特許第6904773号(P6904773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904773
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】育毛剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20210708BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20210708BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20210708BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61K8/37
   A61K8/39
   A61K8/34
   A61K8/86
   A61K8/36
   A61Q7/00
【請求項の数】2
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2017-88675(P2017-88675)
(22)【出願日】2017年4月27日
(65)【公開番号】特開2018-184377(P2018-184377A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】二宮 幸治
(72)【発明者】
【氏名】松木 麻依子
【審査官】 星 浩臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−051980(JP,A)
【文献】 特開2015−187094(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/119186(WO,A1)
【文献】 特開昭63−101307(JP,A)
【文献】 特開2014−058492(JP,A)
【文献】 特開2011−190222(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/064678(WO,A1)
【文献】 特開2011−195509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)育毛有効成分と、
(B)グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及び平均分子量が280以上420以下のポリエチレングリコールから選択される少なくとも1種の多価アルコールと、
(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が3以上30未満のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(C1)、及びエチレンオキサイドの平均付加モル数が30以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(C2)と、
(D)下記一般式(1)で表される高級脂肪酸と、
COOH ・・・一般式(1)
(ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数7以上25以下の一価炭化水素基を表す)
(E)水30質量%以上98.7質量%未満と、
(F)エタノール20質量%以下と、を含有し、
前記(C1)成分の含有量(質量%)と、前記(C2)成分の含有量(質量%)と、の質量比(C1/C2)が、0.05以上10以下であることを特徴とする育毛剤組成物。
【請求項2】
前記(A)成分の含有量が、0.1質量%以上3質量%以下であり、
前記(B)成分の含有量が、1質量%以上15質量%以下であり、
前記(C1)成分の含有量が、0.5質量%以上3質量%以下であり、
前記(C2)成分の含有量が、0.5質量%以上8質量%以下であり、
前記(D)成分の含有量が、2質量%以上10質量%以下であり、
前記(E)成分の含有量が、65質量%以上95.9質量%以下である請求項1に記載の育毛剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、髪に対する抜け毛抑制効果、及び発毛促進効果は、育毛養毛剤を長期間に亘って継続使用することにより得られることが知られている。ただし、従来の育毛養毛剤は、前記育毛養毛剤中の育毛有効成分の安定化のため、エタノールを含んでいる(例えば、特許文献1参照)。したがって、エタノールに過敏な反応を示す肌質の生活者は、頭皮への刺激感が強いため、前記育毛養毛剤を使用することができないという問題がある。また、過敏な肌質でない生活者でも、育毛養毛剤を頭皮に塗布した後、前記育毛養毛剤が垂れて目に入った場合に、目に刺激感を感じることから、前記育毛養毛剤が継続使用されないという問題がある。
【0003】
そこで、育毛養毛剤中の育毛有効成分の安定化のため、エタノールに代えて界面活性剤を用いて前記育毛有効成分を可溶化する育毛養毛剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、前記育毛養毛剤は、髪のべたつき、及び頭皮のべたつきが生じ、また、高温保存安定性、及び低温保存安定性が不十分なものであった。なお、目への刺激感のなさについては、検討されていない。
【0004】
したがって、抜け毛抑制効果、発毛促進効果、髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさに優れ、高温保存安定性、及び低温保存安定性が良好な育毛剤組成物の提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−213637号公報
【特許文献2】特開2015−187094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、抜け毛抑制効果、発毛促進効果、髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさに優れ、高温保存安定性、及び低温保存安定性が良好な育毛剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明者が、鋭意検討を重ねた結果、
(A)育毛有効成分と、
(B)グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及び平均分子量が280以上420以下のポリエチレングリコールから選択される少なくとも1種の多価アルコールと、
