特許第6904590号(P6904590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6904590シミュレーションシステム、シミュレーション方法、プログラム、および記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904590
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】シミュレーションシステム、シミュレーション方法、プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06T 13/40 20110101AFI20210708BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20210708BHJP
【FI】
   G06T13/40
   G06F17/50 612C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-524869(P2018-524869)
(86)(22)【出願日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】JP2016089170
(87)【国際公開番号】WO2018003148
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2018年12月25日
【審判番号】不服2020-9923(P2020-9923/J1)
【審判請求日】2020年7月15日
(31)【優先権主張番号】特願2016-128179(P2016-128179)
(32)【優先日】2016年6月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【弁理士】
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】中尾 勇介
【合議体】
【審判長】 清水 正一
【審判官】 樫本 剛
【審判官】 川崎 優
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−256756(JP,A)
【文献】 特開2010−44736(JP,A)
【文献】 特開2007−334446(JP,A)
【文献】 特開2001−160077(JP,A)
【文献】 「分身モデルに3D CADデータのバーチャル空間を体験させる」、日経CG、2000年1月8日、160号、144〜147頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 13/00 - 19/20
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、端末とを備え、
前記本体は、
物、前記物を取り扱う人、および前記物を取り扱う人の動作に関する基準情報を記憶する記憶手段、
前記基準情報に基づいて、前記物および前記物を取り扱う人物モデルの三次元画像を仮想空間に生成する生成手段、
前記基準情報の条件を変更する変更手段、
前記変更した条件に基づいて、前記生成された三次元画像を補正する補正手段を含み、
前記端末は、
前記物を取り扱う人の動作に関する基準情報を取得するための端末であり、
前記本体と前記端末とが、通信回線網を介して連結可能である
ことを特徴とするシミュレーションシステム。
【請求項2】
前記物に関する基準情報が、物の形、物の重さ、および物の場所からなる群から選択された少なくとも一つであり、
前記物を取り扱う人に関する基準情報が、性別、身長、体重、筋力、腕力、運動能力、および年齢からなる群から選択された少なくとも一つであり、
前記物を取り扱う人の動作に関する基準情報が、物をつかむ動作、物を置く動作、および物を運ぶ動作からなる群から選択された少なくとも一つである、請求項1記載のシミュレーションシステム。
【請求項3】
前記補正手段が、インバースキネマティクスである、請求項1または2記載のシミュレーションシステム。
【請求項4】
前記端末は、物および人に装着可能な端末である、請求項1から3のいずれか一項に記載のシミュレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーションシステム、シミュレーション方法、プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人の動作情報から、人物モデルの三次元画像を仮想空間に生成するシステムの開発が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のシステムは、既存の人の動作情報に基づいてモデルを生成するものであり、前記動作情報の範囲での画像に留まる。このため、シミュレーションに利用可能な、利便性に優れる新たなシステムが求められている。
【0004】
そこで、本発明は、シミュレーションに利用可能な、利便性に優れる新たなシステム、方法、プログラム、および記録媒体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明のシミュレーションシステムは、
物、前記物を取り扱う人、および前記物を取り扱う人の動作に関する基準情報を記憶する記憶手段、
前記基準情報に基づいて、前記物および前記物を取り扱う人物モデルの三次元画像を仮想空間内に生成する生成手段、
前記基準情報の条件を変更する変更手段、
前記変更した条件に基づいて、前記生成された三次元画像を補正する補正手段を含むことを特徴とする。
【0006】
本発明のシミュレーション方法は、
物、前記物を取り扱う人、および前記物を取り扱う人の動作に関する基準情報に基づいて、前記物および前記物を取り扱う人物モデルの三次元画像を仮想空間に生成する生成工程、
前記基準情報の条件を変更する変更工程、
