特許第6904811号(P6904811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904811
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】監視カメラ装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20210708BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20210708BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20210708BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20210708BHJP
【FI】
   H04N5/232
   H04N7/18 E
   G03B15/00 S
   H04N5/225
   H04N5/225 600
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-127724(P2017-127724)
(22)【出願日】2017年6月29日
(65)【公開番号】特開2019-12896(P2019-12896A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】清水 智
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼原 良輔
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雄彦
(72)【発明者】
【氏名】阿部 豊
(72)【発明者】
【氏名】尾形 英宣
【審査官】 益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−207709(JP,A)
【文献】 特開2003−087610(JP,A)
【文献】 特開2012−128621(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0155764(US,A1)
【文献】 特開2000−285327(JP,A)
【文献】 特開2001−006056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222−257
H04N 7/18
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
前記撮像部近傍に配置された複数の近接センサと、
前記複数の近接センサの出力に基づいて、前記撮像部を視野妨害する画策異常を判定する画策異常判定手段と、を有し、
前記画策異常判定手段は、
前記複数の近接センサの出力の合計が所定の第1閾値以上であることを第1の判定基準とし、
前記出力が前記第1閾値より低い所定の第2閾値以上である前記近接センサの個数が予め定めた複数個以上であることを第2の判定基準とし、
前記第1及び第2の判定基準を満たすことに基づいて前記画策異常であると判定すること、
を特徴とする監視カメラ装置。
【請求項2】
前記近接センサは赤外線方式であり、赤外光を発する発光部と赤外線を受光する受光部とを有し、
前記画策異常判定手段は、前記近接センサの前記出力として、前記発光部の発光時と非発光時とでの前記受光部の赤外線受光量の差分値の所定時間での積分値を取得すること、
を特徴とする請求項1に記載の監視カメラ装置。
【請求項3】
前記第2の判定基準は、前記複数の近接センサ全ての前記出力が前記第2閾値以上であること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の監視カメラ装置。
【請求項4】
前記複数の近接センサの合計出力に関する基準値として、前記画策異常ではない期間での当該合計出力の平均値を求める基準値取得手段を有し、
前記第1の判定基準は、前記合計出力と前記基準値との差分の絶対値が前記第1閾値以上であること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の監視カメラ装置。
【請求項5】
前記近接センサの前記出力が飽和状態であることを判定する飽和判定手段を有し、
前記基準値取得手段は、前記複数の近接センサが前記飽和状態ではない場合に、前記基準値を所定の時間間隔で更新する一方、いずれかの前記近接センサが前記飽和状態である場合に当該更新を停止すること、
を特徴とする請求項4に記載の監視カメラ装置。
【請求項6】
前記撮像部における環境光に関し赤外光成分の照度を測定する照度センサを有し、
前記基準値取得手段は、前記照度が所定値以上である場合に、前記基準値を更新すること、
を特徴とする請求項4又は請求項5に記載の監視カメラ装置。
【請求項7】