(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が3以上30未満のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(C1)、及びエチレンオキサイドの平均付加モル数が30以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(C2)と、
(D)下記一般式(1)で表される高級脂肪酸と、
COOH ・・・一般式(1)
(ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数7以上25以下の一価炭化水素基を表す)
(E)水30質量%以上98.7質量%未満と、
(F)エタノール20質量%以下と、を含有し、
前記(C1)成分の含有量(質量%)と、前記(C2)成分の含有量(質量%)と、の質量比(C1/C2)が、0.05以上10以下であることを特徴とする育毛剤組成物が、各成分の相乗効果によって、抜け毛抑制効果、発毛促進効果、髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさに優れ、高温保存安定性、及び低温保存安定性が良好になることを知見した。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)育毛有効成分と、
(B)グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及び平均分子量が280以上420以下のポリエチレングリコールから選択される少なくとも1種の多価アルコールと、
(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が3以上30未満のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(C1)、及びエチレンオキサイドの平均付加モル数が30以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(C2)と、
(D)下記一般式(1)で表される高級脂肪酸と、
COOH ・・・一般式(1)
(ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数7以上25以下の一価炭化水素基を表す)
(E)水30質量%以上98.7質量%未満と、
(F)エタノール20質量%以下と、を含有し、
前記(C1)成分の含有量(質量%)と、前記(C2)成分の含有量(質量%)と、の質量比(C1/C2)が、0.05以上10以下であることを特徴とする育毛剤組成物である。
<2> 前記(A)成分の含有量が、0.1質量%以上3質量%以下であり、
前記(B)成分の含有量が、1質量%以上15質量%以下であり、
前記(C1)成分の含有量が、0.5質量%以上3質量%以下であり、
前記(C2)成分の含有量が、0.5質量%以上8質量%以下であり、
前記(D)成分の含有量が、2質量%以上10質量%以下であり、
前記(E)成分の含有量が、65質量%以上98.7質量%未満である前記<1>に記載の育毛剤組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、抜け毛抑制効果、発毛促進効果、髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさに優れ、高温保存安定性、及び低温保存安定性が良好な育毛剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(育毛剤組成物)
本発明の育毛剤組成物は、(A)育毛有効成分と、(B)多価アルコールと、(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、(D)高級脂肪酸と、(E)水と、(F)エタノール20質量%以下と、を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0011】
<(A)育毛有効成分>
前記(A)成分の育毛有効成分は、抜け毛抑制効果、及び発毛促進効果を向上させるために含有される。
【0012】
前記(A)成分の育毛有効成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、6−ベンジルアミノプリン、ペンタデカン酸グリセリド、ミノキシジル、塩化カプロニウム、t−フラバノン、オトギリソウエキスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、抜け毛抑制効果、及び発毛促進効果の点から、6−ベンジルアミノプリン、ペンタデカン酸グリセリドが好ましい。
【0013】
前記(A)成分の育毛有効成分としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、6−ベンジルアミノプリン(商品名:CTP、三省製薬株式会社製)、ペンタデカン酸グリセリド(商品名:PDG、ライオン株式会社製)、ミノキシジル(商品名:ミノキシジル、群泰バイオテクノロジー株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記(A)成分の育毛有効成分の含有量としては、抜け毛抑制効果、発毛促進効果、髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、及び低温保存安定性の点から、育毛剤組成物全量に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満であると、抜け毛抑制効果、及び発毛促進効果が不十分となることがある。また、前記含有量が、5質量%を超えると、髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、及び低温保存安定性が不十分となることがある。
【0015】
<(B)多価アルコール>
前記(B)成分の多価アルコールは、低温保存安定性を向上させるために含有される。
【0016】
前記(B)成分の多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及び平均分子量が280以上420以下のポリエチレングリコールから選択される少なくとも1種の多価アルコールである。
これらの中でも、低温保存安定性の点から、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールが好ましい。
【0017】
