【実施例】
【0021】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例として、透過型の光電センサに基づいて説明するが、本発明はこれに限定されず、反射型の光電センサにも好適に適用可能である。
【0022】
図1〜
図5は実施例の分離型光電センサに関し、より詳しくは透過型の光電センサに関する図である。すなわち、図示の透過型光電センサ1は、投光ヘッド100及び受光ヘッド200(
図5)が接続されるコントローラ300(
図3)を有する分離型の光電センサである。すなわち、透過型光電センサ1は、投光ヘッド100と受光ヘッド200とコントローラ300とが物理的に分離しており、投光ヘッド100と受光ヘッド200は、光伝搬部材である光ファイバFb(
図3)を介してコントローラ300に接続される。
【0023】
図1は、コントローラ300のブロック図である。この
図1を参照して、コントローラ300の基本構成を説明する。
【0024】
光電センサ1の基本構成:
光電センサ1は、コントローラ300(
図3)と、このコントローラ300に、典型的な光伝搬部材である光ファイバFbで接続された投光ヘッド100(
図5)と、コントローラ300に、典型的な光伝搬部材である光ファイバFbで接続された受光ヘッド200(
図5)とを含んでいる。
【0025】
図1を参照して、コントローラ300は投光部102と受光部202とを備えている。投光部102は所定のパルス光を投光ヘッド100に出力する。投光部102の発光素子104は、投光電源制御回路302から供給される発振パルスによって駆動されて、パルス光を発する。受光部202が受光した光は受光素子204で光電変換され、受光素子増幅回路206、コントローラ300の増幅回路304、A/D変換器306を経て制御部308に送られる。これによって、パルス光に同期した検波が施され、検波信号は更に直流信号等に変換された後、インタフェース部を構成するI/O回路360から、検出結果を表わすON/OFF信号として出力される。
【0026】
コントローラ300は投光部102として投光用の発光素子104及びこの発光素子104を駆動するための投光回路106を備える。発光素子104の典型例はLEDである。投光回路106は、投光APC回路108と、モニタPD等のモニタ用受光素子110を備える。投光APC回路108は発光素子104の出力、つまり発光量が所定値となるよう制御する。
【0027】
投光部102のモニタ用受光素子110はモニタ信号増幅回路114に接続されており、モニタラインを介してLED発光量モニタ回路312に受光量を送出する。LED発光量モニタ回路312は、A/D変換器314を介してデジタル信号に変換した受光量信号を制御部308に供給する。制御部308は、モニタ用受光素子110が検出した発光量に基づいて、発光量が所定値となるように投光電源制御回路302を制御し、投光APC回路108の電流量を調整して発光素子104を駆動するフィードバック制御を行う。
【0028】
コントローラ300は受光素子204を駆動するための受光回路208を備える受光素子204は受光素子増幅回路206に接続されており、前述したように、受光素子204で受光した受光量は受光素子増幅回路206で増幅されて、増幅回路304に送出される。コントローラ増幅回路304で増幅されたアナログ信号は、A/D変換器306を介してデジタル信号に変換され、制御部308に入力される。これにより受光素子(フォトダイオードPD)204の受光量を検出し、そして所定のしきい値に基づいて検出の判定を行い、その比較結果を示す検出信号を生成して、最終的にI/O回路360から判定結果を出力する。
【0029】
制御部308には、各種設定値などを記憶するための記憶部326、コントローラ300側の情報を表示するための表示回路328、設定値調整を受け付けるためのユーザインタフェースである操作部362(
図2)を接続したスイッチ入力回路330、外部との入出力を行うI/O回路360などが接続されており、これら回路はコントローラ電源回路332によって駆動される。
【0030】
