遊技領域5を流下して入賞装置に入賞した遊技球(入賞球)を入賞球流路56へ回収可能としている。さらに、制御ユニット54の裏側のうち表示装置55の下方には、遊技を統括的に制御する遊技制御装置(遊技制御手段)58を装着し、表示装置55の裏側には、遊技における演出動作を制御する演出制御装置(演出制御手段)59を装着している。
【0015】
次に、センターケース23について説明する。
センターケース23は、
図4に示すように、透光性を有する枠状のケースベース61を当該センターケース23の基部として備え、該ケースベース61の中央部分には、表示装置55を視認可能とするケース窓部62を開設している。また、ケースベース61の上辺部の前面には、センターケース23の前方へ向けて突出した庇状の鎧部63をセンターケース23の左右両側へ向けて下り傾斜した円弧状態で配置している。そして、ケース窓部62の上縁部には、横長なケース上部装飾パネル64を配置している。
【0016】
さらに、鎧部63の傾斜下端に左右両側のケース球流下路26,27の上流開口をそれぞれ臨ませ、ケース窓部62と各ケース球流下路26,27との間には、遊技球がケース球流下路26,27からケース窓部62への侵入を阻止する球侵入阻止壁66を前方へ向けてそれぞれ突設している。そして、第1ケース球流下路26を左右方向へ蛇行する状態に形成し、該第1ケース球流下路26の下流開口をセンターケース23の下方へ開放している。また、第2ケース球流下路27の中流部においては左右に分岐し、下流部においては両分岐路を合流させ、第2ケース球流下路27の下流開口をセンターケース23の側方へ開放している。なお、第1ケース球流下路26の区画壁、流下路カバー26a、第2ケース球流下路27の区画壁をそれぞれ透光性部材(透明樹脂等)で構成し、第2ケース球流下路27の後方には流下路装飾部材67と流下路発光基板68とを配置し、第2ケース球流下路27を介して流下路装飾部材67の外観および流下路発光基板68からの光を遊技者側から視認可能としている。また、第1ケース球流下路26の後方の構造については、後で詳細に説明する。
【0017】
そして、
図2および
図4に示すように、第1ケース球流下路26側(
図2中、右側)に位置する球侵入阻止壁66には、遊技に関する情報(例えば、各変動表示ゲームの実行保留数等の情報)を表示するための情報表示装置70を備えている。具体的に説明すると、球侵入阻止壁66には、透光性を有する縦長なレンズカバー部70aを備えて情報表示装置70の前側部とし、該レンズカバー部70aの後方には、複数個のLEDを実装した情報表示基板70bを配置して情報表示装置70の後側部としている。そして、LEDの発光によって情報を遊技者へ伝達するように構成されている。
【0018】
また、第2ケース球流下路27側(
図2中、左側)に位置する球侵入阻止壁66の側方には、遊技者が手等を近づけて入力操作する近接操作部(入力部)72を備えている。具体的には、
図3および
図4に示すように、第2ケース球流下路27側の球侵入阻止壁66の側方には、近接操作部72の前側を構成する近接装飾パネル72aを透光可能な状態で配置し、該近接装飾パネル72aには、人の手を模した図形装飾と「タッ手」の文字装飾とを施している。さらに、近接装飾パネル72aの後方には、図示しない近接センサ(例えば、透光部と受光部とを備えた光電センサ)を近接操作部72の一部として配置し、遊技者が自らの手や、手に持った物品等を透明部材9越しに近接装飾パネル72aへ近づけてかざすと、近接センサが近接物(手や物品等)を検出して信号を遊技制御装置58へ出力し、遊技制御装置58がこの受信信号に基づいて遊技の進行を設定するように構成されている。なお、第2ケース球流下路27側の球侵入阻止壁66の側方には、遊技者が入力操作可能な近接操作部72を備えず、その代わりに、遊技者に情報を提供する出力部(例えば、遊技内容の告知を行う告知ランプ)を配置してもよい。
【0019】
そして、ケースベース61の下辺部には、遊技球が横方向(前後方向および左右方向)へ転動可能なステージ部76を配置し、ステージ部76の左右方向の中央部には、遊技球をステージ部76上からステージ部76の前方および下方へ案内する案内溝77を備えている(
図2参照)。また、ステージ部76の後方には、ステージ部76上の遊技球が後方の表示装置55側へ進入することを規制する透光性の進入規制壁78を立設し、ステージ部76の一側端(
図2中、左側端)には、遊技球が流下可能な球導入路(ワープ流路)79を設けている。そして、球導入路79の入口を第2ケース球流下路27の下方へ開放し、球導入路79の出口をステージ部76へ向けて開放し、遊技球が第2ケース球流下路27から球導入路79を通ってステージ部76上へ到達できるように構成されている。
【0020】
第1ケース球流下路26の側方に設けられた大入賞口31は、
図4および
図5に示すように、ケースベース61のうち普図始動ゲート28の上方からステージ部76側(
図4中、左側)へずれた位置に開設された大入賞開口83と、遊技球が第1ケース球流下路26から大入賞開口83へ流下することを許容したり阻止したりする羽根状の大入賞開閉部材84と、該大入賞開閉部材84に開閉動作を行わせる大入賞口ソレノイド85(
