特許第6904746号(P6904746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904746
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20210708BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20210708BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   A61B5/02 D
   A61B5/022 C
   A61B5/1455
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-63083(P2017-63083)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-164602(P2018-164602A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 信義
(72)【発明者】
【氏名】阿部 貴大
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】杉山 久珠
【審査官】 ▲瀬▼戸井 綾菜
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−289977(JP,A)
【文献】 特開平06−014892(JP,A)
【文献】 特表2001−504718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02−5/03
A61B 5/1455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の血中吸光物質濃度を取得するためのプローブと、
前記被検者の非観血血圧を取得するためのカフと、
を備えており、
前記プローブは、前記被検者の指の第一部分に装着されるように構成されており、
前記カフは、前記第一部分よりも末梢側に位置する前記指の第二部分に装着されるように構成されている、
センサ。
【請求項2】
前記カフに空気を送るチューブを備えており、
前記プローブは、発光素子、受光素子、および当該発光素子と当該受光素子を支持している支持体を備えており、
前記チューブは、前記支持体に支持されている、
請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記プローブは、発光素子、受光素子、および当該発光素子と当該受光素子を支持している支持体を備えており、
前記支持体は、開放部を区画するように湾曲した形状を有している、
請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記支持体は、
前記発光素子と前記受光素子を支持している第一支持部と、
前記第一支持部よりも高い柔軟性を有するとともに前記指の第一部分に前記第一支持部を固定するための第二支持部と、
を含んでいる、
請求項に記載のセンサ。
【請求項5】
前記支持体は、形状記憶物質からなる、
請求項またはに記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の血中吸光物質濃度を取得するためのプローブと、当該被検者の非観血血圧を取得するためのカフを備えているセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、被検者の指先に装着されるプローブを開示している。当該プローブは、発光素子と受光素子を備えている。受光素子は、発光素子から出射され、指先の被検者組織を透過した光を受ける受光面を有している。受光素子は、受光面で受けた光の強度に応じた信号を出力するように構成されている。発光素子から出射される光の波長は、血液中の物質により吸収される波長として定められる。拍動に応じて指先の血液の体積が変化するため、受光面で受ける光の強度も変化する。受光素子から出力される信号は、脈拍や動脈血酸素飽和度といった生体情報を算出するために用いられる。動脈血酸素飽和度は、血中吸光物質濃度の一例として、血液中の酸素の割合を示す指標として用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−029702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被検者の血中吸光物質濃度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合、非観血血圧を取得するためのカフは、当該被検者の上腕に巻き付けられることが一般的である。この場合、プローブから信号を取り出すためのケーブルが被検者の指先から引き出され、カフに空気を送るためのチューブが当該被検者の上腕から引き出される。被検者の身体の離れた場所からケーブルやチューブが引き出される状態は、当該被検者と医療従事者の双方に煩わしさを与えうる。
【0005】
本発明は、被検者の血中吸光物質濃度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合において、当該被検者と医療従事者の双方に与える煩わしさを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、センサであって、