前記変更した条件に基づいて、前記生成した三次元画像を補正する補正工程を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明のプログラムは、前記本発明のシミュレーション方法をコンピュータ上で実行可能なことを特徴とする。
【0008】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記本発明のプログラムを記録していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シミュレーションに利用可能な、利便性に優れる新たなシステム、方法、プログラム、および記録媒体を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明のシミュレーションシステムの一例(実施形態1)を示すブロック図である。
図2図2は、本発明のシミュレーション方法の一例(実施形態1)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によれば、前記基準情報の条件変更により、前記変更した条件に基づいて、補正した三次元画像を新たに生成できるため、例えば、目的に応じたシミュレーションが可能となり、利便性に優れる。
【0012】
本発明のシミュレーションシステムおよびシミュレーション方法において、例えば、前記物に関する基準情報が、物の形、物の重さ、および物の場所からなる群から選択された少なくとも一つであり、前記物を取り扱う人に関する基準情報が、性別、身長、体重、筋力、腕力、運動能力、および年齢からなる群から選択された少なくとも一つであり、前記物を取り扱う人の動作に関する基準情報が、物をつかむ動作、物を置く動作、および物を運ぶ動作からなる群から選択された少なくとも一つである。
【0013】
本発明のシミュレーションステムにおいて、例えば、前記補正手段は、インバースキネマティクスである。また、本発明のシミュレーション方法では、例えば、前記補正工程において、インバースキネマティクスを用いる。
【0014】
つぎに、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態によって何ら限定および制限されない。
【0015】
[実施形態1]
実施形態1は、本発明のシミュレーションシステムおよびシミュレーション方法に関する。
【0016】
図1に、本実施形態におけるシミュレーションシステムのブロック図を示す。図1に示すように、本実施形態のシミュレーションシステム10は、記憶手段11、生成手段121、変更手段122、および補正手段123を含む。生成手段121、変更手段122、および補正手段123は、例えば、図1に示すように、ハードウェアである処理手段(処理装置)12に組み込まれてもよく、ソフトウェアまたは前記ソフトウェアが組み込まれたハードウェアでもよい。処理手段12は、中央演算装置(CPU)等を備えてもよい。本実施形態のシミュレーションシステム10において、記憶手段11は、生成手段121および変更手段122に、生成手段121は、変更手段122および補正手段123に、変更手段122は、補正手段123に、それぞれ、電気的に接続されている。本実施形態のシミュレーションシステム10は、記憶手段11、生成手段121、変更手段122、および補正手段123を一体として含むため、例えば、シミュレーション装置ということもできる。
【0017】
シミュレーションシステム10は、例えば、記憶手段11、生成手段121、変更手段122、および補正手段123を備えるサーバ等の本体と、後述の物を取り扱う人の動作に関する基準情報を取得するための端末とを備え、両者が電気的に接続された形態であってもよい。シミュレーションシステム10において、前記端末は、任意の構成部材であり、有してもよいし、有さなくてもよい。シミュレーションシステム10は、例えば、前記端末と前記本体とが、通信回線網を介して連結されていてもよい。
【0018】
前記端末は、例えば、物および人に装着できる端末であり、例えば、AR(Augmented Reality)マーカー;Cerevo社製のBlueNinja:モーションセンサ;マイクロソフト社製のKINECT(登録商標)、Noitom社製のPerception Neuron等のモーションキャプチャ;等があげられる。
【0019】
記憶手段11は、物、前記物を取り扱う人、および前記物を取り扱う人の動作に関する基準情報を記憶する。記憶手段11は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリー、ハードディスク(HD)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等があげられる。記憶手段11は、装置内蔵型であってもよいし、外部記憶装置のような外付け型であってもよい。
【0020】
前記物は、特に制限されず、例えば、人が取り扱い可能と考えられる物等があげられる。前記物に関する基準情報(以下、「物の基準情報」という。)としては、特に制限されず、例えば、物の形、物の重さ、物の場所等があげられる。物の形は、特に制限されず、例えば、角柱(例えば、三角柱、四角柱、多角柱等)、角錐(例えば、三角錐、四角錐、多角錐等)、角筒、円柱、円錐、円筒、球等があげられる。物の重さは、特に制限されず、例えば、具体的な数値による分類でもよいし、数値範囲による分類でもよいし、重い、普通、軽い等の相対的なカテゴリーによる分類でもよい。前記物の場所は、特に制限されず、例えば、床の上、机の上、棚の上等があげられる。記憶手段11に記憶される前記物の基準情報の数は、特に制限されず、1つでもよいが、2つ以上の複数であることが好ましい。
【0021】