図5参照)と、大入賞開口83を通過した遊技球(入賞球)を検出可能なカウントスイッチ(大入賞口スイッチ)86とを備えて構成されている。さらに、遊技球の大入賞口31への入賞を阻止する閉状態においては、大入賞開閉部材84が縦向き姿勢となり(
図2参照)、遊技球の大入賞口31への入賞を許容する開状態において、大入賞開閉部材84が下端部を回動中心として回動して上端部を普図始動ゲート28側へ移動するように構成されている。
【0021】
さらに、
図3および
図4に示すように、ケースベース61のうち第1ケース球流下路26の後方には、一般入賞口32に入賞した遊技球(入賞球)を回収して流下させるための縦長な球流路ユニット90を備え、球流路ユニット90の下方には、大入賞口31に入賞した遊技球を流下させる大入賞球流下路94を備えている。そして、該大入賞球流下路94の上流部にはカウントスイッチ86を臨ませ、大入賞球流下路94の下流部には大入賞球流下検出スイッチ96を備えて遊技球(下流部まで流下してきた遊技球)を検出可能としている。さらに、大入賞球流下検出スイッチ96よりも上流側からV入賞流路97を分岐してV入賞検出スイッチ98を備え、V入賞流路97の入口をV入賞シャッター99により開閉可能とし、V入賞シャッター99を開いた状態では、大入賞球流下路94を流下する遊技球がV入賞流路97へ流入してV入賞検出スイッチ98により検出され、V入賞シャッター99を閉じた状態では、大入賞球流下路94を流下する遊技球がV入賞流路97へ流入せずにV入賞シャッター99上を通過し、大入賞球流下路94の下流部に到達して大入賞球流下検出スイッチ96により検出されるように構成されている。
【0022】
次に、第1ケース球流下路26の後方に配置される球流路ユニット90について説明する。
球流路ユニット90は、
図5から
図7に示すように、大入賞口31の一部である大入賞口ソレノイド85が後方に装着されるユニットであり、一般入賞口32に入賞した遊技球(入賞球)を回収する縦長な入賞球回収樋101と、前側のフロントパネル102aと後側のリアケース102bとを重ねて構成される箱状の回収樋収容ケース102と、回収樋収容ケース102の後方に配置される流路ユニット発光基板(電気基板)103と、該流路ユニット発光基板103を後方から被覆する基板カバー104と、当該球流路ユニット90の一側部(詳しくは、表示装置55側)を装飾する側部装飾パネル105とを備えて構成されている。そして、回収樋収容ケース102内に入賞球回収樋101を収容し、入賞球回収樋101の上流開口を一般入賞口32に連通し、入賞球回収樋101の下流開口を入賞球流路56の上部の一側(
図3中、右側)へ連通している。
【0023】
また、入賞球回収樋101、回収樋収容ケース102、側部装飾パネル105を透光性部材(透明樹脂等)で構成して透光可能とし、流路ユニット発光基板103のうち遊技者側を向いた前面には複数個の発光体(LED)103aを実装しており、該発光体103aが光を前方のリアケース102bへ照射すると、リアケース102b内で光が拡散し、この拡散した光がリアケース102bの前方や側方へ出射されるように構成されている。なお、リアケース102bの前方へ出射した光は、入賞球回収樋101、フロントパネル102a、第1ケース球流下路26、流下路カバー26aを通って遊技者側(遊技盤6の前方)へ放射され、リアケース102bの側方(詳しくは、側部装飾パネル105側)へ出射した光は、側部装飾パネル105を通って表示装置55側へ放射される。
【0024】
そして、球流路ユニット90は、当該球流路ユニット90の流路ユニット発光基板103と、遊技盤6の裏面に装着される中継基板(電気基板)108とを複数本の配線109で接続し、さらには中継基板108と演出制御装置59とを中継配線(図示せず)で接続して、演出制御装置59等からの制御信号が中継配線、中継基板108、配線109を介して流路ユニット発光基板103へ送信されるように構成されている。具体的に説明すると、流路ユニット発光基板103のうち基板カバー104側を向いた裏面(言い換えると、発光体103aが実装された前面とは反対側の裏面)には配線コネクタ103bを実装し、基板カバー104に開設されたコネクタ露出開口104aから配線コネクタ103bを球流路ユニット90の後方へ臨ませている。そして、配線109の一端を配線コネクタ103bへ接続する一方、配線109の他端を中継基板108上の配線コネクタ108aへ接続し、配線109のうち基板カバー104側に位置する部分を基板カバー104の裏面に沿って球流路ユニット90の上下方向へ延在させている。
【0025】
また、流路ユニット発光基板103と中継基板108との間に位置する基板カバー104の裏面には配線係合部113を備え、無端帯状の結束バンド(係合部材)111を介して配線109を配線係合部113へ係合している。配線係合部113は、
図8から