被検者の血中吸光物質濃度を取得するためのプローブと、
前記被検者の非観血血圧を取得するためのカフと、
を備えており、
前記プローブは、前記被検者の指の第一部分に装着されるように構成されており、
前記カフは、前記第一部分よりも末梢側に位置する前記指の第二部分に装着されるように構成されている。
【0007】
このような構成によれば、被検者の血中吸光物質濃度を取得するためのプローブと、当該被検者の非観血血圧を取得するためのカフが、ともに被検者の指に装着される。これにより、プローブに接続されるケーブルとカフに接続されるチューブを、ともに被検者の指から引き出せる。被検者の身体の離れた場所からケーブルやチューブが引き出される状態を回避できるため、被検者の血中吸光物質濃度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合において、当該被検者と医療従事者の双方に与える煩わしさを抑制できる。
【0008】
プローブによる被検者の血中吸光物質濃度の取得は、当該被検者の脈動に伴うプローブが装着された指の血液の体積変化に基づいている。上記の構成によれば、カフが装着される指の第二部分は、プローブが装着される指の第一部分よりも末梢側に位置している。そのため、非観血血圧の取得のためにカフが指の第二部分を圧迫しても、プローブが血中吸光物質濃度を取得するために必要である指の第一部分における動脈の拍動が阻害されない。したがって、被検者の血中吸光物質濃度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合において、取得される血中吸光物質濃度の正確性の低下を抑制できるだけでなく、血中吸光物質濃度を連続して測定できる。
【0009】
上記の目的を達成するための一態様は、センサであって、
被検者の血中吸光物質濃度を取得するためのプローブと、
前記被検者の非観血血圧を取得するためのカフと、
を備えており、
前記プローブは、前記被検者の第一の指に装着されるように構成されており、
前記カフは、前記被検者の第二の指に装着されるように構成されている。
【0010】
このような構成によれば、被検者の血中吸光物質濃度を取得するためのプローブと、当該被検者の非観血血圧を取得するためのカフが、ともに被検者の指に装着される。これにより、プローブに接続されるケーブルとカフに接続されるチューブを、ともに被検者の手または足から引き出せる。被検者の身体の離れた場所からケーブルやチューブが引き出される状態を回避できるため、被検者の血中吸光物質濃度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合において、当該被検者と医療従事者の双方に与える煩わしさを抑制できる。
【0011】
プローブによる被検者の血中吸光物質濃度の取得は、当該被検者の脈動に伴うプローブが装着された指の血液の体積変化に基づいている。上記の構成によれば、プローブとカフは、異なる指に装着されることによって、異なる末梢血管上に配置される。そのため、非観血血圧の取得のためにカフが第二の指の末梢血管を圧迫しても、プローブが血中吸光物質濃度を取得するために必要である第一の指の動脈の拍動が阻害されない。したがって、被検者の血中吸光物質濃度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合において、取得される血中吸光物質濃度の正確性の低下を抑制できるだけでなく、血中吸光物質濃度を連続して測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第一実施形態に係るセンサの被検者への装着状態を示している。
図2図1のセンサにおけるプローブの構成を示している。
図3図1のセンサにおけるカフの構成を示している。
図4】第二実施形態に係るセンサの被検者への装着状態を示している。
図5】第三実施形態に係るセンサの被検者への装着状態を示している。
図6図5のセンサにおけるプローブの構成を示している。
図7】第四実施形態に係るセンサの被検者への装着状態を示している。
図8】第五実施形態に係るセンサの被検者への装着状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。図1は、第一実施形態に係るセンサ10が被検者の手指100に装着された状態を示している。
【0014】
センサ10は、プローブ11とカフ12を備えている。プローブ11は、被検者の動脈血酸素飽和度(血中吸光物質濃度の一例)を取得するための器具である。カフ12は、当該被検者の非観血血圧を取得するための器具である。
【0015】
図2は、プローブ11の構成を模式的に示している。(A)は(B)における矢印IIAの方向から見た構成を示している。(B)は(A)における矢印IIBの方向から見た構成を示している。
【0016】
図2の(B)に示されるように、プローブ11は、発光素子111、受光素子112、および支持体113を備えている。
【0017】
発光素子111は、赤色光および赤外光を出射するように構成されている。発光素子111は、例えば、当該所定の波長の光を出射可能な半導体発光素子である。半導体発光素子の例としては、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、有機EL素子が挙げられる。
【0018】