なお,制御部308は,例えば,CPU, FPGA,ASICなどのICから構成される。各種回路(108、114、206、214、302、304、306、312、314、320、328、330、332、360)は,それぞれがICから構成されていてもよいし,各種回路で1つのICで構成されていてもよいし,制御部と各種回路とが1つのICで構成されていてもよい。
【0031】
次に、光電センサ1の調整機能を実現する構成を
図2に示すブロック図に基づいて説明する。コントローラ300は、前述した各種制御を行うための制御部308及び設定値などを記憶するための記憶部326と、しきい値や検出値、目標値などを表示するための表示部334と、各種操作や設定を行うための操作部362と、表示部334における表示モードを切り替えるための表示切替部358と、検出結果を出力するための出力部360と、受光部202で受光した受光量のアナログ信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換器306とを備える。また制御部308は、表示用変換率調整部336と、しきい値調整部338と、判定部340と、検出値を保持する検出値保持部342と、しきい値を保持するしきい値保持部344とを含む。さらに記憶部326は、しきい値記憶部346と、表示用基準目標値記憶部348と、表示用基準検出値記憶部350と、表示用変換率記憶部352が含まれる。制御部308はCPU等のマイクロプロセッサで構成されている。コントローラ300の操作部362は、表示用基準目標値設定部354と、基準検出値取得部356とを含む。
【0032】
図1、
図5を参照して、光電センサ1は、投光部102で発した検出光を光ファイバFbを介して投光ヘッド100に供給する。投光ヘッド100は検出領域に向けて光を出射する。検出領域からの光を受光ヘッド200を介して受け取り、この光は光ファイバFbを介して受光部202に供給される。受光部202で受光した受光量を検出値として判定部340(
図2)がしきい値と比較し、その判定結果を出力部360より出力する。具体的には、判定部340(
図2)は、入力された検出値のデジタル値をしきい値と比較して、その結果を検出対象物の有無を示す二値信号として出力部360から外部機器へ出力する。
【0033】
図3はコントローラ300を斜め上方から見た斜視図であり、
図3には、DINレール2に4つのコントローラ300を互いに隣り合わせに設置した例が図示されており、そのうちの1台のコントローラ300が上蓋4を開いた状態で図示されている。
【0034】
DINレール2に隣接して設置された複数のコントローラ300は、その1つが親機であり、他が子機である。例えば親機の投光が終わると、親機から第1の子機に投光開始の信号が供給され、第1の子機の投光が実行される。この第1の子機の投光が終わると、第1の子機から第2の子機に投光開始の信号が供給され、第2の子機の投光が実行される。以下、第3、第4の子機の投光が順次開始される。
【0035】
図4は光電センサ1の平面図である。
図3及び
図4を参照して、表示部334は、横並びに配置した2つの4桁7セグメントディスプレイD1、D2で構成され、この2つの4桁7セグメントディスプレイD1、D2を使って検出値(受光量)やしきい値等が表示される。表示部334を液晶ディスプレイなどの平面ディスプレイで構成してもよい。
【0036】
ディスプレイD1、D2に隣接して、スイング式のアップダウンボタン6、モードボタン8、セットボタン10、プリセットボタン12等が配設されている。
【0037】
図2に戻って、コントローラ300は表示切替部358を有し、この表示切替部358は上記のモードボタン(Mボタン)8やプリセットボタン12で構成される。モードボタン8やプリセットボタン12を操作することにより、検出値(受光量)及びしきい値をそのまま表示する無変換表示モードと、表示用変換率又は表示用変換式で変換した表示用検出値(表示用受光量)及び表示用しきい値を表示する変換表示モードとを切り替えることができる。
【0038】
セットボタン10とアップダウンボタン6とを操作してしきい値を調整することができる。アップダウンボタン6は、また、しきい値その他の数値の変更、選択肢の決定などに使用される。コントローラ300の表示対象、表示態様、表示示切替え操作、表示モード切替えに関してJP特開2006−351380号明細書に詳しく記載されていることから、このJP特開2006−351380号明細書を援用することにより、その説明を省略する。