図10に示すように、配線109の延在方向(球流路ユニット90の上下方向)に沿って離間した一対の係合支持部114を基板カバー104の後方へ向けて突設し、係合支持部114の突出端部同士の間に係合本体部115を架設している。また、一対の係合支持部114と係合本体部115とで囲まれた空間部を係合挿通穴116として結束バンド111を挿通可能とし、基板カバー104のうち一対の係合支持部114同士の間に開設されたカバー貫通穴104bと係合挿通穴116とを連通している(
図7(c)および
図8参照)。
【0026】
さらに、係合本体部115には、結束バンド111の移動を規制する係合移動規制部118を備えている。詳しくは、係合本体部115のうち遊技盤6の後方を向いた後縁部に係合移動規制部118を凹み形状で形成して結束バンド111を嵌合可能とし、嵌合した結束バンド111の移動(具体的には、結束バンド111が配線109の延在方向に沿ってずれること)を規制するように構成されている。また、係合移動規制部118の深さ寸法(係合移動規制部118を構成する凹みの段差寸法)dを結束バンド111の厚さ寸法tよりも大きく設定して、係合移動規制部118内の結束バンド111が配線係合部113よりも遊技盤6の後方へ突出することを避けている(
図7(c)参照)。
【0027】
このような構成の配線係合部113に配線109を係合するには、まず、複数本の配線109を一対の係合支持部114の間に側方から掛け渡し、係合支持部114の突出方向(球流路ユニット90の前後方向)に沿って並べる。このようにして配線109を配線係合部113へ当接したならば、無端帯状にする前の結束バンド111(
図7(d)参照)を係合挿通穴116へ通し、結束バンド111の端部同士を係止して無端帯状にする。このとき、結束バンド111を係合移動規制部118に嵌合しながら係止作業(結束バンド111の無端帯化)を行うことで、係止作業中に結束バンド111が不用意に配線係合部113からずれ難くなり、結束バンド111の端部同士の係止作業をスムーズに行うことができる。
【0028】
結束バンド111の端部同士を係止して結束バンド111を無端帯状にすると、
図5および
図7に示すように、配線109が係合本体部115とともに無端帯状の結束バンド111内に結束される。言い換えると、配線109が結束バンド111によって係合本体部115(配線係合部113)へ係合される。さらに、結束バンド111の一部が係合移動規制部118に嵌合し、結束バンド111が係合本体部115の延在方向(言い換えると、配線109の延在方向)にずれることを規制されて安定する。したがって、結束バンド111が傾く等して不安定になる不都合、さらには不安定な結束バンド111が配線109の一部に集中荷重を掛けて配線109が断線し易くなってしまう不都合を抑制することができる。そして、結束バンド111の安定に伴って配線109が安定し、パチンコ遊技機1内での配線109の損傷や断線等の不具合を防止することができる。
【0029】
また、係合移動規制部118の深さ寸法dを結束バンド(係合部材)111の厚さ寸法tよりも大きく設定して、結束バンド111が配線係合部113よりも遊技盤6の後方へ突出することを避けているので、結束バンド111が他の構成や作業員の手等にぶつかり難くなり、結束バンド111の不用意な損傷や切断、さらには結束バンド111の切断によって配線109が配線係合部113からはずれてしまう不都合を抑えることができる。さらに、結束バンド111が配線係合部113の後側から出っ張ることがなく、パチンコ遊技機1内の限られたスペースを有効に活用することができる。
【0030】
次に、制御ユニット54について説明する。
制御ユニット54は、
図11に示すように、遊技ベースユニット22の裏面に止着されるユニットケース130を前側が開放した状態で備え、該ユニットケース130の後部には矩形状の表示開口窓130aを前後方向へ貫通して開設し、ユニットケース130の後方に装着された表示装置55の表示部55aを表示開口窓130aに臨ませている。さらに、ユニットケース130の前側開放部には、遊技の進行に伴って装飾演出を実行可能なユニットを複数(本実施形態では3つ)組み合わせて収納している。具体的に説明すると、ユニットケース130のうち、表示開口窓130aの上縁部の前方に位置する箇所には横長な上側役物ユニット131を配置し、表示開口窓130aの下縁部の前方に位置する箇所には横長な下側役物ユニット133を配置し、ユニットケース130の一側(
図11中、左側)における上側役物ユニット131と下側役物ユニット133との間には縦長な発光装飾ユニット135を配置している。そして、下側役物ユニット133の下部の前方にはセンターケース23の進入規制壁78が位置するように構成されている。なお、上側役物ユニット131には、昇降して演出動作を実行する昇降演出部材131aを備えている。また、ユニットケース130のうち発光装飾ユニット135の側方(
図11中、左側方)、および、下側役物ユニット133の側部(
図11中、左側部)には、不正行為検出用の磁気センサ(詳しくは、遊技球を不正に操作しようとする磁石等の磁力を検出可能な磁気センサ)137をそれぞれ装着している。
【0031】
次に、下側役物ユニット133について説明する。
下側役物ユニット133は、可動部材を回動して装飾演出を実行するユニットであり、