前記物を取り扱う人に関する基準情報(以下、「人の基準情報」という。)としては、特に制限されず、例えば、性別、身長、体重、筋力、腕力、運動能力、年齢等があげられる。性別は、例えば、男性、女性である。身長は、例えば、具体的な数値による分類でもよいし、数値範囲による分類でもよいし、高い、普通、低い等の相対的なカテゴリーによる分類でもよい。体重は、特に制限されず、例えば、具体的な数値による分類でもよいし、数値範囲による分類でもよいし、重い、普通、軽い等の相対的なカテゴリーによる分類でもよい。筋力および腕力は、例えば、具体的な数値による分類でもよいし、数値範囲による分類でもよいし、強い、普通、弱い等の相対的なカテゴリーによる分類でもよい。運動能力は、例えば、優れる、普通、劣る等の相対的なカテゴリーによる分類でもよい。年齢は、例えば、具体的な年齢層の分類でもよいし、幼児、子供、大人、老人等の相対的なカテゴリーによる分類でもよい。記憶手段11に記憶される前記人の基準情報の数は、特に制限されず、1つでもよいが、2つ以上の複数であることが好ましい。
【0022】
前記物を取り扱う人の動作に関する基準情報(以下、「動作の基準情報」という。)としては、特に制限されず、例えば、物をつかむ動作、物を置く動作、物を運ぶ動作等があげられる。記憶手段11に記憶される前記動作の基準情報の数は、特に制限されず、1つでもよいが、2つ以上の複数であることが好ましい。
【0023】
生成手段121は、前記基準情報に基づいて、前記物および前記物を取り扱う人物モデルの三次元画像を仮想空間に生成する。生成手段121は、例えば、前記CPU等があげられる。
【0024】
変更手段122は、前記基準情報の条件を変更する。変更手段122は、例えば、前記CPU等があげられる。
【0025】
補正手段123は、前記変更した条件に基づいて、前記生成された三次元画像を補正する。補正手段123は、特に制限するものではないが、例えば、インバースキネマティクスであってもよい。
【0026】
つぎに、図2に、本実施形態におけるシミュレーション方法のフローチャートを示す。本実施形態のシミュレーション方法は、例えば、図1のシミュレーションシステム10を用いて、つぎのように実施する。図2に示すように、本実施形態のシミュレーション方法は、生成工程(ステップS121)、変更工程(ステップS122)、および補正工程(ステップS123)を含む。本実施形態のシミュレーション方法は、生成工程(ステップS121)、変更工程(ステップS122)、および補正工程(ステップS123)をこの順序で実施しているが、本発明のシミュレーション方法は、この順序に制限されず、例えば、生成工程(ステップS121)および変更工程(ステップS122)を、例えば、並行して実施してもよい。
【0027】
まず、生成工程(ステップS121)に先立ち、前記物の基準情報、前記人の基準情報、および前記動作の基準情報を準備する。
【0028】
(1)生成工程(ステップS121)
生成工程(ステップS121)では、前記基準情報に基づいて、前記物および前記物を取り扱う人物モデルの三次元画像を仮想空間に生成する。
【0029】
(2)変更工程(ステップS122)
変更工程(ステップS122)では、前記基準情報の条件を変更する。
【0030】
(3)補正工程(ステップS123)
補正工程(ステップS123)では、前記変更した条件に基づいて、前記生成した三次元画像を補正する。
【0031】
以下に、本実施形態のシミュレーションシステムおよびシミュレーション方法について、基準情報の初期条件が下記の場合を例にあげて説明する。なお、本発明は、これには制限されない。
【0032】
物の基準情報
物の形 :立方体
物の重さ :重い
人の基準情報
性別 :男性
身長 :170cm
筋力および腕力:強い
動作の基準情報
床の上の物をつかんで持ち上げ、1m離れた棚の位置まで運び、高さ150cmの棚の上に置く。
【0033】
まず、生成工程(ステップS121)において、前述の基準情報の初期条件に基づいて、前記物および前記物を取り扱う人物モデルの三次元画像を仮想空間に生成する。
【0034】
つぎに、変更工程(ステップS122)において、前記基準情報の条件を変更する。本例では、前述の基準情報の初期条件のうち、性別を、女性に、身長を、155cmに、筋力および腕力を、弱いに変更する。
【0035】
つぎに、補正工程において、前記変更した条件に基づいて、前記生成した三次元画像を補正する。この場合、補正前は、身長が170cmの筋力および腕力の強い男性の動作であるが、補正後は、身長が155cmの筋力および腕力の弱い女性の動作となるため、前記三次元画像は、床の上の物をつかんで持ち上げ、1m離れた棚の位置まで運び、高さ150cmの棚の上に置く動作が、困難または支障のあるものに補正され得る。
【0036】
本発明のシミュレーションシステムおよびシミュレーション方法によれば、例えば、作業場等の仮想空間内で、物、前記物を取り扱う人、および前記物を取り扱う人の動作に関する基準情報の条件を変えてシミュレーションを実施することで、作業場の利用しやすさ等を評価できる。
【0037】
[実施形態2]
本実施形態のプログラムは、前述のシミュレーション方法を、コンピュータ上で実行可能なプログラムである。本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。前記記録媒体としては、特に限定されず、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等があげられる。
【0038】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【0039】
この出願は、2016年6月28日に出願された日本出願特願2016−128179を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、例えば、作業場の利用しやすさの評価等の分野において、極めて有用な技術といえる。
【符号の説明】
【0041】
10 シミュレーションシステム
11 記憶手段
12 処理手段
121 生成手段
122 変更手段
123 補正手段

図1
図2