特許第6904718号(P6904718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6904718蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法および蒸着マスクの製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904718
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法および蒸着マスクの製造装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20210708BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20210708BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   C23C14/04 A
   H05B33/14 A
   H05B33/10
【請求項の数】16
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-22874(P2017-22874)
(22)【出願日】2017年2月10日
(65)【公開番号】特開2018-127704(P2018-127704A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2020年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成谷 元嗣
【審査官】 神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−010270(JP,A)
【文献】 特開2014−062327(JP,A)
【文献】 特開2006−322015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/04
H01L 51/50
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン開口が形成されたパターン部および前記パターン部を囲む枠部を有するマスク本体と、前記枠部を支持するマスクフレームとを備え、
前記枠部の外縁に、前記枠部の他の部位よりも厚みの薄い薄肉部が形成され、前記薄肉部の端面を含む部分が前記マスクフレームに固定される、
蒸着マスク。
【請求項2】
前記マスクフレームが、マスクフレーム基材と前記マスクフレーム基材の前記マスク本体が配置される側に配置される接合部材とを有し、
前記接合部材に、前記マスク本体が固定される、請求項1に記載の蒸着マスク。
【請求項3】
前記接合部材の厚みが0.2mm以下である、請求項2に記載の蒸着マスク。
【請求項4】
前記マスクフレームが、複数個の前記マスク本体を保持する、請求項1から3のいずれかに記載の蒸着マスク。
【請求項5】
前記マスク本体が電鋳マスクである、請求項1から4のいずれかに記載の蒸着マスク。
【請求項6】
前記接合部材は、前記薄肉部よりも薄い、請求項に記載の蒸着マスク。
【請求項7】
パターン開口が形成されたパターン部および前記パターン部を囲む枠部を有するマスク本体と、前記枠部を固定するマスクフレームとを備え、
前記マスクフレームは、マスクフレーム基材と前記マスクフレーム基材の前記マスク本体が配置される側に配置され、前記マスク本体と接する接合部材とを有し、
前記接合部材の剛性は、前記枠部の剛性よりも低く、
前記枠部は、前記接合部材と交差する側面を有し、
前記側面は、第1の領域と、点状で且つ前記第1の領域の表面よりも表面が粗い複数個の第2の領域と、第3の領域と、前記第3の領域の外側に位置し、且つ前記側面を含む第4の領域と、を有し、
前記第4の領域は、前記第3の領域よりも薄く、
前記接合部材は、前記第4の領域よりも薄い、
蒸着マスク。
【請求項8】
前記第2の領域は、前記枠部と前記マスクフレームとの溶接痕である、請求項7に記載の蒸着マスク。
【請求項9】
前記接合部材はインバーで形成されている、請求項7又は請求項8に記載の蒸着マスク。
【請求項10】
パターン開口が形成されたパターン部および前記パターン部を囲む枠部を有するマスク本体を、前記枠部を支持するマスクフレーム上に配置すること、および、
前記枠部の端面を含む部分を、前記マスクフレームに溶接すること、
をこの順で含み、
前記枠部は、第1の領域と、前記第1の領域の外側に位置し、且つ前記端面を含む第2の領域と、を有し、
前記第2の領域は、前記第1の領域よりも薄い蒸着マスクの製造方法。
【請求項11】
前記端面にレーザーを照射して、前記マスクフレームに前記マスク本体を溶接する、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記マスクフレームが、マスクフレーム基材と前記マスクフレーム基材の前記マスク本体が配置される側に配置される接合部材とを有し、
前記端面を、前記接合部材に溶接する、請求項10または11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記接合部材は、前記第2の領域よりも薄い、請求項12に記載の蒸着マスクの製造方法。
