(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
この種の車両用サンバイザとして、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この車両用サンバイザ1は、
図11に示すように、図示しないサンバイザ本体を回動自在に保持する非導電性の支軸(アーム)2と、この支軸2を図示しない車室天井に取り付ける取付ブラケット5と、この取付ブラケット5に着脱自在に組付けられ、電力供給用の一対の端子8,8を有したコネクタ7と、を備えている。
【0003】
支軸2の内部には、並行して延在する一対の導電体3,3が設けられていて、その取付ブラケット5側の端部2aの閉塞された上面には、一対の導電体3,3の接点部としての円柱状の各導電体端部3aが外側に突出するように設けられている。この円柱状の一対の導電体端部3a,3aは、支軸2の端部2aの上面中央に突設した非導電性の介在部2bを介して空間部を有して離れている。
【0004】
また、支軸2の端部2a側は取付ブラケット5の筒状の支持突部5aに回動自在に支持され、コネクタ7のハウジング7aは取付ブラケット5の組付凹部5bに組付けられるようになっている。
【0005】
そして、支軸2が第1の位置へと回転動作されたときには、端部2aより外へ突出した円柱状の一対の導電体端部3a,3aが電力供給用の一対の端子8,8の接点部としての板状の各バネ部8aに接触して通電(ON)状態とされることで、サンバイザ本体の照明ランプの点灯準備状態が形成される。
【0006】
また、支軸2が第2の位置へと回転動作されたときには、端部2aより外へ突出した円柱状の一対の導電体端部3a,3aが電力供給用の一対の端子8,8の各バネ部8aより離れて非通電(OFF)状態とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の車両用サンバイザ1では、支軸2の円柱状の導電体端部3aに接触する端子8の板状のバネ部8aの先端が自由端になっているため、支軸2の円柱状の導電体端部3aと端子8のバネ部8aが接触しても必要な接触荷重が得られず、車両の走行時の振動等により、支軸2の円柱状の導電体端部3aと端子8のバネ部8aが一時的に離れてしまい点灯時の照明ランプがチラつく虞がある。
【0009】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、点灯時の照明ランプのチラつきを確実に防止することができる車両用サンバイザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車両用サンバイザであって、照明ランプを有するサンバイザ本体と、前記サンバイザ本体を回動自在に保持し、円筒状端部に一対の導電体の接点部が設けられた非導電性のアームと、前記アームを車両に取り付ける取付ブラケットと、前記取付ブラケットに着脱自在に組み付けられ、弾性変形する接点部としてのバネ部が前記一対の導電体の接点部に接触される電力供給用の一対の端子を有したコネクタと、を備え、前記取付ブラケットに前記アームの円筒状端部側を回動自在に支持するアーム支持部を設け、前記一対の導電体の接点部を円柱状にそれぞれ形成し、前記一対の円柱状接点部を前記アームの前記アーム支持部より外側に露出する円筒状端部の上面に所定の間隔を隔てて設け、前記コネクタのハウジングの前記一対の円柱状接点部間に相対向する位置に付勢部材を設け、前記付勢部材の両端側に前記一対の端子の各バネ部を一
時的に付勢するバネ付勢部をそれぞれ設けたことを要旨とする。
【0011】
また、本願発明の車両用サンバイザは、前記付勢部材の両端側に配置された一方のバネ付勢部
の一方の片側及び
他方のバネ付勢部の一方の片側に、前記サンバイザ本体を横に倒した時の前記アームの回転範囲を規制する第1当接部を
それぞれ設けたことを特徴とし、さらに、前記付勢部材の両端側に配置された
一方のバネ付勢部の他方の片側及び他方のバネ付勢部
の他方の片側に、前記サンバイザ本体を前に倒した時の前記アームの回転範囲を規制する第2当接部を
それぞれ設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コネクタのハウジングに設けられた付勢部材の両端側に一対の端子の各バネ部を一
時的に付勢するバネ付勢部をそれぞれ設けたことにより、アームの円柱状接点部に対する一対の端子の各バネ部の接触圧力を高めることができ、点灯時の照明ランプのチラつきを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は本発明の一実施形態の車両用サンバイザを示す斜視図、(b)は同図(a)中Y部分の拡大斜視図である。