前記(B)成分のグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及びポリエチレングリコールとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、プロピレングリコール(商品名:プロピレングリコール、株式会社ADEKA製)、ジプロピレングリコール(商品名:ジプロピレングリコール、株式会社ADEKA製)、1,3−ブチレングリコール(商品名:1,3−ブチレングリコール、株式会社ダイセル製)、ポリエチレングリコール(商品名:PEG#300、日油株式会社製、平均分子量:280〜320)、ポリエチレングリコール(商品名:PEG#400、日油株式会社製、平均分子量:380〜420)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記(B)成分の前記平均分子量が280以上420以下のポリエチレングリコールとしては、平均分子量が280以上320以下のポリエチレングリコール、及び平均分子量が380以上420以下のポリエチレングリコールが好ましい。前記平均分子量が280未満であると、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさが不十分となることがある。また、前記平均分子量が420を超えると、髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、及び低温保存安定性が不十分となることがある。
【0019】
前記ポリエチレングリコールの平均分子量は、例えば、医薬部外品原料規格2006(出版:株式会社 薬事日報社)収載のポリエチレングリコール300などの平均分子量試験により、測定できる。
【0020】
[ポリエチレングリコール300の平均分子量試験]
200mLの耐圧共栓瓶Aに、精密に量ったポリエチレングリコール1.5gを入れ、ピリジン25mLを加え、加温して溶かし放冷する。別の1Lの遮光した共栓瓶Bに、蒸留したピリジン300mLを正確に量って入れ、無水フタル酸42gを加え、強く振り混ぜて溶かした後、16時間以上放置する。その後、前記耐圧共栓瓶Aに、正確に量った前記共栓瓶B内の溶液25mLを加えて密栓し、前記耐圧共栓瓶Aを丈夫な布で包み、あらかじめ98℃±2℃に加熱した水浴中に入れ、前記耐圧共栓瓶A中の液が水浴の液の中に浸るようにして30分間加熱する。その後、室温になるまで放置する。
次に、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム溶液50mLを正確に加え、0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定する。前記滴定には、指示薬として、フェノールフタレインのピリジン溶液1→100(フェノールフタレイン1gをピリジンに溶解して全量を100mLとした溶液)を5滴用いる。ただし、滴定の終点は、液が15秒間持続する淡赤色を呈するときとする。同様の方法で空試験を行う。
得られた値を下記式(1)にあてはめ、平均分子量を算出する。
平均分子量={試料の量(g)×4000}/(a−b) ・・・式(1)
ただし、a:空試験における0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液の消費量(mL)、b:試料の試験における0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液の消費量(mL)とする。
【0021】
前記(B)成分の多価アルコールの含有量としては、抜け毛抑制効果、発毛促進効果、髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、及び低温保存安定性の点から、育毛剤組成物全量に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、低温保存安定性が不十分となることがある。また、前記含有量が、30質量%を超えると、抜け毛抑制効果、発毛促進効果、及び頭皮のべたつきのなさが不十分となることがある。
【0022】
<(C)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油>
前記(C)成分は、頭皮への刺激感のなさ、高温保存安定性、及び低温保存安定性を向上させるために含有される。
前記(C)成分のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が3以上30未満のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(C1)、及びエチレンオキサイドの平均付加モル数が30以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(C2)である。
【0023】
<<エチレンオキサイドの平均付加モル数が3以上30未満のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(C1)>>
前記(C1)成分のエチレンオキサイドの平均付加モル数が3以上30未満のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:3)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:5)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:7)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:10)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:20)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:25)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、頭皮への刺激感のなさ、及び低温保存安定性の点から、エチレンオキサイドの平均付加モル数が5以上20以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。
【0024】