【請求項14】
パターン開口が形成されたパターン部および前記パターン部を囲む枠部を有するマスク本体を、前記枠部を支持するマスクフレーム上に配置させた状態で、前記マスクフレームを保持するマスクフレーム保持部と、
前記マスクフレームに前記マスク本体を溶接する溶接ユニットと
を備え、
前記溶接ユニットが、前記マスク本体の、前記枠部の外縁に形成された、前記枠部の他の部位よりも厚みの薄い薄肉部を、前記マスクフレームに溶接するように構成される、
蒸着マスクの製造装置。
【請求項15】
前記溶接ユニットがレーザー照射部を有する、請求項1に記載の製造装置。
【請求項16】
前記マスクフレームが、マスクフレーム基材と前記マスクフレーム基材の前記マスク本体が配置される側に配置される接合部材とを有し、
前記溶接ユニットが、前記接合部材に前記マスク本体を溶接する、請求項1または1に記載の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法および蒸着マスクの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等の表示装置の製造において、通常、基板上の所定の位置に、マスクを介して成膜材料を蒸着法等により付着させることにより成膜する手法が用いられている。例えば、赤、緑、青の有機EL素子(画素)は、マスク蒸着法により基板上に形成される。ここで用いられるマスクには成膜するパターンに応じた開口が形成されているが、成膜の際、マスクをフレームに固定させる場合がある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−181208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のようなマスクを用いた成膜において、例えば、マスクとフレームとの接合強度が問題となる場合がある。
【0005】
上記に鑑み、本発明の目的の一つは、マスクとフレームとの十分な接合強度を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの局面によれば、蒸着マスクが提供される。1つの実施形態においては、蒸着マスクは、パターン開口が形成されたパターン部および前記パターン部を囲む枠部を有するマスク本体と、前記枠部を支持するマスクフレームとを備え、前記枠部は、前記マスクフレームと交差する端面を有し、前記マスク本体は、前記端面で前記マスクフレームに固定、溶接されている。
【0007】
1つの実施形態においては、上記マスクフレームは、マスクフレーム基材と前記マスクフレーム基材の上記マスク本体が配置される側に配置される接合部材とを有し、上記接合部材に、上記マスク本体が固定、溶接される。
【0008】
1つの実施形態においては、上記接合部材の厚みは0.2mm以下である。
【0009】
1つの実施形態においては、上記マスクフレームは、複数個の上記マスク本体を保持する。
【0010】
1つの実施形態においては、上記マスク本体は電鋳マスクである。
【0011】
1つの実施形態においては、上記枠部の外縁に、上記枠部の他の部位よりも厚みの薄い薄肉部が形成され、前記薄肉部の端面を含む部分は上記マスクフレームに固定、溶接される。接合部材は、前記薄肉部よりも薄くてもよい。
【0012】
別の実施形態においては、蒸着マスクは、パターン開口が形成されたパターン部および前記パターン部を囲む枠部を有するマスク本体と、前記枠部を固定するマスクフレームとを備え、前記マスクフレームは、マスクフレーム基材と前記マスクフレーム基材の前記マスク本体が配置される側に配置され、前記マスク本体と接する接合部材とを有し、前記接合部材の剛性は、前記枠部の剛性よりも低く、前記枠部は、前記接合部材と交差する側面を有し、前記側面は、第1の領域と、点状で且つ前記第1の領域の表面よりも表面が粗い複数個の第2の領域とを有する。
【0013】
本発明の別の局面によれば、蒸着マスクの製造方法が提供される。この製造方法は、パターン開口が形成されたパターン部および前記パターン部を囲む枠部を有するマスク本体を、前記マスク本体の枠部を支持するマスクフレーム上に配置すること、および、前記マスク本体の枠部の端面を含む部分を、前記マスクフレームに溶接すること、をこの順で含む。
【0014】
1つの実施形態においては、上記マスク本体の枠部の端面にレーザーを照射して、上記マスクフレームに上記マスク本体を溶接する。
【0015】
1つの実施形態においては、上記マスクフレームは、マスクフレーム基材と前記マスクフレーム基材の上記マスク本体が配置される側に配置される接合部材とを有し、上記マスク本体を、上記接合部材に溶接する。
【0016】
本発明のさらに別の局面によれば、蒸着マスクの製造装置が提供される。この製造装置は、パターン開口が形成されたパターン部および前記パターン部を囲む枠部を有するマスク本体を、前記マスク本体の枠部を支持するマスクフレーム上に配置させた状態で、前記マスクフレームを保持するマスクフレーム保持部と、前記マスクフレームに前記マスク本体を溶接する溶接ユニットとを備え、前記溶接ユニットが、前記マスク本体の枠部の端面を含む部分を、前記マスクフレームに溶接する。
【0017】
1つの実施形態においては、上記溶接ユニットはレーザー照射部を有する。