【
図2】は上記車両用サンバイザのアームを装着した取付ブラケットにコネクタを組付ける前の状態を示す斜視図である。
【
図3】上記コネクタのハウジングに一対の端子を装着する前の状態を示す斜視図である。
【
図4】(a)は上記コネクタの正面図、(b)は同図(a)中X−X線に沿う断面図である。
【
図5】上記取付ブラケットにコネクタを組付けた状態の要部を断面で示す斜視図である。
【
図6】(a)は上記車両用サンバイザを車室天井側に格納した状態を示す斜視図、(b)は同車両用サンバイザをフロントウインドウの前に倒した状態を示す斜視図、(c)は同各状態における車両用サンバイザの要部を断面で示す平面図である。
【
図7】上記車両用サンバイザの導通状態の要部を断面で示す拡大平面図である。
【
図8】(a)は上記車両用サンバイザをサイドウインドウの横に倒した状態の斜視図、(b)は同状態における車両用サンバイザの要部を断面で示す平面図である。
【
図9】上記車両用サンバイザの不導通状態の要部を断面で示す拡大平面図である。
【
図10】上記車両用サンバイザの不導通状態から導通状態に切り換える際の要部を断面で示す拡大平面図である。
【
図11】従来の車両用サンバイザの取付ブラケット周辺の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1(a)は本発明の一実施形態の車両用サンバイザを示す斜視図、
図1(b)は
図1(a)中Y部分の拡大斜視図、
図2は車両用サンバイザのアームを装着した取付ブラケットにコネクタを組付ける前の状態を示す斜視図、
図3はコネクタのハウジングに一対の端子を装着する前の状態を示す斜視図、
図4(a)はコネクタの正面図、
図4(b)は
図4(a)中X−X線に沿う断面図、
図5は取付ブラケットにコネクタを組付けた状態の要部を断面で示す斜視図、
図6(a)は車両用サンバイザを車室天井側に格納した状態を示す斜視図、
図6(b)は車両用サンバイザをフロントウインドウの前に倒した状態を示す斜視図、
図6(c)は同各状態における車両用サンバイザの要部を断面で示す平面図、
図7は車両用サンバイザの導通状態の要部を断面で示す拡大平面図、
図8(a)は車両用サンバイザをサイドウインドウの横に倒した状態の斜視図、
図8(b)は同状態における車両用サンバイザの要部を断面で示す平面図、
図9は車両用サンバイザの不導通状態の要部を断面で示す拡大平面図、
図10は車両用サンバイザの不導通状態から導通状態に切り換える際の要部を断面で示す拡大平面図である。
【0016】
図1、
図2、
図6、
図8に示すように、車両用サンバイザ10は、バニティーミラー(化粧鏡)12と照明ランプ(電装品)13を有するサンバイザ本体11と、このサンバイザ本体11を回動自在に保持し、円筒状端部21に一対の導電体24,24の各接点部25が設けられた非導電性のアーム20と、このアーム20をルーフトリム(車両)Rに取り付ける取付ブラケット30と、この取付ブラケット30に着脱自在に組付けられ、弾性変形するバネ部(接点部)52が一対の導電体24,24の各接点部25に接触される電力供給用の一対の端子50,50を有したコネクタ40と、を備えている。
【0017】
図1及び
図2に示すように、アーム20は合成樹脂により円筒状に形成されていると共に、上面21aが閉塞された円筒状端部21側がアーム本体20A側に対して所定角度傾斜するように形成されている。このアーム20の内部には、並行して延在する一対の導電体24,24が配索されている。この一対の導電体24,24のアーム20の円筒状端部21側に露出して各端部側に位置する接点部25は、円柱状に形成されている(以下「一対の円柱状接点部25,25」という)。即ち、アーム20の円筒状端部21は、後述する取付ブラケット30のアーム支持部31より外側に露出しており、一対の導電体24,24の各端部側に位置する一対の円柱状接点部25,25は、円筒状端部21の上面21a上の中央において所定の間隔Tを隔てて垂直に起立している。
【0018】
図1及び
図2に示すように、取付ブラケット30は合成樹脂により形成されていて、その中央には、アーム20の円筒状端部21側を回動自在に支持する円形の内周面31aを斜めに有した四角筒状のアーム支持部31を一体突出形成してある。このアーム支持部31の内周面31a内にアーム20の円筒状端部21が圧入されて、内周面31aより突設した図示しない係止突起がアーム20の円筒状端部21に形成された円環凹状の係合溝に入り込んでその上に形成された円環状のフランジ部(いずれも図示省略)に係合されることで、回動するアーム20の円筒状端部21の上側がアーム支持部31より外側へ突出(露出)するようになっている。即ち、取付ブラケット30のアーム支持部31に斜めに形成された円形の内周面31a内にアーム20の円筒状端部21側を圧入すると、アーム支持部31の内周面31aより突設した係止突起がアーム20の円環凹状の係合溝に入り込んで円環状のフランジ部に係合されることで、アーム支持部31にアーム20の円筒状端部21が回動自在に支持されるようになっている。