図12に示すように、前部の下側ユニットカバー141aと後部の下側ユニットベース141bとを前後に重ねて構成された横長な下側ユニットケース141と、該下側ユニットケース141内に回動可能な状態で接続された左右の下側回動役物(可動部材)142と、下側ユニットカバー141aに装着された下側回動モータ(駆動源)143と、該下側回動モータ143と下側回動役物142とを接続する役物回動伝達機構(駆動伝達機構)144と、下側ユニットケース141内の左右方向の中央部分に配置された役物ユニット中継基板(電気基板)145と、該役物ユニット中継基板145の前方に配置されたユニット装飾部146とを備えて構成されている。
【0032】
具体的には、下側ユニットケース141内の左右両側に下側回動役物142の下部を回動可能な状態でそれぞれ軸着し、下側ユニットカバー141aには下側回動モータ143をそれぞれ装着して下側回動モータ143の出力軸を下側ユニットベース141b側へ突出している。さらに、下側ユニットベース141bのうち下側回動モータ143の出力軸と下側回動役物142との間には、複数枚(本実施形態では4枚)のギアを噛合して構成された役物回動伝達機構144をそれぞれ備え、下側回動モータ143からの出力(駆動力)を役物回動伝達機構144により下側回動役物142へ伝達して下側回動役物142を回動可能としている。また、下側ユニットカバー141aには複数のコネクタ露出開口148を開設し、役物ユニット中継基板145には複数の中継側配線コネクタ145aを実装してコネクタ露出開口148から当該下側役物ユニット133の前方へ臨ませ、中継側配線コネクタ145aに下側回動モータ143、下側回動役物142、演出制御装置59をそれぞれ電気的に接続して、演出制御装置59から出力された制御信号が役物ユニット中継基板145を介して下側回動モータ143、下側回動役物142へ送信されることにより、下側回動モータ143が駆動したり、下側回動役物142の内部構造が発光したりするように構成されている。
【0033】
下側回動役物142は、
図13に示すように、下側ユニットベース141bに下側が軸着される回動役物ベース151を備え、該回動役物ベース151の前面には、当該回動役物ベース151側から回動役物発光基板(電気基板)152、回動役物装飾パネル153の順に重ねて配置し、回動役物装飾パネル153を透光部材(透明樹脂等)で構成して透光可能とし、回動役物発光基板152の前面(回動役物装飾パネル153側)にはLED等の発光体152aを実装している。また、回動役物ベース151の下部には、回動中心となる役物軸受部155を開設し、該役物軸受部155から側方へ外れた箇所には、役物回動伝達機構144が噛合する扇状の役物ギア156を備え、回動役物ベース151の上部には役物ガイド突起157を突設して、下側ユニットカバー141aに開設された円弧状(詳しくは、下側回動役物142の回動方向に沿って延在する円弧状)の役物ガイド溝158へ係合している。さらに、回動役物ベース151の上縁部には役物検出片159を突設し、下側ユニットベース141bに設けられた回動役物位置検出センサ160(
図12参照)により役物検出片159を検出可能としている。
【0034】
このような構成を備えた下側役物ユニット133においては、
図14および
図15に示すように、下側回動モータ143を駆動すると、この駆動力が役物回動伝達機構144を介して下側回動役物142へ伝達して下側回動役物142が回動する。そして、下側ユニットケース141内の演出非実行位置(倒伏位置)に下側回動役物142が横向き倒伏姿勢で配置される演出非実行状態(
図14(a)参照)と、該演出非実行状態から下側回動役物142が上方へ回動して表示部55aの前方の演出実行位置(起立位置)に縦向き起立姿勢で配置される演出実行状態(
図15参照)とに変換するように構成されている。また、演出非実行状態においては、回動役物位置検出センサ160が役物検出片159を検出して、下側回動役物142が演出非実行位置に配置されていること(下側回動役物142が演出非実行状態であること)を把握することができるように構成されている。
【0035】
そして、下側役物ユニット133は、
図16(b)および
図18に示すように、下側回動役物142の回動役物発光基板152と役物ユニット中継基板145とを複数本の発光接続配線(配線)165で接続し、さらには役物ユニット中継基板145と演出制御装置59とを中継配線(図示せず)で接続して、演出制御装置59等からの制御信号が中継配線、役物ユニット中継基板145、発光接続配線165を介して回動役物発光基板152へ送信されるように構成されている。具体的に説明すると、回動役物発光基板152のうち回動役物ベース151側を向いた裏面(言い換えると、発光体152aが実装された表面(前面)とは反対側の裏面)には役物側配線コネクタ152bを実装して(
図13(b)および
図18参照)、回動役物ベース151と回動役物装飾パネル153との間から下側回動役物142の下方へ臨ませている。そして、発光接続配線165の一端を役物側配線コネクタ152bへ接続し、他端を役物ユニット中継基板145の中継側配線コネクタ145aへ接続している。
【0036】