受光素子112は、被検者の生体組織を透過または反射した光を受ける受光面を有している。受光素子112は、受光面が受けた光の強度に応じた強度信号を出力するように構成されている。プローブ11が装着された生体組織中の血液の体積は、被検者の脈動によって変化する。したがって、受光面が受ける光の強度が変化し、受光素子112が出力する強度信号も変化する。
【0019】
受光素子112は、例えば、上記所定の波長に感度を有する光センサである。光センサの例としては、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタが挙げられる。
【0020】
発光素子111と受光素子112は、ベルト状の支持体113に支持されている。支持体113は、面ファスナーを形成するフック面113aとループ面113bを有している。プローブ11は、支持体を手指100に巻き付けて使用するように構成されている。フック面113aがループ面113bの適当な位置に固定されることにより、発光素子111と受光素子112が手指100に密着する。
【0021】
センサ10は、ケーブル13をさらに備えている。ケーブル13の一端は、プローブ11に接続されている。ケーブル13の他端は、不図示の生体情報測定装置に接続される。ケーブル13は、発光素子111および受光素子112に電力を供給するための給電線や受光素子112から出力された強度信号を伝達する信号線などを含みうる。ケーブル13は、プローブ11と不可分に一体化されていてもよいし、プローブ11に対して着脱可能でもよい。
【0022】
図3の(A)は、カフ12の構成を模式的に示す断面図である。カフ12は、ケース121、環状の袋体122、通気路123を備えている。ケース121は、有底の穴121aを有している。袋体122は、穴121a内に収容されている。袋体122の外周面は、穴121aの内周面に固定されている。通気路123は、袋体122の内部と連通している。
【0023】
カフ12の使用時においては、被検者の手指100が穴121a内に挿入される。このとき、袋体122の内周面が手指100を包囲する。
【0024】
図1に示されるように、センサ10は、チューブ14をさらに備えている。図3の(A)に示されるように、チューブ14の一端は、カフ12の通気路123に接続されている。チューブ14の他端は、不図示の生体情報測定装置に接続される。チューブ14は、カフ12と不可分に一体化されていてもよいし、カフ12に対して着脱可能でもよい。
【0025】
チューブ14は、カフ12に空気を送るためのものである。具体的には、不図示の生体情報測定装置における血圧測定動作に基づいて、通気路123を通じて袋体122の内部に送られる空気の量が調節される。これにより、被検者の非観血血圧を取得するために袋体122が手指100を圧迫する力が調節される。
【0026】
図1に示されるように、プローブ11は、手指100の根元部分100aに装着される。換言すると、図2を参照して説明したプローブ11の形状や寸法は、手指100の根元部分100a(指の第一部分の一例)に装着されるように構成されている。
【0027】
他方、カフ12は、手指100の指先部分100bに装着される。換言すると、図3の(A)を参照して説明したカフ12の形状や寸法は、手指100の指先部分100b(指の第二部分の一例)に装着されるように構成されている。指先部分100bは、根元部分100aよりも末梢側に位置する部分として定義される。
【0028】
本実施形態においては、被検者の動脈血酸素飽和度を取得するためのプローブ11と、当該被検者の非観血血圧を取得するためのカフ12が、ともに被検者の手指100に装着される。これにより、図1に示されるように、プローブ11に接続されるケーブル13とカフ12に接続されるチューブ14を、ともに被検者の手指100から引き出せる。被検者の身体の離れた場所からケーブルやチューブが引き出される状態を回避できるため、被検者の動脈血酸素飽和度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合において、当該被検者と医療従事者の双方に与える煩わしさを抑制できる。
【0029】
前述のように、プローブ11による被検者の動脈血酸素飽和度の取得は、当該被検者の脈動に伴うプローブ11が装着された手指100の血液の体積変化に基づいている。本実施形態においては、カフ12が装着される手指100の部分は、プローブ11が装着される手指100の部分よりも末梢側に位置している。そのため、非観血血圧の取得のためにカフ12の袋体122が指先部分100bを圧迫しても、プローブ11が動脈血酸素飽和度を取得するために必要である根元部分100aにおける動脈の拍動が阻害されない。したがって、被検者の動脈血酸素飽和度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合において、取得される動脈血酸素飽和度の正確性の低下を抑制できるだけでなく、動脈血酸素飽和度を連続して測定できる。
【0030】
本実施形態においては、図3の(A)に示されるように、カフ12は、被検者の手指100が挿入される有底の穴121aが形成されたケース121を備えている。しかしながら、図3の(B)に示される変形例に係るカフ12Aのような構成が採用されうる。カフ12Aは、ケース121Aを有している。ケース121Aは、被検者の手指100の指先が通過可能な貫通穴121bを有している。カフ12の構成要素と実質的に同一の構成要素については、同一の参照符号が付与されている。
【0031】
