特許第6904794号(P6904794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904794
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】接続端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/28 20060101AFI20210708BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   H01R13/28
   H01R13/11 A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-114010(P2017-114010)
(22)【出願日】2017年6月9日
(65)【公開番号】特開2018-206713(P2018-206713A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真史
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−045543(JP,A)
【文献】 特開2002−025674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/28
H01R 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状に形成された接続部と、
前記接続部の一側に一体に設けられ電線の端末部に接続される電線接続部と、
前記接続部に設けられ対向して配置された一対の対向壁と、
前記接続部に設けられ一対の前記対向壁に跨って配置され一対の前記対向壁のうち少なくとも一方の前記対向壁と連結部を介して連結された接続壁と、
前記連結部に設けられ前記接続部の他側から前記電線接続部に向けて延設され前記接続部同士の他側を合わせたときに互いに挿入可能で互いの前記接続壁を対向して配置させる
スリットと、
前記接続壁に設けられ前記接続壁の内面から前記接続部の内部に向けて突設され前記スリット同士を挿入させたときに前記接続壁に接触される第1接点とを有し、
一対の前記対向壁のうち一方の前記対向壁には、前記接続部に挿入されるタブ状の相手接続部に接触される第2接点が設けられ、
他方の前記対向壁には、前記相手接続部を前記第2接点に向けて付勢する接触バネが設けられていることを特徴とする接続端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続端子に関する。詳細には、箱状に形成された接続部を有する接続端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接続端子としては、箱状に形成された接続部と、接続部の一側に一体に設けられ電線の端末部に接続される電線接続部とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この接続端子では、箱状の接続部内に、相手端子のタブ状の相手接続部が挿入されることにより、接続端子と相手端子とが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−9605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1のような接続端子では、端子の接続構造において、箱状の接続部を有する雌型端子と、タブ状の接続部を有する雄型端子とをそれぞれ成形する必要があり、部品点数としては2種類が必要となる。
【0006】
このため、2種類の接続端子を成形し、成形された2種類の接続端子の部品管理を行わなければならず、部品点数の削減が望まれていた。
【0007】
そこで、この発明は、部品点数を削減することができる接続端子の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、箱状に形成された接続部と、前記接続部の一側に一体に設けられ電線の端末部に接続される電線接続部と、前記接続部に設けられ対向して配置された一対の対向壁と、前記接続部に設けられ一対の前記対向壁に跨って配置され一対の前記対向壁のうち少なくとも一方の前記対向壁と連結部を介して連結された接続壁と、前記連結部に設けられ前記接続部の他側から前記電線接続部に向けて延設され前記接続部同士の他側を合わせたときに互いに挿入可能で互いの前記接続壁を対向して配置させるスリットと、前記接続壁に設けられ前記接続壁の内面から前記接続部の内部に向けて突設され前記スリット同士を挿入させたときに前記接続壁に接触される第1接点とを有し、一対の前記対向壁のうち一方の前記対向壁には、前記接続部に挿入されるタブ状の相手接続部に接触される第2接点が設けられ、他方の前記対向壁には、前記相手接続部を前記第2接点に向けて付勢する接触バネが設けられていることを特徴とする接続端子である。
【0009】
この接続端子では、連結部に、接続部の他側から電線接続部に向けて延設され接続部同士の他側を合わせたときに互いに挿入可能で互いの接続壁を対向して配置させるスリットが設けられているので、接続壁を弾性変形可能に配置させ、接続壁に付勢力をもたせることができる。
【0010】
この付勢力を有する接続壁は、1種類の接続端子同士の互いのスリットを挿入させることにより、相手の接続壁に対向して配置される。
【0011】