また、
図13(b)に示すように、回動役物ベース151のうち役物軸受部155と役物ギア156との間には、下側回動役物142の回動中心軸と平行な係合軸部167を備え、該係合軸部167に役物側配線係合部(配線係合部)168を回動可能な状態で軸着し、該役物側配線係合部168に無端帯状の結束バンド(係合部材)171(
図16(b)参照)を介して発光接続配線165を係合するように構成されている。なお、本実施形態では、
図14および
図15に示すように、一方の下側回動役物142(
図14(a)中、右側の下側回動役物142)にのみ役物側配線係合部168を備えているが、本発明はこれに限定されず、他方の下側回動役物142(
図14(a)中、左側の下側回動役物142)にも役物側配線係合部168を備えてもよい。
【0037】
役物側配線係合部168は、
図13(b)および
図16に示すように、当該役物側配線係合部168の基部となる横向き短冊状の係合アーム
(仕切り部材)175を下側役物ユニット133の左右方向に沿って延在する姿勢
(言い換えると、発光接続配線165の長手方向に沿って延在する姿勢(図16(b)参照))で備え、該係合アーム175のうち役物軸受部155側(
図13(b)中、左側)に位置する基部には、係合軸部167に軸着される係合軸受176を備え、フランジ付きビス等の軸受ストッパー177を係合軸部167に前後方向に通して止着し、係合軸受176の係合軸部167からの脱落を阻止している。また、係合アーム175のうち役物ギア156側(
図13(b)中、右側)の下縁部、言い換えると、係合アーム175の自由端側の下縁部には、係合アーム175の長尺方向
(仕切り部材の延在方向)に沿って離間した一対の係合支持部184を下側回動役物142の前方へ向けて突設し、係合支持部184の突出端部同士の間に係合本体部185を架設している。そして、一対の係合支持部184と係合本体部185とで囲まれた空間部を係合挿通穴186として結束バンド171を挿通可能としている。
【0038】
さらに、係合本体部185には、結束バンド171の移動を規制する係合移動規制部188を備えている。詳しくは、係合本体部185のうち下側ユニットカバー141a側を向いた前縁部に係合移動規制部188を凹み形状で形成して結束バンド171を嵌合可能とし、嵌合した結束バンド171の移動(具体的には、結束バンド171が発光接続配線165の延在方向に沿ってずれること)を規制するように構成されている。また、
図16(b)に示すように、係合移動規制部188の深さ寸法(係合移動規制部188を構成する凹みの段差寸法)dを結束バンド171の厚さ寸法tよりも大きく設定して、係合移動規制部188内の結束バンド171が役物側配線係合部168よりも前方の下側ユニットカバー141a側へ突出することを避けている。
【0039】
このような構成の役物側配線係合部168に発光接続配線165を係合するには、まず、複数本の発光接続配線165を一対の係合支持部184の間に上方から掛け渡し、係合支持部184の突出方向(下側役物ユニット133の前後方向)に沿って並べる(
図16(b)参照)。このようにして発光接続配線165を役物側配線係合部168に当接したならば、無端帯状にする前の結束バンド171を係合挿通穴186へ通し、結束バンド171の端部同士を係止して無端帯状にする。このとき、結束バンド171を係合移動規制部188に嵌合しながら係止作業を行うことで、係止作業中に結束バンド171が不用意に役物側配線係合部168からずれ難くなり、結束バンド171の端部同士の係止作業をスムーズに行うことができる。
【0040】
結束バンド171の端部同士を係止して結束バンド171を無端帯状にすると、発光接続配線165が係合本体部185とともに無端帯状の結束バンド171内に結束される。言い換えると、発光接続配線165が結束バンド171によって係合本体部185(役物側配線係合部168)へ係合される。また、係合アーム175が仕切り部材として発光接続配線165と回動役物ベース151との間に介在する。さらに、結束バンド171の一部が係合移動規制部188に嵌合し、結束バンド171が係合本体部185の延在方向(言い換えると、発光接続配線165の延在方向)にずれることを規制されて安定する。したがって、結束バンド171が傾く等して不安定になる不都合、さらには不安定な結束バンド171が発光接続配線165の一部に集中荷重を掛けて発光接続配線165が断線し易くなってしまう不都合を抑制することができる。また、結束バンド171の安定に伴って発光接続配線165が安定し(具体的には、発光接続配線165の係合状態が安定し)、下側回動役物142上での発光接続配線165の損傷や断線等の不具合を防止することができる。
【0041】
そして、下側役物ユニット133は、下側ユニットカバー141aにも発光接続配線165を係合可能な構成を備えている。具体的には、
図17および
図18に示すように、下側ユニットカバー141aの前面部のうちコネクタ露出開口148(役物ユニット中継基板145)と下側回動役物142との間に位置する箇所には、無端帯状の結束バンド(係合部材)191を介して発光接続配線165を係合するカバー側配線係合部193を備えている。カバー側配線係合部193は、下側ユニットカバー141aの左右方向に沿って