図4は、第二実施形態に係るセンサ20が被検者の手指100に装着された状態を示している。第一実施形態に係るセンサ10における構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0032】
センサ20は、プローブ11とカフ12Aを備えている。被検者の手指100は、人差し指101と中指102を含んでいる。プローブ11は、被検者の人差し指101(第一の指の一例)に装着されている。カフ12Aは、当該被検者の中指102(第二の指の一例)に装着されている。
【0033】
本実施形態においても、被検者の動脈血酸素飽和度を取得するためのプローブ11と、当該被検者の非観血血圧を取得するためのカフ12Aが、ともに被検者の手指100に装着される。これにより、図4に示されるように、プローブ11に接続されるケーブル13とカフ12Aに接続されるチューブ14を、ともに被検者の手から引き出せる。被検者の身体の離れた場所からケーブルやチューブが引き出される状態を回避できるため、被検者の動脈血酸素飽和度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合において、当該被検者と医療従事者の双方に与える煩わしさを抑制できる。
【0034】
前述のように、プローブ11による被検者の動脈血酸素飽和度の取得は、当該被検者の脈動に伴うプローブ11が装着された手指100の血液の体積変化に基づいている。本実施形態においては、プローブ11とカフ12Aは、異なる指に装着されることによって、異なる末梢血管V上に配置される。そのため、非観血血圧の取得のためにカフ12Aの袋体122が中指102の末梢血管を圧迫しても、プローブ11が動脈血酸素飽和度を取得するために必要である人差し指101の動脈の拍動が阻害されない。したがって、被検者の動脈血酸素飽和度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合において、取得される動脈血酸素飽和度の正確性の低下を抑制できるだけでなく、動脈血酸素飽和度を連続して測定できる。
【0035】
本実施形態においては、プローブ11が人差し指101に装着され、カフ12Aが中指102に装着されている。しかしながら、装着される手指が相違していれば、プローブ11とカフ12Aが装着される手指は、それぞれ任意に定められうる。また、カフ12Aに代えて、図3の(A)に示されるカフ12が使用されうる。
【0036】
図2の(B)に示されるように、上記の各実施形態において、プローブ11の支持体113は、開口部113cを有する空間113dを区画している。プローブ11が被検者の手指100に装着されるとき、当該手指100は、方向D1に沿って開口部113cから空間113dに進入可能である。方向D1は、図2の(A)に示される手指100の延びる方向D2と交差する向きである。
【0037】
このような構成によれば、被検者の動脈血酸素飽和度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合において、プローブ11の手指100への装着作業を容易にできる。特に図1に示される例のようにカフ12がプローブ11よりも末梢側に装着される場合に、その効果が顕著である。プローブ11の装着に際してカフ12との装着順序を意識したり、カフ12を一旦取り外したりする必要がない。
【0038】
図2の(B)に示されるように、支持体113は、第一支持部113eと第二支持部113fを含んでいる。第一支持部113eは、少なくとも発光素子111と受光素子112を支持している部分を含んでいる。第二支持部113fは、第一支持部113eを手指100に固定するための部分を少なくとも含んでいる。第二支持部113fは、第一支持部113eよりも高い柔軟性を有している。換言すると、第一支持部113eは、第二支持部113fよりも堅固である。
【0039】
このような構成によれば、発光素子111と受光素子112をより堅固な部分で支持しているため、手指100に対する発光素子111と受光素子112の位置ずれを抑制しやすい。他方、より柔軟性の高い第二支持部113fで第一支持部113eを手指100に対して固定するため、発光素子111と受光素子112の手指に対する密着性を高めることができる。したがって、取得される動脈血酸素飽和度の正確性を向上できる。
【0040】
支持体113のうち少なくとも第一支持部113eは、形状記憶樹脂、形状記憶合金、形状記憶セラミックのような形状記憶物質によって形成されうる。形状記憶の基準となる温度は、常温でもよいし、体温でもよい。
【0041】
このような構成によれば、支持体113により区画される空間113dを、手指100の受容に適した形状に維持できる。これにより、手指100に対する発光素子111と受光素子112の密着性を高めることができる。したがって、取得される動脈血酸素飽和度の正確性を向上できる。
【0042】
図5は、第三実施形態に係るセンサ30が被検者の手指100に装着された状態を示している。第一実施形態に係るセンサ10における構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0043】
センサ30は、プローブ11Aとカフ12を備えている。プローブ11Aは、被検者の動脈血酸素飽和度を取得するための器具である。
【0044】
図6は、プローブ11Aの構成を模式的に示している。(A)は(B)における矢印VIAの方向から見た構成を示している。(B)は(A)における矢印VIBの方向から見た構成を示している。