この接続壁には、接続壁の内面から接続部の内部に向けて突設されスリット同士を挿入させたときに接続壁に接触される第1接点が設けられているので、1種類の接続端子同士の互いの接続壁を対向して配置させた状態で、接続壁の付勢力によって第1接点を相手の接続壁に接触させることができる。
【0012】
従って、このような接続端子では、1種類の接続端子同士で電気的に接続することができ、部品点数を削減することができる。
【0014】
この接続端子では、一方の対向壁に、接続部に挿入されるタブ状の相手接続部に接触される第2接点が設けられ、他方の対向壁に、相手接続部を第2接点に向けて付勢する接触バネが設けられているので、タブ状の相手接続部を有する雄型端子と電気的に接続することができ、接続形態の自由度を向上することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、部品点数を削減することができる接続端子を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る接続端子の斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る接続端子の正面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る接続端子同士を接続させたときの斜視図である。
図4図3のA−A断面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る接続端子とタブ状の相手接続部を有する雄型端子とを接続させたときの斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係る接続端子とタブ状の相手接続部を有する雄型端子とを接続させたときの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図6を用いて本発明の実施の形態に係る接続端子について説明する。
【0018】
本実施の形態に係る接続端子1は、箱状に形成された接続部3と、接続部3の一側に一体に設けられ電線5の端末部に接続される電線接続部7とを備えている。
【0019】
また、接続部3には、対向して配置された一対の対向壁9,9と、一対の対向壁9,9に跨って配置され一対の対向壁9,9のうち少なくとも一方の対向壁9と連結部11を介して連結された接続壁13とが設けられている。
【0020】
さらに、連結部11には、接続部3の他側から電線接続部7に向けて延設され接続部3,3同士の他側を合わせたときに互いに挿入可能で互いの接続壁13,13を対向して配置させるスリット15が設けられている。
【0021】
そして、接続壁13には、接続壁13の内面から接続部3の内部に向けて突設されスリット15,15同士を挿入させたときに接続壁13に接触される第1接点17が設けられている。
【0022】
また、一方の対向壁9には、接続部3に挿入されるタブ状の相手接続部19に接触される第2接点21が設けられ、他方の対向壁9には、相手接続部19を第2接点21に向けて付勢する接触バネ23が設けられている。
【0023】
ここで、本実施の形態に係る接続端子1は、例えば、互いに嵌合可能なハウジングに形成された端子収容室内に、それぞれ収容される。
【0024】
この接続端子1を収容したハウジングは、互いに嵌合することにより、互いの端子収容室に収容された接続端子1,1が電気的に接続される。
【0025】
以下、図1図6を用いて接続端子1の詳細について説明する。
【0026】
図1図6に示すように、接続端子1は、導電性材料からなる1枚の板材に対して、打ち抜き加工や折り曲げ加工などを施すことによって、電線接続部7と、接続部3とが連続する一部材で形成されている。
【0027】
電線接続部7は、被覆圧着部25と、芯線圧着部27とを備えている。
【0028】
被覆圧着部25は、一対の加締め片からなり、電源や機器などに接続された電線5の端末部において、電線5の被覆部を加締める。
【0029】
この被覆圧着部25を電線5の被覆部に加締めることにより、接続端子1が電線5に固定される。
【0030】
芯線圧着部27は、接続部3と被覆圧着部25との間に設けられた一対の圧着片からなり、電線5の端末部において、電線5の被覆部から露出された芯線部を加締めて圧着される。
【0031】
この芯線圧着部27を電線5の芯線部に圧着させることにより、接続端子1が電線5に電気的に接続される。
【0032】
接続部3は、一対の対向壁9,9と、連結壁29と、接続壁13とが連続する一部材で形成され、折り曲げ加工によって箱状に形成された雌型の接続部からなり、接続部3の一側である電線接続部7側で、底壁である対向壁9が電線接続部7と連続する一部材で形成されている。
【0033】
一対の対向壁9,9は、接続部3の上壁と底壁とを構成し、接続部3の高さ方向に対向して配置されている。
【0034】
連結壁29は、接続部3の側壁を構成し、一対の対向壁9,9の幅方向一側に一対の対向壁9,9に跨って配置され、両側面がそれぞれ一対の対向壁9,9と連続する一部材で形成されている。
【0035】
接続壁13は、接続部3の側壁を構成し、一対の対向壁9,9の幅方向他側に一対の対向壁9,9に跨って配置され、一対の対向壁9,9のうち上壁を構成する対向壁9と連結部11を介して連続する一部材で形成されており、底壁を構成する対向壁9とは連結されていない。
【0036】
この接続壁13と対向壁9とを連結する連結部11には、スリット15が設けられている。
