特許第6904869号(P6904869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6904869
(24)【登録日】2021年6月28日
(45)【発行日】2021年7月21日
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/50 20060101AFI20210708BHJP
【FI】
   A47L15/50
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-193176(P2017-193176)
(22)【出願日】2017年10月3日
(65)【公開番号】特開2019-63334(P2019-63334A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 敏男
【審査官】 田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−30163(JP,A)
【文献】 特開平11−76128(JP,A)
【文献】 特開2004−141309(JP,A)
【文献】 特開2016−54892(JP,A)
【文献】 特開2003−325427(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0007825(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器類を支持する食器かごが収納された洗浄槽と、洗浄槽内に設けられた洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプとを備える食器洗浄機であって、
洗浄ノズルは、洗浄槽の中央部で上方にのびるセンターノズルを有し、
食器かごとして、洗浄槽の下部に配置される下かごと、洗浄槽の上部であって、センターノズルに対し所定方向に隣接した部分に配置される上かごとが設けられ、
上かごは、センターノズルに近い内側とセンターノズルから離れた外側との2列の食器支持部を備え、これら各食器支持部は、コップや湯呑みに代表される有底の筒状食器を、開口端を下にしてセンターノズルから離れる方向に傾斜した姿勢で、各食器支持部の長手方向たるX軸方向に複数個並べて支持可能であって、筒状食器の開口端が着座する座部と、筒状食器の周壁部のセンターノズルとは反対側部分が当接する背もたれ部とを有するものにおいて、
下かごに、上かごの内側の食器支持部のX軸方向中央部に存する座部の部分に下方から当接する上かご支え部が立設され、
上かごの内側の食器支持部の座部は、上かご支え部が当接する部分のX軸方向一方に隣接する部分からX軸方向一方の端部までの範囲に存する座部の部分が当該食器支持部の他の部分に存する座部の部分に対しセンターノズルから離れる方向で且つ上方に偏倚した段付き形状に形成されることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
請求項1記載の食器洗浄機であって、前記下かごに、前記センターノズルを囲うノズルガード枠が立設されるものにおいて、前記上かご支え部がノズルガード枠で構成されることを特徴とする食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器類を支持する食器かごが収納された洗浄槽と、洗浄槽内に設けられた洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプとを備える食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の食器洗浄機として、洗浄ノズルを、洗浄槽の中央部で上方にのびるセンターノズルを有するものとし、食器かごとして、洗浄槽の下部に配置される下かごと、洗浄槽の上部であって、センターノズルに対し所定方向に隣接した部分に配置される上かごとを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このもので、上かごは、センターノズルに近い内側とセンターノズルから離れた外側との2列の食器支持部を備えている。各食器支持部は、コップや湯呑みに代表される有底の筒状食器を、開口端を下にしてセンターノズルから離れる方向に傾斜した姿勢で、各食器支持部の長手方向に複数個並べて支持可能であって、センターノズルに形成したノズル孔から噴射される洗浄水が食器支持部に支持される筒状食器内に入るようにしている。尚、各食器支持部は、筒状食器の開口端が着座する座部と、筒状食器の周壁部のセンターノズルとは反対側部分が当接する背もたれ部とを有している。
【0003】