前記近接センサと前記照度センサとは一体に形成されたセンサ素子であり、前記近接センサの出力と前記照度センサの照度とを交互に出力すること、を特徴とする請求項6に記載の監視カメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラ装置に関し、特に、カメラの視野を妨害する画策を検知する機能を有する監視カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗や家屋などの監視対象空間への不審者の侵入などを監視カメラを用いて監視するシステムが存在する。監視カメラに対しては、悪意のある者が、監視カメラのレンズ面を何らかのもので覆う、テープなどを貼り付ける、スプレー塗料を吹き付けるなどの、いわゆる視野妨害、マスク画策などと呼ばれる画策行為を行い、監視カメラの無効化を図ることがある。そこで当該画策行為による異常状態を検知することを目的として、様々な工夫がなされている。下記特許文献1では、監視カメラの撮像部近傍に設けられた投受光部により、カメラ前方へ投光し、当該光に対する反射光に応じて監視カメラに対する画策行為を検知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−87610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の投受光部を備えた監視カメラにおいては、監視カメラの視野の一部分に虫等が貼りついたり雨粒が付着したりすると反射光が大きくなり、画策行為と誤検知する可能性がある。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、監視カメラの視野の一部分だけが遮蔽された状態を弁別し、誤検知が抑制される監視カメラ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る監視カメラ装置は、撮像部と、前記撮像部近傍に配置された複数の近接センサと、前記複数の近接センサの出力に基づいて、前記撮像部を視野妨害する画策異常を判定する画策異常判定手段と、を有し、前記画策異常判定手段は、前記複数の近接センサの出力の合計が所定の第1閾値以上であることを第1の判定基準とし、前記出力が前記第1閾値より低い所定の第2閾値以上である前記近接センサの個数が予め定めた複数個以上であることを第2の判定基準とし、前記第1及び第2の判定基準を満たすことに基づいて前記画策異常であると判定する。
【0007】
(2)上記(1)に記載する監視カメラ装置において、前記近接センサは赤外線方式であり、赤外光を発する発光部と赤外線を受光する受光部とを有し、前記画策異常判定手段は、前記近接センサの前記出力として、前記発光部の発光時と非発光時とでの前記受光部の赤外線受光量の差分値の所定時間での積分値を取得する構成とすることができる。
【0008】
(3)上記(1)又は(2)に記載する監視カメラ装置において、前記第2の判定基準は、前記複数の近接センサ全ての前記出力が前記第2閾値以上であることとすることができる。
【0009】
(4)上記(1)から(3)に記載する監視カメラ装置において、前記複数の近接センサの合計出力に関する基準値として、前記画策異常ではない期間での当該合計出力の平均値を求める基準値取得手段を有し、前記第1の判定基準は、前記合計出力と前記基準値との差分の絶対値が前記第1閾値以上であること、とした構成とすることができる。
【0010】
(5)上記(4)に記載する監視カメラ装置において、前記近接センサの前記出力が飽和状態であることを判定する飽和判定手段を有し、前記基準値取得手段は、前記複数の近接センサが前記飽和状態ではない場合に、前記基準値を所定の時間間隔で更新する一方、いずれかの前記近接センサが前記飽和状態である場合に当該更新を停止する構成とすることができる。
【0011】
(6)上記(4)又は(5)に記載する監視カメラ装置において、前記撮像部における環境光に関し赤外光成分の照度を測定する照度センサを有し、前記基準値取得手段は、前記照度が所定値以上である場合に、前記基準値を更新する構成とすることができる。
【0012】
(7)上記(6)に記載する監視カメラ装置において、前記近接センサと前記照度センサとは一体に形成されたセンサ素子であり、前記近接センサの出力と前記照度センサの照度とを交互に出力する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、虫などにより監視カメラの視野の一部分だけが遮蔽された状態を、画策行為による状態と区別することができ、誤検知が抑制され、画策異常の検知精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る監視カメラ装置の概略の構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る監視カメラ装置の概略の動作を説明するフロー図である。
図3】基準値取得手段による近接センサの出力の基準値の更新処理の概略のフロー図である。
図4】環境判定手段による環境判定処理の概略のフロー図である。
図5】画策異常判定手段による画策異常判定処理の概略のフロー図である。