前記(C1)成分のエチレンオキサイドの平均付加モル数が3以上30未満のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:BLAUNON CW−3、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:3)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:NIKKOL HCO−5、日光ケミカルズ株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:5)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC−5、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:5)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC−7、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:7)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:NIKKOL HCO−10、日光ケミカルズ株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:10)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC−10、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:10)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:BLAUNON CW−10、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:10)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:NIKKOL HCO−20、日光ケミカルズ株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:20)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC−20、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:20)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:BLAUNON RCW−20、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:20)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:ユニオックス HC−20、日油株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:20)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:BLAUNON CW−25、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:25)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
前記(C1)成分のエチレンオキサイドの平均付加モル数が3以上30未満のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量としては、髪のべたつきのなさ、頭皮への刺激感のなさ、及び低温保存安定性の点から、育毛剤組成物全量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、頭皮への刺激感のなさ、及び低温保存安定性が不十分となることがある。また、前記含有量が、5質量%を超えると、髪のべたつきのなさが不十分となることがある。
【0026】
<<エチレンオキサイドの平均付加モル数が30以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(C2)>>
前記(C2)成分のエチレンオキサイドの平均付加モル数が30以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:30)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:80)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:100)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:150)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数:200)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、頭皮への刺激感のなさ、及び高温保存安定性の点から、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40以上100以下のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。
【0027】
前記(C2)成分のエチレンオキサイドの平均付加モル数が30以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:NIKKOL HCO−30、日光ケミカルズ株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:30)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC−30、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:30)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:NIKKOL HCO−40、日光ケミカルズ株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC−40、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:BLAUNON CW−40、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:BLAUNON RCW−40、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:ユニオックス