ところで、上記従来例のものでは、上かごのうち、内側の食器支持部の長手方向中央部が洗浄槽の内壁面から最も離れることになる。そのため、内側の食器支持部の長手方向中央部の支持剛性が不足して、この部分が下方に撓みやすくなる。また、上かごの直下に位置する下かごの部分に支持可能な食器の大きさが制限されてしまう不具合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−30163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、上かごの内側の食器支持部の長手方向中央部の支持剛性を高めてその撓みを防止できるようにすると共に、上かごの一部の直下に位置する下かごの部分に比較的大きな食器を載置できるようにした使い勝手の良好な食器洗浄機を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、食器類を支持する食器かごが収納された洗浄槽と、洗浄槽内に設けられた洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプとを備える食器洗浄機であって、洗浄ノズルは、洗浄槽の中央部で上方にのびるセンターノズルを有し、食器かごとして、洗浄槽の下部に配置される下かごと、洗浄槽の上部であって、センターノズルに対し所定方向に隣接した部分に配置される上かごとが設けられ、上かごは、センターノズルに近い内側とセンターノズルから離れた外側との2列の食器支持部を備え、これら各食器支持部は、コップや湯呑みに代表される有底の筒状食器を、開口端を下にしてセンターノズルから離れる方向に傾斜した姿勢で、各食器支持部の長手方向たるX軸方向に複数個並べて支持可能であって、筒状食器の開口端が着座する座部と、筒状食器の周壁部のセンターノズルとは反対側部分が当接する背もたれ部とを有するものにおいて、下かごに、上かごの内側の食器支持部のX軸方向中央部に存する座部の部分に下方から当接する上かご支え部が立設され、上かごの内側の食器支持部の座部は、上かご支え部が当接する部分のX軸方向一方に隣接する部分からX軸方向一方の端部までの範囲に存する座部の部分が当該食器載置部の他の部分に存する座部の部分に対しセンターノズルから離れる方向で且つ上方に偏倚した段付き形状に形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、上かごの内側の食器支持部のX軸方向(長手方向)中央部を上かご支持部で下方から支えることにより、この部分の支持剛性を高めて、この部分が下方に撓むことを防止できる。また、内側の食器支持部の座部を段付き形状に形成することにより、上方に偏倚した座部の部分の下方に位置する下かごの部分に比較的大きな食器を載置することができ、使い勝手が向上する。
【0008】
また、下かごには、一般的に、センターノズルを囲うノズルガード枠が立設されている。従って、本発明においては、上かご支え部をノズルガード枠で構成することが望ましい。これによれば、下かごにノズルガード枠とは別の上かご支え部を立設する必要がなく、上かご支え部によって食器支持スペースが狭められることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の食器洗浄機の切断側面図。
図2】実施形態の食器洗浄機の洗浄槽の斜め上方から見た斜視図。
図3】実施形態の食器洗浄機の洗浄槽の要部の平面図。
図4】実施形態の食器洗浄機の上かごの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示す本発明の実施形態の食器洗浄機は、システムキッチンに組み込んで設置されるビルトイン式のものであり、前面が開放されたハウジング1内に前方に引出し自在に収納される洗浄槽2を備えている。洗浄槽2内には、食器類を支持する後述する食器かごが収納されると共に、食器かごに向けて洗浄水を噴射する洗浄ノズル3が設けられている。尚、洗浄槽2の前面には、ハウジング1の前面を閉塞する前蓋21が取付けられている。また、ハウジング1内の上部には、洗浄槽2の開放された上面を閉塞するシール蓋11が設けられている。
【0011】
洗浄槽2の底部には、残菜フィルタ22を介して洗浄槽2内に連通する洗浄水の溜り部23が設けられている。洗浄槽2の底部下側には、溜り部23に連通する洗浄ポンプ4が設置されている。そして、洗浄ポンプ4を正転させたとき、洗浄槽2内の洗浄水が溜り部23と洗浄ポンプ4とを介して洗浄ノズル3に供給され、洗浄ポンプ4を逆転させたとき、洗浄水が洗浄槽2から排水されるようにしている。
【0012】