【0018】
1つの実施形態においては、上記マスクフレームは、マスクフレーム基材と前記マスクフレーム基材の上記マスク本体が配置される側に配置される接合部材とを有し、上記溶接ユニットは、上記接合部材に上記マスク本体を溶接する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の1つの実施形態における蒸着マスクの概略平面図である。
図2図1の蒸着マスクの部分拡大断面図である。
図3図1の蒸着マスクの使用方法の一例を示す概略断面図である。
図4】本発明の1つの実施形態における蒸着マスク製造装置の全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に評される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略することがある。
【0021】
図1は本発明の1つの実施形態における蒸着マスクの概略平面図であり、図2図1の蒸着マスクの部分拡大断面図であり、図3図1の蒸着マスクの使用方法の一例を示す概略断面図である。
【0022】
蒸着マスク1は、マスク本体10と、マスク本体10を支持するマスクフレーム20とを備える。マスクフレーム20は、マスクフレーム基材21とマスクフレーム基材21のマスク本体10が配置される側に配置された接合部材22とを有する。マスクフレーム基材21と接合部材22とは、接合(例えば、溶接により部分的に)されている。マスクフレーム基材21と接合部材22とは、例えばインバー(インバー合金)で形成される。
【0023】
マスク本体10は、パターン開口が形成されたパターン部11とパターン部11を囲む枠部12とを有し、枠部12においてマスクフレーム20に支持、固定されている。パターン部11の形状およびパターン開口は、例えば、製造する表示装置のパネル部に対応させる。具体的には、パターン部11のパターン開口は、製造する有機EL表示装置のパネル部の発光層のパターンに対応させる。
【0024】
パターン部11は、任意の適切な方法により形成され得る。具体的には、電気鋳造により形成されてもよいし、エッチングにより形成されてもよい。本実施形態では、パターン部11は、電気鋳造により形成されたメッキ部(例えば、厚みが5μm〜20μm程度のNiメッキ部)を含む。枠部12は、例えばインバー(インバー合金)で形成される。マスク本体10は電鋳マスクとされる。電鋳マスクによれば、例えば、より精度の高いパターン成膜を達成し得る。
【0025】
枠部12は、マスクフレーム20と、詳述すれば接合部材22と、交差する端面12a(側面ともいう)を有している。枠部12の端面12aを含む部分は、マスクフレーム20に溶接されている。具体的には、枠部12の端面12aには、枠部12とマスクフレーム20とが溶け合って一体化した溶接部13(固定箇所、溶接痕、端面12aの他の領域より表面が粗い点状の領域)が形成されている。溶接部13はマスクフレーム基材21には到達せずに、溶接部13の終端は接合部材22の内に位置している。溶接技術としては、代表的には、レーザー溶接が用いられる。例えば、マスク本体10をマスクフレーム20上の所定の位置に配置し、マスク本体10の枠部12の端面12aおよびマスクフレーム20にレーザーを照射することにより溶接する。具体的には、マスク本体10の枠部12の端面12aとマスクフレーム20とで形成された角部にレーザーを照射することにより溶接する。このように、枠部12の端面12aで溶接することで、溶接に必要なエネルギーを枠部12およびマスクフレーム20の両者に直接的に作用させることができ、溶接不良を防止して十分な接合強度を得ることができる。また、溶接に必要なエネルギー量を抑制し、形成される溶接部の盛り上がりによる悪影響を抑制し得る。なお、マスク本体10の溶接箇所(平面的に見たときの溶接個所)および溶接個所の個数は、適宜、決定され得る。例えば、マスク本体10のサイズに応じて、適宜、決定され得る。
【0026】
枠部12の厚みは、例えば0.5mm〜1mmの範囲内に設定される。本実施形態では、枠部12の外縁に他の部位よりも厚みの薄い薄肉部12bが形成され、この薄肉部12bの端面12aにおいてマスク本体10をマスクフレーム20に溶接している。薄肉部で溶接することにより、上記溶接に必要なエネルギー量、形成される溶接部の盛り上がりによる悪影響をより効果的に抑制し得る。
【0027】
本実施形態においては、マスクフレーム20には、マスク本体10の形状に対応する窓部20aが2つ形成されている。このように、マスクフレーム20により複数のマスク本体10を支持させることにより、例えば、マスク本体10よりも成膜対象の基板のサイズが大きい形態にも、既存のマスク本体10を利用することができる。マスクフレーム20の窓部20aのサイズは、マスク本体10のパターン部11よりも大きくなるように設計される。マスクフレーム20の厚みは、例えば2mm〜10mmである。図1では、2個のマスク本体10がマスクフレーム20に固定されているが、2個に限定されず3個以上のマスク本体10をマスクフレーム20に固定してもよい。
【0028】