HC−40、日油株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:NIKKOL HCO−50、日光ケミカルズ株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC−50、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:BLAUNON RCW−50、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:NIKKOL HCO−60、日光ケミカルズ株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC−60、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:BLAUNON RCW−60、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:ユニオックス HC−60、日油株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:NIKKOL HCO−80、日光ケミカルズ株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:80)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC−80、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:80)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:BLAUNON RCW−80、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:80)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:NIKKOL HCO−100、日光ケミカルズ株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:100)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:EMALEX HC−100、日本エマルジョン株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:100)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:BLAUNON CW−100、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:100)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:BLAUNON RCW−100、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:100)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:ユニオックス HC−100、日油株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:100)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:BLAUNON CW−150、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:150)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名:BLAUNON CW−200、青木油脂工業株式会社製、エチレンオキサイドの平均付加モル数:200)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
前記(C2)成分のエチレンオキサイドの平均付加モル数が30以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量としては、髪のべたつきのなさ、頭皮への刺激感のなさ、及び高温保存安定性の点から、育毛剤組成物全量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.5質量%以上8質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、頭皮への刺激感のなさ、及び高温保存安定性が不十分となることがある。また、前記含有量が、10質量%を超えると、髪のべたつきのなさが不十分となることがある。
【0029】
[質量比(C1/C2)]
前記(C1)成分の含有量(質量%)と、前記(C2)成分の含有量(質量%)と、の質量比(C1/C2)としては、高温保存安定性、及び低温保存安定性の点から、0.05以上10以下であり、0.2以上2以下が好ましい。前記質量比(C1/C2)が、0.05未満であると、低温保存安定性が不十分となることがある。また、前記質量比(C1/C2)が、10を超えると、高温保存安定性が不十分となることがある。
【0030】
<(D)高級脂肪酸>
(D)成分の高級脂肪酸は、高温保存安定性、及び低温保存安定性を向上させるために含有される。
前記(D)成分の高級脂肪酸は、下記一般式(1)で表される。
COOH ・・・一般式(1)
(ただし、前記一般式(1)中、Rは、炭素数7以上25以下の一価炭化水素基を表す)
前記一価炭化水素基は、飽和、又は不飽和の直鎖、又は分岐鎖であり、前記一価炭化水素基の水素原子の一部は、水酸基で置換されていてもよい。
【0031】