図6】D/N切替判定手段によるデイナイト切替処理の概略のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る監視カメラ装置1の概略の構成を示す模式図である。監視カメラ装置1は、撮像部2、赤外線(infrared:IR)照明部4、照度センサ6、近接センサ8、IR照明制御部10、制御部12、通信部14及び記憶部16を備える。
【0016】
監視カメラ装置1は、デイナイト切替機能を有するデイナイトカメラであり、昼間はカラーカメラとして動作し、夜間は近赤外カメラとして動作する。これにより、監視カメラ装置1は撮像部2で昼夜に亘り監視対象空間を撮影し、監視対象空間への人の侵入や危険などの異常の発生を監視することができる。撮像部2により撮影された画像は、通信部14により通信回線などを介して監視センタ(図示せず)へ伝送することができる。例えば、伝送された画像は、監視センタにて監視員が異常発生を確認するために利用される。また、撮像部2により撮影された画像は、記憶部16に記録することができる。例えば、記録された画像は、監視センタからの要求に応じて伝送される。また、監視カメラ装置1は、画策異常を検知した場合には、通信部14により監視センタに通知する。
【0017】
撮像部2は、レンズなどの光学系、光学系に対して挿抜されるIRカットフィルタ、IRカットフィルタの挿抜を行う駆動部、及びCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像素子を備える。撮像素子には可視光線から赤外線までの波長領域に感度を有するものが用いられ、撮像部2は制御部12からの制御信号に基づいて、監視対象空間が明るいときにはカラー映像を出力し、監視対象空間が暗いときには白黒映像にて低照度下の監視映像を出力する。カラー映像を出力する際には、赤外領域の光が不要となるので、IRカットフィルタを撮像素子の前面に挿入し、コントラストなどの画質が向上した画像が得られるように工夫している。
【0018】
また、撮像部2は、カメラの利得制御を自動で行うゲインコントロールアンプ回路(automatic gain control:AGC)、アナログ信号をデジタル信号へと変換を行うAD変換部を備える。また、撮像部2は、デジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor:DSP)などから構成された画像信号処理部を含み、当該画像信号処理部にてガンマ処理等の所定の画像処理を行った画像データを制御部12へ出力する。
【0019】
IR照明部4は近赤外光照明であり、IR照明制御部10からの制御信号に基づいて発光する。IR照明部4を設けることで、撮像部2は環境光が低照度の状態である場合に限らず、照度ゼロの暗闇である状態においても、鮮明な画像を撮影することが可能となる。
【0020】
IR照明制御部10は制御部12の制御に基づいて、IR照明部4の点灯/消灯の切り替えや発光強度の調整を行う。
【0021】
照度センサ6は受光部としてフォトダイオードを備える。当該受光部は、可視光領域から赤外光領域に亘り感度を有するフォトダイオードと、赤外光領域にのみ感度を有するフォトダイオードとを備える。ここでは、これら2種類のフォトダイオードから得られる照度値をそれぞれ、CLEAR照度値、IR照度値と呼ぶことにする。照度センサはCLEAR照度値とIR照度値とを出力し、可視光領域のみの照度値はCLEAR照度値とIR照度値との差分で得ることができる。
【0022】
近接センサ8は、受光部として赤外光領域にのみ感度を有するフォトダイオードを備え、また発光部として赤外線を発する発光ダイオード(light emitting diode:LED)を備える。近接センサ8はLEDの非発光状態でフォトダイオードに入射する光量とLEDの発光状態でフォトダイオードに入射する光量とを交互に周期的に繰り返し測定しそれらの差分値を所定期間にて積分した値を出力する。例えば、近接物体が存在する場合にはLED光に対する近接物体での反射光がフォトダイオードで受光されることから、フォトダイオード出力の大きさに基づいて近接物体の有無を検知できる。監視カメラ装置1は近接センサ8を複数備え、それら近接センサ8は撮像部2の近傍の複数箇所における近接物体を検知する。本実施形態では4つの近接センサ8-1〜8-4を備えた例を説明する。
【0023】
照度センサ6及び近接センサ8は小型のパッケージに一体に形成された1つのセンサ素子とすることができ、当該センサ素子は、照度センサ6と近接センサ8とで赤外光用の受光部を共用し、照度センサ6の出力と近接センサ8の出力とを時分割で交互出力する。照度センサ6と近接センサ8とを一体化した近接・照度センサを用いることで、監視カメラ装置1の小型化、低コスト化を図ることができる。例えば、複数の近接センサ8-1〜8-4を1つのパッケージとした近接・照度センサを用い、近接物体の検知を行う撮像部2近傍の複数箇所それぞれと、当該箇所に対応する近接センサ8との間を光導管で結合した構成とすることができる。
【0024】
なお、近接センサ8は、赤外光を投受光するものに限定されず、音波(超音波を含む)、マイクロ波、ミリ波を送受信するタイプのものであってもよい。
【0025】