【0019】
また、
図2に示すように、取付ブラケット30の上面30aのアーム支持部31の周りには、コネクタ組付け用の凹部32を形成してある。このコネクタ組付け用の凹部32の一方の取付孔35側の中央には、後述するコネクタ40のハウジング本体42の係止片部42aが係止される係止爪部33を一体突出形成してある。また、コネクタ組付け用の凹部32の他方の取付孔36側の両側には、後述するコネクタ40の両側壁44,44の係止片部44bが差し込まれる係合穴34をそれぞれ形成してある。即ち、
図2及び
図3に示すように、取付ブラケット30のコネクタ組付け用の凹部32に設けられた一対の係合穴34,34にコネクタ40のハウジング41の両側壁44,44に設けられた一対の係止片部44b,44bを差し込んで、コネクタ40を回転させて、コネクタ組付け用の凹部32の係止爪部33にコネクタ40のハウジング本体42の係止片部42aを係止させることにより、取付ブラケット30の上面30aにコネクタ40が組付けられるようになっている。尚、取付ブラケット30は、一対の取付孔35,36を介して図示しないビスによってルーフトリムRにねじ止めされるようになっている。
【0020】
図1〜
図5に示すように、コネクタ40のハウジング41は、合成樹脂により形成されていて、中央にアーム支持部31が嵌め込まれる開口部43を形成したハウジング本体42と、このハウジング本体42の両側にL字状の端子収容室44aを有した一対の側壁44,44と、を備えている。
【0021】
ハウジング本体42の上部の一対の側壁44,44の間には、矩形板状の天井壁部45を一体突出形成してある。この天井壁部45の底面の一対の円柱状接点部25,25の間に相対向する位置には、一対の円柱状接点部25,25側まで延びる断面S字形状の付勢部材46を一体突出形成してある。この一対の円柱状接点部25,25間の絶縁に寄与する付勢部材46の両端側には、一対の端子50,50の各バネ部52の自由端52b側を一
時的に付勢するバネ付勢部47,48をそれぞれ設けてある。
図4と
図5及び
図10に示すように、一対のバネ付勢部47,48の
うちの一方のバネ付勢部47
の一方の片側に、サンバイザ本体11を横(サイドウインドウS側)に倒した時のアーム20の回転範囲を規制する第1当接部47a
を設けてあると共に、他方のバネ付勢部48の一方の片側に、サンバイザ本体11を横(サイドウインドウS側)に倒した時のアーム20の回転範囲を規制する第1当接部48aを設けてある。また、一対のバネ付勢部47,48の
うちの一方のバネ付勢部47の他方の片側に、サンバイザ本体11を前(フロントウインドウF側)に倒した時のアーム20の回転範囲を規制する第2当接部47bを設けてあると共に、他方のバネ付勢部48
の他方の片側に、サンバイザ本体11を前(フロントウインドウF側)に倒した時のアーム20の回転範囲を規制する第2当接
部48bを設けてある。
【0022】
さらに、
図1〜
図5に示すように、ハウジング41の天井壁部45の両側には、一対の端子50,50の各バネ部52の基部52a側が挿入保持される一対の保持溝49,49をハウジング本体42側まで形成してある。
【0023】
図3に示すように、電力供給用の一対の端子50,50は、先端が箱形状の相手側接続部51aとなっていて、ハウジング41の側壁44のL字状の端子収容室44a及びハウジング本体42の図示しない端子収容室に収容される接触片部51と、この接触片部51に一体に連結されていて、基部52aと自由端52bとでU字板状に形成されたバネ部52とを備えている。この各バネ部52の向きは互い違い(逆向き)になっている。また、各バネ部52は弾性変形自在に形成されていて、接点部としての機能を有している。そして、ハウジング41に一対の端子50,50を組付けた際に、各端子50のバネ部52の基部52a側は、ハウジング41の保持溝49内に保持され、自由端52b側は、ハウジング41の付勢部材46の一対のバネ付勢部47,48により予め基部52a側に変位されることで、バネ部52の反力を高めた状態で支持されるようになっている。
【0024】