前記(D)成分の高級脂肪酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カプリル酸(Rの炭素数:7)、2−エチルヘキサン酸(Rの炭素数:7、分岐鎖含む)、ペラルゴン酸(Rの炭素数:8)、イソノナン酸(Rの炭素数:8、分岐鎖含む)、3,5,5−トリメチルヘキサン酸(Rの炭素数:8、分岐鎖含む)、カプリン酸(Rの炭素数:9)、カプロレイン酸(Rの炭素数:9、Rの不飽和度:1)、ウンデカン酸(Rの炭素数:10)、ウンデシレン酸(Rの炭素数:10、Rの不飽和度:1)、ラウリン酸(Rの炭素数:11)、ラウロレイン酸(Rの炭素数:11、Rの不飽和度:1)、トリデカン酸(Rの炭素数:12)、テトラメチルノナン酸(Rの炭素数:12、分岐鎖含む)、ミリスチン酸(Rの炭素数:13)、ミリストレイン酸(Rの炭素数:13、Rの不飽和度:1)、ペンタデカン酸(Rの炭素数:14)、2−ヘキシルデカン酸(Rの炭素数:15、分岐鎖含む)、パルミチン酸(Rの炭素数:15)、パルミトレイン酸(Rの炭素数:15、Rの不飽和度:1)、ステアリン酸(Rの炭素数:17)、イソステアリン酸(Rの炭素数:17、分岐鎖含む)、12−ヒドロキシステアリン酸(Rの炭素数:17、水酸基含む)、オレイン酸(Rの炭素数:17、Rの不飽和度:1)、エライジン酸(Rの炭素数:17、Rの不飽和度:1)、リノール酸(Rの炭素数:17、Rの不飽和度:2)、リノエライジン酸(Rの炭素数:17、Rの不飽和度:2)、リノレン酸(Rの炭素数:17、Rの不飽和度:3)、アラキン酸(Rの炭素数:19)、ゴンドイン酸(Rの炭素数:19、Rの不飽和度:1)、アラキドン酸(Rの炭素数:19、Rの不飽和度:4)、ベヘン酸(Rの炭素数:21)、エルカ酸(Rの炭素数:21、Rの不飽和度:1)、リグノセリン酸(Rの炭素数:23)、セラコレイン酸(Rの炭素数:23、Rの不飽和度:1)、セロチン酸(Rの炭素数:25)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、低温保存安定性、及び高温安定性の点から、ラウリン酸(Rの炭素数:11)、ミリスチン酸(Rの炭素数:13)、パルミチン酸(Rの炭素数:15)、ステアリン酸(Rの炭素数:17)、イソステアリン酸(Rの炭素数:17、分岐鎖含む)が好ましく、イソステアリン酸がより好ましい。
【0032】
前記(D)成分の高級脂肪酸としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、ラウリン酸(商品名:NAA−122、日油株式会社製、Rの炭素数:11)、ラウリン酸(商品名:ラウリン酸98、ミヨシ油脂株式会社製、Rの炭素数:11)、ミリスチン酸(商品名:NAA−142、日油株式会社製、Rの炭素数:13)、ミリスチン酸(商品名:ミリスチン酸98、ミヨシ油脂株式会社製、Rの炭素数:13)、パルミチン酸(商品名:NAA−160、日油株式会社製、Rの炭素数:15)、パルミチン酸(商品名:パルミチン酸98、ミヨシ油脂株式会社製、Rの炭素数:15)、ステアリン酸(商品名:NAA−180、日油株式会社製、Rの炭素数:17)、ステアリン酸(商品名:STEARIC ACID 98%、ミヨシ油脂株式会社製、Rの炭素数:17)、イソステアリン酸(商品名:イソステアリン酸EX、高級アルコール工業株式会社製、Rの炭素数:17、分岐鎖含む)、イソステアリン酸(商品名:HAIMARIC−MKH、高級アルコール工業株式会社製、Rの炭素数:17、分岐鎖含む)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
前記(D)成分の高級脂肪酸の含有量としては、抜け毛抑制効果、発毛促進効果、頭皮への刺激感のなさ、目への刺激感のなさ、高温保存安定性、及び低温保存安定性の点から、育毛剤組成物全量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、2質量%以上10質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、高温保存安定性、及び低温保存安定性が不十分となることがある。また、前記含有量が、20質量%を超えると、抜け毛抑制効果、発毛促進効果、頭皮への刺激感のなさ、目への刺激感のなさ、高温保存安定性、及び低温保存安定性が不十分となることがある。
【0034】
<(E)水>
前記(E)成分の水は、髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさを向上させるために含有される。
【0035】
前記(E)成分の水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、精製水、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(E)成分の水としては、市販品を使用してもよい。
【0036】
前記(E)成分の水の含有量としては、髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさの点から、育毛剤組成物全量に対して、30質量%以上98.7質量%未満であり、65質量%以上98.7質量%未満が好ましく、65質量%以上95.9質量%以下がより好ましい。前記含有量が、30質量%未満であると、髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさが不十分となる。
なお、前記(E)成分の水の含有量は、その他の成分として植物エキスなどのエキス類を含む場合は、前記エキス類に含まれる水を含んだ含有量である。
【0037】
<(F)エタノール>
本発明の育毛剤組成物は、(F)エタノールを含まない、又は前記(F)エタノールを含む場合、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさの点から、前記(F)成分の含有量(質量%)としては、20質量%を超えて含有されない。
【0038】
前記(F)成分のエタノールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無水エタノール、95%体積エタノール(規格値95.2体積%〜95.4体積%、無水エタノールとしての含有量)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(F)成分のエタノールとしては、市販品を使用してもよい。
【0039】
前記95体積%エタノールを使用した場合の、無水エタノールに換算した含有量(質量%)は、下記の式(2)(独立行政法人医薬品医療機器総合機構発信文書038−1309.pdf)及び式(3)で求めることができる。
・エタノールの質量%=体積%×0.79422(15℃における100体積%の比重)/d(15℃における比重) ・・・式(2)
=(95×0.79422)/0.81639
=92.42
・無水エタノールの含有量(質量%)=95体積%エタノール含有量(質量%)×92.42/100 ・・・式(3)
【0040】
前記(F)成分のエタノールの含有量としては、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさの点から、育毛剤組成物全量に対して、無水エタノールとして20質量%以下であり、10質量%以下が好ましい。前記含有量が、20質量%を超えると、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさが不十分となることがある。