制御部12は、マイクロプロセッサ(MPU)等を用いて構成され、実行されるプログラムに応じて各種の動作を行う。例えば、制御部12は、D/N切替判定手段20、環境判定手段22、基準値取得手段24、飽和判定手段26及び画策異常判定手段28として機能する。
【0026】
D/N切替判定手段20は、監視カメラ装置1のデイナイト切り替えを行う切替部である。具体的には、D/N切替判定手段20は、照度センサ6により得られる可視光領域の照度値に基づいて制御モードをデイモードとするかナイトモードとするかを判定する。例えば、可視光領域の照度値が所定の閾値以上であれば監視対象空間は昼などであり、デイモードと判定する。一方、可視光領域の照度値が所定の閾値未満であれば監視対象空間は夜などであり、ナイトモードと判定する。D/N切替判定手段20はデイモードでは、撮像部2における光学系にIRカットフィルタを挿入し、撮像部2はIRカットフィルタを挿入された状態で監視対象空間を撮影する。一方、D/N切替判定手段20はナイトモードでは、IRカットフィルタを光学系から外し、IR照明制御部10を介してIR照明部4を発光させる。
【0027】
環境判定手段22は、IR照明部4の照明状態の変化の有無の判定、及び環境光に含まれる赤外光成分が近接センサ8に対し外乱光となるかの判定を行う。
【0028】
基準値取得手段24は、所定のタイミングで近接異常判定のための基準値の設定・更新を行う。具体的には、基準値取得手段24は、監視カメラ装置1の動作開始に際して、視野が妨害されていない期間での近接センサ8の出力に基づいて基準値を設定する。例えば、この基準値の初期設定では、近接センサ8の出力が飽和状態でなければ視野妨害は生じていないとすることができる。また、ユーザが撮像部2に対し視野妨害がされていないことを確認した上で基準値の初期設定を行うこともできる。また、基準値取得手段24は、環境の時間変化に対応して基準値を更新する基準値更新手段としての機能を有する。この処理についてはさらに後述する。
【0029】
飽和判定手段26は近接センサ8に対し所定以上の光が受光され、その出力が飽和状態であることを判定する。
【0030】
画策異常判定手段28は近接センサ8の出力に基づいて、撮像部2を視野妨害する画策異常を判定する。
【0031】
通信部14は撮像部2で撮影された画像を通信回線で接続された遠隔の監視センタ等に送信する。また、画策異常を検知すると監視センタ等に異常警報を送信する。
【0032】
記憶部16は、制御部12で用いられるプログラム、基準値などのデータ、監視カメラの識別情報等の各種情報を記憶する。また、記憶部16は、撮像部2で撮影された画像を記憶する。なお、画像の記憶容量は予め設定した上限内とし、蓄積された画像の容量が当該上限に達すると古い画像を順次消去して新たな画像を記憶する構成とすることができる。
【0033】
図2は監視カメラ装置1の概略の動作を説明するフロー図である。
【0034】
制御部12は照度センサ6及び近接センサ8の計測値を取得する(ステップS001)。具体的には制御部12は照度センサ6のレジスタから所定の時間間隔で、CLEAR照度値及びIR照度値を取得する。また、制御部12は近接センサ8-1〜8-4それぞれから所定の時間間隔で、近接センサ8の発光部の非発光状態及び発光状態それぞれでの受光部出力の差分の積分値を近接センサの出力として取得する。
【0035】
飽和判定手段26は近接センサ8の出力が飽和状態であるか否かを判定する(ステップS002)。例えば、近接センサ8ごとに飽和フラグを設け、飽和判定手段26は、4つの近接センサ8-1〜8-4のいずれかについて、発光部の発光状態にて出力が近接センサ8の仕様等で与えられる上限値に達している場合、当該近接センサ8は飽和状態であると判断し、当該近接センサ8の飽和フラグをオン状態に設定する。
【0036】
飽和判定S002にてオン状態に設定された飽和フラグが存在しなければ場合(ステップS003にて「No」の場合)、近接センサ8の基準値を含む各種パラメータの値の初期化処理を行う(ステップS004)。一方、オン状態の飽和フラグが存在する場合には(ステップS003にて「Yes」の場合)、飽和状態にて初期化を行うと近接センサ8の基準値等に正常でない値が設定される可能性があるため、ステップS001に戻り、飽和状態が解消するまでステップS001〜S003の処理を繰り返す。
【0037】
初期化処理S004では、基準値取得手段24が、近接センサ8の出力の基準値の初期設定を行う。当該基準値は、画策異常ではないときの複数の近接センサ8-1〜8-4の出力の合計値である。この基準値は、近接異常判定の際に近接センサ8全体の出力の変動を除去するための値であり、当該変動を除去することで誤報の抑制を図ることができる。
【0038】
上述のように各近接センサ8の出力は、発光部の発光時と非発光時とでの受光部の赤外線受光量の差分値を所定時間にわたり積分した値として得られ、各近接センサ8の当該出力を合計して複数の近接センサ8の出力の合計値が求められる。
【0039】
基準値取得手段24は、複数の近接センサ8の合計出力に関する基準値を近接センサ8の1回の出力に基づいて算出することもできるが、本実施形態では、当該基準値として、画策異常と判定されていない期間での当該合計出力の平均値を算出する。平均値を用いることで、一時的なノイズ等の影響を受けにくくすることができる。