【0039】
以上、透過型光電センサ1について説明したが、反射型の光電センサの構造も実質的に同じであり、本発明は透過型に限定されず、反射型の光電センサにも適用可能である。本発明は、投光ヘッド100及び受光ヘッド200とコントローラ300とを光伝搬部材である光ファイバFbで接続するファイバ型の光電センサに好適に適用されるのは前述した通りである。
【0040】
図5を参照して、受光ヘッド200は、投光ヘッド100からの光を受ける受光筒200aを有する。投光ヘッド100は、検出光を出射する投光筒100aを有し、検出光を検出領域に向けて投光する。受光ヘッド200は検出領域からの光を受け取る。投光ヘッド100と受光ヘッド200の設定において、その相対的な位置決めは光電センサ1の性能を左右する。位置決めは、投光筒100aと受光ヘッド200の受光筒200aとを対面させ、そして、投光筒100aの軸線と受光筒200aの軸線とを整合させることにより行われる。投光ヘッド100と受光ヘッド200とを適正に設置することにより、受光ヘッド200と投光ヘッド100との間をワークWが通過することに伴う遮光の有無によってワークWの「有り」、「無し」を適正に検出することができる。
【0041】
表示発光機構:
図1を参照して、受光部202は、発光源としての表示発光素子212を含んでいる。表示発光素子212は典型的にはLEDで構成される。例えば、発光素子104が赤色LEDで構成されているときには、緑色のLEDで表示発光素子212を構成するのがよい。表示発光素子212は、表示発光制御回路214によって点灯が制御され、この表示発光制御回路214は表示発光電源制御回路320によって駆動電力の供給を受ける。
【0042】
受光部202で受けた光は,受光素子(PD)204、受光増幅回路206、コントローラ増幅回路304を介して増幅され、A/Dコンバータ306でA/D変換される。制御部308はその信号をもとに,受光量が
図25を用いて説明したように,受光量に基づき,表示発光素子212を制御する。受光量に基づき,(a)表示光(可視光)の色、(b)点滅の回数、(c)点滅周期、(d)表示の強弱の周期、(e)複数の表示色の切り替え周期などによって制御することができる。
【0043】
コントローラ300のハード構成(図6〜図9):
図6を参照して、コントローラ300は素子ホルダ368を有し、この素子ホルダ368には、投光部材370と、受光部材372とが収容されている。投光部材370は前述した投光部102を実質的に構成する。受光部材372は前述した受光部202を実質的に構成する。素子ホルダ368は、投光ヘッド100との間の光伝搬部材である光ファイバFbを受け入れる第1挿入穴376と、受光ヘッド200との間の光伝搬部材である光ファイバFbを受け入れる第2挿入穴378とを有している。第1挿入穴376は、投光用の光ファイバを接続する投光用接続部を構成する。また、第2挿入穴378は、受光用の光ファイバを接続する受光用接続部を構成する。第1、第2の挿入穴376、378の中に光ファイバFbの先端部が深く嵌入される。
【0044】
図6と、コントローラ300の縦断面図である
図7とを参照して、投光部材370は、発光素子104としてLED、モニタPD等のモニタ用受光素子110、リフレクタ380を含む。モニタ用受光素子110は、発光素子104の発光量を検出する。そして、検出した発光量が所定値となるように発光素子104のフィードバック制御が行われる。
【0045】
受光部材372は、フォトダイオードPDで構成される受光素子204、表示発光素子としてのLED212を含み、表示発光LED212は受光素子204の上に配置されている。すなわち、受光素子204は、その主なる受光面、つまり第2挿入穴378(受光用光ファイバFb)と対面する受光面を有し、表示発行LED212は、この受光素子204の主なる受光面の上に配置されている。
図7において、参照符号382は投光用実装基板を示し、参照符号384は受光用実装基板を示す。
【0046】
図7の参照符号386は、第1実施例に含まれる投光部材370A(