なお、前記(F)成分のエタノールの含有量は、その他の成分として植物エキスなどのエキス類を含む場合は、前記エキス類に含まれるエタノールを含んだ含有量である。
【0041】
<その他の成分>
本発明の育毛剤組成物には、前記(A)〜(F)の各成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、育毛剤組成物等に通常用いられる成分をその他の成分として配合することができる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(C)成分以外のノニオン性界面活性剤、半極性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、(B)成分以外の多価アルコール類、有機塩類、保湿剤、トニック剤、可溶化剤、ジブチルヒドロキシトルエン、α−トコフェロール等の酸化防止剤、トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド等の粘度調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、タンパク誘導体、動植物抽出液、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン等のフケ防止剤、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤、安息香酸及びその塩、パラベン類、ケーソンCG等の防腐剤、pH調整剤、エチレングリコールジ脂肪酸エステル等のパール化剤、乳濁剤、ビタミン類、揮発性油分、疎水性溶媒、希釈性溶媒、エキス類、色素、香料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
<<pH調整剤>>
前記pH調整剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、硫酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はこれらの塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0043】
[pH]
前記育毛剤組成物のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃環境下において3以上8以下が好ましい。前記pHが、3未満であると、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさが不十分となることがある。また、前記pHが、8を超えると、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさが不十分となることがある。
【0044】
前記pHは、例えば、pHメーター(装置名:HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)により、25℃環境下において測定できる。
【0045】
−製造方法−
前記育毛剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分、前記(D)成分、及び必要に応じて前記その他の成分を、スリーワンモータ、傾斜パドルなどを用いて、特定の温度で均一に混合し、混合液Aを得る。
また、前記(E)成分、及び必要に応じて前記(F)成分を、スリーワンモータ、傾斜パドルなどを用いて、室温で均一に混合し、混合液Bを得る。
前記混合液A、及び前記混合液Bが、均一に混合したことを確認した後、前記混合液Aを、前記混合液Bの中にゆっくりと滴下し、均一に混合することにより、前記育毛剤組成物を得ることができる。
【0046】
−容器−
前記育毛剤組成物を収容する容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チューブ容器、機械的又は差圧によるディスペンサー容器及びスクイーズ容器、ラミネートフィルム容器、スポイト容器、スティック容器、ボトル容器などが挙げられる。
前記チューブ容器としては、例えば、アルミニウムラミネートチューブ、EVALチューブ、アルミニウムチューブ、ガラス蒸着プラスチックチューブなどが挙げられる。
前記アルミニウムラミネートチューブとしては、ラミネートフィルムを有することが好ましい。
前記ラミネートフィルム容器のラミネートフィルムの材質としては、例えば、合成樹脂、紙、アルミニウム蒸着プラスチックなどが挙げられる。
前記合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、二軸延伸ポリプロピレン樹脂、無延伸ポリプロピレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂などが挙げられる。
前記ラミネートフィルムの層としては、強度、柔軟性、及び耐候性などの点から、2以上5以下が好ましい。
前記ボトル容器の材質としては、例えば、樹脂、ガラスなどが挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。
前記容器は、前記材質の層を、単層で使用してもよいし、2層以上組み合せてもよい。
【0047】
−用途−
前記育毛剤組成物としては、抜け毛抑制効果、発毛促進効果、髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさに優れ、高温保存安定性、及び低温保存安定性が良好になるため、例えば、育毛剤、養毛剤、血行促進剤、抜け毛抑制剤などに好適に用いることができる。
前記育毛剤としては、例えば、育毛トニック、頭皮用エッセンス、育毛スプレー、育毛ヘアジェルなどの形態により、頭皮の外用に好適に用いることができる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。なお、実施例、及び比較例の記載の各成分の含有量は、すべて純分換算した値である。
【0049】
(実施例1〜51、及び比較例1〜21)
下記表1〜表10に示す組成及び含有量(質量%)の通り、実施例1〜51及び比較例1〜21の育毛剤組成物を、以下の製造方法に基づいて調製した。
【0050】
―育毛剤組成物の調製―
(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及びその他の成分を、スリーワンモータ(商品名:HEIDEN FBLHEIDEN1200、新東科学株式会社製)、及び4枚並びの傾斜パドルを用いて、80℃で均一に混合し、混合液Aを得た。