尚、コネクタ40は、ルーフトリムR側の電源接続用の電線に接続されたコネクタ(いずれも図示省略)に嵌合されるようになっている。この嵌合の際に、コネクタ40の一対の端子50,50の各接触片部51の相手側接続部51aとルーフトリムR側のコネクタの図示しない一対の端子とが電気的に接続され、コネクタ40の一対の端子50,50に電力が供給されるようになっている。
【0025】
以上実施形態の車両用サンバイザ10によれば、
図6(a)に示すように、サンバイザ本体11をルーフトリムR側に格納しているときと、
図6(b)に示すように、サンバイザ本体11をフロントウインドウFの前に倒したときに、円筒状端部21の上面21aに立設された一対の円柱状接点部25,25が電力供給用の一対の端子50,50の接点部としての各バネ部52に接触(導通)して通電(ON)状態となることで、即ち、アーム20内に配索された一対の導電体24,24とサンバイザ本体11の照明ランプ13を繋ぐ内部回路が通電状態とされることで、サンバイザ本体11の照明ランプ13の点灯準備状態が形成される。そして、
図6(b)に示す状態で、サンバイザ本体11のバニティーミラー12を覆っている図示しないスイッチ機構を有したスライドカバー(スライド部材)14をスライドさせて開くと、そのスイッチ機構がONとなって照明ランプ13が点灯する。
【0026】
この際に、
図6(c)及び
図7に示すように、コネクタ40のハウジング41に組付けた際に、予め変位させてある一対の端子50,50の弾性変形する接点部としての各バネ部52の自由端52b側は、アーム20の円筒状端部21の一対の円柱状接点部25,25に接触して更に変位するため、通電状態のときに、一対の端子50,50の各バネ部52と一対の円柱状接点部25,25の接触圧力が高まって接触状態が安定し、車両の走行時の振動等によってもアーム20の円筒状端部21の一対の円柱状接点部25,25とコネクタ40の一対の端子50,50の各バネ部52とが一時的に離れてしまうことがなく、点灯時の照明ランプ13のチラつきを防止することができる。
【0027】
また、
図8(a)に示すように、アーム20を取付ブラケット30のアーム支持部31を起点に回転させて、サンバイザ本体11をサイドウインドウSの横に倒したときに、円筒状端部21の上面21aに立設された一対の円柱状接点部25,25が電力供給用の一対の端子50,50の各バネ部52より離れて不導通となって、照明ランプ13の内部回路が非通電(OFF)状態となる。この際、
図9に示すように、一対の円柱状接点部25,25の一方の円柱状接点部25(
図9の図面中下側に位置する円柱状接点部25)がハウジング41の付勢部材46のバネ付勢部47,48の第1当接部47a,48aに当たるため、アーム20の回転範囲が規制される。
【0028】
そして、
図8(a)に示すサンバイザ本体11をサイドウインドウSの横に倒した状態から、アーム20を取付ブラケット30のアーム支持部31を起点に回転させて、サンバイザ本体11をフロントウインドウFの前に倒そうとすると、
図10に示すように、一対の円柱状接点部25,25の一方の円柱状接点部25(
図10の図面中下側に位置する円柱状接点部25)が図中一点鎖線のように移動してハウジング41の付勢部材46のバネ付勢部47,48の第2当接部47b,48bに当たるため、アーム20の回転範囲が規制される。
【0029】
図7、
図9、
図10に示すように、アーム20を取付ブラケット30のアーム支持部31を起点に回転させて、アーム20の円筒状端部21の一対の円柱状接点部25,25とコネクタ40の一対の端子50,50の各バネ部52とが接触したり、離れたりすることで、導通状態と不導通状態を簡単かつ確実に切り換えることができる。
【0030】
また、アーム20の回転により、予め変位させてある一対の端子50,50の各バネ部52の自由端52b側は、アーム20の一対の円柱状接点部25,25に接触して更に変位して、一対の端子50,50の各バネ部52のバネ反力が高いため、接触荷重が大きく、車両の走行時の振動等によってもアーム20の一対の円柱状接点部25,25とコネクタ40の一対の端子50,50の各バネ部52とが一時的に離れてしまうことがなく、点灯時の照明ランプ13のチラつきを簡単かつ確実に防止することができる。
【0031】
尚、前記実施形態によれば、サンバイザ本体に電装品として照明ランプを設けたが、サンバイザ本体に電装品として小型で薄形の液晶モニタ等を設けても良い。
【0032】
また、前記実施形態によれば、サンバイザ本体をルーフトリムの右側に設けたため、アームの回転範囲を規制する付勢部材は、断面S字形状に形成したが、サンバイザ本体をルーフトリムの左側に設ける場合には、アームの回転範囲を規制する付勢部材は、断面逆S字形状に形成すれば良い。