図6)が設置される投光側空間を示し、参照符号388は受光部材372(
図6)が設置される受光側空間を示す。投光側空間386と受光側空間388とは光学的に隔絶されている。投光側空間386と第1挿入穴376(投光側の光ファイバFbを受け入れる穴)との相対位置を説明するための
図8を参照して、発光素子104は、その中心が第1挿入穴376の軸線と一致するように位置決めされる。受光側空間388と第2挿入穴378(受光側の光ファイバFbを受け入れる穴)との相対位置を説明するための
図9を参照して、受光素子204は、その中心が第2挿入穴378の軸線と一致するように位置決めされる。
【0047】
図6、
図7を参照して、受光素子204は受光用実装基板384に実装されている。そして、受光素子204の上に表示発光素子212が配置され、受光素子204及び表示発光素子212は、受光用光ファイバFbの挿入端と実質的に同軸となるように位置決めされる。したがって、受光側光ファイバFbの挿入端に対して、受光素子204は表示発光素子212に比べて遠い位置に配置されている。換言すれば、受光側光ファイバFbの挿入端に対して、表示発光素子212は受光素子204に比べて接近した位置に配置されている。そして、受光側光ファイバFbを受け入れる第2挿入穴378と受光側空間388との間には、透光部材であるガラス板374が介装されている。受光用光ファイバFbは、その挿入端がガラス板374と当接する位置が正規の挿入組付位置である。
【0048】
図10は、第2実施例に含まれる受光部材372B及び投光部材370Bを説明するための図である。
図10に図示の受光部材372Bは、
図6に図示の受光部材372Aの変形例でもある。
【0049】
受光部材372Bは、フォトダイオードベアチップで構成された受光素子204を含み、また、発光源としてLEDベアチップで構成された表示発光素子212を含んでいる。そして、フォトダイオードベアチップは受光用実装基板384に実装されている。
【0050】
すなわち、受光用実装基板384を位置決めすることにより、受光素子204を構成するフォトダイオードベアチップが受光用光ファイバFbの挿入端の軸線上にセンタリングされた状態で位置決めされる。受光素子204は受光用実装基板384に搭載されている。勿論、受光面204aは受光用光ファイバFbに対面した状態で位置決めされている。そして、受光用光ファイバFbに差し向けられている受光面204aの上に表示発光素子212が搭載されている。更に、表示発光素子212と受光素子204は共通の断面台形の透明のモールド樹脂Rで包囲されている。すなわち、受光用実装基板384側にフォトダイオードベアチップ(受光素子204)が配設され、受光用光ファイバFbの挿入端側にLEDベアチップ(表示発光素子212)が配設され、これらは共通の透明のモールド樹脂Rで包囲されている。モールド樹脂Rの外面に金属蒸着する等、光を反射する材料でモールド樹脂Rを包囲するのがよい。受光用光ファイバFbの挿入端はモールド樹脂Rに当接した状態で第2の挿入穴378に固定される。第2の挿入穴378に挿入される受光用光ファイバFbは、その挿入端がモールド樹脂Rと当接する位置が正規の挿入組付位置である。
【0051】
図10から分かるように、受光素子204のフォトダイオードベアチップの受光面204aは、表示発光素子212のLEDベアチップよりも大きい。
【0052】
受光素子204の上に搭載された表示発光素子212は透明のモールド樹脂Rによって受光用光ファイバFbの挿入端から離間した状態に位置決めされる。
図10において、矢印は受光用光ファイバFbから受光部材372Bの中に入る検出光を示す。この検出光は、受光用光ファイバFbの挿入端から末広がりの状態で受光部材372Bの中に入る。受光エリアをドットで図示してある。この検出光は、受光素子204の受光面204aのうち表示発光素子212が占める部分を除く部分で受光されることになる。すなわち、受光素子204の受光面204aの面積に比べて表示発光素子212が占める面積は相当に小さく、受光面204aの中心部分に表示発光素子212が位置決めされている。受光素子204は、その中心部分の外周部分で受光することができる。
【0053】