【0045】
プローブ11Aは、支持体113Aを備えている。支持体113Aは、チューブ支持部113gを備えている。チューブ支持部113gは、カフ12に空気を送るためのチューブ14を支持している。なお、支持体113のループ面113bに対向するチューブ支持部113gの面に面ファスナーを形成するフック面を形成することにより、チューブ支持部113gは、支持体113Aに対して着脱可能な構造としてもよい。
【0046】
このような構成によれば、図5に示されるように、被検者の動脈血酸素飽和度を取得するために手指100に装着されるプローブ11Aを、カフ12に接続されているチューブ14の固定具として機能させうる。これにより、手指100の異なる箇所から引き出されるケーブル13とチューブ14の引き出し方向を揃えることが容易になる。したがって、被検者の動脈血酸素飽和度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合において、当該被検者と医療従事者の双方に与える煩わしさをさらに抑制できる。
【0047】
チューブ支持部113gは、チューブ14に対して不動とされてもよいし、チューブ14に沿って摺動可能とされてもよい。後者の場合、カフ12との一体性を維持しつつ、プローブ11の装着位置を適切に調節できる。したがって、取得される動脈血酸素飽和度の正確性の低下を抑制できる。
【0048】
図7は、第四実施形態に係るセンサ40が被検者の手指100に装着された状態を示している。第二実施形態に係るセンサ20および第三実施形態に係るセンサ30における構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0049】
センサ40は、プローブ11Aとカフ12Aを備えている。プローブ11Aのチューブ支持部113gは、カフ12Aに空気を送るためのチューブ14を支持している。
【0050】
このような構成によれば、被検者の動脈血酸素飽和度を取得するために手指100に装着されるプローブ11Aを、カフ12Aに接続されているチューブ14の固定具として機能させうる。これにより、異なる手指から引き出されるケーブル13とチューブ14の引き出し方向を揃えることが容易になる。したがって、被検者の動脈血酸素飽和度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合において、当該被検者と医療従事者の双方に与える煩わしさをさらに抑制できる。
【0051】
図8は、第五実施形態に係るセンサ50が被検者の手指100に装着された状態を示している。第一実施形態に係るセンサ10における構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0052】
センサ50は、プローブ11とカフ12Bを備えている。プローブ11は、被検者の中指102(第一の指の一例)に装着されている。カフ12Bは、当該被検者の人差し指101(第二の指の一例)に装着されている。
【0053】
カフ12Bは、被検者の非観血血圧を取得するための器具である。カフ12Bの基本的な構成は、図3の(A)に示されるカフ12または図3の(B)に示されるカフ12Aと同様でありうる。カフ12Bは、ケーブル支持部124を備えている点においてカフ12およびカフ12Aと異なる。ケーブル支持部124は、プローブ11に接続されているケーブル13を支持している。
【0054】
このような構成によれば、非観血血圧を取得するために手指100に装着されるカフ12Bを、プローブ11に接続されているケーブル13の固定具として機能させうる。これにより、異なる手指から引き出されるケーブル13とチューブ14の引き出し方向を揃えることが容易になる。したがって、被検者の動脈血酸素飽和度と非観血血圧の測定が同時に行なわれる場合において、当該被検者と医療従事者の双方に与える煩わしさをさらに抑制できる。
【0055】
上記の各実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは明らかである。
【0056】
上記の各実施形態においては、動脈血酸素飽和度を取得するためのプローブと非観血血圧を取得するためのカフは、被検者の手指に装着されている。しかしながら、プローブとカフは、被検者の足指に装着される構成とされてもよい。
【0057】
上記の各実施形態においては、プローブは、動脈血酸素飽和度を取得するために使用されている。しかしながら、プローブは、血中吸光物質である一酸化炭素ヘモグロビンやメトヘモグロビンなどの濃度を取得するための構成を備えうる。
【0058】
上記の各実施形態においては、発光素子111は、赤色光および出射光を出射するように構成されている。しかしながら、発光素子111は、さらに青色光、緑色光、橙色光、赤橙色光などを出射するよう構成されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10、20、30、40、50:センサ、11、11A:プローブ、111:発光素子、112:受光素子、113、113A:支持体、113c:開口部、113d:空間、113e:第一支持部、113f:第二支持部、113g:チューブ支持部、12、12A、12B:カフ、124:ケーブル支持部、13:ケーブル、14:チューブ
図1
図2
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図5
図6
図7
図8