【0040】
具体的には、ステップS003にて全ての近接センサ8の飽和フラグがオフ状態であることが確認された場合、画策異常は生じていないとして、制御部12は画策異常の有無を示す画策異常フラグをオフ状態に設定する。そして、基準値取得手段24は、所定の期間内にて周期的に繰り返して得られる近接センサ8の出力に基づいて、上述の出力の合計値の平均値を算出し、基準値に設定する。
【0041】
また、基準値取得手段24は、個々の近接センサ8の出力に関するオフセット値、及びIR照度基準値について、それぞれ初期値を取得する。近接センサ8のオフセット値は基本的に近接物体が存在しない状態での近接センサ8の出力で与えられる。なお、当該出力は上述のように発光部の非発光状態での受光部出力に対する発光状態での受光部出力の差分の積分値である。例えば、近接センサ8ごとに光導管の伝達効率などに差異が存在し得、オフセット値は当該差異の影響を補正、除去するために近接センサ8ごとに設定する。本実施形態では、出力のばらつきの影響を低減するために、所定期間内にて近接センサ8の出力を繰り返し取得してその平均値を算出し、これをオフセット値とする。初期化処理S004では、監視カメラ装置1の動作開始前における所定期間での平均値を求めてオフセット値の初期値とする。IR照度基準値は外乱光異常を判定する際に用いる値であり、IR照度値に基づいて定められる。具体的には、上述のオフセット値と同様、監視カメラ装置1の動作開始前における所定期間でのIR照度値の平均値を算出し、IR照度基準値の初期値とする。
【0042】
また、制御部12は初期化処理S004にて例えば、画策異常判定に用いる近接異常判定回数を初期値である0に設定し、照明フラグを現在のIR照明部4の照明状態に設定する。また、後述する処理で使用する各種の状態値なども初期値に設定される。例えば、IR照明変化フラグや外乱光異常フラグがオフ状態に設定される。
【0043】
初期化処理S004後、監視カメラ装置1は画策異常の検知を行いつつ、監視対象空間の画像監視を行う。画像監視中は、制御部12は基準値取得手段24により、近接センサ8の出力の基準値を更新する処理を行い(ステップS005)、またステップS001と同様に、照度センサ6及び近接センサ8の計測値を取得する(ステップS006)。
【0044】
制御部12は取得した計測値を用いて、環境判定手段22により環境判定処理を行う(ステップS007)。当該環境判定処理では、IR照明部4の状態変化の有無の判定が行われ、IR照明部4の現在の状態が直近の状態から変化した場合に、IR照明変化フラグがオンされ、変化していない場合には当該フラグがオフに設定される。また環境判定処理では、環境光に含まれる赤外光成分が近接センサ8に対し外乱光となるかの判定が行われる。外乱光となる赤外光が存在すると判定された場合には、外乱光異常フラグがオン状態に設定される。
【0045】
また、制御部12は飽和判定手段26により、近接センサ8が飽和状態であるかの判定を行う(ステップS008)。当該判定はステップS002と同様に行われ、いずれかの近接センサ8が飽和していれば当該近接センサ8の飽和フラグがオン状態に設定される。
【0046】
環境判定処理S007、飽和判定処理S008にて、IR照明変化フラグ、外乱光異常フラグ及び飽和フラグのいずれもオン状態とされていない場合(ステップS009〜S011にて「No」の場合)、制御部12は画策異常判定手段28による画策異常判定処理を行う(ステップS012)。当該処理にて画策異常フラグがオフ状態に維持された場合には(ステップS013にて「No」の場合)、制御部12は処理をステップS005に戻し、初期化処理S004よりも後の処理を繰り返す。
【0047】
一方、画策異常フラグがオン状態に設定された場合(ステップS013にて「Yes」の場合)、制御部12は通信部14を介して監視センタ等へ異常通報を送信し、画策異常が検出されたことを外部通知する(ステップS014)。この場合は、制御部12は、監視センタ等の対処・レスポンスに要する時間を考慮して設定された所定時間の経過を待ってから(ステップS015)、ステップS001に戻り、初期化処理S004を含めた処理を繰り返す。
【0048】
また、IR照明変化フラグがオン状態であった場合は(ステップS009にて「Yes」の場合)、デイナイトモードの切り替え、つまり、デイモードからナイトモードへ切り替え、又はナイトモードからデイモードへの切り替えが行われた場合であり、制御部12はステップS001に戻り、初期化処理S004を含めた処理を繰り返す。よって、この場合、初期化処理S004又は基準値更新処理S005にて、近接センサ8の合計出力に関する基準値が更新される。
【0049】
外乱光異常フラグがオン状態であった場合も(ステップS010にて「Yes」の場合)、同様にステップS001に戻り処理を繰り返す。よって、この場合も、初期化処理S004又は基準値更新処理S005にて、近接センサ8の合計出力に関する基準値が更新される。
【0050】