受光素子204の上に載置された状態の表示発光素子212は、光ファイバFbの挿入端に近づいた状態で位置決めされることになる。したがって、表示発光素子212の光量が比較的少なくても、光ファイバFbに入る光量が多いため、光ファイバFbの先端つまり受光ヘッド200で強く光らせることができる。換言すれば、受光ヘッド200で光らせる程度が同じであれば、光表示発光素子212を光ファイバFbの挿入端に近づければ近づけるほど、光表示発光素子212が発する光量は少なくてよい。
【0054】
コントローラ300は、投光部材370Bとして、発光素子104としてのLEDと、モニタPD等のモニタ用受光素子110とに加えて、発光源としての光表示発光素子120を含んでいてもよい。これらはコントローラ300の中で横並びに位置決めされている投光用実装基板382に実装されている。モニタ用受光素子110は、前述したように、発光素子104の発光量を検出する。そして、検出した発光量は、これが所定値となるように発光素子104をフィードバック制御するのに用いられる。
【0055】
図10から良く分かるように、モニタ用受光素子110は、受光部材372Bから最も又は極力遠ざかる位置に配置されている。すなわち、モニタ用受光素子110は、受光部材372Bとは反対側に配置されている。
【0056】
この光表示発光素子120は典型的にはLEDで構成され、このLEDは、発光素子104のLEDと同じ色のLEDであってもよいが、異なる色のLEDであるのがよい。具体的には、発光素子104のLEDが赤であれば、光表示発光素子120のLEDは緑であるのがよい。
【0057】
投光部材370Bに含まれる光表示発光素子120の色は、受光部材372Bに含まれる表示発光素子212の色と同じであってもよいし、異なっていてもよい。異なる色を採用することにより、投光ヘッド100と受光ヘッド200の区別が容易になる。
【0058】
発光素子104のLEDはベアチップで構成され、光表示発光素子120のLEDもベアチップで構成されている。投光用光ファイバFbの挿入端に対して、発光素子104を構成するLEDベアチップと、光表示発光素子120を構成するLEDベアチップとは互いに横並びの状態で位置決めされている。そして、発光素子104と光表示発光素子120とは、共通の断面台形の透明のモールド樹脂Rで包囲されている。投光用光ファイバFbの挿入端はモールド樹脂Rに当接した状態で第1の挿入穴376に固定される。すなわち、投光用光ファイバFbは、その挿入端がモールド樹脂Rと当接する位置が正規の挿入組付位置である。
【0059】
図11は、第3実施例に含まれる受光部材372Cを説明するための図である。
図11に図示の受光部材372Cは、
図10に図示の受光部材372Bの変形例でもある。
図11に図示の受光部材372Cは3層構造となっている。すなわち、受光部材372はフォトダイオードベアチップで構成された受光素子204を有し、この受光素子204は受光用実装基板384に実装されている。そして、この受光素子204と、その上方に位置するLEDベアチップで構成された表示発光素子212との間に、波長選択性の光吸収能力を有するフィルタ部材390が搭載されている。フィルタ部材390は、受光素子204の受光面204aと同じ面積を有していても良いし、表示発光素子212が当接する部位及びその周辺に限定した大きさを有していてもよい。また、フィルタ部材390は、受光面204aよりも大きな面積を有していてもよい。フィルタ部材390はフィルム塗膜に比べて厚みを有し、例えば赤色ガラスなどの色ガラスや、カラーコーティングした透明部材で構成される。このフィルタ部材390によって、表示発光素子212が発する光が受光素子204に対して悪影響を及ぼす程度を低減することができる。すなわち、色ガラスや、カラーコーティングした透明部材などのフィルタ部材390は、表示発光素子212が発する可視光(表示光)が受光素子204に入光する、その光の量を低減する手段を構成している。
【0060】
受光素子204、フィルタ部材390、表示発光素子212は共通の断面台形の透明のモールド樹脂Rで包囲されている。モールド樹脂Rの形状は、
図13などを参照して説明する砲弾型であってもよい。受光用光ファイバFbの挿入端はモールド樹脂Rに当接した状態で第2の挿入穴378に固定される。すなわち、受光用光ファイバFbは、その挿入端がモールド樹脂Rと当接する位置が正規の挿入組付位置である。