上述のように、マスクフレーム20は、マスクフレーム基材21と接合部材22とを有し、接合部材22にマスク本体10が溶接されている。このように、接合部材22を用いることにより、蒸着マスク1全体の剛性を下げ得る。その結果、成膜対象の基板の剛性が高い場合であっても、基板に対する蒸着マスク1の密着性を向上させて、蒸着マスク1と基板との間への成膜材料の回り込みを抑制し、高精度なパターン成膜を実現し得る。
【0029】
接合部材22の厚みは、マスク本体10(枠部12)の厚みよりも薄くなるように設定される。例えば0.2mm以下である。得られる蒸着マスク1の剛性を効果的に低下させ得るからである。なお、接合部材22の厚みは、図2に示すように薄肉部12bの厚みよりも薄いことが望ましい。よって、接合部材22の剛性は、マスク本体10の剛性よりも、詳述すれば枠部12の剛性よりも低い。一方、接合部材22の厚みは、例えば0.05mm以上である。例えば、マスク本体10およびマスクフレーム基材21に対する固定強度を確保するためである。
【0030】
接合部材22の厚みがマスク本体10(枠部12)よりも薄い場合(特に、接合部材22の厚みが0.2mm以下でマスク本体10(枠部12)との厚みの差が大きい場合)であっても、上述のように、枠部12の端面12aで溶接することで、溶接に必要なエネルギーを枠部12およびマスクフレーム20の両者に直接的に作用させることができる。その結果、十分な接合強度を得ながら、溶接に必要なエネルギー量を抑制して、溶接部が接合部材22を貫通するのを防止することができる。なお、溶接部が接合部材22を貫通した場合、マスクフレーム基材21がスプラッシュする、十分な接合強度が得られない等の不具合が生じる可能性が高くなる。
【0031】
図3に示すように、マスクフレーム20側から搬送フレーム2にピン等により保持された蒸着マスク1は、成膜対象の基板3の成膜面に対向するように配置される。この状態で、蒸着マスク1側から基板3に対して成膜材料を、例えば、蒸着、スパッタリングなどにより付着させる。図示例では、例えば、製造スペースを有効活用する観点から、基板3は縦に配置されている。このような形態においても、基板3に対する蒸着マスク1の密着性は確保され得る。なお、図示しないが、予め、表面に所定の層が形成された基板3に対して成膜してもよい。また、図示しないが、成膜の際、基板3は支持板により支持されていてもよい。
【0032】
図4は、本発明の1つの実施形態における蒸着マスク製造装置50の全体構成を示す模式図である。具体的には、図4は、蒸着マスク製造装置50を側面から見た図である。蒸着マスク製造装置50は、マスクフレーム保持部51と、基準ガラス53と、カメラ54と、アライメントステージ56と、溶接ユニット58と、を含んで構成されている。
【0033】
マスクフレーム20は、基準ガラス53とアライメントステージ56との間で、マスクフレーム保持部51により保持されている。蒸着マスク製造装置50の上部に固定された基準ガラス53には、マスク本体10とマスクフレーム20との位置合わせの基準となる基準マーク53aが設けられている。図示しないが、マスク本体10にはアライメントマークが設けられ、このアライメントマークを基準マーク53aに位置合わせすることで、マスク本体10とマスクフレーム20とのアライメントを行う。
【0034】
カメラ54は、基準ガラス53の上方に設けられ、移動可能に構成されている。カメラ54は、基準マーク53aの真上から、基準マーク53aおよびマスク本体10のアライメントマークを撮像することで、これらの相対的な位置関係を測定する。なお、図示例では、1つのカメラ54が、基準マーク53aの真上に順次移動して、基準マーク53aおよびマスク本体10のアライメントマークを撮像しているが、複数のカメラが設けられていてもよい。
【0035】
蒸着マスク製造装置50の下部に設けられたアライメントステージ56は、マスク本体10が載置される載置部56aと、載置部56aに載置されたマスク本体10を載置面に沿った面内で移動させてアライメントを行うアライメント機構56bと、を備える。載置部56aは、複数のリフトピンによって構成されてもよいし、1つの載置台によって構成されてもよい。アライメント機構56bは、例えば、アクチュエータと駆動モータとにより構成される。
【0036】
アライメントステージ56は、カメラ54が測定した基準マーク53aとマスク本体10のアライメントマークとの相対的な位置関係に応じて、載置部56aに載置されたマスク本体10をアライメント機構56bにより移動させてアライメントを行う。なお、図示例では、アライメントステージ56がマスク本体10毎に設けられているが、複数のマスク本体で1つのアライメントステージが共有されていてもよい。
【0037】
溶接ユニット58は、マスク本体10とマスクフレーム20とのアライメントを行った後に、マスク本体10をマスクフレーム20に溶接する。溶接ユニット58は、代表的には、レーザー照射部を有する。溶接ユニット58は、図2に示すように、マスク本体10の端面12aにおいてマスクフレーム20と溶接されるように、制御される。
【0038】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 蒸着マスク、10 マスク本体、11 パターン部、12 枠部、13 溶接部、20 マスクフレーム、21 マスクフレーム基材、22 接合部材、50 蒸着マスク製造装置、51 マスクフレーム保持部、56a 載置部、58 溶接ユニット。
図1
図2
図3
図4