また、(E)成分、及び(F)成分を、スリーワンモータ、及び4枚並びの傾斜パドルを用いて、室温(25℃)で均一に混合し、混合液Bを得た。
前記混合液A、及び前記混合液Bが、均一に混合したことを確認した後、前記混合液Aを、前記混合液Bの中にゆっくりと滴下し、均一に混合することにより、実施例1〜51、及び比較例1〜21の育毛剤組成物を得た。
【0051】
得られた実施例1〜51、及び比較例1〜21の育毛剤組成物について、「抜け毛抑制効果」、「発毛促進効果」、「髪のべたつきのなさ」、「頭皮のべたつきのなさ」、「頭皮への刺激感のなさ」、「目への刺激感のなさ」、「高温保存安定性」、及び「低温保存安定性」を下記方法により評価した。結果を下記表1〜表10に示す。
【0052】
<抜け毛抑制効果、及び発毛促進効果>
50歳代〜60歳代の一般人女性40人に対して、得られた育毛剤組成物を1日2回、頭皮全体に1回あたり1.5mL塗布し、1ヶ月間継続使用した。継続使用後の抜け毛の本数を観察し、育毛剤使用前と比較して「抜け毛が減少した」と判断した人数により、下記評価基準に基づいて、「抜け毛抑制効果」を評価した。また、継続使用後の髪の毛の量を観察し、育毛剤使用前と比較して「髪の毛が増えた感じがある」と判断した人数により、下記評価基準に基づいて、「発毛促進効果」を評価した。
−抜け毛抑制効果の評価基準−
◎:「抜け毛が減少した」と回答した人が、36人以上40人以下である
○:「抜け毛が減少した」と回答した人が、28人以上35人以下である
△:「抜け毛が減少した」と回答した人が、20人以上27人以下である
×:「抜け毛が減少した」と回答した人が、19人以下である
−発毛促進効果の評価基準−
◎:「髪の毛が増えた感じがある」と回答した人が、36人以上40人以下である
○:「髪の毛が増えた感じがある」と回答した人が、28人以上35人以下である
△:「髪の毛が増えた感じがある」と回答した人が、20人以上27人以下である
×:「髪の毛が増えた感じがある」と回答した人が、19人以下である
【0053】
<髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、及び頭皮への刺激感のなさ>
40歳代〜60歳代の一般人女性20人に対して、シャンプー(商品名:植物物語シャンプーH1、ライオン株式会社製)での洗髪後、タオルドライの状態で、得られた育毛剤組成物を頭皮全体に1回あたり1.5mL塗布した。髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、及び頭皮への刺激感のなさについて「良好」と判断した人数により、下記評価基準に基づいて、「髪のべたつきのなさ」、「頭皮のべたつきのなさ」、及び「頭皮への刺激感のなさ」を評価した。
なお、「髪がべたつく」とは、髪を触った際に、べたべたしたり、髪同士が付着したりしてしまう状態をいう。
−髪のべたつきのなさの評価基準−
◎:「良好」と回答した人が、15人以上20人以下である
○:「良好」と回答した人が、11人以上14人以下である
△:「良好」と回答した人が、7人以上10人以下である
×:「良好」と回答した人が、6人以下である
−頭皮のべたつきのなさの評価基準−
◎:「良好」と回答した人が、15人以上20人以下である
○:「良好」と回答した人が、11人以上14人以下である
△:「良好」と回答した人が、7人以上10人以下である
×:「良好」と回答した人が、6人以下である
−頭皮への刺激感のなさの評価基準−
◎:「良好」と回答した人が、15人以上20人以下である
○:「良好」と回答した人が、11人以上14人以下である
△:「良好」と回答した人が、7人以上10人以下である
×:「良好」と回答した人が、6人以下である
【0054】
<目への刺激感のなさ>
男性の専門パネラー3人に対して、シャンプー(商品名:植物物語シャンプーH1、ライオン株式会社製)での洗髪後、タオルドライの状態で、得られた育毛剤組成物を前頭部の生え際に1.5mL塗布した。「目に入った場合の刺激感がない」と判断した人数により、下記評価基準に基づいて、「目への刺激感のなさ」を評価した。また、目に入らなかった場合は、洗髪とタオルドライを行い、再度塗布を行った。
−評価基準−
◎:「目に入った場合の刺激感がない」と回答した人が、3人である
○:「目に入った場合の刺激感がない」と回答した人が、2人である
△:「目に入った場合の刺激感がない」と回答した人が、1人である
×:3人全員が、「目に入った場合の刺激感がある」と回答した
【0055】
<高温保存安定性>
得られた育毛剤組成物50gを、容量50gのガラスバイアル瓶(商品名:SV−50A、日電理化硝子株式会社製)に充填し、50℃の恒温槽に1ヶ月間保管後、前記恒温槽から取り出し、すぐに、目視にて育毛剤組成物の外観を観察し、下記評価基準に基づいて「高温保存安定性」を評価した。
−評価基準−
◎:育毛剤組成物は、分離していない
○:育毛剤組成物の上層及び/又は下層に透明層がやや見えるが、分離はしていない
×:育毛剤組成物は、分離している
【0056】
<低温保存安定性>
得られた育毛剤組成物50gを、容量50gのガラスバイアル瓶(商品名:SV−50A、日電理化硝子株式会社製)に充填し、−5℃の恒温槽に1ヶ月間保管後、前記恒温槽から取り出し、25℃にて60分間静置後、目視にて育毛剤組成物の外観を観察し、下記評価基準に基づいて「低温保存安定性」を評価した。
−評価基準−
◎:−5℃で析出物は認められず、25℃でも析出物が認められない
○:−5℃では析出物が認められるが、25℃では析出物は認められない
×:−5℃で析出物が認められ、25℃でも析出物が認められる
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
なお、実施例1〜51、及び比較例1〜21で使用した育毛剤組成物の原料は、下記表11に示す通りである。
【0068】
【表11】
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の育毛剤組成物は、抜け毛抑制効果、発毛促進効果、髪のべたつきのなさ、頭皮のべたつきのなさ、頭皮への刺激感のなさ、及び目への刺激感のなさに優れ、高温保存安定性、及び低温保存安定性が良好であり、例えば、育毛剤、養毛剤、血行促進剤、抜け毛抑制剤などに好適に用いることができる。
前記育毛剤としては、例えば、育毛トニック、頭皮用エッセンス、育毛スプレー、育毛ヘアジェルなどの形態により、頭皮の外用に好適に用いることができる。