【0061】
図11に図示の受光部材372Cの変形例として、共通のモールド樹脂Rの代わりに、
図6を参照して説明したように、受光側の光ファイバFbを受け入れる第2挿入穴378と受光側空間388との間に、透光部材であるガラス板374を介装してもよい。
【0062】
図12は、第4実施例に含まれる受光部材372Dを説明するための図である。この第4実施例に含まれる受光部材372Dは、上述した
図11の受光部材372Cの変形例でもある。受光部材372Dは、厚さを有する上記のフィルタ部材390に代えて、波長選択性の光吸収能力又は光反射能力を有するフィルム又はカラーコーティングなどの薄膜392を有する。この薄膜392は、受光素子204の受光面204aの全域に配置してもよいし、表示発光素子212が当接する部位及びその周辺に限定して配置してもよい。
【0063】
図12に図示の受光部材372Dの変形例として、共通のモールド樹脂Rの代わりに、
図6を参照して説明したように、受光側の光ファイバFbを受け入れる第2挿入穴378と受光側空間388との間に、透光部材であるガラス板374を介装してもよいのは、上記の
図11に図示の受光部材372Cと同じである。
【0064】
図13は、第5実施例に含まれる受光部材372Eを説明するための図である。
図13に図示の受光部材372Eは、受光用実装基板384に実装されLEDチップからなる表示発光素子212を有し、また、リードフレーム230によって表示発光素子212の上方に間隔を隔てて位置決めされた受光素子204を有し、受光素子204はフォトダイオードベアチップで構成されている。受光素子204及び表示発光素子212は、受光用光ファイバFbの挿入端と実質的に同軸となるように位置決めされる。図中、参照符号232はワイヤを示す。リードフレーム230及び受光素子204は砲弾型の成形された透明のモールド樹脂Rで包囲されている。受光用光ファイバFbの挿入端は、砲弾型のモールド樹脂Rに当接した状態で第2の挿入穴378に固定される。すなわち、受光用光ファイバFbは、その挿入端が砲弾型のモールド樹脂Rと当接する位置が正規の挿入組付位置である。
【0065】
砲弾型のモールド樹脂Rの底面に上記LEDチップからなる表示発光素子212を接着剤で接着するのがよい。もちろん、接着剤は光透過性の材料で構成するのがよい。
【0066】
表示発光素子212が発する光は、砲弾型のモールド樹脂Rの中を通って受光用光ファイバFbの中に誘導される。
【0067】
図13に図示の受光部材372Eによれば、受光用光ファイバFbの挿入端に対して、受光素子204は表示発光素子212に比べて接近した状態に配置することができるだけでなく、受光素子204を受光用光ファイバFbの挿入端に極力近づけた位置に配置することができるため、受光素子204の高い受光性能を確保することができる。
【0068】
受光素子204の下面や側面に塗布するなどして遮光材料や反射材料を配置してもよい。また、砲弾型のモールド樹脂Rの外面に金属蒸着する等、光を反射する材料でモールド樹脂Rを包囲するのがよい。
【0069】
図14は、第6実施例に含まれる受光部材372Fを説明するための図である。この
図14に図示の受光部材372Fは、上記
図13に図示の受光部材372Eの変形例でもある。
図13に図示の受光部材372Eでは、LEDチップからなる表示発光素子212を受光用実装基板384に実装したが、
図14に図示の受光部材372Fでは、表示発光素子212と実装基板384との間に放熱板394が介装されている。また、LEDチップからなる表示発光素子212を樹脂モールドRで包囲してもよい。放熱板394の代わりに、ベアチップで構成された表示発光素子212を伝熱性接着材を使って実装基板384に固定することで放熱性を問題を解消してもよい。
【0070】
図15は、第7実施例に含まれる受光部材372Gを説明するための図である。この
図15に図示の受光部材372Gは、上記
図13に図示の受光部材372Eの変形例又は
図14に図示の受光部材372Fの変形例でもある。
図13、
図14に図示の受光部材372E、372Fは、表示発光素子212の上方に位置決めされた受光素子204を砲弾型の樹脂モールドRで包囲する構成が採用されているが、