【0037】
スリット15は、連結部11において、接続部3の他側である開口端から電線接続部7側に向けて延設されている。
【0038】
このように連結部11にスリット15を設けることにより、接続部3において、接続壁13を接続部3の幅方向に弾性変形可能とすることができる。
【0039】
このスリット15は、接続端子1,1の接続部3,3同士の互いのスリット15,15の位置を合わせて接続部3,3の開口端を突き合わせたときに、相手の接続端子1のスリット15に挿入可能となっている。
【0040】
この互いのスリット15,15同士を挿入させた状態では、互いの接続壁13,13の内面同士が接続部3の幅方向に対向して配置される。
【0041】
このような接続壁13の内面には、接続壁13の内面から接続部3の内部に向けて突設された第1接点17が設けられている。
【0042】
この第1接点17は、互いのスリット15,15が挿入されるときに、相手の接続壁13の内面と摺動して相手の接続壁13を接続部3の外方に向けて撓ませる。
【0043】
このような第1接点17は、互いのスリット15,15が挿入され、互いの接続壁13,13が対向して配置された状態で、接続壁13の接続部3の内方に向けて復元しようとする付勢力によって、相手の接続壁13の内面に当接される。
【0044】
このように互いの接続部3,3が嵌合された状態(互いのスリット15,15が挿入された状態)で、第1接点17を相手の接続壁13に接触させることにより、1種類の接続端子1であっても、接続端子1,1同士を電気的に接続することができる。
【0045】
ここで、接続端子をタブ状の接続部を有する雄型端子とした場合、タブ状の接続部は、接続部の長さが長く、相手接続部との接触部が露出されているので、他の部材との干渉などによる外力によって、接続部自体の変形や接触部の損傷などを生じる恐れがある。
【0046】
これに対して、接続端子1は、箱状に形成された接続部3を有する雌型端子であるので、接続壁13の接触面積を確保できるだけの接続部3の長さでよく、第1接点17も露出されておらず、他の部材との干渉などによる外力に対する耐力を向上することができる。
【0047】
このような接続部3には、第2接点21と、接触バネ23とが設けられている。
【0048】
第2接点21は、一対の対向壁9,9のうち上壁を構成する対向壁9の内面から接続部3の内部に向けて突設されている。
【0049】
接触バネ23は、一対の対向壁9,9のうち底壁を構成する対向壁9を、接続部3の開口側の端部から接続部3の内部に向けて折り返すことにより弾性変形可能に設けられている。
【0050】
このような第2接点21と接触バネ23とは、接続端子1がタブ状の相手接続部19を有する相手端子と接続されるときに、接触バネ23が接続部3に挿入された相手接続部19を第2接点21に向けて付勢し、第2接点21が相手接続部19に接触され、接続端子1と相手端子とが電気的に接続される。
【0051】
このように接続部3に第2接点21と接触バネ23とを設けることにより、接続端子1が雄型端子とも接続することができ、接続端子1の接続形態の自由度を向上することができる。
【0052】
このような接続端子1では、連結部11に、接続部3の他側から電線接続部7に向けて延設され接続部3,3同士の他側を合わせたときに互いに挿入可能で互いの接続壁13,13を対向して配置させるスリット15が設けられているので、接続壁13を弾性変形可能に配置させ、接続壁13に付勢力をもたせることができる。
【0053】
この付勢力を有する接続壁13は、1種類の接続端子1,1同士の互いのスリット15,15を挿入させることにより、相手の接続壁13に対向して配置される。
【0054】
この接続壁13には、接続壁13の内面から接続部3の内部に向けて突設されスリット15,15同士を挿入させたときに接続壁13に接触される第1接点17が設けられているので、1種類の接続端子1,1同士の互いの接続壁13,13を対向して配置させた状態で、接続壁13の付勢力によって第1接点17を相手の接続壁13に接触させることができる。
【0055】
従って、このような接続端子1では、1種類の接続端子1,1同士で電気的に接続することができ、部品点数を削減することができる。
【0056】
また、一方の対向壁9には、接続部3に挿入されるタブ状の相手接続部19に接触される第2接点21が設けられ、他方の対向壁9には、相手接続部19を第2接点21に向けて付勢する接触バネ23が設けられているので、タブ状の相手接続部19を有する雄型端子と電気的に接続することができ、接続形態の自由度を向上することができる。
【0057】
なお、本実施の形態に係る接続端子では、一方の対向壁と接続壁とを連結する連結部にスリットが設けられているが、これに限らず、一対の対向壁と接続壁とを連結する2つの連結部のそれぞれにスリットを設けてもよい。
【0058】
このような場合であっても、互いの接続部を嵌合することができると共に、接続壁を弾性変形可能に設けることができ、1種類の接続端子で、互いの接続端子を電気的に接続することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…接続端子
3…接続部
5…電線
7…電線接続部
9…対向壁
11…連結部
13…接続壁
15…スリット
17…第1接点
19…相手接続部
21…第2接点
23…接触バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6