互いに離間した一対の係合支持部194を下側ユニットカバー141aの前方へ向けて突設し、係合支持部194の突出端部同士の間に係合本体部195を架設している。また、一対の係合支持部194と係合本体部195とで囲まれた空間部を係合挿通穴196として結束バンド191を挿通可能とし、下側ユニットカバー141aのうち一対の係合支持部194同士の間に開設されたカバー貫通穴197と係合挿通穴196とを連通している(
図17参照)。
【0042】
さらに、下側ユニットカバー141aの係合本体部195にも、結束バンド191の移動を規制する係合移動規制部198を備えている。詳しくは、
図17(b)に示すように、係合本体部195のうち下側ユニットカバー141aの前方を向いた前縁部(
図17(b)中、上縁部
(言い換えると、係合本体部195を挟んで係合挿通穴196とは反対側))に係合移動規制部198を凹み形状で形成して結束バンド191を嵌合可能とし、嵌合した結束バンド191の移動(具体的には、結束バンド191が発光接続配線165の延在方向に沿ってずれること)を規制するように構成されている。また、係合移動規制部198の深さ寸法(係合移動規制部198を構成する凹みの段差寸法)dを結束バンド191の厚さ寸法tよりも大きく設定して、係合移動規制部198内の結束バンド191がカバー側配線係合部193よりも前方のセンターケース23側へ突出することを避けている。
さらに、係合移動規制部198の凹み幅(係合移動規制部198のうち係合本体部195の架設方向(図17(b)中、左右方向)に沿った凹み幅)W1を、係合挿通穴196の開口幅(係合挿通穴196のうち係合支持部194同士の離間距離である開口幅)W2よりも狭くしている。
【0043】
そして、カバー側配線係合部193に発光接続配線165を係合するには、まず、複数本の発光接続配線165を一対の係合支持部194の間に下方から掛け渡し、係合支持部194の突出方向(下側役物ユニット133の前後方向)に沿って並べる(
図17(b)参照)。このようにして発光接続配線165をカバー側配線係合部193に当接したならば、無端帯状にする前の結束バンド191を係合挿通穴196へ通し
て発光接続配線165および係合本体部195へ係合し、結束バンド191の端部同士を係止して無端帯状にする。このとき、結束バンド191を係合移動規制部198に嵌合しながら係止作業を行うことで、係止作業中に結束バンド191が不用意にカバー側配線係合部193からずれ難くなり、結束バンド191の端部同士の係止作業をスムーズに行うことができる。
【0044】
結束バンド191の端部同士を係止して結束バンド191を無端帯状にすると、発光接続配線165が係合本体部195とともに無端帯状の結束バンド191内に結束される。言い換えると、発光接続配線165が結束バンド191によって係合本体部195(カバー側配線係合部193)へ係合される。さらに、結束バンド191の一部が係合移動規制部198に嵌合し、結束バンド191が係合本体部195の延在方向(言い換えると、発光接続配線165の延在方向)にずれることを規制されて安定する。したがって、結束バンド191が傾く等して不安定になる不都合、さらには不安定な結束バンド191が発光接続配線165の一部に集中荷重を掛けて発光接続配線165が断線し易くなってしまう不都合を抑制することができる。また、結束バンド191の安定に伴って発光接続配線165が安定し(具体的には、発光接続配線165の係合状態が安定し)し、下側ユニットカバー141a上での発光接続配線165の損傷や断線等の不具合を防止することができる。
【0045】
このようにして各配線係合部168,193に係合される発光接続配線165においては、
図18に示すように、役物ユニット中継基板145寄りの部分がカバー側配線係合部193の下方を通って下側ユニットカバー141aの左右方向に沿って延在し、下側回動役物142寄りの部分が役物側配線コネクタ152bと役物側配線係合部168との間で十分に弛んだ状態(詳しくは、役物側配線係合部168の回動位置に拘らず十分に撓んだ状態)で配置されて役物側配線係合部168の上方を通っている。さらに、役物側配線係合部168とカバー側配線係合部193との間に位置する部分が下側ユニットカバー141aの側方(
図18中、右側方)へ膨出する円弧状態で湾曲し、下側回動役物142の回動位置や役物側配線係合部168の回動位置に拘らず十分に弛んで発光接続配線165に張力が掛らないように構成されている。
【0046】
次に、パチンコ遊技機1の遊技進行等の制御を行う遊技制御装置58を中心とする制御系統について説明する。
遊技制御装置58は、