図15に図示の受光部材372Gは、表示発光素子212の上方に外乱光除去フィルタ364が配置され、この外乱光除去フィルタ364は表示発光素子212と共通の樹脂モールドRによって包囲されている。
図15に図示の受光部材372Gは、
図14の受光部材372Fの変形例として描かれているが、
図13に図示の受光部材372Eに外乱光除去フィルタ364を加える構成を有していてもよい。
【0071】
受光用光ファイバFbの挿入端と受光素子204と間に外乱光除去フィルタ364が介在しているため、受光素子204に対する外乱光の影響を抑えることができる。
【0072】
図16は、第8実施例に含まれる受光部材372Hを説明するための図である。この
図16に図示の受光部材372Hは、受光用実装基板384の上方に追加の実装基板384aを有し、この追加の実装基板384aの一方側の面つまり受光用実装基板384と対面する側の面にLEDベアチップからなる表示発光素子212が実装されている。
【0073】
追加の実装基板384aの他方側の面つまり受光用光ファイバFbの挿入端と対面する側の面にはフォトダイオードベアチップが実装されている。このフォトダイオードベアチップは受光素子204を構成する。追加の実装基板384aに実装されたLEDベアチップ212及びフォトダイオードベアチップ204は共にモールド樹脂Rで包囲されているのが好ましい。変形例として、追加の実装基板384aのフォトダイオードベアチップ204を砲弾型のモールド樹脂Rで包囲してもよい。なお、
図16は、受光素子204、実装基板384a、LEDベアチップ212などの配置関係を説明するための図であるので、各要素に通じる電気配線は、線図の錯綜を避けるために、その図示を省いてある。
【0074】
受光側の光ファイバFbを受け入れる第2挿入穴378と受光側空間388との間には、透光部材であるガラス板374が介装されている。受光用光ファイバFbは、その挿入端がガラス板374と当接する位置が正規の挿入組付位置である。
【0075】
図17は、第9実施例に含まれる受光部材372Iを説明するための図である。
図17の受光部材372Iは、フォトダイオードベアチップで構成された受光素子204と、LEDベアチップからなる表示発光素子212とが横並びに位置決めされた状態で受光用実装基板384に実装されている。そして、受光素子204は、その中心が第2挿入穴378の軸線と一致するように位置決めされている。
【0076】
受光側光ファイバFbを受け入れる第2挿入穴378と受光側空間388との間には、透光部材であるガラス板374が介装されている。受光用光ファイバFbは、その挿入端がガラス板374と当接する位置が正規の挿入組付位置である。表示発光素子212の光は、受光素子204と共通のガラス板(透光部材)374を通じて受光用光ファイバFbに受け入れられる。
【0077】
図18は、第10実施例に含まれる受光部材372Jを説明するための図である。この
図18の受光部材372Jは、
図17の受光部材372Iの変形例でもある。
図17の受光部材372Iでは、受光素子204がフォトダイオードベアチップで構成され、また、表示発光素子212がLEDベアチップで構成されているが、
図18の受光部材372Jにあっては、モールド樹脂Rで包囲されたフォトダイオードベアチップで受光素子204が構成され、また、モールド樹脂Rで包囲されたLEDベアチップで表示発光素子212が構成されている。勿論、フォトダイオードベアチップ又はLEDベアチップの少なくともいずれか一方がモールド樹脂Rで包囲されていてもよい。
【0078】
図19は、第11実施例に含まれる受光部材372Kを説明するための図である。この
図19の受光部材372Kは、
図18の受光部材372Jの変形例でもある。上述した
図18の受光部材372Jでは、フォトダイオードベアチップからなる受光素子204が受光用実装基板384に実装されているが、
図19の受光部材372Kでは、リードフレーム230によってフォトダイオードベアチップが実装基板384から上方に離間して位置決めされている。これにより、受光素子204を受光側光ファイバFbに接近した状態で配置することができる。
【0079】