洗浄ノズル3は、洗浄槽2の下部で水平方向にのび、長手方向中央部で鉛直軸線回りに旋回自在な下ノズル31と、下ノズル31の長手方向中央部に立設された、洗浄槽2の中央部で上方にのびるセンターノズル32とを有している。下ノズル31は、これに形成したノズル孔311から洗浄水を噴射し、この噴射反力により旋回する。センターノズル32は、下ノズル31に一体の下半部32aと、下半部32aに上下動自在に内挿した上半部32bとで構成されている。洗浄ポンプ4から洗浄水が供給されると、上半部32bが洗浄水の水圧に押されて上動し、センターノズル32が上方に伸張する。そして、下半部32aの上端部に形成したノズル孔321と上半部32bに形成したノズル孔322とから洗浄水が噴射される。
【0013】
また、食器かごとして、洗浄槽2の下部に、下ノズル31の上方に位置させて配置された、大皿、小皿、中鉢、椀等の比較的大型の食器W1を支持する下かご5と、洗浄槽2の上部であって、センターノズル32に対し所定方向たる後方に隣接した部分に配置された上かご6とが設けられている。下かご5の中央部には、これに載置する食器W1がセンターノズル32に干渉することを防止できるように、センターノズル32を囲うノズルガード枠51が立設されている。
【0014】
図2乃至図4も参照して、上かご6は、洗浄槽2の内壁面上部に係合支持される、線材で構成される枠体61と、枠体61に固定される合成樹脂製のかご本体62とで構成されている。かご本体62は、センターノズル32に近い内側(前側)とセンターノズル32から離れた外側(後側)との2列の食器支持部63,64を備えている。各食器支持部63,64は、コップや湯飲みに代表される有底の筒状食器W2を、センターノズル32のノズル孔321から噴射する洗浄水が内部に入るように、開口端を下にしてセンターノズル32から離れる方向たる後方に傾斜した姿勢で、各食器支持部63,64の長手方向に複数個並べて支持可能である。そして、各食器支持部63,64は、筒状食器W2の開口端が着座する、複数の棒状体で構成される座部631,641と、筒状食器W2の周壁部のセンターノズル32とは反対側(後側)部分が当接する、単数又は複数の棒状体で構成される背もたれ部632,642とを有している。尚、各食器支持部63,64は、平面視円弧状であって、その長手方向たるX軸方向は円弧状に湾曲している。
【0015】
ここで、本実施形態では、下かご5に、上かご6の内側の食器支持部63のX軸方向中央部に存する座部631の部分に下方から当接する上かご支え部52を立設している。そのため、洗浄槽2の内壁面から最も離れて撓みやすい内側の食器支持部63のX軸方向中央部の支持剛性を上かご支え部52により高めて、この部分が下方に撓むことを防止できる。
【0016】
また、本実施形態では、ノズルガード枠51を上方に延長して、その上端に、図1図2に示す如く内側の食器支持部63のX軸方向中央部に存する座部631の部分に下方から当接する当接部52aを設け、上かご支え部52がノズルガード枠51で構成されるようにしている。これによれば、下かご5にノズルガード枠51とは別の上かご支え部52を立設する必要がなく、上かご支え部52によって食器支持スペースが狭められることを回避できる。
【0017】
更に、本実施形態では、内側の食器支持部63の座部631を、上かご支え部52が当接する部分のX軸方向一方(図3図4の下方)に隣接する部分からX軸方向一方の端部までの範囲に存する座部の部分631aが当該食器支持部63の他の部分に存する座部の部分に対しセンターノズル32から離れる方向たる後方で且つ上方に偏倚した段付き形状に形成している。そのため、上方に偏倚した座部部分631aの下方に位置する下かご5の部分に比較的大きな食器W1を載置することができ、使い勝手が向上する。
【0018】
尚、座部631を段付き形状に形成すると、座部631の段差部631bで応力集中を生じて強度上の問題を生ずる恐れがある。然し、本実施形態では、座部631が段差部631bの近傍で上かご支え部52により支えられるため、強度上の問題を生ずることはない。
【0019】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、上かご6がセンターノズル32に対し後方に隣接した部分に配置されているが、上かごをセンターノズル32に対し前方や、横方向に隣接する部分に配置させるものにも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0020】
2…洗浄槽、3…洗浄ノズル、32…センターノズル、4…洗浄ポンプ、5…下かご、51…ノズルガード枠、52…上かご支え部、6…上かご、63…内側の食器支持部、631…座部、631a…上方に偏倚した座部の部分、632…背もたれ部、64…外側の食器支持部、641…座部、642…背もたれ部。
図1
図2
図3
図4