図19に示すように、遊技制御を司るCPU、遊技制御のための制御プログラム等を記憶しているROM、および遊技制御時にワークエリアとして利用されるRAM、入力部(入力インターフェース)、出力部(出力インターフェース)等から構成されている。そして、各種検出装置(磁気センサ137、電波センサ201、第1始動口スイッチ46、第2始動口スイッチ47、ゲートスイッチ29、各一般入賞口32,42への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ203、V入賞検出スイッチ98、カウントスイッチ86、前面枠開放検出スイッチ204、透明部材保持枠開放検出スイッチ205、電源装置206等)からの検出信号を受けて、遊技状態の切り替え(通常遊技状態と、通常遊技状態よりも遊技者に有利な特定遊技状態(大当り状態、電サポ状態等)との切り替え)、遊技者に対する報知、停電対応処理等、種々の処理を行う。さらに、演出制御装置59を介して各ユニットの動作(球流路ユニット90の発光動作や下側役物ユニット133の回動動作等)を制御する制御手段として機能したり、あるいは、払出制御装置210、大入賞口ソレノイド85、普通電動役物41aを開閉駆動するための普電ソレノイド211、一括表示装置51、外部情報端子212等に指令信号を送信したりして、遊技を統括的に制御する。
【0047】
演出制御装置59は、
図20に示すように、演出制御を司るCPU、演出制御を実行するための制御プログラムを格納したPROM、画像データ等を格納した画像ROM、映像表示のための画像処理を行うVDP、入力インターフェース、出力インターフェース等から構成されている。そして、パチンコ遊技機1における遊技の進行に伴って発生する信号、具体的には、遊技制御装置58からの制御信号、遊技演出ボタン17に設けられた演出ボタンスイッチ217からの信号、各ユニット等に設けられたセンサからの信号等に基づいて、各ユニット等の演出動作を制御する。詳しくは、表示装置55の表示部55aの表示、上スピーカ11や下スピーカ16からの効果音出力、遊技盤6に設けられた盤装飾装置220(球流路ユニット90の発光基板や下側役物ユニット133の発光基板等)の発光や透明部材保持枠8に設けられたLED等の枠装飾装置221の発光、遊技盤6に設けられた盤演出装置222(下側役物ユニット133の下側回動モータ143等)や透明部材保持枠8に設けられた演出部材(図示せず)を駆動するモータ等の枠演出装置223の駆動を制御する。
【0048】
次に、下側回動役物142の回動動作に伴う発光接続配線165の挙動について、
図21から
図23に基づき説明する。なお、下側回動役物142は、遊技の進行に伴って遊技制御装置58や演出制御装置59による制御に基づいて回動動作される。
下側役物ユニット133においては、
図21(a)および
図23(a)に示すように、下側回動役物142を演出非実行状態に設定すると、役物側配線係合部168が係合軸受176側から下側役物ユニット133の側方(
図21(a)中、右側方)へ向かって下り傾斜した姿勢となり、役物側配線係合部168の配線本体部が下側回動役物142の役物軸受部155よりも下方に位置する。また、発光接続配線165が役物側配線コネクタ152bと役物側配線係合部168との間、および役物側配線係合部168とカバー側配線係合部193との間で十分に弛んだ状態に設定される。
【0049】
このような演出非実行状態から下側回動モータ143を駆動して下側回動役物142を上方へ回動すると、
図21(b)に示すように、役物側配線係合部168と役物側配線コネクタ152bとが下側回動役物142と共回りして上昇し、この上昇により役物側配線係合部168がカバー側配線係合部193から上方へ次第に離れて、発光接続配線165のうち役物側配線係合部168とカバー側配線係合部193との間に位置する弛み部分が次第に伸びる。また、伸ばされる発光接続配線165からの反力を受けて役物側配線係合部168が回動役物ベース151に対して下方へ回動する(言い換えると、役物側配線係合部(配線係合部)168の軸着箇所を中心にして位相をずらす相対運動を実行する)。さらに、役物側配線係合部168の回動役物ベース151に対する下方回動により、役物側配線係合部168が役物側配線コネクタ152bから下方へ次第に離れて、発光接続配線165のうち役物側配線係合部168と役物側配線コネクタ152bとの間に位置する弛み部分が次第に伸びる。この結果、役物側配線係合部168は、下側回動役物142との共回りによる上方回動と、係合軸部167を中心とする下方回動とを併せて行うことで、演出非実行状態における下り傾斜姿勢を殆ど維持しながら上昇する。
【0050】
引き続き下側回動モータ143を駆動して下側回動役物142を演出実行状態へ変換すると、
図22および
図23(b)に示すように、役物側配線係合部168と役物側配線コネクタ152bとが下側回動役物142と共回りして上死位置にそれぞれ到達する。なお、役物側配線係合部168においては、演出非実行状態での下り傾斜姿勢を殆ど維持した状態で上死位置に到達する。また、役物側配線係合部168とカバー側配線係合部193とが最も離間するとともに、役物側配線係合部168と役物側配線コネクタ152bとが最も離間し、発光接続配線165が弛みを残しながらも演出非実行状態のときよりも伸びる。
【0051】