図20は、第12実施例に含まれる受光部材372Lを説明するための図である。この
図20の受光部材372Lは、
図19の受光部材372Kの変形例でもある。
図19の受光部材372Kでは、受光側光ファイバFbを受け入れる第2挿入穴378と受光側空間388との間にガラス板374が介装されているが、この
図20の受光部材372Lでは、リードフレーム230を備えたフォトダイオードベアチップが砲弾型のモールド樹脂Rで包囲されている。ここに、受光用光ファイバFbは、その挿入端が砲弾型のモールド樹脂Rと当接する位置が正規の挿入組付位置である。
【0080】
図21は、第13実施例に含まれる受光部材372Mを説明するための図である。この
図21の受光部材372Mは、受光用実装基板384の上方に離間して位置する追加の実装基板384aを有する。この追加の実装基板384aは台座396によって支持されている。そして、この追加の実装基板384aにフォトダイオードベアチップが実装されている。このフォトダイオードベアチップは受光素子204を構成している。受光素子204は、その中心が第2挿入穴378つまり受光用光ファイバFbの挿入端の軸線と一致するように位置決めされる。
【0081】
フォトダイオードベアチップを実装した追加の実装基板384aの周囲において、受光用実装基板384には、表示発光素子212を構成するLEDベアチップ212が実装されている。この表示発光素子212は、単数であってもよいが、複数であってもよい。
図22は、
図21に対応した平面図である。
図22において、4つの表示発光素子212が、発光素子204の周囲に等間隔且つ第2挿入穴378の軸線から等間隔に配置されている。
【0082】
この4つの表示発光素子212は、全て同じ色のLEDで構成してもよいし、異なる色のLEDで構成してもよい。異なる色のLEDで構成することにより、電源を供給するLEDの組み合わせを変えることにより、混色した様々な色の光を受光用光ファイバFbに供給することができ、様々な色を使って異なる情報を表示することができる。
【0083】
上述した複数の実施例に含まれる受光部材は、受光素子204だけでなく、表示発光素子212を含む。このことに伴って、受光素子204は、これが対の投光ヘッド100から届いた検出光であるか、表示発光素子212の表示光(可視光)であるかを区別できない。投光ヘッド100の検出光と表示発光素子212の表示光(可視光)とを区別可能にする又は表示発光素子212の表示光が受光素子204に入光する、その光の量を低減する手法を講じるのが好ましい。
【0084】
具体的には、波長を異ならせる、発光タイミングを異ならせる、発光周波数を異ならせる等の手段を講じることにより、光の波長的に、発光タイミング的に、発光周波数的に分離もしくは光の波長的な分離と他のどちらを組み合わせて実施するのがよい。波長を異ならせる手段は、
図11、
図12を参照して説明したとおり、物理的なフィルタを設けるのがよい。
【0085】
図23は、発光タイミングを異ならせる例を説明するための図である。発光素子104の隣接する2つの検出用発光パルスの間に表示発光素子212を発光させる。
図23には、この表示発光素子212を発光パルスにハッチングを付して識別してある。
【0086】
受光素子110の検出タイミングをT1、T2、T3と付すと、この検出タイミングT1、T2、T3の中間で表示発光素子212が光るため、受光素子110は正規に検出用発光パルスを受け取ることができる。
【0087】
図24は発光周波数的に分離する方法を例示的に説明するための図である。発光素子104の検出用発光パルスは所定のタイミングでON/OFFを繰り返す。これに表示発光素子212の光が重畳しても検出用発光パルスの波形が維持された状態で受光素子110が光を受け取る。このことから受光素子110の出力波形を周波数フィルタ(ハイパス)でフィルタリングすることにより、発光素子104が発する検出光だけを取り出すことができる。
【0088】
図24を参照したフィルタリングでは表示発光素子212の発光波形の周波数を下げることにより、検出と表示で使用する周波数領域を区分したが、
図24の例とは逆に、表示発光素子212の発光波形の周波数を挙げて周波数領域を区分するようにしてもよい。