一方、飽和フラグがオン状態であった場合は(ステップS011にて「Yes」の場合)、制御部12はステップS006に戻る。つまり、飽和状態では近接センサ8の基準値は適切に設定されない可能性があるため、基準値更新処理S005は行わずに、基本的に、飽和状態が解消するまでステップS006〜S011の処理を繰り返す。
【0051】
図3は基準値取得手段24による近接センサ8の出力の基準値の更新処理(図2のステップS005)の概略のフロー図である。
【0052】
基準値取得手段24は、所定時間間隔で照度センサ6及び近接センサ8から得られる出力に基づいて、基準値更新処理用に用意した所定サイズのバッファメモリに、基準値の算出に用いるデータを順次記憶し蓄積する。蓄積データ量がバッファメモリの容量上限に達すると、古いデータから順に消去して新たなデータを記憶する。
【0053】
具体的には、基準値更新処理S005では、照度センサ6及び近接センサ8から新たな出力値が得られると、それに基づくデータをバッファメモリに追加し(ステップS101)、基準値更新カウントをインクリメントする(ステップS102)。ここで、バッファメモリに記憶されるデータは、4つの近接センサ8それぞれの出力値及びそれらの合計値、並びに照度センサ6から得られたIR照度値を含む。なお、基準値更新カウンタは例えば、監視カメラ装置1の起動時には0に初期設定される。
【0054】
基準値更新カウントが所定の更新閾値未満である間は、基準値の更新は保留され、処理は図2のステップS006に進む(ステップS103にて「No」の場合)。ここで、更新閾値は、基準値を更新する所望の時間間隔に基づいてユーザが設定することができる。
【0055】
基準値更新カウントが更新閾値に達した場合には(ステップS103にて「Yes」の場合)、基準値更新フラグがオン状態であれば(ステップS104にて「Yes」の場合)、基準値が更新される(ステップS105)。ここで、基準値更新フラグは、画策異常が生じているおそれがある場合に、基準値の更新を抑制するためのものであり、当該フラグがオフ状態である場合には(ステップS104にて「No」の場合)、基準値更新処理S105は行われない。
【0056】
基準値の更新処理S105では、近接センサ8全体の出力の基準値、個々の近接センサ8の出力のオフセット値、及びIR照度基準値が更新される。近接センサ8全体の基準値は、初期化処理S004で説明したように、複数の近接センサ8-1〜8-4の合計出力に関する基準値である。更新処理S105では基準値更新フラグはオン状態であり、近接センサ8からは画策異常ではない状態での出力が得られる。よって、更新処理S105にて基準値取得手段24は、画策異常ではない期間での近接センサ8の合計出力の平均値を求め、当該平均値で近接センサ8の出力の基準値を更新する。なお、本実施形態では、上述したように、近接センサ8の出力は、発光部の発光時の赤外線受光量から非発光時の赤外線受光量を引いた差分値の所定時間内における積分値として得られるので、近接センサ8の合計出力は各近接センサ8の当該出力値の合計により求める。
【0057】
また、基準値取得手段24は、近接センサ8の出力のオフセット値及びIR照度基準値を、初期化処理S004と同様にして求めて更新する。
【0058】
上述のように、基準値更新フラグがオンであれば更新処理S105が実行され、一方、オフであれば更新処理S105は実行されないが、いずれの場合も基準値更新カウントがクリアされる(ステップS106)。つまり、基準値更新カウントが更新閾値に達した場合には(ステップS103にて「Yes」の場合)、基準値取得手段24は、基準値の更新処理S105の実行の有無にかかわらず基準値更新カウントを0にリセットして処理を図2のステップS006に進める。
【0059】
図4は環境判定手段22による環境判定処理(図2のステップS007)の概略のフロー図である。環境判定処理では、IR照明部4の照明状態の変化の有無の判定(ステップS201〜S204)と、環境光に含まれる赤外光成分が近接センサ8に対し外乱光となるかの判定(ステップS205〜S206)とが行われる。
【0060】
照明状態の変化の有無の判定では、環境判定手段22は現在のIR照明部4の点灯状態を取得する(ステップS201)。点灯状態はD/N切替判定手段20にて切り替えられ、デイモードであればIR照明部4は非発光状態であり、ナイトモードであれば発光状態である。後述するように、この切り替えは照度センサ6の出力に基づいて行われ、可視光の照度値が所定の閾値以上であればデイモードとされ、所定の閾値未満であればナイトモードとされる。
【0061】
取得した現在の点灯状態が前回処理時の点灯状態とは異なっている場合(ステップS202にて「Yes」の場合)、環境判定手段22はIR照明変化フラグをオン状態に設定する(ステップS203)。一方、現在のIR照明部4の点灯状態が前回処理時の点灯状態から変化していない場合(ステップS202にて「No」の場合)、ステップS203はスキップされ、IR照明変化フラグは初期化処理S004で設定されたオフ状態に保たれる。
【0062】
環境判定手段22は上述の処理を行うと、現在のIR照明部4の点灯状態を次回の処理のために前回処理時の点灯状態として保存した後(ステップS204)、外乱光の判定処理に移る。