そして、下側回動モータ143を駆動して下側回動役物142を演出実行状態から演出非実行状態へ戻すと、役物側配線係合部168は、下側回動役物142の上昇時における動作とは反対の動作、すなわち、下側回動役物142との共回りによる下方回動と、係合軸部167を中心とする上方回動とを併せて行うことで、演出実行状態における下り傾斜姿勢を殆ど維持しながら下降する。また、役物側配線係合部168とカバー側配線係合部193との離間距離、および、役物側配線係合部168と役物側配線コネクタ152bとの離間距離が演出非実行状態での設定に戻るとともに、発光接続配線165の弛みが戻る。
【0052】
このようにして、役物側配線係合部168が下側回動役物142に対して回動可能(相対運動可能)であることにより、役物側配線係合部168の姿勢(下り傾斜姿勢)が下側回動役物142の昇降動作に拘らず極端に変わらない。このため、発光接続配線165の一部(役物側配線係合部168に係合されている部分)が下側回動役物142の昇降動作(回動)に伴って極端に向きを変えて暴れてしまう不都合、ひいては暴れた発光接続配線165が他の構成に絡まって断線してしまう不都合(例えば、役物ギア156や役物回動伝達機構144の歯に挟まって断線してしまう不都合)を抑えることができる。また、役物側配線係合部168の係合アーム
(仕切り部材)175が発光接続配線165と回動役物ベース151との間を仕切っているので
(言い換えると、発光接続配線165と、該発光接続配線165の外方とを仕切っているので)、発光接続配線165が回動役物ベース151に近づくこと、さらには、役物ギア156に挟まって断線することを阻止することができる。
【0053】
また、係合移動規制部188,198の深さ寸法dを結束バンド(係合部材)171,191の厚さ寸法tよりも大きく設定して、結束バンド171,191が各配線係合部168,193よりも前方の遊技者側へ突出することを避けているので、結束バンド171,191が他の構成や作業員の手等にぶつかり難くなり、係合部材の不用意な損傷や切断、さらには結束バンド171,191の切断によって発光接続配線165が各配線係合部168,193からはずれてしまう不都合を抑えることができる。さらに、結束バンド171,191が各配線係合部168,193の前側から出っ張ることがなく、パチンコ遊技機1内の限られたスペースを有効に活用することができる。
【0054】
なお、役物側配線係合部168においては、係合された発光接続配線165を役物側配線係合部168に対して摺動可能(詳しくは、発光接続配線165の延在方向に沿って摺動可能)としてもよい。例えば、無端帯状の結束バンド171内に配線を遊嵌したり、あるいは、役物側配線係合部168のうち発光接続配線165が当接する箇所に遊嵌溝を形成したりして、該遊嵌溝に発光接続配線165を遊嵌してもよい。このような遊嵌構成を備えて発光接続配線165を摺動可能とすれば、下側回動役物142の動作に拘らず、役物側配線コネクタ152bと役物側配線係合部168との間で発光接続配線165に張力が掛ることを避けることができ、発光接続配線165の断線や役物側配線コネクタ152bからの脱落を抑制することができる。
【0055】
ところで、上記実施形態では、係合移動規制部118,188,198を凹み形状で構成したが、本発明はこれに限定されない。要は、配線係合部において結束バンドの移動を規制することができれば、どのような構造で係合移動規制部を構成してもよい。例えば、結束バンドが挿通される貫通穴でもよいし、あるいは、結束バンドの両側縁に当接可能な一対の突起でもよい。また、本発明における係合部材の一例として結束バンド111,171,191を挙げたが、本発明はこれに限定されない。要は配線を配線係合部へ係合することができれば、どのような構成の係合部材を採用してもよい。さらに、本発明における基板(電気基板)として中継基板108,145や発光基板103,152を例示したが、本発明はこれに限定されない。要は、配線によって互いに接続される基板同士であれば、どのような機能を有する基板の組み合わせを採用してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、本発明の可動部材の一例として下側回動役物142を挙げたが、本発明はこれに限定されない。要は、遊技の進行に伴って動作可能な可動部材であれば、当該可動部材の構成や動作態様は問わない。そして、下側回動役物142に役物側配線係合部168を回動可能な状態で装着したが、本発明はこれに限定されない。要は、配線係合部が可動部材に対して相対運動し得る状態で装着されていれば、どのような態様の相対運動を設定してもよい。例えば、可動部材に対して配線係合部がスライド移動するように構成してもよいし、あるいは、スライドしながら回動するように構成してもよい。
【0057】
さらに、上記実施形態では、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例にして説明したが、本発明はこれに限らずどのような遊技機でもよい。例えば、封入球式パチンコ機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機、スロットマシン等の遊技機であってもよい。
【0058】
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。