【0063】
外乱光の判定処理では、環境判定手段22は、IR照度値とIR照度基準値との差の絶対値を所定の外乱光閾値と比較し、当該差が閾値以上であれば(ステップS205にて「Yes」の場合)、環境光に含まれる赤外光成分が近接異常判定にて外乱光となるとして外乱光異常フラグをオン状態に設定し(ステップS206)、処理を図2のステップS008に進める。一方、閾値未満であれば(ステップS205にて「No」の場合)、ステップS206はスキップされ、外乱光異常フラグは初期化処理S004で設定されたオフ状態のまま、図2のステップS008に処理が進む。
【0064】
上述したように、外乱光異常フラグがオン状態とされると、図2のフロー図にてステップS010からステップS001に処理が戻され、近接センサ8の出力の基準値の更新が行われる。つまり、監視対象空間における照明光に含まれる赤外光成分が少なければ、その変動の影響も小さく、近接センサ8に対する外乱光となりにくいのに対し、照明光に含まれる赤外光成分が多いと、その変動の影響も大きくなり、近接センサ8に対する外乱光となり易い。そこで、環境光に含まれる赤外光成分が閾値未満の場合は、外乱光異常フラグをオフ状態として近接センサ8の出力の基準値の更新を省略するのに対し、赤外光成分が閾値以上の場合は、外乱光異常フラグをオン状態として近接センサ8の出力の基準値が更新されるようにして近接センサ8による近接異常検知の信頼性を向上させる。
【0065】
図5は画策異常判定手段28による画策異常判定処理(図2のステップS012)の概略のフロー図である。画策異常判定手段28は複数の近接センサ8の出力の合計が所定の第1閾値以上であることを第1の判定基準とし、また、複数の近接センサ8のうち、第1閾値より低く設定された第2閾値以上の出力を有するものの個数が予め定めた複数個以上であることを第2の判定基準とする。撮像部2の視野を妨害する画策では、近接センサ8の出力が大きくなる。第1の判定基準はこの出力の増大を判定する。一方、当該出力の増大は、虫や雨粒などにより撮像部2の視野の一部分が遮られる場合でも生じ得る。この点、撮像部2の近傍の複数箇所にて近接センサ8の出力が増大したが検知されれば、広い視野が遮られていることが推定され、虫や雨粒などの画策に関する誤報事象を排除することが可能である。第2の判定基準はこの観点で設けられており、画策異常判定手段28は第1の判定基準だけでなく第2の判定基準も満たすことに基づいて画策異常であると判定する。
【0066】
まず、画策異常判定手段28は近接センサ8-1〜8-4の出力の合計値を算出し、当該合計値が第1の判定基準を満たすか否かを判断する(ステップS301)。その際、本実施形態では、ステップS105で求めた近接センサ8全体の基準値を考慮する。具体的には、近接センサ8-1〜8-4の出力の合計値と当該基準値との差の絶対値を、予め設定された第1閾値と比較する。
【0067】
近接センサ8の出力の合計値と基準値との差の絶対値が第1閾値以上である場合(ステップS301にて「Yes」の場合)、画策異常判定手段28はさらに第2の判定基準を満たすか否かを判断する(ステップS302)。本実施形態では、第2閾値以上の出力を有する近接センサ8の個数を4とする。つまり、4つの近接センサ8の全てが第2閾値以上の出力を有することを第2の判定基準とする。
【0068】
また、第2の判定基準において近接センサ8の出力を第2閾値と比較する際に、本実施形態では、ステップS105で求めた当該近接センサ8の出力のオフセット値を考慮する。具体的には、近接センサ8の出力から当該近接センサ8のオフセット値を減算した結果を、予め設定された第2閾値と比較する。なお、複数の近接センサ8同士で出力にずれが存在することを考慮して第2閾値は近接センサ8ごとに設定することができるが、本実施形態のように近接センサ8ごとのオフセット値を減算した出力を用いる場合には、第2閾値は複数の近接センサ8にて共通とすることもできる。
【0069】
近接センサ8の出力からオフセット値を引いた値が第2閾値以上である場合は(ステップS302にて「Yes」の場合)、第1及び第2の判定基準が満たされている場合である。この場合、撮像部2に対する視野妨害がされている可能性があり、画策異常が生じているおそれがある状態であるが、画策異常判定手段28は直ちに画策異常とは判定せず、暫定的に近接センサ8が異常を検知している状態(近接異常状態)として扱い、当該近接異常状態が所定期間継続した場合に画策異常と判定する。近接異常状態の継続期間を測るために近接異常判定回数が用いられ、画策異常判定手段28は第1及び第2の判定基準が満たされている場合に近接異常判定回数をインクリメントする(ステップS303)。
【0070】
画策異常判定手段28は、近接異常判定回数が所定回数(画策異常プレ閾値)以上であると(ステップS304にて「Yes」の場合)、基準値更新フラグをオフ状態に設定する(ステップS305)。これにより、近接異常検知中における基準値の更新処理(図2のS105)が抑制される。画策異常プレ閾値は例えば1に設定することができる。
【0071】
さらに、近接異常判定回数が画策異常閾値以上である場合(ステップS306にて「Yes」の場合)、画策異常判定手段28は画策異常フラグをオン状態に設定して(ステップS307)、処理を図2のステップS013に進める。
【0072】
一方、第1の判定基準又は第2の判定基準が満たされない場合(ステップS301又はS302にて「No」の場合)、画策異常判定手段28は近接異常判定回数を0にリセットして(ステップS308)、処理を図2のステップS013に進める。ちなみにこの場合、画策異常フラグは初期設定されたオフ状態に保たれる。
【0073】
近接異常判定回数が画策異常プレ閾値未満である場合(ステップS304にて「No」の場合)、画策異常判定手段28は、基準値更新フラグを初期設定されたオン状態に維持したまま、処理を図2のステップS013に進める。ちなみにこの場合、画策異常フラグは初期設定されたオフの状態である。
【0074】
近接異常判定回数が画策異常閾値未満である場合(ステップS306にて「No」の場合)、画策異常判定手段28は、画策異常フラグを初期設定されたオフ状態に維持したまま、処理を図2のステップS013に進める。ちなみにこの場合、基準値更新フラグはステップS305にてオフ状態に設定されている。
【0075】
図6はD/N切替判定手段20によるデイナイト切替処理の概略のフロー図である。D/N切替判定手段20は、監視カメラ装置1が起動されると図6に示す処理を継続的に実行する。なお、ここではフロー図を簡潔にするため、処理の開始時、つまり監視カメラ装置1の起動時はデイモードであることを前提としているが、起動時にナイトモードである場合には、ステップS404から処理が開始される。
【0076】
上述したように、D/N切替判定手段20は、照度センサ6の出力に基づき、可視光の照度値が所定の閾値以上であればデイモードとし、閾値未満であればナイトモードとする。可視光照度値は、CLEAR照度値からIR照度値を減算して求めることができる。
【0077】
D/N切替判定手段20は、デイモードでは、可視光照度値が所定のナイトモード移行照度閾値を下回った状態であるかの判断処理S401を繰り返し(ステップS401にて「No」の場合)、可視光照度値が閾値を下回った状態となると(ステップS401にて「Yes」の場合)、タイマーのカウントアップを開始し、当該状態となってからの経過時間が予め定めたナイトモード移行時間閾値を超えたかの判断処理S402を行う。D/N切替判定手段20はステップS401及びS402を繰り返すループ処理を行い(ステップS402にて「No」の場合)、経過時間が閾値を超えると(ステップS402にて「Yes」の場合)、ナイトモードに移行する。具体的には、D/N切替判定手段20は、IRカットフィルタを撮像部2の光学系から外すと共に、IR照明部4を点灯させる。
【0078】
一方、デイモードでは、D/N切替判定手段20は、可視光照度値が所定のデイモード移行照度閾値を上回った状態であるかの判断処理S404を繰り返し(ステップS404にて「No」の場合)、可視光照度値が閾値を上回った状態となると(ステップS404にて「Yes」の場合)、タイマーのカウントアップを開始し、当該状態となってからの経過時間が予め定めたデイモード移行時間閾値を超えたかの判断処理S405を行う。D/N切替判定手段20はステップS404及びS405を繰り返すループ処理を行い(ステップS405にて「No」の場合)、経過時間が閾値を超えると(ステップS405にて「Yes」の場合)、デイモードに移行する。具体的には、D/N切替判定手段20は、IRカットフィルタを撮像部2の光学系に挿入する共に、IR照明部4を消灯させる。
【0079】
ここで、上述のステップS402,S405により、経過時間が閾値を超えることをモード切り替えの要件とすることで、一時的な照度変化によってモード切り替えが起こりにくくすることができる。また、ナイトモード移行照度閾値とデイモード移行照度閾値とは異なる値に設定することができる。具体的には、ナイトモード移行照度閾値をデイモード移行照度閾値より低く設定することで、モード切り替えにヒシテリシス特性を持たせることができる。つまり、例えば、照度がナイトモード移行照度閾値を下回ってデイモードからナイトモードへの切り替えが生じると、照度が揺らいでナイトモード移行照度閾値を上回ってもデイモードへは戻らない。このように、照度の小さな揺らぎに対してモード切り替えが頻繁に起こることが防止され、モードの安定性が確保される。
【0080】
なお、デイモードでタイマーのカウントアップの開始後、可視光照度値が閾値以上となった場合(ステップS401にて「No」の場合)や、ナイトモードでタイマーのカウントアップの開始後、可視光照度値が閾値以下となった場合(ステップS404にて「No」の場合)には、例えば、タイマーをリセットする。
【符号の説明】
【0081】
1 監視カメラ装置、2 撮像部、4 IR照明部、6 照度センサ、8 近接センサ、10 IR照明制御部、12 制御部、14 通信部、16 記憶部、20 D/N切替判定手段、22 環境判定手段、24 基準値取得手段、26 飽和判定手段、28 画策異常判定手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6